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企業会計基準適用指針第20号セグメント情報等の開示に関する会計基準の適用指針
目 的
- 1. 企業会計基準第17号「セグメント情報等の開示に関する会計基準」(以下「会計基準」という。)が、平成20年3月21日に公表されている。本適用指針は、当該会計基準を適用する際の指針を定めるものである。なお、本適用指針では、会計基準及び本適用指針により想定される開示例と報告セグメントの決定に係るフローチャートについても後掲の「参考」に示している。
適用指針
範 囲
- 2. 本適用指針を適用する範囲は、会計基準における範囲と同様とする。
セグメント情報の開示
事業セグメントの識別
連結子会社の取扱い
- 3. 企業集団を構成する個々の連結子会社がそれぞれ事業セグメントを構成することがあり得る。ただし、この場合の最高経営意思決定機関による当該連結子会社に対する資源配分の意思決定及び業績評価は、企業集団としての経営の見地から行われるものである必要がある。
持分法適用会社の取扱い
- 4. 連結財務諸表上、持分法を適用している関連会社(及び非連結子会社)であっても、企業の事業セグメントを構成することがあり得る。なお、この場合にセグメント情報として開示する額は、当該企業の中で最高経営意思決定機関に報告されている金額の取扱いに従って、連結損益計算書に計上されている持分法投資利益(又は損失)の金額、持分法適用会社の財務情報の金額又は当該財務情報の金額に持分割合を乗じた金額などによることとなる。
セグメント管理者がいる場合の取扱い
- 5. 企業の事業セグメントには、セグメントの事業活動や業績、予測又は計画に関して、最高経営意思決定機関に対する報告責任を有する管理者(以下「セグメント管理者」という。)がいる場合が多い。セグメント管理者は、必ずしも特定の肩書きの個人であるとは限らず、会議体であることもある。また、最高経営意思決定機関自体が特定の事業セグメントのセグメント管理者である場合や、1人の管理者が複数の事業セグメントのセグメント管理者を兼任する場合もある。
- 6. 事業セグメントの要件に合致する事業セグメントの区分方法が複数ある場合(会計基準第9項)であって、セグメント管理者が責任を負う構成単位からなる区分方法が1つしかないときは、当該構成単位が各事業セグメントとなる。
マトリックス組織
- 7. 事業セグメントの要件に合致する複数の重複する区分方法があり、いずれも責任を有する管理者がいる場合がある。このような組織構造は、マトリックス組織とも呼ばれ、例えば、ある管理者が特定の種類の製品及びサービスについて責任を有する一方で、他の管理者が特定の地域について責任を有し、両者の責任の範囲が重複している企業の組織構造がこれに該当する。このような場合、企業はセグメント情報開示に係る基本原則(会計基準第4項)に照らして、いずれの区分方法が適切であるかを決定する。
報告セグメントの決定
類似の経済的特徴
- 8. 複数の事業セグメントを集約するためには、当該事業セグメントの経済的特徴が概ね類似していることが要件の1つとされている(会計基準第11項(2))。当該要件に該当すると判断するためには、それらの事業セグメントが長期的に近似した業績の動向を示すことが見込まれている必要がある。例えば、長期的な売上総利益率(平均値)が近似することが見込まれる場合がこれに該当する。
セグメントの区分方法の継続性
- 9. 会計基準第12項に定める量的基準を適用して報告セグメントを決定するにあたっては、相当期間にわたりその継続性が維持されるよう配慮するものとする。このため、前年度において報告セグメントとされた事業セグメントが当年度において会計基準第12項に定める量的基準を下回るとしても、引き続き重要であると判断される場合には、当該セグメントに関する情報を区分し、継続的に開示する。
セグメント情報の開示項目
利益(又は損失)、資産及び負債等の額
- 10. 企業が開示する報告セグメントの資産(会計基準第19項)に長期前払費用又は繰延資産が含まれている場合には、セグメント情報に開示する有形固定資産及び無形固定資産の増加額(会計基準第22項(2))の範囲に、長期前払費用又は繰延資産の増加額を含めることができる。また、開示する減価償却費(のれんを除く無形固定資産に係る償却費を含む。)(会計基準第21項(3))に、長期前払費用又は繰延資産の償却額を含めることができる。なお、これらの場合には、その旨を記載する。
セグメント情報の測定方法
合理的な基準による配分
- 11. 特定の収益、費用、資産又は負債を事業セグメントに配分することとした場合には、企業は合理的な基準に従って配分しなければならないとされている(会計基準第23項ただし書き)。例えば、営業費用には各事業セグメントに直接配分できる費用と、直接配分できない費用があるが、このうち事業セグメントに直接配分できない営業費用は、その発生により便益を受ける程度に応じ、合理的な基準によって各事業セグメントに配分する。また、資産についても、各事業セグメントに直接配分できる資産と、直接配分できない資産があるが、直接配分できない資産のうち、複数の事業セグメントにおいて使用されている資産については、関係する事業セグメントの利用面積、人員数、取扱量(金額)又は生産量(金額)等の合理的な基準により各事業セグメントに配分する。
- 12. 事業セグメント等に配分しないこととした特定の収益、費用、資産又は負債を、それぞれ全社収益、全社費用、全社資産又は全社負債(以下「全社費用等」という。)という。全社費用等がある場合、企業は会計基準第25項に定める差異調整に関する事項として当該全社費用等を開示する。
