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企業会計基準適用指針第19号金融商品の時価等の開示に関する適用指針
目 的
- 1. 本適用指針は、企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」(以下「金融商品会計基準」という。)における「Ⅶ-2. 注記事項」を適用する際の指針を定めることを目的とする。
適用指針
範 囲
- 2. 本適用指針は、原則として、金融商品会計基準等(金融商品会計基準及びその実務指針や本適用指針以外の適用指針を含む。以下同じ。)が適用されるすべての金融商品について適用する。したがって、次に掲げるものについては本適用指針の対象外となる。なお、新株予約権など純資産の部に計上されることとなるものについては、本適用指針を適用しない。
- (1) 保険契約
- (2) 退職給付債務
注記事項
金融商品の状況に関する事項
- 3. 「金融商品の状況に関する事項」(金融商品会計基準第40-2項(1))を注記するにあたっては、以下に留意する。ただし、重要性が乏しいものは注記を省略することができる。なお、連結財務諸表において注記している場合には、個別財務諸表において記載することを要しない。
- (1) 金融商品に対する取組方針(金融商品会計基準第40-2項(1)①)
- ① 金融商品に対する取組方針には、金融資産であれば資金運用方針、金融負債であれば資金調達方針及びその手段(内容)、償還期間の状況などが含まれる。
- ② 金融資産と金融負債との間や金融商品と非金融商品との間に重要な関連がある場合には、その概要を記載する。
- ③ 金融商品の取扱いが主たる業務である場合には、当該業務の概要について記載する。
- (2) 金融商品の内容及びそのリスク(金融商品会計基準第40-2項(1)②)
- ① 金融商品の内容には、取り扱っている主な金融商品の種類(例えば、有価証券であれば、株式及び債券等、デリバティブ取引であれば、先物取引、オプション取引、先渡取引及びスワップ取引等)やその説明が含まれる。
- ② 金融商品に係るリスクには、取引相手先の契約不履行に係るリスク(信用リスク)や市場価格の変動に係るリスク(市場リスク)、支払期日に支払いを実行できなくなるリスク(資金調達に係る流動性リスク)が含まれる。市場リスクについては、為替、金利などの種類ごとに記載し、また、金融商品に係る信用リスクが、ある企業集団、業種や地域などに著しく集中している場合には、その概要(貸借対照表計上額及び契約額に対する当該信用リスクを有する取引相手先の金額の割合を含む。)を記載する。
なお、金融商品の内容及びそのリスクに関する記載には、現物の金融資産又は金融負債(現物の金融資産又は金融負債にリスクが及ぶ可能性がないことなどにより一体として処理しているその他の複合金融商品(金融商品会計基準第40項)を含む。)のうちでリスクが高いものや、デリバティブ取引の対象物の価格変動に対する当該取引の時価の変動率が大きい特殊なものについては、その概要(貸借対照表の科目及び計上額、並びに商品性(金利、償還期限等)に係る説明など)が含まれることに留意する。 - ③ デリバティブ取引については、取引の内容、取引に係るリスクのほか、取引の利用目的(ヘッジ会計を行っている場合には、ヘッジ手段とヘッジ対象、ヘッジ方針及びヘッジの有効性の評価方法等についての説明を含む。)を記載する。
- (3) 金融商品に係るリスク管理体制(金融商品会計基準第40-2項(1)③)
金融商品に係るリスク管理体制には、リスク管理方針、リスク管理規程及び管理部署の状況、リスクの減殺方法又は測定手続等が含まれる。
特に、総資産及び総負債の大部分を占める金融資産及び金融負債の双方が事業目的に照らして重要であり、主要な市場リスクに係るリスク変数(金利や為替、株価等)の変動に対する当該金融資産及び金融負債の感応度が重要な企業は、本適用指針第4項(1)に基づき注記される科目について、次の①又は②の事項を記載する。 - ① リスク管理上、市場リスクに関する定量的分析を利用している金融商品
当該分析に基づく定量的情報及びこれに関連する情報(利用状況、算定方法や主な前提条件、これらが前年度と異なる場合にはその旨及び理由などを含む。) - ② リスク管理上、市場リスクに関する定量的分析を利用していない金融商品
- ア リスク管理上、市場リスクに関する定量的分析を利用していない旨
- イ リスク変数の変動を合理的な範囲で想定した場合における貸借対照表日の時価の増減額及びこれに関連する情報(算定方法や主な前提条件、これらが前年度と異なる場合にはその旨及び理由などを含む。)。当該情報が当該企業の市場リスクの実態を適切に示していないと考えられる場合(例えば、貸借対照表日現在の金融資産又は金融負債に関連する主要な市場リスクが、期中の当該リスクを反映していない場合)には、その旨及びそのように考える理由を追加して記載する。
- (4) 金融商品の時価等に関する事項についての補足説明(金融商品会計基準第40-2項(1)④)
金融商品の時価等に関する事項についての補足説明には、金融商品の時価に関する重要な前提条件などが含まれる。
金融商品の時価等に関する事項
- 4. 「金融商品の時価等に関する事項」(金融商品会計基準第40-2項(2))については、以下を注記する。ただし、重要性が乏しいものは注記を省略することができる。なお、連結財務諸表において注記している場合には、個別財務諸表において記載することを要しない。
- (1) 原則として、リース負債を除く金融商品について、貸借対照表の科目ごとに、貸借対照表計上額、貸借対照表日における時価及びその差額を注記する。ただし、現金及び短期間で決済されるため時価が帳簿価額に近似するものについては、注記を省略することができる。
なお、有価証券及びデリバティブ取引については、当該有価証券又はデリバティブ取引により生じる正味の債権又は債務等の内容を示す名称を付した科目をもって貸借対照表上に掲記していない場合でも注記する。また、貸借対照表上の掲記にかかわらず、有価証券については、流動資産における項目と固定資産における項目とを合算して注記することができ、デリバティブ取引については、資産項目と負債項目とを合算して注記することができる。
また、貸借対照表において契約資産を顧客との契約から生じた債権等の金融資産と区分して表示していない場合、当該貸借対照表の科目について、貸借対照表計上額、貸借対照表日における時価及びその差額を注記する。ただし、当該貸借対照表の科目のうち、契約資産を除く顧客との契約から生じた債権等の金融資産について、貸借対照表計上額、貸借対照表日における時価及びその差額を注記することも妨げない。
加えて、個別財務諸表における子会社株式及び関連会社株式については、個別財務諸表上、子会社株式と関連会社株式にそれぞれ区別して注記する。
なお、金融商品の時価は、金融商品会計基準等に定める時価に基づいて算定するものとし、委託手数料等取引に付随して発生する費用は含めないものとする。 - (2) 有価証券については、(1)に加えて、保有目的ごとの区分に応じ、次の事項を注記する。
- ① 売買目的有価証券
当期の損益に含まれた評価差額 - ② 満期保有目的の債券
- ア 当該債券を、貸借対照表日における時価が貸借対照表日における貸借対照表計上額を超えるもの及び当該時価が当該貸借対照表計上額を超えないものに区分し、当該区分ごとの当該貸借対照表計上額、当該時価及びその差額
- イ 当期中に売却したものがある場合には、債券の種類ごとの売却原価、売却額、売却損益及び売却の理由
なお、アの注記にあたっては、債券の種類ごとに区分して記載することができる。 - ③ その他有価証券
- ア 当該有価証券を、貸借対照表日における貸借対照表計上額が取得原価又は償却原価を超えるもの及び当該貸借対照表計上額が取得原価又は償却原価を超えないものに区分し、当該区分ごとの取得原価又は償却原価、当該貸借対照表計上額及びその差額
- イ 当期中に売却したものがある場合には、売却額、売却益の合計額及び売却損の合計額
なお、当該注記にあたっては、有価証券の種類(株式及び債券等)ごとに区分して記載する。また、アの注記にあたって、債券については種類ごとに区分して記載することができる。 - ④ 当期中に売買目的有価証券、満期保有目的の債券、子会社株式及び関連会社株式並びにその他有価証券の保有目的を変更した場合には、その旨、変更の理由(満期保有目的の債券の保有目的を変更した場合に限る。)及び当該変更が財務諸表に与えている影響の内容を注記する。
- ⑤ 当期中に有価証券の減損処理を行った場合には、減損処理を行った旨及び減損処理額を注記する。
- (3) デリバティブ取引については、(1)に加えて、取引の対象物の種類(通貨、金利、株式、債券及び商品等)ごとに、次の事項を注記する。
- ① ヘッジ会計が適用されていないもの
- ア 貸借対照表日における契約額又は契約において定められた元本相当額
- イ 貸借対照表日における時価
- ウ 貸借対照表日における評価損益
なお、当該注記にあたっては、デリバティブ取引の種類(先物取引、オプション取引、先渡取引及びスワップ取引等)による区分、市場取引とそれ以外の取引の区分、買付約定に係るものと売付約定に係るものの区分、貸借対照表日から取引の決済日又は契約の終了時までの期間による区分等の区分により、デリバティブ取引の状況が明瞭に示されるように記載する。 - ② ヘッジ会計が適用されているもの
- ア 貸借対照表日における契約額又は契約において定められた元本相当額
- イ 貸借対照表日における時価
なお、当該注記にあたっては、ヘッジ会計の方法、デリバティブ取引の種類、ヘッジ対象の内容等の区分により、ヘッジ会計の状況が明瞭に示されるように記載する。また、イの注記にあたり、金利スワップの特例処理(金融商品会計基準(注14))及び為替予約等の振当処理(外貨建取引等会計処理基準注解(注7)。ただし、予定取引をヘッジ対象としている場合を除く。)については、ヘッジ対象と一体として、当該ヘッジ対象の時価に含めて注記することができる。 - (4) 金銭債権及び満期がある有価証券(ただし、売買目的有価証券を除く。)については、償還予定額の合計額を一定の期間に区分した金額を注記する。なお、有価証券及び投資有価証券については、その他有価証券及び満期保有目的の債券の別に、それぞれ有価証券の種類ごと(株式及び債券等をいい、債券である場合には債券の種類ごと)に注記する。
- (5) 社債、長期借入金、リース負債及びその他の有利子負債については、返済予定額の合計額を一定の期間に区分した金額を注記する。
- (6) 金銭債務については、貸借対照表日における時価の開示((1)参照)に加えて、次の金額のいずれかを開示することができる。ただし、この場合には、当該金額の算定方法及び時価との差額についての適切な補足説明を行う。
- ① 約定金利に金利水準の変動のみを反映した利子率(貨幣の時間価値だけを反映した無リスクの利子率の変動のみを加味し、企業自身の信用リスクの変化は反映しない利子率)で割り引いた金銭債務の金額
- ② 無リスクの利子率(企業自身の信用リスクは反映しない利子率)で割り引いた金銭債務の金額
- 5. 市場価格のない株式等(金融商品会計基準第19項)については、時価を注記しないこととする。この場合、当該金融商品の概要及び貸借対照表計上額を注記する。
金融商品の時価のレベルごとの内訳等に関する事項
- 5-2. 「金融商品の時価のレベルごとの内訳等に関する事項」(金融商品会計基準第40-2項(3))については、以下を注記する。ただし、重要性が乏しいものは注記を省略することができる。なお、連結財務諸表において注記している場合には、個別財務諸表において記載することを要しない。
- (1) 時価をもって貸借対照表価額とする金融資産及び金融負債について、適切な区分に基づき、貸借対照表日におけるレベル1の時価の合計額、レベル2の時価の合計額及びレベル3の時価の合計額をそれぞれ注記する(企業会計基準第30号「時価の算定に関する会計基準」(以下「時価算定会計基準」という。)第12項)。
- (2) 本適用指針第4項(1)に従って貸借対照表日における時価を注記する金融資産及び金融負債((1)で注記する金融資産及び金融負債並びにリース債権及びリース投資資産を除く。)について、適切な区分に基づき、貸借対照表日におけるレベル1の時価の合計額、レベル2の時価の合計額及びレベル3の時価の合計額をそれぞれ注記する。
- (3) (1)及び(2)に従って注記される金融資産及び金融負債のうち、貸借対照表日における時価がレベル2の時価又はレベル3の時価に分類される金融資産及び金融負債について、適切な区分に基づき、以下を注記する。
- ① 時価の算定に用いた評価技法及びインプット(時価算定会計基準第4項(5))の説明
- ② 時価の算定に用いる評価技法又はその適用を変更した場合、その旨及び変更の理由
- (4) 時価をもって貸借対照表価額とする金融資産及び金融負債について、当該時価がレベル3の時価に分類される場合、適切な区分に基づき、以下を注記する。
- ① 時価の算定に用いた重要な観察できないインプットに関する定量的情報
ただし、企業自身が観察できないインプットを推計していない場合(例えば、過去の取引価格又は第三者から入手した価格を調整せずに使用している場合)には、記載を要しない。 - ② 時価がレベル3の時価に分類される金融資産及び金融負債の期首残高から期末残高への調整表
調整表を作成するにあたっては、以下を区別して示す。 - ア 当期の損益に計上した額及びその損益計算書における科目
- イ 当期のその他の包括利益に計上した額及びその包括利益計算書における科目
- ウ 購入、売却、発行及び決済のそれぞれの額(ただし、これらの額の純額を示すこともできる。)
- エ レベル1の時価又はレベル2の時価からレベル3の時価への振替額及び当該振替の理由
- オ レベル3の時価からレベル1の時価又はレベル2の時価への振替額及び当該振替の理由
また、アに定める当期の損益に計上した額のうち貸借対照表日において保有する金融資産及び金融負債の評価損益及びその損益計算書における科目、並びにエ及びオの振替時点に関する方針を注記する。 - ③ レベル3の時価についての企業の評価プロセス(例えば、企業における評価の方針及び手続の決定方法や各期の時価の変動の分析方法等)の説明
- ④ ①の重要な観察できないインプットを変化させた場合に貸借対照表日における時価が著しく変動するときは、当該観察できないインプットを変化させた場合の時価に対する影響に関する説明
また、当該観察できないインプットと他の観察できないインプットとの間に相関関係がある場合には、当該相関関係の内容及び当該相関関係を前提とすると時価に対する影響が異なる可能性があるかどうかに関する説明を注記する。
適用時期等
- 6. 2008年(平成20年)公表の本適用指針(以下「2008年(平成20年)適用指針」という。)は、2010年(平成22年)3月31日以後終了する事業年度の年度末に係る財務諸表から適用する。ただし、当該事業年度以前の事業年度の期首から適用することを妨げない。
- 7. 金融商品会計基準第41項(4)なお書きにおける本適用指針において特に定める事項は、本適用指針第3項(3)に示されている①及び②が該当する。したがって、これらの事項については、本適用指針第6項にかかわらず、2011年(平成23年)3月31日以後終了する事業年度の年度末に係る財務諸表から適用することができることとなる。
- 7-2. 2011年(平成23年)改正の本適用指針(以下「2011年(平成23年)改正適用指針」という。)は、2011年(平成23年)4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用する。
- 7-3. 2019年改正の本適用指針(以下「2019年改正適用指針」という。)の適用時期は、2019年改正適用指針と同時に改正された金融商品会計基準(以下「2019年改正会計基準」という。)と同様とする。
- 7-4. 第5-2項の注記事項については、2019年改正適用指針の適用初年度において、連結財務諸表及び個別財務諸表に併せて表示される前連結会計年度及び前事業年度に関する注記(以下合わせて「比較情報」という。)を要しない。
- 7-5. 2019年改正会計基準を年度末の連結財務諸表及び個別財務諸表から適用する場合には、2019年改正適用指針の適用初年度における第5-2項(4)②の注記を省略することができる。また、この場合、適用初年度の翌年度においては、第5-2項(4)②の比較情報は要しない。
- 7-6. 2020年改正の本適用指針(以下「2020年改正適用指針」という。)第4項(1)また書きの定めについての適用時期は、2020年改正適用指針と同時に改正された企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」(以下「収益認識会計基準」という。)と同様とする。
- 7-7. 2020年改正適用指針の適用初年度において、収益認識会計基準を初めて適用することにより生じる新たな表示方法に従った比較情報の組替えは要しない。
- 7-8. 2024年改正の本適用指針(以下「2024年改正適用指針」という。)の適用時期は、2024年に公表された企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」(以下「リース会計基準」という。)の適用時期と同様とする。
議 決
- 8. 2008年(平成20年)適用指針は、第147回企業会計基準委員会に出席した委員13名全員の賛成により承認された。
- 8-2. 2011年(平成23年)改正適用指針は、第221回企業会計基準委員会に出席した委員11名全員の賛成により承認された。
- 8-3. 2019年改正適用指針は、第411回企業会計基準委員会に出席した委員14名全員の賛成により承認された。
