©公益財団法人 財務会計基準機構最終更新日:2026/03/04
移管指針第8号研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針
Ⅰ 研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針
はじめに
- 1. 企業会計審議会は、平成10年3月13日に「研究開発費等に係る会計基準の設定に関する意見書」(以下「意見書」という。)を公表し、企業の経営方針や将来の収益予測に関する重要な情報と位置付けられている研究開発費及びソフトウェアの制作費に係る会計処理を明確にするために「研究開発費等に係る会計基準」を設定した。
- また、これを受けて、平成10年11月24日付けで「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「財務諸表等規則」という。)が改正され、関連する表示等の内容が明らかにされた。
- 平成11年公表の本報告は、これらを踏まえ、研究開発費及びソフトウェアの会計処理等についての具体的な取扱いを明らかにすることにより、実務上の指針を提供することを目的として取りまとめたものである。
- 1-2. 平成23年改正の本報告は、企業会計基準委員会から平成21年12月に公表された企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」及び企業会計基準適用指針第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準の適用指針」に対応するための改正を行った。
研究・開発の範囲
- 2. 「研究開発費等に係る会計基準」では、研究とは、「新しい知識の発見を目的とした計画的な調査及び探究」であり、開発とは、「新しい製品・サービス・生産方法(以下、「製品等」という。)についての計画若しくは設計又は既存の製品等を著しく改良するための計画若しくは設計として、研究の成果その他の知識を具体化すること」とされているが、これら研究・開発の典型例としては以下のものを挙げることができる。
- ① 従来にはない製品、サービスに関する発想を導き出すための調査・探究
- ② 新しい知識の調査・探究の結果を受け、製品化、業務化等を行うための活動
- ③ 従来の製品に比較して著しい違いを作り出す製造方法の具体化
- ④ 従来と異なる原材料の使用方法又は部品の製造方法の具体化
- ⑤ 既存の製品、部品に係る従来と異なる使用方法の具体化
- ⑥ 工具、治具、金型等について、従来と異なる使用方法の具体化
- ⑦ 新製品の試作品の設計・製作及び実験
- ⑧ 商業生産化するために行うパイロットプラントの設計、建設等の計画
- ⑨ 取得した特許を基にして販売可能な製品を製造するための技術的活動
研究開発費の会計処理及び表示等
- 3. 研究開発費は全て発生時に費用として処理しなければならない。したがって、例えば、外部に研究開発を委託した場合は、研究開発の内容について検収を行い、利用可能になった時点で費用として処理すべきであり、契約金等は前渡金として処理しなければならない。
- 4. 研究開発費は、新製品の計画・設計、既存製品の著しい改良等のために発生する費用であり、一般的には原価性がないと考えられるため、通常、一般管理費として計上する。ただし、製造現場において研究開発活動が行われ、かつ、当該研究開発に要した費用を一括して製造現場で発生する原価に含めて計上しているような場合があることから、研究開発費を当期製造費用に算入することが認められている。
- この場合、当期製造費用に算入するに当たっては、研究開発費としての内容を十分に検討してその範囲を明確にすることとし、製造現場で発生していても製造原価に含めることが不合理であると認められる研究開発費については、当期製造費用に算入してはならないこととなる。
- 特に、研究開発費を当期製造費用として処理し、当該製造費用の大部分が期末仕掛品等として資産計上されることとなる場合には、従来の繰延資産等として資産計上する処理と結果的に変わらないこととなるため、妥当な会計処理とは認められないことに留意する必要がある。具体的には、ソフトウェア制作費のうち研究開発に係る部分について、当期製造費用として処理し、結果的にその大部分が資産計上されることとなる場合が該当する。
- 研究開発費の開示に当たっては、当期に発生した研究開発費として、一般管理費及び当期製造費用に計上した額を総額で注記する。
- なお、研究開発費は、当期製造費用として処理したものを除き、一般管理費として当該科目名を付して記載する。
特定の研究開発目的の機械装置等の会計処理
- 5. 特定の研究開発目的にのみ使用され、他の目的に使用できない機械装置や特許権等を取得した場合の原価は、取得時の研究開発費として処理する。ここでいう「特定の研究開発目的にのみ使用され、他の目的に使用できない」とは、特定の研究開発プロジェクトの目的のみに使用され、他の研究開発プロジェクトには使用することが機能的・物理的にできないことをいう。
ソフトウェアの会計処理及び表示等
ソフトウェアの概念・範囲
- 6. 本報告におけるソフトウェアとは、コンピュータ・ソフトウェアをいい、その範囲は次のとおりとする。
- ① コンピュータに一定の仕事を行わせるためのプログラム
- ② システム仕様書、フローチャート等の関連文書
- 7. コンテンツは、ソフトウェアとは別個のものとして取り扱い、本報告におけるソフトウェアには含めない。
- ただし、ソフトウェアとコンテンツが経済的・機能的に一体不可分と認められるような場合には、両者を一体として取り扱うことができる。
市場販売目的のソフトウェアの取扱い
(研究開発の終了時点)
- 8. 市場販売目的のソフトウェアの制作に係る研究開発の終了時点は、製品番号を付すこと等により販売の意思が明らかにされた製品マスター、すなわち「最初に製品化された製品マスター」の完成時点である。この時点までの制作活動は研究開発と考えられるため、ここまでに発生した費用は研究開発費として処理する。
- 「最初に製品化された製品マスター」の完成時点は、具体的には次の2点によって判断する。
- ① 製品性を判断できる程度のプロトタイプが完成していること
- ② プロトタイプを制作しない場合は、製品として販売するための重要な機能が完成しており、かつ重要な不具合を解消していること
(製品マスター完成後の制作費に係る処理)
- 9. 製品マスター又は購入したソフトウェアの機能の改良・強化を行う制作活動のための費用は、原則として資産に計上する。ただし、著しい改良と認められる場合は、著しい改良が終了するまでは第8項の研究開発の終了時点に達していないこととなるため、研究開発費として処理する。
(製品マスターの制作原価)
