©公益財団法人 財務会計基準機構最終更新日:2026/03/04
企業会計基準第25号包括利益の表示に関する会計基準
目 的
- 1. 本会計基準は、財務諸表における包括利益及びその他の包括利益の表示について定めることを目的とする。当期純利益を構成する項目及びその他の包括利益を構成する項目に関する認識及び測定については、他の会計基準の定めに従う。
- 2. 財務諸表の表示に関して、本会計基準が既存の他の会計基準と異なる取扱いを定めているものについては、本会計基準の定めが優先する。
会計基準
範 囲
- 3. 本会計基準は、財務諸表における包括利益及びその他の包括利益の表示に適用する。
用語の定義
- 4. 「包括利益」とは、ある企業の特定期間の財務諸表において認識された純資産の変動額のうち、当該企業の純資産に対する持分所有者との直接的な取引によらない部分をいう。当該企業の純資産に対する持分所有者には、当該企業の株主のほか当該企業の発行する新株予約権の所有者が含まれ、連結財務諸表においては、当該企業の子会社の非支配株主も含まれる。
- 5. 「その他の包括利益」とは、包括利益のうち当期純利益に含まれない部分をいう。連結財務諸表におけるその他の包括利益には、親会社株主に係る部分と非支配株主に係る部分が含まれる。
包括利益の計算の表示
- 6. 当期純利益にその他の包括利益の内訳項目を加減して包括利益を表示する。
その他の包括利益の内訳の開示
- 7. その他の包括利益の内訳項目は、その内容に基づいて、その他有価証券評価差額金、繰延ヘッジ損益、為替換算調整勘定、退職給付に係る調整額等に区分して表示する。持分法を適用する被投資会社のその他の包括利益に対する投資会社の持分相当額は、一括して区分表示する。
- 8. その他の包括利益の内訳項目は、その他の包括利益に関する、法人税その他利益に関連する金額を課税標準とする税金(以下「法人税等」という。)及び税効果を控除した後の金額で表示する。ただし、各内訳項目について法人税等及び税効果を控除する前の金額で表示して、それらに関連する法人税等及び税効果の金額を一括して加減する方法で記載することができる。いずれの場合も、その他の包括利益の各内訳項目別の法人税等及び税効果の金額を注記する。
- 9. 当期純利益を構成する項目のうち、当期又は過去の期間にその他の包括利益に含まれていた部分は、組替調整額として、その他の包括利益の内訳項目ごとに注記する。この注記は、前項による注記と併せて記載することができる。
- 10. 前2項の注記は、個別財務諸表(連結財務諸表を作成する場合に限る。)においては、省略することができる。
包括利益を表示する計算書
- 11. 包括利益を表示する計算書は、次のいずれかの形式による。連結財務諸表においては、包括利益のうち親会社株主に係る金額及び非支配株主に係る金額を付記する。
- (1) 当期純利益を表示する損益計算書と、第6項に従って包括利益を表示する包括利益計算書からなる形式(2計算書方式)
- (2) 当期純利益の表示と第6項に従った包括利益の表示を1つの計算書(「損益及び包括利益計算書」)で行う形式(1計算書方式)
適用時期等
- 12. 2010年(平成22年)に公表された本会計基準(以下「2010年会計基準」という。)は、連結財務諸表については、第8項及び第9項による注記を除き、2011年(平成23年)3月31日以後終了する連結会計年度の年度末に係る連結財務諸表から適用する。ただし、2010年(平成22年)9月30日以後に終了する連結会計年度の年度末に係る連結財務諸表から適用することができる。
- 適用初年度においては、その直前の年度における包括利益(親会社株主に係る金額及び非支配株主に係る金額の付記を含む。)及びその他の包括利益の内訳項目(第7項参照)の金額を注記する。
- 13. 第8項及び第9項による注記については、2012年(平成24年)3月31日以後終了する連結会計年度の年度末に係る連結財務諸表から適用する。ただし、前項の適用時期に合わせて適用することができる。
- 適用初年度においては、その直前の年度における第8項及び第9項の注記は要しない。
- 14. (削 除)
- 15. 2011年(平成23年)3月31日以後終了する連結会計年度の年度末から2010年会計基準を適用した場合、翌連結会計年度の四半期財務諸表においては、2010年会計基準を遡及適用し、財務諸表の組替えを行う。なお、第12項ただし書きにより2010年(平成22年)9月30日以後に終了する連結会計年度の年度末に係る連結財務諸表から適用した場合の翌連結会計年度の四半期財務諸表においては、前連結会計年度の対応する四半期会計期間及び期首からの累計期間について、包括利益(親会社株主に係る金額及び非支配株主に係る金額の付記を含む。)及びその他の包括利益の内訳項目の金額を注記する。
- 16. 連結財務諸表上は、これまでに公表された会計基準等で使用されている「損益計算書」又は純資産の部の「評価・換算差額等」という用語は、「連結損益計算書又は連結損益及び包括利益計算書」又は「その他の包括利益累計額」と読み替えるものとする。また、この場合、当該会計基準等で定められている評価・換算差額等の取扱いは本会計基準が優先するものとする。
さらに、連結財務諸表上は、これまでに公表された会計基準等で使用されている「純資産の部に直接計上」、「直接純資産の部に計上」及び「直接資本の部に計上」という用語は、「その他の包括利益で認識した上で純資産の部のその他の包括利益累計額に計上」と読み替えるものとする。 - 16-2. 本会計基準は、当面の間、個別財務諸表には適用しないこととする。
- 16-3. 2012年(平成24年)改正の本会計基準(以下「2012年改正会計基準」という。)は、公表日以後適用する。
- 16-4. 2013年(平成25年)に改正された本会計基準(以下「2013年改正会計基準」という。)は、2013年(平成25年)に改正された企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」(以下「2013年連結会計基準」という。)の表示方法に係る事項が適用された連結会計年度から適用する。
- 16-5. 2022年に改正された本会計基準(以下「2022年改正会計基準」という。)についての適用時期等は、2022年に改正された企業会計基準第27号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(以下「2022年改正法人税等会計基準」という。)と同様とする。
- 16-6. 2025年に改正された本会計基準(以下「2025年改正会計基準」という。)は、2025年4月1日以後最初に開始する連結会計年度の期首から適用する。
ただし、2025年3月31日以後最初に終了する連結会計年度の年度末に係る連結財務諸表から適用することができる。この場合、2025年3月31日以後最初に終了する連結会計年度に係る中間連結財務諸表及び四半期連結財務諸表については、2025年改正会計基準を適用しない。
議 決
- 17. 2010年会計基準は、第204回企業会計基準委員会に出席した委員9名全員の賛成により承認された。なお、出席した委員は以下のとおりである。
(略) - 17-2. 2012改正会計基準は、第246回企業会計基準委員会に出席した委員10名全員の賛成により承認された。なお、出席した委員は以下のとおりである。
(略) - 17-3. 2013年改正会計基準は、第272回企業会計基準委員会に出席した委員13名全員の賛成により承認された。なお、出席した委員は、以下のとおりである。
(略) - 17-4. 2022年改正会計基準は、第489回企業会計基準委員会に出席した委員14名全員の賛成により承認された。なお、出席した委員は、以下のとおりである。
(略) - 17-5. 2025年改正会計基準は、第542回企業会計基準委員会に出席した委員13名全員の賛成により承認された。なお、出席した委員は以下のとおりである。
(略)
結論の背景
経 緯
- 18. これまで我が国の会計基準では、包括利益の表示を定めていなかった。国際的な会計基準において「その他の包括利益」とされている項目の貸借対照表残高は、純資産の部の中の株主資本以外の項目として、「評価・換算差額等」に表示され(企業会計基準第5号「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準」第8項)、それらの当期変動額は株主資本等変動計算書に表示される(企業会計基準第6号「株主資本等変動計算書に関する会計基準」第8項)が、その当期変動額と当期純利益との合計額を表示する定めはなかった。