- 8-4. 2020年改正適用指針は、第428回企業会計基準委員会に出席した委員14名全員の賛成により承認された。
- 8-5. 2024年改正適用指針は、第532回企業会計基準委員会に出席した委員13名全員の賛成により承認された。
結論の背景
経 緯
- 9. これまで金融資産については、時価評価を基本としつつその属性及び保有目的に応じた会計処理が定められ、また、有価証券やデリバティブ取引の時価等の開示が行われてきている。さらに、金融取引を巡る環境が変化する中で、金融商品の時価情報に対するニーズが拡大していること等を踏まえ、2008年(平成20年)に改正された金融商品会計基準(以下「2008年(平成20年)改正会計基準」という。)では、金融商品の状況やその時価等に関する事項の開示の充実が図られた。本適用指針は、当該開示を行う際の指針を定めることを目的としている。
- 9-2. 2011年(平成23年)改正適用指針では、2011年(平成23年)の企業会計基準第12号「四半期財務諸表に関する会計基準」の改正に伴い、四半期財務諸表に関する事項を定めた本適用指針第40項を企業会計基準適用指針第14号「四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針」に移管することとした。
- 9-3. 2019年改正適用指針では、国際的な会計基準における公正価値に関する開示(国際財務報告基準(IFRS)においてはIFRS第13号「公正価値測定」(以下「IFRS第13号」という。)、米国会計基準においてはAccounting Standards Codification(米国財務会計基準審議会による会計基準のコード化体系)のTopic 820「公正価値測定」(以下「Topic 820」という。))との整合性を図ることを目的に、2019年改正会計基準において充実が図られた金融商品の時価のレベルごとの内訳等に関する事項(金融商品会計基準第40-2項(3))の開示の指針を定めた。
- 9-4. 2024年改正適用指針では、2024年のリース会計基準の公表に伴い、国際的な会計基準との整合性も考慮し、リース負債について「金融商品の時価等に関する事項」及び「金融商品の時価のレベルごとの内訳等に関する事項」の注記の対象としないこととし、リース債権及びリース投資資産について「金融商品の時価のレベルごとの内訳等に関する事項」の注記の対象としないこととした。
範 囲
- 10. 2008年(平成20年)改正会計基準において、時価に関する事項の開示対象は金融商品のすべてに拡大されたことから、その範囲については、まず、貸付金・借入金等の金銭債権債務を含む金融商品全体を対象とした上で、金融商品会計基準等の対象外である保険契約や退職給付債務については、時価開示に関しても対象外とすることとした(本適用指針第2項参照)。
- 11. 借入金などの金銭債務の時価情報の注記については、特に当該金銭債務を負っている企業自身の信用リスクが増加した場合にその時価が減少するため、投資者にとって有用な情報を提供することにはならないのではないかという見方がある。しかしながら、金銭債務の時価を注記することは当該時価を財務諸表に反映することとは異なること、また、当該企業の資金調達活動の一端を外部に示すこととなるため意義があるという意見があること、さらに、国際的な会計基準では開示するとしていることから、2008年(平成20年)改正会計基準では、金銭債権のみならず金銭債務の時価も開示対象とすることとされている。
- 12. この他、本適用指針の検討にあたっては、非金融商品の時価開示についても議論されたが、それは金融商品以上に客観的な時価の算定を行うことが困難な場合が多く、また、通常、市場の平均である時価を超える成果を期待して事業に使われている。したがって、非金融商品の時価については、ここでの開示対象とはしていないが、その注記を妨げるものではない。
注記事項
金融商品の状況に関する事項
- 13. これまで、デリバティブ取引については、取引に係るリスクの内容やリスク管理体制などの取引の状況が開示されてきた。2008年(平成20年)改正会計基準では、これを金融商品全般に広げ、金融商品に対する取組方針、金融商品の内容及びそのリスク、金融商品に係るリスク管理体制など、「金融商品の状況に関する事項」を開示することとしている。
- 14. 本適用指針では、金融商品に係る信用リスクが、ある企業集団、業種や地域などに著しく集中している場合には、財務諸表に対する潜在的な影響を考慮して、その概要を記載するものとしている(本適用指針第3項(2)②参照)。さらに、この場合には、そのリスク管理体制(本適用指針第3項(3)参照)についても記載することが適当であると考えられる。金融商品に係る信用リスクが著しく集中している場合としては、個々の取引相手に対する金融商品の金額に重要性があるときのほか、金融商品に係る複数の取引相手が類似の活動をしていたり類似の特性を有することにより、ある経済的な変化によって、その債務の履行が同じような影響を受け、当該取引相手に対する金融商品の金額に重要性があるときも該当する。企業は、大口与信先のほか、内部管理における業種や地域別の与信額などを踏まえて、金融商品に係る信用リスクが著しく集中しているかどうか適切に判断する必要がある。
- また、借入金等の金融負債が、特定の企業又は企業集団に著しく集中している場合には、資金調達に係る流動性リスクが高いという見方もあるため、その概要を記載することが望ましい。
- なお、国際財務報告基準では、ある企業集団、業種や地域などへの著しい集中に関する注記に加えて、金融商品に係る信用リスクに関して、貸借対照表日現在の最大信用リスク、担保等の信用補完の状況、期日経過又は減損の発生状況等に関する事項の注記を求めている。この点、本適用指針では、金融商品に係る信用リスクに関する定量的情報として、信用リスクが著しく集中している場合の注記や、当該リスクに関連し得る情報として、金融資産の貸借対照表計上額(本適用指針第4項(1)参照)、有価証券の減損処理額(本適用指針第4項(2)⑤参照)の注記を求めている。これら以外の信用リスクに関する定量的情報についても、既に他の会計基準等に従い開示されているものもあり、それらの会計基準等を参照することとなる。例えば、貸借対照表日現在の最大信用リスクに関しては、債務保証の注記(企業会計原則 第三 貸借対照表原則 一 C)が、また、担保の状況に関しては、融資等に関連して受け入れた担保の一部の注記(移管指針第9号「金融商品会計に関する実務指針」(以下「金融商品実務指針」という。)第28項)がある。
- 15. これまで、時価のない有価証券でリスクが高いものを保有している場合における当該有価証券の商品性(金利、償還期限等)に係る説明や、デリバティブ取引の対象物の価格変動に対する当該取引の時価の変動率が大きい特殊な取引に係るリスクの説明は、注記することとされていた。本適用指針においても、この考え方を引き継ぐものとしている。
- なお、デリバティブ取引の対象物は、基礎数値や原資産と呼ばれることも多い。
- 16. 企業によっては、金融商品に係るリスク管理において、ベーシス・ポイント・バリュー(例えば、金利が1ベーシス・ポイント(0.01%)変化したときの価値の変動)のほか、バリュー・アット・リスク(市場の変動等に基づき、今後の一定期間において特定の確率で、ある金融商品に生じ得る損失額の推計値)などを利用している場合がある。
- 国際財務報告基準では、リスクが重要性に乏しい場合を除き、金利等のリスク変数の変動を合理的な範囲で想定した際の損益等への影響といったベーシス・ポイント・バリューに類似した情報、又は、それに代えてバリュー・アット・リスクを市場リスクの管理に利用している場合には、企業の判断でその情報の開示を行うこととしている。
- このような金融商品に係る市場リスクの定量的情報がその手法や仮定とともに開示されれば企業分析において有用な情報であるとの意見がある。また、銀行については財務諸表の注記でないものの他の制度によりリスクの定量的情報が開示されていることも多いが、他業態については、同様の情報が入手しにくいといった状況があるとの意見がある。その一方で、これらは仮定に基づく情報であり本来的な会計数値とは異なるとの意見もある。
- 17. 本適用指針では、第3項(3)の第2段落で示された企業においては、例えば、ベーシス・ポイント・バリューやバリュー・アット・リスク等に基づいて、経営者が市場リスクに関する定量的分析を利用したりリスク変数の変動に対応したりできるように、リスク管理を行っている場合を想定し、当該分析に基づく定量的情報の注記を求めることとした。これは、このような情報を内部のリスク管理に利用している場合には、経営者の視点に立った情報の開示となるとともに追加的な事務負担が少ないといった長所があること、財務諸表本体とともに開示されることによりその有用性をさらに高めることが期待されること、このような注記は国際的な会計基準の動向にも沿うことによる。なお、リスク管理に利用している定量的情報には様々なものがあると考えられるが、注記を行うにあたっては、その中でもリスク変数の変動により生じる金融商品のリスクを適切に示すものを選んで簡潔に記載することに留意する必要がある。
- また、第3項(3)の第2段落で示された企業であっても、そのリスク管理上、市場リスクに関する定量的分析を利用していない場合には、国際財務報告基準の定めに準じて、ベーシス・ポイント・バリューに基づく定量的情報の注記を求めることとした。これは、貸借対照表日現在の金融商品に関連する主要な市場リスクに係るリスク変数の変動により、当該金融商品の時価にどのような影響が生じ得るかを開示するものである。
- 18. 市場リスクに関する定量的情報の注記が求められる企業かどうかは、事業目的に照らした金融商品の重要性や、リスク変数の変動に対する当該金融商品の感応度との関係を踏まえて判断することが必要であるが、一般的には、金融商品を利用して又はその価値の増加によって利益獲得を目指すような事業目的を有している銀行や証券会社、ノンバンク等が想定される。なお、これらの企業を含む企業集団にあっては、当該企業集団の連結財務諸表の観点から、定量的情報の注記の必要性を判断することになるものと考えられる。
- 2007年(平成19年)7月公表の公開草案では、市場リスクに関する定量的情報については、算定手法が単一ではなく、取り扱っている金融商品の量やデータの蓄積状況など、企業によって大きく異なるものであることなどから、定量的情報を開示することができる場合には、その手法の内容や仮定とともに財務諸表に注記することを妨げるものではないとしていたが、前述した理由により、第3項(3)の第2段落で示された企業においては、注記すべきこととした。このような注記が求められる企業は限定的であると考えられるが、そのような企業に該当しない場合であっても、公開草案と同様に、当該定量的情報を開示することができる場合には、第3項(3)①又は②に準じて財務諸表に注記することを妨げるものではない。
- 19. 市場リスクに係る定量的情報の開示の対象となる金融商品は、貸借対照表日現在の残高の重要性のほか、各リスク変数の変動に対する感応度の重要性を勘案することに留意する必要がある。このため、製商品の売買等によって生じる売掛金で為替リスクのないものなどは通常、該当しないこととなる。また、開示にあたり、トレーディング目的とそれ以外に分けるなど、内部のリスク管理の区分に応じて適切に区分することが適当と考えられる。さらに、定量的情報に関連する情報としては、算定方法や主な前提条件のほか、利用にあたっての留意点や限界等についても記載することが望ましい。
- なお、主要な市場リスクに係るリスク変数の変動を合理的な範囲で想定した場合(第3項(3)②イ参照)については、企業の置かれた経済環境、市場環境の動向、過去の変動の推移や変動の要因等を踏まえ、貸借対照表日後一定期間(例えば、1年程度)で合理的に変動すると見込まれる変動幅を設定することとし、いわゆるストレス・テストで想定するような異常な状況下の変動は見込まないことに留意する。
金融商品の時価等に関する事項
(時価の注記)
- 20. これまで有価証券やデリバティブ取引の時価等の開示が行われてきているが、2008年(平成20年)改正会計基準に基づき、今後は金融商品全体について時価の開示を行うこととなる。金融商品の時価等に関する事項の開示の充実を図る一方で、本適用指針では、財務諸表との関連を明確にし、各金融商品に関する情報を整理することとした。したがって、時価の開示にあたっては、原則として貸借対照表の科目ごとに、貸借対照表計上額、貸借対照表日における時価及びその差額並びに当該時価の算定方法を注記することとした(時価の算定方法は2019年改正により削除)。これは、明瞭性を高めることのほか、重要性を加味したものであるが、貸借対照表上、「その他」に含められている項目の開示を妨げるものではない。
- 20-2. 2018年に公表された企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」において「契約資産は、金銭債権として取り扱う」としていた定めは、2020年改正適用指針と同時に改正された収益認識会計基準において削除している。したがって、契約資産について本適用指針第4項における時価等に関する事項の注記は不要であると考えられる。
- 20-3. 収益認識会計基準第79項においては、契約資産を適切な科目をもって貸借対照表に表示するとされている。一方で、貸借対照表において契約資産を顧客との契約から生じた債権等の金融資産と区分して表示しないことも認められている。契約資産を顧客との契約から生じた債権等の金融資産と貸借対照表において区分して表示していない場合、これまで我が国で行われてきた実務等を考慮し、当該貸借対照表の科目について、貸借対照表計上額、貸借対照表日における時価及びその差額を注記することとした。ただし、当該貸借対照表の科目のうち、契約資産を除く顧客との契約から生じた債権等の金融資産について、貸借対照表計上額、貸借対照表日における時価及びその差額を注記することも妨げるものではない(本適用指針第4項(1)参照)。
- 21. 2019年改正会計基準において、金融商品会計基準第6項が改正され、時価とは、算定日において市場参加者間で秩序ある取引が行われると想定した場合の、当該取引における資産の売却によって受け取る価格又は負債の移転のために支払う価格とするとされている。当該時価は、時価算定会計基準第5項で定義されており、適用する際の指針は企業会計基準適用指針第31号「時価の算定に関する会計基準の適用指針」に定められている。本適用指針では、これらを踏まえ、時価は金融商品会計基準等に定める時価に基づいて算定するものとしている。
- なお、本適用指針では、これまでと同様に、開示にあたっての時価の算定において、委託手数料等取引に付随して発生する費用は含めないものとしている。
- 22. 当座貸越契約(これに準ずる契約を含む。以下同じ。)及び貸出コミットメントは、金融商品会計基準等の対象であり、貸手である金融機関等は、その旨及び極度額又は貸出コミットメントの額から借手の実行残高を差し引いた額を注記することとされ、借手においては、その旨及び借入枠から実行残高を差し引いた額を注記するのが望ましいとされている(金融商品実務指針第19項、第139項及び第311-2項)。本適用指針においては、原則として貸借対照表の科目ごとに時価の開示を行うこととしているが、貸借対照表に計上されていない場合であっても、当座貸越契約及び貸出コミットメントの注記額が資産の総額に対して重要な割合を占め、かつ、契約で示された固定利率で実行される際の時価に重要性がある場合には、その時価を注記することが適当である。
- 23. 同様に、債務保証契約(信用状による与信を含む。)は、金融商品会計基準等の対象であり、保証先ごとに総額で注記する(金融商品実務指針第15項及び第137項)ため、貸借対照表に計上されていない場合であっても、その注記額が資産の総額に対して重要な割合を占め、かつ、その時価に重要性がある場合には、その時価を注記することが適当である。
- 24. 貸手において所有権移転ファイナンス・リースにより認識されたリース債権は、金融資産であり、時価開示の対象となる。また、所有権移転外ファイナンス・リースで資産に計上されることとなるリース投資資産は、リース料債権(将来のリース料を収受する権利で、残価保証額を含む。)と見積残存価額(リース期間終了時に見積られる残存価額で残価保証のない額)から構成される複合的な資産であり、このうち前者のリース料債権に係る部分については、金融商品的な性格を有すると考えられる(リース会計基準BC56項及びBC57項)。このため、当該リース料債権に係る部分についても、金融資産の時価開示の対象とすることが考えられる。
- ただし、貸手としてのリースに重要性が乏しいと認められる場合(企業会計基準適用指針第33号「リースに関する会計基準の適用指針」(以下「リース適用指針」という。)第74項及び第75項)には、貸借対照表上、当該資産を示す名称を付した科目をもって掲記していても、金融商品会計基準等の適用にあたり重要性が乏しいと認め、本適用指針第4項の注記をしないことができる。
- 24-2. 2024年改正適用指針では、リース会計基準の公表に伴い、2020年改正適用指針における注記対象の再検討を行った。検討の結果、国際的な会計基準との整合性も考慮し、リース債権及びリース投資資産について、「金融商品の時価のレベルごとの内訳等に関する事項」(本適用指針第5-2項参照)の注記の記載の対象としないこととした。
