ASBJ 企業会計基準委員会

第26回企業会計基準委員会議事要旨

日時 2003年2月4日(火) 午前10時~12時30分
場所 (財)財務会計基準機構 会議室

議題

審議事項

  1. 「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」の検討状況の整理(案)について
  2. 実務対応報告「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その2)(案)」について【議決】
  3. 実務対応報告「コマーシャル・ペーパーの無券面化に伴う発行者の会計処理及び表示についての実務上の取扱い(案)」について【議決】
  4. 実務対応報告公開草案「種類株式の貸借対照表価額に関する実務上の取扱い(案)」について【議決】
  5. 専門委員会の追加選任・退任について

報告事項

  1. IASB会議の報告
  2. 公開草案等に対するコメントのホームページ公開について
  3. 「わが国におけるストック・オプション制度に関する実態調査」の結果報告について
  4. 第15回国際対応専門委員会の議事概要について

議事概要

(1)秋葉専門研究員より現在、減損会計専門委員会にて検討が行われている「『固定資産の減損に係る会計基準の適用指針』の検討状況の整理(案)」の概要について説明がなされた。

各委員の発言は以下の通り。

  • 「専門委員会において、どのような業種から意見聴取を行ったのか。」との質問があり、「減損会計専門委員会の専門委員として、不動産業、建設業、メーカーのメンバーがいること。また、参考人として、生保業、電力業、鉄道業、小売業、化学会社から意見聴取を行った。」との説明がなされた。
  • 「のれんの取扱いについて、企業会計審議会で検討されている企業結合会計とはどのような関係になっているのか。」との質問については、「減損会計を早期適用する会社は3月末の決算において実務指針が必要となるので、企業結合会計については現在のところ考慮していない。」との説明がなされた。
  • 「資産のグルーピングについては、大きな単位の選択の乱用を防ぐために、大きな単位を適用できるのは極めて例外的なケースであることを明示すべきではないか。」

(2)堀江研究員より「実務対応報告 第7号 連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その2)(案)」についてのパブリック・コメントに対する対応案等の説明がなされた。

審議の後、採決が行われ、字句等の修正に関しては委員長に一任の上、出席委員11名全員の賛成により、原案を実務対応報告として公表することが承認された。

なお、加藤委員から、Q4の追加情報としての注記に係る部分については下記のように修正することの提案があり、その上で、全体については承認する旨の意見が表明された。

「個別財務諸表における法人税に係る繰延税金資産の回収見込額を合計した金額が、連結納税主体を一体として計算した連結納税主体の回収可能見込額を上回り、かつその上回る部分の金額に重要性がある場合には、連結納税親会社の個別財務諸表において、個別財務諸表における法人税に係る繰延税金資産の回収見込額の合計額(連結納税親会社の金額と連結納税子会社の合計金額の内訳を含む)及び連結納税主体を一体として計算した連結納税主体の回収可能見込額を追加情報として注記することが必要になると考えられる。」

本実務対応報告の内容については「実務対応報告 第7号 連結納税制度を適用する場合の税効果に関する当面の取扱い(その2)の公表」をご覧下さい。
各委員の主な発言は以下の通り。

  • 「Q4に関する追加情報については、財規等で規定のある税効果の箇所へ記載する他に、別途追加情報の項目を起して記載することも認められる。」

(3)小賀坂専門研究員より「実務対応報告 コマーシャル・ペーパーの無券面化に伴う発行者の会計処理及び表示についての実務上の取扱い(案)」についてのパブリック・コメントに対する対応案等の説明がなされた。

審議後、採決が行われ、字句等の修正に関しては委員長に一任の上、出席委員11名全員の賛成により、原案を実務対応報告として公表することが承認された。

本実務対応報告の内容については「実務対応報告 第8号 コマーシャル・ペーパーの無券面化に伴う発行者の会計処理及び表示についての実務上の取扱いの公表」をご覧下さい。

(4)秋葉専門研究員より「実務対応報告公開草案 種類株式の貸借対照表価額に関する実務上の取扱い(案)」の内容について説明がなされた。

審議後、採決が行われ、字句等の修正に関しては委員長に一任の上、出席委員11名全員の賛成により、原案を実務対応報告公開草案として公表することが承認された。

本実務対応報告公開草案の内容については「実務対応報告公開草案第9号 種類株式の貸借対照表価額に関する実務上の取扱い(案)の公表」をご覧下さい。
各委員の主な発言は以下の通り。

  • 「Q3の減損処理を行う市場価格のない種類株式の実質価額の算定について、評価モデルを利用して価額を得ることが困難である場合に、1株当たり純資産額を基礎とする方法などを用いることができるとしているが、評価モデルに対して信頼性がない場合やコストをかけて評価モデルを用いて算定するほど重要性がない場合も『困難な場合』と認められるか。」との質問がだされ、「金融商品の時価評価の考え方にある『困難であると認められるような状況』を踏まえ判断することとなるのではないか。」との説明がなされた。
  • Q3の評価モデルを利用して算定された種類株式の減損処理について、金融商品会計実務指針91項は市場価格のない株式を前提にしていないと考えられるが、実質的には91項と同様の扱いとなることが確認され、「91項に準じて行う。」と修正することが確認された。
  • 種類株式に関する組込デリバティブについては、金融商品会計専門委員会において議論は行われていないが、コメント等を踏まえて必要があれば、検討を行うことが確認された。

(5)西川副委員長より、専門委員会の専門委員の追加選任及び退任について説明がなされ、承認された。

(6)山田IASB理事より、1月22日、23日にIASB会議が開催され、企業結合の第2フェーズ、統合化プロジェクト(FASBとの短期統合化プロジェクト、年金会計の統合化)、IAS第32号及び第39号の改善、IRFSの適用初年度の取扱い、保険会計について議論が行われたことが報告され、そのうち保険会計の議論の概要について説明がなされた。

(7)西川副委員長より、公開草案等に対するコメントとそのコメントに対する検討内容を今後、当委員会のホームページの会員サイトに掲載することが説明された。

以上