- 19. 国際財務報告基準(IFRS)及び米国会計基準においては、包括利益の表示の定めが1997年(平成9年)に設けられており、それ以後、包括利益の表示が行われている。その後、国際会計基準審議会(IASB)で業績報告に関するプロジェクトが開始され、現在は米国財務会計基準審議会(FASB)との共同による財務諸表表示プロジェクトとして進められている。このプロジェクトにおけるIASBとFASBの予備的見解が、2008年(平成20年)10月に、ディスカッション・ペーパー「財務諸表の表示に関する予備的見解」として公表されている。また、2010年(平成22年)5月には、IASBとFASBからそれぞれ、公開草案「その他の包括利益の項目の表示(IAS第1号の修正案)」及び公開草案「Topic220包括利益:包括利益計算書」が公表されている。
- 20. 当委員会では、このような国際的な会計基準の動きに対応するため、2008年(平成20年)4月に財務諸表表示専門委員会を設置して検討を進めてきた。2009年(平成21年)7月に公表した「財務諸表の表示に関する論点の整理」(以下「論点整理」という。)の中で、財務諸表の表示に関する現行の国際的な会計基準との差異について、短期的に対応する項目と中長期的に対応する項目とに区分し、包括利益の表示については、当期純利益の表示の維持を前提とした上で、我が国においても導入を短期的に検討するという方向性を示し、各界からの意見を求めた。論点整理に対するコメントの大部分は、この方向性を支持するものであった。これを受けて、当委員会では、同専門委員会において、論点整理に対して寄せられたコメントを分析した上で検討を重ね、2009年(平成21年)12月に「包括利益の表示に関する会計基準(案)」を公開草案として公表し、広く意見を求めた。その後、当該公開草案に対して寄せられた意見を参考にして審議を行い、その内容を一部修正した上で2010年会計基準を公表するに至ったものである。
- 20-2. 2012年改正会計基準は、2010年(平成22年)9月に公益財団法人財務会計基準機構内に設置された「単体財務諸表に関する検討会議」(以下「単体検討会議」という。)で個別財務諸表における包括利益の表示の取扱いも議論され、2011年(平成23年)4月に公表された単体検討会議報告書に検討結果が盛り込まれたことを受け、また、2010年会計基準の公表から1年後を目途に本会計基準の個別財務諸表への適用を判断するとしていたことを踏まえて、審議を行い、2012年(平成24年)4月には公開草案を公表し、広くコメントの募集を行った。2012年改正会計基準は、当委員会において寄せられたコメントを検討し、公開草案を一部修正した上で改正を行ったものである。
- 20-3. 2013年改正会計基準は、2013年連結会計基準において、少数株主持分を非支配株主持分に変更し、これまで少数株主損益調整前当期純利益としていたものを当期純利益として表示したことに伴い、1計算書方式において当期純利益の直後に親会社株主に帰属する当期純利益及び非支配株主に帰属する当期純利益を付記することなどの所要の改正を行ったものである。
- なお、本会計基準においては、過去の経緯等を示す場合にも、便宜上、非支配株主持分の用語を使用している場合がある。
- 20-4. 2022年改正会計基準は、2022年改正法人税等会計基準において、所得に対する法人税、住民税及び事業税等を、損益、株主資本及びその他の包括利益に区分して計上することとした(2022年改正法人税等会計基準第5項、第5-2項及び第29-3項)ことに伴い、所要の改正を行ったものである。
- 20-5. 2024年年次改善プロジェクトにおいて、その他の包括利益の取扱いに関して、これまでに公表された複数の会計基準等で使用されている用語の一部が、連結財務諸表上の取扱いに関する記載に使用されるべき表現となっていないことを検出した。当委員会は、検出された内容への対応に関する審議を行い、2024年11月に公開草案「2024年年次改善プロジェクトによる企業会計基準等の改正(案)」(以下「2024年公開草案」という。)を公表して広く意見を求めた。2025年改正会計基準は、2024年公開草案に寄せられた意見を踏まえて検討を行い、2024年公開草案の内容を一部修正した上で公表するに至ったものである。
目 的
- 21. 包括利益及びその他の包括利益の内訳を表示する目的は、期中に認識された取引及び経済的事象(資本取引を除く。)により生じた純資産の変動を報告するとともに、その他の包括利益の内訳項目をより明瞭に開示することである。包括利益の表示によって提供される情報は、投資家等の財務諸表利用者が企業全体の事業活動について検討するのに役立つことが期待されるとともに、貸借対照表との連携(純資産と包括利益とのクリーン・サープラス関係)を明示することを通じて、財務諸表の理解可能性と比較可能性を高め、また、国際的な会計基準とのコンバージェンスにも資するものと考えられる。
- 22. 包括利益の表示の導入は、包括利益を企業活動に関する最も重要な指標として位置づけることを意味するものではなく、当期純利益に関する情報と併せて利用することにより、企業活動の成果についての情報の全体的な有用性を高めることを目的とするものである。本会計基準は、市場関係者から広く認められている当期純利益に関する情報の有用性を前提としており、包括利益の表示によってその重要性を低めることを意図するものではない。また、本会計基準は、当期純利益の計算方法を変更するものではなく、当期純利益の計算は、従来のとおり他の会計基準の定めに従うこととなる。
用語の定義
- 23. 当委員会の討議資料「財務会計の概念フレームワーク」では、「包括利益とは、特定期間における純資産の変動額のうち、報告主体の所有者である株主、子会社の少数株主、及び将来それらになり得るオプションの所有者との直接的な取引によらない部分をいう。」と定義している。当委員会では、これを参考に本会計基準における包括利益の定義を検討した。IFRSでは、「所有者の立場としての所有者との取引による資本の変動以外の取引又は事象による一期間における資本の変動」と定義しているが、いずれも資本取引以外による純資産の変動として包括利益を定義するものであり、基本的には同様と考えられる。
- 24. 本会計基準においては、包括利益を構成する純資産の変動額は、あくまで財務諸表において認識されたものに限られることを明確にするため、「特定期間の財務諸表において認識された純資産の変動額」としている。また、企業の純資産に対する持分所有者には、当該企業の株主、新株予約権の所有者、子会社の非支配株主を含むものとしている。
- 25. 「企業の純資産に対する持分所有者との直接的な取引によらない部分」とは、前述のとおり、資本取引に該当しない部分を意味するが、本会計基準の適用にあたっては、資本取引と損益取引のいずれにも解釈し得る取引については、具体的な会計処理を定めた会計基準に基づいて判断することとなる。例えば、新株予約権の失効による戻入益(企業会計基準第8号「ストック・オプション等に関する会計基準」第9項及び企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」第38項(2))については、現行の会計基準を斟酌すれば、持分所有者との直接的な取引によらない部分とされているものと解することとなる。なお、今後の基準設定において会計処理の見直しが行われた場合には、それに基づいて判断することとなる。
- 26. 企業会計基準第24号「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(以下、「企業会計基準第24号」という。)に基づく会計方針の変更及び誤謬の訂正に関する累積的影響額に係る期首の利益剰余金の修正額は、前期以前に帰属する純資産の変動額を当期に表示しているに過ぎないため当期の包括利益には含まれないと考えられる。子会社が連結子会社及び関連会社のいずれにも該当しなくなった場合における利益剰余金減少高(又は増加高)も、これに準じて取り扱うことが考えられる。
包括利益の計算の表示
- 27. 包括利益の計算は、当期純利益からの調整計算の形で示すこととしている。定義に従った計算過程とは異なるが、このような計算の表示の方が有用と考えられ、国際的な会計基準においても同様の方式が採られている。
- 28. 2010年会計基準では、連結財務諸表における包括利益の計算の表示方法としては、次の2つの方法が考えられ、これらを比較検討した。
