ASBJ 企業会計基準委員会

IASBが債務と資本の両方の特徴を有する金融商品に関する会計処理の要求事項の改善について公開協議

2023年11月29日

国際会計基準審議会(IASB)は、債務と資本の両方の特徴を有する金融商品に関しての企業の財務報告における課題に対処するための修正案を提案した。

IAS第32号「金融商品:表示」は、金融商品を発行する企業が負債性金融商品を資本性金融商品とどのように区別すべきかを示している。その区別が重要なのは、当該金融商品の分類が企業の財政状態及び業績の描写に影響を与えるからである。

IAS第32号は、大半の金融商品については良好に機能している1。しかし、金融商品はこのIFRS会計基準書が当初に公表されて以降に進化しており、より複雑となり企業にとって新たな報告上の課題となっている。その報告上の課題に対する企業の解決策はまちまちであり、多様な会計実務を生じさせており、企業の財政状態及び業績を投資者が評価し比較することが困難になっている。投資者は、特に資本性金融商品に関して、より良い情報を要望している。

これらの課題に対処するため、本日公表した公開草案における提案は、IAS第32号、IFRS第7号「金融商品:開示」及びIAS第1号「財務諸表の表示」を修正するものとなる。

IASBは次のことを提案している。

  • 企業が債務と資本を区別するのに役立てるため、IAS第32号の基礎となっている分類の原則を明確化する。
  • 債務と資本の両方の特徴を有する金融商品の複雑性をさらに説明するための情報を開示するよう企業に要求する。
  • 普通株式に帰属する金額(純損益及び包括利益合計を含む)について(資本性金融商品のその他の保有者に帰属する金額と区分して)、新たな表示の要求事項を公表する。

アンドレアス・バーコウIASB議長は次のように述べた。

「我々の目標は、より多くの透明性を投資者にもたらし、投資者が投資意思決定を行う際に複雑な金融商品に関する高品質な情報を得るようにすることである。我々は、提案するこれらの修正案が、企業が財政状態を忠実に描写し投資者とより良いコミュニケーションを行うことに役立てる上での大きなステップとなると考えている。」

公開草案「資本の特徴を有する金融商品」(IAS第32号、IFRS第7号及びIAS第1号の修正案)に対するコメントの期限は、2024年3月29日である。

ザック・ガスト IASB理事が短編ビデオに出演してこの公開協議の提案を説明している。

以 上


1 利害関係者のフィードバックで、このIASBプロジェクトの初期のディスカッション・ペーパー(要求事項の考え得る改善のアイディアを示している)に対して、IAS第32号の有効性が確認された。


公開草案「資本の特徴を有する金融商品」の日本語訳は以下からダウンロード可能です。この翻訳は、企業会計基準委員会スタッフが参考のために作成したものです。ご利用にあたっては、必ず原文をご参照ください。

なお、本資料はPDFファイルのみでの提供ですので、あらかじめご了承ください。

公開草案「資本の特徴を有する金融商品」(IAS第32号、IFRS第7号及びIAS第1号の修正案)

結論の根拠

設例及び適用ガイダンス

スナップショット