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移管指針第4号連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針
Ⅰ 資本連結手続に関する実務指針
はじめに
- 1. 「資本連結については、企業集団内で行われる資本関連取引の複雑化に伴い、平成9年連結原則以前の連結原則には明確な定めのない取引が増加し、また、国際的にみても、資本連結の考え方に変化が現われていた。」(企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」(以下「連結会計基準」という。)第59項)ことから、1997年6月6日に改訂された連結財務諸表原則(以下「連結原則」という。)では、改訂前の資本連結に関する基準が全面的に見直されて従来の資本連結の手続に大幅な変更が行われ、さらに、これまで明確でなかった手続についても新たに定められた。
- 資本連結手続は、子会社の財務諸表を親会社の財務諸表に連結するに当たり、親会社の投資と子会社の資本とを相殺消去するための手続であるが、当該手続は計算が複雑であるため、当協会は、その具体的な計算方法を明確にすることを目的として資本連結手続の実務指針を取りまとめた。
- なお、2003年10月31日に企業会計審議会から公表された「企業結合に係る会計基準」や2005年12月9日に企業会計基準委員会から公表された企業会計基準適用指針第8号「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準等の適用指針」(以下「純資産適用指針」という。)等に対応して必要な見直しを行っている。
- 1-2. 2007年改正の本報告は、企業会計基準委員会から2005年12月に公表された企業会計基準適用指針第10号「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」(以下「結合分離等適用指針」という。)で示された取得と判定された企業結合における取得企業の税効果会計に関する取扱いとの整合性を図るための改正を行った。
- 1-3. 2008年改正の本報告は、企業会計基準委員会から2007年3月に公表された企業会計基準第12号「四半期財務諸表に関する会計基準」(以下「四半期会計基準」という。)及び企業会計基準適用指針第14号「四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針」で示された取扱いとの整合性を図るための改正を行ったものである。
- また、連結原則における連結調整勘定は、「企業結合に係る会計基準」において、のれん又は負ののれんとして表示することとされている。連結原則上、連結調整勘定の表示について改訂は行われていないが、2008年改正の本報告においては、「連結調整勘定」を「のれん」として読み替える修正を行った。
- 1-4. 2009年改正の本報告は、企業会計基準委員会から2008年12月に公表された連結会計基準、企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」(以下「企業結合会計基準」という。)及び結合分離等適用指針で示された取扱いとの整合性を図るための改正を行ったものである。
- 1-5. 2014年改正の本報告は、企業会計基準委員会により2013年9月に改正された連結会計基準及び企業結合会計基準に対応するための改正を行ったものである。
- 1-6. 2018年改正の本報告は、日本公認会計士協会における税効果会計に関する実務指針の移管により、企業会計基準委員会から2018年2月に公表された企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」(以下「税効果適用指針」という。)に対応するための改正を行ったものである。
- 1-7. 2022年改正の本報告は、企業会計基準委員会から2022年10月に改正された企業会計基準第27号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」、企業会計基準第25号「包括利益の表示に関する会計基準」(以下「包括利益会計基準」という。)及び税効果適用指針(以下、これらを合わせて「法人税等会計基準等」という。)に対応するための改正を行ったものである。
- 1-8. 2024年改正の本報告は、企業会計基準委員会により2024年3月に改正された企業会計基準適用指針第2号「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準の適用指針」(以下「自己株式等会計適用指針」という。)に対応するための改正を行ったものである。
- 1-9. 2024年改正の本報告は、企業会計基準委員会から2024年3月に公表された企業会計基準第33号「中間財務諸表に関する会計基準」(以下「中間会計基準」という。)及び企業会計基準適用指針第32号「中間財務諸表に関する会計基準の適用指針」(以下合わせて「中間会計基準等」という。)に対応するための改正を行ったものである。
資本連結手続の意義と範囲
- 2. 会社が他の会社の支配を獲得した日から当該他の会社は会社の子会社となり、原則としてその時点から連結子会社となる。したがって、子会社に対する支配を獲得した場合には、支配獲得日以後の当該子会社の資産・負債及び収益・費用を親会社の財務諸表の各項目に連結し、また、子会社に対する支配を喪失した場合には、支配喪失日以後の当該会社の資産・負債及び収益・費用を連結から除外する。
- 3. 連結会計基準第59項では、資本連結とは、親会社の子会社に対する投資とこれに対応する子会社の資本を相殺消去し、消去差額が生じた場合には当該差額をのれん又は負ののれんとして計上するとともに、子会社の資本のうち親会社に帰属しない部分を非支配株主持分に振り替える一連の処理をいうとされている。
- 本報告では、具体的には、以下の手続を取り扱うこととする。
- (1) 支配獲得時における資本連結の手続
- ① 子会社の資産及び負債の評価
- ② 親会社の投資と子会社の資本との相殺消去
- ③ のれんの計上
- ④ 非支配株主持分の計上
- (2) 時価評価による簿価修正額及び評価差額の計上後の処理
- (3) のれんの償却
- (4) 株式の段階取得により関連会社が連結子会社となった場合の処理
- (5) 支配獲得後における資本連結の手続
- ① 子会社株式を追加取得した場合の処理
- ② 子会社株式を売却した場合の処理
- ③ 子会社の時価発行増資等に伴い親会社の持分が増減した場合の処理
- (6) 非支配株主持分の特殊な処理
- なお、連結子会社が保有する当該連結子会社の自己株式に関する連結財務諸表上の取扱いについては、自己株式等会計適用指針第17項から第20項等を参照する必要がある。また、在外子会社において連結財務諸表が作成される場合の資本連結手続に係る処理については、実務対応報告第18号「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い」の適用があることに留意する。
- 4. 資本連結手続は税効果会計と関連しているが、本報告では、この内容に言及するのは資本連結手続を説明する上で必要な範囲にとどめることとした。したがって、税効果会計の全体的な内容については、税効果適用指針を参照する必要がある。
- なお、在外子会社(孫会社を含む。)との資本連結手続を行う際の円換算の方法と換算差額の処理については本報告では取り扱っていない(移管指針第2号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」第36項から第45項等及び純資産適用指針第7項等)。
- 5. 税効果会計上の一時差異等には、個別財務諸表段階で認識されるものと連結手続上認識されるものとがあるが、個別財務諸表に税効果会計が適用されていない子会社については、連結手続の一環として個別財務諸表項目に存在する一時差異等に対し税効果会計を適用した後の修正個別財務諸表に基づき、資本連結手続を実施することに留意する。
資本連結の基準日と連結対象財務諸表の範囲
- 6. 資本連結の基準日は、原則として親会社の決算日(連結決算日)である。
- 子会社の決算日と連結決算日とが異なり、その差異が3か月を超えない場合には、子会社の決算日現在の財務諸表に基づき連結決算を行うことができることとなっているため、それによる場合は子会社の決算日が資本連結の基準日となる。この場合には、子会社の決算日と連結決算日が異なることから生ずる連結会社間の取引に係る会計記録の重要な不一致については、必要な整理を行うものとされている。子会社側の取引を連結決算日現在の残高に合致させる調整を行うことが必要である。
- 一方、決算日の差異が3か月を超える場合には、子会社は連結決算日に正規の決算に準ずる合理的な手続により仮決算を行うこととなっているため、当該仮決算日が資本連結の基準日となる。
- 7. 連結会計基準(注5)では、支配獲得日、株式の取得日又は売却日等が子会社の決算日以外の日である場合には、当該日の前後いずれかの決算日に支配獲得、株式の取得又は売却等が行われたものとみなして処理することができるとされている。この場合、支配獲得日は、当該決算日をいうものとする。
- また、この場合の決算日には期中決算日(第二種中間連結財務諸表を作成する場合の中間決算日も含む。)又はその他の適切に決算が行われた日が含まれる。なお、支配を獲得したとみなした日は、企業結合の主要条件が合意されて公表された日以降としなければならない(結合分離等適用指針第117項)。
- ただし、連結会計基準が適用される企業結合は、現金を対価とした株式の取得により支配の獲得が行われることが想定されているので(結合分離等適用指針第31-2項)、株式交換などの企業結合のように一定の法的手続を踏まえて実施されるとは限らないことから、連結損益計算書に与える影響が乏しい場合には、主要条件が合意されて公表された日よりも前に支配を獲得したとみなした日を設定して処理することができる。
- 連結対象となる子会社の財務諸表の範囲は、いずれの時点において支配の獲得又は喪失が生じたとみなすかにより異なることとなる。子会社の貸借対照表は支配を獲得したとみなした時点以後連結し、支配を喪失したとみなした時点以後は連結しない。子会社の損益計算書は、支配を獲得したとみなした時点を開始日とする期間を連結し、支配を喪失したとみなした時点から後の期間は連結しない。
- 子会社の財務諸表にはキャッシュ・フロー計算書及び株主資本等変動計算書が含まれるが、当該計算書は子会社の損益計算書が連結される期間と同一の期間について作成し、連結することとなる。
連結会計基準に定めのない事項の取扱い
- 7-2. 連結会計基準は、連結貸借対照表の作成に関する会計処理における企業結合及び事業分離等に関する事項のうち、連結会計基準に定めのない事項については、企業結合会計基準や企業会計基準第7号「事業分離等に関する会計基準」(以下「事業分離等会計基準」という。)の定めに従って会計処理するものとされている(連結会計基準第19項及び第60項)。
- したがって、連結会計基準を適用する場合にも、例えば、条件付取得対価の会計処理(企業結合会計基準第27項)、取得原価の配分(資本連結手続上の子会社の資産及び負債の評価に相当する。)における暫定的な会計処理(企業結合会計基準(注6))、企業結合に係る特定勘定への取得原価の配分(企業結合会計基準第30項)、所定の注記事項(取得とされた企業結合の注記事項(企業結合会計基準第49項)、共通支配下の取引等に係る注記事項(企業結合会計基準第52項)、子会社の企業結合により当該会社が子会社に該当しなくなった場合の株主に係る注記事項(事業分離等会計基準第54項)など)に関する定めが適用されることとなる。
- 暫定的な会計処理を適用する場合、取得原価の配分は、企業結合日以後1年以内に行わなければならないが(企業結合会計基準第28項)、企業結合日以後の決算において、配分が完了していなかったときは、その時点で入手可能な合理的な情報等に基づき暫定的な会計処理を行い、その後追加的に入手した情報等に基づき配分額を確定させることとなる。
- なお、暫定的な会計処理の確定が企業結合年度の翌年度に行われた場合には、企業結合年度に当該確定が行われたかのように会計処理を行い、企業結合年度の翌年度の連結財務諸表及び個別財務諸表(以下、本項において、併せて「財務諸表」という。)と併せて企業結合年度の財務諸表を表示するときには、当該企業結合年度の財務諸表に暫定的な会計処理の確定による取得原価の配分額の見直しを反映させることとなる(企業結合会計基準(注6))。
複数の取引が一つの企業結合等を構成している場合の取扱い
- 7-3. 前項に記載のとおり、連結会計基準に定めのない事項については、企業結合会計基準及び事業分離等会計基準の定めに従うこととされており、企業結合会計基準第66項では、「企業結合は、一般的には連結会計基準にいう他の企業の支配の獲得も含むため、現金を対価とする子会社株式の取得の場合についても、連結会計基準に定めのない企業結合に関する事項については、本会計基準の適用対象となる。なお、複数の取引が1つの企業結合を構成している場合には、それらを一体として取り扱うことに留意する(第5項参照)。通常、複数の取引が1事業年度内に完了する場合には一体として取り扱うことが適当であると考えられるが、1つの企業結合を構成しているかどうかは状況によって異なるため、当初取引時における当事者間の意図や当該取引の目的等を勘案し、実態に応じて判断することとなる。」とされている。事業分離等会計基準第62項にも同様の規定がある。
- したがって、子会社株式を段階的に取得する場合や売却する場合においても、複数の取引が一つの企業結合等を構成している場合の取扱いについては、企業結合会計基準及び事業分離等会計基準の定めが適用されることとなる。複数の取引が行われる場合、通常、取引の手順に従って、それぞれの取引について会計処理が行われる。複数の取引が一体として取り扱われるかどうかは、事前に契約等により複数の取引が一つの企業結合等を構成しているかどうかなどを踏まえ、取引の実態や状況に応じて判断するものと考えられる。
- 7-4. 前項により、複数の取引が一つの企業結合等を構成しているものとして一体として取り扱われる場合、支配獲得後に追加取得した持分に係るのれんについては、支配獲得時にのれんが計上されていたものとして算定し、追加取得時までののれんの償却相当額を追加取得時に一括して費用として計上する。
資本連結手続上の投資と資本
子会社に対する投資
- 8. 資本連結手続において子会社の資本と相殺消去される親会社の子会社に対する投資額は、支配獲得日の時価によるものとされている(連結会計基準第23項(1))。連結会計基準が適用される場合の取得の対価(支払対価)は現金が想定されるが、この場合の支配獲得日の時価とは現金支出額となる。ただし、支配獲得前から親会社が当該会社の株式(その他有価証券又は関連会社株式に区分)を保有している場合には、当該株式についても支配獲得日の時価を付すことになる(企業結合会計基準第25項(2)及び第84項並びに結合分離等適用指針第44項)。
- 連結財務諸表においては、取得関連費用は、発生した連結会計年度の費用として処理することとなる(企業結合会計基準第26項)。一方、個別財務諸表においては、子会社に対する投資額(子会社株式の取得原価)は、企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」及び移管指針第9号「金融商品会計に関する実務指針」(以下「金融商品会計実務指針」という。)に従って算定するため、取得時における付随費用は、取得した金融資産の取得価額に含めることになる(金融商品会計実務指針第56項)。
- また、連結財務諸表において、株式の段階取得により支配を獲得する場合には、支配獲得前から保有していた当該会社の株式にも支配獲得日の時価を付すこととなり、支配獲得前に保有していた株式の取得原価に含まれている付随費用は段階取得に係る損益として処理されることとなる(連結会計基準第23項及び第62項並びに企業結合会計基準第25項(2))。このため、連結財務諸表上、支配獲得時に以下の差額を段階取得に係る損益として処理することになる。
- (1) 当該株式をその他有価証券として分類していた場合
支配獲得日における時価と、支配獲得直前の当該株式の適正な帳簿価額との差額(連結会計基準第62項)[設例2参照] - (2) 関連会社株式として分類していた場合
支配獲得日における時価と、持分法による投資評価額との差額(連結会計基準第63項)[設例3参照]
一方、個別財務諸表において、株式の段階取得により支配を獲得する場合には、支配を獲得するに至った個々の取引ごとの原価の合計額をもって、被取得企業の取得原価とすることとなる(企業結合会計基準第25項(1))。
資 本
- 9. 資本連結手続において相殺消去の対象となる子会社の資本の額は、以下の①及び②に③の項目を加えた額となる(以下の金額はいずれも当期までの期間に課税された法人税等及び税効果額控除後の金額である。)。
- ① 個別貸借対照表上の純資産の部における株主資本(親子会社間の会計処理の統一及びその他個別財務諸表の修正による損益処理後)
- ② 個別貸借対照表上の純資産の部における評価・換算差額等
- ③ 資産及び負債の時価と当該資産及び負債の個別貸借対照表上の金額との差額(評価差額)
- なお、子会社の資本の額には、新株予約権が含まれないことに留意する(純資産適用指針第5項)。
持分比率
- 10. 子会社の資本のうち親会社に帰属する部分(親会社持分額)と非支配株主に帰属する部分(非支配株主持分額)は、議決権を有する株式の発行済株式数(分母)と持株数(分子)に基づく比率(以下「持分比率」という。)を基に算定する(連結会計基準第7項)。
- 10-2. 対象子会社が他の会社の議決権の4分の1以上を有する場合において、当該他の会社が対象子会社の株式を有するときは、議決権の行使を制限されている株式があっても、このような相互持合の状況が長期間継続するとは想定されないことから、当該株式数を発行済株式数及び持株数に含めることとする。
- 10-3. 親会社の持分比率は、発行済株式数から対象子会社の保有する自己株式数を控除した株式数を分母として計算する。これは、実際に非支配株主が減少していることや、自己株式の保有が長期間継続することが想定されるためである(自己株式等会計適用指針第48項)。
- また、分子については、親会社の保有する対象子会社の株式数のほか、他の子会社が対象子会社の株式を保有している場合には、当該持株数に当該他の子会社の持分比率を乗じた株式数を加えて計算し、連結会社間で株式の相互持合がある場合には、相互持合による影響を調整した持株数を計算することが必要となる(移管指針第5号「株式の間接所有に係る資本連結手続に関する実務指針」)。
子会社の資産及び負債の評価
評価差額の計上
- 11. 連結貸借対照表の作成に当たっては、支配獲得日において、取得した株式に係る子会社の資産及び負債を時価により評価し、この時価評価額と当該資産及び負債の個別貸借対照表上の金額との差額を資産及び負債の帳簿価額の修正額(以下「時価評価による簿価修正額」という。)として計上するとともに、その純額を評価差額として子会社の資本に計上しなければならない。
- なお、時価評価による簿価修正額が税効果会計上の一時差異に該当する場合、当該一時差異について繰延税金資産又は繰延税金負債を計上しなければならない。この場合、当該税効果額は法人税等調整額に計上せずに直接評価差額から控除する。したがって、評価差額の残高は当該税効果額を控除した後の金額となる[設例10参照]。
- 12. 子会社の資産及び負債の時価評価額は、原則として市場価格等に基づく評価額とするが、子会社の株式取得時に、個々の貸借対照表項目について、当該株式の売買契約等により取得側と売却側との間に合意された評価額が存在し、かつ、それらに合理性がある場合には、当該金額によることができる。
