ASBJ 企業会計基準委員会

第41回企業会計基準委員会議事要旨

日時 2003年9月19日(金) 13時30分~16時15分
場所 (財)財務会計基準機構会議室

議題

審議事項

  1. 適用指針公開草案「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針(案)」に対するコメントについて
  2. 実務対応報告「外貨建転換社債型新株予約権付社債の発行者側の会計処理に関する実務上の取扱い(案)」について【公表議決予定】
  3. 委員会の中長期的な検討課題【継続審議】
    • テーマ協議会からの提言項目について
  4. 役員賞与の会計処理について
  5. 固定資産会計専門委員会
    • 減価償却会計の論点について
  6. IASBリエゾン国会議の対応について

報告事項

  1. 第21回 国際対応専門委員会の議事概要について
  2. 日本公認会計士協会 研究報告プロジェクトについて

議事概要

(1)都委員より、適用指針公開草案「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針(案)」に対する主要なパブリックコメントの内容と対応案について報告がなされ、その後、審議が行われた。

本件に関する主な発言内容は以下のとおりである。

  • 個別と連結のグルーピングの取扱いや考え方について、もう少しその趣旨が明確になるように、記述を追加すべきではないか。
  • グルーピング方法の開示はある程度必要ではあるが、過度にならないようにすべきである。
  • 減損の兆候について、たとえ例示であっても数値規準を複数示すこととすると、実務上の適用にあたり混乱が想定される。

(2)西川副委員長及び秋葉専門研究員より、実務対応報告第11号「外貨建転換社債型新株予約権付社債の発行者側の会計処理に関する実務上の取扱い(案)」について説明が行われた。

説明の後に審議が行われたが、特段の意見等は出されず、採決により、字句等の修正に関しては委員長に一任の上、出席委員12名全員の賛成をもって、原案を公表することが承認された。

(3)西川副委員長より、これまでにテーマ協議会から提言を受けた各項目(テーマ)の進捗状況等について説明が行われた。なお、説明の冒頭、本審議事項(委員会の中長期的な検討課題について)に関する趣旨説明が行われた。その概要は以下のとおり。

(議論の趣旨)

  • 今後、委員会が中長期的な検討課題(テーマ)をどのように取り上げ、どのテーマにどの程度の時間を費やして取り組んでいくかという、いわゆるロードマップについて委員会で議論すべきという意見が、これまでの委員会で出された。
  • 本件は、この意見に応えるかたちで議論を行うものであるが、その議論自体は一度で終わるものではなく、継続的な意見交換が必要であると思われる。
  • 具体的な議論の進め方としては、幾つかの切り口が考えられるが、今回は、これまでにテーマ協議会から提言された数多くのテーマのうち、特に現段階で取り上げていないテーマを中心に、その現在の評価(今後の方向性等-事務局案)について議論を行うこととしたい。

説明の後、審議が行われた。本件に関する主な発言内容は以下のとおりである。

  • 「企業結合」については、実務適用への配慮から十分な準備期間を設けることができるように、鋭意、プロジェクトを進めてほしい。
  • 「四半期決算」については、その枠組みが明確になった時点で速やかに対応するとの旨であるが、具体的にはどのように考えているのか。
  • (上記の意見に対して)金融審議会での議論により、徐々にその枠組みが明確になってくるものと思われるが、当委員会としては、実際に制度が始まるまでに対応しなければいけないので、金融審議会での議論の状況をモニターしつつ、適切に進めていく必要があるのではないか。
  • 「非監査企業の会計基準適用の実態」については、会計基準の一義性を認識しつつ、当面、その適用についての実務の動向を見守ることとされているが、既に3つの団体から研究報告などが公表されており、中には会計基準という名称を使用しているものもある。あまりにも放置しておくと、それらがデファクト・スタンダードになってしまう危惧があるのではないか。
  • (上記の意見に対して)何らかのアクションを起こすにしても、実務の動向をある程度把握しないと、その必要性自体が見えてこないのではないか。ただし、現存する研究報告等の内容を分析・把握しておくことは、将来的にも有益であると思われる。
  • 「棚卸資産の会計処理」は、相対的に優先順位が低いと判断されているが、原価法と低価法の選択適用は国際的に遅れているとの指摘をよく受ける点であり、実務上の問題点を探るようなことには着手してもいいのではないか。

(4)西川副委員長及び秋葉専門研究員より、役員賞与の会計処理について説明がなされ、その後、審議が行われた。なお、説明の冒頭、西川副委員長より、本日の審議の目的は、前回(第40回)の委員会でテーマ協議会から提言を受けた本テーマについて、その問題の所在を確認した上で、検討の範囲、方向性等について議論を行い、最終的に当委員会のテーマとして取り上げるか否かを決定することであるとの旨が申し述べられた。

本件に関する主な発言内容は以下のとおりである。

  • まずは、連結グループ内に委員会等設置会社と監査役設置会社が混在する場合の問題点の解決を優先し、来年3月までに結論を得るように検討を進めるべきではないか。
  • 検討の範囲については、時間的な制約もあることから、利益処分による役員賞与に焦点を当て、その他の派生論点(例えば、役員報酬の形態など)については、必要に応じて討することとするのが現実的ではないか。
  • 議論を進めるにあたっては、商法上の取扱いを慎重に検討する必要がある。

審議の結果、利益処分による役員賞与に焦点を当て、専門委員会は設置せずに当委員会において来年3月までに結論を得るように議論を行うとの方針で、本テーマを取り上げることとされた。

(5)都委員及び山中研究員より、固定資産会計専門委員会における減価償却会計の論点について説明がなされ、その後、審議が行われた。なお、説明の冒頭、都委員より、本日の審議の目的は、前回(第40回)と同様、今後の本プロジェクトの進め方について意見交換を行うことであり、その参考として、先の実態調査結果の報告に続き、今回は専門委員会にて取り上げた具体的な論点の体系をお示しするものであるとの旨が申し述べられた。

本件に関する主な発言内容は以下のとおりである。

  • 現時点では、減価償却について何かしらの会計的なガイドラインを早急に設けないと大きな問題を招来するという状況にはないのではないか。
  • 今後も引続き本プロジェクトを検討していく場合には、会計と税との関係といった、もう少し大きな視野での検討が必要となるのではないか。

(6)西川副委員長及び古内研究員より、IASBリエゾン国会議(9月22日~23日)の対応(具体的な議題やその問題点等)について説明がなされ、その後、意見交換が行われた。

(7)第21回国際対応専門委員会の議事概要については、配布資料をもって報告とされた。

(8)加藤委員より、日本公認会計士協会からの報告事項として、以下の内容の報告が行われた。

  • 継続企業の前提が成立しないと判断される場合の財務諸表の作成において準拠すべき会計基準について調査・研究し、研究報告として公表することを予定している。

以上