ASBJ 企業会計基準委員会

IASB、年次改善プロジェクトにおいて改訂案を公表

IASBプレスリリース 2008年8月7日

国際会計基準審議会(IASB)は本日、一般のコメントを募集するために、年次改善プロジェクトによる8つの国際財務報告基準(IFRS)に対する改訂を提案する公開草案を公表した。

 本改訂案は、昨年から開始したプロジェクトのサイクルにおいてIASBが議論した論点を反映している。提案内容は、IAS第18号「収益」の付録に追加される、企業が本人(principal)又は代理人(agent)のいずれとして活動しているかの判定方法に関するガイダンスから、意図の明確化やIFRS間の意図せざる不整合の除去のための表現の変更まで多岐にわたっている。

 IASBは、2006年に、他の主要なプロジェクトの一部に含まれない緊急ではないが必要とされるIFRSの改訂を行うための年次プロセスを採用した。改訂を断片的な変更の連作とせずに単一の文書で示すことにより、すべての関係者の負担を軽減することをIASBは目指している。

別段の規定のある事項を除き、本改訂の提案された発効日は、2010年1月1日以後に開始する事業年度であり、早期適用は認められる。改訂IFRS第3号「企業結合」から生じた改訂に対する提案された発効日は、(企業結合に関する改訂基準-IFRS第3号及びIAS第27号「連結及び個別財務諸表」-の発効日に合わせて)2009年7月1日である。

本公開草案は、www.iasb.orgのプロジェクトのウェブサイト又は’Open to Comment’セクション経由でアクセス可能である。IASBは、本公開草案に対するコメントを2008年11月7日まで募集している。

「IFRSの改善案」の印刷版(ISBN 978-1-905590-73-5)は、IASCF出版部から£10.00(及び郵送料)で間もなく購入可能となる予定である。eIFRSの購読希望者はwww.iasb.orgのオンラインショップ、又は下記にお問い合わせいただきたい。

IASC Foundation Publications Department,
30 Cannon Street, London EC4M 6XH, United Kingdom.
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Web: www.iasb.org

プレス関係の問い合わせ先 

Mark Byatt, Director of Corporate Communications, IASB
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Email: mbyatt@iasb.org

Sonja Horn, Communications Adviser, IASB
Telephone: +44 (0)20 7246 6463,
Email: shorn@iasb.org

専門的な内容に関する問い合わせ先

Tricia O’Malley, Director of Implementation Activities, IASB,
Telephone: +44 (0)20 7246 6929,
Email: tomalley@iasb.org

Dora Cheung, Project Manager, IASB,
Telephone: +44 (0)20 7246 6919,
Email: dcheung@iasb.org

編集担当者への注釈

年次改善プロセスについて

2006年に、IASBは、国際財務報告解釈指針委員会(IFRIC)や、スタッフ又は実務に携わる者からの提案によってもたらされた事項から生じる、緊急ではないIFRSの改訂を扱うための年次のプロセスを導入した。本改善は、IFRS間の矛盾点や、表現の明確化が必要な分野に焦点を当てている。毎年IASBは、年間を通じて生じるIFRSに対する改善の提案について議論や決定を行う。第3四半期に、集められた提案を一括した公開草案が、一般のコメントを求めるために90日間のコメント期限を設けて公表される。IASBは受領したコメントを検討した後に、最終的な形式による改訂を、翌年の第2四半期に発行し、さらにその翌年の1月1日から発効することを目標とする。

取り扱っているIFRS

以下の表は、本改訂案で取り扱っているIFRS及びトピックの一覧を示している。

IFRS 改訂対象
IFRS第2号「株式報酬」 IFRS第2号及び改訂IFRS第3号の範囲
IFRS第5号「売却目的で保有する非流動資産及び廃止事業」 売却目的で保有又は廃止事業に分類された非流動資産(又は処分グループ)の開示
IFRS第8号「事業セグメント」 セグメント資産に関する情報の開示
IAS第7号「キャッシュ・フロー計算書」 認識されない資産に対する支出の分類
IAS第18号「収益」 企業が本人(principal)又は代理人(agent)のいずれとして活動しているかの判定
IAS第36号「資産の減損」 のれんの減損テストに対する会計単位
IAS第38号「無形資産」 改訂IFRS第3号からの結果として生じる追加の改訂
企業結合で取得した無形資産の公正価値の測定
IAS第39号「金融商品:認識及び測定」 企業結合契約に対する範囲からの除外
公正価値オプションの適用
キャッシュ・フロー・ヘッジ会計
外貨建組込デリバティブの分解

国際会計基準審議会(IASB)について

国際会計基準審議会(IASB)は、2001年に設立された 国際会計基準委員会(IASC) 財団の基準設定機関であり、独立した民間の非営利組織である。IASB は、公益に資するよう、一般目的財務諸表において透明性があり比較可能な情報を提供する、高品質かつ国際的な会計基準の単一のセットを開発することを公約している。この目的を追求するため、IASB は、広範にわたる公開の協議を行っているほか、世界中の国際機関や各国機関と協力している。その 14 人のメンバー(うち 12 人は常勤)は、9か国から選ばれ、幅広い職務上の経歴を有している。彼らは、IASC 財団の評議員会から選任されるとともに、これに対して説明責任を負っており、専門的な能力と、国際的なビジネス及び市場に関する経験の多様性に関して、選択し得る最良の組み合わせを選択することが要求されている。