ASBJ 企業会計基準委員会

評議員会がハンス・ホーヘルフォルスト氏をデイビッド・トウィーディー卿の後任に指名

2010年10月12日

国際会計基準審議会(IASB)の監督機関であるIFRS財団の評議員会は、本日、ハンス・ホーヘルフォルスト(Hans Hoogervorst)氏をIASBの議長に、イアン・マッキントッシュ(Ian Mackintosh)氏を同副議長に指名すると発表した。

ホーヘルフォルスト氏は、2011年6月末にIASB議長を退任するデイビッド・トウィーディー卿の後任となる。現在は、オランダの証券市場規制当局であるオランダ金融市場庁(AFM)-オランダの証券市場規制当局―の長官、証券監督者国際機構(IOSCO)の専門委員会議長、金融危機諮問グループ(FCAG)―国際的な金融危機への対応について会計基準設定主体に助言するために結成された上級指導者の独立組織―の共同議長を務めている。IASBのメンバーとなるため、現在のすべての役職を退く。

マッキントッシュ氏は、オーストラリア証券投資委員会の元主任会計士で、国際及び国内の会計基準設定に30年以上の経験を有している。現在は、英国会計基準審議会の議長、20の国と地域の会計基準設定主体が参加する組織である各国会計基準設定主体グループの議長を務めている。

トウィーディー卿による10年間の指揮の下、IASBは国際財務報告基準(IFRSs)を100か国以上で認められた財務報告基準のセットとして確立することに成功してきた。当組織の次の10年間が始まる今、単一の高品質な、国際的に認められた会計基準のセットという目標が手の届くところにある。新議長は、国際的なIFRS適用への道のりでIASBが直面する課題についての深い理解とそれを切り抜ける力をもたらしてくれる。

マッキントッシュ氏の基準設定の分野における多大な経験は、IASBがIFRSを国際基準として確立しようと努力する際の助けとなるであろう。ホーヘルフォルスト氏とマッキントッシュ氏はともに、基準設定プロセスの独立性を守り、投資家及び他の利害関係者の利益のために行動することを確約した。

両人の指名は、1年近くにわたる国際的な人選のプロセスの完了を意味する。評議員会は、500以上の関係諸団体から推薦を求め、28か国の300名以上の候補者を検討し、その後、20か国からの45名の厳選したリストを作成した。指名は、10月12日と13日の韓国ソウルでの評議員会会議において全会一致で承認された。

指名へのコメントとして、トマソ=パドア・スキオッパ評議員会議長は次のように述べた。

「今後10年間IASBを指導する強力なチームを確定できて嬉しく思う。ハンスは、透明性と独立性の原則の擁護に確固たる実績のある、円熟した高い評価を受けている証券規制当局者である。イアンは、熟練した会計専門家であり国際基準設定者である。
指名の発表にあたり、デイビッド・トウィーディー卿に心からの感謝の念を申し上げたい。彼は、持ち前の決断力と無限の行動力により国際財務報告の風景を一変させた。
最後に、評議員会の指名委員会の議長として人選のプロセスを成功に導いたブライアン・ニコルソン卿に感謝したい。」

現IASB議長デイビッド・トウィーディー卿は、次のように述べた。

「評議員会が、IASBの指導者としてハンスとその補佐となるイアンを選んだことを喜ばしく思う。ハンスとは彼が金融危機諮問グループの共同議長となった時に知り合い、イアンとは長年にわたり一緒に作業してきた。この二人の技量の組合せは完全に補完し合うものである。これは素晴らしい結果である。」

IASB次期議長ハンス・ホーヘルフォルスト氏は、次のように述べた。

「証券及び市場の規制者として、私のDNAには投資家保護が刻まれている。一組の国際的な会計基準、独立した基準設定主体による投資家のためのセットが、世界の金融市場の不可欠な構成要素であると私は強く確信している。これからも私が最優先したいことである。
IFRSの物語は目覚ましいものである。デイビッド・トウィーディー卿の偉大な仕事を増強し、この組織を第2の10年間の成功に導く機会を得たことを喜んでいる。」

