ASBJ 企業会計基準委員会

第70回企業会計基準委員会議事要旨

日時 2004年12月14日(火) 13時30分~16時00分
場所 (財)財務会計基準機構 会議室

議題

審議事項

  1. 事業分離専門委員会における検討状況について
  2. ストック・オプション等専門委員会における検討状況について
  3. 専門委員の追加選任及び退任について
  4. その他(金融商品会計に関する実務指針について)

報告事項

  1. SAC会議(IASB基準諮問会議)報告について
  2. その他 (欧州における会計基準同等性評価について)

議事概要

(1)事業分離専門委員会における検討状況について

西川副委員長及び秋葉統括研究員より、事業分離専門委員会における検討状況についての説明がなされた。今回は1月に公表を予定している『「事業分離等に関する基準」の検討状況の整理』の文案(会計基準の考え方及び背景説明)が提示され、これに関する専門委員会での検討状況が説明された後、意見交換が行われた。

なお、審議における主な発言は以下のとおりである。

  • 先に公表された「論点整理」に対するコメントの分析やその後の検討に基づいて、現段階における方向性を「検討状況」として公表する旨を記載するとともに、なるべく「論点整理」との関係がわかるような記述を入れたほうがよいのではないか。
  • その他有価証券に分類される株式の投資先を被結合企業とした企業結合が行われた場合、被結合企業の株主の個別財務諸表上、交換損益は認識されない考え方が示されているが、株式の交換が行われた場合に通常、損益が認識されることとの関係はどうなるか。
  • 適用指針でもよいが、注記を求められる事項については、個別情報か連結情報かを明瞭にしてほしい。
(2)ストック・オプション等専門委員会における検討状況について

西川副委員長及び豊田専門研究員より、ストック・オプション等専門委員会における検討状況についての説明がなされた。今回は公開草案「ストック・オプション等に関する会計基準(案)」の内容及び前回の委員会でも審議された主要論点の考え方が説明された後、意見交換が行われた。

審議における主な発言は以下のとおりである。

  • 企業が財貨、サービス取得の対価として自社株式を付与する場合にも、自社株式オプションを付与した場合と同様に、取得した財貨等の価値の方が信頼性をもって算定できるときは、この価値で測定したほうがよいのではないか。
  • オプション権の貸方科目の関係について、特にオプション権を少数株主持分と同列に中間区分として計上するという考え方については、為替換算調整勘定の処理など実務的な負担も考慮して慎重に検討すべきではないか。資本の部に表示することも考えられないか。
  • 貸方を資本とする案については、資本のうち企業の所有者に確定的に帰属しないものは現行の枠組みでは「その他包括利益」となってしまうこと、仮に拠出資本と考えれば、権利失効の場合には株主間の富の移転であり、利益に戻し入れることはできないこと等の問題があり、合理的な説明ができないのではないか。
  • 貸方科目の議論については、これまでに相当の時間をかけても結論が出てこないことから、中間区分案ということで公開草案を公表して、寄せられたコメントも踏まえて議論を行っていくことも一つの考えではないか。
  • 親会社から子会社の従業員等に付与するストック・オプションについて、当該企業の個別財務諸表上における費用処理をする論拠としては「何らかの対価性や報酬性」ではなく、もっと確固たる表現にすべきではないか。また、個別財務諸表の基準性ということから言えば、この取引をまず企業集団レベルで説明するという書き方はまずいのではないか。
(3)専門委員の追加選任及び退任について

西川副委員長より、専門委員の退任及び追加選任について提案がなされ、承認された。

(4)その他(金融商品会計に関する実務指針について)

西川副委員長より、証券取引法改正によって投資事業有限責任組合等の出資持分が、みなし有価証券に追加されたことに伴い日本公認会計士協会に実務指針の改訂を依頼する旨の提案がなされ、承認された。

(5)SAC(IASB基準諮問会議)報告について

又邊研究員より、11月18日から19日にかけて開催されたIASBの基準諮問会議であるSAC会議の報告がなされた。

(6)その他(欧州における会計基準同等性評価について)

西川副委員長より、CESR(欧州証券規制委員会)における概念フレームワークについての同等性評価に対し、企業会計基準委員会としてコメントを提出する意向であることが報告された。

以上