また、リース負債については、リース会計基準の公表により、すべてのリースに係るリース負債が計上されること、借手の変動リース料の見積り等リース負債の時価の算定が複雑であること、国際的な会計基準がコストと複雑性の観点から公正価値の開示を求めないこととしたこと、財務諸表利用者が借入金や社債の時価に比してリース負債の時価を分析に用いる頻度が相対的に低いと考えられることなど、コスト・ベネフィットの観点から、「金融商品の時価等に関する事項」(本適用指針第4項参照)及び「金融商品の時価のレベルごとの内訳等に関する事項」(本適用指針第5-2項参照)の注記事項の記載の対象としないこととした。 - 25. リース取引開始日が企業会計基準第13号「リース取引に関する会計基準」(以下「企業会計基準第13号」という。)の適用初年度開始前の所有権移転外ファイナンス・リース取引についても、リース会計基準及びリース適用指針に定める方法により会計処理するが、貸手は企業会計基準第13号の適用初年度の前年度末における固定資産の適正な帳簿価額(減価償却累計額控除後)を企業会計基準第13号の適用初年度のリース投資資産の期首の価額として計上する会計処理を継続することができるものとされており(リース適用指針第115項)、この場合、リース投資資産の貸借対照表計上額は元本回収予定額と異なるため、貸借対照表日において、その時価との間に重要な差額がある場合には、その旨を示すことが適当であると考えられる。
- なお、リース取引開始日が企業会計基準第13号の適用初年度開始前のリース取引で、企業会計基準第13号に基づき所有権移転外ファイナンス・リース取引と判定されたものについては、引き続き通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を適用することができるものとされている(リース適用指針第116項)。この場合、リース債権又はリース投資資産は計上されておらず、引き続き通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を適用している旨を示すこととなり、本適用指針の対象外となる。
(有価証券に関する注記)
- 26. これまで有価証券については、保有目的ごとの区分に応じ、貸借対照表計上額や時価のほか、売却額や売却損益などの開示が行われてきた。2008年(平成20年)改正会計基準の適用後においても、原則として、これらの注記事項を引き継ぐものとした。
- 27. 満期保有目的の債券の時価及びその他有価証券の取得原価又は償却原価と貸借対照表計上額との差額を注記するにあたっては、評価差額の状況を明確に開示するため、これまでと同様に、当該有価証券を貸借対照表日における時価又は取得原価若しくは償却原価が貸借対照表日における貸借対照表計上額を超えるものと、超えないものに区分することとした。
- 28. 満期保有目的の債券は、満期まで保有することを目的としているものであり、その売却には特別の事情が想定されるため、従来どおり、期中に売却したものがある場合には、債券の種類ごとの売却原価、売却額、売却損益及び売却の理由を注記することとした。
- 29. その他有価証券は、売却することも想定されているが、その売却は損益に重要な影響を与える場合も少なくないことなどから、従来どおり、期中に売却したものがある場合には、売却額、売却益の合計額及び売却損の合計額を注記することとした。
- 30. 子会社株式及び関連会社株式の会計処理は、事業投資と同じく時価の変動を財務活動の成果とは捉えないという考え方に基づくため、その時価の開示は意義が乏しいという意見もある。一方、時価の変動は財務活動の成果とは捉えられなくとも、その時価自体の開示を否定するには至らないという意見もあるため、本適用指針では、これまでと同様に、個別財務諸表においてのみ注記することとしている。
- 31. これまで、有価証券の時価情報の開示にあたり、当期中に有価証券の減損処理を行った場合には、減損処理を行った旨及び減損処理額を注記している場合が多い。特に、その他有価証券の取得原価又は償却原価については、減損処理後の帳簿価額を記載することから、そのような注記が行われている。本適用指針では、これまでの実務慣行を明示することとした。
(デリバティブ取引に関する注記)
- 32. 我が国では、1997年(平成9年)3月期以降、デリバティブ取引の内容、取組方針、リスク管理体制等の定性的な情報の開示に加え、デリバティブ取引全般について、契約額又は契約において定められた元本相当額及び時価等の定量的な情報が開示されてきた。デリバティブ取引に係る定量的な情報開示については、次のような考え方がある。
- (1) デリバティブ取引をヘッジ会計が適用されているものとそれ以外に区分した上で、ヘッジ会計が適用されていないデリバティブ取引に係る契約額及び時価のみを開示する。
- (2) デリバティブ取引をヘッジ会計が適用されているものとそれ以外に区分した上で、契約額についてはそれぞれに区分して開示し、時価についてはヘッジ会計が適用されていないもののみを開示する。
- (3) デリバティブ取引をヘッジ会計が適用されているものとそれ以外に区分した上で、契約額及び時価についてそれぞれに区分して開示する(この場合、ヘッジ会計が適用されるヘッジ対象である現物取引についても時価を開示することが考えられる。)。
- (4) デリバティブ取引をヘッジ会計が適用されているものとそれ以外に区分しないで、全取引を契約額及び時価に係る開示の対象とした上で、ヘッジ効果のあるものについてはその内容を注記する。
- 33. 1999年(平成11年)1月に企業会計審議会から「金融商品に係る会計基準」(以下「1999年(平成11年)会計基準」という。)が公表される前は、ヘッジ会計に係る取扱いが明確ではなかったことから、外貨建金銭債権債務等に振り当てることとされていた為替予約等のデリバティブ取引を除き、本適用指針第32項(4)の考え方が採られていた。1999年(平成11年)会計基準の公表後、ヘッジ会計に係る取扱いが明確化され、また、原則として、デリバティブ取引は時価評価されることとなったため、従前の注記事項を簡素化し、ヘッジ会計が適用されているものはデリバティブ取引の時価等に関する事項を除くことができるものとされてきた。これは、本適用指針第32項(3)の考え方を採りつつ、同項(1)の考え方も認めていたものと整理できる。ただし、実務上は、これまで後者の取扱いが多かったものと考えられる。
- 34. ヘッジ会計が適用されるためには、ヘッジ対象とヘッジ手段の損益が高い程度で相殺される関係又はヘッジ対象のキャッシュ・フローが固定されその変動が回避される関係にあることが前提になるが、常に完全な相殺や回避がなされるわけではない。また、ヘッジ会計が適用されているデリバティブ取引については、これまで時価等の開示を行わないことができるとされていたが、金融商品全体について時価の開示を拡充する中では、ヘッジ会計が適用されていないデリバティブ取引とあわせ、デリバティブ取引全体の定量的な情報を開示することが適切であると考えられる。さらに、国際的な会計基準では、ヘッジ会計が適用されている場合でも、定量的な情報を開示することとしている。このような観点から、今般、ヘッジ会計が適用されているデリバティブ取引についても時価等を開示すること(第32項(3)の考え方)とした。
- この際、金利スワップの特例処理や為替予約等の振当処理においても、金利スワップや為替予約等の取引相手とヘッジ対象の資産又は負債に係る取引相手は通常異なるため、これらを区分してそれぞれの時価等を開示することとなる。しかし、金利スワップの特例処理は、金利スワップとヘッジ対象の資産又は負債を一体として、実質的に変換された条件による債権又は債務と考える処理であるため、本適用指針では、この場合の金利スワップについて、ヘッジ対象と一体として当該ヘッジ対象の時価に含めて注記することができるものとした。また、為替予約等の振当処理についても同様の性質があり、また、この場合にはデリバティブ取引の契約期間が短期である場合が少なくないことなどから、当該為替予約等についても、ヘッジ対象と一体として当該ヘッジ対象の時価に含めて注記することができるものとした。なお、ヘッジ対象と一体として当該ヘッジ対象の時価に含めて注記する場合でも、デリバティブ取引の貸借対照表日における契約額又は契約において定められた元本相当額は開示しなければならないことに留意する必要がある。
- 35. 本適用指針第4項(3)では、ヘッジ会計が適用されているデリバティブ取引とヘッジ会計が適用されていないデリバティブ取引を区分して開示すべき内容を示しているが、同じ内容が開示されるのであれば、デリバティブ取引全体を一括して示した上で、ヘッジ会計が適用されているデリバティブ取引に関してヘッジ会計の状況を明瞭に示すことも可能と考えられる。
(その他の注記)
- 36. これまで、保有している債券等の償還期限のある有価証券から得られるキャッシュ・フローをある程度予測できるように、その他有価証券のうち満期があるもの及び満期保有目的の債券については、有価証券の種類ごとに、償還予定額の合計額を、例えば、1年以内、1年超5年以内、5年超10年以内、10年超のような一定の期間に区分した金額を注記することとされていた。この趣旨に照らせば、当該開示は、債券等の有価証券に限られないことから、金融商品全体についての定量的な情報開示の充実を図ることとした2008年(平成20年)改正会計基準に関する本適用指針においては、金銭債権についても、償還予定額の合計額を一定の期間に区分した金額を注記することとした。
- なお、破産更生債権等など、償還予定額が見込めず、上記区分に含めていない場合は、その旨及び金額を別途開示することが適当と考えられる。また、トレーディング目的で保有する金銭債権等については売買目的有価証券に準じるものとして、当該注記に含めない。
- 37. 保有している債券等と同様に、金融負債の返済に必要なキャッシュ・フローをある程度予測できるように、本適用指針においては、社債、長期借入金、リース負債及びその他の有利子負債について、返済予定額の合計額を一定の期間に区分した金額を財務諸表に注記するものとした。
- なお、これまで、社債並びに長期借入金及びその他の有利子負債については、附属明細表において、貸借対照表日後5年内における1年ごとの返済予定額の総額を記載することとされており、当該負債の返済予定期間が最大でも5年内であって、かつ、当該記載が行われている場合には、その旨の記載をもって代えることができる。
- 38. 2008年(平成20年)改正会計基準では、金銭債務の時価も開示対象とすることとなるが、当該時価については、特に当該金銭債務を負っている企業自身の信用リスクが増加した場合にその時価が減少するため、投資者にとって有用な情報を提供することにはならないのではないかという見方がある(本適用指針第11項参照)。このため、本適用指針では、金銭債務の貸借対照表日における時価の開示に加えて、企業自身の信用リスク又はその変化を反映していない金額も開示することができるものとされた。
- (1) このうち、約定金利に金利水準の変動のみを反映した利子率で割り引いた金銭債務の金額(本適用指針第4項(6)①参照)の開示は、現在の金利水準を反映した当該金額と金銭債務を負った時期の金利水準を反映している貸借対照表計上額との比較を可能とし、負債管理の状況を把握できるという見方によるものと考えられる。ただし、当該金額を開示する場合には、当該金額の算定方法及び時価との差額についての適切な補足説明を行う必要がある。
- (2) また、貨幣の時間価値だけを反映した無リスクの利子率で割り引いた金銭債務の金額(本適用指針第4項(6)②参照)は、企業自身の信用リスクを反映しないものであり、この開示は、当該金銭債務における実際の決済可能な価額を把握できるという見方によるものと考えられる。すなわち、当該債務の市場性が高く市場からの買入等により消却する場合又は当該債務を企業自身と同じ信用力の第三者に引き受けてもらう場合には、時価(企業自身の信用リスクを調整した利率による割引価値)で決済又は移転できるものの、通常、金銭債務の場合には市場性がなく、企業自身と同じ信用力の第三者に引き受けてもらうための取引費用等も考慮すれば、実際に移転可能な金額は無リスクの利子率で割り引いた金額に近似する。ただし、この場合には、時価よりも大きな金額が開示されるため、当該金額を開示する場合にも、当該金額の算定方法及び時価との差額についての適切な補足説明を行う必要がある。
- 39. 2019年改正会計基準は、時価の定義を時価算定会計基準第5項の定義に変更している。時価算定会計基準においては、時価のレベルに関する概念を取り入れ、たとえ観察可能なインプットを入手できない場合であっても、入手できる最良の情報に基づく観察できないインプットを用いて時価を算定することとしている。このような時価の考え方の下では、原則として時価を把握することが極めて困難と認められる有価証券は想定されない。ただし、市場価格のない株式等に関しては、たとえ何らかの方式により価額の算定が可能としても、それを時価とはしないとする従来の考え方を踏襲し、引き続き取得原価をもって貸借対照表価額とする取扱いとすることとしている(金融商品会計基準第19項及び第81-2項)。
- 2019年改正適用指針では、こうした取扱いと整合的に、時価を把握することが極めて困難と認められる金融商品に対して求めていた注記を、市場価格のない株式等に対してのみ求めることとした。
金融商品の時価のレベルごとの内訳等に関する事項
- 39-2. IFRS第13号及びTopic 820は、公正価値に関する測定のガイダンス及び開示を定めている一方で、日本基準はそれらで要求されている公正価値に関する開示の多くを定めていないことなどから、特に金融商品を多数保有する金融機関において国際的な比較可能性が損なわれているのではないかとの意見が聞かれていた。当委員会は、2016年8月に公表した中期運営方針において、日本基準を国際的に整合性のあるものとするための取組みに関する今後の検討課題の1つとして時価に関するガイダンス及び開示を取り上げ、2018年3月に開催された第381回企業会計基準委員会において、金融商品の時価に関するガイダンス及び開示に関して、国際的な会計基準との整合性を図る取組みに着手する旨を決定し検討を開始した。
- IFRS第13号及びTopic 820の公正価値に関する測定のガイダンスは時価算定会計基準で取り扱っており、本適用指針は、金融商品について、IFRS第13号及びTopic 820の公正価値に関する開示を取り扱うものである。
- 39-3. 当委員会では、今回の取組みが国際的な会計基準との整合性を向上させるものである点を踏まえ、基本的にはIFRS第13号の開示項目との整合性を図っているが、一部の開示項目についてはコストと便益を考慮して採り入れていない。IFRS第13号の開示項目のうち本適用指針で採り入れていない開示項目については、第39-16項から第39-19項において説明している。
(注記にあたっての留意事項)
- 39-4. 当委員会の審議においては、「金融商品の時価のレベルごとの内訳等に関する事項」について、企業全体でみた作成コストが増大する可能性を懸念する意見が聞かれた。この点、企業は、それぞれの開示項目について重要性を判断し、重要性が乏しいと認められるものは注記を省略することができるとしており、必ずしもすべての開示項目について注記することが想定されているわけではない(第5-2項参照)。
- 企業は、注記の対象となる金融商品について、貸借対照表日現在の残高のほか、時価の見積りの不確実性の大きさを勘案したうえで、当期純利益、総資産及び金融商品の残高等に照らして、注記の必要性を判断することになるものと考えられる。
- 39-5. 本注記事項のすべての開示項目は、適切な区分に基づき注記するとしている(第5-2項(1)から(4)参照)。金融資産及び金融負債の適切な区分は、当該金融資産又は金融負債の性質、特性及びリスク並びに時価のレベル等に基づいて決定することになるものと考えられる。特に、その時価がレベル3の時価となる金融資産又は金融負債については、一般的に性質、特性及びリスク等に多様性があるため、より詳細に区分して注記することが適切であると考えられる。
- また、金融資産及び金融負債を区分するにあたり、貸借対照表の科目よりも細分化することが必要となる場合であっても、貸借対照表の科目への調整ができるような情報を提供することが適切であると考えられる。
- 39-6. 本注記事項が要求している定量的情報に関する注記(第5-2項(1)及び(2)並びに(4)①及び②参照)は、基本的に表形式で注記することが想定されるものの、他の様式の方が適切な場合には当該様式による注記を妨げるものではない。
(レベル1の時価、レベル2の時価及びレベル3の時価に関する注記)
- 39-7. 本適用指針では、次の金融資産及び金融負債について、適切な区分に基づき、レベル1の時価の合計額、レベル2の時価の合計額及びレベル3の時価の合計額をそれぞれ注記するとしている。
- (1) 時価をもって貸借対照表価額とする金融資産及び金融負債(第5-2項(1)参照)
- (2) (1)には該当しないが、第4項(1)に従って貸借対照表日における時価を注記する金融資産及び金融負債(第5-2項(2)参照)
- 当該情報は、時価の相対的な客観性や信頼性に基づいて分類した金融商品の残高を示すものであり、財務諸表利用者にとって企業の保有する金融商品を評価するうえで有用であると考えられるため、注記を求めることとした。なお、時価のレベル自体は時価の相対的な客観性や信頼性を意味するものであるが、時価のレベル間の振替の情報が伴うことにより、市場流動性に関する情報を提供する可能性もあると考えられる。
(時価の算定に用いた評価技法及びインプットに関する注記)
- 39-8. 本適用指針では、第4項(1)に従って貸借対照表日における時価を注記する金融資産及び金融負債について、時価の算定に用いた評価技法及びインプットの説明を注記するとしている(第5-2項(3)①参照)。当該情報は、企業の時価の算定方法に関する具体的な情報を提供するものであり有用と考えられるため、注記を求めることとした。