IASB次期副議長イアン・マッキントッシュ氏は、次のように述べた。

「IASBの副議長に就任し、ハンスとIASBの私の新しい同僚とともに最高品質の基準開発の仕事を行う機会を得て光栄である。
国内基準設定者として、また基準設定プロセスに長く関わってきた者として、この組織が直面する課題を理解している。国際的な基準という目標に全力で取り組んでいく。」

選任プロセスに関連する詳細情報は、IFRS財団のウェブサイト(www.ifrs.org)で入手できる。

プレス関係の問い合わせ先

Mark Byatt, Director of Communications, IFRS Foundation
Telephone: +44 (0) 7778 223127
Email: mbyatt@ifrs.org

Gilliam Bishop, Communications Manager, IFRS Foundation
Telephone: +44 (0)20 7246 6463
Email: gbishop@ifrs.org

編集担当者への注釈

IFRS財団について

IFRS財団は、国際会計基準審議会(IASB)の監督機関である。財団は、IASBを通じて、公益に資するよう、一般目的財務諸表において透明性があり比較可能な情報を提供する、高品質かつ国際的な会計基準の単一のセットの開発に取り組んでいる。財団は、世界中の主要な会計事務所、民間の金融機関及び事業会社、中央及び開発銀行、及び他の国際的及び専門的職業団体からの寄付により資金を受けている。

IASBについて

IASBの設立は2001年で、独立の民間非営利組織たるIFRS財団の基準設定機関である。IASBは、公益のため、高品質の国際的な会計基準(一般目的の財務諸表において高品質で透明かつ比較可能な情報を提供する)の単一のセットの開発に取り組んでいる。この目的に向け、IASBは広範な公開協議を行い、世界中の国際機関及び国内機関の協力を求めている。IASBには現在、10カ国から選出された多様な職歴をもつ14名の常勤メンバーがおり、2012年までに16名に増員となる。メンバーはIFRS財団の評議員会により選任され、評議員会への説明責任を負う。評議員会に求められているのは、専門的能力と多様な国際的ビジネス及び市場の経験との最善の利用可能な組合せを選択することである。評議員会は、その職務上、当局者のモニタリング・ボードへの説明責任を負っている。

ハンス・ホーヘルフォルスト氏の経歴 

ホーヘルフォルスト氏は現在、オランダ金融市場庁(AFM)の長官であり、IOSCOの専門委員会の議長であり、IASBの金融危機諮問グループの共同議長であり、IFRS財団モニタリング・ボードの議長である。

1998年から2007年まで、財務大臣、健康・福祉・スポーツ大臣、社会問題副大臣など、オランダ政府のさまざまな役職を務めた。それ以前には、オランダ議会及び財務省の一員でかつ上級政策顧問も務めていた。ワシントンDCのワシントン・ナショナル銀行の幹部職員としても3年間勤務した。

現代史の修士号(1981年、アムステルダム大学)、国際関係学修士号(ジョンズ・ホプキンス大学の高等国際問題研究大学院で国際経済とラテン・アメリカ研究を専攻)を保有している。

イアン・マッキントッシュ氏の経歴

イアン・マッキントッシュ氏は、英国会計基準審議会の議長である。

ニュージーランド出身で、職歴の大部分をオーストラリアで過ごしている。最初はクーパース&ライブランドに勤務し、後に自らの事務所でコンサルタントを開業。2000年11月に、オーストラリア証券投資委員会の主任会計士に指名され、その後、世界銀行で南アジアの財務管理マネージャーを務めた。

1983年以来、基準設定において積極的な役割を果たしてきた。オーストラリア会計基準審議会のメンバー、後に副議長となり、緊急課題グループの議長も務めた。国際会計基準審議会の基準諮問会議のメンバーでもある。公的部門にも多大の経験があり、オーストラリア公会計基準審議会及び国際会計士連盟(IFAC)の公会計委員会の議長も務めた。