©公益財団法人 財務会計基準機構最終更新日:2026/03/04
企業会計基準適用指針第29号中間財務諸表等における税効果会計に関する適用指針
目 的
- 1. 本適用指針は、企業会計審議会が平成10年10月に公表した「税効果会計に係る会計基準」(以下「税効果会計基準」という。)を、第二種中間連結財務諸表(以下「中間連結財務諸表」という。)及び第二種中間財務諸表(以下「中間財務諸表」という。また、中間連結財務諸表と合わせて「中間財務諸表等」という。)に適用する際の指針を定めるものである。
適用指針
範 囲
- 2. 本適用指針は、税効果会計基準が適用される中間財務諸表等に適用する。
用語の定義
- 3. 本適用指針において、中間財務諸表等における「税金費用」とは、税金等調整前中間純利益又は税引前中間純利益に対応する税金に係る費用をいい、法人税等及び法人税等調整額の双方が含まれる。
- 4. 本適用指針に、企業会計基準第27号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」第4項及び企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」(以下「税効果適用指針」という。)第4項に定義されている用語が使われている場合、当該用語の定義に従う。
会計処理
中間財務諸表における税金費用の会計処理
- 5. 中間財務諸表における税金費用は、中間会計期間を一事業年度とみなして、年度決算と同様の方法により計算する(以下、この計算方法を「原則法」という。)。
- ただし、中間会計期間を含む事業年度の税効果会計適用後の実効税率を合理的に見積り(以下「見積実効税率」という。)、税引前中間純利益に当該見積実効税率を乗じて計算することができる(以下、この計算方法を「簡便法」という。)。
原則法による税金費用の計算
- 6. 中間財務諸表における原則法による税金費用は、年度決算と同様の方法により次のとおり計算する。
- (1) 法人税等の額は、年度決算と同様の方法により計算する。
- (2) (1)の計算により生じた将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金等については税効果適用指針第8項(1)に従って繰延税金資産を、将来加算一時差異については同適用指針第8項(2)に従って繰延税金負債を計上する。
当該繰延税金資産又は繰延税金負債を計上するにあたっては、税効果適用指針第9項の定めを適用する。この場合において、同項に定める「期末」は、「中間決算日」に読み替える([設例1])。
(税金費用の計算に用いる税法及び税率)
- 7. 本適用指針第6項(2)に定める繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税法及び税率については、税効果適用指針第44項から第49項の定めを適用する。この場合において、同項に定める「決算日」は、「中間決算日」に読み替える。
(税金費用の計算に用いる税法が改正された場合の取扱い)
- 8. 本適用指針第6項(2)に定める繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税法が改正された場合、税効果適用指針第51項及び第53項から第55項の定めを適用する([設例6])。この場合において、同項に定める「年度」は、「中間会計期間」に読み替える。
(租税特別措置法上の諸準備金等の積立て又は取崩しの取扱い)
- 9. 中間財務諸表における税金費用の計算にあたって、圧縮積立金、特別償却準備金、その他租税特別措置法(昭和32年法律第26号)上の諸準備金等(以下「諸準備金等」という。)の積立て又は取崩しについては、次のとおり取り扱う。
- (1) 諸準備金等の積立ての原因となる会計事象が中間会計期間に生じ、当該中間会計期間を含む事業年度に係る剰余金の処分により、当該諸準備金等の積立額が税務上の損金に算入されることが確実な場合、当該税務上の損金の算入見込額を考慮して当該中間会計期間に係る税金費用を計算する([設例2])。
- (2) 中間会計期間を含む事業年度において諸準備金等の取崩額が税務上の益金に算入される場合、当該取崩額のうち中間会計期間に係る税務上の益金の算入見込額を考慮して当該中間会計期間に係る税金費用を計算する。
(前事業年度の期末において税務上の繰越欠損金を有する場合の取扱い)
- 10. 前事業年度の期末において税務上の繰越欠損金を有する場合、当該税務上の繰越欠損金については、中間会計期間に係る課税所得(税務上の繰越欠損金控除前)から控除して、当該中間会計期間に係る税金費用を計算する([設例3])。
簡便法による税金費用の計算
- 11. 中間財務諸表における簡便法による税金費用は、税引前中間純利益に見積実効税率を乗じて計算する。
- 期首における繰延税金資産及び繰延税金負債については、中間決算日において税効果適用指針第8項(1)に従って繰延税金資産の回収可能性を見直し、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金等に係る繰延税金資産の全部又は一部が将来の税金負担額を軽減する効果を有さなくなったと判断された場合、計上していた繰延税金資産のうち回収可能性がない金額を取り崩す。
(見積実効税率)
- 12. 見積実効税率は、原則として、次の算式により計算する([設例1])。

