©公益財団法人 財務会計基準機構最終更新日:2026/03/04
実務対応報告第46号グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等の会計処理及び開示に関する取扱い
目 的
- 1. 2021年10月に経済協力開発機構(OECD)/主要20か国・地域(G20)の「BEPS包摂的枠組み(Inclusive Framework on Base Erosion and Profit Shifting)」において、当該枠組みの各参加国によりグローバル・ミニマム課税について合意が行われた。これを受けて、我が国においてもグローバル・ミニマム課税制度を導入するための法人税法の改正が数年にわたって行われる予定である。
- 2. 本実務対応報告は、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税及び地方法人税(以下「法人税等」という。)の会計処理及び開示の取扱いを明らかにすることを目的とする。
範 囲
- 3. 本実務対応報告は、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等に関する会計処理及び開示に適用する。
用語の定義
- 4. 本実務対応報告において、「法人税」、「地方法人税」、「住民税」、「事業税」及び「所得」は、企業会計基準第27号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(以下「法人税等会計基準」という。)における定義と同様とする。
- 5. また、本実務対応報告において、「対象会計年度」とは、法人税法第15条の2に規定する多国籍企業グループ等の最終親会社等の連結等財務諸表(法人税法第82条第1号)の作成に係る期間をいう。
会計処理
連結財務諸表及び個別財務諸表における取扱い
- 6. グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等については、対象会計年度となる連結会計年度及び事業年度において、財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき当該法人税等の合理的な金額を見積り、損益に計上する。
期中財務諸表及び第二種中間財務諸表等における取扱い
- 7. 期中財務諸表並びに第二種中間連結財務諸表及び第二種中間財務諸表(以下「第二種中間財務諸表等」という。)においては、前項の定めにかかわらず、当面の間、当期中会計期間及び第二種中間財務諸表等を作成する場合の当中間会計期間を含む対象会計年度に関するグローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等を計上しないことができる。
開 示
貸借対照表における表示
- 8. グローバル・ミニマム課税制度に係る未払法人税等のうち、貸借対照表日の翌日から起算して1年を超えて支払の期限が到来するものは、法人税等会計基準第11項の定めにかかわらず、連結貸借対照表及び個別貸借対照表の固定負債の区分に長期未払法人税等などその内容を示す科目をもって表示する。
損益計算書における表示及び注記
連結損益計算書における表示及び注記
- 9. 連結損益計算書において、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等は、「法人税、住民税及び事業税」等の適切な科目(法人税等会計基準第2項なお書き及び第9項)をもって表示する。
- 10. 連結損益計算書において、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等が重要な場合は、当該金額を注記する。
個別損益計算書における表示及び注記
- 11. 個別損益計算書において、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等は、「法人税、住民税及び事業税」等の適切な科目(法人税等会計基準第9項)の次にその内容を示す科目をもって区分して表示するか、「法人税、住民税及び事業税」等の適切な科目(法人税等会計基準第9項)に含めて表示し当該金額を注記する。
- 12. 個別損益計算書において、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等の金額の重要性が乏しい場合、前項の定めにかかわらず、「法人税、住民税及び事業税」等の適切な科目(法人税等会計基準第9項)に含めて表示することができる。この場合は当該金額の注記を要しない。
期中財務諸表及び第二種中間財務諸表等における注記
- 13. 期中財務諸表及び第二種中間財務諸表等を作成する場合において、第7項を適用するときは、その旨を注記する。
適用時期等
- 14. 本実務対応報告は、2024年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用する。
- 15. 第13項の四半期財務諸表及び中間財務諸表における注記の定めについては、前項の定めにかかわらず、2025年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用する。
議 決
- 16. 本実務対応報告は、第522回企業会計基準委員会に出席した委員12名全員の賛成により承認された。