- 10. 製品マスターについては、適正な原価計算によってその取得原価を算定する。製品マスターの制作原価は、制作仕掛品についてはソフトウェア仮勘定などの勘定科目により、また、完成品についてはソフトウェアなどの勘定科目によって、いずれも無形固定資産として計上する。なお、無形固定資産としての表示に当たっては製品マスターの制作仕掛品と完成品を区分することなく一括してソフトウェアその他当該資産を示す名称を付した科目で掲げることとするが、制作仕掛品に重要性がある場合にはこれを区分して表示することが望ましい。
資産計上することとなる自社利用のソフトウェアの取扱い
- 11. 自社利用のソフトウェアの資産計上の検討に際しては、そのソフトウェアの利用により将来の収益獲得又は費用削減が確実であることが認められるという要件が満たされているか否かを判断する必要がある。その結果、将来の収益獲得又は費用削減が確実と認められる場合は無形固定資産に計上し、確実であると認められない場合又は確実であるかどうか不明な場合には、費用処理する。
- ソフトウェアが資産計上される場合の一般的な例を示すと以下のとおりである。
- ① 通信ソフトウェア又は第三者への業務処理サービスの提供に用いるソフトウェア等を利用することにより、会社(ソフトウェアを利用した情報処理サービスの提供者)が、契約に基づいて情報等の提供を行い、受益者からその対価を得ることとなる場合
- ② 自社で利用するためにソフトウェアを制作し、当初意図した使途に継続して利用することにより、当該ソフトウェアを利用する前と比較して会社(ソフトウェアの利用者)の業務を効率的又は効果的に遂行することができると明確に認められる場合
例えば、当該ソフトウェアを利用することにより、利用する前と比べ間接人員の削減による人件費の削減効果が確実に見込まれる場合、複数業務を統合するシステムを採用することにより入力業務等の効率化が図れる場合、従来なかったデータベース・ネットワークを構築することにより今後の業務を効率的又は効果的に行える場合等が考えられ、ソフトウェア制作の意思決定の段階から制作の意図・効果が明確になっている場合である。 - ③ 市場で販売しているソフトウェアを購入し、かつ、予定した使途に継続して利用することによって、会社(ソフトウェアの利用者)の業務を効率的又は効果的に遂行することができると認められる場合
- 12. 自社利用のソフトウェアに係る資産計上の開始時点は、将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められる状況になった時点であり、そのことを立証できる証憑に基づいて決定する。そのような証憑としては、例えば、ソフトウェアの制作予算が承認された社内稟議書、ソフトウェアの制作原価を集計するための制作番号を記入した管理台帳等が考えられる。
- 13. 自社利用のソフトウェアに係る資産計上の終了時点は、実質的にソフトウェアの制作作業が完了したと認められる状況になった時点であり、そのことを立証できる証憑に基づいて決定する。そのような証憑としては、例えば、ソフトウェア作業完了報告書、最終テスト報告書等が考えられる。
ソフトウェアの導入費用の取扱い
(購入ソフトウェアの設定等に係る費用の会計処理)
- 14. 外部から購入したソフトウェアについて、そのソフトウェアの導入に当たって必要とされる設定作業及び自社の仕様に合わせるために行う付随的な修正作業等の費用は、購入ソフトウェアを取得するための費用として当該ソフトウェアの取得価額に含める。
- ただし、これらの費用について重要性が乏しい場合には、費用処理することができる。
(ソフトウェアを大幅に変更して自社仕様にするための費用の会計処理)
- 15. 自社で過去に制作したソフトウェア又は市場で販売されているパッケージソフトウェアの仕様を大幅に変更して、自社のニーズに合わせた新しいソフトウェアを制作するための費用は、それによる将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められる場合を除き、研究開発目的のための費用と考えられるため、購入ソフトウェアの価額も含めて費用処理する。将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められる場合には、購入ソフトウェアの価額を含めて当該費用を無形固定資産として計上する。
(その他の導入費用の会計処理)
- 16. ソフトウェアを利用するために必要なその他の導入費用については、次のとおり処理する。
- (1) データをコンバートするための費用
新しいシステムでデータを利用するために旧システムのデータをコンバートするための費用については、発生した事業年度の費用とする。 - (2) トレーニングのための費用
ソフトウェアの操作をトレーニングするための費用は、発生した事業年度の費用とする。
機器組込みソフトウェアの取扱い
(購入者の会計処理(自社利用))
- 17. 有機的一体として機能する機器組込みソフトウェア(機械、器具備品等に組み込まれているソフトウェア)は独立した科目として区分するのではなく、当該機械等の取得原価に算入し、「機械及び装置」等の科目を用いて処理する。
ソフトウェアの減価償却の方法
(市場販売目的のソフトウェアの減価償却の方法[設例1及び設例2参照])
- 18. 市場販売目的のソフトウェアに関しては、ソフトウェアの性格に応じて最も合理的と考えられる減価償却の方法を採用すべきである。合理的な償却方法としては、見込販売数量に基づく方法のほか、見込販売収益に基づく償却方法も認められる。
- ただし、毎期の減価償却額は、残存有効期間に基づく均等配分額を下回ってはならない。したがって、毎期の減価償却額は、見込販売数量(又は見込販売収益)に基づく償却額と残存有効期間に基づく均等配分額とを比較し、いずれか大きい額を計上することになる。
- この場合、当初における販売可能な有効期間の見積りは、原則として3年以内の年数とし、3年を超える年数とするときには、合理的な根拠に基づくことが必要である。
(見込販売数量(又は見込販売収益)の見直しの結果、見込販売数量(又は見込販売収益)を変更した場合の減価償却の方法[設例3参照])
- 19. 無形固定資産として計上したソフトウェアの取得原価を見込販売数量(又は見込販売収益)に基づき減価償却を実施する場合、適宜行われる見込販売数量(又は見込販売収益)の見直しの結果、販売開始時の総見込販売数量(又は総見込販売収益)を変更することがある。
- 例えば、3月決算の会社が6か月ごとより高い頻度で期中財務諸表を作成する場合において、新たに入手可能となった情報に基づいて9月末において見込販売数量(又は見込販売収益)を変更したときには、以下の計算式により4月から9月末までの期間及び10月から12月末までの期間以降の減価償却額を算定する。

