ASBJ 企業会計基準委員会

第58回会議

IASB(国際会計基準審議会)の第58回会議が、2006年6月20日から23日までの4日間にわたりロンドンのIASB本部で開催された。今回のIASB会議では、1.金融商品、2.公正価値測定、3.国際会計基準(IAS)第37号(引当金)の改訂公開草案、4.概念フレームワーク、5.中小規模企業(SME)の会計基準、6.米国会計基準との短期統合化(1株当たり利益)、7.国際財務報告基準解釈指針委員会(IFRIC)の活動状況及び8.検討議題のタイムテーブルの見直し(テクニカルプラン)についての検討が行われた。このほか教育セッションでは、(a)英国会計基準審議会(ASB)からASBが検討中の年金会計の見直し状況及び(b)保険監督者国際機構(IAIS)からIAISが2006年3月に公表した保険会計第2フェーズに関する意見書についての説明が行われた。会議には理事13名が参加した(ライゼンリング氏は欠席)。ここでは、5.、7.及び8.を除く議論の内容を紹介する。

1.金融商品

このプロジェクトは、金融商品に関する現行の会計基準を全面公正価値の採用によって置き換えるという長期的なプロジェクトである。2006年2月27日にIASBと米国財務会計基準審議会(FASB)が公表した、今後2008年までに両者の会計基準をより一層統合化するための覚書(Memorandum of Understanding、以下「MOU」という)では、2008年までにこのプロジェクトを完成させることは無理であるため、それまでにデュー・プロセス文書(例えばディスカッション・ペーパー)の公表が目標とされている。

2006年4月のIASBとFASBの共同会議では、MOUの要求を満たすために公表する文書に含めるべき論点を示した資料を作成するようスタッフに指示が出されていた。
今回は、それを受け、1.デュー・プロセス文書の目的、2.同文書にIASBとFASBの暫定的な見解を含めるのかどうか、3.同文書の内容及び4.同文書作成の日程について議論された。このほか、公正価値の変動の表示に関する利用者の見方についての調査の結果に関する報告が行われた。

(1)デュー・プロセス文書の目的

デュー・プロセス文書の目的は次のようなものとすることが暫定的に合意された。

  1. 金融商品の現行会計基準及び実務の主張論点に関する記述
  2. 金融商品会計基準の長期的目的(全面公正価値の採用)及びそのような目的を選んだ理由に関する記述
  3. (もし合意できれば)個別論点に対する予備的見解及び少数意見の明示
  4. ボードが示した予備的見解や代替案に対する関係者の意見を聞くこと及び実務に混乱を起こすことなく長期的目的を達成するための方法に関する提言を関係者に提出してもらうこと
  5. 本プロジェクトの長期的目的と他のプロジェクトとの関係の説明

(2)予備的見解の明示

デュー・プロセス文書では、論点に対して合意に達した範囲でIASB及びFASBの予備的見解を明示することが暫定的に合意された。また、関連するプロジェクトで合意に達している予備的見解もできるだけ明示することとされた。予備的見解に達しなかった事項については、中立的な表現に留めることも暫定的に合意された。予備的見解を表明する論点には、金融商品の共通定義、金融商品の会計処理を適用する範囲及び全面公正価値会計にいたるまでの一時的な中間段階の代替処理などが考えられている。

(3)デュー・プロセス文書の内容

デュー・プロセス文書では、次のような事項を扱うことが提案され、暫定的に合意された。

第1章 範囲、定義及び範囲改訂の可能性
第2章 認識と認識の中止
第3章 測定及び損益の報告
第4章 ヘッジ会計
第5章 表示及び開示
第6章 今後の展開

第3章に関連して、認識の中止は、別のプロジェクトとして検討することとなっているので、金融商品のデュー・プロセス文書では、詳しい内容は扱わないことが暫定的に合意された。

