ASBJ 企業会計基準委員会

IASB及び米国FASB、概念フレームワークに関する2つの協議文書に対する見解を求める

IASBプレスリリース 2008年5月29日

国際会計基準審議会(IASB)及び米国財務会計基準審議会(FASB)は本日、改善された概念フレームワークを開発するための共同プロジェクトの8つのフェーズのうち2つに関してコメントを募集する協議文書を公表した。本プロジェクトの目的は、将来会計基準を開発するための強固な基礎を提供する改善された概念フレームワークを開発することである。

フレームワークの第1章及び第2章の公開草案

本日公表された第1の文書は、フレームワークの第1章及び第2章の公開草案である。本公開草案は、財務報告の目的の改良版、財務報告が提供する情報の質的特性及び当該情報の提供に対する制約条件についての見解を求めている。本草案は、2006年7月に公表された最初の協議文書に対して受け取ったコメントを踏まえた両審議会の更新後の提案を反映している。本公開草案は、財務報告の目的は、現在及び潜在的な株式投資家、資金の貸手及びその他の債権者が資本提供者としての立場で行う意思決定に際して有用な財務情報を提供することであると提案している。また、経済的意思決定に有用な基礎を提供しようとする場合に財務情報が持つべき質的特性の1つである「表現の忠実性」についての記述の改善も示している。

報告企業概念についての予備的見解

本日公表された第2の文書は、報告企業概念及び関連する論点に関する両審議会の予備的見解を示している。報告企業概念は財務報告のいくつかの重要な局面を決定するが、両審議会の現行のフレームワークは、それを具体的には取り扱っていない。両審議会の予備的見解は、以下のとおりである。

  • 報告企業は、現在及び潜在的な株式投資家、貸付者及びその他の資本提供者にとって関心のある事業活動の局限された領域である。
  • 支配は、グループ企業の構成を決定するための基礎である。
  • 連結財務諸表は、グループ報告企業の観点から作成されるべきである。

IASB及びFASBは、両文書に対するコメントを2008年9月29日まで募集する。

公開草案「財務報告に関する改善された概念フレームワーク-第1章:財務報告の目的及び第2章:意思決定に有用な財務報告情報の質的特性及び制約条件」及び協議文書「財務報告に関する改善された概念フレームワークに関する予備的見解:報告企業」は、www.fasb.org及びeIFRS購読者はhttp://eifrs.iasb.org/にて本日から入手可能である。本文書は、6月2日からIASBの公開ウェブサイト www.iasb.org から入手可能になる。eIFRSの購読希望者はwww.iasb.orgのオンラインショップ、又は下記にお問い合わせいただきたい。

IASC Foundation Publications Department,
30 Cannon Street, London EC4M 6XH, United Kingdom.
Tel: +44 (0)20 7332 2730,
Fax: +44 (0)20 7332 2749
Email: publications@iasb.org,
Web: www.iasb.org

印刷版(2冊セットでISBN 978-1-905590-67-4)は、IASCF出版部から£10.00でまもなく購入可能となる予定である。

プレス関係の問い合わせ先

Mark Byatt, Director of Corporate Communications, IASB
Telephone: +44 (0)20 7246 6472,
Email: mbyatt@iasb.org

Sonja Horn, Communications Adviser, IASB
Telephone: +44 (0)20 7246 6463,
Email: shorn@iasb.org

Neal McGarity, Director of Communications, FASB
Telephone: +1 203 956 5347
Email: nemcgarity@f-a-f.org

専門的な内容に関する問い合わせ先

Peter Clark, Director of Research, IASB
Telephone: +44 (0)20 7246 6451,
Email: pclark@iasb.org

Sue Bielstein, Director of Major Projects, FASB
Telephone: +1 203 956 5356,
Email: sqbielstein@fasb.org

Li Li Lian, Project Manager, IASB (フェーズA)
Telephone: +44 (0)20 7246 6486,
Email: llian@iasb.org

Jeff Johnson, Project Manager,
FASB (フェーズA)
Telephone: +1 203 956 5359,
Email: jjjohnson@fasb.org

Kimberley Crook, Technical Director – Accounting Standards,
ニュージーランドICA (フェーズD)
Telephone: +64 (0) 3 961 2413,
Email: kimberley.crook@nzica.com

編集担当者への注釈

概念フレームワークプロジェクトについて

IASB及びFASBは、2004年10月に本プロジェクトを議題に加えた。目的は、将来会計基準を開発するための強固な基礎を提供する改善された共通の概念フレームワークを開発することである。そのようなフレームワークは、原則ベースかつ内的に整合しており、資本提供者が、資本提供者と指定の立場で行う意思決定のために必要とする情報を提供する財務報告を導く基準を開発するという両審議会の目標を充足するためには不可欠である。新フレームワークは、広範な論点を取り扱うこととなるが、現行のIASB及びFASBのフレームワークを土台として築き、それらのフレームワークが創設されて以来の進展を検討する。本プロジェクトは、8つのフェーズで行われ、そのうち4つ(フェーズAからD)が現在活動中である。両審議会は、2009年に現在公表を予定している、フェーズB及びCに関する最初の協議文書について現在作業中である。

フェーズ トピック
A 目的及び質的特性
B 構成要素、認識及び認識の中止
C 測定
D 報告企業概念
E 財務報告の境界、及び表示及び開示
F フレームワークの目的及び地位
G 非営利企業へのフレームワークの適用
H もしあれば、残りの論点

国際会計基準審議会(IASB)について

国際会計基準審議会(IASB)は、2001年に設立されたIASC財団の基準設定機関であり、独立した民間の非営利組織である。IASBは、公益に資するよう、一般目的財務諸表において透明性があり比較可能な情報を提供する、高品質かつ国際的な会計基準の単一のセットを開発することを公約している。この目的を追求するため、IASBは、広範にわたる公開の協議を行っているほか、世界中の国際機関や各国機関と協力している。その14人のメンバー(うち12人は常勤)は、9か国から選ばれ、幅広い職務上の経歴を有している。彼らは、IASC財団の評議員会から選任されるとともに、これに対して説明責任を負っており、専門的な能力と、国際的なビジネス及び市場に関する経験の多様性に関して、選択し得る最良の組み合わせを選択することが要求されている。

米国財務会計基準審議会(FASB)について

FASB は、1973 年以来米国における財務会計及び財務報告基準を設定するための民間部門の機関として指定されている。それらの基準は、財務報告書の作成を規定し、証券取引委員会及び米国公認会計士協会により権威のあるものとして正式に認識されている。投資家、債権者、監査人及びその他の人々は、信頼性、透明性、比較可能性のある財務情報を必要とするため、このような基準は、経済の効率的機能にとって不可欠である。FASB に関する詳細な情報は、ホームページhttp://www.fasb.org/をご参照いただきたい。