©公益財団法人 財務会計基準機構最終更新日:2026/03/04
企業会計基準第6号株主資本等変動計算書に関する会計基準
目 的
- 1. 本会計基準は、連結株主資本等変動計算書及び個別株主資本等変動計算書(以下合わせて「株主資本等変動計算書」という。)の表示区分及び表示方法等を定めることを目的とする。株主資本等変動計算書は、貸借対照表の純資産の部の一会計期間における変動額のうち、主として、株主(連結上は親会社株主)に帰属する部分である株主資本の各項目の変動事由を報告するために作成するものである。
- 本会計基準の適用にあたり、既存の会計基準と異なる取扱いを定めているものについては、本会計基準の取扱いを優先する。
- 2. 本会計基準の適用にあたっては、企業会計基準適用指針第9号「株主資本等変動計算書に関する会計基準の適用指針」も参照する必要がある。
会計基準
範 囲
- 3. 本会計基準は、株主資本等変動計算書を作成することとなるすべての会社に適用する。
表示区分
- 4. 株主資本等変動計算書の表示区分は、企業会計基準第5号「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準」(以下「純資産会計基準」という。)に定める貸借対照表の純資産の部の表示区分に従う。
表示方法
- 5. 株主資本等変動計算書に表示される各項目の当期首残高及び当期末残高は、前期及び当期の貸借対照表の純資産の部における各項目の期末残高と整合したものでなければならない。
- なお、企業会計基準第24号「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(以下「企業会計基準第24号」という。)に従って遡及処理を行った場合には、表示期間のうち最も古い期間の株主資本等変動計算書の期首残高に対する、表示期間より前の期間の累積的影響額を区分表示するとともに、遡及処理後の期首残高を記載する。
- 5-2. 会計基準等における特定の経過的な取扱いとして、会計方針の変更による影響額を適用初年度の期首残高に加減することが定められている場合には、第5項なお書きに準じて、期首残高に対する影響額を区分表示するとともに、当該影響額の反映後の期首残高を記載する。
- 5-3. 企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」(以下「企業結合会計基準」という。)に従って暫定的な会計処理の確定が企業結合年度の翌年度に行われ、当該年度の株主資本等変動計算書のみの表示が行われる場合には、第5項なお書きに準じて、期首残高に対する影響額を区分表示するとともに、当該影響額の反映後の期首残高を記載する。
株主資本の各項目
- 6. 貸借対照表の純資産の部における株主資本の各項目は、当期首残高、当期変動額及び当期末残高に区分し、当期変動額は変動事由ごとにその金額を表示する。
- 7. 連結損益計算書の親会社株主に帰属する当期純利益(又は親会社株主に帰属する当期純損失)は、連結株主資本等変動計算書において利益剰余金の変動事由として表示する。また、個別損益計算書の当期純利益(又は当期純損失)は、個別株主資本等変動計算書においてその他利益剰余金又はその内訳科目である繰越利益剰余金の変動事由として表示する。
株主資本以外の各項目
- 8. 貸借対照表の純資産の部における株主資本以外の各項目は、当期首残高、当期変動額及び当期末残高に区分し、当期変動額は純額で表示する。ただし、当期変動額について主な変動事由ごとにその金額を表示(注記による開示を含む。)することができる。
注記事項
- 9. 株主資本等変動計算書には、次に掲げる事項を注記する。
- (1) 連結株主資本等変動計算書の注記事項
- ① 発行済株式の種類及び総数に関する事項
- ② 自己株式の種類及び株式数に関する事項
- ③ 新株予約権及び自己新株予約権に関する事項
- ④ 配当に関する事項
- (2) 個別株主資本等変動計算書の注記事項
自己株式の種類及び株式数に関する事項
なお、個別株主資本等変動計算書には、上記の事項に加え、(1)①、③及び④に準ずる事項を注記することを妨げない。 - また、連結財務諸表を作成しない会社においては、(2)の事項に代えて、(1)に準ずる事項を個別株主資本等変動計算書に注記する。
(削 除)
適用時期等
