ASBJ 企業会計基準委員会

IASBが再生可能電力契約についての修正を提案

2024年5月8日

国際会計基準審議会(IASB)は、本日、再生可能電力契約が企業に与える影響を財務諸表がより忠実に反映することを確保するための狭い範囲の修正を提案した公開草案を公表した。この提案はIFRS第9号「金融商品」及びIFRS第7号「金融商品:開示」を修正する。 IASBの迅速な行動は、これらの契約についての急速に成長しているグローバル市場に対応している。

再生可能電力契約1は、再生可能電力源の安定性及びそれに対するアクセスを確保することを目的としている。しかし、再生可能電力の市場には特異な特性がある。再生可能電力源は自然に依存しており、供給を保証できない。当該契約は、生産される電力量が生産時の購入者の必要量と一致しない場合であっても、その生産量を購入者が受け取り対価を支払うことを要求していることが多い。これらの独特の市場特性は、特に長期契約について、現行の会計上の要求事項の適用において会計上の困難を生じさせてきた。

これらの困難に対処するため、IASBは、特定の特徴を有する契約の会計処理に対するいくつかの的を絞った変更を提案している。その提案は次のようなものとなる。

  • 「自己使用」の要求事項がどのように適用されるのかを扱い、
  • これらの契約がヘッジ手段として使用される場合にヘッジ会計を認め、
  • これらの契約が企業の財務業績及び将来キャッシュ・フローに与える影響を投資者が理解できるようにするための開示要求を追加する。

アンドレアス・バーコウIASB議長は次のように述べた。

「これらの的を絞った改善は、再生可能電力契約を報告する際の財務諸表の関連性を改善することを目的としている。ますます多くの企業が再生可能電力源に移行している中で、我々は我々の会計基準がそれに歩調を合わせて投資者に有用な情報を提供することを確実にしたいと望んでいる。」

公開草案へのアクセス及びコメント

  • 公開草案「再生可能電力に係る契約」
  • 公開草案に対するコメントレターの提出IASBは修正案に対するフィードバックを2024年87日まで募集している。これらの修正の緊急の必要性を認識して、IASBはコメント期間を標準の120日から90日に短縮した。

IASBは、変更を2024年末までに最終確定することを目指している。また、最終確定後なるべく早く新しい要求事項を企業が利用可能となるようにすることも提案している。


1 再生可能電力に係る契約は、電力購入契約(PPAs)として構成されることが多い。それらは、物理的PPAs又はバーチャルPPAsのいずれかにグループ分けされる。

以 上


公開草案「再生可能電力に係る契約の日本語訳は以下からダウンロード可能です。この翻訳は、企業会計基準委員会スタッフが参考のために作成したものです。ご利用にあたっては、必ず原文をご参照ください。

なお、本資料はPDFファイルのみでの提供ですので、あらかじめご了承ください。

公開草案「再生可能電力に係る契約