ASBJ 企業会計基準委員会

リサーチ・ペーパー第1号「のれんの償却に関するリサーチ」の公表

2015年5月19日

企業会計基準委員会は、のれんの会計処理のあり方に関する国際的な議論に貢献するため、リサーチ・ペーパー第1号「のれんの償却に関するリサーチ」を公表しました。

本リサーチ・ペーパーでは、当委員会事務局が行った次のリサーチ作業に関して予備的な結果を示しています。

  1. 日本基準に準拠した実務におけるのれんの償却期間のあり方に関する開示情報のレビュー
  2. のれんの償却に関する会計実務を調査するために、わが国の大手上場企業の一部に対して実施したアンケート調査
  3. 学術文献の限定的なレビュー
  4. のれんの償却に関する見解についてのわが国の財務諸表利用者との議論

上記の作業に基づいて、本リサーチ・ペーパーでは、とりわけ、次の考察が示されています。

  1. 公開されている開示情報及び日本の大手上場企業に対するアンケート調査への回答によると、多くの企業結合で5年が償却期間とされていることが多かった。しかし、大規模な企業結合から生じたのれんについては、多くの企業が、のれんに期待される長期の効果を反映するためにより長い期間(例えば、10年や20年)が償却期間であるとされていた。
  2. 学術文献の限定的なレビューを行った結果、学術論文の研究成果によって、減損のみのアプローチの方が償却及び減損アプローチよりも優れていると結論を下すことは、少なくとも、困難であると考えられた。
  3. わが国の財務諸表利用者の過半数が、償却及び減損アプローチを支持していた。

本リサーチ・ペーパーは、当委員会が欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)及びイタリアの会計基準設定主体(OIC)と共同で行っているのれんの会計処理及び開示のあり方に関する今後の作業の一部を構成することが見込まれています。当委員会は、本リサーチ・ペーパーがのれんの会計処理の要求事項に関する国際的な議論を促す一助となることを期待しています。

以上