ASBJ 企業会計基準委員会

第13回企業会計基準委員会議事要旨

日時 2002年4月19日(水) 10時00分~12時10分
場所 (財)財務会計基準機構会議室

議題

審議事項

  1. 当委員会の今後の運営について(非公開)
  2. 自己株式等専門委員会の追加論点に関する検討の概要について
  3. 1株当たり利益(EPS)専門委員会の設置について

報告事項

  1. 中小会社会計実務について
  2. テーマ協議会の提言への対応について
  3. SPC等検討プロジェクトの立ち上げについて
  4. IASB理事会の報告
  5. 第7回国際対応専門委員会の議事概要について

議事概要

1. 自己株式等専門委員会の追加論点に関する検討の概要について
  • 小賀坂専門研究員より、自己株式等会計基準に関し、1. 自己株式の取得及び処分の認識時点、2. 自己株式の無償取得の会計処理、3. 企業結合に関連する自己株式の会計処理(抱合せ株式への新株の割当、被取得会社が保有する取得会社の株式)、4. 子会社及び関連会社が保有する自己株式に関する連結財務諸表における取扱い、の4点について追加して検討する必要がある旨の説明がなされ、質疑応答・意見交換が行われた後、上記論点の検討を進めることについて了承された。
  • 本件審議に関しての各委員よりの主な発言は以下の通り。
    「企業結合については、合併、分割、株式交換等があるが、当面は合併を中心に検討を進めるということか。」
    (→これに対しては、分割以外の形態についても念頭には置くが、合併を中心に検討するとの回答がなされた。)
    「無償取得の会計処理について、何も会計処理は生じないという考え方もあり得るが、その場合でも注記等の開示は必要になるのではないか。」
2. 1株当たり利益(EPS)専門委員会の設置について
  • 都常勤委員より、1株当たり利益(EPS)専門委員会の設置の必要性、今後のスケジュール、専門委員の選任等についての説明がなされた。なお、正式な基準が出来るまでの間、新株予約権等に関する「当面の取扱い」を、公開草案を省略の上、実務対応報告として公表する予定であるとの補足があった。
  • 引き続いて、秋葉専門研究員より、想定される論点についての説明がなされ、質疑応答・意見交換が行われた。
  • 審議の後、専門委員会の設置及び「当面の取扱い」に関する公開草案の省略が了承された。
  • 本件審議に際しての各委員よりの主な発言は以下の通り。
    「IAS33号の改訂と、どう調整していくか考える必要があるのではないか。」
    「遡及修正の要否についても検討願いたい。」
    「希薄化効果について、全て開示するのか一定程度以上のものを開示対象とするのかという点についても検討願いたい。」
    「商法との調整を含めて検討願いたい。」
3. 中小会社会計実務について
  • 西川副委員長より、日本公認会計士協会が実施している中小会社会計実務の調査研究プロジェクトに対する当委員会の対応について、以下の報告が行なわれた。
    • 中小会社の会計実務の検討については、当委員会でも把握すべきテーマであるが、その検討の進め方次第では、会計基準の高度化・統合化とは逆方向の議論となり、会計基準の体系の一貫性に影響を及ぼす可能性がある。
      ようやく問題点の分析に着手したような現状で、当委員会が基準の策定として正面から取り上げるべきではないが、日本公認会計士協会がこの問題について調査研究活動を開始していることから、同協会に当委員会の問題意識を伝え、その調査研究活動を見守ることとする。具体的には、随時当委員会において経過報告をお願いすること、及び当委員会又は財団事務局からオブザーバーとして参加することとしたい。  
  • 本報告に際しての各委員よりの主な発言は以下の通り。
    「日本公認会計士協会では本委員会の見解を承知しており、問題が生じないように研究活動を行なうこととしている。」
4. テーマ協議会の提言への対応について 
  • 都常勤委員より、当委員会で検討を進めている、1. 減損会計の適用指針、2. 固定資産会計(除減損会計)、3. ストック・オプション、4. 企業結合会計の適用指針、5. リース会計、6. 1株当たり利益の開示、7. 業績測定、8. 基本概念の整理、9. 会計基準の棚卸に関して、現在の検討状況及び今後のスケジュール等について報告がなされ、質疑応答が行なわれた。なお、固定資産会計については、まず減価償却制度に関する検討及び固定資産の認識の中止に関する検討を優先して行なうとの説明がなされた。
  • 本報告に際しての各委員よりの主な発言は以下の通り。
    「会計基準の棚卸については、長期的な検討課題であり今ここでどうすべきということではないが、企業会計原則を含めた会計基準の階層化・体系化といった整理ができればいいと思う。」
5. SPC等検討プロジェクトの立ち上げについて
  • 西川副委員長より、SPC等の会計基準について、問題点の有無の検討を進めておく必要があると考えられることから、当委員会内でプロジェクトチームを立ち上げ、検討を開始したとの報告が行なわれた。
  • 引き続いて、秋葉専門研究員より、現在のSPCに関する連結上の取扱いについて、米国会計基準、国際会計基準との比較を交えて説明がなされ、質疑応答が行われた。
  • 本報告に際しての各委員よりの主な発言は以下の通り。
    「SPCの連結という観点だけでなく、SPCとの取引について幅広く検討することは重要なことである。」
    「SPCは企業のリスク管理の点で重要であり、企業会計の基準を決める前提として、幅広くいろいろな問題の実態をよく認識した上で、深く掘り下げた検討をお願いする。」
6. IASB理事会の報告
  • 西川副委員長より、3月19~22日に東京で開催された第11回IASB会議の内容について、報告が行われた。本報告の内容については、IASB会議報告(第11回会議)をご覧いただきたい。
7. 第7回国際対応専門委員会の議事概要について
  • 西川副委員長より、4月12日に開催された第7回国際対応専門委員会の議事概要についての報告が行なわれた。
8. その他
  • 西川副委員長より、本日の「当委員会の今後の運営について」(非公開)の中で検討を求められたデット・エクイティー・スワップの会計処理について、今後当委員会において検討を開始したいとの報告がなされた。

以上