- なお、見込販売数量(又は見込販売収益)の変更について、過去に見積もった見込販売数量(又は見込販売収益)がその時点での合理的な見積りに基づくものでなく、これを事後的に合理的な見積りに基づいたものに変更する場合には、会計上の見積りの変更ではなく過去の誤謬の訂正に該当することに留意する。
(各事業年度末の未償却残高が翌期以降の見込販売収益を上回ることとなった場合の当該超過額の費用又は損失の処理方法[設例5参照])
- 20. 販売期間の経過に伴い、減価償却を実施した後の未償却残高が翌期以降の見込販売収益の額を上回った場合、当該超過額は一時の費用又は損失として処理する。
(自社利用のソフトウェアの減価償却の方法[設例6参照])
- 21. 自社利用のソフトウェアについては、その利用の実態に応じて最も合理的と考えられる減価償却の方法を採用すべきであるが、一般的には、定額法による償却が合理的である。
- 償却の基礎となる耐用年数としては、当該ソフトウェアの利用可能期間によるべきであるが、原則として5年以内の年数とし、5年を超える年数とするときには、合理的な根拠に基づくことが必要である。
- 利用可能期間については、適宜見直しを行う。利用可能期間の見直しの結果、例えば、新たに入手可能となった情報に基づいて当事業年度末において耐用年数を変更した場合には、以下の計算式により当事業年度及び翌事業年度の減価償却額を算定する。

