©公益財団法人 財務会計基準機構最終更新日:2026/03/04
実務対応報告第48号防衛特別法人税の会計処理及び開示に関する当面の取扱い
目 的
- 1. 2025年3月31日に成立した「所得税法等の一部を改正する法律」(令和7年法律第13号)(以下「改正税法」という。)により、「我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法」(令和5年法律第69号)(以下「防確法」という。)が改正され、防衛特別法人税が創設された。
- 2. 本実務対応報告は、防衛特別法人税の会計処理及び開示に関する当面の取扱いを明らかにすることを目的とする。
範 囲
- 3. 本実務対応報告は、防衛特別法人税の会計処理及び開示に適用する。
用語の定義
- 4. 本実務対応報告において、「法人税」、「地方法人税」及び「所得」は、企業会計基準第27号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(以下「法人税等会計基準」という。)における定義と同様とする。
- 5. 本実務対応報告において、「通算会社」、「損益通算」、「欠損金の通算」及び「通算税効果額」は、実務対応報告第42号「グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に関する取扱い」(以下「実務対応報告第42号」という。)における定義と同様とする。
- 6. 本実務対応報告において、次のとおり用語を定義する。
- (1) 「防衛特別法人税」とは、防確法の規定に基づく税金をいう。
- (2) 「防衛特別法人税に係る通算税効果額」とは、損益通算、欠損金の通算及びその他のグループ通算制度に関する法人税法(昭和40年法律第34号)上の規定を適用することにより減少する防衛特別法人税の額に相当する金額として、通算会社と他の通算会社との間で授受が行われた場合に益金の額又は損金の額に算入されない金額をいう。
会計処理
防衛特別法人税に関する会計処理
- 7. 防衛特別法人税に関する会計処理については、地方法人税と同様に行うものとして、法人税等会計基準の定めに従う。
税効果会計に関する会計処理
- 8. 防衛特別法人税について、繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税率は、地方法人税と同様に取り扱うものとして、企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」(以下「税効果適用指針」という。)第46項の定めに従う。
- 9. 法定実効税率(税効果適用指針第4項(11))については、地方法人税率と同様に防衛特別法人税率を考慮して算定する。
グループ通算制度を適用する場合の会計処理
防衛特別法人税に関する会計処理
- 10. グループ通算制度を適用する場合において、防衛特別法人税に関する会計処理については、地方法人税と同様に行うものとして、実務対応報告第42号の定めに従う。
- 11. 個別財務諸表において、防衛特別法人税に係る通算税効果額は、当事業年度の所得に対する防衛特別法人税に準ずるものとして取り扱う。
税効果会計に関する会計処理
- 12. グループ通算制度を適用する場合において、防衛特別法人税に係る税効果会計に関する会計処理については、地方法人税と同様に行うものとして、実務対応報告第42号の定めに従う。
- また、税効果会計に関する会計処理における防衛特別法人税に係る通算税効果額の取扱いについては、通算税効果額のうち地方法人税に係るものの取扱いと同様に実務対応報告第42号の定めに従う。
開 示
防衛特別法人税に関する表示
- 13. 防衛特別法人税に関する表示については、地方法人税と同様に行うものとして、法人税等会計基準の定めに従う。
グループ通算制度を適用する場合の表示及び注記事項
- 14. グループ通算制度を適用する場合において、防衛特別法人税に関する表示及び注記については、地方法人税と同様に行うものとして、実務対応報告第42号の定めに従う。
- 15. 個別財務諸表において、防衛特別法人税に係る通算税効果額に関する表示については、通算税効果額のうち地方法人税に係るものと同様に行うものとして、実務対応報告第42号の定めに従う。
- 16. グループ通算制度を適用する場合の連結財務諸表において、防衛特別法人税に係る繰延税金資産及び繰延税金負債に関する表示については、地方法人税に係る繰延税金資産及び繰延税金負債と同様に行うものとして、実務対応報告第42号の定めに従う。
- 17. グループ通算制度を適用する場合において、防衛特別法人税に係る税効果会計に関する注記については、地方法人税と同様に行うものとして、実務対応報告第42号の定めに従う。
適用時期
- 18. 本実務対応報告は、2026年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用する。
議 決
