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実務対応報告第21号有限責任事業組合及び合同会社に対する出資者の会計処理に関する実務上の取扱い
目 的
- 平成17年8月1日から施行されている有限責任事業組合契約に関する法律(以下「有限責任事業組合法」という。)により、有限責任事業組合が定められた。また、平成18年5月1日から施行されている会社法では、新たに合同会社に関する規定が設けられた。
- 有限責任事業組合や合同会社への会計処理は、他の事業体への出資と同様に、企業会計審議会から公表された「連結財務諸表原則」のほか、当委員会が公表した企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」(以下「連結会計基準」という。)及び企業会計基準第16号「持分法に関する会計基準」(以下「持分法会計基準」という。)、並びに企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」に基づいて行われることとなる。本実務対応報告では、現行の会計基準等に基づくこれらの事業体への出資の取扱いについて明確にすることとした。
- なお、平成20年12月に連結会計基準が公表され、また、持分法会計基準が改正されていることから、これらの会計基準等における表現等に合わせるための技術的な改正を平成21年3月に行っている。
会計処理
有限責任事業組合に対する出資者の会計処理
- Q1.

- A 有限責任事業組合は、有限責任事業組合契約によって成立する組合をいい(有限責任事業組合法第2条)、組合員の有限責任が法的に担保されている(有限責任事業組合法第15条)など、民法上の組合を活用して事業活動を行うにあたっての限界に対応するために創設されたものである。すなわち、組合員の有限責任により組合財産の分配規制が設けられているものの、組合財産は民法第668条等の準用(有限責任事業組合法第56条)により組合員間の共有となり、民法上の組合と同様に、その持分及び持分から生じる損益は直接的に組合員に帰属する。このため、現行の会計基準等のもとでは、当該有限責任事業組合への出資は、民法上の組合等への出資と同様に、移管指針第9号「金融商品会計に関する実務指針」(以下「金融商品会計実務指針」という。)第132項により会計処理を行うことが適当であると考えられる。
- 具体的には、有限責任事業組合の財産の持分相当額を出資金(意思決定及び業務執行に係る関与の度合いにより、金融商品取引法第2条第2項に基づいて有価証券とみなされるものについては有価証券)として計上し、当該有限責任事業組合の営業により獲得した損益の持分相当額を、有限責任の範囲内で、当期の損益として計上することになる。
- ただし、有限責任事業組合への出資についても、他の組合等への出資と同様に、その契約内容の実態及び経営者の意図を考慮して、経済実態を適切に反映する会計処理及び表示を選択することとなる(金融商品会計実務指針第308項)。具体的には、有限責任事業組合は、出資の価額を限度とするものの、共同で営利を目的とする事業を営むための有限責任事業組合契約により組成され(有限責任事業組合法第2条及び第3条第1項)、原則として総組合員の同意により業務執行が決定される(有限責任事業組合法第12条)ことから、経済実態を適切に反映するように、組合財産のうち持分割合に相当する部分を出資者の資産及び負債等として貸借対照表に計上し、損益計算書についても同様に処理することも考えられる。また、状況によっては貸借対照表について持分相当額を純額で、損益計算書については損益項目の持分相当額を計上する方法も認められるものと考えられる。
- なお、総組合員間の同意により出資比率と異なる損益分配を行うことを定めた場合(有限責任事業組合法第33条)には、当該損益分配の比率を考慮のうえ、損益の持分相当額を調整することになる。
- また、Q2にあるように、有限責任事業組合が出資者の子会社又は関連会社となる場合があるが、この場合においても、出資金又は有価証券として計上する場合には、個別財務諸表上、取得原価ではなく、持分相当額をもって貸借対照表価額とすることに留意する必要がある(この点については、移管指針第12号「金融商品会計に関するQ&A」(以下「金融商品会計Q&A」という。)Q71の投資事業組合の処理を参照のこと。)。
- Q2.

