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実務対応報告第45号資金決済法における特定の電子決済手段の会計処理及び開示に関する当面の取扱い
目 的
- 1. 本実務対応報告は、「資金決済に関する法律」(平成21年法律第59号。以下「資金決済法」という。)第2条第5項に規定される電子決済手段のうち特定の電子決済手段の会計処理及び開示に関する当面の取扱いとして、必要最小限の項目について、実務上の取扱いを明らかにすることを目的とする。
範 囲
- 2. 本実務対応報告は、資金決済法第2条第5項に規定される電子決済手段のうち、第1号電子決済手段、第2号電子決済手段及び第3号電子決済手段を対象とする。
- ただし、第1号電子決済手段、第2号電子決済手段又は第3号電子決済手段のうち外国電子決済手段については、電子決済手段の利用者が電子決済手段等取引業者に預託しているものに限る。
- 3. 前項にかかわらず、第3号電子決済手段の発行者側に係る会計処理及び開示に関しては、実務対応報告第23号「信託の会計処理に関する実務上の取扱い」(以下「実務対応報告第23号」という。)を適用する。
用語の定義
- 4. 本実務対応報告における用語の定義は、次のとおりとする。
- (1) 「第1号電子決済手段」とは、資金決済法第2条第5項第1号に規定される電子決済手段をいう。
- (2) 「第2号電子決済手段」とは、資金決済法第2条第5項第2号に規定される電子決済手段をいう。
- (3) 「第3号電子決済手段」とは、資金決済法第2条第5項第3号に規定される電子決済手段をいう。
- (4) 「外国電子決済手段」とは、外国において発行される資金決済法、資金決済法第2条第31項に規定される銀行法等、金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和18年法律第43号)又は信託業法(平成16年法律第154号)(以下合わせて「資金決済法等」という。)に相当する外国の法令に基づく電子決済手段をいう(電子決済手段等取引業者に関する内閣府令(令和5年内閣府令第48号。以下「取引業府令」という。)第30条第1項第5号)。
- (5) 「外貨建電子決済手段」とは、外国通貨で表示される電子決済手段をいう。
- (6) 「電子決済手段等取引業者」とは、資金決済法第2条第12項に規定される者をいう。
実務上の取扱い
電子決済手段の保有に係る会計処理
電子決済手段の取得時の会計処理
- 5. 本実務対応報告の対象となる電子決済手段を取得したときは、その受渡日に当該電子決済手段の券面額に基づく価額をもって電子決済手段を資産として計上し、当該電子決済手段の取得価額と当該券面額に基づく価額との間に差額がある場合、当該差額を損益として処理する。
電子決済手段の移転時又は払戻時の会計処理
- 6. 本実務対応報告の対象となる電子決済手段を第三者に移転するとき又は電子決済手段の発行者から本実務対応報告の対象となる電子決済手段について金銭による払戻しを受けるときは、その受渡日に当該電子決済手段を取り崩す。電子決済手段を第三者に移転するときに金銭を受け取り、当該電子決済手段の帳簿価額と金銭の受取額との間に差額がある場合、当該差額を損益として処理する。
期末時の会計処理
- 7. 本実務対応報告の対象となる電子決済手段は、期末時において、その券面額に基づく価額をもって貸借対照表価額とする。
電子決済手段の発行に係る会計処理
電子決済手段の発行時の会計処理
- 8. 本実務対応報告の対象となる電子決済手段を発行するときは、その受渡日に当該電子決済手段に係る払戻義務について債務額をもって負債として計上し、当該電子決済手段の発行価額の総額と当該債務額との間に差額がある場合、当該差額を損益として処理する。
電子決済手段の払戻時の会計処理
- 9. 本実務対応報告の対象となる電子決済手段を払い戻すときは、その受渡日に払戻しに対応する債務額を取り崩す。
期末時の会計処理
- 10. 本実務対応報告の対象となる電子決済手段に係る払戻義務は、期末時において、債務額をもって貸借対照表価額とする。
外貨建電子決済手段に係る会計処理
期末時の会計処理
- 11. 本実務対応報告の対象となる外貨建電子決済手段の期末時における円換算については、企業会計審議会「外貨建取引等会計処理基準」(以下「外貨建取引等会計処理基準」という。) 一 2 (1) ①の定めに準じて処理する。
- 12. 本実務対応報告の対象となる外貨建電子決済手段に係る払戻義務の期末時における円換算については、外貨建取引等会計処理基準 一 2 (1) ②の定めに従って処理する。
預託電子決済手段に係る取扱い
- 13. 電子決済手段等取引業者又はその発行する電子決済手段について電子決済手段等取引業を行う電子決済手段の発行者(以下合わせて「電子決済手段等取引業者等」という。)は、電子決済手段の利用者との合意に基づいて当該利用者から預かった本実務対応報告の対象となる電子決済手段(以下「預託電子決済手段」という。)を資産として計上しない。また、当該電子決済手段の利用者に対する返還義務を負債として計上しない。
開 示
注記事項
