ASBJ 企業会計基準委員会

第2回企業会計基準委員会議事要旨

日時 2001年9月25日(火) 10時00分~12時15分
場所 (財)財務会計基準機構会議室

議題

審議事項

  1. 委員会の運営方法等について
  2. 専門委員会の設置について

報告事項

  1. IASB各国会計基準設定主体会議出席報告
  2. IASB会議出席報告

議事概要

1. 委員会の運営方法等について
  • 松山(財)財務会計基準機構事務局長及び山田常勤委員より、当委員会の運営規則(案)及び倫理規則(案)について説明が行われ、審議の上、議決された。

2. 専門委員会の設置について
  • 冒頭に斎藤委員長より、金庫株の解禁等を内容とする今回の商法改正に伴い、自己株式の取得、処分等の会計処理について見直しを行う必要が生じているため、案件の緊急性等に鑑み、当委員会内に自己株式等専門委員会を設置したい旨の提案がなされた。
  • 本議案の審議に先立ち、当委員会内に設置したプロジェクトチームが作成した資料「平成13年6月商法改正に関連する会計処理に係る検討事項」について、小賀坂専門研究員より説明がなされた。内容は以下の通りであり、専門委員会で検討すべき論点の説明が行われた。

(1)自己株式に関する事項

  1. 取得した自己株式の表示
    自己株式の取得を資本取引として扱い資本の控除とすべきか。
  2. 自己株式処分損益の表示
    自己株式の処分も資本取引と考えるべきか。資本取引とした場合、処分益、処分損それぞれどのような計上科目が適切であるか。
  3. ストック・オプション行使時の譲渡差額の会計処理
    この専門委員会ではストック・オプションの会計処理は扱わないが、当面の取扱いをどうすべきか。
  4. 代用自己株式に利用する場合の会計処理
    合併、吸収分割、株式交換の際の新株の交付に代えて自己株式が交付される場合の会計処理をどうすべきか。
  5. 消却に利用する場合の会計処理
    想定される論点はあるか。

(2)資本及び法定準備金の取崩し及びその配当に関する会計処理

  1. 取り崩した資本金及び法定準備金の会計処理
    取り崩した資本金及び法定準備金の計上科目はどうすべきか。
  2. 上記の取崩しに伴う剰余金の配当の会計処理

〔配当を行う側の会計処理〕
この種の配当を通常の利益配当と同列に扱ってよいか。
〔配当を受ける側の会計処理〕
この種の配当を受け取った株主は、受取配当金とすべきか、有価証券勘定からの減額とすべきか。

  • 続いて西川副委員長より、今般の商法改正に関連する会計処理の見直しに係る検討を行うべく、当委員会内に自己株式等専門委員会を設置することについての説明がなされた。
  • 以上の説明の後、審議が行われ、自己株式等専門委員会の設置が了承された。質疑応答、意見交換における各委員の主な発言は以下の通り。
    「資本及び法定準備金の取崩しに伴う剰余金よりの配当の収益計上を無制限に認めると、親会社からの出資後、子会社よりの配当受取という取引により、実質的な拠出資本の払い戻しが利益に計上されるおそれがある。」
    「会計処理を検討にする際には、税務処理も参考にすべきではないか。」
    「資本準備金の中には様々な項目が含まれているので、資本準備金の取崩額を原資とした配当を一律に規定できないのでは。」
  • なお、当該専門委員会の委員については後日正式に指名される予定である。
3. IASB各国会計基準設定主体会議出席報告
  • 9月10~11日にロンドンで開催された掲題会議に、わが国の会計基準設定主体の代表として、当委員会より斎藤委員長、西川副委員長、秋葉専門研究員が出席した。掲題会議における議事・討議の概要について、秋葉専門研究員より報告がなされ、質疑応答が行われた。なお、報告の内容についてはリエゾン国会議報告(第2回)をご参照いただきたい。
4. IASB会議出席報告
  • 9月11~13日にロンドンで開催された掲題会議において、わが国のIASBリエゾンメンバーである山田辰己IASB理事が出席した。同会議においてなされた、企業結合における持分プーリング法のわが国での適用事例についての説明及びのれんの非償却に係る議論を中心に、西川副委員長より代理報告があり、質疑応答がなされた。なお、報告の内容についてはIASB会議報告(第5回会議)をご参照いただきたい。
  • 上記2件の報告に対する各委員の主な発言は以下の通り。
    「わが国として、こういう場できちんと言うべきことを言うのは重要なことである。」
    「(のれんの非償却について、米国のアナリストは償却費を足し戻して分析しているとするIASBのコメントに対して、)今、米国ではそうしたpro forma reportingが、会社の恣意性の介入した情報であるとして、制度的な枠をはめようというのが喫緊の課題となっている。日本の損益計算書の特別損益というような考え方について、日本より何らかの提案ができるのではないか。」
    「(IASBのプロジェクトの一つである業績報告に関連して、)業績報告についての議論は、それが重要だという点では一致しているが、IASB、FASBを始めとして、各国の考え方にはズレがあるようだ。この問題は今後日本にも大きな影響を及ぼすことが予想されるので、注意深く対応する必要がある。」
5. その他
  • 今回より、会計基準等のデュー・プロセスを補完する意味から、金融庁の細田企業開示参事官がオブザーバーとして参加することとなった。

以上