結論の背景
経 緯
- BC1. 2021年10月に経済協力開発機構(OECD)/主要20か国・地域(G20)の「BEPS包摂的枠組み(Inclusive Framework on Base Erosion and Profit Shifting)」において、当該枠組みの各参加国によりグローバル・ミニマム課税について合意が行われた。これを受けて、我が国においてもグローバル・ミニマム課税制度を導入するための法人税法の改正が数年にわたって行われる予定である。
- グローバル・ミニマム課税は、法人税の国際的な引下げ競争に歯止めをかけ、税制面における企業間の公平な競争条件を確保するため、国際的に合意されたものであり、一定の要件を満たす多国籍企業グループ等の国別の利益に対して最低15%の法人税を負担させることを目的としている。
- 国際的に合意されたグローバル・ミニマム課税のルールは、所得合算ルール(Income Inclusion Rule(IIR))、軽課税所得ルール(Undertaxed Profits Rule(UTPR))及び国内ミニマム課税(Qualified Domestic Minimum Top-up Tax(QDMTT))があり、このうち所得合算ルール(IIR)に係る取扱いが2023年3月28日に成立した「所得税法等の一部を改正する法律」(令和5年法律第3号)(以下「令和5年法律第3号」という。)において定められ、2024年4月1日以後開始する対象会計年度から適用することとされた。
- これは、多国籍企業グループ等を構成する会社等について国別に算定された実効税率が基準税率(15%)を下回る場合、国別に集計された純所得(利益)に対する基準税率に至るまでの税額を親会社等がその所在地国の税務当局に支払うものであることから、当該課税の源泉となる純所得(利益)が生じる企業と納税義務が生じる企業が相違する新たな税制である。
- このため、現行の法人税等会計基準及び企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」等では、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等(当期税金)及び当該法人税等に関する税効果会計についてどのように取り扱うかが明らかでないとの意見が聞かれた。これを受けて、当委員会において2023年1月より審議を開始し、税効果会計の取扱いについては、令和5年法律第3号の成立日以後に終了する連結会計年度及び事業年度の決算に係る税効果会計の適用の要否を明らかにする必要があったため、2023年3月に実務対応報告第44号「グローバル・ミニマム課税に対応する法人税法の改正に係る税効果会計の適用に関する当面の取扱い」(以下「実務対応報告第44号」という。)を公表した。
- その後、当委員会は、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等(当期税金)及び同制度適用後の税効果会計の取扱いについて審議を行った。
- 本実務対応報告は、2023年11月に公表した実務対応報告公開草案第67号「グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等の会計処理及び開示に関する取扱い(案)」に対して寄せられた意見を踏まえて検討を行い、公開草案の内容を一部修正した上で、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等(当期税金)の会計処理及び開示の取扱いについて公表するに至ったものである。
グローバル・ミニマム課税制度の特徴
申告及び納付期限
- BC2. グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等については、各対象会計年度終了の日の翌日から1年3か月(グローバル・ミニマム課税制度に関する申告書を最初に提出すべき場合には1年6か月)以内に申告書を提出しなければならないとされ、当該申告期限までに納付することが求められている。
対象範囲の判定
- BC3. グローバル・ミニマム課税制度は、国別実効税率が15%を下回る場合に基準税率15%に至るまで追加的に課税を行うことを主要な定めとするものであるため、国別にグローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等の課税の対象となる子会社等を判定することが求められる。当該対象範囲の判定にあたっては、主に次のような特徴があると考えられる。
- (1) 国別実効税率は、各国の税額控除等を反映した後の税率であることから、当該国の法定実効税率が15%以上となる場合であっても、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等が課せられることがある。このため、対象範囲の判定にあたって、当該国の法定実効税率のみに基づき判断することができず、本項(2)の情報を収集することが求められる。
- (2) グローバル・ミニマム課税制度の対象範囲の判定を行うに際しては、恒久的施設等及び特殊な会社等(共同支配会社等、被少数保有構成会社等及び各種投資会社等)に関する国別の情報(会計数値及びグローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等の算定に使用する会計数値以外の個別計算所得等の金額や調整後対象租税額の算定に使用する調整項目に関する情報等)を入手することが求められる。
