ASBJ 企業会計基準委員会

IASBとFASBが、収益認識に関してコンバージェンスした基準を公表

2014年5月28日

国際財務報告基準(IFRS)に責任を負う国際会計基準審議会(IASB)と、米国で一般に認められた会計原則(US GAAP)に責任を負う財務会計基準審議会(FASB)は、本日、顧客との契約から生じる収益の認識に関してのコンバージェンスした基準を共同で公表した。この基準は、収益の財務報告を改善するとともに、財務諸表のトップラインの比較可能性をグローバルに改善する。

収益は財務諸表利用者にとって極めて重要な数値であり、企業の財務業績及び見通しを評価するために使用されている。しかし、IFRSとUS GAAPの従前の要求事項は異なっており、経済的に類似した取引の会計処理が異なることが多かった。さらに、IFRSの収益認識の要求事項は詳細さが十分でない一方、US GAAPの会計処理の要求事項は過度に規範的で、特定の領域で矛盾していると考えられていた。

これらの課題に対応して、両審議会は、IFRSとUS GAAPの両方における収益の認識についての新たな完全にコンバージェンスした基準を開発した。これは、収益を報告する方法の質と整合性を大幅に高めると同時に、IFRS及びUS GAAPを用いて報告する企業の財務諸表における比較可能性を改善する。

新基準の中心的な原則は、企業が収益の認識を、顧客への財又はサービスの移転を企業が当該財又はサービスと交換に権利を得ると見込んでいる対価(すなわち、支払)を反映する金額で描写するように行うというものである。また、新基準は、収益に関する開示を拡充し、これまで包括的に扱っていなかった取引(例えば、サービス収益や契約変更)についてのガイダンスを提供するとともに、複数要素契約についてのガイダンスを改善している。

両審議会は共同して、収益プロジェクトの全体を通じて利害関係者と幅広く協議し、開発プロセスの各段階で一般のコメントを求め、そのフィードバックを受けて提案をさらに精緻化してきた。合計で、両審議会は両者の作業に対して1,500通以上のコメントレターを受け取った。

さらに、両審議会は、新基準への移行を支援するための合同の移行リソース・グループを設置している。当該グループに関する詳細はまもなく発表される。

IASBの議長Hans Hoogervorst氏は次のように述べた。「このプロジェクトを完了できたことは、両審議会にとって大きな成果である。我々は一緒にIFRSとUS GAAPの両方の収益の要求事項を改善しつつ、完全にコンバージェンスした基準を達成することができた。我々の関心は、これらの新しい要求事項への移行の成功を確保することに移っている。」

FASBの議長Russell Golden氏は次のように述べた。「収益認識基準は、財務報告の最も重要な領域の1つの改善とコンバージェンスのための我々の取組みにおけるマイルストーンとなるものである。現在は多数のさまざまな業種固有の収益認識ガイダンスで構成されているGAAPの不整合の主要な発生源を解消することになる。この基準の公表は大きな第一歩であるが、プロセスの終わりではない。移行リソース・グループと十分な導入期間を通じて、FASBとIASBは、報告企業が2017年までに新たな要求事項に円滑に移行できるように作業をしていく。」

2014年6月5日(木曜日)の午前10時(東部夏時間)/午後3時(英国時間)に、IASBとFASBは、生放送の合同のウェブキャスト「IN FOCUS:顧客との契約から生じる収益」を開催する。1時間のウェブキャストではIASBとFASBのメンバーとスタッフが新基準のハイレベルの概要を提供し、参加者が質問できる機会も設ける。参加に関心がある者は事前に登録が必要である。この生放送のウェブキャストへの米国の参加者は、継続的専門教育(CPE)1単位まで受け取ることができる。

以上

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