- 13. 連結会計基準第22項では、「評価差額に重要性が乏しい子会社の資産及び負債は、個別貸借対照表上の金額によることができる。」とされている。その場合の重要性の有無は、個々の貸借対照表項目の時価評価による簿価修正額ごとに判断する。
- 14. 削 除
- 15. 削 除
- 16. 削 除
- 17. 連結会計基準では、時価評価の方法として、非支配株主持分に相当する部分を含めて子会社の資産及び負債の全てを時価評価する方法(全面時価評価法)のみが規定されている(連結会計基準第20項)。このため、支配獲得時に子会社の資産及び負債を当該日の時価で評価し、時価による評価額と帳簿価額との差額を時価評価による簿価修正額として計上し、これらに関する、当期までの期間に課税された法人税等及び税効果額控除後の金額を評価差額として計上するに当たって、評価差額のうち非支配株主持分に対応する額は、連結貸借対照表上、非支配株主持分に含めなければならない(企業会計基準第5号「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準」第7項(2) 及び純資産適用指針第3項)。
- 支配獲得時までに株式を段階的に取得した場合でも、子会社の資産及び負債の全てを支配獲得日の時価で評価し、評価差額を当該日の持分比率により親会社持分額と非支配株主持分額とに按分する[設例1及び設例2参照]。
- 支配獲得後に株式の追加取得を行った場合には、子会社の資産及び負債を追加取得日の時価により評価替えすることはせず、支配獲得時に非支配株主持分に計上された評価差額のうち追加取得した株式に対応する部分を親会社持分へ振り替える[設例5参照]。
- 18. 削 除
支配を獲得した場合の処理
親会社の投資と子会社の資本との相殺消去
- 19. 親会社の投資と子会社の資本との相殺消去手続には、子会社に対する投資とこれに対応する子会社の資本とを相殺消去する手続と、子会社間の投資とこれに対応する資本とを相殺消去する手続とがあるが、これらに処理上の差異はない。本報告では、子会社間における投資と資本との相殺消去については触れていないが、親会社・子会社間における処理に準じて処理しなければならない。
- 20. 削 除
- 21. 支配獲得日までに生じた子会社の利益剰余金は投資と相殺され、支配獲得日後に生じた親会社の持分に帰属する子会社の損益は、親会社株主に帰属する当期純利益として処理され、取得後利益剰余金となる。
- なお、子会社に係るその他の包括利益累計額(その他有価証券評価差額金、退職給付に係る調整累計額など)については、支配獲得日までの持分額(投資と相殺消去)とその後に生じた持分額(連結株主資本等変動計算書上のその他有価証券評価差額金、退職給付に係る調整累計額の区分等に計上)とに分けて処理されることとなる。子会社のその他有価証券評価差額金の増減額に関する連結包括利益計算書又は連結損益及び包括利益計算書上の取扱いについては、移管指針第12号「金融商品会計に関するQ&A」(以下「金融商品会計に関するQ&A」という。)Q73が参考となる。
のれんの計上
- 22. 連結会計基準第24項では、親会社の子会社に対する投資とこれに対応する子会社の資本との相殺消去の結果生じた差額はのれん又は負ののれんとするとされている。
- のれん又は負ののれん(純額)が発生する企業結合において、契約等により取得の対価がおおむね独立して決定されており、かつ、内部管理上独立した業績報告が行われる単位が明確である場合は、当該業績報告が行われる単位ごとにそれを分解してのれん又は負ののれんを算定し、処理する。
非支配株主持分の計上
- 23. 非支配株主持分は、子会社の資本のうち親会社に帰属しない部分であり、支配獲得時に子会社の資本のうち非支配株主に帰属する部分を議決権を有する株式の持分比率に基づき計上する[設例1から設例3参照]。なお、株式を段階的に取得している場合であっても非支配株主持分を計上するのは支配獲得時である。
- 24. 支配獲得後においては、子会社の損益のうち非支配株主に帰属する部分を、持分比率に基づき算定して連結損益計算書の非支配株主に帰属する当期純利益に計上するとともに、非支配株主持分に加減する[設例1及び設例4から設例10参照]。
- 非支配株主持分の増減は、このほか、株式の追加取得、一部売却及び時価発行増資等による非支配株主持分比率の変動、子会社における支払配当金の発生、連結会社間の債権債務の相殺消去に伴う子会社における貸倒引当金の減額、子会社における未実現損益の消去などによっても生じる。
時価評価による簿価修正額及び評価差額の計上後の処理
償却資産に係る時価評価による簿価修正額の償却
- 25. 償却資産の時価評価による簿価修正額は、支配獲得日から対象償却資産の残存耐用年数にわたって、当該資産に適用されている減価償却方法に従って償却しなければならない。
評価差額の実現に伴う時価評価による簿価修正額の処理
- 26. 評価差額計上の対象となった資産又は負債が売却又は決済により減少して評価差額の全部又は一部が実現した場合、個別損益計算書上は個別貸借対照表上の売却(決済)簿価を基に損益が計上されるが、連結貸借対照表上の売却(決済)簿価は当該資産又は負債の時価評価による簿価修正額のうち売却(決済)部分を含んでいるため、連結手続上は、当該部分の未償却額を個別損益計算書上の損益の修正として処理する。
- 27. 削 除
- 28. 第26項の場合において、時価評価による簿価修正額のうち未償却額は、親会社持分と非支配株主持分に対応する額が子会社の貸借対照表上の資産及び負債に計上されている。連結手続上は、売却又は決済した資産・負債に対応する当該未償却額を個別損益計算書上の損益に加減算する[設例10参照]。連結損益計算書上の損益は、具体的には以下の算式により計算する。
- ① 個別損益計算書上の損益
- ② 損益修正額=時価評価による簿価修正額のうち未償却額(親会社持分及び非支配株主持分に対応する額)×売却又は決済割合(=個別貸借対照表上の売却(決済)簿価÷同売却(決済)前簿価)
- ③ 連結損益計算書上の損益=①-②
- なお、上記算式の②は非支配株主持分にも影響を与えるため、上記③を持分比率により親会社持分と非支配株主持分に配分しなければならない。
- また、子会社が支配獲得時に有していた投資有価証券(その他有価証券評価差額金を計上)をその後売却した場合の処理については、「金融商品会計に関するQ&A」Q75が参考となる。
時価評価による簿価修正額の減少に伴う評価差額の処理
- 29. 時価評価の対象とされた資産又は負債について、償却、売却、決済等により連結貸借対照表上の簿価が減少した場合、資本連結手続上、評価差額を個別貸借対照表の資本に計上するに当たっては、時価評価による簿価修正額の減少した部分に対応する評価差額を控除しなければならない。
- なお、当該控除した金額(時価評価による簿価修正額に係る償却額及びその資産又は負債の売却又は決済に伴う損益(以下「実現損益」という。)累計額)は、投資と資本の相殺消去において利益剰余金として引き継ぐことになる。
のれん及び負ののれんの会計処理
- 30. のれんは、その効果の発現する期間にわたって償却し、投資の実態を適切に反映させる必要がある。したがって、のれんの償却に当たっては、その効果の発現する期間を見積もり、原則としてその計上後20年以内の期間において、子会社又は業績報告が行われる単位(第22項参照)の実態に基づいた適切な償却期間を決定しなければならない(企業結合会計基準第32項)。負ののれんが生じると見込まれる場合には、まず、全ての識別可能資産及び負債が把握されているか、また、それらに対する取得原価の配分が適切に行われているかどうかを見直し、それでもなお取得原価が受け入れた資産及び引き受けた負債に配分された純額を下回り、負ののれんが生じる場合には、当該負ののれんが生じた事業年度の利益として処理する(企業結合会計基準第33項)。
- 31. のれんの償却開始時期は、原則として、のれんが支配獲得日に発生した場合は当該支配獲得日である。
- 31-2. 第30項のとおり、のれんは、その効果の発現する期間にわたって償却し、投資の実態を適切に反映させる必要があることから、のれんの償却開始時期は、原則として、支配獲得日からであり、通常、それは子会社の損益計算書が連結される期間と一致する。
- なお、みなし取得日(第7項参照)の適用により、のれんが期首に発生したとみなされる場合には、償却開始日は当期首であり、それが期末に発生したとみなされる場合には、翌期首となる[設例1、設例3及び設例10参照]。
- 32. 子会社ごとののれんの純借方残高(連結原則に基づいて会計処理している場合には、借方残高(のれん)と貸方残高(負ののれん)との相殺後)について、親会社の個別財務諸表上、子会社株式の簿価を減損処理(金融商品会計実務指針第91項、第92項及び第283-2項から第285項に従う処理をいう。)したことにより、減損処理後の簿価が連結上の子会社の資本の親会社持分額とのれん未償却額(借方)との合計額を下回った場合には、株式取得時に見込まれた超過収益力等の減少を反映するために、子会社株式の減損処理後の簿価と、連結上の子会社の資本の親会社持分額とのれん未償却額(借方)との合計額との差額のうち、のれん未償却額(借方)に達するまでの金額についてのれん純借方残高から控除し、連結損益計算書にのれん償却額として計上しなければならない。
- なお、期中会計期間末(年度末を除く。)及び第二種中間連結財務諸表を作成する場合の中間期末において、親会社の個別財務諸表上、市場価格のある子会社株式の簿価を減損処理したことに伴い、連結財務諸表上、当該子会社に係るのれんを償却した場合において、親会社の個別財務諸表上、年度決算や年度決算までのその後の期中決算において、子会社株式の減損の追加計上又は戻入処理が行われたときは、連結財務諸表上、当該追加計上又は戻入処理を考慮後の子会社株式の簿価に基づき、期中会計期間末及び第二種中間連結財務諸表を作成する場合の中間期末に行ったのれんの償却を見直すものとする。
- 32-2. 子会社株式の取得時に存在した子会社の将来減算一時差異又は税務上の繰越欠損金のうち、将来年度の課税所得の見積りの変更等による繰延税金資産の回収見込額の見直しについては、結合分離等適用指針第70項及び第73項に従って処理する。
のれんの減損処理
- 33. のれん(連結原則に基づいて会計処理している場合には、純借方残高)は、「固定資産の減損に係る会計基準」の二 8及び企業会計基準適用指針第6号「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(以下「減損会計適用指針」という。)の第51項から第54項及び第131項から第133項に従って減損処理を行う。
株式の段階取得により関連会社が連結子会社となった場合の処理
持分法による投資評価額の引継ぎ
- 34. 削 除
- 35. 関連会社が株式の段階取得により連結子会社となった場合、持分法適用時における評価差額は、企業会計基準第16号「持分法に関する会計基準」(以下「持分法会計基準」という。)第26-2項に従い部分時価評価法により会計処理するが、支配獲得時に時価評価をやり直す必要がある(連結会計基準第61項)。したがって、支配獲得日の時価に基づき改めて評価差額を計上し、それを当該日の持分比率に応じて親会社持分額と非支配株主持分額とに按分しなければならない。持分法による投資評価額に含まれていたのれんの未償却額は、支配獲得日の時価に基づき子会社の資産及び負債の評価替えが行われることから、持分法による投資評価額に含まれていたのれんも含めて、のれん又は負ののれんが新たに計算され、のれんの一部として包含されることとなる[設例3参照]。
投資評価額に含まれていたのれんの償却
- 36. 持分法による投資評価額に含まれていたのれんは、持分法適用開始日から既に償却が行われている。しかしながら、関連会社が連結子会社になった場合、のれんは、持分法による投資評価額に含まれていた未償却部分と区別せず、支配獲得日から新たな償却期間にわたり償却する[設例3参照]。
子会社株式を追加取得した場合の処理
追加取得分に係る持分変動の処理
- 37. 支配獲得後に子会社株式を追加取得した場合、追加取得日の子会社の資本のうち追加取得した株式に対応する持分を非支配株主持分から減額して親会社持分を増加させるとともに、追加取得により増加した親会社持分(以下「追加取得持分」という。)と追加投資額とを相殺消去し、消去差額を資本剰余金として処理する(連結会計基準第28項)。
- なお、子会社に係るその他の包括利益累計額(その他有価証券評価差額金、退職給付に係る調整累計額など)に関する追加取得の具体的な処理については、「金融商品会計に関するQ&A」Q74が参考となる。
- 38. 削 除
- 39. 第37項の場合において、非支配株主持分にも評価差額が計上されていて、支配獲得後は時価による評価替えを行わないため、追加取得前の非支配株主持分のうち追加取得持分に相当する額をそのまま非支配株主持分から親会社持分へ振り替えることになる。この場合、増額する追加取得に係る親会社持分額及び減額する非支配株主持分額は等しいため、減額する非支配株主持分額(=増額する親会社持分額)と追加投資額との差額が資本剰余金となる[設例5参照]。
- これを算式で示せば次のようになる。
- 資本剰余金=追加投資額-追加取得前の非支配株主持分残高×追加取得持分比率÷追加取得前の非支配株主持分比率
資本剰余金が負の値となる場合の処理
- 39-2. 資本剰余金が負の値となる場合には、連結会計年度末において、資本剰余金をゼロとし、当該負の値を利益剰余金から減額する(連結会計基準第30-2項)。
- 当該処理は、企業会計基準第1号「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準」(以下「自己株式等会計基準」という。)第40項と同様に行うため、負の値となった資本剰余金は、連結会計年度末において、利益剰余金で補塡し、その残高を確定することとなる(連結会計基準第67-2項及び自己株式等会計基準第42項)。
- なお、連結財務諸表においては、資本剰余金の内訳を区分表示しないことから、当該取扱いは、資本剰余金全体が負の値となる場合に適用されることに留意する必要がある(連結会計基準第67-2項)。
共通支配下の取引等により発生したのれんの償却
- 40. 支配獲得時にのれんが計上され、その後の事業の移転などにより追加的にのれんが計上される場合として、結合分離等適用指針第98項(2)②、第224項(1)、第231項及び第243項(1)が定められている。このようにのれんの発生時期が異なる場合、合理的な根拠なく異なる償却期間を設定してはならない。また、支配獲得時に計上されたのれんの残存償却期間を支配獲得後に行われた事業の移転等により計上されたのれんの償却期間に修正してはならない。
- なお、支配獲得後に行われた事業の移転等により発生したのれんについて、支配獲得時に発生したのれんと大きな状況の変化があって、のれんの償却期間を改めて合理的に見積もった結果、支配獲得後に行われた事業の移転等により計上されたのれんより短い償却期間が設定された場合、支配獲得時に計上されたのれんの残存償却期間が当該償却期間を超えなければ従来どおりの償却を行い、超えた場合には、当該償却期間を支配獲得時に計上されたのれんの残存償却期間として償却を行う。
子会社株式を売却した場合の処理
- 41. 支配獲得後に子会社株式の全部又は一部を売却する場合がある。子会社株式を売却しても支配を喪失せず、引き続き、連結子会社として取り扱う場合には、第42項から第44項に従って処理する。一方、子会社株式の売却により支配を喪失して関連会社となる場合には、第45項及び第45-2項に従って処理を行い、子会社が連結子会社及び関連会社のいずれにも該当しなくなった場合には、第46項に従って処理する。
- なお、取得関連費用の取扱いについては第46-2項に定めがある。
親会社と子会社の支配関係が継続している場合の処理
- 42. 子会社株式の一部を売却したが、親会社と子会社の支配関係が継続している場合、売却した株式に対応する持分を親会社の持分から減額し、非支配株主持分を増額するとともに、売却による親会社の持分の減少額(以下「売却持分」という。)と売却価額との間に生じた差額は、資本剰余金として処理する(連結会計基準第29項)[設例6参照]。売却価額には売却に係る支払手数料等は含まれないため、売却に係る支払手数料等については売却時の費用として処理する。また、売却した株式に対応する持分には、子会社に係るその他の包括利益累計額(その他有価証券評価差額金、退職給付に係る調整累計額など)が含まれるが、売却持分には、その他の包括利益累計額は含まれない。
- なお、上記の処理に伴って減少したその他の包括利益累計額は当期純利益を構成するものではないため、組替調整額(包括利益会計基準第9項)の対象とはならず、連結株主資本等変動計算書における当連結会計年度の増減として表示することとなる(第66-2項参照)。
- 43. 削 除
- 44. 支配獲得時に計上したのれんの未償却額については、子会社株式を一部売却した場合等において減額しない(連結会計基準第66-2項)。
支配を喪失して関連会社になった場合の処理
- 45. 持分法を適用する場合でも、資産及び負債の評価並びにのれんの償却は連結の場合と同様の処理を行うとされている(持分法会計基準第8項)。したがって、子会社株式の一部を売却し連結子会社が関連会社となった場合、当該会社の個別貸借対照表はもはや連結されないため、連結貸借対照表上、親会社の個別貸借対照表上に計上している当該関連会社株式の帳簿価額は、当該会社に対する支配を喪失する日まで連結財務諸表に計上した取得後利益剰余金(時価評価による簿価修正額に係る償却及び実現損益累計額を含む。)及びその他の包括利益累計額並びにのれん償却累計額の合計額等(以下「投資の修正額」という。)のうち売却後持分額を加減し、持分法による投資評価額に修正することが必要となる。この場合の取得関連費用の取扱いについては第46-2項に定めがある。
- 売却前の投資の修正額とこのうち売却後の株式に対応する部分との差額(その他の包括利益累計額を除く。)について、個別財務諸表で計上した子会社株式売却損益の修正として処理することとなる。
- なお、子会社株式を一部売却し、支配を喪失して関連会社になった場合には、連結財務諸表上、子会社に係るその他の包括利益累計額(その他有価証券評価差額金、退職給付に係る調整累計額など)のうち一部売却に係る部分については、子会社株式の売却により連結上の実現損益となるため、個別財務諸表上の子会社株式売却損益(当該部分が既に含まれている。)の修正に含めない。当該実現損益は当期純利益を構成するため、組替調整額(包括利益会計基準第9項)の対象となる。
支配を喪失して関連会社になった場合ののれんの未償却額の取扱い
- 45-2. 支配獲得後に追加取得や一部売却等が行われた後に、子会社株式を一部売却し、支配を喪失して関連会社になった場合、支配獲得後の持分比率の推移等を勘案し、適切な方法に基づき、関連会社として残存する持分比率に相当するのれんの未償却額を算定する。
支配を喪失して関連会社にも該当しなくなった場合の処理
- 46. 連結会計基準第29項では、子会社株式の一部を売却し、子会社が連結子会社及び関連会社のいずれにも該当しなくなった場合、連結財務諸表上、残存する当該被投資会社に対する投資は、個別貸借対照表上の帳簿価額をもって評価するとしている。なお、当該個別貸借対照表上の帳簿価額には付随費用が含まれることに留意する(第46-2項参照)。
- また、この場合の子会社株式売却損益の修正額は、関連会社になった場合(第45項及び第45-2項参照)に準じて算定する。
- さらに、売却後の投資の修正額を取り崩すことが必要であり、当該取崩額を連結株主資本等変動計算書上の利益剰余金とその他の包括利益累計額の区分に、連結除外に伴う増減等その内容を示す適当な名称をもって計上する[設例7参照]。
取得関連費用の取扱い