- 14. 本実務対応報告の対象となる電子決済手段及び本実務対応報告の対象となる電子決済手段に係る払戻義務に関する注記については、企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」(以下「金融商品会計基準」という。)第40-2項に定める事項を注記する。
適用時期
- 15. 本実務対応報告は、公表日以後適用する。
議 決
- 16. 本実務対応報告は、第514回企業会計基準委員会に出席した委員13名全員の賛成により承認された。
結論の背景
経 緯
- BC1. 情報通信技術の進展に伴い、ブロックチェーンをはじめとする分散型台帳技術等を利用した金融サービスに関しては、送金・決済の分野において、法定通貨との価値の連動等を目指すいわゆるステーブルコインを用いた取引が、海外において増加している。
- 2022年6月に成立した「安定的かつ効率的な資金決済制度の構築を図るための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律」(令和4年法律第61号)により資金決済法が改正され、広く送金・決済手段として用いられるいわゆるステーブルコインの取引を行う事業者について必要な規律が導入された。このうち、法定通貨の価値と連動した価格で発行され券面額と同額で払戻しを約するもの及びこれに準ずる性質を有するものが新たに「電子決済手段」と定義され、また、この電子決済手段を取り扱う電子決済手段等取引業者について登録制が導入され、必要な規定の整備が行われた。当該規定の整備を背景に、2022年7月に公益財団法人財務会計基準機構内に設けられている企業会計基準諮問会議に対して、資金決済法上の電子決済手段の発行及び保有等に係る会計上の取扱いについて検討するよう要望が寄せられた。
- BC2. これを受けて、2022年8月に開催された第484回企業会計基準委員会において、企業会計基準諮問会議より、資金決済法上の電子決済手段の発行及び保有等に係る会計上の取扱いを検討することが当委員会に提言された。当委員会は、2022年8月より審議を開始し、その結果を実務対応報告公開草案第66号「資金決済法における特定の電子決済手段の会計処理及び開示に関する当面の取扱い(案)」として公表し広く意見を求めた。本実務対応報告は、公開草案に対して寄せられた意見を踏まえて検討を行い、公表するに至ったものである。
- BC3. 資金決済法第2条第5項に規定される電子決済手段のうち、第1号電子決済手段、第2号電子決済手段及び第3号電子決済手段については、価値の安定した電子決済手段であり送金・決済手段として広く使用されることが想定されている。これに対して、資金決済法第2条第5項第4号に規定される電子決済手段(以下「第4号電子決済手段」という。)については、資金決済法第2条第14項に規定される暗号資産(以下「資金決済法における暗号資産」という。)に類似する性格を有する可能性があり、会計上の性格を見極める必要があるが、現時点では、第4号電子決済手段に指定されるものが見込まれていない。企業会計基準諮問会議に寄せられた要望では、第1号電子決済手段、第2号電子決済手段及び第3号電子決済手段については、改正された資金決済法の施行に合わせて会計上の取扱いを定めることのニーズがあったため、本実務対応報告においては、これらの電子決済手段に関する会計上の取扱いを優先して定めることとした。
- BC4. 電子決済手段の発行は、改正された資金決済法の施行日以後に行われることが想定されるため、今後、電子決済手段の発行スキームが具体化される中で、会計上の取扱いを定めるものであることを踏まえ、本実務対応報告は、当面必要と考えられる最小限の項目に関する会計上の取扱いのみを定めている。
- なお、今後の電子決済手段の取引の発展や会計実務の状況により、本実務対応報告において定めのない事項に対して別途の対応を図ることの要望が市場関係者により当委員会に提起された場合には、公開の審議により、別途の対応を図ることの要否を当委員会において判断することとした。
範 囲
第3号電子決済手段の電子記録移転有価証券表示権利等との関係
- BC5. 第3号電子決済手段は信託の受益権であるが、有価証券とみなさなくても公益又は投資者保護のため支障が生じることがないと認められるものとして、2023年5月に改正された金融商品取引法施行令(昭和40年政令第321号)において、みなし有価証券から除かれている(金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第2項柱書及び第1号並びに金融商品取引法施行令第1条の2第1号)。したがって、電子記録移転有価証券表示権利等(金融商品取引業等に関する内閣府令(平成19年内閣府令第52号)第1条第4項第17号)に該当しない。このため、第3号電子決済手段は、実務対応報告第43号「電子記録移転有価証券表示権利等の発行及び保有の会計処理及び開示に関する取扱い」の適用範囲に含まれず、本実務対応報告の適用範囲に含まれる。
第3号電子決済手段の発行に係る会計処理
- BC6. 第3号電子決済手段は、信託の受益権として発行されるため、第3号電子決済手段の発行者は、信託における受託者の会計処理を行うことになると考えられる。当委員会は、これまで基本的に株式会社における会計処理等を定めており、信託の受託者の会計処理については、実務対応報告第23号のQ8のAにおいて一般的な取扱いのみ定めている。したがって、本実務対応報告においては、第3号電子決済手段の発行者側に係る会計処理等を定めていない(本実務対応報告第3項参照)。