- (1) 予想年間税金費用は、予想年間税引前当期純利益の額と予想年間課税所得の額との差異のうち一時差異等に該当しない項目(税効果適用指針第77項)に係る税金費用を含むもので、次の算式により計算する。
予想年間税金費用
=(予想年間税引前当期純利益±一時差異等に該当しない項目)×法定実効税率
なお、法定実効税率は、中間会計期間を含む事業年度における法人税等の額を計算する際に適用される税率に基づくものをいう(第14項、第15項、第40項及び第45項において同じ。)。
また、予想年間税金費用の算定においては、必要に応じて税額控除を考慮する。
- (2) 期首において繰延税金資産を計上していなかった重要な一時差異等について、当中間会計期間において将来の税金負担額を軽減する効果を有することとなったと判断された場合、見積実効税率の算定にあたり、税金の回収が見込まれる金額を上記の算式の予想年間税金費用の額から控除する([設例3])。
(税金費用の計算に用いる税法が改正された場合の取扱い)
- 13. 中間会計期間において、繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税法が改正された場合、予想年間税金費用について、第12項(1)に示した算式に代えて、予想年間納付税額(当該中間会計期間を含む事業年度の法人税等の予想額。以下同じ。)と予想年間法人税等調整額との合計額を用いて計算する([設例6])。
- ただし、期首の繰延税金資産及び繰延税金負債の大部分が当該事業年度の期末における繰延税金資産及び繰延税金負債を構成することが見込まれる場合、次のとおり処理することができる。
- (1) 第12項に定める見積実効税率を用いて計算した税金費用を計上する。
- (2) 税法が改正されたことによる期首の繰延税金資産及び繰延税金負債の修正差額を計算し、(1)で計上した税金費用に加減する。
(見積実効税率を用いて税金費用を計算すると著しく合理性を欠く結果となる場合の取扱い)
- 14. 第12項に定める見積実効税率を用いて中間会計期間に係る税金費用を計算すると著しく合理性を欠く結果となる場合、法定実効税率を用いて当該税金費用を計算する。なお、著しく合理性を欠く結果となる場合とは、例えば、次の場合が該当する。
- (1) 予想年間税引前当期純利益がゼロ又は損失となる場合
- (2) 予想年間税金費用がゼロ又はマイナスとなる場合
- (3) 上期(中間会計期間)と下期の損益が相殺されるため、一時差異等に該当しない項目に係る税金費用の影響が予想年間税引前当期純利益に対して著しく重要となる場合
- 15. 第14項の定めを適用し法定実効税率を用いる場合、中間会計期間に係る税金費用は次のとおり計算する。
- (1) 中間損益計算書上、税引前中間純利益のとき
税引前中間純利益に法定実効税率を乗じて税金費用を計算する。ただし、一時差異等に該当しない項目が重要な場合、当該項目の額を税引前中間純利益に加減した上で法定実効税率を乗じる([設例4])。 - (2) 中間損益計算書上、税引前中間純損失のとき
税引前中間純損失に法定実効税率を乗じて税金費用を計算する。ただし、一時差異等に該当しない項目が重要な場合、当該項目の額を税引前中間純損失に加減した上で法定実効税率を乗じる([設例5])。
税引前中間純損失に法定実効税率を乗じて計算した税金費用に対応する中間貸借対照表上の資産の額については、期首における繰延税金資産の額と合算して、税効果適用指針第8項(1)に従って繰延税金資産の回収可能性を判断し、回収が見込まれる額を計上する。 - 16. 第14項及び第15項の定めを適用するにあたっては、中間会計期間において税法が改正された場合、当該中間会計期間を含む事業年度の期末に存在すると見込まれる一時差異等の額を見積り、税法の改正による繰延税金資産及び繰延税金負債の修正差額を上期(中間会計期間)及び下期に合理的な方法により配分し、上期に配分した修正差額を中間会計期間に係る税金費用に加減する([設例7])。
中間連結財務諸表における税金費用の会計処理
- 17. 中間連結財務諸表における税金費用は、連結会社の中間会計期間に係る税金費用と連結財務諸表固有の一時差異に係る法人税等調整額に分けて次のとおり計算する。
- (1) 連結会社の中間会計期間に係る税金費用については、連結会社ごとに原則法又は簡便法のいずれかの方法により計算する。
- (2) 連結財務諸表固有の一時差異に係る法人税等調整額については、年度決算と同様の方法により計算する。
未実現利益の消去に係る一時差異の取扱い
- 18. 中間連結会計期間において、未実現利益の消去に係る連結財務諸表固有の将来減算一時差異については、売却元の連結会社において売却年度に納付した当該未実現利益に係る税金の額を繰延税金資産として計上する。
- 19. 第18項の定めを適用するにあたっては、中間連結会計期間に係る連結会社間の取引に伴い生じた未実現利益の消去に係る将来減算一時差異の額については、売却元の連結会社の売却年度(当該中間会計期間を含む事業年度)における課税所得の見積額(簡便法による場合、予想年間税引前当期純利益。第44項において同じ。)を上限とする。
- ただし、簡便法による場合、前事業年度の期末に税務上の繰越欠損金を有するときは、未実現利益の消去に係る将来減算一時差異の額については、予想年間税引前当期純利益から当該税務上の繰越欠損金の控除見込額を控除した額を上限とする。
開 示
表 示
簡便法による場合の表示方法
- 20. 簡便法による税金費用は、中間連結損益計算書又は中間損益計算書において法人税、住民税及び事業税などその内容を示す科目をもって表示し、その旨を注記する。当該簡便法による税金費用の相手勘定について、中間連結貸借対照表又は中間貸借対照表において負債に計上される場合は、流動負債の区分に未払法人税等などその内容を示す科目をもって表示し、資産に計上される場合は(第15項(2)参照)、投資その他の資産の区分に繰延税金資産などその内容を示す科目をもって表示する。
注記事項
中間会計期間において租税特別措置法上の諸準備金等を積み立てたもの又は取り崩したものとみなして税金費用を計算している場合の注記事項
- 21. 第9項に関連し、中間会計期間において諸準備金等の積立て又は取崩しを行わず、諸準備金等を積み立てたもの又は取り崩したものとみなして税金費用を計算している場合、その旨を注記する。
適用時期等