(4)デュー・プロセス文書作成の日程

プロジェクトは、2006年9月から議論を開始し、2007年11月末での文書の公表を目指す。

(5)公正価値の変動の表示に関する調査

2005年10月のIASB・FASB合同会議で、公正価値の変動の表示に関する利用者の見方について調査することがスタッフに指示されたが、その結果について報告が行なわれた。スタッフに対しては、今後もこの調査を継続することが指示された。
スタッフの分析では、次の点が特徴として挙げられていた。

  1.  公正価値で測定された金融商品に関する更なる分解情報として、不良債権及び金利に関する情報がほしいという声があった。しかし、多くの利用者は、公正価値の変動の更なる分解情報は、重要な価値を生み出さないとの意見であった。
  2.  公正価値ベースで報告される受取及び支払金利に関するニーズはなく、発生主義ベースでの金利情報がほしいとの声が多くの利用者から寄せられた。
  3.  感応度分析やストレステストといった金融商品の将来の公正価値の変動に対するイクスポージャーに関する情報の提供に対する支持が多かった。

2.公正価値測定

IASBは、2005年9月にこのプロジェクトを開始しているが、今後FASBからの最終基準の公表(2006年第2四半期の予定)を待って、FASBの最終基準をIASBの公開草案とし、「コメントのお願い」の中で、IASBがFASBと異なる見解を持つ項目を明確にし、その点についてのコメントを求める予定としている。
今回は、次の点について議論が行なわれた。

  1.  FASBの最終基準を公開草案ではなく、ディスカッション・ペーパーとすべきかどうか
  2. 契約初日の公正価値について(取引価格と出口価値)

(1)ディスカッション・ペーパーとしての公表

当初本プロジェクトでは、FASBが完成させる公正価値測定に関する最終基準をIASBの公開草案とし公表して意見を求めることとされていた。しかし、IASBのデュー・プロセスに従って、ディスカッション・ペーパーとして公表し意見を求めるべきではないかとの指摘を受けて、今回改めて議論が行なわれた。ディスカッション・ペーパーとして公表する場合には、MOUで目標としていた2007年末までに公正価値測定に関する会計基準を完成させ、FASBとの統合化を図るという目標は達成できないこととなる。

議論の結果、MOUの目標達成より、公開草案として公表する前に関係者の意見を幅広く聞くべきであるとの意見が多く、ディスカッション・ペーパーとして公表することが暫定的に合意された。

(2)契約初日の公正価値について(取引価格と出口価値)

FASBの公正価値測定基準の公開草案で採用されている公正価値は、出口価値(その時点で売却等によって得られる価値)である。IASBも原則的にこの考え方に賛成している。ところが、現行IAS第39号(金融商品:認識及び測定)の適用ガイダンスAG64で採用されている「金融商品の当初認識時の公正価値は、通常は取引価格である」という考え方は入口価値概念であり、出口価値と矛盾することになる。この矛盾をどのように取り扱うかが今回議論された。

議論では、企業結合において取得される資産や引き受けられる負債に対しては、入口価値概念を適用する方が適切であり、この事象に出口価値を用いるべきではないとの意見が出された。この結果、ディスカッション・ペーパーの「コメントのお願い」の中で、当初認識時の測定で出口価値概念と異なる測定を行うことを求めるガイダンス(AG64)があることに関する意見を求めることとされた。

3.IAS第37号の改訂

今回は、2006年5月に続き、負債の認識に関連して、1.蓋然性規準の削除及び2.現在の債務の存在が不確かな場合における負債の存在の決定の検討が行われた。

(1)蓋然性規準の削除

今回の公開草案では、1.負債の定義を満たし、かつ、2.信頼可能な測定ができる場合、負債を認識するとされている。現行IAS第37号では、引当金は、1.過去の事象の結果として企業が現在の債務を有しており、2.当該債務の決済のために要求される経済的便益を具現する資源の流失が確かであり、かつ、3.当該債務の金額の信頼可能な見積りができる場合には、認識しなければならないとされており(第14項)、現行規準の2番目の「蓋然性規準」が削除されている。
この蓋然性規準の削除に対しては、多くの反対のコメントが寄せられた。特に、概念フレームワークの第83項では、財務諸表の構成要素の定義を満たした項目が認識されるために蓋然性規準を満たすことが求められており、蓋然性規準を削除することは、概念フレームワークに抵触するのではないかと指摘された。
この点について議論が行なわれ、次の点が蓋然性規準の削除を正当化する理由として支持された。