複数の測定方法がある場合の取扱い
- 13. 最高経営意思決定機関が、事業セグメントに関する資源配分の意思決定や業績評価を行うために使用している財務情報の各項目について、単一の測定方法を使用している場合には、会計基準第19項から第22項に定める開示項目は当該測定方法に基づいて報告する。これに対して、最高経営意思決定機関がこれらの項目について複数の測定方法を使用している場合には、連結財務諸表又は個別財務諸表(以下「財務諸表」という。)を作成するにあたって採用した方法と最も整合的であると企業が考える測定方法に基づいて報告する。
複数の事業セグメントを集約した場合等の取扱い
- 14. 複数の事業セグメントを1つの事業セグメントに集約(会計基準第11項)又は結合(会計基準第13項)して報告セグメントとして開示する場合には、会計基準の基本原則(会計基準第4項)に基づき、同一の報告セグメント内の複数の事業セグメント間の取引及び債権債務の相殺消去や未実現利益の消去等を反映した金額により、報告セグメントの各項目を開示することができる。この場合、会計基準第21項(2)の「事業セグメント間の内部売上高又は振替高」は、「報告セグメント間の内部売上高又は振替高」と読み替えるものとする。
関連情報の開示
製品及びサービスに関する情報
重要性の判断基準
- 15. 製品及びサービスに関する情報(会計基準第30項)は、外部顧客への売上高が連結損益計算書又は個別損益計算書(以下「損益計算書」という。)の売上高の10%以上である製品・サービス区分について、これを区分して開示する。また、単一の製品・サービス区分の外部顧客への売上高が損益計算書の売上高の90%超である場合、企業は、その旨を開示し、会計基準第30項に定める開示を省略することができる。
地域に関する情報
重要性の判断基準
- 16. 地域に関する情報(会計基準第31項)は、開示する海外の外部顧客への売上高に分類した額のうち、単一の国の外部顧客への売上高に分類した額が、損益計算書の売上高の10%以上である場合、これを主要な国として区分して開示する。また、海外に所在している有形固定資産の額のうち、単一の国に所在する有形固定資産の額が、連結貸借対照表又は個別貸借対照表(以下「貸借対照表」という。)の有形固定資産の額の10%以上である場合、これを区分して開示する。
- 17. 国内の外部顧客への売上高に分類した額が損益計算書の売上高の90%超である場合には、企業は、その旨を開示し、会計基準第31項(1)に定める開示を省略することができる。また、国内に所在している有形固定資産の額が貸借対照表の有形固定資産の額の90%超である場合には、企業は、その旨を開示し、会計基準第31項(2)に定める開示を省略することができる。
主要な顧客に関する情報
重要性の判断基準
- 18. 主要な顧客に関する情報(会計基準第32項)は、単一の外部顧客への売上高(同一の企業集団に属する顧客への売上高を集約している場合には、その売上高)が、損益計算書の売上高の10%以上である場合に、当該顧客に関する情報を開示する。
適用時期
- 19. 本適用指針の適用時期は、会計基準と同様とする。
議 決
- 20. 本適用指針は、第148回企業会計基準委員会に出席した委員11名全員の賛成により承認された。
結論の背景
セグメント情報の開示
事業セグメントの識別
連結子会社の取扱い
- 21. マネジメント・アプローチに基づくセグメント情報の開示は、企業集団全体が整然と事業活動の領域別に組織されているような企業において、比較的導入しやすいと考えられる。しかし、実際には、そうした企業ばかりではなく、重複した事業活動を行う複数の連結子会社を会社別に管理している企業も多いのではないかという意見がある。本適用指針では、連結子会社がそれぞれ1つの事業セグメントを構成する場合について明らかにしている(第3項参照)。
マトリックス組織
- 22. 企業がマトリックス組織を採用している場合、それぞれが事業セグメントの特徴を有する複数の構成単位の区分方法が識別されることがあり得る。この場合、米国財務会計基準書第131号「企業のセグメント及び関連情報に関する開示」においては、製品及びサービスを基礎とする構成単位を事業セグメントの基礎とするとされている。一方、国際財務報告基準第8号「事業セグメント」(以下「IFRS第8号」という。)においては、製品及びサービスを基礎とする構成単位の使用を義務付けることは、マネジメント・アプローチを採用する趣旨から適当ではないとされている。
- 23. 当委員会は、企業がマトリックス組織を採用し、事業セグメントの定義に合致する複数の重複する区分方法があり、そのいずれにも責任を有する管理者がいる場合のセグメントの区分方法の決定についての取扱いを検討した。企業の業種や経営方針等によっては、例えば、販売地域別の構成単位による情報を重視する場合があり得る。このような場合にも、製品及びサービスを基礎とする構成単位を事業セグメントの基礎とすることはマネジメント・アプローチを採用した趣旨から適当ではないと考えられる。検討の結果、本適用指針では、IFRS第8号と同様、セグメント情報を開示する基本原則(会計基準第4項)に基づいて、適切な事業セグメントの区分方法を決定することとした(第7項参照)。
報告セグメントの決定
セグメントの区分方法の継続性
