ASBJ 企業会計基準委員会

第69回企業会計基準委員会議事要旨

日時 2004年11月26日(金) 10時00分~12時45分
場所 (財)財務会計基準機構 会議室

議題

審議事項

  1. 実務対応報告公開草案「排出量取引の会計処理に関する当面の取扱い(案)」に対するコメントについて【実務対応報告公表議決予定】
  2. 企業結合専門委員会における検討状況について
  3. 事業分離専門委員会における検討状況について
  4. ストック・オプション等専門委員会における検討状況について
  5. その他(専門委員の選任について)

報告事項

  1. 国際対応専門委員会の議事概要について
  2. 日中韓三カ国会計基準設定主体会議報告
  3. 業種別委員会報告第32号の公表について(日本公認会計士協会)

議事概要

(1) 実務対応報告公開草案「排出量取引の会計処理に関する当面の取扱い(案)」に対するコメントについて

標記の実務対応報告の公表に関する審議が行われた。冒頭、石井委員より、本日の審議に関する概要説明がなされ、続いて、湯川専門研究員より、公開草案に対して寄せられたコメントの内容及び対応案並びにコメント対応案を反映させた本実務対応報告の原案の概要説明がなされた。説明の後、審議・採決が行われ、最終的な字句等の修正については委員長に一任することを前提に、出席委員12名全員の賛成をもって、原案を公表することが承認された。

(2) 企業結合専門委員会における検討状況について

西川副委員長及び布施専門研究員より、企業結合専門委員会における検討状況の説明がなされた。今回は連結原則の「支配」(子会社)と企業結合会計基準の「支配」(取得)との関係で、結合後企業が他の会社の子会社に該当することとなる場合における取得と持分の結合の識別についての考え方、及び取得と判定することを前提にパーチェス法の適用についての検討状況の説明がなされ、意見交換が行われた。

なお、審議における主な発言は以下のとおりである。

  • 取得と持分の結合に関する識別規準の考え方について、連結原則の基準に基づく支配概念と企業結合基準に基づく支配概念の整合性をとったほうがよいのではないか。
  • 結合後企業に親会社が存在することとなる場合には、共通支配下の取引となるケースを除き、パーチェス法を適用し、結合当事企業のうち結合前から当該親会社の子会社であった企業を取得企業とする方法をとると、総体としての株主の議決権比率が例えば70%であっても被取得企業となり30%の企業が取得企業となることがあり得るが、このような結果には違和感を覚える。
  • 上記懸念はもっともであるが、連結上は新たに連結子会社となる会社を被取得企業としてパーチェス法を適用することになる。企業結合会計基準では個別の処理もなるべく連結に合わせようと考えており、それからすれば、連結上取得する側の企業集団に属している企業を個別上も取得企業にしたほうがよいのではないか。
  • 設例による議論は理解しやすいが、より議論の本質的な要素を明確にした設例で説明をしてほしい。
(3) 事業分離専門委員会における検討状況について

西川副委員長及び秋葉統括研究員より、事業分離専門委員会における検討状況についての説明がなされた。今回は、来年初めに公表を予定している『「事業分離等に関する会計基準」の検討状況の整理(案)』の構成案及び一部文案について審議が行われた

審議における主な発言内容は以下のとおりである。

  • 現物出資の会計処理に関しては、事業分離の分離元企業について事業の移転と資産の移転とで論点に違いはないものと考えられることから「事業分離に準ずる」ということを記載すれば足りるので、この基準に取り入れておくことでよいのではないか。
(4) ストック・オプション等専門委員会における検討状況について

西川副委員長及び豊田専門研究員より、ストック・オプション等専門委員会における検討状況についての説明がなされた。今回は「費用認識の相手勘定」と「非公開会社の取扱い」の2つの論点が取り上げられ、意見交換が行われた。これらの論点については次回の委員会においても引き続き審議することとされた。

意見交換における主な発言内容は以下のとおりである。
<「費用認識の相手勘定」について>

  • 概念フレームワークの討議資料によっても、負債ではなく純資産になるのであれば資本の部に入れてもよいのではないか。
  • 純資産に該当することと資本に該当することとは意味が全く異なる。失効した場合利益に振り戻すこととしているが、資本としたうえでリサイクルすれば「その他の包括利益」という説明をせざるをないが、利益確定のタイミングの違いである「その他の包括利益」に該当しないことは明らかであり、国際的に説明不能となる。
  • 理論的に資本ではないとしても、第三区分というのをわざわざ作るのではなく、負債や資本の純化を別途包括的に検討することとして、その時までは資本の部を使うという選択肢は考えられないか。
  • 連結上の「少数株主持分」は商法上の制約がないため、負債でも資本でもないという取扱いとなったと理解しており、ストックオプションについてこれから作るルールには商法上の制約がないのであれば、やはり第三区分が自然なのではないか。
  • 第三区分を設けることは便宜的な取扱いで最終形ではないのではないか。国際的な整合性も考慮して純資産の部を設けるようなことを議論すべきで、それまでは仮に負債として表示し、将来再検討することとしてはどうか。

<「非公開会社の取扱い」について>

  • 公開直前の会社では、相対的にストック・オプションの重要性が大きくなることも多く、投資家保護の観点からも権利行使日に至るまで本源的価値による測定を見直し、これを注記ではなく財務諸表本体に計上する対応が望ましいのではないか。
  • 付与日後の本源的価値による見直しは、契約の前提とした付与日におけるストック・オプション価値により測定するという本則の考え方から離れることになる。損益計算書については付与日現在で測定しその後は見直さない、また注記による開示については権利行使日に至るまで見直すという事務局の提案を支持する。
(5) 専門委員の選任について

西川副委員長より、退職給付専門委員会の専門委員の選任について提案がなされ、承認された。

なお、今回議題に挙げられたもののうち報告事項については、資料の配布を持って報告とすることとされた。

以上