- (1) 当期純利益(親会社株主に帰属する部分)に、親会社株主に係るその他の包括利益を加減して親会社株主に係る包括利益を計算し、これに非支配株主に係る包括利益を加減する方法
- (2) 少数株主損益調整前当期純利益に、その他の包括利益(親会社株主に係る部分と非支配株主に係る部分の合計)を加減する方法
- 29. 前項の(1)の表示方法は、当期純利益(親会社株主に帰属する部分)の計算との連携がより明確であることや、連結株主資本等変動計算書や連結貸借対照表の数値との関連づけがしやすいといった利点がある。一方、(2)の表示方法は、包括利益に至る過程が明瞭であることや、その他の包括利益の内訳の表示について国際的な会計基準とのコンバージェンスを図ることができるといった利点がある。
- 両者を比較検討した結果、包括利益の表示を導入する目的(第21項参照)との関連性からは、(2)の利点の方がより重要と考えられることから、(2)の表示方法を採用することとした。(1)の表示方法は、その他の包括利益の各内訳項目を親会社株主に係る部分と非支配株主に係る部分とに区分するため、(2)の表示方法よりも情報量は多くなるが、その内訳に関する情報は、基本的には連結株主資本等変動計算書から入手可能でもあるため、包括利益への調整の形で表示する必要性は低いと判断した。
その他の包括利益の内訳の開示
- 30. 国際的な会計基準では、その他の包括利益の内訳項目の分析を容易にする観点から、その他の包括利益に関する法人税等及び税効果並びに当期又は過去の期間にその他の包括利益に含められた項目の当期純利益への組替調整額の開示を求めている。本会計基準では、コンバージェンスの観点から同様の開示を注記事項として求めることとした。ただし、開示の簡素化の観点を考慮して、個別財務諸表(連結財務諸表を作成している場合に限る。)においては当該注記を省略することができることとした。
- 30-2. その他の包括利益に関する法人税等及び税効果について、2022年に本会計基準が改正される前においては、税効果のみをその他の包括利益として計上することとしており、「税効果の金額」を前項の注記の対象としていた。
- この点、2022年改正法人税等会計基準において、法人税等を、損益、株主資本及びその他の包括利益に区分して計上することとした(2022年改正法人税等会計基準第5項、第5-2項及び第29-3項)ことから、税効果のみならず、法人税等についてもその他の包括利益に計上することとなる。
- ここで、法人税等についても、その他の包括利益に関する税金に係る項目である点は税効果と同様であることから、2022年改正会計基準においては、法人税等を含むその他の包括利益に関する法人税等及び税効果全体について、その他の包括利益の内訳項目から控除するとともに、前項の注記の対象とすることとした(本会計基準第8項参照)。
- 31. 組替調整額は、当期及び過去の期間にその他の包括利益に含まれていた項目が当期純利益に含められた金額に基づいて計算されるが、具体的には次のようになると考えられる。
- (1) その他有価証券評価差額金に関する組替調整額は、当期に計上された売却損益及び減損損失等、当期純利益に含められた金額による([設例1][設例2][設例3])。
- (2) 繰延ヘッジ損益に関する組替調整額は、ヘッジ対象に係る損益が認識されたこと等に伴って当期純利益に含められた金額による。また、ヘッジ対象とされた予定取引で購入した資産の取得価額に加減された金額は、組替調整額に準じて開示することが適当と考えられる([設例4])。なお、為替予約の振当処理は、実務に対する配慮から認められてきた特例的な処理であることを勘案し、組替調整額及びこれに準じた開示は必要ないと考えられる。
- (3) 為替換算調整勘定に関する組替調整額は、子会社に対する持分の減少(全部売却及び清算を含む。)に伴って取り崩されて当期純利益に含められた金額による([設例5])。
- (4) 退職給付に係る調整額に関する組替調整額は、企業会計基準第26号「退職給付に関する会計基準」による。
- なお、土地再評価差額金は、再評価後の金額が土地の取得原価とされることから、売却損益及び減損損失等に相当する金額が当期純損益に計上されない取扱いとなっているため、その取崩額は組替調整額に該当せず、株主資本等変動計算書において利益剰余金への振替として表示される。
- 32. 持分法の適用における被投資会社のその他の包括利益に対する投資会社の持分相当額については、IFRSでは一括して区分表示することを求めていることから、それと同様の表示方法によることとした。当該持分相当額は、被投資会社において法人税等及び税効果を控除した後の金額であるが、被投資会社の税金は連結財務諸表には表示されないため、第8項による法人税等及び税効果の金額の注記の対象には含まれないことに留意する必要がある。なお、貸借対照表上のその他の包括利益累計額については、従来の取扱いに従い、その他有価証券評価差額金、繰延ヘッジ損益、為替換算調整勘定、退職給付に係る調整累計額等の各内訳項目に当該持分相当額を含めて表示することとしている。
包括利益を表示する計算書
- 33. 包括利益の表示の形式としては、①当期純利益を構成する項目とその他の包括利益の内訳を単一の計算書に表示する方法(1計算書方式)と、②当期純利益を構成する項目を表示する第1の計算書(従来の損益計算書と同じ)と、その他の包括利益の内訳を表示する第2の計算書からなる方法(2計算書方式)が考えられる。
- 34. 現行のIFRS及び米国会計基準では、1計算書方式と2計算書方式をともに認めている。米国会計基準では、このほかに「株主持分変動計算書」に表示する方法も認められている。IFRSでは、2007年(平成19年)のIAS第1号「財務諸表の表示」の改訂の際に、1計算書方式への一本化が検討されたが、当期純利益と包括利益とを明確に区別する2計算書方式を選好する関係者が多かったことから、両者の選択を認めることとしている。
- 35. IASBとFASBが2008年(平成20年)10月に共同で公表したディスカッション・ペーパー(第19項参照)では、1計算書方式に一本化する提案が示されている。また、両審議会は、金融商品会計基準の見直しに合わせて、1計算書方式への一本化を財務諸表表示のプロジェクトの他の項目と切り離し、先行して行う方向で2010年(平成22年)5月に公開草案を公表している。
- 36. 論点整理及び2010年会計基準の公開草案に対するコメントでは、当期純利益を重視する観点から、1計算書方式では包括利益が強調されすぎる可能性がある等の理由で、当期純利益と包括利益が明確に区分される2計算書方式を支持する意見が多く見られた。一方、当委員会での審議の中では、一覧性、明瞭性、理解可能性等の点で利点があるとして1計算書方式を支持する意見も示された。
- 37. 検討の結果、本会計基準では、コメントの中で支持の多かった2計算書方式とともに、1計算書方式の選択も認めることとしている。これは、前述のような1計算書方式の利点に加え、以下の点を考慮したものである。
- (1) 現行の国際的な会計基準では両方式とも認められていること
- (2) 第35項に述べたIASBとFASBとの検討の方向性を踏まえると、短期的な対応としても1計算書方式を利用可能とすることがコンバージェンスに資すると考えられること
- (3) 1計算書方式でも2計算書方式でも、包括利益の内訳として表示される内容は同様であるため、選択制にしても比較可能性を著しく損なうものではないと考えられること
- 37-2. 前述の単体検討会議報告書(第20-2項参照)では、包括利益を表示する計算書の名称について、IASBでの検討状況も踏まえて変更を検討することが望ましいという意見があったことが触れられていた。当委員会では、この点も斟酌して計算書の名称を変更するか検討を行った。具体的には、2011年(平成23年)6月公表の改訂IAS第1号において、包括利益を表示する計算書が純損益とその他の包括利益という2つの構成部分からなることを明確にするため、包括利益計算書の名称を変更し、1計算書方式の場合は「純損益及びその他の包括利益計算書」に、2計算書方式の場合は、「純損益計算書」と「純損益及びその他の包括利益計算書」にしたことから、現行の名称を維持する案のほか、改訂IAS第1号を参考にして名称を変更する案などの比較検討を行った。また、公開草案に寄せられたコメントでは現行の名称を維持することに賛成する意見のほか、計算書の名称の選択適用という提案も示され、2012年改正会計基準の公表に向けて引き続き検討を行った。