外国電子決済手段
- BC7. 外国電子決済手段は、外国において発行される資金決済法等に相当する外国の法令に基づく電子決済手段である(第4項(4)参照)。当該外国電子決済手段は、第1号電子決済手段から第4号電子決済手段のいずれかに該当するものであるが、本実務対応報告の対象となる電子決済手段は、第2項に定めるとおり第1号電子決済手段、第2号電子決済手段又は第3号電子決済手段に該当する電子決済手段であることから、これらに該当する外国電子決済手段の取扱いについて検討を行った。
- BC8. 第1号電子決済手段、第2号電子決済手段又は第3号電子決済手段に該当する外国電子決済手段のうち、電子決済手段等取引業者が電子決済手段の利用者から預託を受ける外国電子決済手段については、取引業府令において一定の利用者の保護が図られているため、当該外国電子決済手段の保有に係る会計処理について国内で発行される電子決済手段と同様に取り扱うことが可能であると考えられる(BC19項及びBC20項参照)。
- これに対して、電子決済手段等取引業者が電子決済手段の利用者から預託を受ける外国電子決済手段以外の外国電子決済手段については、電子決済手段等取引業者が電子決済手段の利用者から預託を受ける外国電子決済手段のように取引業府令における一定の利用者の保護はなく、かつ、資金決済法等で規定される電子決済手段の発行者に対する規制も及ばないため、国内で発行される電子決済手段と同様の会計上の性格を有するか否かは必ずしも明らかではないと考えられる。また、仮に、電子決済手段等取引業者が電子決済手段の利用者から預託を受ける外国電子決済手段以外の外国電子決済手段に係る会計上の取扱いを定める場合、国際的な会計基準との整合性を図ることの検討も必要になると考えられるため、改正された資金決済法の施行に合わせて短期的に対応を行うことが困難である可能性があると考えられる。
- これらを踏まえ、電子決済手段の利用者が電子決済手段等取引業者に預託している外国電子決済手段(電子決済手段等取引業者にあっては、電子決済手段の利用者から預託を受けている外国電子決済手段)に限り、本実務対応報告の適用範囲に含めることとした(第2項ただし書き参照)。
実務上の取扱い
本実務対応報告の対象となる電子決済手段の特徴及び会計上の性格
本実務対応報告の対象となる電子決済手段に関して想定される発行等の概要
- BC9. 本実務対応報告の対象となる電子決済手段は、概ね次の内容により発行、流通、払戻しされることを想定している。
- (1) 電子決済手段の利用者は、電子決済手段の発行者又は電子決済手段等取引業者から金銭と交換にその同額の券面額に基づく価額の電子決済手段を交付される。
- (2) 第1号電子決済手段及び第3号電子決済手段は、送金・決済手段として使用され、その券面額に基づく価額で財又はサービスと交換される。また、第2号電子決済手段は、その券面額に基づく価額と同額の第1号電子決済手段と交換される。
- (3) 契約上、電子決済手段の移転の時点は明らかである。
- (4) 電子決済手段等取引業者等が電子決済手段の利用者から電子決済手段の管理の委託を受ける場合、当該利用者ごとの保有残高は、電子決済手段等取引業者等により帳簿書類で管理される。
- (5) 電子決済手段の利用者が電子決済手段について金銭による払戻しの請求を行ったとき、当該電子決済手段の利用者は速やかに電子決済手段の券面額に基づく価額と同額の金銭による払戻しを受ける。
本実務対応報告の対象となる電子決済手段の主な特徴
- BC10. 本実務対応報告の対象となる電子決済手段は、主に次の特徴を有する。
- (1) 送金・決済手段として使用されるものである(第2号電子決済手段を除く。)。
- (2) 電子決済手段の利用者の請求により、電子決済手段の券面額に基づく価額と同額の金銭による払戻しを受けることができるものであり、価値の安定した電子的な決済手段である。
- (3) 流通性があるものである。
(送金・決済手段として使用されるものである)
- BC11. 第1号電子決済手段及び第3号電子決済手段は、その券面額に基づく価額をもって財又はサービスの対価の支払に使用されるものである。第2号電子決済手段については、第1号電子決済手段と同等の経済的機能を果たす可能性がある電子決済手段であり、第2号電子決済手段の発行者に対して第1号電子決済手段と同一の所要の規制(BC12項参照)を及ぼすために規定が設けられている。
(価値の安定した電子的な決済手段である)
- BC12. 第1号電子決済手段及び第2号電子決済手段については、通貨建資産(資金決済法第2条第7項)であり、契約等により、当該電子決済手段の利用者は金銭による払戻しの請求を行うと、速やかに電子決済手段の券面額に基づく価額と同額の金銭による払戻しを受けることが約されている(BC9項(5)及びBC28項参照)。これらの第1号電子決済手段及び第2号電子決済手段の発行者は、法令上で経営の健全性の確保(銀行法(昭和56年法律第59号)第14条の2等)が求められている銀行等(資金決済法第2条第29項)又は電子決済手段の発行残高の概ね全額を保全するように履行保証金の供託等(資金決済法第43条から第45条)が求められる資金移動業者(資金決済法第2条第3項)に限られており、発行者には一定の規制が課されている。