- なお、2019年改正適用指針における本開示項目の導入に伴い、それまで第4項(1)及び(3)で定めていた時価の算定方法に関する注記の定めを削除したほか、参考(開示例)における記載例も修正した。
- 39-9. 時価の算定に用いる評価技法又はその適用を変更する場合は、会計上の見積りの変更(企業会計基準第24号「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(以下「企業会計基準第24号」という。)第4項(7))として処理する。ただし、この場合であっても、企業会計基準第24号第18項の注記は不要であり(時価算定会計基準第10項)、本適用指針に従い、変更の旨及び変更の理由のみについて注記する(本適用指針第5-2項(3)②参照)。
(レベル3の時価に関する注記)
時価の算定に用いた重要な観察できないインプットに関する定量的情報
- 39-10. 時価の算定に用いた重要な観察できないインプットに関する定量的情報(第5-2項(4)①参照)については、企業が時価の算定に用いた重要な観察できないインプットが妥当な水準又は範囲にあるかどうかについて財務諸表利用者が判断するために有用な情報を提供すると考えられるため、本適用指針においても注記を求めることとした。
- なお、本適用指針においても、IFRS第13号と同様に、財務諸表利用者にとって有用な開示が行われるよう、具体的な注記内容は財務諸表作成者に委ね、定量的情報の内容を特定しないこととした。参考(開示例)においては記載例を掲載しているものの、企業は、必ずしも記載例に従う必要はなく、財務諸表利用者にとって有用な開示となるような注記方法を選択する必要がある。
時価がレベル3の時価に分類される金融資産及び金融負債の期首残高から期末残高への調整表
- 39-11. 時価がレベル3の時価に分類される金融資産及び金融負債の期首残高から期末残高への調整表については、時価がレベル3の時価に分類される金融資産及び金融負債の期中変動を要因別に区分して開示することで、財務諸表利用者に損益への影響やレベル間の振替の影響等の情報を提供できることから、本適用指針においても注記を求めることとした(第5-2項(4)②参照)。なお、購入、売却、発行及び決済の内訳に関しては、作成コストと便益のバランスを踏まえた結果、これらの純額を示すこともできるとしている。
- 本開示項目は、基本的に表形式により注記することが想定されるものの(第39-6項参照)、時価がレベル3の時価に分類される金融資産及び金融負債の期首残高から期末残高までの変動の大部分が単一の変動理由によって説明できる場合には、一般的な重要性の判断に基づき、表形式によらない注記を妨げるものではない。
- 39-12. レベル1の時価又はレベル2の時価からレベル3の時価への振替(第5-2項(4)②エ参照)及びレベル3の時価からレベル1の時価又はレベル2の時価への振替(第5-2項(4)②オ参照)は厳密には日々発生し得るものであるものの、発生日における振替額を正確に記載するには過大な作成コストを要すると考えられる。そこで、本適用指針では、IFRS第13号と同様に、これらの振替が会計期間のある時点(いずれの振替に対しても共通した時点である必要がある。)において発生したとみなす簡便的な方法を許容している。これに伴い、本適用指針は、これらの振替がいつ生じたとみなすかの決定に関する方針を開示することを求めている(第5-2項(4)②参照)。当該方針として、例えば、次のような方針が挙げられる。
- (1) 振替を生じさせた事象が生じた又は状況が変化した日
- (2) 会計期間の期首
- (3) 会計期間の末日
- 39-13. さらに、本適用指針では、時価の算定における主観性が相対的に高い金融商品を時価評価した結果として生じる評価損益の情報は有用であると考えられるため、当期の損益に計上した額のうち貸借対照表日において保有する時価がレベル3の時価に分類される金融資産及び金融負債の評価損益及びその損益計算書における科目を注記するとしている(第5-2項(4)②参照)。
レベル3の時価についての企業の評価プロセス
- 39-14. レベル3の時価についての企業の評価プロセスについては、企業における時価算定の主観性の程度を評価するのに役立つと考えられるため、本適用指針においても注記を求めることとした(第5-2項(4)③参照)。
重要な観察できないインプットを変化させた場合の時価に対する影響に関する説明
- 39-15. 重要な観察できないインプットを変化させた場合の時価に対する影響に関する説明については、財務諸表利用者に次の情報を提供できると考えられるため、本適用指針においても注記を求めることとした(第5-2項(4)④参照)。
- (1) 重要な観察できないインプットが時価の算定に与える方向(増加方向又は減少方向)に関する情報
- (2) 時価の算定に用いた重要な観察できないインプットの情報と組み合わせることにより、個々のインプットに関する企業の見方が財務諸表利用者自身の見方と異なっていないかに関する情報
- (3) 特定の金融資産又は金融負債(例えば、複雑な金融商品)の評価になじみのない財務諸表利用者に対して、価格決定モデルに関する情報
(本適用指針で採用していないIFRS第13号の開示項目)
- 39-16. 本適用指針は、2019年改正会計基準を基礎として開示項目を定めており、IFRS第13号で開示が求められている次の項目は、2019年改正会計基準の適用対象外となるため、注記を求めないこととした。
- (1) 非金融資産の最有効使用に関する開示(IFRS第13号第93項(i))
- (2) 非経常的な時価の算定に関する開示(IFRS第13号第93項(a)、(b)、(d)及び(g))
- (3) 分離不可能な第三者の信用補完とともに発行されている負債の公正価値測定における信用補完の反映方法の開示(IFRS第13号第98項)
- 39-17. IFRS第13号は、レベル1の時価とレベル2の時価との間のすべての振替額及び当該振替の理由を開示することを求めている(IFRS第13号第93項(c))。
- 当該開示項目については、レベル3の時価に関連する振替(レベル1の時価又はレベル2の時価からレベル3の時価への振替(第5-2項(4)②エ参照)及びレベル3の時価からレベル1の時価又はレベル2の時価への振替(第5-2項(4)②オ参照))ほどの高い情報の有用性がないと考えられる中で、企業には時価をもって貸借対照表価額とする金融商品のすべての銘柄について時価のレベルに関する情報を収集するために過度な作成コストがかかると考えられたため、本適用指針では注記を求めないこととした。
- 39-18. IFRS第13号は、IFRS第7号「金融商品:開示」の開示項目を引き継ぐかたちで、財務諸表利用者に公正価値の潜在的な変動についての情報を提供するために、時価をもって貸借対照表価額とする金融資産及び金融負債のうちその時価がレベル3の時価となる金融資産又は金融負債について、観察できないインプットを合理的に考え得る代替的な仮定に変更した場合の影響を開示することを求めている(IFRS第13号第93項(h)(ii))。
- 当該開示項目については、一定の有用性は認められるものの、「合理的に考え得る代替的な仮定」の設定が財務諸表作成者に委ねられているほか、個々の仮定の相互関係の設定が困難であることから、有用性が限られると考えられた。また、財務情報とすべきものであるのか、非財務情報とすべきものであるのかの判断が難しいと考えられた。これらを踏まえ、当該開示については、本適用指針では注記を求めないこととした。
- 39-19. IFRS第13号は、時価をもって貸借対照表価額とする金融資産及び金融負債についてグループの時価を算定する場合には、その旨を開示することを求めている(IFRS第13号第96項)。この点、日本基準においても、金融資産及び金融負債のグループを単位とした時価の算定を認めているものの、当該処理を適用する場合には重要な会計方針に記載することとした(時価算定会計基準第7項)。
- 40.(削 除)
適用時期等
- 41. 金融商品の時価情報に関する開示の充実を定めた2008年(平成20年)改正会計基準では、当該開示の実効性を高めるために、時価をもって貸借対照表価額とする有価証券の取扱いの例外を時価を把握することが極めて困難と認められる有価証券に限定することとされた。このため、これまでの市場価格のない有価証券(2008年(平成20年)改正前の金融商品会計基準第19項)のうち、改正後において時価を把握することが極めて困難と認められるもの以外の有価証券となるものは、従来の会計処理を変更して時価をもって貸借対照表価額とすることとなる。
- 2007年(平成19年)7月に公表した公開草案では、同会計基準の改正及び本適用指針を原則として2009年(平成21年)4月1日以後開始する事業年度から適用することとしていたが、特に金融商品を多く保有する企業から、このような従来の会計処理からの変更を四半期財務諸表に反映するにあたって準備期間が十分でないといった意見が寄せられた。また、本適用指針第40項(2011年(平成23年)改正により削除)で参照している四半期財務諸表の注記に関して、その要否を検討する場合、項目によっては比較すべき前事業年度末の情報が開示されていない場合のあることを懸念する意見もあった。これらを考慮し実務面での円滑な適用を図るため、2008年(平成20年)改正会計基準では、2010年(平成22年)3月31日以後終了する事業年度の年度末に係る財務諸表から適用するものとし、四半期財務諸表に関しては、翌事業年度から適用することを原則とした。この原則適用の場合、中間財務諸表に関しては、2010年(平成22年)4月1日以後開始する事業年度の中間会計期間から適用されるものと考えられる。
- なお、上記にかかわらず、2008年(平成20年)改正会計基準及び本適用指針を原則適用の事業年度の期首又はそれより前の事業年度の期首から適用することも妨げられないが、その際には、適用開始の前事業年度末に時価等の情報が開示されていない項目であっても、四半期財務諸表において前事業年度末と比較し著しい変動がある場合には、本適用指針第40項(2011年(平成23年)改正により削除)で参照している開示が必要となることに留意する必要がある。
- また、市場リスクの定量的情報(本適用指針第3項(3)①及び②参照)については、その有用性に鑑み注記することとしたが、実務上、準備に一層時間を要するという意見も少なくないため、2011年(平成23年)3月31日以後終了する事業年度の年度末に係る財務諸表から適用することもできることとした。
- 42. 市場価格のない有価証券のうちの社債その他の債券について、2008年(平成20年)改正会計基準の適用に伴い、時価を把握することが困難と認められるもの以外の有価証券に該当することとなった場合には、2008年(平成20年)改正前の金融商品会計基準及びその具体的な指針に基づき一般債権に準じて算定されている、当該債券の償還不能見積高を戻し入れることとなる。
- 43. 2019年改正適用指針の適用初年度においては、金融商品の時価のレベルごとの内訳等に関する事項(本適用指針第5-2項参照)の比較情報は、作成が実務上困難な場合が多いと考えられることから不要とした。また、同様の理由から、2019年改正会計基準を年度末の財務諸表から適用する場合には、時価がレベル3の時価に分類される金融資産及び金融負債の期首残高から期末残高への調整表(本適用指針第5-2項(4)②参照)の注記についても省略できることとした。
- 44. 収益認識会計基準第89-2項及び第89-4項は、収益認識会計基準の適用初年度の前連結会計年度の連結財務諸表及び四半期(又は中間)連結財務諸表並びに適用初年度の前事業年度の個別財務諸表及び四半期(又は中間)個別財務諸表を、新たな表示方法に従い組替えを行わないことができるとしている。したがって、2020年改正適用指針の適用初年度においても、収益認識会計基準を初めて適用することにより生じる新たな表示方法に従った比較情報の組替えは要しないこととした(本適用指針第7-7項参照)。
参考(開示例)
- 以下の開示例は、本適用指針で示された内容について理解を深めるために示されたものであり、記載内容については、各企業はその実情に即して適切に注記する必要がある。なお、注記事項のうち、関連する内容等が他の箇所で開示されている場合には、その旨の記載をもって代えることができる。
1. (削 除)
2. 製造業
- 1. 金融商品の状況に関する事項
- (1) 金融商品に対する取組方針
- 当社グループは、主に××の製造販売事業を行うための設備投資計画に照らして、必要な資金(主に銀行借入や社債発行)を調達しております。一時的な余資は安全性の高い金融資産で運用し、また、短期的な運転資金を銀行借入により調達しております。デリバティブは、後述するリスクを回避するために利用しており、投機的な取引は行わない方針であります。
- (2) 金融商品の内容及びそのリスク
- 営業債権である受取手形及び売掛金は、顧客の信用リスクに晒されております。また、グローバルに事業を展開していることから生じている外貨建ての営業債権は、為替の変動リスクに晒されていますが、原則として外貨建ての営業債務をネットしたポジションについて先物為替予約を利用してヘッジしております。有価証券及び投資有価証券は、主に満期保有目的の債券及び取引先企業との業務又は資本提携等に関連する株式であり、市場価格の変動リスクに晒されております。また、取引先企業等に対し長期貸付を行っております。
- 営業債務である支払手形及び買掛金は、ほとんど1年以内の支払期日であります。また、その一部には、原料等の輸入に伴う外貨建てのものがあり、為替の変動リスクに晒されていますが、恒常的に同じ外貨建ての売掛金残高の範囲内にあります。借入金、社債及びリース負債は、主に設備投資に必要な資金の調達を目的としたものであり、償還日は決算日後、最長で4年半後であります。このうち一部は、変動金利であるため金利の変動リスクに晒されていますが、デリバティブ取引(金利スワップ取引)を利用してヘッジしております。
- デリバティブ取引は、外貨建ての営業債権債務に係る為替の変動リスクに対するヘッジ取引を目的とした先物為替予約取引、借入金及び社債に係る支払金利の変動リスクに対するヘッジ取引を目的とした金利スワップ取引であります。なお、ヘッジ会計に関するヘッジ手段とヘッジ対象、ヘッジ方針、ヘッジの有効性の評価方法等については、前述の「会計処理基準に関する事項」に記載されている「重要なヘッジ会計の方法」をご覧下さい。
- (3) 金融商品に係るリスク管理体制
- ① 信用リスク(取引先の契約不履行等に係るリスク)の管理
当社は、債権管理規程に従い、営業債権及び長期貸付金について、各事業部門における営業管理部が主要な取引先の状況を定期的にモニタリングし、取引相手ごとに期日及び残高を管理するとともに、財務状況等の悪化等による回収懸念の早期把握や軽減を図っております。連結子会社についても、当社の債権管理規程に準じて、同様の管理を行っております。
満期保有目的の債券は、資金運用管理規程に従い、格付の高い債券のみを対象としているため、信用リスクは僅少であります。
デリバティブ取引の利用にあたっては、カウンターパーティーリスクを軽減するために、格付の高い金融機関とのみ取引を行っております。
当期の連結決算日現在における最大信用リスク額は、信用リスクにさらされる金融資産の貸借対照表価額により表わされています。 - ② 市場リスク(為替や金利等の変動リスク)の管理
当社及び一部の連結子会社は、外貨建ての営業債権債務について、通貨別月別に把握された為替の変動リスクに対して、原則として先物為替予約を利用してヘッジしております。なお、為替相場の状況により、半年を限度として、輸出に係る予定取引により確実に発生すると見込まれる外貨建営業債権に対する先物為替予約を行っております。また、当社及び一部の連結子会社は、借入金及び社債に係る支払金利の変動リスクを抑制するために、金利スワップ取引を利用しております。
有価証券及び投資有価証券については、定期的に時価や発行体(取引先企業)の財務状況等を把握し、また、満期保有目的の債券以外のものについては、取引先企業との関係を勘案して保有状況を継続的に見直しております。
デリバティブ取引につきましては、取引権限や限度額等を定めたデリバティブ取引管理規程に基づき、半年ごとに経営会議で基本方針を承認し、これに従い財務部が取引を行い、経理部において記帳及び契約先と残高照合等を行っております。月次の取引実績は、財務部所管の役員及び経営会議に報告しております。連結子会社についても、当社のデリバティブ取引管理規程に準じて、管理を行っております。 - ③ 資金調達に係る流動性リスク(支払期日に支払いを実行できなくなるリスク)の管理
当社は、各部署からの報告に基づき財務部が適時に資金繰計画を作成・更新するとともに、手許流動性を連結売上高のXか月分相当に維持することなどにより、流動性リスクを管理しております。 - (4) 金融商品の時価等に関する事項についての補足説明
金融商品の時価の算定においては変動要因を織り込んでいるため、異なる前提条件等を採用することにより、当該価額が変動することもあります。また、「2.金融商品の時価等に関する事項」におけるデリバティブ取引に関する契約額等については、その金額自体がデリバティブ取引に係る市場リスクを示すものではありません。 - (5) 信用リスクの集中
当期の連結決算日現在における営業債権のうちxx%が特定の大口顧客に対するものであります。 - 2. 金融商品の時価等に関する事項
- 20XX年XX月XX日(当期の連結決算日)における連結貸借対照表計上額、時価及びこれらの差額については、次のとおりであります。なお、市場価格のない株式等は、次表には含めておりません((注2)を参照ください。)。また、現金は注記を省略しており、預金は短期間で決済されるため時価が帳簿価額に近似することから、注記を省略しております。