- 22. 本適用指針の適用時期は、平成30年に公表された税効果適用指針と同様に、平成30年4月1日以後開始する中間連結会計期間及び中間会計期間の期首から適用する。
- 23. 本適用指針の適用については、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更に該当しないものとして取り扱う。
- 24. 本適用指針の公表に伴い、実務対応報告第28号「改正法人税法及び復興財源確保法に伴う税率変更等に係る四半期財務諸表における税金費用の実務上の取扱い」(以下「実務対応報告第28号」という。)及び実務対応報告第29号「改正法人税法及び復興財源確保法に伴い税率が変更された事業年度の翌事業年度以降における四半期財務諸表の税金費用に関する実務上の取扱い」(以下「実務対応報告第29号」という。)は廃止する。
- 25. 当委員会は、日本公認会計士協会に、会計制度委員会報告第11号「中間財務諸表等における税効果会計に関する実務指針」(以下「中間税効果実務指針」という。)及び会計制度委員会「税効果会計に関するQ&A」(以下「税効果Q&A」という。)の改廃を検討することを依頼する。
議 決
- 26. 平成30年改正の本適用指針は、第378回企業会計基準委員会に出席した委員14名全員の賛成により承認された。
結論の背景
経 緯
- 27. 平成25年12月に開催された第277回企業会計基準委員会において、公益財団法人財務会計基準機構内に設けられている基準諮問会議より、日本公認会計士協会における税効果会計に関する実務指針(会計に関する部分)について当委員会で審議を行うことが提言された。この提言を受けて、当委員会は、税効果会計専門委員会を設置して、平成26年2月から審議を開始した。
- その後、当委員会は、繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針を先行して開発することとし、平成27年12月に、企業会計基準適用指針第26号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(以下「回収可能性適用指針」という。)を公表した。
- 28. 本適用指針は、中間税効果実務指針を改正するものであり、主に当該中間税効果実務指針のうち中間財務諸表等における税効果会計の適用に係る取扱いについて、基本的にその内容を本適用指針に踏襲した上で見直しを行い、平成29年6月に企業会計基準適用指針公開草案第60号「中間財務諸表等における税効果会計に関する適用指針(案)」を公表して広く意見を求めた。本適用指針は、公開草案に寄せられた意見を踏まえて検討を行い、公表するに至ったものである。
用語の定義
- 29. 本適用指針では、中間税効果実務指針において「費用として認識した法人税等を「税金費用」という。」とされていた「税金費用」という用語について、その内容をより明確に示すため、「中間財務諸表等における「税金費用」とは、税金等調整前中間純利益又は税引前中間純利益に対応する税金に係る費用をいい、法人税等及び法人税等調整額の双方が含まれる。」と定義している(第3項参照)。なお、この用語を定義したことにより実質的な内容が変更されることは意図していない。
会計処理
中間財務諸表における税金費用の会計処理
- 30. 税効果会計基準においては、「中間財務諸表及び中間連結財務諸表の作成上、法人税等は、中間会計期間を含む事業年度の法人税等の計算に適用される税率に基づき、年度決算と同様に税効果会計を適用して計算するものとする。ただし、中間会計期間を含む事業年度の税効果会計適用後の実効税率を合理的に見積もり、法人税等を控除する前の中間純利益に当該見積実効税率を乗じて計算することができる。」とされている(税効果会計基準 第二 二 5)。
- 31. 第5項に定める原則法及び簡便法については、「中間財務諸表については、実績主義により作成されるため、中間財務諸表における税効果会計も、原則的には中間会計期間を一事業年度とみなして、中間会計期間を含む事業年度の法人税、住民税及び事業税の計算に用いる税率に基づいて年度決算と同様に計算する。(中略)しかしながら、法人税等は事業年度末において確定するため、上記の原則法に代えて、中間会計期間を含む事業年度の見積実効税率を合理的に見積もり、税引前中間純利益に当該見積実効税率を乗じて税金費用を計算する簡便法も認められている。」とされていた中間税効果実務指針の考えを踏襲している。
原則法による税金費用の計算
(繰延税金資産の計上)
- 32. 将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に係る繰延税金資産は、回収可能性適用指針第6項に従って回収可能性を判断した結果、当該将来減算一時差異(複数の将来減算一時差異が存在する場合は、それらを合計する。)及び税務上の繰越欠損金が将来の一時差異等加減算前課税所得の見積額及び将来加算一時差異の解消見込額と相殺され、税金負担額を軽減することができると認められる範囲で計上するものとし、その範囲を超える額については控除しなければならない(回収可能性適用指針第7項)。
- したがって、例えば、中間会計期間において税務上の繰越欠損金に対して見積られる繰延税金資産の計上額が、事業年度の期末において予想される税務上の繰越欠損金に対して見積られる繰延税金資産の計上額より多額であったとしても、当該中間会計期間後において税務上の繰越欠損金が課税所得の見積額(税務上の繰越欠損金控除前)と相殺されることが合理的に見込まれる場合、繰延税金資産を計上することになる。
(税金費用の計算に用いる税法に関する取扱い)
- 33. 税効果適用指針では、税率に限らず、どの時点の税法を税効果会計に適用するかについて明らかにし、繰延税金資産及び繰延税金負債の計算にあたっては、決算日において国会で成立している税法に規定されている納税額の算定方法に基づき計算することを明記することとした(税効果適用指針第44項)。
- これに伴い、本適用指針においても、繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税法及び当該税法の改正に関する取扱いについて記載している(本適用指針第7項及び第8項参照)。
