ASBJ 企業会計基準委員会

IASB、オフバランスシートリスクの包括的な再検討の一環として新しい連結基準案を公表(公開草案第10号)

2008年12月18日

 国際会計基準審議会(IASB)は、本日、一般のコメントを募集するために、会社がどの企業を支配しているかを識別するための規定を強化し改善する提案を公表した。

本提案は、オフバランスシート活動に関するIASBの包括的な再検討の一環であり、G20の首脳が11月15日の会合で指摘した領域に対処するものである。本提案は、2008年4月に金融安定化フォーラム(FSF)が公表した報告書に含まれていた提言にも対応したものである。資産及び負債の認識の中止をカバーする、オフバランスシート項目に関する追加的な提案は、2009年3月31日のG20の目標に合わせて、2009年の第1四半期に公表される予定である。

報告企業(特に銀行)が、証券化及び他のより複雑な金融のアレンジメントを運営するために、特別なストラクチャーを利用していることが、FSF及びG20により懸念事項として強調された。一部のコメンテーターは、現行規定は計上されるべきものが正しくバランスシートに計上される結果となっているかどうかを疑問視してきた。彼らは、そのようなタイプのストラクチャーからのリスクに報告企業がどの程度さらされているかを財務諸表が伝えていないという懸念を抱いている。

本提案は、広い範囲の状況に当てはまり、特別なストラクチャリングで抜け穴をくぐることが難しくなるような、新しい、原則ベースの「企業の支配」の定義を提示することにより、それらの懸念に対処している。本提案は、報告企業が特別なストラクチャーの組成にどの程度かかわっているか、及びこれらの特別なストラクチャーにより当該企業がさらされているリスクを投資家が評価できるようにする、開示規定の拡充も含んでいる。本提案は、銀行セクターだけでなく、その活動を運営するために法人を利用している企業に適用される。

 本提案の紹介として、IASB議長David Tweedie卿は次のように述べた。

「本提案は、オフバランスシート企業への会社の関与の全体像を提供するための、連結の規定の厳格化と開示の拡大を内容としている。したがって、それらは、企業が一定の複雑な企業ストラクチャーをどのように会計処理しているか、及びそのようなストラクチャーに関与する結果として企業が直面するリスクに関する不確実性について、投資家が示している懸念に対処するために大いに役立つ。

我々は、これらの問題点に対処するために迅速に行動し、ワーキング・グループ及び公開円卓会議を通じて広範囲に協議を行った。しかしながら、我々の提案が透明性を改善し財務諸表への投資家の信頼性を増加させることに役立つようにするためには、利用者と投資家の双方からの継続的なインプットが必要不可欠である。」

IASBは、公開草案第10号「連結財務諸表」に示されている本提案に対して、2009年3月20日までコメントを募集する。本公開草案は、本日からwww.iasb.orgの’Open for Comment’セクションで入手可能である。

公開草案第10号の印刷版(セットでISBN978-1-905590-86-5)は、IASC財団出版部から£12.00(及び郵送料)で、間もなく購入可能となる予定である。eIFRSの購読希望者はwww.iasb.orgのオンラインショップ、又は下記にお問い合わせいただきたい。

IASCF Publication Department,
30 Cannon Street, London EC4M 6XH, United Kingdom.
Tel: +44 (0)20 7332 2730,
Fax: +44 (0)20 7332 2749,
Email: publications@iasb.org
Web: www.iasb.org

IASBは、2009年1月8日に公開草案第10号を紹介する2回のライブのウェブ・プレゼンテーションを開催する。本プレゼンテーションの詳細については、間もなくウェブサイトに公表される。

プレス関係の問い合わせ先 

Mark Byatt, Director of Corporate Communications, IASB,
Telephone: +44 (0)20 7246 6472,
Email: mbyatt@iasb.org

Sonja Horn, Communications Adviser, IASB
Telephone: +44 (0)20 7246 6463,
Email: shorn@iasb.org

専門的な問い合わせ先

Alan Teixeira, Director of Technical Activities, IASB
Telephone: +44 (0)20 7246 6442,
Email: ateixeira@iasb.org

編集者担当者への注釈

連結について

連結財務諸表は、報告企業に支配されているすべての企業を単一の経済的グループに連結する。それは、投資家が、企業が直接的に又は別個の法的ストラクチャーを用いることにより保有することを問わず、報告企業により支配されているすべての資産、負債、収益に、費用及びキャッシュ・フローを識別することを可能にする。

適用された場合、新基準は、IAS第27号「連結及び個別財務諸表」及びSIC第12号「連結-特別目的事業体」の現行の連結の規定に置き替わる。

国際会計基準審議会(IASB)について

国際会計基準審議会(IASB)は、2001年に設立された国際会計基準委員会(IASC)財団の基準設定機関であり、独立した民間の非営利組織である。IASBは、公益に資するよう、一般目的財務諸表において透明性があり比較可能な情報を提供する、高品質かつ国際的な会計基準の単一のセットを開発することを公約している。この目的を追求するため、IASBは、広範にわたる公開の協議を行っているほか、世界中の国際機関や各国機関と協力している。その14人のメンバー(うち12人は常勤)は、9か国から選ばれ、幅広い職務上の経歴を有している。彼らは、IASC 財団の評議員会から選任されるとともに、これに対して説明責任を負っており、専門的な能力と、国際的なビジネス及び市場に関する経験の多様性に関して、選択し得る最良の組み合わせを選択することが要求されている。