個別計算所得等の金額及び調整後対象租税額等の算定
- BC4. 個別計算所得等の金額及び調整後対象租税額等の算定に際しては、主に次のような特徴があると考えられる。
- (1) 各構成会社等の個別計算所得等の金額は、当該構成会社等の各対象会計年度に係る当期純損益金額に一定の調整を行い算定されるが、当該調整項目については、例えば、適格給付付き税額控除額の調整等、各構成会社等の所在地国の税制の理解が必要となる場合がある。また、例えば、恒久的施設等がある場合には、当該恒久的施設等の単位で個別計算所得等の金額を算定することとなるため、子会社等から恒久的施設等の金額を切り分ける必要がある。さらに、各調整項目の影響が重要か否かは項目ごとに一律ではなく、各構成会社等により異なると考えられる。
- (2) 国別実効税率の算定の基礎となる調整後対象租税額は、会計上の法人税、住民税及び事業税等並びに法人税等調整額の合計額に一定の調整を加えて算定されるが、当該金額は、対象会計年度終了の日から3年以内に支払われることが見込まれない法人税、住民税及び事業税等や対象会計年度終了の日から5年以内に支払われることが見込まれない部分の繰延税金負債に係る法人税等調整額の調整などが求められている。また、調整後対象租税額の算定にあたっても、国別に切り分けた情報や、各構成会社等の所在地国の税制の理解が必要になる。
会計処理
連結財務諸表及び個別財務諸表における取扱い
グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等の計上時期及び見積りに関する取扱い
- BC5. グローバル・ミニマム課税制度については、本実務対応報告BC2項に記載のとおり、申告及び納付期限が各対象会計年度終了の日の翌日から1年3か月(グローバル・ミニマム課税制度に関する申告書を最初に提出すべき場合には1年6か月)以内とされており、通常の法人税等の申告期限の翌事業年度での申告が認められている。
- また、実務対応報告第44号の公開草案に対して、税効果会計のみならず、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等の見積りにおいても困難が想定されることから、当該金額の見積りに関する当面の取扱い又は見積りに関する具体的な指針を示すことを求める意見が寄せられていた。
- このため、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等の計上時期及び見積りに関する取扱いについて検討を行った。
(法人税等の計上時期)
- BC6. グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等については、多国籍企業グループ等の当連結会計年度(対象会計年度)の連結財務諸表を構成する会社等の国別の純所得(利益)に基づいて算定されるものであり、当該制度がグループの国別の利益に対して最低15%の法人税を負担させることを目的としていることを踏まえると、連結財務諸表において当連結会計年度以外の年度に計上することは、税金等調整前当期純利益と、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等を含めた法人税、住民税及び事業税等とが対応しないこととなるため、適切ではないと考えられる。
- BC7. また、個別財務諸表においては、親会社等の所得(利益)に対する税には直接的には該当しないものの、納税義務を生じさせる事象が対象会計年度となる当事業年度において生じている。
- BC8. このため、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等については、対象会計年度となる連結会計年度及び事業年度において当該法人税等の額を見積り、損益に計上することとした(第6項参照)。
(見積りに関する取扱い)
- BC9. 法人税等会計基準第5項では、当事業年度の所得等に対する法人税、住民税及び事業税等については、同項(1)及び(2)を除き、法令に従い算定した額を損益に計上することとしている。一方、財務諸表作成者からは、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等の見積りについては、本実務対応報告BC2項からBC4項の特徴を踏まえて、対象範囲の判定や個別計算所得等の金額等の算定にあたって必要な情報を適時かつ適切に入手することが困難である場合があり、対象会計年度となる連結会計年度及び事業年度の決算時において、これらの情報を適時に入手し、当該金額を算定することは困難である場合があるとの意見が聞かれた。このため、本実務対応報告では、当該意見を踏まえて、財務諸表の作成時点において一部の情報の入手が困難な場合の見積りに関する考え方を示すこととした。
