ASBJ 企業会計基準委員会

IFRIC、顧客からの資産の移転に関する会計処理を明確化(IFRIC解釈指針書第18号)

IASBプレスリリース 2009年1月29日

国際財務報告解釈指針委員会(IFRIC)(*1)は本日、顧客からの資産の移転に関する会計処理についての追加のガイダンスを提供する解釈指針書を公表した。

IFRIC第18号「顧客からの資産の移転」は、特に公益事業セクターに関連する。本解釈指針書は国際財務報告基準書(IFRS)の規定を明確化し、顧客から有形固定資産を受け取る契約において、その有形固定資産を用いて顧客をネットワークに接続したり、(電気・ガス・水道のような)財貨やサービスの供給に対する継続的なアクセスを提供したりする必要がある場合の取扱いを明らかにしている。このような契約には顧客から現金を受け取る場合も含まれる。その場合の現金の使途は当該顧客のための有形固定資産の取得や建設に限定され、企業は当該有形固定資産を用いて当該顧客をネットワークに接続し、あるいは財貨やサービスに対する継続的なアクセスを提供する。

IFRS(特にIAS第18号「収益」の原則)はさまざまに解釈されており、IFRICは、そのような顧客からの資産の移転に関する会計処理について追加のガイダンスの提供を求められた。本解釈指針書は、次の点を明確化する。    

  • 資産の定義を満たす状況
  • 当該資産の認識及び当初認識の際の取得原価の測定
  • 個別に識別可能なサービスの特定(移転された資産と交換で1つ又は複数のサービスを提供する場合)
  • 収益の認識
  • 顧客からの現金の移転に対する会計処理

2008年1月に公表された解釈指針案に対して受け取ったコメントに対応して、IFRICは、IASBのフレームワークを参照することにより資産の認識に関するガイダンスを簡素化し、収益の認識に関するガイダンスを追加した。

本解釈指針書は、2009年7月1日以後に顧客から受け取った資産の移転に対して将来に向かって適用することを求めている。早期適用は、本解釈指針書を過去の移転に適用するために必要な評価及び他の情報が当該移転時に得られていた場合に限り認められる。

eIFRS購読者は本日からIFRIC第18号「顧客からの資産の移転」を入手することができる。eIFRSの購読希望者はwww.iasb.orgのオンラインショップ、又は下記にお問い合わせいただきたい。

IASC Foundation Publications Department,
30 Cannon Street, London EC4M 6XH, United Kingdom.
Tel: +44 (0)20 7332 2730
Fax +44 (0)20 7332 2749
Email: publications@iasb.org
Web: www.iasb.org

IFRIC第18号についてのより詳細な情報は、www.iasb.orgのプロジェクトのウェブページを参照していただきたい。

プレス関係の問い合わせ先

Mark Byatt, Director of Corporate Communications, IASB
Telephone: +44 (0)20 7246 6472,
Email: mbyatt@iasb.org

Sonja Horn, Communications Adviser, IASB
Telephone: +44 (0)20 7246 6463,
Email: shorn@iasb.org

専門的な内容に関する問い合わせ先

Tricia O’Malley, Director of Implementation Activities, IASB
Telephone: +44 (0)20 7246 6929,
Email: tomalley@iasb.org

Sebastien Landry, Practice Fellow, IASB,
Telephone:+44 (0)20 7246 6930,
Email: slandry@iasb.org

編集担当者への注釈

IFRICについて

IFRICは、2002年2月に第1回会合を開催した。IFRICは、出身国や職業経験の異なる14人(全員非常勤)の議決権を有する委員で構成され、議決権を有さない議長のもと一年に約6回会議を開催している。IFRICの主要な役割は、権威ある指針がないことにより異なった取扱いや容認できない取扱いを受ける可能性があるような会計上の問題について、現在のIFRS及びIASBのフレームワークの文脈の中で、適切な会計処理について合意に到達することを目的として、タイムリーに検討することにある。解釈指針の開発にあたりIFRICは、IFRICと同様の各国の解釈指針委員会と緊密な連携をとって作業を行っている。

国際会計基準審議会(IASB)について

国際会計基準審議会(IASB)は、ロンドンを拠点とし、2001年に業務を開始した。評議員会、すなわちIASC財団により、主要な会計事務所、世界中の民間の金融機関及び事業会社、中央及び開発銀行、並びに他の国際機関及び専門家組織から集められた寄付によって資金をまかなっている。その14人のメンバー(うち12人は常勤)は、9か国から選ばれ、幅広い職務上の経歴を有している。

IASBは、公益に資するよう、一般目的財務諸表において透明性があり比較可能な情報を提供する、高品質かつ国際的な会計基準の単一のセットを開発することを公約している。この目的を追求するため、IASBは世界中の会計基準のコンバージェンスを目指して各国会計基準設定主体と協力している。


  1. IFRICは、国際会計基準審議会(IASB)の解釈機関である。