- 11. 株主資本等変動計算書は、会社法(平成17年法律第86号)施行日以後終了する連結会計年度及び事業年度から作成する。また、中間株主資本等変動計算書は、会社法施行日以後終了する中間連結会計期間及び中間会計期間から作成する。
- 12. 平成17年に公表された本会計基準(以下「平成17年会計基準」という。)の適用に伴い、個別損益計算書の末尾は当期純利益(又は当期純損失)、中間個別損益計算書の末尾は中間純利益(又は中間純損失)とし、また、連結剰余金計算書及び中間連結剰余金計算書は廃止する。
- 13. 平成17年会計基準の適用初年度における株主資本等変動計算書の前期末残高の記載は、前期末の貸借対照表において該当する各項目の残高を記載する。この際、「繰越利益剰余金」の前期末残高は「当期未処分利益(又は当期未処理損失)」の残高を記載する。
なお、「繰延ヘッジ損益」(これらに関する、当期までの期間に課税された、法人税その他利益に関連する金額を課税標準とする税金及び税効果を調整後の金額)については、当期末の貸借対照表に計上された額を当期変動額及び当期末残高の欄に記載する。 - 13-2. 平成22年改正の本会計基準(以下「平成22年改正会計基準」という。)は、平成23年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度から適用する。
- 13-3. 平成25年改正の本会計基準(以下「平成25年改正会計基準」という。)第5-2項及び第5-3項の適用時期は、平成25年に改正された企業結合会計基準(以下「平成25年企業結合会計基準」という。)及び平成25年に改正された企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」(以下「平成25年連結会計基準」という。)の適用時期と同様とする。
- 13-4. 平成25年改正会計基準第7項は、平成25年連結会計基準の表示方法に係る事項が適用された連結会計年度から適用する。
議 決
- 14. 本会計基準は、第94回企業会計基準委員会に出席した委員12名全員の賛成により承認された。
- 15. 第94回企業会計基準委員会に出席した委員は、以下のとおりである。
- (略)
- 15-2. 平成22年改正会計基準は、第204回企業会計基準委員会に出席した委員9名全員の賛成により承認された。なお、出席した委員は以下のとおりである。
- (略)
- 15-3. 平成25年改正会計基準は、第272回企業会計基準委員会に出席した委員13名全員の賛成により承認された。なお、出席した委員は、以下のとおりである。
- (略)
結論の背景
検討の経緯
- 16. これまで、個別財務諸表においては、当期未処分利益の計算が個別損益計算書の末尾で表示され、株主総会における利益処分(又は損失処理)の結果を受けて、利益処分計算書(又は損失処理計算書)が開示されてきた。
連結財務諸表においては、資本剰余金及び利益剰余金の変動を表すものとして連結剰余金計算書が開示されてきた。 - 17. テーマ協議会からの提言書(平成13年11月12日)において、近年の会計基準の新設又は改正により、資本の部に直接計上される項目(その他有価証券評価差額金、為替換算調整勘定等)が増えていること、また、商法改正により、自己株式の取得、処分及び消却等、資本の部の変動要因が増加していることなどから、ディスクロージャーの透明性確保のため、株主の持分の変動に関する開示制度の導入が望まれるとされており、このような計算書については、当委員会で取り上げるべき検討課題とされた。
- さらに、国際的な会計基準では、「株主持分変動計算書」が財務諸表の1つとして位置付けられている。
- 18. こうした中、平成17年7月26日に公布された会社法では、すべての株式会社は、貸借対照表及び損益計算書に加え、株主資本等変動計算書を作成しなければならないこととされた。これは、会社法において、株式会社は、株主総会又は取締役会の決議により、剰余金の配当をいつでも決定でき、また、株主資本の計数をいつでも変動させることができることとされたため、貸借対照表及び損益計算書だけでは、資本金、準備金及び剰余金の数値の連続性を把握することが困難となるためである。
- 19. このような状況を考慮し、当委員会では、これらの問題に対する審議を行い、平成17年8月に企業会計基準公開草案第8号「連結株主資本等変動計算書等に関する会計基準(案)」を公表し、広く各界の意見を求めた。当委員会では、寄せられた意見も参考にしてさらに審議を行い、公開草案の内容を一部修正して、平成17年会計基準を公表した。