- BC10. 特にグローバル・ミニマム課税制度の適用初年度については、通常の法人税等とは異なるグローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等を算定するための新たな調整項目の把握や、各構成会社等からの情報を入手する体制の構築等が必要となるものの、関連する法令等の公表からグローバル・ミニマム課税制度の適用開始までの期間が短いことから、前項に記載のとおり従来情報を入手していない各構成会社等からの情報や国別報告事項等の必要な情報を適時かつ適切に入手する体制の構築等が困難な場合があると想定される。ここで、会計上の見積りは、財務諸表作成時に入手可能な情報に基づいて、その合理的な金額を算出することになるため(企業会計基準第24号「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(以下「企業会計基準第24号」という。)第4項(3))、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等の見積りにあたって、対象会計年度となる連結会計年度及び事業年度において適時に情報を入手することが困難な場合においては、財務諸表の作成時点で入手可能な対象会計年度に関する情報に基づきグローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等を見積ることとなる。
- BC11. 一方、適用初年度の翌年度以降は、情報を入手する体制の構築等により申告に向けて入手可能となる情報が増加し、さらに申告が行われた年度以降は当該体制の整備や実績値の把握等によって、より精緻な見積りが可能となると考えられる。このように、見積りの基礎となる情報に関して、財務諸表作成後、申告期限までの間に新たに情報が入手可能となることがあり、また、体制の整備等により適時に見積ることが可能となることから、グローバル・ミニマム課税制度が適用されるにつれて不確実性が解消されより合理的な見積りが行われることになると考えられる。
- ここで、企業が当事業年度の財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき見積った金額と翌事業年度の見積金額又は確定額との間に差額が生じる場合があるが、各事業年度において財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき当該法人税等の合理的な金額を見積っている限り、当該差額は誤謬にはあたらず、当期の損益として処理することになると考えられる。また、会計上の見積りの変更にあたって、当該差額に重要性がある場合には、企業会計基準第24号第18項の定めに従い注記を行うこととなると考えられる。
期中財務諸表及び第二種中間財務諸表等における取扱い
- BC12. 期中財務諸表においては、親会社及び連結子会社の法人税その他利益に関連する金額を課税標準とする税金は、期中会計期間を含む年度の法人税等の計算に適用される税率に基づき、原則として年度決算と同様の方法により計算することとしている(企業会計基準第37号「期中財務諸表に関する会計基準」第16項)。
- しかしながら、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等は対象会計年度の年間の利益や税額控除等を用いて対象範囲の判定や見積りを行うため、期中会計期間の利益等に基づき、年度と同様の方法により計算することが困難な場合があると考えられる。
- また、期中財務諸表は、一定の簡便的な会計処理が認められており、年度の連結財務諸表及び個別財務諸表と比較して、開示すべき項目も限定的であることに鑑みると、期中財務諸表の作成にあたって入手している情報は、年度の連結財務諸表及び個別財務諸表の作成にあたって入手する情報よりも限定的な情報であると考えられることから、期中財務諸表においては、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等を合理的に見積ることが年度に比して困難な場合があると考えられる。
- BC13. 本実務対応報告の公表時点では、グローバル・ミニマム課税制度が適用されておらず、企業が期中会計期間において、適時に情報を入手し、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等を合理的に見積ることが可能であるかどうかについては追加的な検討が必要であると考えられる。
- このため、期中財務諸表においては、当面の間、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等を計上しないことができることとした(第7項参照)。その具体的な期間は、当委員会が追加的な検討を行い、当該取扱いを改正するまでの間であることを想定している。
- BC14. 第二種中間財務諸表等における税金費用の会計処理については、原則として、中間会計期間を一事業年度とみなして、年度決算と同様の方法により計算することとしている(企業会計基準適用指針第29号「中間財務諸表等における税効果会計に関する適用指針」第5項)。
- しかしながら、第二種中間財務諸表等についても、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等について、第二種中間財務諸表等を作成する場合の中間会計期間の利益等に基づき、年度と同様の方法により計算することが困難な場合があると考えられる。また、本実務対応報告の公表時点では、グローバル・ミニマム課税制度が適用されておらず、企業が第二種中間財務諸表等を作成する場合の中間会計期間において、適時に情報を入手し、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等を合理的に見積ることが可能であるかどうかについては追加的な検討が必要であると考えられる状況は、期中財務諸表における状況と同様であると考えられる。