- 46-2. 第8項のとおり、連結財務諸表上、子会社株式の取得関連費用は、発生した連結会計年度の費用として処理されるが、個別財務諸表においては、付随費用は、取得価額に含めることとなる。支配獲得後において、子会社株式を追加取得した際に発生した取得関連費用(連結財務諸表)及び付随費用(個別財務諸表)も同様である。
- したがって、子会社株式の売却時において、付随費用は個別財務諸表上の売却簿価に含まれるが、連結財務諸表上の売却持分には含まれないこととなる。このため、個別財務諸表上の取得価額に含まれている付随費用のうち売却した部分に対応する額については、連結財務諸表上、個別財務諸表に計上した子会社株式売却損益の修正として取り扱い、引き続き保有する部分に対応する額については、子会社が連結子会社及び関連会社のいずれにも該当せず連結範囲から除外される際に、連結株主資本等変動計算書上の利益剰余金の区分に連結除外に伴う利益剰余金減少高(又は増加高)等その内容を示す適当な名称をもって計上することとなる(第46項参照)。
- 支配を喪失して子会社から関連会社となり、持分法を適用することとなった場合には、連結財務諸表上、関連会社株式の投資原価には支配喪失以前に費用処理した支配獲得時の付随費用を含めない。
完全子会社株式を配当した場合の処理
支配を喪失して関連会社になった場合の処理
- 46-3. 保有する完全子会社株式の一部を株式数に応じて比例的に配当(按分型の配当)し連結子会社が子会社に該当しなくなり関連会社になった場合には、配当前の投資の修正額とこのうち配当後の株式に対応する部分との差額については、原則として、子会社株式の配当に伴う持分変動により増減するものとして、当該差額を連結株主資本等変動計算書上の利益剰余金とその他の包括利益累計額の区分に、子会社株式の配当に伴う増減等その内容を示す適当な名称をもって計上する。ただし、配当前の投資の修正額とこのうち配当後の株式に対応する部分との差額のうち、個別財務諸表上の取得価額に含まれている付随費用及び子会社株式の追加取得等によって生じた資本剰余金のうち配当した部分に対応する額については、配当により個別財務諸表で計上したその他資本剰余金又はその他利益剰余金(繰越利益剰余金)の減額を連結株主資本等変動計算書において修正する。
- 当該処理に伴って減少するその他の包括利益累計額は当期純利益を構成するものではないため、組替調整額(包括利益会計基準第9項)の対象とはならず、連結株主資本等変動計算書における当連結会計年度の増減として表示することとなる。
- また、保有する完全子会社株式の一部を株式数に応じて比例的に配当(按分型の配当)し連結子会社が子会社に該当しなくなり関連会社になった場合、当該会社の個別貸借対照表はもはや連結されないため、連結貸借対照表上、親会社の個別貸借対照表に計上している当該関連会社株式の帳簿価額は、投資の修正額のうち配当後持分額を加減することで、持分法による投資評価額に修正する。この場合、当該持分法による投資評価額には支配喪失以前に費用処理した支配獲得時の取得関連費用を含めない(本報告第46-2項参照)。同様にのれんの未償却額の取扱いは、子会社株式を売却し当該会社に対する支配を喪失して関連会社になった場合ののれんの未償却額の取扱い(本報告第45-2項参照)に準じて行う。
支配を喪失して関連会社にも該当しなくなった場合の処理
- 46-4. 保有する完全子会社株式の全て又は一部を株式数に応じて比例的に配当(按分型の配当)し連結子会社が子会社及び関連会社のいずれにも該当しなくなった場合には、配当前の投資の修正額とこのうち配当後の株式に対応する部分との差額については、原則として、子会社株式の配当に伴う持分変動により増減するものとして、当該差額を連結株主資本等変動計算書上の利益剰余金とその他の包括利益累計額の区分に、子会社株式の配当に伴う増減等その内容を示す適当な名称をもって計上する。ただし、配当前の投資の修正額とこのうち配当後の株式に対応する部分との差額のうち、個別財務諸表上の取得価額に含まれている付随費用及び子会社株式の追加取得等によって生じた資本剰余金のうち配当した部分に対応する額については、配当により個別財務諸表で計上したその他資本剰余金又はその他利益剰余金(繰越利益剰余金)の減額を連結株主資本等変動計算書において修正する。
- 当該処理に伴って減少するその他の包括利益累計額は当期純利益を構成するものではないため、組替調整額(包括利益会計基準第9項)の対象とはならず、連結株主資本等変動計算書における当連結会計年度の増減として表示することとなる。
- また、連結貸借対照表上、残存する当該被投資会社に対する投資は、個別貸借対照表上の帳簿価額をもって評価する(連結会計基準第29項)。このため、完全子会社株式の一部を配当し当該被投資会社に対する投資が残存する場合、配当後の投資の修正額は取り崩し、当該取崩額を連結株主資本等変動計算書上の利益剰余金とその他の包括利益累計額の区分に、連結除外に伴う増減等その内容を示す適当な名称をもって計上する。
子会社の時価発行増資等に伴い親会社の持分が増減した場合の処理
- 47. 子会社の時価発行増資等に伴い、親会社の引受割合が増資前の持分比率と異なるために増資後の持分比率に変動が生ずる場合、一旦、従来の持分比率で株式を引き受け、その後に追加取得(親会社の持分比率が増加する場合)又は一部売却(親会社の持分比率が減少する場合)を行ったものとみなす。したがって、追加取得とみなす場合のみなし取得価額は、増資額のうち、親会社が従来の持分比率により引き受けたとみなした金額を上回る実際引受額であり、一部売却とみなす場合のみなし売却価額は、従来の持分比率により引き受けたとみなした金額を下回る実際引受額である。
- この場合に、株式の発行価格が増資前の1株当たり純資産額と等しければ、みなし取得価額又はみなし売却価額と親会社持分の増加額又は減少額との間に差額は発生しないが、これらが異なるときは親会社の持分変動による差額が生ずることとなる[設例8及び設例9参照]。
- 子会社の時価発行増資等に伴い、親会社の払込額と親会社の持分の増減額との間に差額が生じた場合(親会社と子会社の支配関係が継続している場合に限る。)には、当該差額は資本剰余金として処理され(連結会計基準第30項)、本報告第37項、第39項、第42項及び第44項に準じて計算を行う(連結会計基準(注9)(3))。
- 48. 削 除
- 49. 削 除
連結範囲からの除外に関する取扱い
- 49-2. 支配を喪失して連結範囲から除外する場合でも、子会社株式の追加取得及び一部売却等によって生じた資本剰余金(連結会計基準第28項から第30項)は、引き続き、連結財務諸表上、資本剰余金として計上する。
- なお、資本剰余金が負の値となり、当該負の値を利益剰余金から減額する処理を行っていた場合には、連結範囲から除外された後も当該処理は、連結財務諸表上、引き継がれる(第39-2項参照)。
非支配株主持分の特殊な処理
子会社の欠損の処理
- 50. 子会社の欠損の負担について株主間の合意がある場合、欠損を持分比率に応じ非支配株主に負担させるのではなく、その合意に基づく額を限度として非支配株主に負担させることがある。そのため、連結会計基準第27項では、当該子会社に係る非支配株主持分に割り当てられる額が当該非支配株主の負担すべき額を超える場合には、当該超過額は親会社の持分に負担させ、その後、当該子会社に利益が計上されたときは、親会社が負担した超過欠損額が利益と相殺されて解消するまで、その後の利益の金額を親会社の持分に加算するものとされている。
子会社が発行し外部株主が保有する優先株式の処理
- 51. 子会社の資本に計上されている子会社が発行した優先株式のうち外部株主が出資した金額は、連結財務諸表上、非支配株主持分に含めなければならない。また、子会社が発行した優先株式の株主に対して、優先的権利としての配当金又は累積的配当金等の支払義務が生じている場合には、支払決議が行われているかどうかにかかわらず、優先配当額のうち外部株主持分額を非支配株主に帰属する当期純利益として連結損益計算書に計上する。
- 優先株式の株主が議決権を有しない場合、子会社の資本に含まれている優先株式と優先配当額のうち外部株主に帰属する部分をまず非支配株主持分へ振り替え、残額を親会社の個別財務諸表に計上されている優先株式残高と相殺消去する。振替及び相殺消去を行った後の子会社の資本のうち非支配株主に帰属する額は、普通株式の非支配株主持分比率に基づき算定する。
- 他方、優先株式の株主が議決権を有する場合、連結財務諸表上、子会社の資本のうち非支配株主に帰属する金額は、議決権を有する株式の持分比率に基づき、子会社に対する投資と子会社の資本との相殺消去及び非支配株主に帰属する当期純利益への振替によって非支配株主持分に計上する。
- なお、この場合、当該非支配株主に対する優先配当額を含む配当金支払額は非支配株主持分の減少として処理することになる。
適 用
- 52. 本報告は、資本連結手続に関する改正後の「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」が適用される連結会計年度から適用する。
- 52-2. 「会計制度委員会報告第7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」等の改正について」(2004年4月6日)における会計制度委員会報告第7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」の改正事項は、次のように適用する。
- ① 第30項、第32項及び第33項
減損会計基準及び減損会計適用指針を適用した事業年度から適用することとし、減損会計基準及び減損会計適用指針の適用前の事業年度においては、改正前の第30項、第32項及び第33項を適用するものとする。 - ② 上記①以外
2004年4月6日から適用する。 - 52-3. 「会計制度委員会報告第7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」の改正について」(2006年5月19日)は、会社法(平成17年法律第86号)施行日以後終了する中間連結会計期間に係る中間連結財務諸表及び連結会計年度に係る連結財務諸表から適用する。
- 52-4. 「会計制度委員会報告第7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」の改正について」(2007年3月29日)は、2007年3月29日以後終了する連結会計年度から適用する。ただし、2007年4月1日以後開始する連結会計年度から適用することができる。
- 52-5. 「会計制度委員会報告第7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」の改正について」(2008年3月25日)は、次のとおり適用する。
- ① 第7項、第32項なお書き及び第53項については、2008年4月1日以後開始する連結会計年度及び四半期連結会計期間又は中間連結会計期間から適用する。ただし、第32項なお書きの年度決算におけるのれんの償却の見直しについては、同日前に開始する連結会計年度から適用することができる。
- ② ①以外については、2008年3月25日から適用する。
- 52-6. 「会計制度委員会報告第7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」の改正について」(2009年6月9日)は、連結会計基準第44項の「適用時期等」と同様の時期に適用する。
- 52-7. 2008年改正連結会計基準第44項(3)では、従来、部分時価評価法により評価していた子会社については、その他連結財務諸表に係る事項についての適用初年度の期首において、部分時価評価法により計上されてきた評価差額を、全面時価評価法による評価差額の親会社持分額として引き継ぎ、変更により新たに計上すべき評価差額の少数株主持分額は、親会社持分額を基に、当該日における持分比率により算定することとされている。
- 52-8. 2008年改正連結会計基準第44項(3)では、同会計基準の適用前に実施された企業結合及び事業分離等に関する会計処理及び注記事項についての従前の取扱いは、2008年改正連結会計基準の適用後においても継続するとされているので、連結原則に基づいて会計処理したのれん又は負ののれんについては、借方差額と貸方差額とでは発生原因が異なり、その結果、償却期間及び償却方法も異なってくるため、会計処理上、これらを相殺してはならない。
- 52-9. 「会計制度委員会報告第7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」の改正について」(2011年1月12日)は、2011年1月12日から適用する。
- 52-10. 「会計制度委員会報告第7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」の改正について」(2014年2月24日)は、2013年に改正された企業結合会計基準及び連結会計基準を適用する連結会計年度から適用する。
- 52-11. 「会計制度委員会報告第7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」の改正について」(2014年11月28日)は、2014年11月28日から適用する。
- 52-12. 「会計制度委員会報告第7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」の改正について」(2018年2月16日)は、2018年に公表された税効果適用指針を適用する連結会計年度から適用する。
- 52-13. 「会計制度委員会報告第7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」の改正について」(2022年10月28日)は、2022年10月改正の法人税等会計基準等を適用する連結会計年度から適用する。
- 52-14. 「会計制度委員会報告第7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」の改正について」(2024年3月22日)は、2024年3月22日から適用する。なお、2024年改正の本報告の適用前に行われた自己株式等会計適用指針第10項(2)及び(2-2)で定められた取引について、2024年改正の本報告の適用日における会計処理の見直し及び遡及的な処理は行わないものとする。
- 52-15. 「会計制度委員会報告第7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」の改正について」(2024年5月27日)は、2024年に公表された中間会計基準等を適用する連結会計年度から適用する。
- 52-16. 移管指針第4号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」は、公表日以後適用する。
Ⅱ 結論の背景
本報告の位置付け
- 53. 本報告は、連結会計基準等に基づく実務上の指針を示すことを目的として作成したものである。なお、中間連結財務諸表等の作成基準第二 一では、「中間連結財務諸表は、原則として連結財務諸表の作成に当たって適用される会計処理の原則及び手続に準拠して作成しなければならない。」とされている。また、企業会計基準第37号「期中財務諸表に関する会計基準」(以下「期中会計基準」という。)第9項では、「期中財務諸表の作成のために採用する会計方針は、期中特有の会計処理を除き、原則として年度の財務諸表の作成にあたって採用する会計方針に準拠しなければならない。」とされている。本報告は年度の連結財務諸表だけでなく期中連結財務諸表及び第二種中間連結財務諸表にも適用するものとする。
資本連結手続の意義と範囲
- 54. 削 除
- 54-2. 削 除
資本連結の基準日と連結対象財務諸表の範囲
- 54-3. その他の適切に決算が行われた(第7項参照)とは、子会社において期中会計基準に準じた決算が行われたことを想定している(期中会計基準BC33項)。
子会社の資産及び負債の評価
- 55. 削 除
- 56. 時価評価についての重要性の有無を、個々の貸借対照表項目の時価評価による簿価修正額ごとに判断することとしたのは、これらについて借方に発生するものと貸方に発生するものとを相殺して純額で判断すると、対象となる資産及び負債の実現時点に差が生じた場合、各実現年度の損益に大きな影響を及ぼすことになるからである。
- 57. 連結原則では、部分時価評価法と全面時価評価法の両方の方法が認められていたが、連結会計基準では、全面時価評価法のみが認められている。部分時価評価法の「部分」というのは、子会社の資産及び負債の時価評価に当たり、親会社持分についてのみ時価評価による簿価修正額の計上を行うという意味であり、非支配株主持分については評価差額の計上は行われない。これに対し、全面時価評価法の「全面」というのは、親会社持分のみならず非支配株主持分についても時価評価による簿価修正額の計上を行うという意味である。したがって、部分時価評価法では、資産及び負債のうち親会社持分額についてのみ時価で計上され、全面時価評価法では、連結子会社に属する資産及び負債について時価が付されることとなる。
- なお、資産及び負債の時価評価の結果生じた評価差額は、個別貸借対照表の資本に計上されても投資と資本との相殺消去により消去され、又は非支配株主持分へ振り替えられて連結貸借対照表の資本には計上されない。
- 58. 株式の取得日ごとに子会社の資産及び負債について時価評価を行う部分時価評価法は、連結を親会社による非支配株主からの株式の取得の結果と考えており、株式の取得価額がその時点における子会社の資産及び負債の時価を反映して決定されているはずであるという見方に基づいている。これに対し、支配獲得日においてのみ子会社の資産及び負債について時価評価を行う全面時価評価法は、連結を親会社による非支配株主からの支配権の取得の結果と考えており、一旦取得した支配権については、時価の変動による再評価は必要ないという見方に基づいている。
- 59. 削 除
支配を獲得した場合の処理
- 60. 削 除
- 61. 削 除
- 62. 削 除
- 62-2. のれんの償却開始時期は、原則として、支配獲得日からであり、通常、それは子会社の損益計算書が連結される期間と一致する(第31-2項参照)。しかし、子会社の決算日と連結決算日とが異なり、その差異が3か月を超えない場合には、子会社の決算日現在の財務諸表に基づき連結決算を行うことができるとされていること(第6項参照)、みなし取得日(第7項参照)が認められていることから、支配獲得日を開始日とする期間が、子会社の損益計算書が連結される期間とならない場合がある。この場合には、のれんの償却開始時期は、子会社の損益計算書が連結される期間に合わせて決定することになるものと考えられる。
- 例えば、3月決算の会社が6か月ごとより高い頻度で期中財務諸表を作成する場合において、12月決算の子会社を5月末に取得し、6月末をみなし取得日としたときは、3月決算の親会社の6月末の連結上、子会社の6月末の貸借対照表のみを連結し、9月末の連結上も、子会社の6月末の貸借対照表のみを連結し、10月以降の期間の連結から、子会社の7月以降の損益計算書を連結することになる。この場合、10月以降の期間の連結からのれんの償却を行うことになる。
- 63. 削 除
評価差額の計上後の処理
- 64. 時価評価の対象とされた資産又は負債について、償却、売却、決済等により連結貸借対照表上の簿価が減少した場合、時価評価による簿価修正額及び評価差額も減少することとなるため、その後、それらを個別貸借対照表へ計上するに当たっては、時価評価による簿価修正額の減少した部分に対応する金額(時価評価による簿価修正額に係る償却及び実現損益累計額)を控除しなければならない。その結果、当該控除した金額は投資と資本との相殺消去において利益剰余金として処理する。
- 例えば、他の会社の株式を取得して子会社とするに当たり、建物の簿価を評価増しして、その結果評価差額を純資産の部に100計上したとすると、資本連結のための個別財務諸表に対して以下の仕訳が必要となる。