  1. 蓋然性規準でいう「probable」が何をさすのかは概念フレームワークでは明確に示されていない。「probable」が「可能性が50%超」を意味すると解釈すると、保証債務、製品保証及び保険負債では、請求が行なわれる可能性が50%超にならなければ負債が認識できないということになり、保証債務、製品保証及び保険負債では、当初に負債が認識されないという事態が生じてしまう。このことは、認識に当たって、蓋然性規準を適用することがいびつな結果を生むことを示唆している。
  2. 「債務の決済のために要求される経済的便益を具現する資源の流失が確かであること(蓋然性規準)」は、負債が存在しているかどうかを決定することには関連しない。「過去の事象の結果として企業が現在の債務を有して」いれば、負債が存在しているといえるからである。むしろ、蓋然性規準は、後述するように負債が存在しているかどうかが不確かな場合において、負債が存在するための判定基準として用いることができると考えられる。
  3. 負債の定義(負債とは、過去の事象から生じる現在の債務で、その決済が経済的便益を具現する資源の企業からの流出をもたらすと期待されるもの)を満たしている場合、何らかの経済的便益の流出の可能性が50%超であると考えられるので、ここでいう蓋然性規準はほとんどのケースで認識の決定要因としては機能していない。
  4. 蓋然性規準を認識規準とすることは、公開草案の考え方と一致しない。公開草案では、負債の定義を満たし、かつ、信頼可能な測定ができる場合には負債を認識するとされている。もし、ここに蓋然性規準を追加すると、例えば製品保証の場合には請求が行なわれる可能性が50%超にならなければ負債が認識できなくなり、意思決定に有用な情報の認識のタイミングが遅れることになる。公開草案の考え方では、蓋然性規準は、認識されるべき負債の測定に当たって考慮されることになる。

これを受けて、認識規準から蓋然性規準を除くこと(すなわち、公開草案の考え方)が暫定的に確認された。今後、蓋然性規準を巡る問題は、後述する負債が存在しているかどうかを決定する場合及び負債の測定に関する議論で引続き議論される。

(2)現在の債務の存在が不確かな場合における負債の存在の決定

2006年5月に引続きこの問題が議論された。現行IAS第37号では、引当金として認識するには、「過去の事象の結果として企業が現在の債務を有している」ことが求められており、多くの場合、現在の債務の存在は明確であるが、ごく稀にその存在が不確かな場合があるとされ、第15項では、そのような場合、「可能性が50%超(more likely than not)」で現在の債務が存在している可能性があれば、引当金として認識すべきとしている。しかし、この規定だけでは判断が難しい場合があり、現在の債務の存在が不確かな場合にその存在を決定するためのガイダンスを追加することが2006年5月に暫定的に合意された。

これを受けて、6月会議では、公開草案に含まれている2つの訴訟の例を取り上げて議論が行なわれた。コメントでは、訴訟の場合において、企業が現在の債務を有しているかどうかに関する十分なガイダンスが示されておらず、また、2つの訴訟の例の判断は、矛盾するのではないかという指摘があった。

公開草案で示された2つの設例は次のとおりである。

【設例1】(係争中の訴訟)

20X0年の結婚式の後、10人が死亡する。それはおそらく企業が販売した製品の食中毒によるものである。企業に損害額を要求する訴訟手続が開始している。しかしながら、企業は食品が有害であったとは考えていないことから、負債計上には反対している。20X0年12月31日の財務諸表の公表を承認する日まで、企業の顧問弁護団は、賠償を負うことは起こりえないと助言している。

