ASBJ 企業会計基準委員会

IASBが料金規制対象企業の財務業績のより完全な全体像を投資者に提供するための新しいIFRS基準を提案

2021年1月28日

国際会計基準審議会(当審議会)は本日、料金規制の対象となる企業が財務業績に関するより良い情報を投資者に提供することを要求する新しい会計基準の提案を公表した。

料金規制は、公益事業や公共交通の業界を含むいくつかの業界で一般的であるが、企業が顧客に提供する財又はサービスに対して請求できる金額及び企業が当該金額を請求できる期間を決定する。

場合によっては、企業が財又はサービスを提供する期間が、企業が財又はサービスについて顧客に請求できる期間と異なり、したがって企業が損益計算書において収益を報告する期間と異なることがある。

そうした時期の相違が生じる場合には、企業がある期間に損益計算書で報告する収益並びに貸借対照表で報告する資産及び負債が、企業が当該期間に提供した財又はサービスについて料金規制で企業が請求する権利を与えられる金額の完全な全体像を提供しない。

現在、IFRS基準はそうした時期の相違に関する情報を投資者に提供することを企業に要求していない。

今回の基準案は、規制資産及び規制負債を貸借対照表において報告し、関連する規制収益及び規制費用を損益計算書において報告することによって、企業がそうした情報を投資者に提供するという要求を導入することになる。

この情報は、企業が現行のIFRS基準を適用して既に提供している情報を補完し、より完全な全体像を投資者に提供することになる。追加の情報は、企業の収益と費用との関係のどの変動が時期の相違によって生じるのかを投資者が理解するのに役立ち、投資者が企業の将来キャッシュ・フローの見通しのより適切な評価を行うことを可能にするであろう。

当審議会のハンス・フーガーホースト議長は次のように述べた。

「料金規制は企業の収益及び純利益に大きな影響を与える可能性があるが、現在、投資者はこの影響の全体像を受け取っていない。我々が提案している新しいIFRS基準は、より完全な全体像を投資者に提供するための追加の情報を要求することになる。」

基準案はIFRS第14号「規制繰延勘定」を置き換えることになる。

公開草案「規制資産及び規制負債」へのアクセスはこちら。コメント期限は2021年6月30日である。(注:その後、7月30日まで延長された)

提案の概要を示した「スナップショット」へのアクセスはこちら。提案した要求事項を紹介している短編ビデオもある。

以 上


公開草案「規制資産及び規制負債」の日本語訳は以下からダウンロード可能です。この翻訳は、企業会計基準委員会スタッフが参考のために作成したものです。ご利用にあたっては、必ず原文をご参照ください。

なお、本資料はPDFファイルのみでの提供ですので、あらかじめご了承ください。

公開草案「規制資産及び規制負債」

公開草案「規制資産及び規制負債」に関する結論の根拠

公開草案「規制資産及び規制負債」に関する設例