ASBJ 企業会計基準委員会

第80回企業会計基準委員会議事要旨

日時 2005年5月13日(金) 13時30分~16時00分
場所 財務会計基準機構 会議室

議題

審議事項

  1. ストック・オプション等専門委員会における検討状況について
  2. 会社法対応専門委員会における検討状況について

報告事項

  1. セグメント情報開示に関するワーキンググループの設置について
  2. IASB会議報告

議事概要

(1)ストック・オプション等専門委員会における検討状況について

西川副委員長及び豊田専門研究員より、ストック・オプション等専門委員会における検討状況について説明が行われた。説明では、ストック・オプションの公正な評価単価の算定方法における、評価技法の満たすべき要件等の基本的な考え方についての説明がなされ、意見交換が行われた。

審議における主な発言は以下のとおりである。

  • ストック・オプションの主要な特性である「第三者へ譲渡ができないこと」をいう点を公正な評価単価の見積りに反映させるために、「オプションの期間」を満期までの契約期間全体ではなく予想残存期間とする考え方が、譲渡ができない分を期間で補うという認識であるならば、背景となるそのような考え方をわかりやすく記載をしたほうがよいのではないか。
  • 株式オプションの一般の価格算定モデルであるブラック=ショールズ・モデルの基礎数値として最低限考慮されるべき項目(オプションの行使価格、オプションの期間、算定時点の株価等)に関して、実務上の観点からも各項目が算定上与える影響を把握しておいたほうがよいのではないか。
  • 評価額の引き下げを意図した評価技法の変更等、頻繁に評価技法の変更を行うことが許容されないという事務局案に関連して、評価技法を用いるその時々における合理性に基づいた判断がなされて、計算手法が明示されれば変更が許容されるとも考えられ、何をもってみだりに変更したかという証明は難しいのではないか。
  • 実務上では、各々の会社で評価単価の算定を合理的に見積ることは大変困難であると考えられ、多大な時間と労力が費やされることを懸念する。実務上の簡便性に配慮した記述がなされなければ、実態として運営上は非常に難しくなるのではないか。
(2)会社法対応専門委員会における検討状況について

西川副委員長及び布施専門研究員より、会社法対応専門委員会における検討状況の説明がなされた。説明では、いわゆる「役員賞与」の会社法上の取扱いと会計処理の考え方について、「役員賞与」に関連する会社法案の内容を踏まえた実務対応報告第13号「役員賞与の会計処理に関する当面の取扱い」の見直しに関する検討事項と今後の方向性についての事務局案が提示され、意見交換が行われた。

審議における質疑応答の内容と主な発言は以下のとおりである。

  • 「役員賞与」の支給を費用処理に一本化するという事務局案に関して、会社法の動向のみならず、米国会計基準でも費用化として処理していることなど国際的な情勢を鑑みても妥当だと判断することができるのではないか。
  • 実務対応報告第13号を検討した際に、商法上の問題の一つとして配当可能利益が二重に減少するのではないかという問題があったが、会社法の最終案におけるこの問題の有無に関する質問に対して、事務局から現行の商法283条の利益処分というものを採用しない限り、問題は生じないとの回答がなされた。
  • 「役員賞与」は、役員報酬とともに「職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益」として整理され、会社法案第361条の定めに従って、株主総会の決議によることとされているが、報酬や賞与の額及び業績賞与的なものに対する決議のタイミングをどのようにしていくのかという質問に対して、事務局から当該条文は取締役への支給に関して株主総会の決議が必要との記述のみであり、決議の仕方等は様々であるのではないかとの回答がなされた。
(3)セグメント情報開示に関するワーキンググループの設置について

石井委員及び新井専門研究員より、「セグメント情報の開示」は、テーマ協議会から比較的優先度の高い検討事項として提言されており、当委員会とIASBとのコンバージェンス・プロジェクトの第1フェーズとして検討項目に挙げられていることなどを踏まえ、当委員会にワーキンググループを設置して論点等の洗い出しを行いながら検討していくことが提案され、了承された。

(4)IASB会議報告

山田理事より、4月(19日~22日)にかけて行われたIASB会議、IASBとリエゾン国関係者との会議及びIASB・FASB合同会議についての報告が行われた。

(内容については「IASB会議報告(第45回会議)」をご覧下さい。)

以上