ASBJ 企業会計基準委員会

リサーチ・ペーパー第3号「のれんを巡る財務情報に関するアナリストの見解」の公表

2017年6月12日

企業会計基準委員会は、のれんの会計処理に関する国際的な議論に貢献するため、リサーチ・ペーパー第3号「のれんを巡る財務情報に関するアナリストの見解」を公表しました。

当委員会は、のれん及び減損を巡るアナリストの現在の見解をより深く理解することを目的として、11名の日本のアナリストに対する詳細なインタビューを実施しました。本リサーチ・ペーパーは、当該詳細なインタビューの結果を要約しています。

本リサーチ・ペーパーは、主に、次の調査結果を示しています。

  1. アナリストの分析手法は様々であり、企業結合に関する財務情報を分析するために、キャッシュ・フロー情報に基づく分析を重視するアナリストもいれば、会計上の利益及び純資産情報に基づく分析をキャッシュ・フロー情報に基づく分析とともに重視するアナリストもいた。
  2. のれんの事後の会計処理(償却の是非)に関するアナリストの見解は様々であり、償却及び減損アプローチを支持する見解を述べたアナリストもいれば、非償却アプローチを支持する見解を述べたアナリストもいた。また、キャッシュ・フロー情報に基づく分析を実施する観点からは、のれんの償却と非償却の違いは特段の意味を持たないと考えるアナリストもいた。
  3. アナリストの一部は、企業結合により将来キャッシュ・フローが増加する期間についての経営者の見積りに関する情報が有用であると考えていた。
  4. 多くのアナリストが、のれんの減損損失は、彼らが考えるのれんの価値の下落の発生時期よりも遅く認識されると感じており、のれんの減損損失が認識されるよりも前に、のれんの価値の下落を分析に織り込んでいた。

当委員会は、詳細なインタビューの結果の基準開発の文脈における含意として、のれんの事後の会計処理については、償却及び減損アプローチを支持するアナリストの見解に、より重要性を与えることにより、より多くの利用者にとっての財務情報の目的適合性の向上に繋がり得ると考えており、その旨の考察を本リサーチ・ペーパーに記載しています。

当委員会は、本リサーチ・ペーパーが、のれんの会計処理に関する国際的な議論を促進することを期待しています。

以 上