ASBJ 企業会計基準委員会

IASB、法人所得税の会計に関する新基準案に対するコメントを募集(IAS第12号改訂案)

2009年3月31日

国際会計基準審議会(IASB)は、本日、一般のコメントを募集するために、法人所得税の会計に関する新基準案の公開草案を公表した。 適用された場合、本基準は、IAS第12号「法人所得税」の現行規定を置き替えることとなる。

本基準案は、一時差異アプローチとして知られる、法人所得税に対する会計の基本的なアプローチを維持する。 本アプローチの目的は、税金が確定するまで待つのではなく、過去の事象及び取引が将来税金に与える結果を現時点で認識することである。本基準案は同じ原則を維持するものの、会計処理を簡素化し、本基準の原則を強化するために、IASBは、IAS第12号の例外規定の大部分を削除することを提案している。 さらにIASBは、基準をより利用しやすくするための構成の変更を提案している。

本公開草案の紹介に当たり、IASB議長David Tweedie卿は次のように述べた。

「法人所得税の規定は、法域により相当に異なっている。 現行の規定をこれらの異なる状況に適用することは、困難であり、複雑でバラツキのある解釈が生じる可能性がある。 我々の目的は、より明確で、法人所得税に関する会計処理の規定の理解と適用を容易にし、より整合的な財務報告ともなるような、より原則ベースの基準を達成することである。
法人所得税の会計処理の根本的な再検討に着手している数カ国の基準設定主体、特に英国会計基準審議会(ASB)とドイツ会計基準審議会(GASB)の努力も歓迎し、支持する。」

本提案は公開草案「法人所得税」に示され、コメント募集のため2009年7月31日まで公開される。 本公開草案は、www.iasb.orgの‘Open for Comment’セクションで入手可能である。 IASBは、本公開草案の提案を紹介するウェブキャストをまもなく開催する予定であり、詳細はウェブサイトにしかるべき時に公表される。 IASBスタッフにより作成された本公開草案における提案を説明するフローチャート及び設例は、ウェブサイトのプロジェクト・ページに掲載されている。

本公開草案の印刷版(ISBN978-1-905590-97-1)は、IASC財団出版部から£10.00(及び郵送料)で、間もなく購入可能となる予定である。

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プレス関係の問い合わせ先

Mark Byatt, Director of Corporate Communications, IASB,
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Email: mbyatt@iasb.org

Sonja Horn, Communications Adviser, IASB,
Telephone: +44 (0)20 7246 6463,
Email: shorn@iasb.org

専門的な内容に関する問い合わせ先

Anne McGeachin, Senior Project Manager, IASB
Telephone: +44(0)1225 426 517,
Email: amcgeachin@iasb.org

編集担当者への注釈

法人所得税プロジェクトについて

法人所得税プロジェクトは、IFRSと米国の会計との差異を取り除くことを目的とする、IASBと米国財務会計基準審議会(FASB)との短期コンバージェンス・プロジェクトの一環である。 より公平な条件を達成するために、IASBの提案は、IAS第12号と対応する米国基準とのいくつかの現存する不整合に対処している。 FASBは、2008年9月に、一定の又はすべての米国の公開企業がいつか将来にIFRSを適用することが認められる又は求められる可能性を考慮して、短期コンバージェンス・プロジェクトに対する戦略を再検討することとなることを発表している。

当該再検討の一環として、又米国の利害関係者からのインプットを受けるために、FASBは、IASBのIAS第12号の置替え案を含めたコメントの募集を公表する。 本再検討の終りに、FASBは、合意されたIFRSを適用することにより税金の会計処理に関する差異を取り除くプロジェクトに着手するかどうかを決定する。

国際会計基準審議会(IASB)について 

国際会計基準審議会(IASB)は、ロンドンを拠点とし、2001年に業務を開始した。 評議員会、すなわちIASC財団により、主要な会計事務所、世界中の民間の金融機関及び事業会社、中央及び開発銀行、並びに他の国際機関及び専門家組織から集められた寄付によって資金をまかなっている。 その14人のメンバー(うち13人は常勤)は、9か国から選ばれ、幅広い職務上の経歴を有している。 IASBは、公益に資するよう、一般目的財務諸表において透明性があり比較可能な情報を提供する、高品質かつ国際的な会計基準の単一のセットを開発することを公約している。 この目的を追求するため、IASBは世界中の会計基準のコンバージェンスを目指して各国会計基準設定主体と協力している。