- なお、耐用年数の変更について、過去に定めた耐用年数がその時点での合理的な見積りに基づくものでなく、これを事後的に合理的な見積りに基づいたものに変更する場合には、会計上の見積りの変更ではなく過去の誤謬の訂正に該当することに留意する。
(財務諸表における減価償却の方法に関する開示)
- 22. ソフトウェアの減価償却の方法に関し、重要な会計方針として開示すべき項目及び記載上の留意点は以下のとおりである。
- (1) 開示すべき項目
- ① 市場販売目的のソフトウェアの減価償却方法に関する開示
- ア 市場販売目的のソフトウェアに関して採用した減価償却の方法
- イ 見込有効期間(年数)
- ② 自社利用のソフトウェアの減価償却方法に関する開示
- ア 自社利用のソフトウェアに関して採用した減価償却の方法
- イ 見込利用可能期間(年数)
- (2) 記載上の留意点
- ソフトウェアの減価償却方法の変更は、会計方針の変更に該当する。
- また、見込有効期間及び見込利用可能期間の変更は、会計上の見積りの変更に該当する。
適 用
- 23. 本報告は、平成11年4月1日以後開始する事業年度から適用する。
- 23-2. 「会計制度委員会報告第12号「研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針」の改正について」(平成23年3月29日)は、平成23年4月1日以後開始する事業年度の期首以後に行われる会計上の変更及び過去の誤謬の訂正から適用する。なお、適用初年度より前の事業年度に行われている会計上の変更及び過去の誤謬の訂正については遡及処理しない。
- 23-3. 「会計制度委員会報告第12号「研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針」の改正について」(平成26年11月28日)は、平成26年11月28日から適用する。
- 23-4. 移管指針第8号「研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針」は、公表日以後適用する。
経過措置
Ⅲ 設例による解説
- 以下では、本報告による会計処理等について、理解を深めるために設例による解説を示すこととする。
- 設例は、本報告で示された全ての会計処理等を網羅しているわけではなく、前提条件に示された状況に適合するものである。したがって、前提条件が異なれば、それに適合する会計処理等も異なる場合があり、この場合には本報告で示されている会計処理等を参照することが必要となる。なお、設例で示された金額や比率などの数値は、特別な意味を有するものではなく、説明の便宜のために用いられているにすぎない。
設例
- [設例1] 市場販売目的のソフトウェアの減価償却の方法(その1)
- 販売開始時における見込みどおりに各年度の販売収益が計上された場合
- <前提条件>
- 1. 無形固定資産として計上されたソフトウェア制作費の総額 300,000千円
- 2. 当該ソフトウェアの見込有効期間 3年
- 3. 販売開始時における総見込販売数量及び総見込販売収益