- 19-2. また、平成22年改正会計基準は、企業会計基準第24号により、遡及処理における累積的影響額を期首残高に反映する取扱いが定められたことを踏まえて、改正を行った。
- 19-3. 平成25年改正会計基準は、平成25年連結会計基準において、従来の当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益としたこと及び平成25年企業結合会計基準等の適用にあたって、過去の期間のすべてに新たな会計方針を遡及適用した場合の、適用初年度の期首時点の累積的影響額を適用初年度の期首の資本剰余金及び利益剰余金に加減する経過的な取扱いを定めたことに伴い、所要の改正を行ったものである(第5-2項及び第7項参照)。
- また、平成25年企業結合会計基準において、暫定的な会計処理の確定の処理を改正したことに伴い、暫定的な会計処理の確定が企業結合年度の翌年度に行われ、当該年度の株主資本等変動計算書のみの表示が行われる場合の取扱いについても所要の改正を行ったものである(第5-3項参照)。
表示区分及び表示方法
- 20. 株主資本等変動計算書に記載すべき項目の範囲については、主として、次の2つの考え方がある。
(1) 純資産の部のすべての項目とする考え方
(2) 純資産の部のうち、株主資本のみとする考え方
(1)は、資産と負債の差額である純資産について、国際的な会計基準では、株主資本以外の項目についても、一会計期間の変動を開示する考え方であるため、新たな会計基準を開発する場合には、国際的な会計基準との調和を重視すべきとの考えを主な論拠とする。また、評価・換算差額等の残高が大きい場合には、その変動が将来の株主資本の変動に大きな影響を与える可能性があり、その変動事由を示すことも財務諸表利用者にとって有用な場合があるとの意見がある。
一方、(2)は、財務報告における情報開示の中で、財務諸表利用者にとって特に重要な情報は投資の成果を表す利益の情報であり、当該情報の主要な利用者であり受益者である株主に対して、当期純利益とこれを生み出す株主資本との関係を示すことが重要であるとの考えを主な論拠とする。
この他、(2)を支持する意見としては、会社法の下で必要となる開示項目は株主資本の各項目で足りると解されること、現時点では、いわゆる包括利益は当期純利益を超える有用性が確認されていないといわれることから、評価・換算差額等については変動事由ごとに表示することが必ずしも必要とはいえないこと、親会社説に基づく報告主体の所有者への情報提供を一義的なものと考えれば、新株予約権者や少数株主との取引を変動事由ごとに開示する重要性は相対的に低いと考えられること、さらに、以上の考えの中で、現行の連結剰余金計算書等と大きく異なる財務諸表の作成を企業に要請することに対する事務負担への懸念などが挙げられる。 - 21. 平成17年会計基準では、このような考え方を踏まえ、開示項目の範囲については、国際的調和等の観点から純資産の部のすべての項目とするものの、株主資本とそれ以外の項目とでは一会計期間における変動事由ごとの金額に関する情報の有用性が異なること、及び株主資本以外の各項目を変動事由ごとに表示することに対する事務負担の増大などを考慮し、表示方法に差異を設けることとした。具体的には、株主資本の各項目については、変動事由ごとにその金額を表示することとし、株主資本以外の各項目は、原則として、当期変動額を純額で表示することとした。
ただし、これは純資産の部における株主資本以外の各項目について変動事由ごとにその金額を表示することを妨げる趣旨ではないため、重要性等を勘案の上、株主資本以外の各項目についても主な変動事由及びその金額を株主資本等変動計算書に表示(注記による開示を含む。)することができることとした(第8項ただし書き参照)。 - 平成25年連結会計基準などを踏まえて見直された平成25年改正会計基準においても、従来の考え方を引き継いでいる。
- 22. 計算書の名称については、純資産の部のすべての項目を開示対象としているため「純資産変動計算書」という名称も検討したが、本計算書は、主として、株主資本の各項目の変動を示すものとしていることから「株主資本等変動計算書」とした。なお、「株主持分変動計算書」という名称も検討したが、貸借対照表の純資産の部の表示区分と異なるため採用していない。