- このため、第二種中間財務諸表等においても、当面の間、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等を計上しないことができることとした(本実務対応報告第7項参照)。
開 示
貸借対照表における表示
- BC15. 法人税等会計基準第11項では、法人税、住民税及び事業税等のうち納付されていない税額は、貸借対照表の流動負債の区分に、未払法人税等などその内容を示す科目をもって表示することとしている。法人税等会計基準第11項において流動負債の区分に表示することを求めているのは、通常の法人税等の申告及び納付期限(原則として各事業年度終了の日の翌日から2か月以内)を前提としているためであると考えられる。
- 一方、グローバル・ミニマム課税制度の申告及び納付期限は、本実務対応報告BC2項に記載のとおり、各対象会計年度終了の日の翌日から1年3か月又は1年6か月以内であるため、審議の過程では、貸借対照表における表示の区分を明確にすべきとの意見が聞かれた。
- BC16. ここで、未払法人税等は、営業活動のみならず、投資活動及び財務活動を含めた企業活動の成果である利益を課税標準とする法人税、住民税及び事業税等の債務であり、企業の主たる営業取引により発生した債務には該当しないと考えられる。このため、支払の期限が貸借対照表日の翌日から起算して1年を超えるかどうかに基づき流動負債と固定負債を分類することが適当であると考えられることから、グローバル・ミニマム課税制度に係る未払法人税等については、貸借対照表日の翌日から起算して1年を超えて支払の期限が到来するか否かに基づき、流動負債に表示するか、固定負債に表示するか区分することとし、固定負債に表示する場合には、長期未払法人税等などその内容を示す科目をもって表示することとした(第8項参照)。
損益計算書における表示及び注記
連結損益計算書における表示及び注記
- BC17. BC1項に記載のとおり、グローバル・ミニマム課税は、多国籍企業グループ等の国別の利益に対して最低15%の法人税を負担させることを目的としており、我が国におけるグローバル・ミニマム課税制度は、軽課税国に所在する子会社等の税負担が国際的に合意された基準税率(15%)に至るまで親会社等の所在する我が国で課税を行う制度である。
- BC18. 具体的には、子会社等において当該子会社等の所在地国の税率に基づいて法人税等が計上され、さらに親会社等において基準税率(15%)と子会社等の所在地国の税率との差に基づいて、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等が計上されることにより、その合計が連結財務諸表における税金等調整前当期純利益に対するグローバル・ミニマム課税制度の基準税率(15%)に相当する法人税等として計上されることとなる。
- BC19. 連結財務諸表における税金等調整前当期純利益とグローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等との対応を図るためには、連結損益計算書において、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等は、「法人税、住民税及び事業税」等の適切な科目(法人税等会計基準第2項なお書き及び第9項)をもって表示することが考えられる(本実務対応報告第9項参照)。
- BC20. 一方、連結財務諸表におけるグローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等については、「国際的な税制改革-第2の柱モデルルール(IAS第12号の修正)」(以下「修正IAS第12号」という。)において、第2の柱の法人所得税について区分して開示することが求められている。また、本実務対応報告第11項では、個別損益計算書においてグローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等について区分表示又は注記を求めることとしている。
- BC21. 連結財務諸表においても区分表示又は注記を求めるかどうかの検討を行い、公開草案においては、修正IAS第12号では、第2の柱の法人所得税の大きさを企業全体の税金費用との比較で財務諸表利用者が理解するのに役立つとしているものの、連結財務諸表におけるグローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等については、グループの利益(所得)に対する課税額という点では、他の法人税、地方法人税、住民税及び事業税(所得割)と同様であるため、「法人税、住民税及び事業税」等の適切な科目(法人税等会計基準第2項なお書き及び第9項)に表示し、区分表示又は注記を求めないことを提案した。