- 34. 本適用指針では、中間財務諸表における原則法による税金費用の計算にあたって、繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税法に関する取扱いに関して、税効果適用指針の定めにおける「期末」及び「決算日」を「中間決算日」に読み替えた上で適用することとしている(第6項及び第7項参照)。これは、中間財務諸表における税金費用は、中間会計期間を一事業年度とみなして、年度決算と同様に計算することとされているためである(税効果会計基準第二 二 5)。
(前事業年度の期末において税務上の繰越欠損金を有する場合の取扱い)
- 35. 前事業年度の期末において税務上の繰越欠損金を有する場合、当該税務上の繰越欠損金については、上期(中間会計期間)と下期の課税所得(税務上の繰越欠損金控除前)から平均的に控除する方法と上期の課税所得(税務上の繰越欠損金控除前)から優先的に控除する方法が考えられる。本適用指針では、中間会計期間を一事業年度とみなして年度決算と同様に処理するという考えにより、当該税務上の繰越欠損金について上期の課税所得(税務上の繰越欠損金控除前)から優先的に控除することとしている中間税効果実務指針に示されていた考えを踏襲している。
簡便法による税金費用の計算
(簡便法による税金費用)
- 36. 中間財務諸表における簡便法による税金費用の計算において、税金費用として処理されない資産又は負債の評価替えにより生じた評価差額等に係る一時差異に関する繰延税金資産及び繰延税金負債の差額については、原則法と同様に処理する。
- すなわち、資産又は負債の評価替えにより生じた評価差額等を直接純資産の部に計上する場合、当該評価差額等に係る一時差異に関する繰延税金資産及び繰延税金負債の差額については、事業年度の期首における当該差額と中間決算日における当該差額の増減額が、純資産の部の評価・換算差額等を相手勘定として計上され(税効果適用指針第9項(1))、税金費用の計算には考慮されないこととなる。また、中間会計期間において、税法が改正されたこと等により、当該評価差額等に係る一時差異に関する繰延税金資産及び繰延税金負債の額を修正した場合、当該修正差額を純資産の部の評価・換算差額等を相手勘定として計上することとなる(税効果適用指針第51項(1))。
(見積実効税率)
- 37. 本適用指針では、中間財務諸表における簡便法による税金費用の計算について、中間税効果実務指針において示されていた次の考えを踏襲している。
- (1) 「税金費用は納付税額と法人税等調整額(税効果額)に区分することなく一括して計算されるため、見積実効税率の算定に当たっては、第9項の算式にあるように基本的に一時差異等を考慮する必要がない。これは、中間会計期間における一時差異等の変動は税引前中間純利益に対する税金費用に影響を与えないためである。したがって、見積実効税率の算定に当たり、税金費用に影響するものとして一時差異等に該当しない差異のみを考慮すれば足りることとなる。」
- (2) 「しかし、例えば当期首に繰延税金資産を計上していなかった税務上の繰越欠損金を当期又は将来に充当することが確実になった場合には、その予想充当額は、一時差異等に該当しない差異と同様、税金費用に影響することとなる。同様に当期首に繰延税金資産として計上していなかった一時差異等がある場合においても、当期又は将来にその全部又は一部が実現すると確実に見込まれるときは、当該見積実効税率の算定に当たり、その税金費用への影響を考慮する必要がある。」
(税金費用の計算に用いる税法が改正された場合の取扱い)
- 38. 中間会計期間において税法の改正に伴い税率が変更された場合の簡便法による税金費用の計算の取扱いについては、中間税効果実務指針に示されていた次の考えに基づいている。
- (1) 「簡便法では、年間の税金費用と税引前当期純利益を見積もるが、中間決算日時点における一時差異等は把握しないため、税率変更があったとしても原則法のように厳密にその影響を計算することは想定されていない。」
- (2) 「このため、簡便法においては、税率の変更を年間の税金費用の見積りに当たって適用される税率に影響させるべきか否かその取扱いを明確にすることが必要となる。この点に関して、簡便法であっても原則法になるべく近似させることが必要であるとの立場から、第10項では第9項の算式の分子として次の2項目の合計額を使用することとした。
- ① 予想年間納付税額
予想年間税引前当期純利益に一時差異の予想年間増減額及び一時差異等に該当しない差異を加減して算出した予想年間課税所得に基づき計算した当事業年度における予想納付税額の合計額 - ② 予想年間法人税等調整額
上記①のうち一時差異の予想年間増減額に当事業年度における納付税額の計算に用いる税率(法定実効税率)を乗じて計算した税額及び当事業年度末に存在すると予想される一時差異に係る税率変更の影響額との合計額」
(見積実効税率を用いて税金費用を算定すると著しく合理性を欠く結果となる場合の取扱い)
- 39. 中間税効果実務指針において、見積実効税率を用いて税金費用を算定すると中間会計期間に係る適正な税金費用を計算できない事例として次のものが示されていた。
- (1) 「簡便法を適用する場合に用いられる見積実効税率は、予想年間税金費用を予想年間税引前当期純利益で除して算定されるため、予想年間税金費用又は予想年間税引前当期純利益が発生しない場合には見積実効税率は算定できないこととなる。」
- (2) 「見積実効税率の算定における予想年間税金費用には一時差異等に該当しない差異の税額への影響が反映されるが、上期と下期で損益が相殺されるため予想年間税引前当期純利益が上期又は下期に計上される税引前純利益に比して著しく小さく、その結果、一時差異等に該当しない差異に係る税金費用の影響が著しく重要となる場合には、例えば、見積実効税率が100%を超過したり、又は0%に近くなったりすることも考えられ、このような見積実効税率では中間会計期間に係る適正な税金費用を計算できないこととなる。」
- 40. 第39項に示した中間税効果実務指針における記載を踏まえ、第14項においては、第12項に定める見積実効税率を用いて税金費用を計算すると著しく合理性を欠く結果となる場合、法定実効税率を用いて計算することとしている。これは、中間税効果実務指針に示されていたように、「上期と下期で損益が相殺されるような場合においては、中間会計期間に係る税金費用を税引前中間純損益に法定実効税率を用いて計算し、上期に計上した税金費用は下期に相殺されることにより、年度決算との整合性を図ることが適当と考えられるため」である。