- (注)本設例では、販売が進むにつれ販売価格の下落する傾向のあるソフトウェアの特性を加味している。
- 4. 販売開始時における見込みどおりに各年度の販売収益が計上されたものとする。また、当該ソフトウェアの見込有効期間にも変更がなかったものとする。
- <計算例>
- イ.見込販売数量に基づく減価償却の方法による場合の減価償却額の計算

- 各年度の減価償却額の計算は次の計算式により表すことができる。

- ロ.見込販売収益に基づく減価償却の方法による場合の減価償却額の計算

- 各年度の減価償却額の計算は次の計算式により表すことができる。

- なお、イとロの計算結果を比較して明らかなとおり、販売が進むにつれ販売価格が下落する性格を有するソフトウェアの場合には、販売収益に基づく減価償却の方法を採用する方が、収益との合理的な対応が図られることとなる。
- [設例2] 市場販売目的のソフトウェアの減価償却の方法(その2)
- 残存有効期間に基づく均等配分額の制限を受ける場合
- <前提条件>
- 1. 無形固定資産として計上されたソフトウェア制作費の総額 300,000千円
- 2. 当該ソフトウェアの見込有効期間 3年
- 3. 販売開始時における総見込販売数量及び総見込販売収益

- (注)本設例では、販売が進むにつれ販売価格の下落する傾向のあるソフトウェアの特性を加味している。
- 4. 販売開始時における見込みどおりに各年度の販売収益が計上されたものとする。また、当該ソフトウェアの見込有効期間にも変更がなかったものとする。
- <計算例>
- イ.見込販売数量に基づく減価償却の方法による場合の減価償却額の計算

- (1) 初年度においては、見込販売数量に基づく減価償却額が残存有効期間に基づく均等配分償却額を上回ることとなるため、見込販売数量に基づく減価償却額をもって減価償却費を計上することとなる。
(初年度における減価償却額の計算) 
- (2) 2年度においては、見込販売数量に基づく減価償却額が残存有効期間に基づく均等配分償却額を下回ることとなるため、残存有効期間に基づく均等配分償却額をもって減価償却費を計上することとなる。
(2年度における減価償却額の計算) 
- (3) 3年度では、当期首の未償却残高を減価償却費として計上することとなる。
- ロ.見込販売収益に基づく減価償却の方法による場合の減価償却額の計算

- (1) 初年度においては、見込販売収益に基づく減価償却額が残存有効期間に基づく均等配分償却額を上回ることとなるため、見込販売収益に基づく減価償却額をもって減価償却費を計上することとなる。
(初年度における減価償却額の計算) 
- (2) 2年度においては、見込販売収益に基づく減価償却額が残存有効期間に基づく均等配分償却額を下回ることとなるため、残存有効期間に基づく均等配分償却額をもって減価償却費を計上することとなる。
(2年度における減価償却額の計算) 
- (3) 3年度では、当期首の未償却残高を減価償却費として計上することとなる。
- [設例3] 市場販売目的のソフトウェアの減価償却の方法(その3)
- 見込販売数量(又は見込販売収益)を変更した場合
- (2年度末において、見込販売数量、見込販売収益の見直しを行った結果、いずれも販売開始時における見込みを下回ることが明らかとなった場合)
- <前提条件>
- 1. 無形固定資産として計上されたソフトウェア制作費の総額 300,000千円
- 2. 当該ソフトウェアの見込有効期間 3年
- 3. 販売開始時における総見込販売数量及び総見込販売収益

- (注)本設例では、販売が進むにつれ販売価格の下落する傾向のあるソフトウェアの特性を加味している。
- 4. 販売初年度及び2年度は見込みどおりに販売されたが、3年度の見込販売数量・見込販売収益が下表のとおり減少することとなった。
- 3年度の見込販売数量及び見込販売収益が、当初の見込みの1,000個(70,000千円)に対し、800個(48,000千円)に減少している。

- 5. 過去に見積もった見込販売数量(又は見込販売収益)はその時点での合理的な見積りに基づくものとする。
- <計算例>
- イ.見込販売数量に基づく減価償却の方法による場合の減価償却額の計算