審議の結果、改訂IAS第1号との整合性を図る観点や当期純損益を重視する姿勢をより明確に示す観点から名称を見直すべきという意見もあったが、2010年会計基準においては当期純損益の重要性を意識して当時のIAS第1号での名称とは異なる名称を採用したことや現行の名称が実務で定着しつつあること、さらには改訂IAS第1号では他の名称を使用することも容認されていることなどを勘案し、2012年改正会計基準においては、現行の計算書の名称を維持することとした。
適用時期等
- 38. 2010年会計基準の公開草案では、包括利益の表示の目的は個別財務諸表にも当てはまることから、連結財務諸表と個別財務諸表の両方に同時に適用する提案をした。2010年会計基準の公開草案に寄せられたコメントでは、本会計基準の個別財務諸表への適用を最終的に判断するにあたって、2009年(平成21年)6月に企業会計審議会から公表された「我が国における国際会計基準の取扱いに関する意見書(中間報告)」において、会計基準のコンバージェンスを加速するにあたって示された連結先行の考え方に関する検討を求める意見が多く寄せられた。当委員会では、このような意見を踏まえ、「上場会社の個別財務諸表の取扱い(連結先行の考え方)に関する検討会」を設けて検討を行った。そして、同検討会での検討を踏まえて、企業会計審議会で個別財務諸表に関する全般的な議論が開始されたところである。
- 39. このような状況の中、当委員会では、当該審議の状況も踏まえて対応することが適切であると考え、本会計基準の個別財務諸表への適用を求めるかどうかについては、2010年会計基準の公表から1年後を目途に判断することとした。本会計基準で求めている包括利益の表示のための情報は、現行の財務諸表からも集計することが可能と考えられる。このため、財務諸表利用者の情報ニーズやコンバージェンスの加速化を重視する観点から、2011年(平成23年)3月31日以後終了する連結会計年度の年度末に係る連結財務諸表から適用することとした。また、同様の観点から、対応が可能な企業がより早期に適用することも妨げないこととした。ただし、2010年会計基準の公開草案に寄せられたコメントを踏まえ、第8項及び第9項による注記については、組替調整額等の注記のためのデータが現行の財務諸表の作成過程において必ずしも作成されていないと考えられることから、さらに1年間の準備期間を設け、2012年(平成24年)3月31日以後終了する連結会計年度の年度末に係る連結財務諸表から適用することとした。
- 39-2. 当委員会では、2012年改正会計基準の検討にあたり、2011年(平成23年)4月に公表された単体検討会議報告書の内容を十分に斟酌しつつ審議を進めた。当該報告書では、個別財務諸表での取扱いに関する複数の方向性の考え方が示されたが、包括利益は組替調整(リサイクリング)や利益概念と密接に関係するものであり、IFRSでは当期純利益の内容が変質してきている可能性があるので、これらの点を整理することなく、個別財務諸表で包括利益を表示することは時期尚早であるなど、当面、個別財務諸表本表において包括利益の表示を行うべきでないという意見が多くみられた。
- 39-3. 当委員会の審議では、当該報告書で示された考え方と同様に、個別財務諸表への適用について強い懸念が示されている状況などを勘案して、当面は現状を維持し、個別財務諸表での包括利益の表示は行わないこととする意見が多く出された。一方、包括利益の表示は、当期純利益の計算方法を変更するものではなく、連結財務諸表と同様に、貸借対照表との連携やリスク変動情報の充実を図る観点から、個別財務諸表での包括利益の表示は有用であるという意見もあった。
- また、審議の過程では、財務諸表利用者の情報ニーズ等の観点から、個別財務諸表で任意に包括利益を表示することを認める案や、個別財務諸表において包括利益情報の注記を求める案の検討も行われた。
- そして、2012年改正会計基準の公開草案においては、個別財務諸表への適用に関して市場関係者の意見が大きく分かれている状況や、個別財務諸表の包括利益に係る主な情報は現行の株主資本等変動計算書から入手可能でもあること等を総合的に勘案し、当面の間、本会計基準を個別財務諸表に適用しないことを提案した。
- 39-4. 公開草案に寄せられたコメントでは、公開草案の内容に賛成する意見だけではなく、個別財務諸表にも包括利益を表示すべきであるという意見なども寄せられ、2012年改正会計基準の公表に向けて引き続き検討を行った。審議の結果、公開草案公表時と同様の理由から、当面の間、本会計基準を個別財務諸表に適用しないこととした(第16-2項参照)。
- 40. 2009年(平成21年)12月に公表された企業会計基準第24号により、2011年(平成23年)4月1日以後に表示方法の変更を行った場合には、過去の期間の財務諸表の組替えが求められている。
- 第12項に従った包括利益の表示の適用初年度においては、企業会計基準第24号は適用されないが、比較可能性の確保の観点から、その直前の年度における包括利益及びその他の包括利益の内訳項目の金額を注記することとした(第12項参照)。
- 一方、第8項及び第9項による注記について、2012年(平成24年)3月31日以後終了する連結会計年度の年度末に係る連結財務諸表から適用する場合には、原則として、企業会計基準第24号が適用されることとなる。しかし、第39項のとおり、組替調整額等の注記のためのデータが現行の財務諸表の作成過程において必ずしも作成されていないと考えられることから、第13項の適用初年度においては財務諸表の組替えは行わず、その直前の年度における第8項及び第9項の注記は求めないこととした(第13項参照)。
- 41. 第11項で認めている2つの表示方法のうち1計算書方式を採用する場合には、従来の損益計算書の内容は、損益及び包括利益計算書の一部となる。このため、連結財務諸表上は、これまでに公表されている会計基準等で使用されている「損益計算書」の用語は、「連結損益計算書又は連結損益及び包括利益計算書」と読み替えることとしている。なお、本会計基準は、法令等で使用されている損益計算書の呼称の変更を求めることを必ずしも意図したものではない。
- 42. また、本会計基準は、当面の間、個別財務諸表には適用しないことから、連結財務諸表上は、これまでに公表されている会計基準等で使用されている純資産の部の「評価・換算差額等」という用語は、「その他の包括利益累計額」と読み替え、当該会計基準等で定められている評価・換算差額等の取扱いは本会計基準が優先するものとしている。
- 42-2. 2012年改正会計基準は、現行の取扱いを維持するものであるため、公表日以後に適用することとした(第16-3項参照)。
- 42-3. 2025年改正会計基準は、これまでに公表されている会計基準等で使用されている「純資産の部に直接計上」、「直接純資産の部に計上」及び「直接資本の部に計上」という用語について、連結財務諸表上は「その他の包括利益で認識した上で純資産の部のその他の包括利益累計額に計上」と読み替えるものとしている(第16項後段参照)。
また、2025年改正会計基準は、従前の取扱いを維持することを明確化するものであるため、2025年4月1日以後最初に開始する連結会計年度の期首から適用することとした(第16-6項参照)。ただし、早期適用への一定のニーズがあると想定されることから、2025年3月31日以後最初に終了する連結会計年度の年度末に係る連結財務諸表から2025年改正会計基準を早期適用することができることとした(第16-6項ただし書き参照)。 - 43. (削 除)
1.設例
- 以下の設例は、本会計基準で示された内容についての理解を深めるために参考として示されたものであり、前提条件の記載内容は、経済環境や各企業の実情等に応じて異なることに留意する必要がある。(以下、設例の単位は百万円とする。)
1. 設例
- [設例1] 親会社がその他有価証券の一部を売却した場合
- 1. 前提条件
- (1) P社はS1社株式の70%を保有し、S1社を連結子会社としている。
- (2) P社及びS1社の法定実効税率は40%である。
- (3) P社はその他有価証券としてA社株式及びB社株式を保有しており、X1年3月期にA社株式(取得原価1,000)をすべて売却した。A社株式の期首の評価益は300であったが、売却時までに評価益は200減少し、投資有価証券売却益は100であった。S1社はその他有価証券を保有していない。なお、P社が保有するその他有価証券残高の増減内訳及び評価損益の増減内訳は次のとおりである。(ここでは理解を深めるため、評価損益の増減内訳を銘柄別に作成している。)
- [その他有価証券残高の増減内訳]