- 41. 第16項に定める税法の改正による繰延税金資産及び繰延税金負債の修正差額を上期(中間会計期間)及び下期に配分する合理的な方法については、第38項に記載されているように「簡便法であっても原則法になるべく近似させることが必要である」との立場によるものであり、税効果Q&Aに示されていた次の内容に基づき定められている。
- (1) 「合理的な方法とは、各会社の状況、一時差異の性質等を総合的に勘案して決められる妥当な方法を意味しています。」
- (2) 「例えば、中間会計期間を含む事業年度の末日に存在すると見込まれる一時差異が一つしかない会社で、その一時差異が棚卸資産の評価損に係るものであり、その棚卸資産の評価損が上期にのみ生じたものであれば、全額上期に配分すべきですし、上期及び下期の発生に係るものであれば、それぞれの金額をもとに上期及び下期に配分することになります。」
(更正等による追徴又は還付に伴い過年度の法人税等の納付税額が変更された場合の取扱い)
- 42. 中間会計期間において、更正等による追徴又は還付に伴い過年度の法人税等の納付税額が変更された場合の簡便法における税金費用の取扱いについては、税効果Q&Aに示されていた次の考えが参考になる。
- (1) 「中間会計期間中に更正決定又は修正申告により過年度の納付税額が変更された場合の中間会計期間に帰属する税金費用は、中間税効果実務指針の第9項に掲げる算式を用いてまず計算します。」
- (2) 「この場合、追徴の対象とされた一時差異に係る税額部分は、当中間会計期間にいったん税金費用に含められても、同額の将来減算一時差異が発生し、当該一時差異に係る税金費用のマイナス額を計上する結果となります。」
- (3) 「したがって、過年度に発生した一時差異に係る追徴税額は、当中間会計期間における税金費用合計に影響を及ぼしません。」
- (4) 「しかしながら、中間財務諸表等規則の第52条第4項では、重要な法人税等の更正決定等による納付税額又は還付税額の区分表示を求めており、当該区分表示をした場合には、過年度に発生した一時差異に係る追徴税額に相当する部分は税金費用から控除して、中間損益計算書に計上することになります。」
中間連結財務諸表における税金費用の会計処理
- 43. 本適用指針では、連結会社ごとの税金費用の会計処理について、「簡便法では、各連結会社ごとに予想年間税金費用から中間会計期間に係る税金費用が計算されますが、その金額は原則法により計上される税金費用額に近似するものと思われますので、中間連結財務諸表の作成上、原則法又は簡便法のいずれかに統一して適用することは要求されておりません。したがいまして、中間連結財務諸表の作成上、連結会社ごとに原則法又は簡便法を選択適用することができるものと解されます。」とされていた税効果Q&Aの取扱いを踏襲している(第17項(1)参照)。
未実現利益の消去に係る一時差異の取扱い
- 44. 中間連結会計期間における連結会社間の取引に伴い生じた未実現利益の消去にあたって、当該未実現利益の消去に係る将来減算一時差異の額が、売却元の連結会社の売却年度における課税所得の見積額を上回っている場合、当該課税所得の見積額を上限としている(第19項参照)。これは、実際の税金費用は年度の課税所得をもって確定することから、中間連結会計期間においても売却年度における課税所得の見積額を将来減算一時差異の限度額として用いることによって年度との整合性を図ることにより、年間の業績見通しに資する情報を提供することとなるという考えに基づくものである。
開 示
表 示
簡便法による場合の表示方法
- 45. 簡便法により税金費用を計算する場合、法人税等の額と法人税等調整額が併せて計算されるため、両者を区分して表示することはできない。
- 本適用指針では、「当該税金費用の相手勘定が貸方残高の場合は、基本的には納付税額が主要部分を構成するものと考えられるため、当該貸方残高は流動負債として一括表示することとした。」とされていた中間税効果実務指針の取扱いを踏襲している。また、本適用指針は、税引前中間純損失に見積実効税率又は法定実効税率を乗じて税金費用を計算し計上する場合、当該税金費用の相手勘定について、繰延税金資産などの科目を用いることが示されていた税効果Q&Aの取扱いを踏襲している(第20項参照)。
適用時期等
- 46. 本適用指針は、中間税効果実務指針等のうち中間財務諸表等における税効果会計の適用に係る取扱いについて、基本的にその内容を踏襲した上で表現の見直しを行ったものであり、実質的な内容の変更は意図していないため、本適用指針の適用については、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更に該当しないものとして取り扱うこととした(第23項参照)。
- 47. なお、中間税効果実務指針を参照していた実務対応報告第28号及び実務対応報告第29号については、これらの実務対応報告において取り扱っていた復興特別法人税が廃止されていることに鑑み、本適用指針の公表に伴い廃止する(第24項参照)。
設 例
- 次の設例は、税効果会計基準及び本適用指針で示された内容についての理解を深めるために参考として示されたものであり、仮定として示された前提条件の記載内容は、経済環境や各企業の実情等に応じて異なることに留意する必要がある。
設例
- [設例1] 一般的な場合
- 1. 前提条件
- (1) 当中間会計期間に係る税引前中間純利益は1,000、貸倒引当金繰入限度超過額(将来減算一時差異)は300、交際費(税務上の損金に算入されない項目)は100である。当該将来減算一時差異は、当中間会計期間において生じたものとする。
- (2) 交際費は、一時差異等に該当しない項目(税効果適用指針第77項)であり、本設例では、当中間会計期間を含む事業年度に係る交際費の額の異なる次の2つのケースを想定する。
(ケースA) 当中間会計期間を含む事業年度に係る予想年間税引前当期純利益は2,000、交際費は200と予想している。
(ケースB) 当中間会計期間を含む事業年度に係る予想年間税引前当期純利益は2,000、交際費は300と予想している。 - (3) 法定実効税率は、30%とする。
- (4) 前事業年度の期末に一時差異等は有していないものとする。
- 2. 会計処理
- (1) 原則法による税金費用の計算
- ① 法人税等の計算