この場合、公開草案では、食品が有害であるという点について争っていたとしても、訴訟手続の開始により、裁判所の命令があればそれに従わなければならない状態にある(stand ready)ことから、企業に現時点における義務が生じていると考え、訴訟手続の開始によって負債を認識すべきとしている。

【設例2】(潜在的な訴訟)

20X0年12月31日が押し迫った頃、手術中のミスによりある患者が死亡した。病院は、医療ミスの発生に気付いている。このような状況では、過去の経験からも、また弁護士のアドバイスからも、患者の遺族は訴訟手続を開始し、法廷に持ち込まれれば、病院は過失責任を負う可能性が高いとわかっている。財務諸表が承認される20X1年初頭時点では、病院は、訴状を受け取っていない。

この場合、公開草案では、現在の債務を生じさせる事象は、過失のあった手術自体であり、負債を認識すべきとしている。
議論の結果、次のような点が暫定的に合意された。

  1. コメントで指摘されているように、設例1及び2の結論は相互に矛盾している。
  2. 設例2の結論が正しい。すなわち、現在の債務を生じさせる事象は契約又は法令違反(すなわち、手術での過失行為)であり、手術での過失行為が負債を生じさせている。この判断に当たっては、違反が発見されるかもしれないというリスクは、負債の存在の判定に影響しない(しかし、これは負債の測定に影響することになる)。
  3. 設例1の結論は正しくない。訴訟手続の開始それ自体は、現在の債務を生じさせるものではないと考えるべきであり、訴訟手続の開始は、現在の債務(負債)があるかどうかを決定する際に企業が考慮すべき事実のうちのひとつである。このため、公開草案の設例1は修正すべきである。
  4. 最終基準に含まれる例示には、訴訟という文脈で負債の存在が不確かな場合(これを「要素不確定性(element uncertainty)」という)をどのように取り扱うかに関するガイダンスを追加する。

4.概念フレームワーク

2006年4月会議に引続き、フェーズB(構成要素及び認識)に関連して、資産の定義についての検討が行なわれているが、今回は、資産の定義(及び定義の一部を構成する説明文(amplifying text))を、1.農家と缶詰業者の間のとうもろこしの先物契約及び2.企業の自己の株式(ここでは未発行の株式及び自己株式をさす)という2つの場合においてどのように適用するかについて議論が行われた。

(1)資産の定義

2006年4月に合意された資産の定義は次のとおりである。
資産の定義:資産とは、企業の現在の経済的資源である。企業の資産は、3つの必須の特徴を持つ。

  1. 基礎となる経済的資源があること。
  2. 企業が経済的資源に対する権利又は他の特権的アクセスを有していること。
  3. 経済的資源及び経済的資源に対する権利の双方が貸借対照表日において存在していること。

(2) とうもろこしの先物契約

ここでは、2006年4月15日に、農家は、1,000ブッシェルのとうもろこしを2006年9月20日に固定価格(2006年4月15日のとうもろこしの市場価格と同額)で売却する契約(先物契約)を締結したと仮定する。これに、資産の定義を当てはめて議論した結果、IASBは、暫定的に次のような結論に達した。

  1. 経済的資源は、先物契約に包含されている「約束(promise)」である。缶詰業者の経済的資源は、2006年9月20日に固定価格でとうもろこしを引渡すという農家の約束である。一方、農家にとっての経済的資源は、とうもろこしを受け取り固定価格の代金を支払うという缶詰業者の約束である。先物契約の場合では、経済的資源はとうもろこし自体ではない。
  2. 農家と缶詰業者は、契約上の権利によってそれぞれの経済的資源と結び付けられている。ここで、契約上の権利は、農家と缶詰業者に対してそれぞれが保有する経済的資源(すなわち、それぞれが有する約束)を支配し、それから便益を得る手段を提供するものである。このように、契約上の権利は、経済的資源ではない。
  3. 経済的資源及び契約上の権利は、契約期間中にわたって存在していなければならない。

