ASBJ 企業会計基準委員会

第64回企業会計基準委員会議事要旨

日時 2004年9月14日(火) 13時30分~16時00分
場所 (財)財務会計基準機構 会議室

議題

審議事項

  1. 排出量取引の会計処理に関する公開草案の検討について
  2. 事業分離専門委員会における検討状況について
  3. ストック・オプション等専門委員会における検討状況について
  4. 専門委員の退任・追加選任について

報告事項

  1. 国際対応専門委員会の議事概要について
  2. その他

議事概要

(1)排出量取引の会計処理に関する公開草案の検討について

石井委員及び湯川専門研究員より、公開草案「排出量取引の会計処理に関する当面の取扱い(案)」の内容及び専門委員会での検討状況の説明がなされ、意見交換等が行われた。なお、本日の審議を踏まえて修正を加えた上で、次回の委員会において審議のうえ、本公開草案の公表について議決を行うこととされた。

審議における発言内容は、以下のとおりである。

  • 公開草案における会計処理について「第三者に販売する目的で排出クレジットを取得する場合」と「将来自社で使用することを見込んで排出クレジットを取得する場合」の2つの目的によって分けられているが、この目的を途中で変更した場合の取扱いに言及する必要はないか。
  • 本公開草案では、2つの目的ともに事業投資と性格付けており、評価替えはしないと考えられるので、目的変更については記載の必要はないのではないか。
  • 資産計上の根拠が「売却した場合には有償で取引されること」であることを明確にしたほうがよいのではないか。
(2)事業分離専門委員会における検討状況について

西川副委員長及び秋葉専門研究員より、事業分離専門委員会における検討状況について説明が行われた。説明では、論点整理において分離先企業が関連会社となる場合の取り扱い(「論点整理」【基本論点4】)についての検討状況が報告され、意見交換等が行われた。

なお、審議における発言内容は以下のとおりである。

  • 子会社へ事業を移転した場合には投資は継続しているものとされている。連結と持分法との関係や金融商品会計基準における子会社株式と関連会社株式の評価など他のルールとの関連で解すると、影響力がある場合には支配がある場合と同様に、これまでの事業投資という性格は変わらないため、移転された事業に関する投資が継続していると考えられるのではないか。
  • 投資の継続ということを支配ということだけで見ずに、影響力があれば投資は継続としているとみなすと、持分法会社と子会社をなぜ区分するのかという議論にならないか。自己が支配する子会社への移転にしても、他者が支配している先へ移転しても同じ取扱いにすることは合理的なのか。
  • 【基本論点4】に関するコメント募集において寄せられた意見や専門委員会での議論の結果を集約した資料を提供してほしい。
(3)ストック・オプション等専門委員会における検討状況について

西川副委員長及び豊田専門研究員より、従業員等ストック・オプションに係る会計基準案の検討状況について説明が行われた。今回は非公開会社における取扱いや開示の原則的な考え方等について、専門委員会における検討状況が基準案の構成に従って説明された。審議の前提となる主な内容は以下のとおりである。

非公開会社については十分な信頼性のある時間的価値の測定を行うことが困難であることから、本源的価値の見積もりによる測定を許容する特例措置を認めるか否かが問題になるが、その特例措置の内容として、本則通り付与日に測定したストック・オプション単価をその後再測定しない考え方と、行使日に至るまで再測定を求める考え方がある。また、非公開会社についても、特例措置を認めず日経平均株価等を利用して測定を行うべきとの意見もある。

これに対して次のような意見があった。

  • 日経平均株価を用いて株価ボラティリティを計算しても、当該会社のボラティリティと大きく異なるはずであり情報価値に疑問がある。
  • ストック・オプション単価で付与日後の再測定を求めるべきか否かについては、再測定を求めることが測定の困難な時間的価値を補う趣旨であることから、これを求めるべきとの意見と、そもそも等価交換の前提となった付与日の価値で測定するのが本則の趣旨であり、等価交換の前提となっていないその後の価値変動を反映させるのは本則と整合的ではないとの意見があった。
  • 開示については重要性との関係もあり、コスト・ベネフィットという視点も踏まえてどこまでの開示を求めることが必要なのか、実務的な対応可能性などを含め今後議論を深めていくべきではないか。
(4)専門委員の退任・追加選任について

西川副委員長より、専門委員の退任及び追加選任について提案がなされ、承認された。

(5)国際対応専門委員会の議事概要について

西川副委員長より、国際対応専門委員会の議事概要についての報告が行われた。

(6)その他

西川副委員長より、デット・デット・スワップの取扱いについて日本公認会計士協会において検討を開始してもらう旨の報告が行われた。

以上