- (*)法人税等の税率は、30%とする。
- ② 法人税等調整額の計算

- (*1)繰延税金資産(中間決算日)90
=将来減算一時差異残高(中間決算日)300×法定実効税率30%
- ③ 会計処理(第6項参照)

- (2) 簡便法による税金費用の計算
- ① 見積実効税率の計算
簡便法により税金費用を計算する場合、税金費用は法人税等の額と法人税等調整額に区分することなく一括して計算され、一時差異等の変動は税引前当期純利益に対する税金費用の比率に影響を及ぼさない(第37項参照)。このため、見積実効税率の計算にあたっては、一時差異等に該当しない項目である交際費を考慮する(第12項参照)。 
- ② 税金費用の計算
(ケースA) 税引前中間純利益1,000×見積実効税率33.0%=330
(ケースB) 税引前中間純利益1,000×見積実効税率34.5%=345
- ③ 会計処理(第11項及び第20項参照)


- 3. 中間損益計算書

- 簡便法の見積実効税率の計算において考慮された交際費(年間の予想額)の予想年間税引前当期純利益に対する割合は、ケースAでは10%(=交際費200÷予想年間税引前当期純利益2,000)、ケースBでは15%(=交際費300÷予想年間税引前当期純利益2,000)となっており、ケースAの場合には当中間会計期間における実績による割合と同じであるため、原則法と簡便法(ケースA)の計算結果は一致している。
- このように、簡便法においては、一時差異等に該当しない項目(交際費)に対応する税金費用を税引前当期純利益の割合で上期(中間会計期間)と下期に按分することとなるため、税引前当期純利益(税引前中間純利益)に対する一時差異等に該当しない項目の割合が上期と年度で異なる場合、原則法と簡便法の計算結果は当該割合の差(注)だけ相違することになる。
- (注)原則法による税金費用330-簡便法(ケースB)による税金費用345=△15
△15=税引前中間純利益1,000×(交際費の割合10%(=交際費100÷税引前中間純利益1,000)-交際費の割合(ケースB)15%)×法定実効税率30%
- [設例2] 中間会計期間を含む事業年度において租税特別措置法上の諸準備金等の積立てが予定されている
場合
- 1. 前提条件
- (1) 当中間会計期間に係る税引前中間純利益は1,000、特別償却に係るもの(将来加算一時差異)は300、交際費(税務上の損金に算入されない項目)は100であるとする。当該一時差異300は、当中間会計期間に取得した固定資産に係る特別償却(租税特別措置法に従ったもの)であり、当中間会計期間を含む事業年度において租税特別措置法上の特別償却準備金を積み立てることが確実である。
- (2) 交際費は、一時差異等に該当しない項目(税効果適用指針第77項)である。
- (3) 当中間会計期間を含む事業年度に係る予想年間税引前当期純利益は2,000、交際費は200であると予想している。
- (4) 法定実効税率は、30%とする。
- (5) 前事業年度の期末の一時差異等は有していないものとする。
- 2. 会計処理
- (1) 原則法による税金費用の計算
- ① 法人税等の計算

- (*)法人税等の税率は、30%とする。
- ② 法人税等調整額の計算

- (*1)繰延税金負債(中間決算日)90
=将来加算一時差異残高(中間決算日)300×法定実効税率30%
- ③ 会計処理(第6項及び第9項参照)

- (2) 簡便法による税金費用の計算
- ① 見積実効税率の計算
[設例1]2.(2)①と同様に、見積実効税率の計算にあたっては、一時差異等に該当しない項目である交際費を考慮する(第12項参照)。なお、諸準備金等に係る一時差異の変動は税引前当期純利益に対する税金費用の比率に影響を及ぼさないため、別途考慮する必要がない。 
- ② 税金費用の計算
税引前中間純利益1,000×見積実効税率33%=330
- ③ 会計処理(第11項及び第20項参照)

- 3. 中間損益計算書

- 租税特別措置法の特別償却準備金の積立額に係る将来加算一時差異については、第9項に従って繰延税金負債を計上する。他方、当該将来加算一時差異は納付税額の計算では、課税所得から減算されるため、それらの合計額である税金費用には影響しないこととなる(第37項参照)。
- なお、本設例では、中間会計期間を含む事業年度における交際費の年間予想額の税引前当期純利益に対する割合が中間会計期間における実績による割合と同じであるため、原則法と簡便法の計算結果は一致している。
- [設例3] 前事業年度の期末において税務上の繰越欠損金を有する場合
- 1. 前提条件
- (1) 当中間会計期間に係る税引前中間純利益は1,000、貸倒引当金繰入限度超過額(将来減算一時差異)は300、交際費(税務上の損金に算入されない項目)は100である。
- (2) 交際費は、一時差異等に該当しない項目(税効果適用指針第77項)である。
- (3) 前事業年度の期末において、税務上の繰越欠損金を1,000有していた。当該税務上の繰越欠損金に係る繰延税金資産については、回収可能性が見込まれないため計上していなかった。また、税務上の繰越欠損金を除く一時差異等は有していなかった。
- (4) 当中間会計期間では、一時差異等に係る繰延税金資産の全額について回収可能性があると判断した。
- (5) 当中間会計期間を含む事業年度に係る予想年間税引前当期純利益は2,000、交際費は200であると予想している。また、前事業年度の期末における税務上の繰越欠損金残高1,000は、全額、当中間会計期間を含む事業年度において予想年間課税所得の計算において控除されるものと予想する。
- (6) 法定実効税率は、30%とする。
- (7) 当中間会計期間の期首において、繰延税金資産及び繰延税金負債は計上されていない。
- 2. 会計処理
- (1) 原則法による税金費用の計算
- ① 法人税等の計算

- (*)法人税等の税率は、30%とする。
- ② 法人税等調整額の計算

- (*1)繰延税金資産(中間決算日)90
=将来減算一時差異残高(中間決算日)300×法定実効税率30%
- ③ 会計処理(第6項参照)

- (2) 簡便法による税金費用の計算
- ① 見積実効税率の計算
見積実効税率の計算にあたっては、一時差異等に該当しない項目である交際費を考慮する。また、当中間会計期間においては、前事業年度の期末に繰延税金資産を計上していなかった税務上の繰越欠損金の全額について税金の回収が見込まれるため、当該金額を予想年間税金費用の額から控除する(第12項参照)。これらの項目は、法人税等の額の計算のみに反映されるため、税引前当期純利益に対する税金費用の比率に影響を及ぼすこととなる。 
- ② 税金費用の計算
税引前中間純利益1,000×見積実効税率18%=180
- ③ 会計処理(第11項及び第20項参照)