- BC13. 第3号電子決済手段については、当該電子決済手段の利用者により信託された金銭と同額の金銭信託の受益権(資金決済法第2条第9項)が当該利用者に交付され、電子決済手段の利用者が当該金銭信託の受益権の払戻しの請求を行った場合、速やかに当該電子決済手段の券面額に基づく価額と同額の金銭による払戻しを受けることができる。この第3号電子決済手段においては、電子決済手段の利用者が信託する金銭の全額について預金者又は貯金者がその払戻しをいつでも請求できる預貯金(取引業府令第3条)により分別管理され、信託財産の倒産隔離が図られている。なお、信託財産である預貯金が預金保険又は貯金保険の保護の対象に含まれるか否か及び預金保険又は貯金保険の保護の対象に含まれる場合における保護の上限は、当該預貯金の種類等により異なる。
(流通性があるものである)
- BC14. 第1号電子決済手段及び第2号電子決済手段は、電子的な通貨建資産としての財産的価値(資金決済法第2条第5項第1号)であり、当該財産的価値が電子決済手段の利用者の間で移転される。また、第3号電子決済手段は、電子的な財産的価値に表示される金銭信託の受益権であり、当該受益権は、原則として譲渡可能である(信託法(平成18年法律第108号)第93条第1項)ため、当該金銭信託の受益権が電子決済手段の利用者の間で移転される。このため、電子決済手段等取引業者を通じて電子決済手段の売買が行われる場合、流通市場が形成され、観察可能な市場価格が存在する可能性がある。
- BC15. 米国において米国法定通貨又は米国財務省証券等で裏付けられ、1対1の割合で法定通貨と交換できるとされる事例では、その市場価格がその券面額から乖離する場合には裁定取引が働くことにより市場価格が当該券面額と近似するといわれている。このことを踏まえ、本実務対応報告では、仮に本実務対応報告の対象となる電子決済手段の流通市場が形成される場合、基本的には、当該電子決済手段の市場価格がその券面額と近似することを想定している。
電子決済手段の移転の時点
- BC16. 金融庁より公表されている「事務ガイドライン 第三分冊 金融会社関係 『17電子決済手段等取引業者関係』」(以下「事務ガイドライン」という。)Ⅰ-1-2-3(1)①では、電子決済手段の適切性の判断基準に関して「取り扱う電子決済手段について、権利の移転時期やその手続きが明確になっている」ことが求められており、具体的には、「例えば、契約書や利用約款等において電子決済手段の移転の手続きや、移転の確定する時期及びその根拠を記載するとともに、これらの事項について利用者に対して十分な説明が行われている」ことが求められている。したがって、契約上、本実務対応報告の対象となる電子決済手段の移転の時点は明らかになっていることを想定している(BC9項(3)参照)。
本実務対応報告の対象となる電子決済手段の会計上の性格
- BC17. 本実務対応報告BC10項からBC15項に記載した本実務対応報告の対象となる電子決済手段の特徴から、当該電子決済手段は、会計上、次の性格を有する資産であると考えられる。
- (1) 通貨に類似する性格を有するものである。
一般的に、通貨の機能には、①価値の尺度、②価値の保蔵及び③交換の媒体の3つがあるといわれている。第1号電子決済手段及び第3号電子決済手段は、本実務対応報告BC10項(1)及び(2)に記載した特徴により、電子決済手段の券面額に基づく価額をもって財又はサービスの対価の支払に使用される点で交換の媒体となり、法定通貨との価値の連動が図られている点で間接的に価値の尺度の機能を有していると考えられる。また、法定通貨との価値の連動が図られている電子決済手段は、価値の保蔵手段としても利用され得ると考えられる。ただし、本項(2)のとおり、電子決済手段が払い戻されないリスク(以下「換金リスク」という。)がある点で、通貨そのものとは異なると考えられる。 - (2) 要求払預金に類似する性格を有するものである。
電子決済手段の利用者は、金銭による払戻しを請求する権利を有する。この点、移管指針第9号「金融商品会計に関する実務指針」(以下「金融商品実務指針」という。)第214項では、「預金は、預金者にとって金融機関から現金を引き出す契約上の権利である。」とされており、電子決済手段も「現金を引き出す契約上の権利」を有するため、債権としての性格を有する点で預金と共通している。
また、第1号電子決済手段、第2号電子決済手段及び第3号電子決済手段は、次の①及び②に記載している点で、預金者が一定の期間を経ることなく引き出すことができる要求払預金(移管指針第6号「連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針」第2項(1))に類似すると考えられる。 - ① 速やかに金銭による払戻しがなされる。
- ② 電子決済手段の換金リスクは、電子決済手段の発行者の信用リスク及び電子決済手段の金銭による払戻しの履行のために保全された資産に係るリスクの双方を考慮したリスクとなる。当該換金リスクは、本項(2)①及び電子決済手段の発行者に対する規制(本実務対応報告BC12項及びBC13項参照)により、要求払預金における信用リスクと同程度であると考えられる。
