ASBJ 企業会計基準委員会

IASBとFASBが金融商品の分類及び測定における差異の削減を図る

2012年1月27日

国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)は、本日、それぞれの金融商品の分類及び測定モデルの差異の削減を図るために共同作業を行うことに合意した。

議論は、FASBの金融商品に関する会計基準更新書案に関する進行中の再審議の一部を構成することになる。これは当初2010年5月に公表されたものである。IASBは、2009年11月に公表し2010年10月に修正したIFRS第9号「金融商品」について、範囲を限定した変更を行うプロジェクトの一環として、これらの議論を検討することになる。これは、保険契約に関する新たなIFRSを開発するための進行中の作業及び特定の金融商品へのIFRS第9号の適用に関して受け取ったフィードバックにより生じたものである。

両審議会は、それぞれの分類及び測定モデルの重要な側面の足並みを揃えることを目標として協力することになる。

両審議会は、これらの重要な側面について共同で検討を行い、その上でIFRS第9号及び米国の一般に認められた会計原則(US GAAP)のそれぞれの修正案を公表するかどうかを決定することになる。

IASB議長Hans Hoogervorst氏は、次のように述べた。

「IFRS第9号が2009年に導入された時に、我々は、保険契約に関する方向性が明確になった時点で追加的な修正が必要となる可能性があると述べた。今、我々はその時点にいる。

それと同時に、この範囲を限定した見直しは、財務報告のこの重要な領域においてIFRSとUS GAAPをもっと近づけるための理想的な機会を提供するものである。我々は、多くの法域が2015年のIFRS第9号導入への準備にあたって行った投資を認識しつつ、慎重に進めていくことになる。」

FASB議長Leslie F. Seidman氏は、次のように述べた。

「両審議会は、金融商品に関するそれぞれの基準のコンバージェンスを求められてきた。重要な差異(これは、これまでに至った決定の中で最も重要な残った差異である)に関して共同で作業するという本日の決定は、米国内及び国外の利害関係者に応えたものである。

両審議会は、それぞれの決定に関して受け取ったフィードバックを共有し、また、これらの懸念に対処するさらに緊密にコンバージェンスされたアプローチの開発に努めることになる。

両審議会は、金融資産の減損に関する共通のアプローチの開発を継続するが、これは別個の作業の流れとして扱われている。金融商品に関するプロジェクトの一環として、FASBは金利リスク及び流動性に関する開示の強化を提案しており、これはIFRSでは第7号『金融商品:開示』で扱われている。」

以上

プレス関係の問い合わせ先 

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編集担当者への注釈

IASBについて

IASBの設立は2001年で、独立の民間非営利組織たるIFRS財団の基準設定機関である。IASBは、公益のため、高品質の国際的な会計基準(一般目的の財務諸表において高品質で透明かつ比較可能な情報を提供する)の単一のセットの開発に取り組んでいる。この目的に向け、IASBは広範な公開協議を行い、世界中の国際機関及び国内機関の協力を求めている。IASBには現在、11か国から選出された多様な職歴をもつ15名の常勤メンバーがおり、2012年までに16名に増員となる。メンバーはIFRS財団の評議員会により選任され、評議員会への説明責任を負う。評議員会に求められているのは、専門的能力と多様な国際的ビジネス及び市場の経験との最善の利用可能な組合せを選択することである。評議員会は、その職務上、当局者のモニタリング・ボードへの説明責任を負っている。詳細な情報は、ウェブサイトwww.ifrs.orgを参照のこと。

米国財務会計基準審議会(FASB)について

1973年以来、FASBは、米国における財務会計及び財務報告基準を設定するための民間部門の機関として指定されている。それらの基準は、財務報告書の作成を規定し、証券取引委員会及び米国公認会計士協会により権威のあるものとして正式に認知されている。このような基準は経済が効率的に機能するために不可欠である。投資家、債権者、監査人及びその他の人々は、信頼性、透明性、比較可能性のある財務情報を必要としているからである。FASBに関する詳細な情報は、ウェブサイトwww.fasb.orgを参照のこと。