- [その他有価証券の評価損益の増減内訳]

- (*1) △100は、投資有価証券売却益100の計上による減少
- (*2) 600=期末その他有価証券評価差額金(法人税等及び税効果考慮前)2,000-期首その他有価証券評価差額金戻入額(法人税等及び税効果考慮前)1,500-売却による組替調整額△100(法人税等及び税効果考慮前)
- [会計処理]
- ① X0年3月31日
A社株式及びB社株式の評価損益を計上 
- ② X0年4月1日(期首)
A社株式及びB社株式の評価損益を振戻し 
- ③ A社株式の売却時

- ④ X1年3月31日(期末)
B社株式の評価損益を計上 
- (4) P社の連結貸借対照表、連結損益計算書、連結株主資本等変動計算書の抜粋は次のとおりである。

- ③ 連結株主資本等変動計算書(抜粋)
X0/4/1からX1/3/31 
- (注) 2010年(平成22年)に改正された企業会計基準第6号「株主資本等変動計算書に関する会計基準」の適用を前提としている。以下の設例においても同様。
- (*3) その他有価証券の評価損益の増減内訳(1.前提条件(3)参照)の法人税等及び税効果調整後評価損益欄の当期発生額(差額)360+売却による組替調整額△60=300
- 2. 連結包括利益計算書の作成
- ここでは、2計算書方式により連結包括利益計算書を作成する場合の例を示している。なお、その他の包括利益の内訳項目は法人税等及び税効果調整後の金額で表示する場合の例である。