- BC18. 第1号電子決済手段は、通貨建資産である電子的な財産的価値が電子決済手段として発行されるものであるのに対して、第3号電子決済手段は、電子的な財産的価値が信託受益権の法的形式により電子決済手段として発行されるものである(BC14項参照)。これらの電子決済手段の基礎となる法的形式が異なることにより適用される規律は異なるが、いずれの電子決済手段も前項に記載している会計上の性格に相違はなく、資産から得られる経済的便益は異ならないと考えられる。また、第2号電子決済手段は、第1号電子決済手段と同等の経済的機能を果たす可能性がある電子決済手段であり、第2号電子決済手段の発行者に対して第1号電子決済手段と同一の所要の規制を及ぼす制度趣旨(BC11項参照)に鑑み、第2号電子決済手段は、第1号電子決済手段と同一の資産項目として取り扱うことが考えられる。したがって、本実務対応報告では、第1号電子決済手段、第2号電子決済手段及び第3号電子決済手段を同一の資産項目として取り扱い、現金又は預金そのものではないが現金に類似する性格と要求払預金に類似する性格を有する資産であることを踏まえ、会計処理及び開示を定めている。
外国電子決済手段
- BC19. 電子決済手段等取引業者が取り扱うことができる外国電子決済手段は、次の要件等を満たすものに限られる。
- (1) 外国電子決済手段の発行者が、当該外国電子決済手段の払戻しのために必要な資産を資金決済法等に相当する外国の法令の規定により管理するなどの規制が課されていること(取引業府令第30条第1項第5号)
- (2) 外国電子決済手段を取り扱う電子決済手段等取引業者が国内の電子決済手段の利用者から預託を受けて管理する当該外国電子決済手段について、当該外国電子決済手段の発行者が外国電子決済手段の券面額による払戻しが困難になった場合、又は、当該外国電子決済手段の価値が著しく減少した場合には、当該電子決済手段等取引業者が当該利用者のために管理する当該外国電子決済手段の券面額と同額で買い取ることを約し(以下「買取義務」という。)、かつ、履行保証金保全契約(資金決済法第44条)又は履行保証金信託契約(資金決済法第45条)と同等の契約を締結することなどにより買取りを行うために必要な資産を保全すること(取引業府令第30条第1項第6号及び事務ガイドラインⅠ-1-2-3(2)②)
- BC20. 前項(2)に記載している電子決済手段等取引業者に課される買取義務及び履行保証金保全契約等と同等の契約による資産の保全に関しては、資金移動業者に対する発行者規制と同等の規制となっていると考えられることから、電子決済手段等取引業者が管理する外国電子決済手段の換金リスクは、国内で資金移動業者が発行する第1号電子決済手段と同程度であると考えられる。したがって、本実務対応報告の対象となる電子決済手段等取引業者が管理する外国電子決済手段は、国内で発行される本実務対応報告の対象となる電子決済手段と同様の会計上の性格を有するものとして取り扱うこととした。
金融商品会計基準の範囲との関係
- BC21. 本実務対応報告の対象となる電子決済手段は、現金に類似する性格と要求払預金に類似する性格を有する資産である(本実務対応報告BC17項及びBC18項参照)。金融商品会計基準第4項においては、現金預金が金融資産の範囲に含まれていることから、本実務対応報告の対象となる電子決済手段も金融資産に含まれるものと考えられる。
- BC22. 本実務対応報告の対象となる電子決済手段の発行者は当該電子決済手段を金銭により払い戻す契約上の義務を有するため、本実務対応報告の対象となる電子決済手段の払戻義務は、金融負債に該当すると考えられる(BC31項参照)。
電子決済手段の保有に係る会計処理
電子決済手段の取得時の会計処理
- BC23. 金融商品会計基準第7項においては、金融資産の発生の認識の一般的な定めとして、金融資産の契約上の権利を生じさせる契約を締結したときは、原則として、当該金融資産の発生を認識しなければならないとされているが、送金・決済手段として使用される現金及び預金の認識時点は、我が国の会計基準では、具体的に定められていない。
- BC24. 現金及び預金は、相手方から受け取った時点で当該資産を使用することができ、その使用により生じる便益を享受できると考えられるため、通常、その受渡日に計上されていると考えられる。本実務対応報告の対象となる電子決済手段を取得する場合も、資産の使用により便益を享受できる時点は、これらの資産と異ならないと考えられる。したがって、本実務対応報告の対象となる電子決済手段は、契約を締結したときではなく、受渡日に計上することとした(第5項参照)。
- BC25. 本実務対応報告の対象となる電子決済手段の発行時においては、電子決済手段の利用者は、通常、当該電子決済手段をその券面額で取得する(BC9項(1)参照)。これに対して、本実務対応報告の対象となる電子決済手段を市場で取得する場合、当該電子決済手段をその券面額と異なる価格で取得する可能性がある。
- BC26. 資産が金融投資目的で保有される場合には、時価で測定することが考えられるが、本実務対応報告の対象となる電子決済手段は送金・決済手段として使用されるものであるため金融投資目的で保有されることは想定されていないことから、当該電子決済手段を時価で測定することは適当ではないと考えられる。そこで、当該電子決済手段が送金・決済手段として使用される点を踏まえ、券面額で測定するか、取得原価で測定するかの検討を行った。審議の結果、次の(1)から(3)を考慮して、本実務対応報告の対象となる電子決済手段をその券面額に基づく価額をもって計上することとし、また、当該電子決済手段の取得価額と当該券面額に基づく価額との差額は、損益として処理することとした(第5項参照)。
