ASBJ 企業会計基準委員会

IASB及びFASBが財務諸表の表示の改善案に関する協議を開始

2008年10月16日

国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)は、本日、一般からのコメントを募集するために、財務諸表の表示に関するディスカッション・ペーパーを公表した。本ディスカッション・ペーパーには、財務諸表の表示における現在の問題の分析が含まれており、これらの問題が、考えうる将来の様式でどのように対処できるかについて、両審議会の最初の考えが示されている。

国際財務報告基準(IFRSs)と米国会計基準は、限定的な表示の指針のみを提供している。また、米国会計基準における表示の指針は各基準に散らばっている。さらに、財務諸表の利用者は、情報が各計算書間で連携していないことや、場合によっては異質な項目が1つの数字に合算されていることに不満を示すことが多い。

これらの問題に対処するため、IASBとFASBは、一体性と分解を財務諸表の表示の2つの主要な目的として導入することを提案している。一体性により、財務諸表の読者は、情報のフローを、企業の各計算書を通して理解できるようになる。分解により、経済事象への反応が異なる項目が区分して示されるようになる。これらの主要な目的を達成するため、両審議会は、本ディスカッション・ペーパーに示されている原則主義の様式を開発した。

両審議会は、財務諸表の表示の目的と提案されている様式の双方について、関係者からの意見を求めている。

本ディスカッション・ペーパーを紹介して、IASB議長であるDavid Tweedie卿は、次のように述べた。

「信用危機は、複雑であることが多い財務情報を明確に表示することの必要性を浮き彫りにした。‘純利益’項目を削除する選択肢を含んだペーパーの当初スタッフ案が、広く報道された。しかし、両審議会は、確立した実務を基礎とする提案をもって進めることを選択した。財務情報の将来の表示に興味がある方は、今が参加の機会である。」

 Robert Herz FASB議長は、本ディスカッション・ペーパーの公表に関して、次のように述べた。 

「可能な限り最も透明で首尾一貫した財務報告を投資家に提供することは、我々の資本市場の効率性と健全性にとって、かつてないほど重大である。財務諸表の表示に関する共通の高品質な国際的基準を作りだすための共同作業によって、両審議会は、国際的な資本市場間の比較可能性を高めながら、財務報告の有用性を増大させることを目指している。作成者、監査人、投資家、他の財務諸表利用者からの広範なフィードバックは歓迎であり、極めて重要である。」

本ディスカッション・ペーパーは、2009年4月14日までがコメント募集期間である。

「財務諸表の表示に関する予備的見解」は本日から、www.iasb.orgの‘Open for Comment’セクションで入手可能である。購読者は、eIFRSsウェブサイトで本文書を見ることもできる。印刷版(ISBN978-1-905590-76-6)は、包括契約購読者に送付され、£12.00(及び郵送料)で、間もなくIASC財団出版部より購入可能となる。eIFRSsの購読希望者はwww.iasb.orgのオンラインショップ、又は下記にお問い合わせいただきたい。

IASC Foundation Publications Department,
30 Cannon Street, London EC4M 6XH, United Kingdom.
Tel: +44 (0)20 7332 2730
Fax +44 (0)20 7332 2749
Email:publications@iasb.org
Web: www.iasb.org

「財務諸表の表示に関する予備的見解」は、http://www.fasb.org/draft/index.shtml.でも入手可能である。さらに、どの個人又は団体も、本ディスカッション・ペーパーの1部を、書面リクエストにより、2009年4月14日まで無料でFASBから入手できる。FASB製品コードNo.DP01を注文していただきたい。追加の印刷版及び2009年4月14日以降求める印刷版に適用される価格の情報については、下記にお問い合わせいただきたい。

Order Department
Financial Accounting Standards Board
401 Merritt 7
PO Box 5116
Norwalk, CT 06856-5116

プレス関係の問い合わせ先 

Mark Byatt, Director of Corporate Communications, IASB,
Telephone: +44 (0)20 7246 6472,
Email: mbyatt@iasb.org
30 Cannon St, London EC4M 6XH, UK

Neal McGarity, Director of Communications, US FASB
Telephone: +1 203 956-5347,
Email: nemcgarity@f-a-f.org
401 Merritt 7, PO Box 5116, Norwalk, Connecticut, 06856-5116, USA

Christine Klimek, Communications Manager, US FASB
Telephone: +1 203 956-3459,
E-mail: clklimek@f-a-f.org
401 Merritt 7, PO Box 5116, Norwalk, Connecticut, 06856-5116, USA

専門的な内容に関する問い合わせ先 

Kim Petrone, Senior Project Manager, FASB
Telephone: +1 203 956-5329,
Email: krpetrone@fasb.org
401 Merritt 7, PO Box 5116, Norwalk, Connecticut, 06856-5116, USA

Denise Gomez, Project Manager, IASB
Telephone: +44 (0)20 7246 6469,
Email: dgomez@iasb.org
30 Cannon St, London EC4M 6XH, UK

国際会計基準審議会(IASB)について 

国際会計基準審議会(IASB)は、2001年に設立された国際会計基準委員会(IASC)財団の基準設定機関であり、独立した民間の非営利組織である。IASBは、公益に資するよう、一般目的財務諸表において透明性があり比較可能な情報を提供する、高品質かつ国際的な会計基準の単一のセットを開発することを公約している。この目的を追求するため、IASBは、広範にわたる公開の協議を行っているほか、世界中の国際機関や各国機関と協力している。その14人のメンバー(うち12人は常勤)は、9か国から選ばれ、幅広い職務上の経歴を有している。彼らは、IASC 財団の評議員会から選任されるとともに、これに対して説明責任を負っており、専門的な能力と、国際的なビジネス及び市場に関する経験の多様性に関して、選択し得る最良の組み合わせを選択することが要求されている。

米国財務会計基準審議会(FASB)について 

FASBは、1973年以来米国における財務会計及び財務報告基準を設定するための民間部門の機関として指定されている。それらの基準は、財務報告書の作成を規定し、証券取引委員会及び米国公認会計士協会により権威のあるものとして正式に認識されている。投資家、債権者、監査人及びその他の人々は、信頼性、透明性、比較可能性のある財務情報を必要とするため、このような基準は、経済の効率的機能にとって不可欠である。FASBに関する詳細な情報は、ホームページwww.fasb.orgをご参照いただきたい。


ディスカッション・ペーパー「財務諸表の表示に関する予備的見解」の原文は、IASBのウェブサイトの中の財務諸表表示プロジェクトのページから入手が可能です。

ディスカッション・ペーパー「財務諸表の表示に関する予備的見解」の日本語訳は以下よりダウンロードすることが可能です。本訳は、企業会計基準委員会スタッフによる参考のための資料です。ご利用にあたっては、必ず原文をご参照ください。

なお、本資料はPDFファイルのみでの提供ですのであらかじめご了承ください。

「ディスカッション・ペーパー『財務諸表の表示に関する予備的見解』」の和訳