- 個別財務諸表における建物のその後の減価償却(残存償却期間20年の定額法)に合わせて、時価評価による簿価修正額を減額する必要があり、減価償却の修正を以下のように行う。

- この結果、翌期首における個別財務諸表への評価差額の計上仕訳は以下のとおりとなる。

- したがって、投資と相殺される子会社の資本は、評価差額の残高95及び前年度に減価償却された時価評価による簿価修正額の利益剰余金影響額5を含むことになる。その結果、資本連結仕訳は以下のとおりとなる。

- なお、時価評価の対象となった資産又は負債がその後売却又は決済された場合にも、上記と同様に時価評価による簿価修正額及び評価差額の減額修正が必要となる。
株式の段階取得により持分法適用会社が連結子会社となった場合の処理
- 65. 持分法適用時には、被投資会社の資産及び負債について時価評価を行うこととなっており、持分法適用会社が関連会社の場合、部分時価評価法により評価が行われる。
- 持分法適用関連会社が連結子会社となった場合、支配獲得時における時価により評価がやり直される。関連会社が連結子会社となったときの持分法による投資評価額に含まれている評価差額及びのれんの引継ぎについて、次の二つの考え方がある。
- 一つは、支配獲得時の時価に基づき、持分法による投資評価額に含まれている評価差額及びのれんの残高を修正し、評価差額及びのれんに引き継ぐ考え方である。
- 他の一つは、持分法による投資評価額に含まれている評価差額及びのれんの残高を、支配獲得日における時価評価の結果得られた評価差額及び資本連結手続の結果生ずるのれんにそれぞれ包含してしまう考え方である。
- 本報告では、実務の便宜を考慮し、後者の処理によることとした。
- なお、支配獲得後ののれんの償却については、持分法による投資評価額に含まれているのれんの未償却額は支配獲得日に計上されたものとみなし、支配獲得により生じたのれんに包含して、新たな償却期間にわたり償却を行っていくものとした(第36項参照)。
- 66. 持分法適用会社が非連結子会社の場合、支配獲得時から全面時価評価法が適用されているため、当該非連結子会社が連結子会社となっても評価差額及びのれんをそのまま引き継ぐ処理を行う(持分法会計基準第26-2項)。
親会社と子会社の支配関係が継続している場合(一部売却)のその他の包括利益累計額の処理
- 66-2. 子会社株式の一部を売却したが、親会社と子会社の支配関係が継続している場合、子会社に係るその他の包括利益累計額(その他有価証券評価差額金、退職給付に係る調整累計額など)については、次のように処理することとなる。
- (前 提)

- * 子会社が支配獲得後に計上したその他有価証券評価差額金の売却持分相当額
- ① 個別財務諸表上の会計処理

- ② 連結財務諸表上の会計処理

- ③ ①及び②から連結修正仕訳は次のようになる。

子会社株式の追加取得及び一部売却に係るのれんの償却負担
- 66-3. 2013年改正連結会計基準により、子会社株式の追加取得及び一部売却(親会社と子会社の支配関係が継続している場合に限る。)が行われた場合、追加取得持分と追加投資額との間に生じた差額は資本剰余金として処理され、また、売却持分と売却価額との間に生じた差額も資本剰余金として処理されることとなった。
- また、のれんが計上されるのは支配を獲得した時点ということとなり、親会社と子会社の支配関係が継続している場合には、たとえ親会社の持分変動があったとしても、支配獲得時に計上したのれんの未償却額を減額しないこととされた(第44項参照)。
- このため、一部売却して持分が減少したとしても、当初に支配を獲得した持分に対応するのれんの償却額は、親会社株主に帰属する当期純利益に全額計上することとなる。
- 例えば、親会社が80%の株式を取得し子会社としたが、その後、20%の株式を売却し60%の持分比率となっている場合、親会社と子会社の支配関係が継続しているため、20%の株式の売却時点では支配獲得時に計上したのれんの未償却額は減額されない。このとき親会社の持分比率は60%となるが、のれんは支配を獲得した時点の80%に相当する分が計上され、償却し続けることとなる。この場合、親会社は子会社の損益のうち60%に相当する分を、連結財務諸表上、親会社株主に帰属する当期純利益に計上することとなるが、のれんの償却額の全額についても親会社株主に帰属する当期純利益に計上することとなり、非支配株主に帰属する当期純利益にのれんの償却額は計上されないこととなる。
複数の取引が一つの企業結合等を構成している場合ののれんの償却
- 66-4. 複数の取得の取引が一つの企業結合等を構成しているものとして一体として取り扱われる場合、取得した持分に対するのれんも一体として計上されることになるため、追加取得した取引においても、資本剰余金ではなく、のれんが計上されることとなる。したがって、追加取得した持分に係るのれんの償却額は、当該のれんが支配獲得時に計上されていたものとして計算し、追加取得時において支配獲得時から追加取得時までの償却分も含めて追加取得時から償却計算を行うこととした。例えば、3月決算の会社が6か月ごとより高い頻度で期中財務諸表を作成する場合において、4月から6月までの期間に60%の株式を取得して支配を獲得し連結子会社となり、同一事業年度内の10月から12月までの期間に20%の株式を追加取得し80%の持分比率となる連結子会社がある場合で、これらの取引が一体のものとして取り扱われたものとする。ここで、追加取得した20%の株式取得の際にのれんが計上される場合には、当該のれんについては、支配獲得時(4月から6月までの期間の60%の株式取得時)に計上されていたものとして、10月から12月までの期間から、4月から9月までの期間の償却分も含めて償却計算を行う。
投資の修正額
- 66-5. 第45項の投資の修正額には、例えば、次のものが含まれる。実務上、投資の修正額を算定するケースは様々であるが、下記の①から⑤が一律に計算対象となるわけではなく、ケースに応じて検討することとなる。
- ① 取得後利益剰余金
- ② 取得後のその他の包括利益累計額
- ③ のれん償却累計額、負ののれん発生益、段階取得に係る損益、未実現損益の消去、付随費用
- ④ 資本剰余金として処理された追加取得時の親会社の持分変動による差額
- ⑤ 子会社株式を一部売却した際に減額されなかったのれんの未償却額
- 2014年改正前第45項では、売却前の投資の修正額と売却後の投資の修正額について、以下の算式を用いていた。