- 3. 中間損益計算書

- 原則法による税金費用は中間会計期間を一事業年度とみなして、中間会計期間を含む事業年度の法人税等の計算に用いる税率に基づき、年度決算と同様の方法により計算するため、前事業年度の期末における税務上の繰越欠損金については、当中間会計期間に生じた課税所得(税務上の繰越欠損金控除前)から控除して、税金費用を計算する(第10項参照)。一方、簡便法により税金費用を計算する場合、上記2(2)①のとおり税務上の繰越欠損金の年間の控除見込額について年度で平均的に控除することとなるため、両者の税金費用の額は相違することとなる。
- [設例4] 上期が利益の場合で下期に損失が見込まれるとき
- 1. 前提条件
- (1) 当中間会計期間に係る税引前中間純利益は1,000、貸倒引当金繰入限度超過額(将来減算一時差異)は300、交際費(税務上の損金に算入されない項目)は100である。当該将来減算一時差異は、当中間会計期間において生じたものとする。
- (2) 交際費は、一時差異等に該当しない項目(税効果適用指針第77項)である。
- (3) 下期において損失(1,500)が見込まれるため、当中間会計期間を含む事業年度に係る予想年間税引前当期純損失は500、交際費は200であると予想している。
- (4) 法定実効税率は、30%とする。
- (5) 前事業年度の期末の一時差異等は有していないものとする。
- (6) 当事業年度においては損失が見込まれているが、次年度以降は利益が見込まれるため、当中間決算日に生じた将来減算一時差異に係る繰延税金資産の全額について回収可能性があると判断している。
- 2. 会計処理
- (1) 原則法による税金費用の計算
- ① 法人税等の計算

- (*)法人税等の税率は、30%とする。
- ② 法人税等調整額の計算

- (*1)繰延税金資産(中間決算日)90
=将来減算一時差異残高(中間決算日)300×法定実効税率30%
- ③ 会計処理(第6項参照)

- (2) 簡便法による税金費用の計算
- ① 税金費用の計算
予想年間税引前当期純利益が損失のため、見積実効税率でなく法定実効税率により当中間会計期間に係る税金費用を計算する(第14項(1)参照)。なお、一時差異等に該当しない項目である交際費の影響を考慮する。 
- ② 会計処理(第11項及び第20項参照)

- 3. 中間損益計算書

- 本設例において、原則法と簡便法は、税金費用を個別に計算するか一括して計算するかの違いはあるものの、結果として税金費用の額は一致している。
- [設例5] 上期が損失の場合で下期に利益が見込まれるとき
- 1. 前提条件
- (1) 当中間会計期間に係る税引前中間純損失は1,000、貸倒引当金損金繰入限度超過額(将来減算一時差異)は300、交際費(税務上の損金に算入されない項目)は100であるとする。当該将来減算一時差異は、当中間会計期間において生じたものとする。
- (2) 交際費は、一時差異等に該当しない項目(税効果適用指針第77項)である。
- (3) 下期においては利益(1,200)が見込まれるため、当中間会計期間を含む事業年度に係る予想年間税引前当期純利益は200、交際費は200であると予想している。
- (4) 法定実効税率は、30%とする。
- (5) 前事業年度の期末の一時差異等は有していないものとする。
- (6) 税務上の欠損金の繰戻還付は、認められていないものとする。
- (7) 当中間会計期間において生じた将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金相当額に係る繰延税金資産の全額について回収可能性があると判断している。
- 2. 会計処理
- (1) 原則法による税金費用の計算
- ① 法人税等の計算

- (*)法人税等の税率は、30%とする。
- ② 法人税等調整額の計算

- (*1)繰延税金資産(中間決算日)270
=(将来減算一時差異残高(中間決算日)300+税務上の繰越欠損金残高(中間決算日)600)×法定実効税率30%
- ③ 会計処理(第6項参照)

- (2) 簡便法による税金費用及び繰延税金資産の計算
- ① 税金費用の計算
第12項に従って見積実効税率を計算すると、次のとおり60%となるが、これは上期(中間会計期間)と下期の損益が相殺されることにより、一時差異等に該当しない項目に係る税金費用が見積実効税率に著しく重要な影響を与えていることによる。そのため、当該見積実効税率による税金費用の計算は著しく合理性を欠く結果となる場合に該当する(第14項(3)参照)。 
- したがって、法定実効税率により中間会計期間に係る税金費用を計算する。なお、一時差異等に該当しない項目である交際費の影響を考慮する。

- ② 会計処理

- (*2)税引前中間純損失に法定実効税率を乗じて計算した税金費用に対応する中間貸借対照表上の資産の額については、期首における繰延税金資産の額と合算して、税効果適用指針第8項(1)に従って繰延税金資産の回収可能性を判断し、回収が見込まれる額を計上する(本適用指針第15項(2)参照)。
- 3. 中間損益計算書

- 本設例では、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金相当額に係る繰延税金資産の計上額に原則法と簡便法との間に相違はなく、両者の計算結果は一致している。
- [設例6] 中間会計期間において税率が変更された場合
- 1. 前提条件
- (1) 当中間会計期間に係る税引前中間純利益は1,000、貸倒引当金繰入限度超過額(将来減算一時差異)の前期末(当期首)残高は200、当中間決算日残高は500である(当中間会計期間における課税所得計算上、300が加算される)、交際費(税務上の損金に算入されない項目)は100であるとする。
- (2) 前事業年度の期末において、貸倒引当金繰入限度超過額に係る繰延税金資産の全額について、回収可能性があると判断していた。
- (3) 交際費は、一時差異等に該当しない項目(税効果適用指針第77項)である。
- (4) 当中間会計期間を含む事業年度に係る予想年間税引前当期純利益は2,000、貸倒引当金繰入限度超過額の当期末残高は700(当事業年度の課税所得計算上、500が加算される)、交際費は200であると予想する。
- (5) 当中間会計期間に税率が変更され、法定実効税率は30%から25%になったが、当事業年度における法人税等の額の計算に当該税率の変更の影響はないものとする。
- 2. 会計処理
- (1) 原則法による税金費用の計算
- ① 法人税等の計算