- (*1) 長期貸付金に個別に計上している貸倒引当金を控除しております。
- (*2) デリバティブ取引によって生じた正味の債権・債務は純額で表示しており、合計で正味の債務となる項目については、( )で示しております。
- (注1)有価証券及びデリバティブ取引に関する事項
- (1) 有価証券及び投資有価証券
保有目的ごとの有価証券に関する注記事項は以下のとおりであります。 - ① 満期保有目的の債券における種類ごとの連結貸借対照表計上額、時価及びこれらの差額は、次のとおりであります。なお、当連結会計年度中に売却した満期保有目的の債券はありません。

- ② その他有価証券の当連結会計年度中の売却額はxxx百万円であり、売却益の合計額はxxx百万円、売却損の合計額はxxx百万円であります。また、その他有価証券において、種類ごとの取得原価又は償却原価、連結貸借対照表計上額及びこれらの差額については、次のとおりであります。

- ③ 当連結会計年度中において保有目的が変更となった株式
- 従来、関連会社株式として保有していた㈱××の株式を、一部売却し、持分法適用の範囲から除外したことにより、当連結会計年度中にその他有価証券に変更しております。この影響は、注記事項の(連結損益計算書関係)の中の持分変動利益に記載のとおりであります。
- (2) デリバティブ取引
- ① ヘッジ会計が適用されていないもの
ヘッジ会計が適用されていないデリバティブ取引について、取引の対象物の種類ごとの連結決算日における契約額又は契約において定められた元本相当額、時価及び評価損益は、次のとおりであります。 