- 24. 各年度において開示されるセグメント情報の年度間の比較可能性を確保する必要がある。このため、本適用指針では、前年度において報告セグメントとされた事業セグメントが引き続き重要であると判断される場合には、当該セグメントが会計基準第12項に定める量的基準を当年度において下回っているときも、企業は、当該セグメントに関する情報を区分し、継続的に報告しなければならないとした(第9項参照)。当該事業セグメントが継続して重要であるか否かを判断するにあたっては、当該事業セグメントが区分して開示されないこととされた場合、財務諸表利用者が、企業の過去の業績を理解し、将来のキャッシュ・フローの予測を適切に評価する上で、重要な影響を及ぼすか否かを検討する必要があると考えられる。
セグメント情報の測定方法
合理的な基準による配分
- 25. 会計基準第19項から第22項に定める開示項目は、事業セグメントに資源を配分する意思決定を行い、その業績を評価する目的で、最高経営意思決定機関に報告される金額に基づいて行わなければならないとしつつも、特定の収益、費用、資産又は負債を事業セグメントの利益(又は損失)、資産又は負債に配分する場合には、企業は合理的な基準に従って配分しなければならないとされている(会計基準第23項)。本適用指針では、この合理的な基準について一定の指針を示している(第11項参照)。ただし、選択すべき配分基準として、特定の基準があるわけではなく、各企業の実情に即して合理的な基準を選択することに留意する必要がある。
複数の測定方法がある場合の取扱い
- 26. 最高経営意思決定機関が企業の事業セグメントに関する資源配分の意思決定や業績評価を行うために使用している財務情報の各項目について、複数の測定方法が使用されている場合が考えられる。こうした場合には、セグメント情報が財務諸表と整合的であることが、財務諸表利用者にとって望ましいと考えられる。このため、本適用指針では、最高経営意思決定機関が、事業セグメントに関する資源配分や業績評価の意思決定を行うために使用している財務情報の各項目について複数の測定方法がある場合、セグメント情報に開示される金額は、財務諸表を作成するにあたって採用した方法と最も整合的と企業が考える測定方法に基づいて報告することとしている(第13項参照)。
複数の事業セグメントを集約した場合等の取扱い
- 27. セグメント情報の利益(又は損失)、資産及び負債等の額の開示(会計基準第19項から第22項)について、財務諸表の作成にあたって行った修正や相殺消去は、最高経営意思決定機関が使用する事業セグメントの利益(又は損失)、資産又は負債の算定に含まれている場合にのみ、報告セグメントの各項目の額に含めることとされている(会計基準第23項)。しかしながら、集約又は結合された複数の事業セグメント間の取引及び債権債務の相殺消去や未実現利益の消去等を反映した金額を開示することにより、報告セグメントに関する事業活動の内容及びこれを行う経営環境を財務諸表利用者が理解する上で有用な情報を提供することになる場合、こうした情報の開示を妨げることは適当ではないと考えられる。このため、本適用指針では、複数の事業セグメントを集約又は結合して開示する場合においては、会計基準第23項の定めにかかわらず、同一報告セグメント内の複数の事業セグメント間の取引及び債権債務の相殺消去や未実現利益の消去等を反映した金額により、報告セグメントの各項目を開示することができるものとした(第14項参照)。
関連情報の開示
重要性の判断基準
- 28. 本適用指針では、セグメント情報の関連情報(会計基準第29項)を開示する際に考慮すべき重要性の判断基準を定めている(第15項から第18項参照)。ただし、これらの定めは、これらの基準値を下回る場合について、企業が開示することを妨げない。
参 考
1.開示例
- 以下の開示例は、会計基準及び本適用指針で示された内容について理解を深めるために、参考として示した一例である。具体的な記載内容は各企業の実情等に応じて異なることに留意する必要がある。
1.開示例
- [開示例1] セグメント利益と営業利益の間の差異を調整する場合
- (セグメント情報)
- 1. 報告セグメントの概要
- 当社の報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものである。
- 当社は、本社に製品・サービス別の事業本部を置き、各事業本部は、取り扱う製品・サービスについて国内及び海外の包括的な戦略を立案し、事業活動を展開している。
- したがって、当社は、事業本部を基礎とした製品・サービス別のセグメントから構成されており、「自動車部品事業」、「船舶事業」、「ソフトウェア事業」及び「電子事業」の4つを報告セグメントとしている。
- 「自動車部品事業」は、自動車販売店に販売する自動車の交換部品を生産している。「船舶事業」は、海底採油産業などに販売する小型発動機船及び関連製品を生産している。「ソフトウェア事業」は、コンピュータ製造業者及び販売店に販売するソフトウェア及び関連製品を生産している。「電子事業」は、コンピュータ製造業者に販売する集積回路及び関連製品を生産している。
- 2. 報告セグメントの利益(又は損失)、資産及び負債等の額の測定方法
- 報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、棚卸資産の評価基準を除き、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」における記載と概ね同一である。棚卸資産の評価については、収益性の低下に基づく簿価切下げ前の価額で評価している。報告セグメントの利益は、営業利益(のれん償却前)ベースの数値である。セグメント間の内部収益及び振替高は市場実勢価格に基づいている。
- 3. 報告セグメントの利益(又は損失)、資産及び負債等に関する情報1