- 19. 本実務対応報告は、第571回企業会計基準委員会に出席した委員12名全員の賛成により承認された。
結論の背景
経 緯
- BC1. 2025年2月4日に国会に提出された令和7年度税制改正に係る「所得税法等の一部を改正する法律案」において、防衛特別法人税が2026年4月1日以後に開始する事業年度から課されることとされていた。
- BC2. これを受け、当委員会は、2025年2月に補足文書「2025年3月期決算における令和7年度税制改正において創設される予定の防衛特別法人税の税効果会計の取扱いについて」(以下「補足文書」という。)を公表した。補足文書では、防衛特別法人税に関して、2025年3月31日に終了する事業年度の決算での税効果会計の適用における取扱いを整理した一方で、当期税金に係る取扱いについては特段の情報を提供しておらず、当該法案成立後、防衛特別法人税の創設に対応した会計基準等の改正を行う予定であるとしていた。
- その後、2025年3月31日に成立した改正税法により防確法が改正され、防衛特別法人税は法人税に対する付加税として、2026年4月1日以後に開始する事業年度から課されることとなった。
- BC3. ここで、防衛特別法人税のような新たな税金の創設に対応した会計基準等の改正を行う場合、法人税等会計基準の適用対象となる税金の定め方に従えば、法人税等会計基準に個別の定めを追加することとなり、現行の税制改正のスケジュールに鑑みると、税制改正から適用までの短期間で会計基準等の改正を行う必要があると考えられる。
- この点につき、当委員会は、法人税等会計基準等について、適用対象となる具体的な税金を挙げて当該税金について規定する税法を参照することにより特定するのではなく、適用対象となる税金に関する原則的な定めを置き具体的な税金を特定しない方法に見直すことにより、防衛特別法人税のような新たな税金の創設に対応することとした。
- BC4. この見直しの審議において、一定の周知期間又は準備時間を確保する観点から、改正後の法人税等会計基準等については、公表した日から1年程度経過した年の4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用する方向性で検討がなされている。この場合、例えば2026年3月に改正後の法人税等会計基準等を公表したとしても、これらの原則適用は、3月31日を決算日とする企業であれば、2027年4月1日に開始する連結会計年度及び事業年度の期首からとなり、防衛特別法人税が課される初年度の2026年4月1日に開始する連結会計年度及び事業年度において、防衛特別法人税の会計処理及び開示に関して準拠すべき会計基準等が存在しないこととなる。
- BC5. こうした状況への対応として、法人税等会計基準等の見直しに係る改正後の会計基準等の公表とは別に、法人税等会計基準等に防衛特別法人税に係る記載のみを追加し、2026年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度から適用とする改正を行うことも考えられるが、会計基準等の改正を短期間に複数回行うこととなり、複雑性が増す等の難点があると考えられる。
- このため、防衛特別法人税の取扱いについては、法人税等会計基準等の見直しに係る改正後の会計基準等とは別に、実務対応報告を公表することで短期的な対応を行うこととし、審議の結果を公開草案として公表することとした。本実務対応報告は、公開草案に対して寄せられた意見を踏まえて検討を行い、公表するに至ったものである。
用語の定義
- BC6. 防衛特別法人税は、グループ通算制度を適用した場合、各通算法人の法人税額から基礎控除額を控除した額を課税標準とするため、グループ通算制度の対象となり、損益通算や欠損金の通算の効果は防衛特別法人税にも及ぶこととなる。これを踏まえ、「防衛特別法人税に係る通算税効果額」について、実務対応報告第42号における「通算税効果額」(実務対応報告第42号第5項(10))を参考に定義することとした(本実務対応報告第6項(2)参照)。
会計処理
防衛特別法人税に関する会計処理
- BC7. 防衛特別法人税は、法人税額から基礎控除額を控除した額を課税標準として課すこととされているため、法人税に対する付加税という点において、地方法人税と共通の性質を有していると考えられる。このような防衛特別法人税の性質を考慮して、防衛特別法人税に関する会計処理については、地方法人税と同様に行うものとして、法人税等会計基準の定めに従うこととした(本実務対応報告第7項参照)。
税効果会計に関する会計処理
- BC8. 防衛特別法人税は、法人税に対する付加税として課されるものであることから、法人税その他利益に関連する金額を課税標準とする税金である法人税等(税効果適用指針第4項(2))に該当すると考えられるため、税効果会計の対象となる税金に含まれると考えられる。また、法定実効税率の定義(税効果適用指針第4項(11))並びに繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税率に関する定め(税効果適用指針第46項)については、適用対象となる税金に関して具体的な税金を挙げて定めている。これらを踏まえ、防衛特別法人税の取扱いについて、次のとおり定めることとした。
