ASBJ 企業会計基準委員会

Convergenceに対する当委員会の姿勢
-IFAD Report「GAAP Convergence 2002」に関して

2003年4月24日
企業会計基準委員会

IFAD(会計開発国際フォーラム)から公表された、六大国際会計事務所の編集による調査報告書「GAAP Convergence 2002」の内容は、Convergenceに対する我が国の姿勢について誤解を生じさせるものとなっている。以下で表明している当委員会の見解は、同報告書により生じた国際社会からの誤解を正すために、当委員会の基本的な姿勢を改めて確認したものである。なお、この見解は、2003年4月22日の当委員会の審議を経て、2003年4月24日のIASB(国際会計基準審議会)とリエゾン国の会計基準設定主体との会議の席上にて配布したものである。

  • IFAD Report「GAAP Convergence 2002」に、日本はConvergenceを予定していない3カ国(アイスランド、サウジアラビア、日本)の一つとして挙げられたが、これはわれわれの姿勢を正確に反映したものではない。この報告書における各国の方針の分類が必ずしも適切ではないために、日本と他の諸国との比較的小さな差異を徒に誇張する結果となっていることを残念に思う。日本では、会計基準開発において国際的調和をつねに念頭に置いており、IAS39号と同様の金融商品会計基準や、IAS19号と同様の退職給付会計基準を既に導入しているほか、多くの項目について国際基準と同様の規定を採用している。 
  • 資本市場の国際的な統合と、会計基準を含む市場制度の国際統合とは、いうまでもなく表裏の関係にある。各国の資本市場が単一の市場に統合されるときは、市場のインフラもすべて統合されることになる。それが究極のゴールであることはわれわれも否定しない。われわれの考えでは、Convergenceとは望ましい究極のゴールである。Convergenceに向かって進むためには、市場参加者も含めた十分な議論と合意形成が必要である。したがって、われわれがどうしても納得できない事項についてまでConvergenceを優先するというコミットメントはできないが、その点は米国や欧州諸国においても同様であると理解している。 
  • ASBJは、定款(寄附行為)上の目的の一つとして「国際的な会計基準の整備への貢献」を掲げており、Convergenceのための国際的な議論に積極的に参加するとともに、国内基準の改善のための最大限の努力を行っている。われわれASBJは、今後とも会計基準のConvergenceへの貢献と、IASBの基準とわが国の基準との調和の推進に最大限の努力を払うつもりである。

以上