ASBJ 企業会計基準委員会

IASBが財務諸表における気候関連及びその他の不確実性の報告を改善するための設例を提案

2024年7月31日

    国際会計基準審議会(IASB)は、本日、企業が財務諸表において気候関連及びその他の不確実性の影響を報告する際にIFRS会計基準をどのように適用するのかを例示するための8つの設例を提案した協議文書を公表した。

    IASBは、これらの設例1を、利害関係者(特に投資者)からの強い要望に対応して開発した。利害関係者は、財務諸表における気候関連の不確実性に関する情報が不十分であったり財務諸表の外で提供されている情報と不整合に見えたりする場合があることを懸念している。これらの懸念に対応するため、IASBが提案している設例は次のことを目的としている。

    • 財務諸表における情報の透明性を改善する。
    • 財務諸表と企業の報告のその他の部分(サステナビリティ開示など)との間のつながりを強化する。

    8つの設例は、重要性の判断、仮定及び見積りの不確実性に関する開示、並びに情報の分解などの領域に焦点を当てている。これらの設例で例示されている原則及び要求事項は、気候関連の不確実性以外の他の種類の不確実性2にも同様に適用される。

    これらの設例は、財務諸表における気候関連及びその他の不確実性の報告を改善するのを助けるために取り組んでいるいくつかの方策の1つである。

    これらの設例を開発するにあたり、IASBは国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)のメンバー及びテクニカルスタッフと協力した。この協力は、設例がISSBのサステナビリティ関連開示の要求事項とともに機能することを確保するのに役立った。

    IASBのアンドレアス・バーコウ議長は次のように述べた。

    「投資者は気候関連リスクを意思決定プロセスに織り込んでいると明確に伝えてきた。我々の会計基準はすでにそうしたリスクを扱っているが、我々はこれらの要求事項の適用を改善するための設例の必要性を識別した。我々が提案している設例が目的としているのは、この明確性を提供し、企業が財務諸表において気候関連及びその他の不確実性が財政状態及び業績にどのように影響を与えるのかをよりよく伝えるのに役立てることである。」

    これらの設例は、IFRS会計基準における要求事項を追加するものでも変更するものでもない。むしろ、気候関連リスク及びその他の不確実性に関するより良い情報を投資者に提供するために、基準の要求事項をどのように適用すべきかに関すガイダンスを示している。

    IASBはすべての利害関係者に、設例案に対するフィードバックを提供するよう求めている。コメントは2024年11月28日まで募集される。

    IASBは、利害関係者のフィードバックを検討し、IFRS会計基準書に付属させる設例案を進めるべきかどうかを決定する。

    公開草案へのアクセス及びコメント


    1 設例は、IFRS会計基準に付属する強制力のないガイダンスである。その目的は、基準の要求事項が特定の事実パターンにどのように適用されるのかを例示することである。

    2 その他の不確実性には、経済、規制上、テクノロジー、社会及び環境に関する不確実性が含まれる。

    以 上


    公開草案「財務諸表における気候関連及びその他の不確実性」の日本語訳は以下からダウンロード可能です。この翻訳は、企業会計基準委員会スタッフが参考のために作成したものです。ご利用にあたっては、必ず原文をご参照ください。

    なお、本資料はPDFファイルのみでの提供ですので、あらかじめご了承ください。

    公開草案「財務諸表における気候関連及びその他の不確実性」