- BC22. これに対し、公開草案の提案に賛成する意見のほか、修正IAS第12号との比較可能性を重視し、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等の区分表示又は注記を行うことが必要であるとの意見や、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等は、他の法人税、地方法人税、住民税及び事業税(所得割)より不確実性が高いと考えられることから、重要な場合には区分表示又は注記をすることで有用な情報が提供されるとの意見が聞かれた。
- BC23. グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等は、他の法人税等より不確実性が高いと考えられることから、連結財務諸表において注記を行うことにより有用な情報が提供されると考えられる。一方、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等については、通常の法人税等の計算とは別に算定し金額を把握しているため注記に関する追加的なコストが大きくないと考えられる。したがって、情報の有用性及びコストを勘案し、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等が重要な場合は、当該金額の注記を求めることとした(第10項参照)。この際、重要であるか否かは企業のキャッシュ・フローの金額、時期及び不確実性を財務諸表利用者が理解するために有用であるかどうかを踏まえて判断することになると考えられる。
個別損益計算書における表示及び注記
- BC24. グローバル・ミニマム課税制度は、本実務対応報告BC1項に記載のとおり、課税の源泉となる純所得(利益)が生じる企業と納税義務が生じる企業が相違する制度であることから、当該制度に係る法人税等は納税義務が生じる親会社等の所得(利益)に対する税には直接的には該当しない。この点、法人税等会計基準では、損益に計上する所得に対する法人税、地方法人税、住民税及び事業税(所得割)は、税引前当期純利益(又は損失)の次に、法人税、住民税及び事業税などその内容を示す科目をもって表示することとしている(法人税等会計基準第9項)一方で、事業税の付加価値割及び資本割については、原則として、損益計算書の販売費及び一般管理費として表示することとしている(法人税等会計基準第10項)。このため、審議の過程では、個別損益計算書上、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等について、税引前当期純利益(又は損失)の次に表示するか、販売費及び一般管理費等の損益項目として表示するかについて検討を行った。
- BC25. グローバル・ミニマム課税制度は、各子会社等の所得に対して当該各子会社等自身が納税するのではなく、軽課税国の子会社等の純所得(利益)に対して最低15%の法人税を負担させることを目的とし、軽課税国の国別実効税率が15%を下回る場合に基準税率15%に至るまで親会社等が追加的に納税する新たな税制である。当該税制に係る法人税等は、納税義務が生じる親会社等の所得(利益)に対する税には直接的には該当しないため、前項の考えに従えば、税引前当期純利益(又は損失)の内訳として表示することになる。しかしながら、連結損益計算書において法人税等として計上することを考慮した場合、連結財務諸表と個別財務諸表とで表示区分が異なることが必ずしも財務諸表利用者に理解しやすい情報を提供しないと考えられたため、個別財務諸表における表示について、連結財務諸表における表示と合わせることとし、販売費及び一般管理費等の損益項目として表示せずに、税引前当期純利益(又は損失)の次に表示することとした。
- ここで、課税の源泉となる各子会社等の個別計算所得等の金額は、親会社等の個別財務諸表上、法人税等会計基準第4項(7)において定義する所得には含まれないことから、親会社等の所得に対して計上される法人税、地方法人税、住民税及び事業税(所得割)とは区分することが適切であると考えられる。このため、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等については、重要性が乏しい場合を除き、「法人税、住民税及び事業税」等の適切な科目(法人税等会計基準第9項)の次にその内容を示す科目をもって区分して表示するか、「法人税、住民税及び事業税」等の適切な科目(法人税等会計基準第9項)に含めて表示し当該金額を注記することとした(本実務対応報告第11項及び第12項参照)。
期中財務諸表及び第二種中間財務諸表等における注記
- BC26. 第7項の定めにより、期中財務諸表においては、当面の間、代替的な会計処理が認められることとなるため、審議の過程では、この当面の取扱いを適用した場合に注記を行うかどうかの検討を行った。BC3項に記載の特徴を踏まえると、期中会計期間において当年度の対象範囲の判定を行うことが困難である等の理由により当期中会計期間を含む対象会計年度においてグローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等が生じるかどうかの判断が困難な場合があると考えられるが、当期中会計期間を含む当連結会計年度及び当事業年度において、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等が重要であると見込まれる場合には、その旨の注記を行うことが有用であるという意見があった。
