ASBJ 企業会計基準委員会

IASBが取得の報告を改善する提案について公開協議

2024年3月14日

国際会計基準審議会(IASB)は、企業が取得(企業買収)に関して投資者に提供する情報の拡充を狙いとした提案のパッケージを公表した。

企業買収は国際経済の中で大きな役割を果たし続けており、Bain & Companyによると、2023年に発表された買収取引の合計額は3.2兆米ドルに及んでいる[1]。投資者は重要な取得の背後にある経営者の意思決定を理解する必要がある。

本日公表された公開草案における提案は、取得に関する報告が投資者と企業の双方にとって困難を生じさせているという利害関係者のフィードバックに対応するものである。

  • 投資者は取得及び取得後の業績に関する十分で適時な情報が不足している。
  • 企業は有用な情報を投資者に提供しようとしているが、一部の情報(特に、競合他社に使用される可能性のある商業的機密情報)の提供におけるリスク及びコストを感じている。

また、利害関係者は、のれんが配分されている事業についての減損テストの有効性及び複雑性に関しての懸念も示した。

IASBはIFRS第3号「企業結合」の修正を提案している。修正案は、企業の最も重要な取得の目的及び関連する業績目標(これらがその後の期間において達成されているかどうかを含む)を報告することを企業に要求する。企業はすべての重要性のある取得について期待されるシナジーに関する情報を提供することも要求される。しかし、企業は取得の目的を損なう可能性のある情報を開示することは要求されない。

IASBは、減損テストの的を絞った改善を行うため、IAS第36号「資産の減損」の関連する修正も提案している。

アンドレアス・バーコウIASB議長は次のように述べた。

「取得に関する透明性の増大が投資者の信頼に不可欠である。この提案のパッケージを開発するにあたり、IASBはすべての利害関係者との積極的な対話を維持してきた。我々の目的は、企業が取得に関して提供する情報の拡充についてのバランスの取れたアプローチを、企業にとってのリスク及びコストも考慮しつつ、確保することである。」

IASBはこれらの提案に対するフィードバックを求めている。公開草案「企業結合 ― 開示、のれん及び減損」のコメント期間は2024年7月15日までである。

公開草案及び補足資料

[1] Bain & Companyの許可を得て使用

以 上


公開草案「企業結合 ― 開示、のれん及び減損」の日本語訳は以下からダウンロード可能です。この翻訳は、企業会計基準委員会スタッフが参考のために作成したものです。ご利用にあたっては、必ず原文をご参照ください。

なお、本資料はPDFファイルのみでの提供ですので、あらかじめご了承ください。

公開草案「企業結合 ― 開示、のれん及び減損」

結論の根拠

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