- (1) 防衛特別法人税が地方法人税と共通の性質を有していること(本実務対応報告BC7項参照)を考慮し、繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税率に関する定めにおいて、防衛特別法人税については、地方法人税と同様に取り扱うものとして、税効果適用指針第46項の定めに従うこととした(本実務対応報告第8項参照)。
- (2) 防衛特別法人税は法人税に対する付加税であるため、法定実効税率(税効果適用指針第4項(11))については、地方法人税率と同様に防衛特別法人税率を考慮して算定することとした(本実務対応報告第9項参照)。
グループ通算制度を適用する場合の会計処理
防衛特別法人税に関する会計処理
- BC9. 防衛特別法人税はグループ通算制度の対象となり(本実務対応報告BC6項参照)、地方法人税と共通の性質を有していること(本実務対応報告BC7項参照)を考慮し、グループ通算制度を適用する場合の会計処理については、地方法人税と同様に行うものとして、実務対応報告第42号の定めに従うこととした(本実務対応報告第10項参照)。
- BC10. グループ通算制度における通算税効果額については、法人税に相当する金額であることから益金不算入及び損金不算入とされているため、実務対応報告第42号において、「当事業年度の所得に対する法人税及び地方法人税に準ずるものとして取り扱う」こととしている(実務対応報告第42号第7項)。この考え方と同様に、防衛特別法人税に係る通算税効果額については、防衛特別法人税の額に相当する金額として、益金の額又は損金の額に算入されない金額である(本実務対応報告第6項(2)参照)ため、個別財務諸表において、防衛特別法人税に係る通算税効果額は、当事業年度の所得に対する防衛特別法人税に準ずるものとして取り扱うこととした(本実務対応報告第11項参照)。
税効果会計に関する会計処理
- BC11. グループ通算制度を適用する場合において、防衛特別法人税に係る税効果会計に関する会計処理については、本実務対応報告BC9項と同様の理由により、地方法人税と同様に行うものとして、実務対応報告第42号の定めに従うこととした(本実務対応報告第12項参照)。
- また、防衛特別法人税は地方法人税と共通の性質を有しており(本実務対応報告BC9項参照)、防衛特別法人税に係る通算税効果額が損益通算や欠損金の通算等により生じるもの(本実務対応報告第6項(2)参照)であることは、通算税効果額のうち地方法人税に係るものと同様であるため、防衛特別法人税に係る通算税効果額の取扱いについては、通算税効果額のうち地方法人税に係るものの取扱いと同様に実務対応報告第42号の定めに従うこととした(本実務対応報告第12項また書き参照)。
開 示
防衛特別法人税に関する表示
- BC12. 防衛特別法人税に関する表示については、防衛特別法人税が地方法人税と共通の性質を有していること(本実務対応報告BC7項参照)を考慮し、地方法人税と同様に行うものとして、法人税等会計基準の定めに従うこととした(本実務対応報告第13項参照)。
グループ通算制度を適用する場合の表示及び注記事項
- BC13. グループ通算制度を適用する場合において、防衛特別法人税に関する表示及び注記については、本実務対応報告BC9項と同様の理由により、地方法人税と同様に行うものとして、実務対応報告第42号の定めに従うこととした(本実務対応報告第14項参照)。
- BC14. 個別財務諸表において、防衛特別法人税に係る通算税効果額に関する表示については、本実務対応報告BC11項また書きと同様の理由により、通算税効果額のうち地方法人税に係るものと同様に行うものとして、実務対応報告第42号の定めに従うこととした(本実務対応報告第15項参照)。
- BC15. グループ通算制度を適用する場合の連結財務諸表において、防衛特別法人税に係る繰延税金資産及び繰延税金負債に関する表示については、本実務対応報告BC9項と同様の理由により、地方法人税に係る繰延税金資産及び繰延税金負債と同様に行うものとして、実務対応報告第42号の定めに従うこととした(本実務対応報告第16項参照)。
- BC16. グループ通算制度を適用する場合において、防衛特別法人税に係る税効果会計に関する注記については、本実務対応報告BC9項と同様の理由により、地方法人税と同様に行うものとして、実務対応報告第42号の定めに従うこととした(本実務対応報告第17項参照)。
適用時期
- BC17. 防衛特別法人税は2026年4月1日以後に開始する事業年度から課されることから、本実務対応報告についても、2026年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用することとした(第18項参照)。
- 以 上