- このため、公開草案において、判断が困難な場合等を考慮し、次のいずれの要件も満たす場合に第7項を適用するときは、その旨を注記することを提案した。
- (1) 前連結会計年度及び前事業年度においてグローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等を計上している。
- (2) 当期中会計期間において、当連結会計年度及び当事業年度におけるグローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等が重要であることが合理的に見込まれる。
- BC27. しかしながら、前項(1)の要件については、前連結会計年度及び前事業年度においてグローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等を計上していない場合でも、当連結会計年度及び当事業年度にグローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等が生じると考えられる場合には情報の有用性から注記を求めるべきであり、当該要件を含めるべきではないとの意見があった。また、前項(2)の要件については判断が困難であることから削除すべきであるとの意見があった。
- BC28. BC26項(1)及び(2)の要件をいずれも削除した場合、前連結会計年度及び前事業年度においてグローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等を計上していない場合も当期中会計期間を含む対象会計年度においてグローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等が生じるかどうかの判断が必要となるが、当連結会計年度及び当事業年度におけるグローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等が重要であることが合理的に見込まれるかどうかの追加的な判断は求めないことから、公開草案の提案と比較して大きく実務上の負担が増加することにはならないと考えられる。
- BC29. また、BC26項(1)の要件を削除した場合、前連結会計年度及び前事業年度においてグローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等を計上していない場合でも、当期中会計期間を含む対象会計年度にグローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等が生じると考えられる場合に第7項を適用するときは、その旨が注記されることとなり、財務諸表利用者に有用な情報が提供されることになると考えられる。
- BC30. したがって、期中財務諸表における注記について、前連結会計年度及び前事業年度においてグローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等を計上しているかどうかにかかわらず、期中財務諸表を作成する場合において、第7項を適用するときは、その旨を注記することとした(第13項参照)。
- BC31. 第二種中間財務諸表等を作成する場合の中間会計期間においても、期中会計期間と同様に、当年度の対象範囲の判定を行うことが困難である等の理由により第二種中間財務諸表等を作成する場合の当中間会計期間を含む対象会計年度においてグローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等が生じるかどうかの判断が困難な場合があると考えられる。このため、第二種中間財務諸表等を作成する場合の当中間会計期間においても、第7項を適用するときは、その旨を注記することとした(第13項参照)。
適用時期等
- BC32. グローバル・ミニマム課税制度は2024年4月1日以後開始する対象会計年度から適用されることから、本実務対応報告についても、2024年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用することとした(第14項参照)。
- BC33. 第13項の四半期財務諸表及び中間財務諸表における注記の定めにより、企業は四半期会計期間及び中間会計期間において、当四半期会計期間等及び当中間会計期間等を含む対象会計年度においてグローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等が生じるかどうかの判断が求められることとなる。グローバル・ミニマム課税制度は2024年4月1日以後開始する対象会計年度から適用されることとなるが、当該制度に関連する法令等の公表から当該制度の適用開始までの期間が短く、また、本実務対応報告の公表から適用までの準備期間も短いことから、特に適用初年度については、当四半期会計期間等及び当中間会計期間等を含む対象会計年度においてグローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等が生じるかどうかの判断をすることは困難であると考えられる。このため、第13項の四半期財務諸表及び中間財務諸表における注記の定めについては、2025年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用することとした(第15項参照)。
- 以 上