- ② ヘッジ会計が適用されているもの
ヘッジ会計が適用されているデリバティブ取引について、ヘッジ会計の方法ごとの連結決算日における契約額又は契約において定められた元本相当額等は、次のとおりであります。 
- (注2)市場価格のない株式等

- これらについては、「その他有価証券」には含めておりません。
- (注3)金銭債権及び満期がある有価証券の連結決算日後の償還予定額

- (注4)社債、長期借入金、リース負債及びその他の有利子負債の連結決算日後の返済予定額については、連結附属明細表「社債明細表」及び「借入金等明細表」を参照ください。
- 3. 金融商品の時価のレベルごとの内訳等に関する事項
- 金融商品の時価を、時価の算定に用いたインプットの観察可能性及び重要性に応じて、以下の3つのレベルに分類しております。
- レベル1の時価:同一の資産又は負債の活発な市場における(無調整の)相場価格により算定した時価
- レベル2の時価:レベル1のインプット以外の直接又は間接的に観察可能なインプットを用いて算定した時価
- レベル3の時価:重要な観察できないインプットを使用して算定した時価
- 時価の算定に重要な影響を与えるインプットを複数使用している場合には、それらのインプットがそれぞれ属するレベルのうち、時価の算定における優先順位が最も低いレベルに時価を分類しております。
- (1) 時価をもって連結貸借対照表計上額とする金融資産及び金融負債