- 2013年改正連結会計基準では、支配が継続している期間に子会社に対する親会社の持分変動が生じたときには、上記④又は⑤が発生することがある。これらが発生していない場合には、2014年改正前第45項の算式を用いることができると考えられる。
- 投資の修正額を算定する場合の一例として、親会社が株式を取得して支配を獲得し子会社とした後、支配が継続している期間に子会社に対する親会社の持分変動が生じ、その後、子会社株式の一部売却により連結子会社から持分法適用関連会社となるケースが考えられる。
- このケースにおいて、支配が継続しているときの持分変動により上記④又は⑤が発生している場合には、2014年改正前第45項の算式を用いることができないことが考えられる。本報告の設例5及び設例6において、このような場合について取り扱っている。
支配を喪失して関連会社になった場合ののれんの未償却額の取扱い
- 66-6. 支配獲得後に追加取得や一部売却等が行われて持分比率が増加又は減少した後、支配を喪失して関連会社になった場合には、のれんの未償却額のうち売却した株式に対応する額及び関連会社として残存する持分比率に相当するのれんの未償却額の算定方法が論点となる。
- これは、2013年改正前連結会計基準第28項では、子会社株式の追加取得が行われた場合、追加取得持分と追加投資額との間に生じた差額は、のれん又は負ののれんとして処理することとされていたが、2013年改正連結会計基準第28項では、当該差額を資本剰余金として処理することとされたこと、また、一部売却をしても支配が継続している場合にはのれんの未償却額の減額を行わないこととされたことに起因するものである。
- 支配を喪失して関連会社になった場合におけるのれんの未償却額の算定に当たっては、幾つかの考え方があり得るが、支配獲得後の持分比率の推移等を勘案し、のれんの未償却額のうち、支配獲得時の持分比率に占める関連会社として残存する持分比率に相当する額を算定する方法や支配喪失時の持分比率に占める関連会社として残存する持分比率に相当する額を算定する方法などの中から、適切な方法に基づき、関連会社として残存する持分比率に相当するのれんの未償却額を算定することとなる(第45-2項参照)。
- なお、2013年改正連結会計基準適用前に生じたのれんの未償却額について、支配獲得時の持分比率に占める関連会社として残存する持分比率に相当する額を算定する方法を用いる場合、支配獲得時の持分比率に代えて、2013年改正連結会計基準の適用時点における持分比率を基礎として、売却後の持分に対応するのれん残高を算定することとする。
取得関連費用の取扱い
- 66-7. 2013年改正企業結合会計基準により、第8項のとおり、連結財務諸表上、子会社株式の取得関連費用は発生した連結会計年度の費用として処理されるが、個別財務諸表においては、付随費用は取得価額に含めることとされた。
- このように、付随費用は個別財務諸表上の売却簿価に含まれるが、連結財務諸表上の売却持分には含まれないこととなり、差額が発生することとなる。
- 連結財務諸表上、取得関連費用は発生時に費用処理されていることから、個別財務諸表上の取得価額に含まれている付随費用のうち売却した部分に対応する額については、連結財務諸表上、個別財務諸表に計上した子会社株式売却損益の修正として取り扱い、引き続き保有する部分に対応する額については、子会社株式売却損益の修正とはせず、子会社が連結子会社及び関連会社のいずれにも該当せず連結範囲から除外される際に、連結株主資本等変動計算書上の利益剰余金の区分に連結除外に伴う利益剰余金減少高(又は増加高)等その内容を示す適当な名称をもって計上することとした。
- 持分法を適用する関連会社については、持分法の適用に際して付随費用は投資原価に含まれる。しかし、支配を喪失して子会社から関連会社となり、持分法を適用することとなった場合には、連結財務諸表上、支配獲得時に生じた取得関連費用は発生時に費用処理されていることから、関連会社株式の投資原価には付随費用を含めないこととした。
- 例えば、他社の発行済株式の100%を対価1,000で取得し、付随費用100を支払った場合、個別財務諸表上の子会社株式の簿価は1,100となり、連結財務諸表上の簿価は1,000となる。その後、持分の90%を売却し支配を喪失して関連会社にも該当しなくなった場合、個別財務諸表上の売却した株式(90%)に含まれる付随費用90は、連結財務諸表上において子会社株式売却損益の修正額の一部となるが、残存する持分(10%)に含まれる付随費用10は子会社株式売却損益の修正とはせず、連結除外に伴う利益剰余金減少高(又は増加高)等その内容を示す適当な名称をもって計上することとなる。
支配を喪失して関連会社になった場合(完全子会社株式の配当)の処理
- 66-8. 2024年に改正された自己株式等会計適用指針では、保有する完全子会社株式の一部を株式数に応じて比例的に配当(按分型の配当)し子会社株式に該当しなくなった場合には、配当の効力発生日における配当財産の適正な帳簿価額をもってその他資本剰余金又はその他利益剰余金(繰越利益剰余金)を減額する取扱いが新たに定められた(自己株式等会計適用指針第10項(2-2))。これを踏まえ、個別財務諸表における当該取扱いと同じ範囲について、連結財務諸表上の取扱いを定めることとした。その際、保有する完全子会社株式の全て又は一部を株式数に応じて比例的に配当(按分型の配当)を行う場合のいずれも対象となるよう併せて定めている。
- 子会社株式の一部売却により当該会社が関連会社になった場合、売却前の投資の修正額とこのうち売却後の株式に対応する部分との差額(その他の包括利益累計額を除く。)について、個別財務諸表で計上した子会社株式売却損益の修正として処理することになるが(本報告第45項参照)、自己株式等会計適用指針第10項(2-2)は、保有する完全子会社株式を株式数に応じて比例的に配当(按分型の配当)し子会社株式に該当しなくなった場合には、配当財産の時価ではなく配当財産の適正な帳簿価額をもって、その他資本剰余金又はその他利益剰余金(繰越利益剰余金)を減額するとしている。この点、個別財務諸表における取扱いを設けたのと同じ理由(自己株式等会計適用指針第38-2項)から配当財産の時価で配当したとはせず、個別財務諸表における配当の処理に加えて、連結財務諸表上、配当前の投資の修正額とこのうち配当後の株式に対応する部分との差額を連結株主資本等変動計算書において処理することとした。
- ここで、配当前の投資の修正額とこのうち配当後の株式に対応する部分との差額は、主として連結財務諸表上の会計処理から生じるものであることから個別財務諸表上の配当に関する会計処理と関連させず、原則として、親会社持分の減少から生じたものとして、連結株主資本等変動計算書上の利益剰余金とその他の包括利益累計額の区分に、子会社株式の配当に伴う増減等その内容を示す適当な名称をもって計上することとした。
- この点に関連して、審議の過程において、支配獲得時の付随費用及び子会社株式の追加取得等によって生じた資本剰余金について、取扱いの明確化を求める意見が聞かれた。
- まず、配当前の投資の修正額とこのうち配当後の株式に対応する部分との差額のうち、支配獲得時の付随費用については、個別財務諸表における会計処理(付随費用)と連結財務諸表における会計処理(取得関連費用)で考え方が異なっており、個別財務諸表上、配当財産の適正な帳簿価額には付随費用が含まれていることから、連結財務諸表の観点からは、個別財務諸表上のその他資本剰余金又はその他利益剰余金(繰越利益剰余金)の減額が付随費用のうち配当した株式に対応する部分だけ多くなっていると考えられる。
- 次に、子会社株式の配当により支配を喪失して連結範囲から除外する場合においては、当該子会社株式の追加取得及び一部売却等によって生じた資本剰余金は、引き続き、連結財務諸表上、資本剰余金として計上する(本報告第49-2項参照)。一方、個別財務諸表上、配当財産の適正な帳簿価額には追加取得等による資本剰余金に相当する金額が含まれており、配当によって追加取得等による資本剰余金に相当する金額も含めたところでその他資本剰余金又はその他利益剰余金(繰越利益剰余金)が減額されている。この結果、連結財務諸表の観点からは、個別財務諸表上のその他資本剰余金又はその他利益剰余金(繰越利益剰余金)の減額が追加取得等による資本剰余金のうち配当した株式に対応する部分だけ多く又は少なくなっていると考えられる。
- このため、連結財務諸表の観点から、個別財務諸表上の取得価額に含まれている付随費用と当該子会社株式の追加取得等によって生じた資本剰余金のうち配当した部分に対応する額については、配当により個別財務諸表で計上したその他資本剰余金又はその他利益剰余金(繰越利益剰余金)の減額を連結株主資本等変動計算書において修正することとした。
- さらに、配当処理に伴って減少するその他の包括利益累計額は、連結財務諸表上の当期純利益を構成しないため、組替調整額(包括利益会計基準第9項)の対象とはならず、連結株主資本等変動計算書における当連結会計年度の増減として表示することとした。
- これらに加え、のれんの未償却額の取扱いなど、保有する完全子会社株式の一部を株式数に応じて比例的に配当(按分型の配当)し当該会社が関連会社になった場合におけるその他の連結財務諸表上の処理については、子会社株式の一部売却の会計処理に準じて処理することとした。
支配を喪失して関連会社にも該当しなくなった場合(完全子会社株式の配当)の処理
- 66-9. 保有する完全子会社株式の全て又は一部を株式数に応じて比例的に配当(按分型の配当)し連結子会社が子会社及び関連会社のいずれにも該当しなくなった場合の連結財務諸表上の取扱いについては、当該会社が関連会社になった場合の取扱いと同様に、配当財産の時価で配当したとはせず、個別財務諸表における配当の処理に加えて、連結財務諸表上、配当前の投資の修正額とこのうち配当後の株式に対応する部分との差額を連結株主資本等変動計算書において処理することとした。
- ただし、当該会社が子会社にも関連会社にも該当しなくなった場合には、関連会社になった場合と異なり、連結貸借対照表上、残存する当該被投資会社に対する投資を個別貸借対照表上の帳簿価額をもって評価する(連結会計基準第29項)こととなるため、完全子会社株式の一部を配当し当該被投資会社に対する投資が残る場合における残存する投資の取扱いについて本報告第46項と同じ処理を定めることとした。
- 66-10. 完全子会社株式の配当の効力発生日が当該子会社の決算日以外の日である場合があり得るが、連結会計基準(注5)の「売却日等」には完全子会社株式を配当し子会社又は関連会社に該当しなくなる場合の配当の効力発生日についても含まれると考えられるため、配当の効力発生日の前後いずれかの決算日を基準日として投資の修正額を算定することが認められると考えられる。
子会社の時価発行増資等に伴い親会社の持分が増減した場合の処理
- 67. 2013年改正前連結会計基準第67項では、「子会社の時価発行増資等において、親会社の引受割合が従来の持分比率と異なり、かつ、発行価格が従来の1株当たりの純資産額と異なる場合には、親会社の払込額と当該増資等による親会社の持分の増減額との間に差額が生じる。この差額は、当該増資等に伴う持分比率の変化によって、親会社の持分の一部が少数株主持分に、又は少数株主持分が親会社の持分に振り替わることから生じるものである。1997年連結原則では、連結財務諸表上の払込資本は親会社の株主の払込資本のみであり、子会社の払込資本は連結上の払込資本を構成しないと解釈していることから、親会社の増減資によらないこのような差額は、連結上の払込資本を構成しないこととされた。」として、従来一部で行われていた資本剰余金として処理するような実務が排除されている。そして、「この場合、当該差額は、損益として処理することを原則とする」としながらも、「子会社の時価発行増資等による持分変動は企業集団の業績とは無関係であるとの意見があることに鑑み、発生の頻度、金額の異常性等を勘案して、利害関係者の判断を著しく誤らせるおそれがあると認められる場合には、利益剰余金に直接加減することができる。」としていた。
- 2013年改正連結会計基準では、子会社の時価発行増資等に伴い、親会社の払込額と親会社の持分の増減額との間に差額が生じた場合(親会社と子会社の支配関係が継続している場合に限る。)には、当該差額を資本剰余金とする(連結会計基準第30項)とされたことから、第48項及び第49項を削除した。
- 68. 削 除
連結範囲からの除外に関する取扱い
- 68-2. 第49-2項のとおり、支配を喪失して連結範囲及び持分法適用範囲から除外されたとしても、過去の追加取得又は一部売却取引で計上された資本剰余金を取り崩さず、結果として、資本剰余金は子会社でも関連会社でもなくなってもそのまま計上されることとなる。これは、支配継続中の一部売却等の取引は、親会社と子会社の非支配株主との間の取引であり、当該取引によって生じた資本剰余金は子会社に帰属するものではないためである。
非支配株主持分の特殊な処理
- 69. 株式会社の株主は株主有限責任の原則により出資額を限度とする責任を負えばよいこととなっているが、親会社は子会社の債権者に対して、保証債務等の契約に基づく責任を負う場合が多いだけでなく、親会社の経営責任や信用保持のための経営判断等から当該子会社の債務の肩代わりなどを行う可能性も高い。このような場合、通常、非支配株主の負担すべき額は非支配株主の出資額に限定される。しかしながら、特定の非支配株主と親会社又は他の株主や債権者との間で子会社の債務の引受けなど、出資を超えた非支配株主による負担が合意されている場合がある。このような場合には、当該負担額まで非支配株主持分に欠損の負担を行わせ、それを超える欠損額はその後子会社に利益が計上され、超過欠損額が相殺されるまで親会社が負担するものとしている。
- 70. 優先株式の内容は様々であり、一般に、優先株式の株主は議決権を有しない代わりに配当又は累積的配当を受ける優先権、残余財産の分配に関する優先権を有する場合が多いが、株主が議決権を有する場合もある。
- 優先株式の株主が議決権を有するか否かにかかわらず、その株主のうち外部株主は非支配株主に属するため、子会社の資本のうち外部株主持分は非支配株主持分に計上するものとした。具体的には、子会社が発行した優先株式のうち外部株主の出資による金額は親会社に帰属するものではないため、連結財務諸表上、非支配株主持分に含めなければならないこととした。優先株式の株主が議決権を有しない場合、優先株式と優先配当額を除く子会社の資本のうち外部株主に帰属する額を、普通株式の持分比率に基づき算定し、非支配株主持分に計上するものとした。他方、優先株式の株主が普通株式と同等の財産分配権を持ち、かつ、議決権も有する場合には、優先株式を含む子会社の資本のうち非支配株主(外部株主)に帰属する額を、議決権株式の持分比率に基づき算定し、非支配株主持分に計上するものとした。
適 用
- 71. これまで自己株式等会計適用指針第10項(2)が適用される保有する完全子会社株式の全てを株式数に応じて比例的に配当(按分型の配当)を行う場合の連結財務諸表上の取扱いについては定められていなかった。このため、2024年改正の本報告では、自己株式等会計適用指針第10項(2-2)が適用される保有する完全子会社株式の一部を株式数に応じて比例的に配当(按分型の配当)を行う場合に関する連結財務諸表上の取扱いを定めるとともに、自己株式等会計適用指針第10項(2)が適用される保有する完全子会社株式の全てを株式数に応じて比例的に配当(按分型の配当)を行う場合に関する連結財務諸表上の取扱いについても併せて定めることとした。
- ここで2024年改正の本報告の適用前に自己株式等会計適用指針第10項(2)及び(2-2)が適用される取引を行っていた場合で2024年改正の本報告の会計処理と異なる会計処理を行っていた場合、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として遡及適用の対象になると考えられる。しかしながら、遡及適用することにより実務に影響を与えることを避けるため、2024年改正の本報告の適用日における会計処理の見直し及び遡及的な処理は行わないものとする経過的な取扱いを設けることとした。
Ⅲ 設例による解説
- 以下では、本報告による会計処理等について、理解を深めるために設例による解説を示すこととする。
- 設例は、本報告で示された全ての会計処理等を網羅しているわけではなく、前提条件に示された状況に適合するものである。したがって、前提条件が異なれば、それに適合する会計処理等も異なる場合があり、この場合には本報告で示されている会計処理等を参照することが必要となる。なお、設例で示された金額や比率などの数値は、特別な意味を有するものではなく、説明の便宜のために用いられているにすぎない。
- <設例全般の前提条件>
ア.持分比率10%は原価法適用会社、30%は持分法適用会社、50%超は連結子会社とする。
イ.子会社の土地以外の資産及び負債には、重要な時価評価による簿価修正額はないものとする。
ウ.親子会社間取引はないものとする。
エ.設例7-2及び設例7-3における株式の配当を除き、親会社及び子会社とも剰余金の配当による社外流出は行わなかったものとする。
オ.のれんの償却は、設例1、設例3、設例5、設例6、設例7-2、設例7-3及び設例10を除き行わないものとする。
カ.その他有価証券評価差額金及び時価評価による簿価修正額についての税効果は、設例10を除き考慮しないものとする。また、のれん償却額について、親会社の投資に係る税効果は認識しないものとする。関連する法人税等(連結会計基準(注9)(2))についても考慮しないものとする。
設例
- [設例1] 株式の一括取得により持分比率が0%から60%(連結)になった場合
- 1.新規取得年度
- <前提条件>
- ア.P社はS社株式60%をX1年3月31日に900で取得し、S社を連結子会社とした。
- イ.S社の資産のうち土地は800(簿価)であり、その時価はX1年3月31日1,000である。
- ○ 個別貸借対照表(X1年3月31日)

- a.S社修正後貸借対照表(X1年3月31日)
- ○ S社修正仕訳
- ・ 土地に係る評価差額の計上
- S社の支配獲得日(X1年3月31日)の土地に係る評価差額について、その全額をS社の資本に計上する。

- * 1,000-800=200
- ○ S社修正後貸借対照表 X1年3月31日

- b.連結貸借対照表(X1年3月31日)
- ○ 連結修正仕訳
- ・ P社の投資(S社株式)とS社の資本との相殺消去及びのれんの計上
- S社のX1年3月期の修正後貸借対照表に基づき、P社のS社株式とS社の資本との相殺消去及び非支配株主持分への振替を行い、消去差額をのれんに計上する。全面時価評価法では、評価差額は親会社持分額及び非支配株主持分額が計上されるため、非支配株主持分にも評価差額が含まれる。」

- *1 (500+200+200)×40%=360
- *2 900-(500+200+200)×60%=360
- ○ 連結貸借対照表 X1年3月31日

- ○ P社投資(S社株式)とS社資本の関連図

- 2.翌年度
- <前提条件>
- ・ のれんは、10年間で均等償却を行うものとする。
- ○ 個別貸借対照表(X2年3月31日)

- (注)( )の当期純利益の額は、繰越利益剰余金の内数である(以下、同じ。)。
- a.S社修正後貸借対照表(X2年3月31日)
- ○ S社修正仕訳
- ・ 土地に係る評価差額の計上
- S社の支配獲得日(X1年3月31日)の土地に係る評価差額について、その全額をS社の資本に計上する。

- * 1,000-800=200
- ○ S社修正後貸借対照表 X2年3月31日

- b.連結貸借対照表(X2年3月31日)
- ○ 連結修正仕訳
- ・ 開始仕訳
- S社に関するX1年3月期の連結修正仕訳に基づき開始仕訳を行う。

- ・ のれんの償却
- S社の支配獲得日(X1年3月31日)に計上されたのれんについて、X2年3月期から10年間で定額法により償却を行う。

- * 360×1/10=36
- ・ 非支配株主に帰属する当期純利益の計上
- S社のX2年3月期の当期純利益のうち非支配株主持分額を非支配株主持分に振り替える。

- * 300×40%=120
- ○ 連結貸借対照表 X2年3月31日

- ○ P社投資(S社株式)とS社資本の関連図

- [設例2] 株式の段階取得により持分比率が10%(原価法)から60%(連結)になった場合
- 1.新規取得年度(原価法)
- <前提条件>
- ア.P社はS社株式10%をX1年3月31日に150で取得し、S社を原価法適用会社とした。
- イ.S社の資産のうち土地は800(簿価)であり、その時価はX1年3月31日1,000である。
- ○ 個別貸借対照表(X1年3月31日)

- 2.追加取得年度
- <前提条件>
- ア.P社はS社株式50%をX2年3月31日に1,000で追加取得し、S社を連結子会社とした(合計60%、個別財務諸表上の取得原価1,150)。
- イ.X2年3月31日のS社株式1%の時価は20であるので、アのとおり、50%分の追加取得は1,000となっている。
- ウ.S社の資産のうち土地は800(簿価)であり、その時価はX2年3月31日1,200である。
- ○ 個別貸借対照表(X2年3月31日)

- a.S社修正後貸借対照表(X2年3月31日)
- ○ S社修正仕訳
- ・ 土地に係る評価差額の計上
- S社の支配獲得日(X2年3月31日)の土地に係る評価差額について、その全額をS社の資本に計上する。

- * 1,200-800=400
- ○ S社修正後貸借対照表 X2年3月31日

- b.連結貸借対照表(X2年3月31日)
- ○ 連結修正仕訳
- ・ P社の投資(S社株式)を支配獲得日の時価で評価
- P社の個別財務諸表上の取得原価(S社株式)を、連結財務諸表上、支配獲得日の時価で評価する。
- X2年3月31日に追加取得した50%分は時価で取得し評価されているので、従来、取得していた10%分の取得原価150を、X2年3月31日の時価(1%の時価は20であるので、時価評価額は200(=10×20))で評価し、取得原価との差額50(=200-150)を「段階取得に係る差益」として処理する。

- * 200-150=50
- ・ P社の投資(S社株式)とS社の資本との相殺消去及びのれんの計上
- S社のX2年3月期の修正後貸借対照表に基づき、P社のS社株式とS社の資本との相殺消去及び非支配株主持分への振替を行い、消去差額をのれんに計上する。全面時価評価法では、評価差額は親会社持分額及び非支配株主持分額が計上されるため、非支配株主持分にも評価差額が含まれる。

- *1 (500+300+400)×40%=480
- *2 1,200-(500+300+400)×60%=480
- ○ 連結貸借対照表 X2年3月31日

- ○ P社投資(S社株式)とS社資本の関連図

- [設例3] 株式の段階取得により持分比率が30%(持分法)から60%(連結)になった場合
- 1.新規取得年度
- <前提条件>
- ア.P社はS社株式30%をX1年3月31日に450で取得し、S社を持分法適用会社とした。P社にはS社以外に連結子会社があり、連結財務諸表を作成するものとする。ただし、本設例で示す連結貸借対照表では、便宜上、S社以外の子会社に関する事項は、全て除外して示している。
- イ.S社の資産のうち土地は800(簿価)であり、その時価はX1年3月31日1,000である。
- ウ.のれんは、10年間で均等償却を行うものとする。
- ○ 個別貸借対照表(X1年3月31日)

