ASBJ 企業会計基準委員会

IASB、予想損失モデルの実行可能性に関するインプットを要請

2009年6月25日

 国際会計基準審議会(IASB)は、本日、金融資産の減損に対する予想損失モデルの実行可能性に関する情報提供の要請を公表した。 減損は、IASBがIAS第39号「金融商品:認識及び測定」の包括的な再検討の第2フェーズで取り組んでいる論点の1つである。

本日公表された要請は、予想損失モデルを要求した場合に発生する実務上の論点に関するインプットを求めている。このインプットは、IASBが2009年10月に公開草案の中で公表を予定している正式な提案を作成する際の助けとなるであろう。

IAS第39号の現行モデルは、将来キャッシュ・フローにマイナスの影響がある事象(又は事象の組合せ)が発生し、その影響が信頼性をもって見積れる場合にのみ、金融資産の信用損失を計上することを企業に要求している(発生損失モデルとして知られている)。このモデルの特徴は、企業が将来の予想損失の影響を考慮することを企業に認めていないことである。金融危機により、これが関心を呼ぶ分野として注目されている。G20首脳等の要請に対応して、IASBは、このアプローチの見直しを行っており、予想損失モデルを代替案として検討している。

予想損失モデルは、予想される信用損失の継続的な評価を行うことを企業に要求しており、信用損失のより早期の認識を要求することになるかもしれない。これは、金融資産が価格付けされる方法や一部の会社が事業を管理する方法をよりよく反映することとなる。

IASBは、2009年9月1日まで、情報提供の要請に対する回答を歓迎する。

本情報提供の要請は、www.iasb.orgの‘Open for Comment’セクションにてダウンロードすることが可能である。購読者は、eIFRSにて本文書を見ることも可能である。受け取ったコメントは、当該ウェブサイトに掲載される。プロジェクトチームは、しかるべき時にライブのウェブ・プレゼンテーションにて本情報提供の要請を紹介する。詳細は、www.iasb.orgで発表される。

プレス関係の問い合わせ先

Mark Byatt, Director of Corporate Communications, IASB,
Telephone: +44 (0)20 7246 6472,
Email: mbyatt@iasb.org

Sonja Horn, Communications Adviser, IASB,
Telephone: +44 (0)20 7246 6463,
Email: shorn@iasb.org

専門的な内容に関する問い合わせ先

Martin Friedhoff, Project Manager, IASB,
Telephone: +44 (0)20 7246 6902,
Email: mfriedhoff@iasb.org

Sue Lloyd, Senior Technical Consultant,
Telephone: +44 (0)20 7246 6454,
Email: slloyd@iasb.org

編集担当者への注釈

IAS第39号の包括的な再検討について 

2009年5月のボード会議において、IASBは、金融商品の認識及び測定に関する基準であるIAS第39号の包括的再検討に関する予定表を公表した。IASBの暫定的なプロジェクト計画は、3つの主要フェーズからなる。

  • フェーズ1:保有区分及び測定。審議会は、2009年7月に保有区分及び測定、並びに保有区分と測定のために発生する減損の問題に関する公開草案を公表することを予定している。審議会は、2009年末の財務諸表に対する早期適用を強制しないが、容認とするのに間に合うように完了することを予定している。
  • フェーズ2:減損の手法。審議会は、2009年10月に減損に関する公開草案を公表する予定である。
  • フェーズ3:ヘッジ会計。審議会は、2009年12月にヘッジ会計に関する公開草案を公表する予定である。

IASBは、2010年中にIAS第39号のすべての規定を置き換えることを目標としている。すべてのフェーズについての(強制的な)発効日は、2012年1月より前とはならないことを予定している。IAS第39号の包括的な再検討に関するより詳細な情報は、www.iasb.orgの中の「金融商品:IAS第39号の置換え」のプロジェクトのページを参照されたい。

国際会計基準審議会(IASB)について

国際会計基準審議会(IASB)は、2001年に設立されたIASC財団の基準設定機関であり、独立した民間の非営利組織である。 IASBは、公益に資するよう、一般目的財務諸表において透明性があり比較可能な情報を提供する、高品質かつ国際的な会計基準の単一のセットを開発することを公約している。 この目的を追求するため、IASBは、広範にわたる公開の協議を行っているほか、世界中の国際機関や各国機関と協力している。 その14人のメンバー(うち13人は常勤)は、9か国から選ばれ、幅広い職務上の経歴を有している。 彼らは、IASC財団の評議員会から選任されるとともに、これに対して説明責任を負っており、専門的な能力と、国際的なビジネス及び市場に関する経験の多様性に関して、 選択し得る最良の組合せを選択することが要求されている。