ASBJ 企業会計基準委員会

IASBが保険契約の提案について対象を絞った再公開を決定

2012年9月28日

国際会計基準審議会(IASB)は、2012年9月26日に会合し、保険契約の会計処理に関する提案の審議を継続した。本プロジェクトに関する審議は完了していないが、市場にとっての確実性を高めることの利益と、審議が後期の段階であることを考えて、当審議会は提案を再公開する必要性を検討した。当審議会は、提案を再公開すべきであり、フィードバックを求めるのは限定的な範囲の質問についてのみとするという結論を下した。

再公開を決定するにあたり、当審議会は、本プロジェクトにすでに費やしてきた期間の長さや、最終基準を適時に公開することの重要性など、いくつかの要因を検討した。しかし、当審議会は、当初の公開草案以降に行われた変更の実質的内容と、提案の運用可能性を理解することの重要性を考えて、再公開が必要であると判断した。

 新たな公開草案における対象を絞った質問は、以下についての要求事項案に関するものとなる。

  • 有配当保険の取扱い
  • 包括利益計算書における保険料の表示
  • 保険契約における未稼得利益の取扱い
  • 保険契約負債の測定に用いる割引率の変動の影響を、その他の包括利益に表示すること
  • 経過措置へのアプローチ

 IASB議長Hans Hoogervorst氏は次のように述べた。

「我々は、保険会社及び年金基金が現在の低金利の環境で直面している問題を十分に承知している。そのため、時価測定に基づく運用可能な基準をできるだけ早く設定することの重要性を認識している。しかし、この基準を適切なものにすることも同じく重要である。

当初の公開草案以後に行った変更を踏まえ、こうした対象を絞った領域に関して関係者のインプットを得ることによる便益を考えると、対象を絞った再公開が正しい決定であると考えている。この方法で質問を限定することにより、すでに決定し十分に再審議をした論点の議論を繰り返すのを避けることができる。」

以上

プレス関係の問い合わせ先 

Mark Byatt, Director of Communications and External Affairs, IFRS Foundation
Telephone: +44 (0)20 7246 6472
Email: mbyatt@ifrs.org

Chris Welsh, Communications Manager, IFRS Foundation
Telephone: +44 (0)20 7246 6495
Email: cwelsh@ifrs.org

編集担当者への注釈

IFRS財団について

IFRS財団は、国際会計基準審議会(IASB)の監督機関である。財団は、IASBを通じて、公益に資するよう、一般目的財務諸表において透明性があり比較可能な情報を要求する、高品質かつ国際的な会計基準の単一のセットの開発に取り組んでいる。

IFRS 財団の評議員会は、国際会計基準審議会(IASB)の作業とIFRS の厳格な適用を推進しているが、基準に関する技術的事項の決定には関与していない。その責任はIASBのみに委ねられている。

保険契約プロジェクトについて

保険契約プロジェクトは、すべての種類の保険契約の会計処理を行うための原則ベースのガイダンスの単一の源泉を提供することを目指している。

現在のIFRS第4号は、暫定的な基準であり、長年にわたり断片的に開発されてきたさまざまな現行の会計実務を使用し続けることを保険者に許容している。

2010年7月に当審議会は公開草案(ED)保険契約を公表した。4か月のコメント期間が設けられ、2010年11月30日に終了した。EDにおける提案は、IFRS第4号「保険契約」を置き換えることにより、現行の実務の不整合及び弱点を解消するものとなる。