- (2) 時価をもって連結貸借対照表計上額としない金融資産及び金融負債

- (注)時価の算定に用いた評価技法及びインプットの説明
- 有価証券及び投資有価証券
- 上場株式、国債、地方債及び社債は相場価格を用いて評価しております。上場株式及び国債は活発な市場で取引されているため、その時価をレベル1の時価に分類しております。一方で、当社が保有している地方債及び社債は、市場での取引頻度が低く、活発な市場における相場価格とは認められないため、その時価をレベル2の時価に分類しております。
- デリバティブ取引
- 金利スワップ及び為替予約の時価は、金利や為替レート等の観察可能なインプットを用いて割引現在価値法により算定しており、レベル2の時価に分類しております。
- 受取手形及び売掛金
- これらの時価は、一定の期間ごとに区分した債権ごとに、債権額と満期までの期間及び信用リスクを加味した利率を基に割引現在価値法により算定しており、レベル2の時価に分類しております。
- 長期貸付金
- 長期貸付金の時価は、一定の期間ごとに分類し、与信管理上の信用リスク区分ごとに、その将来キャッシュ・フローと国債の利回り等適切な指標に信用スプレッドを上乗せした利率を基に割引現在価値法により算定しており、レベル2の時価に分類しております。また、貸倒懸念債権の時価は、同様の割引率による見積キャッシュ・フローの割引現在価値、又は、担保及び保証による回収見込額等を基に割引現在価値法により算定しており、時価に対して観察できないインプットによる影響額が重要な場合はレベル3の時価、そうでない場合はレベル2の時価に分類しております。
- 支払手形及び買掛金、並びに短期借入金
- これらの時価は、一定の期間ごとに区分した債務ごとに、その将来キャッシュ・フローと、返済期日までの期間及び信用リスクを加味した利率を基に割引現在価値法により算定しており、レベル2の時価に分類しております。
- 社債
- 当社の発行する社債の時価は、元利金の合計額と、当該社債の残存期間及び信用リスクを加味した利率を基に割引現在価値法により算定しており、レベル2の時価に分類しております。
- 長期借入金
- 長期借入金の時価は、元利金の合計額と、当該債務の残存期間及び信用リスクを加味した利率を基に、割引現在価値法により算定しており、レベル2の時価に分類しております。
3. 金融業
- 1. 金融商品の状況に関する事項
- (1) 金融商品に対する取組方針
- 当社グループは、ローン事業及び投資商品の組成販売などの金融サービス事業を行っている。これらの事業を行うため、市場の状況や長短のバランスを調整して、銀行借入れによる間接金融のほか、社債やコマーシャル・ペーパーの発行、債権流動化による直接金融によって資金調達を行っている。このように、主として金利変動を伴う金融資産及び金融負債を有しているため、金利変動による不利な影響が生じないように、当社では、資産及び負債の総合的管理(ALM)をしている。その一環として、デリバティブ取引も行っている。
- また、当社の一部の連結子会社には、有価証券及びデリバティブ取引のトレーディングを行っている子会社や銀行業務を行っている子会社がある。
- (2) 金融商品の内容及びそのリスク
- 当社グループが保有する金融資産は、主として国内の取引先及び個人に対する営業貸付金であり、顧客の契約不履行によってもたらされる信用リスクに晒されている。当期の連結決算日現在における営業貸付金のうち、xx%は××業に対するものであり、当該××業を巡る経済環境等の状況の変化により、契約条件に従った債務履行がなされない可能性がある。また、有価証券及び投資有価証券は、主に株式及び債券であり、満期保有目的、純投資目的及び事業推進目的で保有しているほか、一部の連結子会社では売買目的で保有している。これらは、それぞれ発行体の信用リスク及び金利の変動リスク、市場価格の変動リスクに晒されている。なお、その他有価証券には、リスクが高いものとして、流動性に乏しい××国通貨建て非上場外国債券(償還期限XX年のディープ・ディスカウント債)xxx百万円が含まれている。
- 借入金、社債及びコマーシャル・ペーパーは、一定の環境の下で当社グループが市場を利用できなくなる場合など、支払期日にその支払いを実行できなくなる流動性リスクに晒されている。また、変動金利の借入を行っており、金利の変動リスクに晒されているが、一部は金利スワップ取引を行うことにより当該リスクを回避している。外貨建社債については、為替の変動リスクに晒されており、社債の発行時に、通貨スワップ取引を行うことにより当該リスクを回避している。
- デリバティブ取引にはALMの一環で行っている金利スワップ取引及び金利キャップ取引がある。当社では、これらをヘッジ手段として、ヘッジ対象である借入金に関わる金利の変動リスクに対してヘッジ会計を適用している。また、金利先物取引をヘッジ手段として、長期借入金に係る予定取引をヘッジ対象として、ヘッジ会計を適用している。これらのヘッジ開始時から有効性判定時点までの期間において、ヘッジ対象とヘッジ手段のキャッシュ・フロー変動の累計を比較し、両者の変動額等を基礎にして、ヘッジの有効性を評価している。
- このほか、その他有価証券で保有する債券の相場変動を相殺する目的で債券先物取引を行い、ヘッジ対象に係る損益を認識する方法(時価ヘッジ)を適用している。また、金利スワップ取引をヘッジ手段として、ヘッジ対象である長期借入金に金利スワップの特例処理を行っているもの、及び通貨スワップ取引をヘッジ手段として、ヘッジ対象である社債に振当処理を行っているものがある。一部ヘッジ会計の要件を満たしていない取引は、為替及び金利の変動リスクに晒されている。
- また、一部の連結子会社では、売買目的有価証券のほか、金利関連のデリバティブ取引及び通貨関連のデリバティブ取引の一部をトレーディングポジションとして保有している。当該金融商品は、金利変動リスク、為替変動リスク、価格変動リスク及び信用リスク等に晒されている。
- (3) 金融商品に係るリスク管理体制
- ① 信用リスクの管理
- 当社グループは、当社のローン事業管理規程及び信用リスクに関する管理諸規程に従い、営業貸付金について、個別案件ごとの与信審査、与信限度額、信用情報管理、内部格付、保証や担保の設定、問題債権への対応など与信管理に関する体制を整備し運営している。これらの与信管理は、各営業部のほか審査部により行われ、また、定期的に経営陣による投融資委員会や取締役会を開催し、審議・報告を行っている。さらに、与信管理の状況については、監査部がチェックしている。
- 有価証券の発行体の信用リスク及びデリバティブ取引のカウンターパーティーリスクに関しては、リスク管理部において、信用情報や時価の把握を定期的に行うことで管理している。
- ② 市場リスクの管理
- (ⅰ) 金利リスクの管理
- 当社グループは、ALMによって金利の変動リスクを管理している。ALMに関する規則及び要領において、リスク管理方法や手続等の詳細を明記しており、投融資委員会において決定されたALMに関する方針に基づき、取締役会において実施状況の把握・確認、今後の対応等の協議を行っている。日常的にはリスク管理部において金融資産及び負債の金利や期間を総合的に把握し、ギャップ分析や金利感応度分析等によりモニタリングを行い、月次ベースで取締役会に報告している。なお、ALMにより、金利の変動リスクをヘッジするための金利スワップ及び金利キャップ等のデリバティブ取引も行っている。
- (ⅱ) 為替リスクの管理
- 当社グループは、為替の変動リスクに関して、個別の案件ごとに管理しており、通貨スワップを利用し、振当処理を行っている。
- (ⅲ) 価格変動リスクの管理
- 有価証券を含む投資商品の保有については、投融資委員会の方針に基づき、取締役会の監督の下、投資運用規程に従い行われている。このうち、投資運用部では、当社グループが組成した投資商品のほか、外部からの購入も行っており、事前審査、投資限度額の設定のほか、継続的なモニタリングを通じて、価格変動リスクの軽減を図っている。財務部で保有している株式の多くは、業務・資本提携を含む事業推進目的で保有しているものであり、取引先の市場環境や財務状況などをモニタリングしている。これらの情報はリスク管理部を通じ、取締役会及び投融資委員会において定期的に報告されている。
- 一部の連結子会社がトレーディング目的で保有する有価証券及び通貨関連、金利関連のデリバティブ取引については、投融資委員会の方針に基づき、トレーディング運用管理規程に従い実施され、当社のリスク管理部において、バリュー・アット・リスク(VaR)を用いてトレーディングに係る金融商品の市場リスク量が把握されるとともに、規定の遵守状況等が管理されている。
- (ⅳ) デリバティブ取引
- デリバティブ取引に関しては、取引の執行、ヘッジ有効性の評価、事務管理に関する部門をそれぞれ分離し内部牽制を確立するとともに、デリバティブ取引管理規則に基づき実施されている。
- (ⅴ) 市場リスクに係る定量的情報
- (ア) トレーディング目的の金融商品
当社グループの一部の連結子会社では、「有価証券及び投資有価証券」のうちの売買目的有価証券、「デリバティブ取引」のうちトレーディング目的として保有している通貨関連及び金利関連の一部に関するVaRの算定にあたっては、ヒストリカル・シミュレーション法(保有期間xx日、信頼区間xx%、観測期間xxx営業日)を採用している。
20XX年XX月XX日(当期の連結決算日)現在で当社グループのトレーディング業務の市場リスク量(損失額の推計値)は、全体でxxx百万円である。
なお、当社グループでは、モデルが算出するVaRと実際の損益を比較するバックテスティングを実施している。20XX年度に関して実施したバックテスティングの結果、実際の損失がVaRを超えた回数はx回であり、使用する計測モデルは十分な精度により市場リスクを捕捉しているものと考えている。ただし、VaRは過去の相場変動をベースに統計的に算出した一定の発生確率での市場リスク量を計測しており、通常では考えられないほど市場環境が激変する状況下におけるリスクは捕捉できない場合がある。 - (イ) トレーディング目的以外の金融商品
当社グループにおいて、主要なリスク変数である金利リスクの影響を受ける主たる金融商品は、「営業貸付金」、「有価証券及び投資有価証券」のその他有価証券に分類される債券、「銀行業における預金」、「長期借入金」、「社債」、「デリバティブ取引」のうちの金利スワップ取引、金利キャップ取引である。当社グループでは、これらの金融資産及び金融負債について、期末後1年程度の金利の合理的な予想変動幅を用いた当面1年間の損益に与える影響額を、金利の変動リスクの管理にあたっての定量的分析に利用している。当該影響額の算定にあたっては、対象の金融資産及び金融負債を固定金利群と変動金利群に分けて、それぞれ金利期日に応じて適切な期間に残高を分解し、期間ごとの金利変動幅を用いている。金利以外のすべてのリスク変数が一定であることを仮定し、20XX年XX月XX日現在、指標となる金利がxxベーシス・ポイント(0.xx%)上昇したものと想定した場合には、税金等調整前当期純利益がxxx百万円減少し、xxベーシス・ポイント(0.xx%)下落したものと想定した場合には、xxx百万円増加するものと把握している。当該影響額は、金利を除くリスク変数が一定の場合を前提としており、金利とその他のリスク変数との相関を考慮していない。また、金利の合理的な予想変動幅を超える変動が生じた場合には、算定額を超える影響が生じる可能性がある。 - ③ 資金調達に係る流動性リスクの管理
- 当社グループは、ALMを通して、適時にグループ全体の資金管理を行うほか、資金調達手段の多様化、複数の金融機関からのコミットメントラインの取得、市場環境を考慮した長短の調達バランスの調整などによって、流動性リスクを管理している。
- (4) 金融商品の時価等に関する事項についての補足説明
- 金融商品の時価の算定においては一定の前提条件等を採用しているため、異なる前提条件等によった場合、当該価額が異なることもある。また、「2.金融商品の時価等に関する事項」におけるデリバティブ取引に関する契約額等については、その金額自体がデリバティブ取引に係る市場リスクを示すものではない。
- 2. 金融商品の時価等に関する事項
- 20XX年XX月XX日における連結貸借対照表計上額、時価及びこれらの差額については、次のとおりである。なお、市場価格のない株式等は、次表には含めていない((注2)参照のこと。)。また、現金は注記を省略しており、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーは短期間で決済されるため時価が帳簿価額に近似することから、注記を省略している。