- (1) 第1号電子決済手段及び第3号電子決済手段は財又はサービスとの交換の対価の支払に使用されるため、当該財又はサービスを、交換の媒体として用いられる電子決済手段の券面額に基づく価額で測定することは、電子決済手段の経済実態を忠実に表現することになること
- (2) 仮に電子決済手段の券面額に基づく価額と取得価額との間に差額が生じる場合であっても、本実務対応報告の対象となる電子決済手段については当該差額が僅少となることが想定されること(BC15項参照)
- (3) 本実務対応報告の対象となる電子決済手段をその券面額に基づく価額で測定すると払出原価の管理が不要となり、会計処理の適用上のコストが軽減されること
電子決済手段の移転時又は払戻時の会計処理
- BC27. 本実務対応報告の対象となる電子決済手段を移転する又はその払戻しを受ける場合、当該電子決済手段を相手方に引き渡した時点で当該電子決済手段を使用することができなくなり、その使用により生じる便益を享受できなくなると考えられる。したがって、本実務対応報告の対象となる電子決済手段を第三者に移転するとき又は電子決済手段の発行者から電子決済手段について金銭による払戻しを受けるときは、その受渡日に当該電子決済手段を取り崩すこととした。また、電子決済手段を第三者に移転するときに金銭を受け取り、当該電子決済手段の帳簿価額と金銭の受取額との間に差額がある場合、当該差額を損益として処理することとした(第6項参照)。
期末時の会計処理
- BC28. 第1号電子決済手段及び第2号電子決済手段については、通貨建資産(資金決済法第2条第7項)に限られており、本邦通貨又は外国通貨をもって債務の履行等が行われる資産となる。この点、事務ガイドラインⅠ-1-1⑤では、電子決済手段の登録の申請の審査等において、通貨建資産の該当性に関して、「『本邦通貨若しくは外国通貨をもって債務の履行、払戻しその他これらに準ずるもの』であることを判断するに当たり、『発行者及びその関係者と利用者との間の契約等により、発行者及びその関係者が当該利用者に対してその券面額と同額の法定通貨をもって払い戻す等の義務を負っているか』等について、申請者から詳細な説明を求める」ことが記載されているため、電子決済手段の利用者は、電子決済手段の払戻時にその券面額に基づく価額と同額の金銭による払戻しを受けることが想定されている。
- また、第3号電子決済手段においても、金銭信託の受益権の払戻しの請求を行うと、速やかに当該電子決済手段の券面額に基づく価額と同額の金銭による払戻しを受けることができる(BC13項参照)。
- BC29. 前項における券面額に基づく価額と同額の金銭による払戻しを受けられる点に関して、本実務対応報告の対象となる電子決済手段の発行者に対する一定の規制(BC12項及びBC13項参照)や電子決済手段等取引業者に対する所要の規制(BC19項参照)が課されていることにより、当該電子決済手段の換金リスクは、通常、要求払預金における信用リスクと同程度に低いと考えられることを踏まえ、本実務対応報告の対象となる電子決済手段については、期末時において、その券面額に基づく価額をもって貸借対照表価額とすることとした(第7項参照)。
- BC30. 審議の過程では、電子決済手段の期末における評価を行う上で、当該換金リスクに関して会計上どのように取り扱うかについて検討を行った。
- 本実務対応報告の対象となる電子決済手段は、券面額に基づく価額により金銭の払戻しが行われることが困難となるなどの事象が生じる可能性があるものの、前項に記載のとおり、当該電子決済手段の発行等に際して所要の規制が課されているため、当該電子決済手段の換金リスクは、通常、要求払預金における信用リスクと同程度に低いと考えられる。このため、本実務対応報告が改正された資金決済法の施行に合わせて当面必要と考えられる最小限の項目に関する会計上の取扱いを定めることを目的にしていることに鑑み、本実務対応報告では当該換金リスクに関する会計上の取扱いを定めないこととした。
電子決済手段の発行に係る会計処理
本実務対応報告の対象となる電子決済手段に係る払戻義務
- BC31. 金融商品実務指針第5項では、金融負債は、「他の企業に金融資産を引き渡す契約上の義務又は潜在的に不利な条件で他の企業と金融資産若しくは金融負債(他の企業に金融資産を引き渡す契約上の義務)を交換する契約上の義務」と定義されている。この点、第1号電子決済手段及び第2号電子決済手段の発行者は、これらの利用者に対して当該電子決済手段の券面額に基づく価額と同額で払戻しを行う契約上の義務を有する(本実務対応報告BC12項参照)。また、第3号電子決済手段の発行者は、金銭信託の受益権に関してその利用者から払戻しの請求がある場合、受託者として信託財産を金銭で払い戻す契約上の義務を有する(本実務対応報告BC13項参照)。したがって、第1号電子決済手段、第2号電子決済手段及び第3号電子決済手段を金銭により払い戻す義務は、金融負債に該当すると考えられる。