- 4. 地域に関する情報
- (1) 売上高

- (2) 有形固定資産

- 5. 主要な顧客に関する情報

- (減損損失)
- 固定資産の減損損失に関する報告セグメント別情報

- (のれん)
- のれんに関する報告セグメント別情報

- [開示例2] セグメント利益と税金等調整前当期純利益の間の差異を調整する場合
- (セグメント情報)
- 1. 報告セグメントの概要
- 当社の報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、最高経営責任者(CEO)が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものである。
- 当社は、主に自動車部品等を生産・販売しており、国内においては当社が、海外においては米国、欧州(主に、英国、フランス、ドイツ)、中国等の各地域をアメリカ・カンパニー(米国)、ロンドン・カンパニー(英国)、中国公司(中国)及びその他の現地法人が、それぞれ担当している。現地法人はそれぞれ独立した経営単位であり、取り扱う製品について各地域の包括的な戦略を立案し、事業活動を展開している。
- したがって、当社は、生産・販売体制を基礎とした地域別のセグメントから構成されており、「日本」、「米国」、「欧州」及び「中国」の4つを報告セグメントとしている。各報告セグメントでは、自動車部品等のほか、玩具・模型及びその他の製品を生産・販売している。
- 2. 報告セグメントの利益(又は損失)、資産及び負債等の額の測定方法
- 報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、退職給付費用の取扱いを除き、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」における記載と概ね同一である。退職給付費用については、年金基金への要拠出額を基礎として認識及び測定を行っている。事業セグメントの利益は税金費用控除前の利益をベースとした数値である。
- セグメント間の売上高は、第三者間取引価格に基づいている。
- 3. 報告セグメントの利益(又は損失)、資産及び負債等に関する情報

- 4. 報告セグメント合計額と連結財務諸表計上額の差異の調整





- 5. 製品及びサービスに関する情報

- 6. 地域に関する情報
- (1) 売上高

- (2) 有形固定資産

- 7. 主要な顧客に関する情報

- (のれん)
- のれんに関する報告セグメント別情報

2. 報告セグメントの決定(フローチャート)
注
- 1 [開示例1]では、報告セグメント別の数値情報(会計基準第17項(2))と差異調整に関する数値情報(会計基準第17項(3))を一表により示している。差異調整に関する事項の内容が多岐にわたる場合などにおいては、[開示例2]のように別表を設けて記載することが考えられる。
2 主要な国の区分に加えて、複数の国を括った地域に関する額を示すことができる(会計基準第31項)。