- a.(仮)S社修正後貸借対照表(X1年3月31日)
- 持分法適用会社の場合、資産及び負債を連結するわけではないため修正後貸借対照表を作成する必要はないが、理解の便宜のためS社の修正後貸借対照表を示すこととする。なお、S社保有土地に係る評価差額は60(=(1,000-800)×30%)である。
- ○ S社修正後貸借対照表 X1年3月31日

- b.連結貸借対照表(X1年3月31日)
- ○ 連結貸借対照表 X1年3月31日

- ○ P社投資(S社株式)とS社資本の関連図

- 2.追加取得年度
- <前提条件>
- ア.P社はS社株式30%をX2年3月31日に600で追加取得し、S社を連結子会社とした(合計60%個別財務諸表上の取得原価1,050)。
- イ.X2年3月31日のS社株式1%の時価は20であるので、アのとおり、30%分の追加取得は600となっている。
- ウ.S社の資産のうち土地は800(簿価)であり、その時価はX2年3月31日1,200である。
- エ.のれんは、10年間で均等償却を行うものとする。
- ○ 個別貸借対照表(X2年3月31日)

- a.S社修正後貸借対照表(X2年3月31日)
- ○ S社修正仕訳
- ・ 土地に係る評価差額の計上
- S社の支配獲得日(X2年3月31日)の土地に係る評価差額について、その全額をS社の資本に計上する。

- * 1,200-800=400
- ○ S社修正後貸借対照表 X2年3月31日

- b.連結貸借対照表(X2年3月31日)
- ○ 連結修正仕訳
- ・ のれんの償却
- S社の株式取得日(X1年3月31日)に認識されたのれんについて、X2年3月期から10年間で定額法により償却を行う。

- * 180×1/10=18
- ・ 持分法による投資利益の計上
- S社のX2年3月期の当期純利益のうち親会社持分額を持分法による投資利益として計上し、S社株式を増額する。

- * 100×30%=30
- ・ P社の投資(S社株式)を支配獲得日の時価で評価
- P社の持分法による評価額(S社株式)を、連結財務諸表上、支配獲得日の時価で評価する。
- X2年3月31日に追加取得した30%分は時価で取得し評価されているので、従来、取得していた30%分の持分法による評価額462(=30%分の取得原価450-のれんの償却18+持分法による投資利益30)を、X2年3月31日の時価(1%の時価は20であるので、時価評価額は600(=30×20))で評価し、持分法による評価額との差額138(=600-462)を「段階取得に係る差益」として処理する。

- ・ P社の投資(時価評価後S社株式)とS社の資本との相殺消去及びのれんの計上
- S社のX2年3月期の修正後貸借対照表に基づき、P社のS社株式(時価評価後)とS社の資本との相殺消去及び非支配株主持分への振替を行い、消去差額をのれんに計上する。全面時価評価法では、評価差額は親会社持分額及び非支配株主持分額が計上されるため、非支配株主持分にも評価差額が含まれる。

- *1 1,050-18+30+138=1,200
- *2 (500+300+400)×40%=480
- *3 1,200-(500+300+400)×60%=480
- ○ 連結貸借対照表 X2年3月31日

- ○ P社投資(S社株式)とS社資本の関連図

- *1 600(30%分の時価)-{450(30%分の取得原価)+持分法による投資利益30-投資評価額に含まれていたのれん償却額18}=138
- 3.翌年度
- <前提条件>
- ・ のれんは、10年間で均等償却を行うものとする。
- ○ 個別貸借対照表(X3年3月31日)

- a.S社修正後貸借対照表(X3年3月31日)
- ○ S社修正仕訳
- ・ 土地に係る評価差額の計上
- S社の支配獲得日(X2年3月31日)の土地に係る評価差額について、その全額をS社の資本に計上する。

- * 1,200-800=400
- ○ S社修正後貸借対照表 X3年3月31日

- b.連結貸借対照表(X3年3月31日)
- ○ 連結修正仕訳
- ・ 開始仕訳
- S社に関するX2年3月期の連結修正仕訳に基づき開始仕訳を行う。

- * -18+30+138=150
- ・ のれんの償却
- 支配獲得日(X2年3月31日)現在の投資評価額に含まれていたのれんの未償却額162(=180-18)を含むのれん計上額480を、当該日に新規に計上されたものとみなして、X3年3月期から10年間で定額法により償却を行う。

- * 480×1/10=48
- ・ 非支配株主に帰属する当期純利益の計上
- S社のX3年3月期の当期純利益のうち非支配株主持分額を非支配株主持分に振り替える。

- * 200×40%=80
- ○ 連結貸借対照表 X3年3月31日

- ○ P社投資(S社株式)とS社資本の関連図

- [設例4] 株式の一部売却により持分比率が80%(連結)から30%(持分法)になった場合
- 1.新規取得年度
- <前提条件>
- ア.P社はS社株式80%をX2年3月31日に1,200で取得し、S社を連結子会社とした。
- イ.S社の資産のうち土地は 800(簿価)であり、その時価はX2年3月31日1,200である。
- ○ 個別貸借対照表(X2年3月31日)

- a.S社修正後貸借対照表(X2年3月31日)
- ○ S社修正仕訳
- ・ 土地に係る評価差額の計上
- S社の支配獲得日(X2年3月31日)の土地に係る評価差額について、その全額をS社の資本に計上する。

- * 1,200-800=400
- ○ S社修正後貸借対照表 X2年3月31日

- b.連結貸借対照表(X2年3月31日)
- ○ 連結修正仕訳
- ・ P社の投資(S社株式)とS社の資本との相殺消去及びのれんの計上
- S社のX2年3月期の修正後貸借対照表に基づき、P社のS社株式とS社の資本との相殺消去及び非支配株主持分への振替を行い、消去差額をのれんに計上する。全面時価評価法では、評価差額は親会社持分額及び非支配株主持分額が計上されるため、非支配株主持分にも評価差額が含まれる。

- *1 (500+300+400)×20%=240
- *2 1,200-(500+300+400)×80%=240
- ○ 連結貸借対照表 X2年3月31日

- ○ P社投資(S社株式)とS社資本の関連図

- 2.一部売却年度
- <前提条件>
- ・ P社はS社株式の50%(簿価750)をX3年3月31日に810で売却し(株式売却益60を計上)、S社を持分法適用会社(持分比率30%、簿価450)とした。P社にはS社以外に連結子会社があり、連結財務諸表を作成するものとする。ただし、本設例で示す連結貸借対照表及び連結精算表では、便宜上、S社以外の子会社に関する事項は、全て除外して示している。
- ○ 個別貸借対照表(X3年3月31日)

- a.S社修正後貸借対照表(X3年3月31日)
- ○ S社修正仕訳
- ・ 土地に係る評価差額の計上
- S社の支配獲得日(X2年3月31日)の土地に係る評価差額について、その全額をS社の資本に計上する。

- * 1,200-800=400
- ○ S社修正後貸借対照表 X3年3月31日

- b.連結貸借対照表(X3年3月31日)
- ○ 連結修正仕訳
- ・ 開始仕訳
- S社に関するX2年3月期の連結修正仕訳に基づき開始仕訳を行う。

- ・ 非支配株主に帰属する当期純利益の計上
- S社のX3年3月期の当期純利益のうち非支配株主持分額を非支配株主持分に振り替える。

- * 100×20%=20
- ・ 開始仕訳の振戻し
- S社株式の一部売却に伴いS社は持分法適用会社となるため、P社のS社株式とS社の資本との相殺消去及び非支配株主持分への振替に関する開始仕訳を振り戻す。

- ・ S社貸借対照表連結除外仕訳
- S社株式は期末(X3年3月31日)に売却されたため、S社のX3年3月期の損益計算書のみを連結し、X3年3月期の貸借対照表は連結除外とする。

- ・ 持分法による評価及び非支配株主持分の振戻し
- 連結除外年度(X3年3月期)に計上されたS社の当期純利益を取得後利益剰余金として計上し、そのうち売却前の親会社持分額を投資の修正額としてS社株式に加算する。

- *1 100×80%=80
- *2 100×20%=20
- ・ 株式売却損益の修正
- S社株式の投資の修正額のうち、売却持分に対応する部分を株式売却益から控除する。

- * 80×50%/80%=50
- ○ 連結貸借対照表 X3年3月31日

- ○ P社投資(S社株式)とS社資本の関連図

- <連結精算表(X3年3月31日)>

- (注)上記では、子会社株式を期末に売却したため、当該期間の子会社の経営成績を反映させるとの観点から、子会社の損益計算書を連結し、貸借対照表は連結しないとの考え方を採用している。しかしながら、手続的には、通常の連結手続と同様に、子会社の財務諸表を一旦合算した後に、連結除外することを前提として、精算表を作成している。
- なお、実務的な連結仕訳としては、子会社の財務諸表を合算することをしないで、損益計算書のみを別途連結する方法も考えられる。
- [設例5] 株式の追加取得により持分比率が60%(連結)から80%(連結)になり、その後、一部売却(50%)をして30%(持分法)になった場合
- 1.新規取得年度
- <前提条件>
- ア.P社はS社株式60%をX2年3月31日に900で取得し、S社を連結子会社とした。
- イ.S社の資産のうち土地は800(簿価)であり、その時価はX2年3月31日1,200である。
- ウ.のれんは、10年間で均等償却を行うものとする。
- ○ 個別貸借対照表(X2年3月31日)

- a.S社修正後貸借対照表(X2年3月31日)
- ○ S社修正仕訳
- ・ 土地に係る評価差額の計上
- S社の支配獲得日(X2年3月31日)の土地に係る評価差額について、その全額をS社の資本に計上する。

- * 1,200-800=400
- ○ S社修正後貸借対照表 X2年3月31日

- b.連結貸借対照表(X2年3月31日)
- ○ 連結修正仕訳
- ・ P社の投資(S社株式)とS社の資本との相殺消去及びのれんの計上
- S社のX2年3月期の修正後貸借対照表に基づき、P社のS社株式とS社の資本との相殺消去及び非支配株主持分への振替を行い、消去差額をのれんに計上する。全面時価評価法では、評価差額は親会社持分額及び非支配株主持分額が計上されるため、非支配株主持分にも評価差額が含まれる。

- *1 (500+300+400)×40%=480
- *2 900-(500+300+400)×60%=180
- ○ 連結貸借対照表 X2年3月31日

- ○ P社投資(S社株式)とS社資本の関連図

- 2.追加取得年度
- <前提条件>
- ・ P社はS社株式20%をX3年3月31日に300で追加取得した(合計80%、個別財務諸表上の取得原価1,200)。
- ○ 個別貸借対照表(X3年3月31日)

- a.S社修正後貸借対照表(X3年3月31日)
- ○ S社修正仕訳
- ・ 土地に係る評価差額の計上
- S社の支配獲得日(X2年3月31日)の土地に係る評価差額について、その全額をS社の資本に計上する。

- * 1,200-800=400
- ○ S社修正後貸借対照表 X3年3月31日

- b.連結貸借対照表(X3年3月31日)
- ○ 連結修正仕訳
- ・ 開始仕訳
- S社に関するX2年3月期の連結修正仕訳に基づき開始仕訳を行う。

- ・ のれんの償却
- S社の支配獲得日(X2年3月31日)に計上されたのれんについて、X3年3月期から10年間で定額法により償却を行う。

- * 180×1/10=18
- ・ 非支配株主に帰属する当期純利益の計上
- S社のX3年3月期の当期純利益のうち非支配株主持分額を非支配株主持分に振り替える。

- * 350×40%=140
- ・ S社株式追加取得に伴う親会社の持分変動の処理
- S社のX3年3月期の修正後貸借対照表に基づき、P社のS社株式(追加取得原価)と追加取得した株式に対応する非支配株主持分(評価差額を含む。)とを相殺消去し、消去差額を資本剰余金に計上する(第37項)。

- * (500+650+400)×20%=310
- ○ 連結貸借対照表 X3年3月31日

- ○ P社投資(S社株式)とS社資本の関連図

- 3.一部売却年度
- <前提条件>
- ア.P社はS社株式の50%(簿価750)をX4年3月31日に810で売却し(株式売却益60を計上)、S社を持分法適用会社(持分比率30%、簿価450)とした。
- イ.P社にはS社以外に連結子会社があり、連結財務諸表を作成するものとする。ただし、本設例で示す連結貸借対照表及び連結精算表では、便宜上、S社以外の子会社に関する事項は、全て除外して示している。
- ○ 個別貸借対照表(X4年3月31日)

- a.S社修正後貸借対照表(X4年3月31日)
- ○ S社修正仕訳
- ・ 土地に係る評価差額の計上
- S社の支配獲得日(X2年3月31日)の土地に係る評価差額について、その全額をS社の資本に計上する。

- * 1,200-800=400
- ○ S社修正後貸借対照表 X4年3月31日

- b.連結貸借対照表(X4年3月31日)
- ○ 連結修正仕訳
- ・ 開始仕訳
- S社に関するX3年3月期の連結修正仕訳に基づき開始仕訳を行う。

- * 300+18+140=458
- ・ のれんの償却
- S社の支配獲得日(X2年3月31日)に計上されたのれんについて、10年間で定額法により償却を行う。

- * 180×1/10=18
- ・ 非支配株主に帰属する当期純利益の計上
- S社のX4年3月期の当期純利益のうち非支配株主持分額を非支配株主持分に振り替える。

- * 100×20%=20
- ・ 開始仕訳の振戻し
- S社株式の一部売却に伴いS社は持分法適用会社となるため、P社のS社株式とS社の資本との相殺消去及び非支配株主持分への振替に関する開始仕訳を振り戻す。

- ・ S社貸借対照表連結除外仕訳
- S社株式は期末(X4年3月31日)に売却されたため、S社のX4年3月期の損益計算書のみを連結し、X4年3月期の貸借対照表は連結除外とする。

- ・ 持分法による評価及び非支配株主持分の振戻し
- 連結除外年度(X4年3月期)までに計上されたS社の当期純利益を取得後利益剰余金として計上し、そのうち売却前の親会社持分額を投資の修正額としてS社株式に加算する。のれんの償却及びS社株式追加取得に伴う親会社の持分変動の処理についても同様に修正する。

- *1 350×60%-18+100×80%-18=254
- *2 100×20%=20
- *3 350×60%-18=192
- *4 S社株式追加取得に伴う親会社の持分変動による差額である。
- ・ 株式売却損益の修正
- S社株式の投資の修正額のうち、売却持分に対応する部分を株式売却益から控除する。

- 持分法による投資評価額から算定している。
- *1 (254+10)-(1,650×30%+72-450)=147
- *2 147-60=87
- ○ S社株式の投資の修正額のうち、売却持分に対応する部分の算定(第66-5項)
- ・ 売却分の株式に対応する投資の修正額を以下の差額で算定する。
- ア.売却前の投資の修正額として、取得後利益剰余金及びその他の包括利益累計額並びにのれん償却累計額のみならず、支配継続中に生じた親会社の持分変動による差額(資本剰余金)を含めて算定した金額
- イ.売却後の投資の修正額として、持分法による投資評価額(関連会社の資本に対する持分比率に対応する額及びのれんの未償却額)と個別財務諸表上の帳簿価額(付随費用を除く。)の差額として算定した金額

- 売却前の投資の修正額264(=取得後利益剰余金290+のれん償却累計額△36+資本剰余金として処理された追加取得時の親会社の持分変動による差額10)から、売却後の投資の修正額117(持分法による投資評価額567(=S社修正後貸借対照表の資本1,650×30%+のれん72(以下の説明を参照))-個別財務諸表上の帳簿価額450)を差し引いて、売却持分に対応する部分147を算定している。なお、株式売却損益の修正におけるその他の包括利益累計額の取扱いについては、第45項なお書きに留意する。
- ・ のれんの未償却額の修正
- 本設例では、持分法による投資評価額に含まれるのれんの未償却額について、支配獲得時ののれんの未償却額144のうち、支配獲得時の持分比率(60%)に占める関連会社として残存する持分比率(30%)に相当する額72(=144/60%×30%)として算定している。
- ○ 連結貸借対照表 X4年3月31日

- ○ P社投資(S社株式)とS社資本の関連図

- 連結貸借対照表の「利益剰余金」と「P社投資(S社株式)とS社資本の関連図」とは次の関係にある。本設例は当初取得時(新規取得年度)の子会社株式の単価と追加取得時(追加取得年度)の子会社株式の単価が同額であることを前提にして次の算式を示している。