- また、これらの電子決済手段を金銭により払い戻す義務は、金融商品実務指針第216項における「将来一定期日に他の企業に対し現金を引き渡す契約上の義務」であると考えられるため、金銭債務に該当すると考えられる。
電子決済手段の発行時の会計処理
- BC32. 金融商品会計基準第7項では、原則として、金融負債の契約上の義務を生じさせる契約を締結したときに当該金融負債を認識するとしているが、金融商品実務指針では、貸付金及び借入金の認識(金融商品実務指針第26項)のように金融商品の性質に応じた個別の取扱いが示されているものもある。本実務対応報告の対象となる電子決済手段を受渡日に資産として計上する(本実務対応報告第5項参照)こととの関係から、当該電子決済手段の発行者が電子決済手段に係る払戻義務をいつ負債として認識するかについても、契約を締結したときと受渡日が考えられる。
- BC33. 本実務対応報告の対象となる電子決済手段については、その発行時において、契約を締結したときから受渡日までの間の時価の変動は、僅少であることが想定される(BC15項参照)。また、本実務対応報告の対象となる電子決済手段及び当該電子決済手段に係る払戻義務を、発行する電子決済手段の債務額(すなわち、券面額に基づく価額)で計上する(第5項及び第8項参照)ことから、本実務対応報告の対象となる電子決済手段及び当該電子決済手段に係る払戻義務に関する負債の計上額は、契約を締結したときと受渡日とで同一となると考えられる。さらに、電子決済手段に係る払戻義務を受渡日に負債として計上することは、本実務対応報告の対象となる電子決済手段を受渡日に資産として計上する取扱い(第5項参照)と整合することになる。
- したがって、本実務対応報告の対象となる電子決済手段に係る払戻義務については、当該電子決済手段の受渡日に負債として計上することとした(第8項参照)。
- BC34. 金融商品実務指針第29項では、金融負債の当初認識は時価により測定するとされているが、企業会計基準適用指針第31号「時価の算定に関する会計基準の適用指針」第23項では、要求払の特徴を有する金融負債の時価については、「要求払の額の支払が要求される可能性のある最も早い日から当該要求払の額を割り引いた金額を下回らない」としている。
- BC35. 本実務対応報告の対象となる電子決済手段の発行者は、電子決済手段の利用者から払戻しの請求があれば、速やかに金銭による払戻しに応じる必要がある(BC9項(5) 及びBC28項参照)ため、当該電子決済手段に係る払戻義務は、債務額をもって負債として計上することを明らかにしている(第8項参照)。
- BC36. 審議の過程では、仮に本実務対応報告の対象となる電子決済手段が券面額と異なる価格で発行される場合、本実務対応報告の範囲に含まれるのかどうかを明確にすべきとの意見が聞かれた。
- 本実務対応報告の対象となる電子決済手段は基本的に法定通貨の価値と連動した価格で発行され券面額と同額で払戻しを約するものが想定されているため(BC1項参照)、当該電子決済手段が券面額と異なる価格で発行されることは稀であると考えられるが、仮に当該電子決済手段が券面額と異なる価格で発行される場合、当該電子決済手段の発行者が負う電子決済手段の払戻義務は債務額であり、かつ、当該電子決済手段の利用者が払戻しの請求を行う場合、速やかに金銭による払戻しを行うものであるため、当該電子決済手段の発行価額の総額と当該債務額との差額について繰延処理する根拠は認められないと考えられる。したがって、本実務対応報告の対象となる電子決済手段の発行価額の総額と当該債務額との間に差額が生じる場合には、当該差額を損益として処理することを定めることとした(第8項参照)。
期末時の会計処理
- BC37. 本実務対応報告の対象となる電子決済手段は、公社債や資金決済法における暗号資産のように時価のある場合も想定されるが、金融商品会計基準第67項では、「金融負債は、借入金のように一般的には市場がないか、社債のように市場があっても、自己の発行した社債を時価により自由に清算するには事業遂行上等の制約があると考えられることから、デリバティブ取引により生じる正味の債務を除き、債務額(ただし、社債を社債金額よりも低い価額又は高い価額で発行した場合など、収入に基づく金額と債務額とが異なる場合には、償却原価法に基づいて算定された価額)をもって貸借対照表価額とし、時価評価の対象としないことが適当であると考えられる。」としている。
- BC38. 本実務対応報告の対象となる電子決済手段の発行者は、その利用者に対してその券面額と同額で払い戻す契約上の義務を有しており、当該電子決済手段の発行者が負う払戻義務を時価により自由に清算するには事業遂行上等の制約があると考えられる。また、当該電子決済手段は、満期がなく、収入に基づく金額(すなわち、電子決済手段の利用者による金銭の払込額)と債務額は異ならないと考えられる(BC9項(1)及び(5)参照)。したがって、本実務対応報告の対象となる電子決済手段に係る払戻義務については、期末時において、債務額をもって貸借対照表価額とすることとしている(第10項参照)。
外貨建電子決済手段に係る会計処理
期末時の会計処理