- (*)法人税等の税率は、30%とする。
- ② 法人税等調整額の計算

- (*1)繰延税金資産(当期首)60=将来減算一時差異残高(当期首)200×法定実効税率30%
- (*2)繰延税金資産(中間決算日)125
=将来減算一時差異残高(中間決算日)500×法定実効税率25%
なお、税率の変更による影響額25(=将来減算一時差異残高(中間決算日)500×(変更前の法定実効税率30%-変更後の法定実効税率25%))が含まれている。
- ③ 会計処理(第6項参照)

- (2) 簡便法による税金費用の計算
- ① 見積実効税率の計算
中間会計期間において、税法の改正に伴い税率が変更された場合、その影響を合理的に見積る必要があるため、見積実効税率は、予想年間納付税額と予想年間法人税等調整額との合計額を用いて計算する(第13項参照)。 - (ア) 予想年間納付税額

- (*)法人税等の税率は、30%とする。
- (イ) 予想年間法人税等調整額

- (*3)繰延税金資産(当期首)60=将来減算一時差異残高(当期首)200×法定実効税率30%
- (*4)繰延税金資産(当期末)175=将来減算一時差異残高(当期末)700×法定実効税率25%
なお、税率の変更による影響額35(=将来減算一時差異残高(当期末)700×(変更前の法定実効税率30%-変更後の法定実効税率25%))が含まれている。
- (ウ) 見積実効税率
見積実効税率34.75%=(予想年間納付額810+予想年間法人税等調整額△115)÷予想年間税引前当期純利益2,000
なお、税率の変更がなかった場合、見積実効税率は33%(*5)となる。したがって、税率の変更による影響率は1.75%(*6)となり、影響額は35(*7)となる。この額は税率変更による繰延税金資産への影響額35(*4)と一致する。 
- ② 税金費用の計算
税引前中間純利益1,000×見積実効税率34.75%=347.5
- ③ 会計処理(第11項及び第20項参照)

- 3. 中間損益計算書

- 原則法による場合、中間会計期間に係る税率の変更による影響額を全額計上するのに対し、簡便法による場合、中間会計期間を含む事業年度に係る税率の変更による影響額を税引前当期純利益の割合で上期(中間会計期間)と下期に按分するため、両者の計算結果は相違することとなる。
- 4. 表 示
- 前事業年度及び当中間会計期間の原則法による場合と簡便法による場合の貸借対照表は次のようになる。
- (原則法による場合)

- (簡便法による場合)

- [設例7] 簡便法を採用し法定実効税率を用いて税金費用を計算している場合で、税法の改正による繰延税
金資産の修正差額を上期及び下期に合理的な方法により配分するとき
- 1. 前提条件
- (1) 当中間会計期間に係る税引前中間純利益は100とする。
- (2) 減価償却費の損金算入限度超過額(将来減算一時差異)の前期末(当期首)残高は400であり、その全額について回収可能性があると判断していた。当該繰延税金資産は中間会計期間の期末においても回収可能性があると判断している。
- (3) 当事業年度において減価償却費の損金算入限度超過額200が新たに生じ、減価償却費の損金算入限度超過額の当期末残高は600となることが見込まれている。
- (4) 中間会計期間において簡便法により税金費用を計算しているが、予想年間税引前当期純利益がゼロ又は損失となることが見込まれており、第12項の見積実効税率を用いて中間会計期間に係る税金費用を計算すると著しく合理性を欠く結果となる場合に該当するため、法定実効税率を使用している(第14項参照)。
- (5) 当中間会計期間に税法が改正され、当該将来減算一時差異の解消が見込まれる期の法定実効税率は30%から25%に変更された。なお、当該改正された税法により税率の変更以外に繰延税金資産及び繰延税金負債の額は修正されていない。
- 2. 会計処理
- (1) 税金費用の計上
当中間会計期間の税金費用を、税引前中間純利益100に法定実効税率30%(中間会計期間を含む事業年度における法人税等の額を計算する際に適用される税率に基づく法定実効税率)を乗じて計算し、当該税金費用30について、未払法人税等などを相手勘定として計上する。
- (2) 税率の変更による修正差額の配分
当事業年度の期末の将来減算一時差異(減価償却費の損金算入限度超過額)600に含まれる当期首残高400についての税率の変更による影響額20(=400×(30%-25%))は、原則法との整合性を踏まえ、上期(中間会計期間)に配分する。
また、当事業年度に生じることが見込まれる将来減算一時差異200についての税率の変更による影響額は、上期と下期にそれぞれ5(=200×1/2×(30%-25%))を配分する。したがって、税率の変更による繰延税金資産の修正差額30(=600×(30%-25%))は、上期に25(=当期首残高400についての税率変更による影響額20+当事業年度に生じることが見込まれる将来減算一時差異についての税率の変更による影響額5)を、下期に5(当事業年度に生じることが見込まれる将来減算一時差異についての税率の変更による影響額5)を配分する(第16項参照)。
参 考
- 次の開示例は、本適用指針で示された内容について理解を深めるために参考として示されたものであり、記載内容は各企業の実情等に応じて異なることに留意する必要がある。
[開示例] 中間会計期間において租税特別措置法上の諸準備金等を積み立てたもの又は取り崩したものとみなして税金費用を計算している場合の注記例
本適用指針の公表による他の会計基準等についての修正
- 本適用指針により、当委員会が公表した会計基準等については、次の(1)及び(2)の修正を行う(下線は追加部分、取消線は削除部分を示す。)。
(略)
- 以 上