この結果、連結財務諸表における名称は「連結株主資本等変動計算書」、個別財務諸表における名称は「株主資本等変動計算書」となる。 - なお、本会計基準において個別財務諸表における株主資本等変動計算書にのみ言及する場合には、対象となる計算書を明確にするため、個別株主資本等変動計算書と表記している(第1項参照)。
- 23. 株主資本等変動計算書の表示区分は、貸借対照表の純資産の部の表示区分に従うこととし(第4項参照)、各項目の残高について、貸借対照表の純資産の部における各項目の残高との整合を定めた(第5項参照)。また、連結損益計算書の親会社株主に帰属する当期純利益を利益剰余金の変動事由として、個別損益計算書の当期純利益をその他利益剰余金又はその内訳科目である繰越利益剰余金の変動事由として、それぞれ表示することとした(第7項参照)。これは、株主資本等変動計算書が財務諸表の1つであり、財務諸表間での開示項目及び金額の整合が必要であるためである。
注記事項
- 24. 株主資本等変動計算書の注記事項については、株主資本に関して、他の会計基準で求めている注記事項に加え、国際的な会計基準で求められている注記事項にも配慮して定めている。
他の会計基準で求めている注記事項については、平成17年12月の改正前の企業会計基準第1号「自己株式及び法定準備金の取崩等に関する会計基準」(平成17年12月に「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準」として改正されている。)において注記事項とされていた期末における発行済株式の種類及び総数、期末に保有する自己株式の種類及び株式数を株主資本等変動計算書の注記事項として統合することとした。さらに、企業会計基準第8号「ストック・オプション等に関する会計基準」における注記事項との整合性も考慮して、新株予約権及び自己新株予約権に関する事項を連結株主資本等変動計算書の注記事項とした。
また、国際的な会計基準では、上記以外に配当に関する事項の注記が求められていること及び配当情報の重要性を勘案し、当該事項を注記することとした。
なお、現在の情報開示の中心が連結財務諸表であることから、注記事項は、原則として、連結株主資本等変動計算書に記載することとし、連結株主資本等変動計算書と個別株主資本等変動計算書の注記内容が異なる自己株式の種類及び株式数に関する事項については、個別株主資本等変動計算書にも記載することとした。
(削 除)
適用時期等
- 26. 平成17年会計基準は、純資産会計基準の定めによる貸借対照表の純資産の部の表示区分を前提とするとともに、会社法施行日を考慮していることから、株主資本等変動計算書は会社法施行日以後終了する連結会計年度及び事業年度から作成するものとした。
なお、会社法施行日以後終了する連結会計年度及び事業年度から株主資本等変動計算書を作成した場合でも、いわゆる中間・年度の首尾一貫性が保持されていない場合に該当しないものと考えられる。これは、会社法施行日前に終了する中間連結会計期間及び中間会計期間においては、中間株主資本等変動計算書に関する制度自体が存在していないこと、また、連結会計年度及び事業年度から株主資本等変動計算書を作成するのは、平成17年会計基準及び会社法の定めによるものであるからである。 - 27. 中間株主資本等変動計算書についても、会社法施行日以後終了する中間連結会計期間及び中間会計期間から作成することとした。これは、純資産会計基準の適用時期にあわせることが適当と考えられるためである。
- 28. これまで当期未処分利益(又は当期未処理損失)は、個別損益計算書の末尾において、当期純利益(又は当期純損失)に前期繰越利益(又は前期繰越損失)等を加減して計算されてきた。これらは、個別株主資本等変動計算書において表示されることになるため、平成17年会計基準を適用し個別株主資本等変動計算書を作成するときから、個別損益計算書の末尾は当期純利益(又は当期純損失)となる。なお、中間個別損益計算書についても同様である。
また、連結剰余金計算書で示される剰余金の増減は、連結株主資本等変動計算書に包含されるため、平成17年会計基準を適用して連結株主資本等変動計算書を作成するときから、連結剰余金計算書は廃止することになる。なお、中間連結剰余金計算書についても同様である。 -
- 以 上