- BC39. 外貨建取引等会計処理基準 一 2 (1)では、期末時における本実務対応報告の対象となる外貨建電子決済手段に係る換算方法について具体的には定められていないため、本実務対応報告において、外国通貨に準じて処理することを明らかにしている(本実務対応報告第11項参照)。一方で、当該外貨建電子決済手段に係る払戻義務は金銭債務に該当すると考えられるため、期末時における換算方法は明らかであると考えられるが、当該外貨建電子決済手段における取扱いに併せて具体的な処理を明らかにしている(本実務対応報告第12項参照)。
預託電子決済手段に係る取扱い
- BC40. 電子決済手段等取引業者等が、利用者との合意に基づき、電子決済手段の預託を受ける場合(資金決済法第62条の14及び第62条の8)に、預託電子決済手段を管理する方法として、次の3つの方法がある。
- (1) 信託会社等に信託して管理させる方法(取引業府令第38条第1項。以下「利用者区分管理電子決済手段信託」という。)
- (2) 自己信託(信託法第3条第3号)により管理する方法(取引業府令第38条第3項。以下「利用者区分管理電子決済手段自己信託」という。)
- (3) 信託会社等への信託又は自己信託の方法によらずに、自ら管理する方法又は第三者に管理させる方法(取引業府令第38条第7項)
- BC41. これまでの我が国の実務慣行では、原則的には、利用者から預かった資産について、法律上の権利の受託者への移転に着目し、預かった資産を会計上の資産として計上するか否かを判断している(実務対応報告第38号「資金決済法における暗号資産の会計処理等に関する当面の取扱い」第54項)。
- BC42. 預託電子決済手段について、電子決済手段等取引業者等が利用者区分管理電子決済手段信託又は利用者区分管理電子決済手段自己信託により管理する場合(BC40項(1)及び(2)参照)、その利用者を元本の受益者とする必要があり(取引業府令第38条第2項第1号及び第5項第1号)、かつ、受託者は信託財産につき保存行為又は財産の性質を変えない範囲内の利用行為若しくは改良行為しかできない(取引業府令第38条第2項第2号及び第5項第2号)。また、信託の委託者である電子決済手段等取引業者等が破産手続の開始決定を受けても、信託財産である利用者の電子決済手段はその破産財団に組み込まれないように倒産隔離が図られている。したがって、預託電子決済手段に関する利用者の権利は、電子決済手段等取引業者等に移転しないと考えられる。
- また、預託電子決済手段が電子決済手段の利用者に帰属することが明らかである場合には、電子決済手段等取引業者等が信託会社等への信託又は自己信託の方法によらずに自ら管理する方法又は第三者に管理させる方法(BC40項(3)参照)が認められている。事務ガイドラインⅡ-2-2-3-2(3)④においては、この例として、第3号電子決済手段のうち「受益証券発行信託に係る受益権に該当するものを利用者のために管理する場合であって、各利用者が受益権原簿において受益権者として記載されているとき」が挙げられている。このような場合、受益権原簿に記載された第3号電子決済手段の法律上の権利は電子決済手段の利用者に帰属し、電子決済手段等取引業者等に移転しないと考えられる。
- BC43. 前項を踏まえ、電子決済手段等取引業者等は、貸借対照表において預託電子決済手段を会計上の資産として計上せず、また、本実務対応報告の対象となる電子決済手段の利用者に対する返還義務を負債として計上しないこととした(第13項参照)。
開 示
注記事項
- BC44. 本実務対応報告の対象となる電子決済手段は金融資産であると考えられること(本実務対応報告BC21項参照)、また、本実務対応報告の対象となる電子決済手段に係る払戻義務は、金融負債であると考えられること(本実務対応報告BC22項参照)から、本実務対応報告の対象となる電子決済手段及び本実務対応報告の対象となる電子決済手段に係る払戻義務に関して、金融商品会計基準第40-2項に定める事項の注記を求めることとした(本実務対応報告第14項参照)。
- BC45. 本実務対応報告の対象となる電子決済手段について金融商品会計基準第40-2項に定める事項を注記するにあたっては、当該電子決済手段が要求払預金に類似する性格も有する資産である(本実務対応報告BC17項及びBC18項参照)ことに鑑み、例えば、金融商品の時価等に関する事項(金融商品会計基準第40-2項(2))を注記するにあたり、預金に関する取扱いに準ずることが考えられる。また、本実務対応報告の対象となる電子決済手段に係る払戻義務は、金銭債務に該当すると考えられる(本実務対応報告BC31項参照)ため、例えば、金融商品の時価等に関する事項を注記するにあたり、金銭債務に関する取扱いに従うことになると考えられる。
適用時期
- BC46. 改正された資金決済法の施行に合わせて本実務対応報告の対象となる電子決済手段が発行される場合、本実務対応報告を可能な限り早い時期に適用することのニーズが高いと考えられる。また、本実務対応報告に定める会計処理等には複雑さがなくその適用の困難さはないと考えられるため、特段の準備期間は必要ないと考えられる。したがって、本実務対応報告は、公表日以後適用することとした(第15項参照)。
- なお、本実務対応報告を適用するにあたっては、特段の経過的な取扱いを定めないこととしたため、企業会計基準第24号「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」第6項(1)に定める会計方針の変更に関する原則的な取扱いに従い、新たな会計方針を遡及適用することになる。
- 以 上