- (*4) 本設例では、その他有価証券を保有しているのはP社のみであるため、連結株主資本等変動計算書の株主資本以外の項目の当期変動額(純額)のその他有価証券評価差額金300(1.前提条件(4)③参照)と一致する。なお、その他有価証券の評価損益の増減内訳のうち法人税等及び税効果調整後評価損益の期首残高900と期末残高1,200の差額300にも一致する(1.前提条件(3)参照)。
- (*5) 親会社株主に帰属する当期純利益2,660と連結株主資本等変動計算書の株主資本以外の項目の当期変動額(純額)のその他有価証券評価差額金300(1.前提条件(4)③参照)との合計2,960と一致する。
- 3. その他の包括利益の内訳の注記例(連結)
- ここでは、組替調整額と法人税等及び税効果を併せて開示する場合の例を示している。

- (*6) 当期発生した評価損益(1.前提条件(3) その他有価証券の評価損益の増減内訳のうち当期発生額(差額)の合計欄参照)
- (*7) 組替調整額(1.前提条件(3) その他有価証券の評価損益の増減内訳のうち売却による組替調整額の合計欄参照)
- (*8) その他有価証券評価差額金の当期変動額に係る法人税等及び税効果額200(=△40+240)(1.前提条件(3) その他有価証券の評価損益の増減内訳のうち法人税等及び税効果額欄参照)
- [設例2] 親会社及び子会社がその他有価証券の一部を売却した場合
- 1. 前提条件
- (1) P社はS1社株式の70%を保有し、S1社を連結子会社としている。
- (2) P社及びS1社の法定実効税率は40%である。
- (3) P社はX1年3月期において、その他有価証券のうち、A社株式を売却したことにより、投資有価証券売却益150を計上している。また、その他有価証券のうち、B社株式について減損損失(投資有価証券評価損)50を計上している。なお、P社が保有するその他有価証券残高の増減内訳及び評価損益の増減内訳は次のとおりである。
- [その他有価証券残高の増減内訳]