- (*1) 営業貸付金に対応する一般貸倒引当金及び個別貸倒引当金を控除している。
- (*2) デリバティブ取引によって生じた正味の債権・債務は純額で表示しており、合計で正味の債務となる項目については、( )で示している。
- (注1)有価証券及びデリバティブ取引に関する事項
- (1) 有価証券及び投資有価証券
保有目的ごとの有価証券に関する注記事項は以下のとおりである。 - ① 売買目的有価証券において、当連結会計年度の損益に含まれた評価差額はxxx百万円である。
- ② 満期保有目的の債券において、種類ごとの連結貸借対照表計上額、時価及びこれらの差額については、次のとおりである。なお、当連結会計年度中に売却した満期保有目的の債券はない。

- ③ その他有価証券の当連結会計年度中の売却額はxxx百万円であり、売却益の合計額はxxx百万円、売却損の合計額はxxx百万円である。また、その他有価証券において、種類ごとの取得原価又は償却原価、連結貸借対照表計上額及びこれらの差額については、次のとおりである。

- ④ 上記の表中にある「取得原価」は減損処理後の帳簿価額である。当連結会計年度において、その他有価証券に含まれる株式についてxxx百万円減損処理を行っている。
- ⑤ 当連結会計年度中において、保有目的が変更となった有価証券はない。
- (2) デリバティブ取引
- ① ヘッジ会計が適用されていないもの
ヘッジ会計が適用されていないデリバティブ取引について、取引の対象物の種類ごとの連結決算日における契約額又は契約において定められた元本相当額、時価及び評価損益は、次のとおりである。 


- ② ヘッジ会計が適用されているもの
ヘッジ会計が適用されているデリバティブ取引について、ヘッジ会計の方法ごとの連結決算日における契約額又は契約において定められた元本相当額等は、次のとおりである。 
- (*1) 金利スワップの特例処理によるものは、ヘッジ対象とされている長期借入金と一体として処理されているため、その時価は、当該長期借入金の時価に含めて記載している。
- (*2) 為替予約等の振当処理によるものは、ヘッジ対象とされている社債と一体として処理されているため、その時価は、当該売掛金及び当該社債の時価に含めて記載している。
- (注2)市場価格のない株式等は次のとおりであり、金融商品の時価情報の「その他有価証券」には含まれていない。

- (*1) 当連結会計年度において、非上場株式についてxxx百万円減損処理を行っている。
- (注3)金銭債権及び満期のある有価証券の連結決算日後の償還予定額

- (*) 営業貸付金のうち、破産更生債権等、償還予定額が見込めないxxx百万円は含めていない。
- (注4)社債、長期借入金及びその他の有利子負債の連結決算日後の返済予定額

- (*) 銀行業における預金のうち、要求払預金については、「1年以内」に含めて開示している。
- 3. 金融商品の時価のレベルごとの内訳等に関する事項
- 金融商品の時価を、時価の算定に用いたインプットの観察可能性及び重要性に応じて、以下の3つのレベルに分類している。
- レベル1の時価:同一の資産又は負債の活発な市場における(無調整の)相場価格により算定した時価
- レベル2の時価:レベル1のインプット以外の直接又は間接的に観察可能なインプットを用いて算定した時価
- レベル3の時価:重要な観察できないインプットを使用して算定した時価
- 時価の算定に重要な影響を与えるインプットを複数使用している場合には、それらのインプットがそれぞれ属するレベルのうち、時価の算定における優先順位が最も低いレベルに時価を分類している。
- (1) 時価をもって連結貸借対照表計上額とする金融資産及び金融負債

- (2) 時価をもって連結貸借対照表計上額としない金融資産及び金融負債

- (注1)時価の算定に用いた評価技法及びインプットの説明
- 有価証券及び投資有価証券
- 有価証券及び投資有価証券については、活発な市場における無調整の相場価格を利用できるものはレベル1の時価に分類している。主に上場株式や国債がこれに含まれる。
- 公表された相場価格を用いていたとしても市場が活発でない場合にはレベル2の時価に分類している。主に地方債、社債、住宅ローン担保証券がこれに含まれる。
- 相場価格が入手できない場合には、将来キャッシュ・フローの割引現在価値法などの評価技法を用いて時価を算定している。評価にあたっては観察可能なインプットを最大限利用しており、インプットには、TIBOR、国債利回り、期限前返済率、信用スプレッド、倒産確率、倒産時の損失率等が含まれる。算定にあたり重要な観察できないインプットを用いている場合には、レベル3の時価に分類している。
- デリバティブ取引
- デリバティブ取引については、活発な市場における無調整の相場価格を利用できるものはレベル1の時価に分類しており、主に債券先物取引や金利先物取引がこれに含まれる。
- ただし、大部分のデリバティブ取引は店頭取引であり、公表された相場価格が存在しないため、取引の種類や満期までの期間に応じて割引現在価値法やブラック・ショールズ・モデル等の評価技法を利用して時価を算定している。それらの評価技法で用いている主なインプットは、金利や為替レート、ボラティリティ等である。また、取引相手の信用リスク及び当社自身の信用リスクに基づく価格調整を行っている。観察できないインプットを用いていない又はその影響が重要でない場合はレベル2の時価に分類しており、プレイン・バニラ型の金利スワップ取引、為替予約取引等が含まれる。重要な観察できないインプットを用いている場合はレベル3の時価に分類しており、株式オプション取引等が含まれる。
- 預金
- 預金については、期間に基づく区分ごとに、将来キャッシュ・フローを市場金利で割り引いて時価を算定しており、レベル2の時価に分類している。
- 営業貸付金
- 営業貸付金については、貸付金の種類及び内部格付、期間に基づく区分ごとに、元利金の合計額を市場金利に信用リスク等を反映させた割引率で割り引いて時価を算定している。このうち変動金利によるものは、短期間で市場金利を反映するため、貸付先の信用状態が実行後大きく異なっていない場合は時価と帳簿価額が近似していることから、帳簿価額を時価としている。また、貸倒懸念債権については、見積将来キャッシュ・フローの割引現在価値、又は、担保及び保証による回収見込額等を用いた割引現在価値により時価を算定している。時価に対して観察できないインプットによる影響額が重要な場合はレベル3の時価、そうでない場合はレベル2の時価に分類している。
- 破産更生債権等
- 破産更生債権等については、担保及び保証による回収見込額等を用いた割引現在価値法により時価を算定している。時価に対して観察できないインプットによる影響額が重要な場合はレベル3の時価、そうでない場合はレベル2の時価に分類している。
- 銀行業における預金
- 要求払預金について、連結決算日に要求に応じて直ちに支払うものは、その金額を時価としている。また、定期預金については、一定の期間ごとに区分して、将来キャッシュ・フローを割り引いた現在価値により時価を算定している。割引率は、市場金利を用いており、算定された時価はレベル2の時価に分類している。
- 社債
- 当社の発行する社債については、活発な市場における無調整の相場価格を利用できるものはレベル1の時価に分類している。相場価格を利用できないものについては、元利金の合計額と当該社債の残存期間及び当社の信用リスクを加味した利率を基に割引現在価値法により時価を算定しており、レベル2の時価に分類している。一部の社債は為替予約等の振当処理の対象とされており(「2.金融商品の時価等に関する事項」(注1)参照)、円貨建固定利付社債とみて、元利金の合計額を格付及び期間が類似した固定金利の社債の利率に当社の信用リスクを調整した利率で割り引いて時価を算定している。当該時価はレベル2の時価に分類している。
- 長期借入金
- 長期借入金については、一定の期間ごとに区分した当該長期借入金の元利金の合計額(*)を、当該借入金の残存期間及び信用リスクを加味した利率で割り引いて現在価値を算定しており、レベル2の時価に分類している。
- (*)金利スワップの特例処理の対象とされた長期借入金(「2.金融商品の時価等に関する事項」(注1)参照)については、その金利スワップのレートによる元利金の合計額
- (注2)時価をもって連結貸借対照表計上額とする金融資産及び金融負債のうちレベル3の時価に関する情報
- (1) 重要な観察できないインプットに関する定量的情報

- (2) 期首残高から期末残高への調整表、当期の損益に認識した評価損益

- (*1)連結損益計算書の「金融収益」及び「金融費用」に含まれている。
- (*2)連結包括利益計算書の「その他の包括利益」の「その他有価証券評価差額金」に含まれている。
- (*3)レベル2の時価からレベル3の時価への振替であり、当該住宅ローン担保証券についての市場の活動の減少により観察可能な市場データが不足していることによるものである。当該振替は会計期間の末日に行っている。
- (*4)レベル3の時価からレベル2の時価への振替であり、当該住宅ローン担保証券について観察可能なデータが利用可能になったことによるものである。当該振替は会計期間の末日に行っている。
- (3) 時価の評価プロセスの説明
- 当社グループはリスク管理部門にて時価の算定に関する方針及び手続を定めており、これに沿って各取引部門が時価を算定している。算定された時価は、独立した評価部門にて、時価の算定に用いられた評価技法及びインプットの妥当性並びに時価のレベルの分類の適切性を検証している。検証結果は毎期リスク管理部門に報告され、時価の算定の方針及び手続に関する適正性が確保されている。
- 時価の算定にあたっては、個々の資産の性質、特性及びリスクを最も適切に反映できる評価モデルを用いている。また、第三者から入手した相場価格を利用する場合においても、利用されている評価技法及びインプットの確認や類似の金融商品の時価との比較等の適切な方法により価格の妥当性を検証している。
- (4) 重要な観察できないインプットを変化させた場合の時価に対する影響に関する説明
- 住宅ローン担保証券の時価の算定で用いている重要な観察できないインプットは、倒産確率、倒産時の損失率及び期限前返済率である。これらのインプットの著しい増加(減少)は、それら単独では、時価の著しい低下(上昇)を生じさせることとなる。一般に、倒産確率に関して用いている仮定の変化は、倒産時の損失率に関して用いている仮定の同方向への変化を伴い、期限前返済率に関して用いている仮定の逆方向への変化を伴う。
- 株式オプション取引の時価の算定で用いている重要な観察できないインプットは、株式ボラティリティである。ボラティリティは対象とする指数の変化のスピード及び幅の大きさに関する指標であり、ボラティリティの著しい増加(減少)は、単独では、オプション価格の著しい上昇(低下)を生じさせることとなり、オプションの買いポジションである場合には、時価の著しい上昇(低下)を生じさせることとなる。
4. リスク変数の変動を合理的な範囲で想定した場合の開示情報(第3項(3)②イ)
- (金利リスク)
- 当社グループにおいて、金利リスクの影響を受ける主たる金融商品は、「有価証券及び投資有価証券」のその他有価証券に分類される債券、「社債」、「デリバティブ取引」のうちの金利スワップ取引であります。
- その他すべてのリスク変数が一定の場合、20XX年XX月XX日現在の金利がxxベーシス・ポイント(0.xx%)低ければ、当該金融資産と金融負債相殺後の純額(資産側)の時価はxxx百万円増加するものと考えられます。反対に、金利がxxベーシス・ポイント(0.xx%)高ければ、xxx百万円減少するものと考えられます。
- (外国為替リスク)
- 当社グループにおいて、外国為替レート(主として円・米ドルレート)のリスクの影響を受ける主たる金融商品は、「貸付金」のうち米ドル建ての貸付金、「長期借入金」のうち米ドル建ての長期借入金、「有価証券及び投資有価証券」のその他有価証券に分類される米ドル建て債券及び「デリバティブ取引」のうち為替予約取引であります。
- その他すべてのリスク変数が一定の場合、20XX年XX月XX日時点で、円が対米ドルでxx%下落すれば、当該金融資産と金融負債相殺後の純額(資産側)の時価はxxx百万円増加するものと考えられます。反対に、円が対米ドルでxx%上昇すれば、xxx百万円減少するものと考えられます。
- 以 上