- A 連結会計基準第5項及び第6項並びに持分法会計基準第4-2項及び第5項では、子会社及び関連会社の範囲には、会社のほか、会社に準ずる事業体が含まれるものとされ、会社、組合その他これらに準ずる事業体(外国におけるこれらに相当するものを含む。)が含まれるとされている。
- このように、組合は、子会社及び関連会社の範囲に含まれ、これまでも例えば、投資事業有限責任組合は、会社及び組合その他これらに準ずる事業体に含まれると解されていることから、有限責任事業組合についても同様に、子会社及び関連会社の範囲に含まれる事業体に該当することは明らかであり、当該組合の財務諸表に基づき、組合への出資等に対応する数値が個別財務諸表に反映されている場合でも、子会社又は関連会社に該当するかどうかについては、支配力基準又は影響力基準によって判定することとなる(この点については、日本公認会計士協会 監査・保証実務委員会実務指針第88号「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する監査上の留意点についてのQ&A」Q12を参照のこと。また、有限責任事業組合が子会社又は関連会社となった場合における連結上の取扱いについては、金融商品会計Q&A Q71の投資事業組合の処理を参照のこと。)。
- 有限責任事業組合では、共同の事業を営むことを約するため、組合員が1人の組成は認められておらず、また、原則として総組合員の同意により業務の執行が決定される。しかし、複数の連結会社が同一の有限責任事業組合に出資する場合や、ある組合員の緊密な者に該当する者が組合に対して出資を行っている場合などでは、特定の出資者が当該組合の財務及び営業又は事業の方針の決定を行っているものと認められる場合があり、その場合には当該組合はこの出資者の子会社となることに留意する必要がある(こうした考え方については、実務対応報告第20号「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」Q1を参照のこと。)。
- なお、有限責任事業組合の組成が、独立企業要件、契約要件、対価要件及びその他の支配要件のすべてを満たし(企業会計基準適用指針第10号「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」(以下「結合分離会計適用指針」という。)第175項)、当該有限責任事業組合が共同支配企業(企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」第11項)に該当する場合、当該組合に対する共同支配投資企業は、持分法(結合分離会計適用指針第190項)を適用する。
- また、有限責任事業組合法第33条の規定により、総組合員の同意により出資比率と異なる損益分配を行うことを定めた場合には、個別財務諸表上の会計処理を行う場合と同様に、当該損益分配の比率を考慮のうえ、損益の持分相当額を調整することに留意する必要がある。
合同会社に対する出資者の会計処理
- Q3.

- A 合同会社への出資については、有価証券(金融商品取引法第2条第2項)として、取得原価をもって貸借対照表価額とし、当該合同会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下したときには、相当の減額を行い、当該評価差額は当期の損失として処理(減損処理)することが適当と考えられる。
- なお、本実務対応報告の検討においては、内部自治が徹底している合同会社への出資は組合的出資の色彩が強いことを考慮し、当該出資の会計処理については、有限責任事業組合への出資と同様に、当該出資者の持分割合に相当する部分を出資金に反映し、合同会社の営業により獲得した損益を当期の損益として計上することも認められるべきではないかという考え方もみられた。
- しかし、合同会社は法人格を有しており、資産を保有し負債を負っている。また、合同会社は、存続期間を定める必要もなく、他の会社形態への組織変更も認められていることなど、事業の永続性や安定性が考慮されている。このように、その法的性質は必ずしも有限責任事業組合のそれと同一ではなく、組合よりもむしろ株式会社に近い部分もある。したがって、子会社株式の会計処理を含む現行の会計基準等における体系の下では、上記のような考え方を採ることは困難であると考えられる。
- ただし、子会社株式の会計処理を含む現行の会計基準等における体系が変わる場合などにおいては、実際に利用される合同会社の状況なども考慮し、今後、会計処理を見直すことはあり得るものと考えられる。
- Q4.

- A 合同会社は、他の持分会社と同様に、会社法第2条第1号に定める会社であり、子会社又は関連会社に該当するかどうかについては、支配力基準又は影響力基準によって判定することとなる。この際、合同会社については、原則として株式会社のように出資者が業務執行者を選任するのではなく、意思決定を行う出資者が業務執行の決定も直接行うことから、株式会社における議決権を想定している連結会計基準又は持分法会計基準を合同会社に適用する場合には、基本的には業務執行の権限を用いることによって、当該合同会社に対する支配力又は影響力を判断することが適当である。
- 合同会社における業務執行の決定は、社員の過半数をもって行われるとされているが、定款に別段の定めがある場合にはその定めによる(会社法第590条)ため、例えば、定款における別段の定め(会社法第591条)により他に業務を執行する社員がおらず、ある出資者が業務執行社員として業務の執行を決定し、財務及び営業又は事業の方針を決定している場合には、当該出資者が合同会社を支配していることから、当該合同会社は業務執行社員の子会社に該当する(こうした考え方については、実務対応報告第20号「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」Q1を参照のこと。)。
- なお、合同会社への出資が共同支配企業の形成に該当する場合、当該会社に対する共同支配投資企業は、持分法(結合分離会計適用指針第190項)を適用する。
- また、連結上の会計処理は、株式会社と同様に、連結会計基準又は持分法会計基準に従って行われることとなるが、出資比率と異なる損益分配を行うことを定めた場合(会社法第622条)には、有限責任事業組合の場合と同様に、当該損益分配の比率を考慮のうえ、損益の持分相当額を調整することに留意する必要がある。
適用時期
議 決
- 平成18年実務対応報告は、第112回企業会計基準委員会に出席した委員11名全員の賛成により承認された。
- 平成21年改正実務対応報告は、第173回企業会計基準委員会に出席した委員13名全員の賛成により承認された。
- 以 上