- [その他有価証券の評価損益の増減内訳]

- (*1) △100=投資有価証券評価損50-投資有価証券売却益150
- (*2) 600=期末評価損益2,000-期首評価損益1,500-売却等による組替調整額△100
- (4) S1社はX1年3月期において、その他有価証券のうち、C社株式を売却し、投資有価証券売却益50を計上している。なお、P社がS1社を子会社としたときの時価と簿価は一致しており、S1社が保有するその他有価証券残高の増減内訳及び評価損益の増減内訳は次のとおりである。
- [その他有価証券残高の増減内訳]

- [その他有価証券の評価損益の増減内訳]

- (*3) △50は、投資有価証券売却益50の計上による減少
- (*4) △200=期末評価損益250-期首評価損益500-売却等による組替調整額△50
- (5) P社において繰延ヘッジ損益60(法人税等及び税効果調整前100)が当期に発生している。
- (6) P社の連結貸借対照表、連結損益計算書及び連結株主資本等変動計算書の抜粋、並びに株主資本以外の項目の当期変動額の内訳は次のとおりである。

- (*5) 期末のその他有価証券の法人税等及び税効果調整後評価損益1,305(=P社1,200+S1社105(親会社持分))と一致する((3)(4)参照)。

- ③ 連結株主資本等変動計算書(抜粋)
X0/4/1からX1/3/31 
- (*6) 親会社株主に帰属する部分(④参照)
- ④ 株主資本以外の項目の当期変動額の内訳

- 2. 連結包括利益計算書の作成
- ここでは、2計算書方式により連結包括利益計算書を作成する場合の例を示している。なお、その他の包括利益の内訳項目は法人税等及び税効果調整後の金額で表示する場合の例である。

- (*7) 株主資本以外の項目の当期変動額の内訳のその他有価証券評価差額金欄の195(1.前提条件(6)④の小計参照)と非支配株主持分欄の△45(1.前提条件(6)④の小計参照)の合計150と一致する。なお、その他有価証券の法人税等及び税効果調整後評価損益のP社及びS1社の期首残高の合計1,200(=P社900+S1社300)と期末残高の合計1,350(=P社1,200+S1社150)の差額150にも一致する(1.前提条件(3)(4)参照)。
- (*8) 株主資本以外の項目の当期変動額の内訳の繰延ヘッジ損益欄の60(1.前提条件(6)④の小計参照)と一致する。
- (*9) 親会社株主に帰属する当期純利益2,560と株主資本以外の項目の当期変動額の内訳のその他有価証券評価差額金及び繰延ヘッジ損益の合算額255(=195+60) (1.前提条件(6)④の小計を参照)との合計2,815と一致する。
- (*10) 株主資本以外の項目の当期変動額の内訳の非支配株主持分255(1.前提条件(6)④の合計参照)と一致する。
- 3. その他の包括利益の内訳の注記例(連結)
- ここでは、組替調整額と法人税等及び税効果を別個に開示する場合の例を示している。
- (1) 組替調整額の開示(連結)

- (*11) 400=P社600+S1社△200(1.前提条件(3)(4)評価損益の増減内訳の当期発生額(差額)欄参照)
- (*12) △150= P社△100+ S1社△50(1.前提条件(3)(4)評価損益の増減内訳の売却等による組替調整額欄参照)
- (*13) 1.前提条件(5)参照
- (*14) △140は、その他有価証券評価差額金の当期変動額に係る法人税等及び税効果額100(下記(*15)参照)と繰延ヘッジ損益の当期変動額に係る法人税等及び税効果額40(=100-60) (1.前提条件(5)参照)の合計
- (2) 法人税等及び税効果の開示(連結)

- (*15) △100は、その他有価証券評価差額金の当期変動額に係る法人税等及び税効果額P社分200(=800-600)とS社分△100(=100-200)の合計 (1.前提条件(3)(4)参照)
- [設例3] 連結上、持分法適用関連会社に対して投資を有している場合
- 1. 前提条件
- (1) [設例2]の前提条件(連結貸借対照表及び連結株主資本等変動計算書を一部修正して(3)としている。)に加えて、P社はS2社株式の20%を保有しており、S2社を関連会社として持分法を適用していたとする。
- (2) 持分法適用後、S2社は、その他有価証券を取得しており、その他有価証券評価差額金(法人税等及び税効果調整後)の増減内訳は次のとおりである。

- (3) P社の連結貸借対照表、連結損益計算書及び連結株主資本等変動計算書の抜粋は次のとおりである。

- (*1) S2社株式について持分法を適用しているため、[設例2]の1,110と持分法により計上されたP社持分160(=800×20%)との合計になる。
- (*2) (*1)と同様に、[設例2]の1,305と持分法により計上されたP社持分220(=1,100×20%)との合計になる。このため、その他の包括利益は、[設例2]と比べて60(=220-160)増加することになり、持分法適用会社に対する持分相当額として連結損益及び包括利益計算書に区分表示されることになる。

- ③ 連結株主資本等変動計算書(抜粋)
X0/4/1からX1/3/31 
- (*3) 255=195([設例2]参照)+60(持分法適用会社に係る部分)
- 2. 連結損益及び包括利益計算書の作成
- ここでは、1計算書方式により連結損益及び包括利益計算書を作成する場合の例を示している。なお、その他の包括利益の内訳項目は持分法適用会社に対する持分相当額を除き、法人税等及び税効果を控除する前の金額で表示する場合の例である。
- 連結損益及び包括利益計算書(X0/4/1からX1/3/31)

