ASBJ 企業会計基準委員会

第66回企業会計基準委員会議事要旨

日時 2004年10月12日(火) 10時00分~12時30分
場所 (財)財務会計基準機構 会議室

議題

審議事項

  1. 企業結合専門委員会における検討状況について
  2. 事業分離専門委員会における検討状況について

報告事項

  1. IASBリエゾン国会議報告
  2. IASB会議報告
  3. 会計制度委員会報告第13号「退職給付会計に関する実務指針(中間報告)」等の改正について

議事概要

(1)企業結合専門委員会における検討状況について

西川副委員長及び布施専門研究員より、企業結合専門委員会における検討状況について説明が行われた。説明では、「取得と持分の結合の識別」に係る主要論点等についての検討内容が提示され、意見交換等が行われた。

なお審議における主な発言内容等は以下のとおりである。

  • 企業結合の合意成立日の議決権件数を基礎に算定した結合後企業に対する議決権比率が50:50から上下概ね5%ポイントの範囲内かどうかが議決権比率要件として取り上げられているが、実務上概ねの判定は難しい。設例に具体的な数値が記載されると決定的な印象にもなりかねないので、設例を最終公表物に載せる場合は慎重に議論すべきではないか。
  • 「潜在株式の議決権行使の可能性」の取扱いについて、結合当事企業の意思により、転換が行われたものと認められる場合に限って議決権比率要件の再判定の対象とする考え方が示されたが、転換権を行使しない場合についても企業結合に賛成しているという意思表示になる可能性もあるのではないか。例えばイン・ザ・マネーのものは転換されたとみなすような取扱いは考えられないか。
  • 潜在株式の取扱いについて、会社側が転換権を有するという限定的な場合が想定されているが、そこまで限定的に取り扱うことが意見書の趣旨に沿うことになるのか、もう少し柔軟性を持って議論を進めていくことも必要ではないか。
(2)事業分離専門委員会における検討状況について

西川副委員長及び秋葉専門研究員より、事業分離による分離元企業の会計処理に関する論点のうち、移転した事業に対する受取対価に現金等の財産が含まれる場合の取扱い(「論点整理」【基本論点1】)及び「事業」とはならない資産の現物出資について、専門委員会での検討状況の説明がなされた後、意見交換が行われた。

  • 【基本論点1】について、企業結合会計基準の基本的な考え方にたつと、受取対価が株式以外の場合には投資は清算されたとみて移転損益を認識するというのが原則で一貫性のある考え方ではないか。引き続き検討してはどうか。
  • 対価の種類によって移転損益を認識するか否かが論点となるのは、関係会社間の取引であるが、対価に含まれる金銭の多寡によって移転損益の計上が容易になるのはいかがなものか。
  • 事業とはならない資産の現物出資の取扱いも検討対象に加えようという提案であるが、実務では事業と資産がきれいに峻別することは難しく、また資産といっても評価の手法では事業性を加味するなど難しい実務が存在する。このような背景も含めて検討してほしい。
(3)IASBリエゾン国会議報告

西川副委員長及び豊田専門研究員より、9月27日及び29日に開催された第9回IASBリエゾン国会議についての報告がなされた。

(4)IASB会議報告

山田理事より、9月21日から24日に開催されたIASB会議の報告が行われた。
(内容については「IASB会議報告(第38回会議)」をご覧ください)

(5)会計制度委員会報告第13号「退職給付会計に関する実務指針(中間報告)」等の改正について

小宮山委員より、日本公認会計士協会による標記についての報告が行われた。
報告の中で、現行基準注解(注1)の問題点も指摘された。
(なお、本件においては、日本公認会計士協会から公表されている同名の資料を審議資料として使用した。)

以上