- (1) 初年度においては、見込販売数量に基づく減価償却額が残存有効期間に基づく均等配分償却額を下回ることとなるため、残存有効期間に基づく均等配分償却額をもって減価償却費を計上することとなる。
(初年度における減価償却額の計算) 
- (2) 見込販売数量の見直しの結果、2年度末において見込販売数量の変更が行われた場合の2年度における減価償却額の計算は、以下のとおりである。なお、本設例では年度末において見込販売数量の変更が行われたものとしているが、会計上の見積りの変更は適宜行われる可能性があることに留意する。
2年度においては、見込販売数量に基づく減価償却額が残存有効期間に基づく均等配分償却額を上回ることとなるため、見込販売数量に基づく減価償却額をもって減価償却費を計上することとなる。
(2年度における減価償却額の計算) 
- (3) 3年度では、当期首の未償却残高を減価償却費として計上することとなる。
- ロ.見込販売収益に基づく減価償却の方法による場合の減価償却額の計算

- (1) 初年度においては、見込販売収益に基づく減価償却額が残存有効期間に基づく均等配分償却額を上回ることとなるため、見込販売収益に基づく減価償却額をもって減価償却費を計上することとなる。
(初年度における減価償却額の計算) 
- (2) 見込販売収益の見直しの結果、2年度末において見込販売収益の変更が行われた場合の2年度における減価償却額の計算は、以下のとおりである。なお、本設例では年度末において見込販売収益の変更が行われたものとしているが、会計上の見積りの変更は適宜行われる可能性があることに留意する。
2年度においては、見込販売収益に基づく減価償却額が残存有効期間に基づく均等配分償却額を上回ることとなるため、見込販売収益に基づく減価償却額をもって減価償却費を計上することとなる。
(2年度における減価償却額の計算) 
- (3) 3年度では、当期首の未償却残高を減価償却費として計上することとなる。
- [設例4] 削 除
- [設例5] 市場販売目的のソフトウェアの減価償却の方法(その5)
各年度末の未償却残高が翌期以降の見込販売収益を上回ることとなった場合
- 販売期間の経過に伴い販売価格の下落する性格を有するソフトウェアの場合、各年度末の未償却残高が翌期以降の見込販売収益の額を上回る場合が想定される。特に、見込販売数量に基づく減価償却の方法を採用した場合には、そのような状況が生じる可能性が高いものと考えられる。
- 例えば、「設例1<計算例>イ」と同様の前提条件において、翌期以降の見込販売収益の額と各年度末の未償却残高を対比すると以下のとおりである。

- 市場販売目的のソフトウェアの経済価値は、将来の収益獲得に基づくものと考えられるため、各年度末の未償却残高が翌期以降の見込販売収益の額を上回った場合には、当該超過額は一時の費用又は損失として処理することが妥当である。
- 上記の例では、2年度末における未償却残高は68,571千円となり、翌期以降の見込販売収益56,000千円を上回ることとなるため、超過額12,571千円については2年度末において一時の費用又は損失として処理することが妥当である。
- [設例6] 自社利用のソフトウェアの減価償却の方法
- <前提条件>
- 1. 自社利用のソフトウェアの取得価額 150,000千円
- 将来の収益獲得又は費用削減が確実であるため、その取得に要した費用を無形固定資産として計上する。
- 2. 取得時における当該ソフトウェアの見込利用可能期間 5年
- 3. 償却方法については、定額法を採用する。
- 4. 2年度末において利用可能期間の見直しを行ったところ、3年度以降の残存利用可能期間が2年であることが明らかとなった(結果として当初からの利用可能期間は4年)。
- 5. 過去に定めた耐用年数はその時点での合理的な見積りに基づくものとする。
- <計算例>

- (2年度の減価償却額の計算)

- 2年度末において利用可能期間を見直した結果、残存耐用年数の変更が行われた場合の2年度における減価償却額の計算は、上記のとおりである。なお、本設例では年度末において耐用年数の変更が行われたものとしているが、会計上の見積りの変更は適宜行われる可能性があることに留意する。
- (3年度の減価償却額の計算)

- 以 上