- (*4) 法人税等及び税効果を控除する前の金額並びに法人税等及び税効果額については、[設例2]の3.その他の包括利益の内訳の注記例(連結)の(2)法人税等及び税効果の開示(連結)を参照
- (*5) 持分法適用会社の有価証券評価差額金(法人税等及び税効果調整後)の当期発生額(差額)のうちP社持分に係る部分(1.前提条件(2)参照)
- (*6) 親会社株主に帰属する当期純利益2,560と連結株主資本等変動計算書のその他有価証券評価差額金及び繰延ヘッジ損益の株主資本以外の項目の当期変動額(純額)欄315(=255+60)(1.前提条件(3)③参照)との合計2,875と一致する。
- 3. その他の包括利益の内訳の注記例(連結)
- ここでは、組替調整額と法人税等及び税効果を併せて開示する場合の例を示している。その他有価証券評価差額金及び繰延ヘッジ損益については、[設例2]の3参照。

- [設例4] ヘッジ会計により組替調整額等が生じた場合
- 1. 前提条件
- [設例2]の1.前提条件(5)に替えて以下の前提条件とする。その他の前提条件は[設例2]と同様とする。
- P社は、相場変動リスクのヘッジと、予定取引のヘッジを行っている。X1年3月期において、相場変動リスクのヘッジでは、ヘッジ対象の損益認識時に繰延ヘッジ損益の合計額60(法人税等及び税効果調整前100)を損益へ計上している。予定取引のヘッジでは、繰延ヘッジ損益の合計額30(法人税等及び税効果調整前50)をX1年3月期に購入した資産の取得原価から減算している。
- また、相場変動リスクのヘッジと予定取引のヘッジの繰延ヘッジ損益の当期の変動額合計は60(法人税等及び税効果調整前100)、当期発生額は150(法人税等及び税効果調整前250)である。繰延ヘッジ損益の増減内訳は次のとおりである。

- 2. 連結包括利益計算書の作成
- ここでは、2計算書方式により連結包括利益計算書を作成する場合の例を示している。なお、その他の包括利益の内訳項目は法人税等及び税効果調整後の金額で表示する場合の例である。

- (*1) 繰延ヘッジ損益の当期変動額
- (*2) 親会社株主に帰属する当期純利益[設例2]2,560と連結株主資本等変動計算書のその他有価証券評価差額金の当期変動額[設例2] 195、繰延ヘッジ損益の当期変動額(1.前提条件)60の合計2,815と一致する。
- 3. その他の包括利益の内訳の注記例(連結)
- ここでは、組替調整額と法人税等及び税効果を併せて開示する場合の例を示している。その他有価証券評価差額金については、[設例2]の3参照。

- (*3) 1.前提条件の繰延ヘッジ損益の当期発生額(差額)欄(法人税等及び税効果調整前)参照
- (*4) 1.前提条件の相場変動リスクのヘッジ会計による組替調整額欄(法人税等及び税効果調整前)参照
- (*5) 1.前提条件の予定取引のヘッジに係る資産の取得原価調整額欄(法人税等及び税効果調整前)参照
- (*6) 1.前提条件の法人税等及び税効果額欄参照
- [設例5] 在外子会社株式の売却により組替調整額が生じた場合
- 1. 前提条件
- [設例2]の前提条件に加えて、連結財務諸表上、P社は、複数の在外子会社(100%子会社)について為替換算調整勘定を計上している。このうち、S3社株式をX1年3月期に売却し、為替換算調整勘定100を子会社株式売却益に計上した(移管指針第2号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」参照)。なお、X0年3月期末において当該売却取引の意思が明確であったことから、為替換算調整勘定に係る繰延税金負債40を計上していた(企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」第27項)。
- また、為替換算調整勘定の増減内訳は次のとおりであり、法人税等及び税効果調整後の当期の変動額は140(=300-160)、法人税等及び税効果調整前の当期の変動額は100(=300-200)である。

- 2. 連結包括利益計算書の作成
- ここでは、2計算書方式により連結包括利益計算書を作成する場合の例を示している。なお、その他の包括利益の内訳項目は法人税等及び税効果調整後の金額で表示する場合の例である。

- (*1) 為替換算調整勘定の当期変動額(法人税等及び税効果調整後)
- (*2) 親会社株主に帰属する当期純利益[設例2]2,560と連結株主資本等変動計算書のその他有価証券評価差額金の当期変動額[設例2]195、繰延ヘッジ損益の当期変動額[設例2]60、為替換算調整勘定の当期変動額(1.前提条件)140との合計2,955と一致する。
- 3. その他の包括利益の内訳の注記例(連結)
- ここでは、組替調整額と法人税等及び税効果を併せて開示する場合の例を示している。その他有価証券評価差額金及び繰延ヘッジ損益については、[設例2]の3参照。

- (*3) 1.前提条件の為替換算調整勘定の当期発生額(差額)欄(法人税等及び税効果調整前)参照
- (*4) 1.前提条件の在外子会社株式売却による組替調整額欄(法人税等及び税効果調整前)参照
- (*5) 40=-為替換算調整勘定の当期変動額に係る法人税等及び税効果額△40(1.前提条件の法人税等及び税効果額欄参照)
2.包括利益の表示例
- 以下の表示例は、本会計基準で示された内容についての理解を深めるために参考として示されたものであり、記載内容は、経済環境や各企業の実情等に応じて異なることに留意する必要がある。(以下、表示例の単位は百万円とする。)
- 連結財務諸表における表示例
- 【2計算書方式】 【1計算書方式】

2022年改正会計基準の公表による他の会計基準等についての修正
- 2022年改正会計基準により、当委員会が公表した会計基準等については、次の修正を行う(下線は追加部分、取消線は削除部分を示す。)。
(略)
- 以 上
注
- 1 ある期間における資本の増減(資本取引による増減を除く。)が当該期間の利益と等しくなる関係をいう。