このように、農家と缶詰業者は、それぞれが資産を有していることになる。

なお、ここでの議論を定義に関連する説明文の中で記述することが合わせて合意された。

このほか、それぞれの資産が認識されるべきか、また、どのように測定されるべきか、さらにそれらをどのように表示すべきかについては、今後議論が行なわれる。また、農家と缶詰業者は、それぞれが先物契約に基づく負債も有することになるが、これについては、今後負債の議論の中で検討することになる。

(3) 自己の株式(未発行株式及び自己株式)

企業の株式は、発行体と株主との間の契約を表象する。そこに含まれる約束には、企業に対する所有持分、純資産に対する残余持分、配当等株主に対する配分に関連する持分及び投票権などが含まれる。契約が成立するためには 二者(発行体と外部の当事者)の契約当事者が必要である。ところが、未発行の株式及び自己株式の場合には、契約が成立するための外部の当事者が存在しない。したがって、未発行の株式及び自己株式では、経済的資源である約束が存在しないことになり、これらは、資産には該当しないということになる。議論の結果、この解釈は妥当だとされ、定義に関連する説明文の中でこの点を明確にすることが暫定的に合意された。なお、FASBも別途議論した結果、同様の結論に至っている。

5.米国会計基準との短期統合化(1株当たり利益)

1株当たり利益情報に関するIAS第33号(1株当たり利益)の規定に合わせてSFAS第128号(1株当たり利益)を改訂する作業がFASBにおいて進んでおり、FASBは、SFAS第128号の改訂のための公開草案を2005年9月末に公表した。しかし、その中で、FASBは、オプションやワラントがある場合における希薄化後1株当たり利益の計算に用いられる「金庫株方式(treasury stock method)」に関してIAS第33号とは異なる方法を採用することを決め、それを公開草案の中で提案している。
これを受けて、IASBは、次のような暫定合意に達している。

  1. 2005年11月に、FASBと同様の改訂を行なうことに暫定的に合意した。すなわち、オプションやワラントの行使によって「受領される金額(assumed proceeds)」の定義を変更し、権利行使や決済によって消滅する負債の簿価も「金庫株方式」における「受領される金額」に含めることに合意した。
  2. 2006年1月には、上記の取扱いを転換金融商品(convertible instruments)にも拡張することが暫定的に合意された。転換金融商品は、資本となる部分及び負債となる部分から構成されるが、IFRSの下では、資本部分は資本として区分表示されることとなっている(米国会計基準では両者とも負債として表示)。そのため、転換金融商品の転換によって、負債部分が消滅し資本が増えることとなるが、これは、オプションやワラントの権利行使の場合と同様な会計処理である。このため、転換金融商品の転換に伴って負債から資本に振替えられる負債の簿価も「受領される金額」に含めることが妥当とされた。さらに、これに加えて、転換金融商品の転換に伴って既に資本に区分されている部分の簿価も「受領される金額」に含めることが暫定的に合意された。これは、転換の結果、当初資本とされていた部分(これは、普通株式に優先する請求権を持っているとみなせる)が、普通株式となるので、資本の性格が変わると考えたためである。なお、この結論の結果、現在転換金融商品に対して適用されている転換仮定法(’if-converted’ method)が廃止されることとなる。

今回、スタッフから、2006年1月に合意された、転換金融商品に対しても「金庫株方式」の適用を拡張するという暫定合意(上記(b))を再考し、この暫定合意のうち下線を引いた部分を廃止することが提案された。その理由は、既に資本に含まれている部分まで「受領された金額」に含めると、改訂SFAS第128号との乖離が大きくなるため、変更項目はFASBとの統合化が進む範囲に限定すべきというものである。

議論の結果、スタッフ提案が採用された。この結果、「金庫株方式」を適用する際に「受領される金額」に含められるのは、オプションやワラントの負債に区分されている簿価のみとし、さらに、この取扱いは、転換金融商品に対しても適用されることになる。


以上
(国際会計基準審議会理事 山田辰己)

本会議報告は、会議に出席された国際会計基準審議会理事である山田辰己氏より、議論の概要を入手し、掲載したものである。