ASBJ 企業会計基準委員会

第65回企業会計基準委員会議事要旨

日時 2004年9月24日(金) 13時30分~16時00分
場所 (財)財務会計基準機構 会議室

議題

審議事項

  1. 実務対応報告公開草案「排出量取引の会計処理に関する当面の取扱い(案)」について【公表議決予定】
  2. IASBリエゾン国会議の対応について
  3. 企業結合専門委員会における検討状況について
  4. 事業分離専門委員会における検討状況について
  5. ストック・オプション等専門委員会における検討状況について

報告事項

  1. 討議資料『財務会計の概念フレームワーク』の修正について

議事概要

(1)実務対応報告公開草案「排出量取引の会計処理に関する当面の取扱い(案)」について新年金法対応専門委員会に関する公開草案の公表について

石井委員及び湯川専門研究員より、前回の審議を踏まえて公開草案「排出量取引の会計処理に関する当面の取扱い(案)」について修正内容の説明がなされた。その後、審議を経て、本公開草案の公表について議決が行なわれ、出席委員全員の賛成により承認された。

(2)IASBリエゾン国会議の対応について

西川副委員長及び豊田専門研究員より、IASBリエゾン国会議の議題について説明がなされ、その対応方針について審議が行われた。なお、主な議題は各国基準設定主体(NSS)の役割及びNSSとIASBとの協調関係の強化である。

審議における主な発言内容は以下のとおりである。

  • IASBはリエゾン国会議の位置付けを軽くしていこうとしているようだが、リエゾン国として発言する場は維持するように主張したほうがよいのではないか。
  • IASBのプロジェクトに対する参加は、人的資源の問題もあり、多くは無理としても重要なテーマを絞ってなるべく参加した方がよいのではないか。
  • ASBJが議論すべきことや意見すべきことをについては、慎重に整理した上で対応していくこととなった。
(3)企業結合専門委員会における検討状況について

西川副委員長及び布施専門研究員より、企業結合専門委員会における検討状況について説明が行われた。説明では、「共同支配企業の形成」の要件及び会計処理についての検討内容が提示され、意見交換等が行われた。

審議における発言内容は以下のとおりである。

  • 拒否権を有するのみでは共同支配に参加していることにならないという考え方もあるかもしれないが、拒否権は強い権利であり区別は不要ではないか。海外における取扱いも調査してほしい。
  • 第3セクター方式のように、官民一体となって事業を共同推進していく場合には多数の投資家が入ってくるが、このうち共同支配契約は締結しているものの主たる投資家以外の投資家の取扱い(共同支配投資企業に該当するかどうか)も示す必要があるのではないか。
(4)事業分離専門委員会における検討状況について

西川副委員長及び秋葉専門研究員より、分離先企業が関連会社となる場合の取扱い(「論点整理」【基本論点4】)について、「論点整理」に対するパブリック・コメントの内容及び専門委員会での検討状況について説明がなされた後、意見交換が行われた。

審議における主な発言内容は以下のとおりである。

  • 企業結合会計基準では、持分の結合の要件として具体的に「対価の種類」と「支配」の継続が挙げられているおり、支配は重要な概念ではないか。事業分離では、支配が失われていても重要な影響力が残れば、投資は継続しているという理論立てでは、企業結合会計基準と整合性が保てないのではないか。
  • 支配が重要な概念となることは間違いないが、既存の他の基準との整合性からは、損益の認識においては、支配と影響力を同じ事業投資と括って取り扱うことになるのではないか。
  • 事業を分離して関連会社株式を取得することが投資の清算に該当するか投資の継続に該当するかという論点については、他の基本論点の議論を踏まえるなど全体的な進捗の中で進めていくのが望ましい。現段階で決めてしまうののではなく慎重に検討してはどうか。
(5)ストック・オプション等専門委員会における検討状況について

西川副委員長及び豊田専門研究員より、ストック・オプション会計基準の国際比較、基準案適用時の説例について説明がなされ、これに基づいて意見交換が行われた。

審議における主な発言内容は以下のとおりである。

ストック・オプション行使価格の変更(リプライシング)をする場合について、当初のストック・オプションをキャンセルして新たな条件のストック・オプションを付与されたものと見るのではなく、時価で買戻して時価で新規に付与するという考え方もあるのではないか。

条件変更が行われるケースでは、基本的にストック・オプションをそのままにしておけば失効してしまうケースと考えられ、当初付与分を取り消して条件変更後のストック・オプションを新たに付与したのと経済的には同じではないか。

(6)討議資料『財務会計の概念フレームワーク』の修正について

西川副委員長より討議資料『財務会計の概念フレームワーク』について、公表後にシンポジウム等を通じて寄せられた意見を踏まえ、誤解のないように表現等の修正を加えたものが、基本概念ワーキンググループより提出されたため、これを受け付け、公表資料のアップ・デートを行う旨の説明がなされた。なお、基本概念ワーキンググループについては、今回の討議資料修正によって当初の任務が終了したと考えられるため、その活動を停止する旨の報告が併せてなされた。

以上