ASBJ 企業会計基準委員会

IASBが保険者への一時的救済を設けるための現行の保険契約基準の修正を提案

2015年12月9日

国際会計基準審議会(当審議会)は、本日、現行の保険契約基準IFRS第4号を修正する提案を一般のコメントを求めるため公表した。これは、IFRS第9号「金融商品」と新しい保険契約基準の発効日の相違による一時的な影響に対処するためのものである。

IFRS第9号(2014年7月公表、発効日は2018年1月1日)と新しい保険契約基準(IFRS第4号を置き換えるものであり、発効日はさらに遅い時期となる)の両方とも、保険契約を発行する会社に関連性がある。それらの会社の一部は、2つの重要な会計処理の変更を異なる日に導入する必要があることに懸念を表明した。彼らは、新しい保険契約の要求事項よりも前に新しい金融商品の要求事項を適用するならば、純損益における会計上のボラティリティが増大する可能性があることも強調した。

それらの利害関係者のニーズの充足と財務諸表利用者のニーズの充足のバランスを取るために、当審議会はIFRS第4号に以下の修正を提案している。これらの提案はIFRS第4号の現行の選択肢を補足するものであり、生じる可能性のある会計上のボラティリティに対処するために使用することができる。

  • 上書きアプローチ:保険契約を発行する会社が、IFRS第9号の適用時に金融資産の測定の変更を原因として生じる純損益の増分ボラティリティを純損益から取り除く選択肢。このアプローチは、新しい保険契約基準が発効するまで置かれることになる。
  • 延期アプローチ:IFRS第9号の適用の選択的な一時的な免除であり、大半の活動が保険契約の発行である会社が利用できる。この延期は、新しい保険契約基準が発効するまで利用可能とされる(ただし、2021年1月1日から後は使用できない)。

IASB議長のHans Hoogervorstは、次のようにコメントした。

「IASBは新しい保険契約基準の開発の最終段階にある。これが整備されるまで、この変更案が保険者のニーズの充足と財務諸表利用者のニーズの充足のバランスを取ると我々は考えている。」

2つの修正案をより詳細に説明する「スナップショット」は、こちらでアクセスできる。

本公開草案に対するコメント期限は、2016年2月8日である。


以上

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IASB公開草案「IFRS第9号「金融商品」のIFRS第4号 「保険契約」との適用(IFRS第4号の修正案)」の日本語訳は以下からダウンロード可能です。この翻訳は、企業会計基準委員会スタッフが参考のために作成したものです。ご利用にあたっては、必ず原文をご参照ください。

なお、本資料はPDFファイルのみでの提供ですので、あらかじめご了承ください。

IASB公開草案「IFRS第9号「金融商品」のIFRS第4号 「保険契約」との適用(IFRS第4号の修正案)」