- 連結財務諸表の利益剰余金は、基本的に、親会社の個別財務諸表上の利益剰余金に、親会社持分に対応する子会社の取得後利益剰余金を加算し、のれん償却額を差し引いたものとなる。
- 上記の設例では、親会社の個別財務諸表上の利益剰余金900に、売却後親会社持分に対応する子会社の取得後利益剰余金135(=105+30)を加算し、これから売却後親会社持分に対応するのれん償却累計額18を差し引く。
- また、子会社株式の追加取得の際に認識した親会社の持分変動額10は、過年度において資本剰余金に計上されているが、上記の株式売却損益の修正仕訳のとおり、S社株式の投資の修正額のうち売却持分に対応する部分に含まれる結果、支配を喪失した連結会計年度の利益剰余金にも反映されているため、連結財務諸表上の利益剰余金について10を減額することになる。
- 以上の計算から、連結財務諸表上の利益剰余金は1,007となる。
- [設例6] 株式の一部売却により持分比率が80%(連結)から60%(連結)になり、その後、一部売却(30%)をして30%(持分法)になった場合
- 1.新規取得年度
- <前提条件>
- ア.P社はS社株式80%をX3年3月31日に1,200で取得し、S社を連結子会社とした。
- イ.S社の資産のうち土地は 800(簿価)であり、その時価はX3年3月31日1,300である。
- ウ.のれんは、10年間で均等償却を行うものとする。
- ○ 個別貸借対照表(X3年3月31日)

- a.S社修正後貸借対照表(X3年3月31日)
- ○ S社修正仕訳
- ・ 土地に係る評価差額の計上
- S社の支配獲得日(X3年3月31日)の土地に係る評価差額について、その全額をS社の資本に計上する。

- * 1,300-800=500
- ○ S社修正後貸借対照表 X3年3月31日

- b.連結貸借対照表(X3年3月31日)
- ○ 連結修正仕訳
- ・ P社の投資(S社株式)とS社の資本との相殺消去及びのれんの計上
- S社のX3年3月期の修正後貸借対照表に基づき、P社のS社株式とS社の資本との相殺消去及び非支配株主持分への振替を行い、消去差額をのれんに計上する。全面時価評価法では、評価差額は親会社持分額及び非支配株主持分額が計上されるため、非支配株主持分にも評価差額が含まれる。

- *1 (500+400+500)×20%=280
- *2 1,200-(500+400+500)×80%=80
- ○ 連結貸借対照表 X3年3月31日

- ○ P社投資(S社株式)とS社資本の関連図

- 2.一部売却年度(親会社と子会社の支配関係が継続している年度)
- <前提条件>
- ・ P社はS社株式の20%(簿価300)をX4年3月31日に360で売却し、株式売却益60を計上した。売却後の持分比率は60%(簿価900)である。
- ○ 個別貸借対照表(X4年3月31日)

- a.S社修正後貸借対照表(X4年3月31日)
- ○ S社修正仕訳
- ・ 土地に係る評価差額の計上
- S社の支配獲得日(X3年3月31日)の土地に係る評価差額について、その全額をS社の資本に計上する。

- * 1,300-800=500
- ○ S社修正後貸借対照表 X4年3月31日

- b.連結貸借対照表(X4年3月31日)
- ○ 連結修正仕訳
- ・ 開始仕訳
- S社に関するX3年3月期の連結修正仕訳に基づき開始仕訳を行う。

- ・ のれんの償却
- S社の支配獲得日(X3年3月31日)に計上されたのれんについて、X4年3月期から10年間で定額法により償却を行う。

- * 80×1/10=8
- ・ 非支配株主に帰属する当期純利益の計上
- S社のX4年3月期の当期純利益のうち非支配株主持分額を非支配株主持分に振り替える。

- * 150×20%=30
- ・ 親会社の持分変動及び株式売却損益の修正
- S社のX4年3月期の修正後貸借対照表に基づき、P社のS社株式(一部売却簿価)と売却した株式に対応するS社の資本とを相殺消去し個別財務諸表の株式売却損益を修正する。次に、修正後の株式売却損益は、売却価額と売却持分との間に生じた差額であるため、資本剰余金に振り替える。全面時価評価法では、非支配株主持分にも評価差額が含まれるため、S社の資本の売却持分相当額を全額非支配株主持分に振り替える。
- 株式の一部売却の場合(親会社と子会社の支配関係が継続している場合に限る。)、支配獲得時に計上したのれんの未償却額は減額しない(第42項及び第44項)。
① 売却簿価と売却持分の相殺消去
- *1 1,200×20%/80%=300
- *2 (500+550+500)×20%=310
② 株式売却益の資本剰余金への振替
- * 修正後の株式売却益60-10=50
- ○ 連結貸借対照表 X4年3月31日

- ○ P社投資(S社株式)とS社資本の関連図]

- 連結貸借対照表の「利益剰余金」と「P社投資(S社株式)とS社資本の関連図」とは次の関係にある。

- 連結財務諸表の利益剰余金は、基本的に、親会社の個別財務諸表上の利益剰余金に、親会社持分に対応する子会社の取得後利益剰余金を加算し、のれん償却額を差し引いたものとなる。
- 上記の設例では、親会社の個別財務諸表上の利益剰余金900に、売却後親会社持分に対応する子会社の取得後利益剰余金90を加算し、これからのれん償却累計額8を差し引く。
- また、子会社株式の一部売却(20%)により、親会社の個別財務諸表上、子会社株式売却益60が利益剰余金900に含まれる。
- ここで、親会社の個別財務諸表上の子会社株式売却益60は、個別財務諸表上の子会社株式の売却簿価を基礎に算定しているため、連結財務諸表上の売却持分(売却簿価)に修正する必要がある。子会社株式の一部売却(20%)に対応する子会社の取得後利益剰余金は30であるため、個別財務諸表上の子会社株式売却益60を差し引き、連結財務諸表上の利益剰余金に当該子会社の利益剰余金30を加算することになる。
- 以上の計算から、連結財務諸表上の利益剰余金は952となる。
- 3.一部売却年度(支配を喪失して関連会社になった年度)
- <前提条件>
- ア.P社はS社株式の30%(簿価450)をX5年3月31日に500で売却し(株式売却益50を計上)、S社を持分法適用会社(持分比率30%、簿価450)とした。
- イ.P社にはS社以外に連結子会社があり、連結財務諸表を作成するものとする。ただし、本設例で示す連結貸借対照表及び連結精算表では、便宜上、S社以外の子会社に関する事項は、全て除外して示している。
- ○ 個別貸借対照表(X5年3月31日)

- a.S社修正後貸借対照表(X5年3月31日)
- ○ S社修正仕訳
- ・ 土地に係る評価差額の計上
- S社の支配獲得日(X3年3月31日)の土地に係る評価差額について、その全額をS社の資本に計上する。

- * 1,300-800=500
- ○ S社修正後貸借対照表 X5年3月31日

- b.連結貸借対照表(X5年3月31日)
- ○ 連結修正仕訳
- ・ 開始仕訳
- S社に関するX4年3月期の連結修正仕訳に基づき開始仕訳を行う。

- ・ のれんの償却
- S社の支配獲得日(X3年3月31日)に計上されたのれんについて、10年間で定額法により償却を行う。

- * 80×1/10=8
- ・ 非支配株主に帰属する当期純利益の計上
- S社のX5年3月期の当期純利益のうち非支配株主持分額を非支配株主持分に振り替える。

- * 100×40%=40
- ・ 開始仕訳の振戻し
- S社株式の一部売却に伴いS社は持分法適用会社となるため、P社のS社株式とS社の資本との相殺消去及び非支配株主持分への振替に関する開始仕訳を振り戻す。

- ・ S社貸借対照表連結除外仕訳
- S社株式は期末(X5年3月31日)に売却されたため、S社のX5年3月期の損益計算書のみを連結し、X5年3月期の貸借対照表は連結除外とする。

- ・ 持分法による評価及び非支配株主持分の振戻し
- 連結除外年度(X5年3月期)までに計上されたS社の当期純利益を取得後利益剰余金として計上し、そのうち売却前の親会社持分額を投資の修正額としてS社株式に加算する。のれんの償却、S社株式一部売却に伴う親会社の持分変動及び株式売却損益の修正についても同様に修正する。

- *1 150×80%-8+100×60%-8-10=154
- 数式の-10は、子会社株式一部売却時の株式売却損益の修正である。
- *2 100×40%=40
- *3 150×80%-8-10=102
- ・ 株式売却損益の修正
- S社株式の投資の修正額のうち、売却持分に対応する部分を株式売却益から控除する。

- 持分法による投資評価額から算定している。
- *1 154-(1,650×30%+24-450)=85
- *2 85-50=35
- ○ S社株式の投資の修正額のうち、売却持分に対応する部分の算定(第66-5項)
- ・ 売却分の株式に対応する投資の修正額を以下の差額で算定する。
- ア.売却前の投資の修正額として、取得後利益剰余金及びその他の包括利益累計額並びにのれん償却累計額のみならず、支配継続中に生じた親会社の持分変動による差額(資本剰余金)を含めて算定した金額
- イ.売却後の投資の修正額として、持分法による投資評価額(関連会社の資本に対する持分比率に対応する額及びのれんの未償却額)と個別財務諸表上の帳簿価額(付随費用を除く。)の差額として算定した金額

- 売却前の投資の修正額154(=取得後利益剰余金150+のれん償却累計額△12(前連結会計年度の子会社株式の一部売却(20%)に対応するのれん償却累計額△4を除く。)+子会社株式を一部売却した際に減額されなかったのれんの未償却額16)から、売却後の投資の修正額69(持分法による投資評価額519(=S社修正後貸借対照表の資本1,650×30%+のれん24(以下の説明を参照))-個別財務諸表上の帳簿価額450)を差し引いて、売却持分に対応する部分85を算定している。なお、株式売却損益の修正におけるその他の包括利益累計額の取扱いについては、第45項なお書きに留意する。
- ・ のれんの未償却額の修正
- 支配喪失時の持分比率は60%であるが、支配獲得時の80%に対応するのれんの未償却額が存在する。本設例では、持分法による投資評価額に含まれるのれんの未償却額について、支配獲得時ののれんの未償却額64のうち、支配獲得時の持分比率(80%)に占める関連会社として残存する持分比率(30%)に相当する額24(=64/80%×30%)として算定している。
- ○ 連結貸借対照表 X5年3月31日

- ○ P社投資(S社株式)とS社資本の関連図

- 連結貸借対照表の「利益剰余金」と「P社投資(S社株式)とS社資本の関連図」とは次の関係にある。

- 連結財務諸表の利益剰余金は、基本的に、親会社の個別財務諸表上の利益剰余金に、親会社持分に対応する子会社の取得後利益剰余金を加算し、のれん償却額を差し引いたものとなる。
- 上記の設例では、親会社の個別財務諸表上の利益剰余金1,200に、売却後親会社持分に対応する子会社の取得後利益剰余金75(=45+30)を加算し、これから売却後親会社持分に対応するのれん償却累計額6を差し引く。
- 前連結会計年度において行われた子会社株式の一部売却(20%)により、親会社の個別財務諸表上、子会社株式売却益60が利益剰余金1,200に含まれている。
- 前連結会計年度では、親会社の個別財務諸表上の子会社株式売却益60は、個別財務諸表上の子会社株式の売却簿価を基礎に算定しているため、連結財務諸表上の売却持分(売却簿価)に修正する必要がある。子会社株式の一部売却(20%)に対応する子会社の利益剰余金は30であるため、個別財務諸表上の子会社株式売却益60を差し引き、連結財務諸表上の利益剰余金に当該子会社の利益剰余金30を加算することになる。
- のれんの残高は、株式の一部売却の場合(親会社と子会社の支配関係が継続している場合に限る。)、支配獲得時に計上したのれんの未償却額は減額しない。しかしながら、支配を喪失し連結子会社から関連会社になる場合には、のれんの未償却額のうち、売却持分に対応する部分を減額することとなる。上記の算式では売却後親会社持分に対応するのれん償却累計額6を調整している。前連結会計年度において子会社株式の一部売却(20%)を行っているが、これに対応する減額されなかったのれんの当初価額20(=80×20%/80%)は、子会社株式の一部売却(20%)に対応するのれん償却累計額4とのれんの未償却額16から構成されている。のれん償却累計額4は当連結会計年度末までに当期純利益を構成しており、また、のれんの未償却額16は支配喪失に伴う子会社株式売却損益の調整として処理され当期純利益を構成している。このため、個別財務諸表上の売却簿価を連結財務諸表上の売却持分(売却簿価)に修正して支配を喪失した連結会計年度の利益剰余金に反映することになり、連結財務諸表上の利益剰余金について20を減額することになる。
- 以上の計算から、連結財務諸表上の利益剰余金は1,219となる。
- [設例7] 株式の一部売却により持分比率が80%(連結)から10%(原価法)になった場合
- 1.新規取得年度
- <前提条件>
- ア.P社はS社株式80%をX2年3月31日に1,200で取得し、S社を連結子会社とした。
- イ.S社の資産のうち土地は800(簿価)であり、その時価はX2年3月31日1,200である。
- ○ 個別貸借対照表(X2年3月31日)

- a.S社修正後貸借対照表(X2年3月31日)
- ○ S社修正仕訳
- ・ 土地に係る評価差額の計上
- S社の支配獲得日(X2年3月31日)の土地に係る評価差額について、その全額をS社の資本に計上する。

- * 1,200-800=400
- ○ S社修正後貸借対照表 X2年3月31日

- b.連結貸借対照表(X2年3月31日)
- ○ 連結修正仕訳
- ・ P社の投資(S社株式)とS社の資本との相殺消去及びのれんの計上
- S社のX2年3月期の修正後貸借対照表に基づき、P社のS社株式とS社の資本との相殺消去及び非支配株主持分への振替を行い、消去差額をのれんに計上する。全面時価評価法では、評価差額は親会社持分額及び非支配株主持分額が計上されるため、非支配株主持分にも評価差額が含まれる。

- *1 (500+300+400)×20%=240
- *2 1,200-(500+300+400)×80%=240
- ○ 連結貸借対照表 X2年3月31日

- ○ P社投資(S社株式)とS社資本の関連図

- 2.一部売却年度
- <前提条件>
- ア.P社はS社株式の70%(簿価1,050)をX3年3月31日に1,150で売却し(株式売却益100を計上)、S社を原価法適用会社(持分比率10%、簿価150)とした。
- イ.P社にはS社以外に連結子会社があり、連結財務諸表を作成するものとする。ただし、本設例で示す連結貸借対照表では、便宜上、S社以外の子会社に関する事項は、全て除外して示している。
- ○ 個別貸借対照表(X3年3月31日)

- a.S社修正後貸借対照表(X3年3月31日)
- ○ S社修正仕訳
- ・ 土地に係る評価差額の計上
- S社の支配獲得日(X2年3月31日)の土地に係る評価差額について、その全額をS社の資本に計上する。

- * 1,200-800=400
- ○ S社修正後貸借対照表 X3年3月31日

- b.連結貸借対照表(X3年3月31日)
- ○ 連結修正仕訳
- ・ 開始仕訳
- S社に関するX2年3月期の連結修正仕訳に基づき開始仕訳を行う。

- ・ 非支配株主に帰属する当期純利益の計上
- S社のX3年3月期の当期純利益のうち非支配株主持分額を非支配株主持分に振り替える。

- * 100×20%=20
- ・ 開始仕訳の振戻し
- S社株式の一部売却に伴いS社は原価法適用会社となるため、P社のS社株式とS社の資本との相殺消去及び非支配株主持分への振替に関する開始仕訳を振り戻す。

- ・ S社貸借対照表連結除外仕訳
- S社株式は期末(X3年3月31日)に売却されたため、S社のX3年3月期の損益計算書のみを連結し、X3年3月期の貸借対照表は連結除外とする。

- ・ 売却前持分の評価及び非支配株主持分の振戻し
- 連結除外年度(X3年3月期)に計上されたS社の当期純利益を取得後利益剰余金として計上し、そのうち売却前の親会社持分額を投資の修正額としてS社株式に加算する。

- *1 100×80%=80
- *2 100×20%=20
- ・ 株式売却損益の修正
- S社株式の投資の修正額のうち、売却持分に対応する部分を株式売却益から控除する。

- * 80×70%/80%=70
- ・ S社株式の帳簿価額への修正
- 原価法適用会社となった場合、S社株式は個別貸借対照表上の帳簿価額をもって評価することとされているため、売却後のS社株式に含まれる投資の修正額を取り崩して、利益剰余金に振り替える。

- * 70-80=-10
- ○ 連結貸借対照表 X3年3月31日

- ○ P社投資(S社株式)とS社資本の関連図

- [設例7-2] 株式の配当により持分比率が100%(連結)から30%(持分法)になった場合
- 1.新規取得年度
- <前提条件>
- ア.P社はS社株式100%をX1年3月31日に800で取得し、S社を連結子会社とした。
- イ.のれんは、5年間で均等償却を行うものとする。
- ○ 個別貸借対照表(X1年3月31日)

