2023年5月2日
企業会計基準委員会
我が国においては、2007年3月に当委員会が企業会計基準第13号「リース取引に関する会計基準」及び企業会計基準適用指針第16号「リース取引に関する会計基準の適用指針」を公表し、リースに関する我が国の会計基準は当時の国際的な会計基準と整合的なものとなりました。
しかしながら、2016年1月に国際会計基準審議会(IASB)より国際財務報告基準(IFRS)第16号「リース」(以下「IFRS第16号」という。)が公表され、同年2月に米国財務会計基準審議会(FASB)よりFASB Accounting Standards Codification(FASBによる会計基準のコード化体系)のTopic 842「リース」(以下「Topic 842」という。)が公表されました。IFRS第16号及びTopic 842では、借手の会計処理に関して、主に費用配分の方法が異なるものの、原資産の引渡しによりリースの借手に支配が移転した使用権部分に係る資産(使用権資産)と当該移転に伴う負債(リース負債)を計上する使用権モデルにより、オペレーティング・リースも含むすべてのリースについて資産及び負債を計上することとされています。IFRS第16号及びTopic 842の公表により、我が国の会計基準とは、特に負債の認識において違いが生じることとなり、国際的な比較において議論となる可能性がありました。
これらの状況を踏まえ、当委員会は、財務諸表作成者及び財務諸表利用者から幅広く意見を聴取したうえで、2019年3月に開催された第405回企業会計基準委員会において、借手のすべてのリースについて資産及び負債を計上する会計基準の開発に着手することとし、検討を重ねてまいりました。
今般、2023年4月26日開催の第500回企業会計基準委員会において、以下の企業会計基準、企業会計基準適用指針及び実務対応報告の公開草案(以下合わせて「本公開草案」という。)の公表を承認しましたので、本日公表いたします。
本公開草案の公表は、広くコメントを頂くことを目的とするものです。本公開草案に対するコメントがございましたら、2023年8月4日(金)までに、原則として電子メールにより下記へ文書でお寄せください。なお、個々のコメントについては、直接回答しないこと、氏名又は名称が付されていないコメントは有効なものとして取り扱わないこと、寄せられたコメントについては、氏名又は名称を含め当委員会のホームページに原則として公開することを、あらかじめご了承ください。
企業会計基準公開草案第73号「リースに関する会計基準(案)」
【参考】企業会計基準公開草案第73号「リースに関する会計基準(案)」(企業会計基準第13号等との比較)
企業会計基準適用指針公開草案第73号「リースに関する会計基準の適用指針(案)」
【参考】企業会計基準適用指針公開草案第73号「リースに関する会計基準の適用指針(案)」(企業会計基準適用指針第16号等との比較)
企業会計基準適用指針公開草案第73号「リースに関する会計基準の適用指針(案)」の設例
【参考】企業会計基準適用指針公開草案第73号「リースに関する会計基準の適用指針(案)」の設例(企業会計基準適用指針第16号の設例との比較)
企業会計基準公開草案第74号「『固定資産の減損に係る会計基準』の一部改正(案)」
企業会計基準公開草案第75号「『連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準』の一部改正(案)」
企業会計基準公開草案第76号(企業会計基準第18号の改正案)「資産除去債務に関する会計基準(案)」
企業会計基準公開草案第77号(企業会計基準第20号の改正案)「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準(案)」
企業会計基準公開草案第78号(企業会計基準第29号の改正案)「収益認識に関する会計基準(案)」
企業会計基準適用指針公開草案第74号(企業会計基準適用指針第6号の改正案)「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針(案)」
企業会計基準適用指針公開草案第75号(企業会計基準適用指針第13号の改正案)「関連当事者の開示に関する会計基準の適用指針(案)」
企業会計基準適用指針公開草案第76号(企業会計基準適用指針第15号の改正案)「一定の特別目的会社に係る開示に関する適用指針(案)」
企業会計基準適用指針公開草案第77号(企業会計基準適用指針第19号の改正案)「金融商品の時価等の開示に関する適用指針(案)」
企業会計基準適用指針公開草案第78号(企業会計基準適用指針第23号の改正案)「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準の適用指針(案)」
企業会計基準適用指針公開草案第79号(企業会計基準適用指針第30号の改正案)「収益認識に関する会計基準の適用指針(案)」
実務対応報告公開草案第65号(実務対応報告第35号の改正案)「公共施設等運営事業における運営権者の会計処理等に関する実務上の取扱い(案)」
コメントの受付は終了いたしました。
なお、本公開草案は、以下の日本公認会計士協会の実務指針等にも影響するため、当委員会で検討の上、同協会にこれらの実務指針等について改廃を依頼しております。当該依頼を踏まえ、本日、同協会より、以下の実務指針等の改正案等が公表されております。
これらの改正案等は、以下リンク先の同協会のホームページをご参照ください。また、これらの改正案等に対するコメントは同協会までご提出ください。
https://jicpa.or.jp/specialized_field/20230502qqv.html
公開草案の内容に関して、以下の解説動画及び解説文を掲載しておりますので、ご利用ください。
なお、動画等の内容は、予告なく差し替える可能性がありますことを予めご了承ください。