- a.連結貸借対照表(X1年3月31日)
- ○ 連結修正仕訳
- ・ P社の投資(S社株式)とS社の資本との相殺消去及びのれんの計上
- S社のX1年3月期の貸借対照表に基づき、P社のS社株式とS社の資本との相殺消去を行い、消去差額をのれんに計上する。

- * 800-(100+600)=100
- ○ 連結貸借対照表 X1年3月31日

- ○ P社投資(S社株式)とS社資本の関連図

- 2.配当の年度(支配を喪失して関連会社になった年度)
- <前提条件>
- ・ P社はS社株式の70%(簿価560)をX2年3月31日に株主に比例的に配当し、その他資本剰余金を減額した。保有する完全子会社株式を株式数に応じて比例的に配当(按分型の配当)し子会社株式に該当しなくなった場合には、個別財務諸表上、配当財産の時価ではなく、配当財産の適正な帳簿価額をもってその他資本剰余金又はその他利益剰余金(繰越利益剰余金)を減額する(第66-8項参照)。
- ○ 個別貸借対照表(X2年3月31日)

- a.連結貸借対照表(X2年3月31日)
- ○ 連結修正仕訳
- ・ 開始仕訳
- S社に関するX1年3月期の連結修正仕訳に基づき開始仕訳を行う。

- ・ のれんの償却
- S社の支配獲得日(X1年3月31日)に計上されたのれんについて、X2年3月期から5年間で定額法により償却を行う。

- * 100×1/5=20
- ・ 開始仕訳の振戻し
- S社株式の配当に伴いS社は連結子会社に該当しなくなったため、P社のS社株式とS社の資本との相殺消去に関する開始仕訳を振り戻す。

- ・ S社貸借対照表連結除外仕訳
- S社株式は期末(X2年3月31日)に配当されたため、S社のX2年3月期の損益計算書のみを連結し、X2年3月期の貸借対照表は連結除外とする。

- ・ 配当前持分の評価
- 連結除外年度(X2年3月期)までに計上されたS社の当期純利益及びその他の包括利益累計額を取得後利益剰余金及び取得後のその他の包括利益累計額として計上し、このうち配当前の親会社持分額を投資の修正額としてS社株式に加算する。のれんの償却についても同様に修正する。

- * 150+100-20=230
- ・ 子会社株式の配当に伴う増減
- S社株式の投資の修正額のうち、配当持分に対応する部分について、親会社持分を減少させる。

- *1 (230-100)×70%=91
- *2 100×70%=70
- ○ 連結貸借対照表 X2年3月31日

- ○ P社投資(S社株式)とS社資本の関連図

- [設例7-3] 株式の配当により持分比率が100%(連結)から10%(原価法)になった場合
- 1.新規取得年度
- <前提条件>
- ア.P社はS社株式100%をX1年3月31日に800で取得し、S社を連結子会社とした。
- イ.のれんは、5年間で均等償却を行うものとする。
- ○ 個別貸借対照表(X1年3月31日)

- a.連結貸借対照表(X1年3月31日)
- ○ 連結修正仕訳
- ・ P社の投資(S社株式)とS社の資本との相殺消去及びのれんの計上
- S社のX1年3月期の貸借対照表に基づき、P社のS社株式とS社の資本との相殺消去を行い、消去差額をのれんに計上する。

- * 800-(100+600)=100
- ○ 連結貸借対照表 X1年3月31日

- ○ P社投資(S社株式)とS社資本の関連図

- 2.配当の年度(支配を喪失して関連会社にも該当しなくなった年度)
- <前提条件>
- ・ P社はS社株式の90%(簿価720)をX2年3月31日に株主に比例的に配当し、その他資本剰余金を減額した。保有する完全子会社株式を株式数に応じて比例的に配当(按分型の配当)し子会社株式及び関連会社株式のいずれにも該当しなくなった場合には、個別財務諸表上、配当財産の時価ではなく、配当財産の適正な帳簿価額をもってその他資本剰余金又はその他利益剰余金(繰越利益剰余金)を減額する(第66-9項参照)。
- ○ 個別貸借対照表(X2年3月31日)

- a.連結貸借対照表(X2年3月31日)
- ○ 連結修正仕訳
- ・ 開始仕訳
- S社に関するX1年3月期の連結修正仕訳に基づき開始仕訳を行う。

- ・ のれんの償却
- S社の支配獲得日(X1年3月31日)に計上されたのれんについて、X2年3月期から5年間で定額法により償却を行う。

- * 100×1/5=20
- ・ 開始仕訳の振戻し
- S社株式の配当に伴いS社は連結子会社及び関連会社のいずれにも該当しなくなったため、P社のS社株式とS社の資本との相殺消去に関する開始仕訳を振り戻す。

- ・ S社貸借対照表連結除外仕訳
- S社株式は期末(X2年3月31日)に配当されたため、S社のX2年3月期の損益計算書のみを連結し、X2年3月期の貸借対照表は連結除外とする。

- ・ 配当前持分の評価
- 連結除外年度(X2年3月期)までに計上されたS社の当期純利益及びその他の包括利益累計額を取得後利益剰余金及び取得後のその他の包括利益累計額として計上し、このうち配当前の親会社持分額を投資の修正額としてS社株式に加算する。のれんの償却についても同様に修正する。

- * 150+100-20=230
- ・ 子会社株式の配当に伴う増減
- S社株式の投資の修正額のうち、配当持分に対応する部分について、親会社持分を減少させる。

- *1 (230-100)×90%=117
- *2 100×90%=90
- ・ S社株式の帳簿価額への修正
- 原価法適用会社となった場合、S社株式は個別貸借対照表上の帳簿価額をもって評価することとされているため、配当後のS社株式に含まれる投資の修正額を取り崩して、利益剰余金及びその他の包括利益累計額に振り替える。

- *1 230-100-117=13
- *2 100-90=10
- ○ 連結貸借対照表 X2年3月31日

- ○ P社投資(S社株式)とS社資本の関連図

- [設例8] 時価発行増資により持分比率が増加した場合
- 1.新規取得年度
- <前提条件>
- ア.P社はS社株式60%をX1年3月31日に900で取得し、S社を連結子会社とした。
- イ.S社の資産のうち土地は800(簿価)であり、その時価はX1年3月31日1,000である。
- ウ.S社の発行済株式は100株(1株の額面金額は5)とする。
- ○ 個別貸借対照表(X1年3月31日)

- a.S社修正後貸借対照表(X1年3月31日)
- ○ S社修正仕訳
- ・ 土地に係る評価差額の計上
- S社の支配獲得日(X1年3月31日)の土地に係る評価差額について、その全額をS社の資本に計上する。

- * 1,000-800=200
- ○ S社修正後貸借対照表 X1年3月31日

- b.連結貸借対照表(X1年3月31日)
- ○ 連結修正仕訳
- ・ P社の投資(S社株式)とS社の資本との相殺消去及びのれんの計上
- S社のX1年3月期の修正後貸借対照表に基づき、P社のS社株式とS社の資本との相殺消去及び非支配株主持分への振替を行い、消去差額をのれんに計上する。全面時価評価法では、評価差額は親会社持分額及び非支配株主持分額が計上されるため、非支配株主持分にも評価差額が含まれる。

- *1 (500+200+200)×40%=360
- *2 900-(500+200+200)×60%=360
- ○ 連結貸借対照表 X1年3月31日

- ○ P社投資(S社株式)とS社資本の関連図

- 2.増資年度
- <前提条件>
- ・ S社は、X2年3月31日に親会社に10株を170(1株当たり17)で割り当てた。
- ○ 個別貸借対照表(X2年3月31日)

- a.S社修正後貸借対照表(X2年3月31日)
- ○ S社修正仕訳
- ・ 土地に係る評価差額の計上
- S社の支配獲得日(X1年3月31日)の土地に係る評価差額について、その全額をS社の資本に計上する。

- * 1,000-800=200
- ○ S社修正後貸借対照表 X2年3月31日

- b.連結貸借対照表(X2年3月31日)
- ○ 連結修正仕訳
- ・ 開始仕訳
- S社に関するX1年3月期の連結修正仕訳に基づき開始仕訳を行う。

- ・ 非支配株主に帰属する当期純利益の計上
- S社のX2年3月期の当期純利益のうち非支配株主持分額を非支配株主持分に振り替える。

- * 100×40%=40
- ・ 時価発行増資に伴う親会社の持分変動の処理
- P社で全株引き受けたS社の第三者割当増資額170(10株)を、一旦従来の持分比率で非支配株主も68(4株)を引き受け、その後P社が非支配株主から増資引受株式に相当する株式数(4株)を非支配株主の引受額で追加取得したものとみなして追加取得に準じた処理を行い、差額が生じた場合には、資本剰余金として処理する(第47項参照)。
- 下記では資本剰余金が負の値となるように示しているが、これは便宜的に示したものであり、連結会計年度末においては、資本剰余金をゼロとし、当該負の値を利益剰余金から減額することになるので注意が必要である(第39-2項参照)。

- *1 170×40%=68
- *2 (670+300+200)×(70株/110株-60株/100株)=42
- *3 68-42=26
- ○ 所有株数及び親会社の持分変動表(評価差額を含む。)

- ○ 連結貸借対照表 X2年3月31日

- ○ P社投資(S社株式)とS社資本の関連図

- [設例9] 時価発行増資により持分比率が減少した場合
- 1.新規取得年度
- <前提条件>
- ア.P社はS社株式60%をX1年3月31日に900で取得し、S社を連結子会社とした。
- イ.S社の資産のうち土地は800(簿価)であり、その時価はX1年3月31日1,000である。
- ウ.S社の発行済株式は100株(1株の額面金額は5)とする。
- ○ 個別貸借対照表(X1年3月31日)

- a.S社修正後貸借対照表(X1年3月31日)
- ○ S社修正仕訳
- ・ 土地に係る評価差額の計上
- S社の支配獲得日(X1年3月31日)の土地に係る評価差額について、その全額をS社の資本に計上する。

- * 1,000-800=200
- ○ S社修正後貸借対照表 X1年3月31日

- b.連結貸借対照表(X1年3月31日)
- ○ 連結修正仕訳
- ・ P社の投資(S社株式)とS社の資本との相殺消去及びのれんの計上
- S社のX1年3月期の修正後貸借対照表に基づき、P社のS社株式とS社の資本との相殺消去及び非支配株主持分への振替を行い、消去差額をのれんに計上する。全面時価評価法では、評価差額は親会社持分額及び非支配株主持分額が計上されるため、非支配株主持分にも評価差額が含まれる。

- *1 (500+200+200)×40%=360
- *2 900-(500+200+200)×60%=360
- ○ 連結貸借対照表 X1年3月31日

- ○ P社投資(S社株式)とS社資本の関連図

- 2.増資年度
- <前提条件>
- ・ S社は、X2年3月31日に親会社以外の第三者に10株を170(1株当たり17)で割り当てた。
- ○ 個別貸借対照表(X2年3月31日)

- a.S社修正後貸借対照表(X2年3月31日)
- ○ S社修正仕訳
- ・ 土地に係る評価差額の計上
- S社の支配獲得日(X1年3月31日)の土地に係る評価差額について、その全額をS社の資本に計上する。

- * 1,000-800=200
- ○ S社修正後貸借対照表 X2年3月31日

- b.連結貸借対照表(X2年3月31日)
- ○ 連結修正仕訳
- ・ 開始仕訳
- S社に関するX1年3月期の連結修正仕訳に基づき開始仕訳を行う。

- ・ 非支配株主に帰属する当期純利益の計上
- S社のX2年3月期の当期純利益のうち非支配株主持分額を非支配株主持分に振り替える。

- * 100×40%=40
- ・ 時価発行増資に伴う親会社の持分変動の処理
- 非支配株主が全株引き受けたS社の第三者割当増資額170(10株)を、一旦従来の持分比率でP社も102(6株)を引き受け、その後P社が非支配株主へ、増資引受株式に相当する株式数(6株)を一部売却したものとみなして一部売却に準じた処理を行い、差額が生じた場合には、資本剰余金として処理する。
- また、一部売却に準じて処理するため、支配獲得時に計上したのれんの未償却額は減額しない(第47項)。

- *1 170×60%=102
- *2 (670+300+200)×(60株/110株-60株/100株)=-64
- *3 102-64=38
- ○ 所有株数及び親会社の持分変動表(評価差額を含む。)

- ○ 連結貸借対照表 X2年3月31日

- ○ P社投資(S社株式)とS社資本の関連図

- [設例10] 資産の売却により評価差額が実現した場合
- 1.新規取得年度
- <前提条件>
- ア.P社はS社株式60%をX1年3月31日に900で取得し、S社を連結子会社とした。
- イ.S社の資産のうち土地は800(簿価)であり、その時価はX1年3月31日1,000である。
- ウ.P社及びS社とも、土地の時価評価による簿価修正額(200)以外には、税効果会計上の一時差異等は存在しないものとする。
- エ.P社及びS社とも、税効果会計上適用される法定実効税率は50%とする。
- ○ 個別貸借対照表(X1年3月31日)

- a.S社修正後貸借対照表(X1年3月31日)
- ○ S社修正仕訳
- ・ 土地に係る評価差額の計上
- S社の支配獲得日(X1年3月31日)の土地に係る評価差額について、その全額をS社の資本に計上する。また、時価評価による簿価修正額に係る繰延税金負債を計上し、評価差額から控除する。

- *1 1,000-800=200
- *2 200×50%=100
- ○ S社修正後貸借対照表 X1年3月31日

- b.連結貸借対照表(X1年3月31日)
- ○ 連結修正仕訳
- ・ P社の投資(S社株式)とS社の資本との相殺消去及びのれんの計上
- S社のX1年3月期の修正後貸借対照表に基づき、P社のS社株式とS社の資本との相殺消去及び非支配株主持分への振替を行い、消去差額をのれんに計上する。全面時価評価法では、評価差額は親会社持分額及び非支配株主持分額が計上されるため、非支配株主持分にも評価差額が含まれる。

- *1 (500+200+100)×40%=320
- *2 900-(500+200+100)×60%=420
- ○ 連結貸借対照表 X1年3月31日

- ○ P社投資(S社株式)とS社資本の関連図

- 2.資産売却年度
- <前提条件>
- ア.S社は土地(簿価800)をX2年3月31日に1,200で売却し、土地売却益400を計上した。
- イ.のれんは、10年間で均等償却を行うものとする。
- ウ.P社及びS社とも、税効果会計上の一時差異等は存在しないものとする。
- エ.P社及びS社とも、課税所得に適用される法定実効税率は50%とする。
- ○ 個別財務諸表(X2年3月31日)

- a.S社修正後財務諸表(X2年3月31日)
- ○ S社修正仕訳
- ・ 土地に係る評価差額の計上及び土地の売却に伴う時価評価による簿価修正額の減額
- S社の支配獲得日(X1年3月31日)の土地に係る評価差額について、その全額をS社の資本に計上する。また、時価評価による簿価修正額に対する繰延税金負債を計上し、評価差額から控除する。さらに、土地の売却に伴い、前期までに計上された時価評価による簿価修正額を土地から減額し、土地売却益と相殺するとともに、それに対応して前期までに計上された繰延税金負債を取り崩して、法人税等調整額に計上する。

- *1 1,000-800=200
- *2 200×50%=100
- *3 200×800/800=200
- *4 100×200/200=100
- ○ S社修正後貸借対照表 X2年3月31日

- ○ S社修正後損益計算書

- (注)S社の修正前損益計算書から修正後損益計算書への損益項目の修正内容は次のとおりである。

- b.連結財務諸表(X2年3月31日)
- ○ 連結修正仕訳
- ・ 開始仕訳
- S社に関するX1年3月期の連結修正仕訳に基づき開始仕訳を行う。

- ・ のれんの償却
- S社の支配獲得日(X1年3月31日)に計上されたのれんについて、X2年3月期から10年間で定額法により償却を行う。

- * 420×1/10=42
- ・ 非支配株主に帰属する当期純利益の計上
- S社のX2年3月期の当期純利益(土地売却益修正後)のうち非支配株主持分額を非支配株主持分に振り替える。

- * (300-200+100)×40%=80
- ○ 連結貸借対照表 X2年3月31日

- ○ 連結損益計算書

- ○ P社投資(S社株式)とS社資本の関連図

- (注)評価差額から土地売却益への矢印は、土地の売却により実現した評価差額が直接利益剰余金(親会社持分額)又は非支配株主持分(非支配株主持分額)へ振り替えられたことを意味している。
- 以 上
