©公益財団法人 財務会計基準機構最終更新日:2026/03/04
実務対応報告第31号リース手法を活用した先端設備等投資支援スキームにおける借手の会計処理等に関する実務上の取扱い
目 的
- 1. リース取引の会計処理は、企業会計基準第13号「リース取引に関する会計基準」(以下「リース会計基準」という。)及び企業会計基準適用指針第16号「リース取引に関する会計基準の適用指針」(以下「リース適用指針」という。)などに基づいて行われている。
- こうした中、日本再興戦略(平成25年6月14日閣議決定)に基づき実施する施策として、第2項に記載する新たなスキームによるリース取引が導入されている。
- 企業会計基準委員会では、当該スキームによるリース取引について、これまで公表されている会計基準等における借手の会計処理等の取扱いを整理するとともに、必要と考えられる借手の会計処理等を明らかにするために、本実務対応報告を公表する。
範 囲
- 2. 本実務対応報告は、経済産業省が制定した「リース手法を活用した先端設備等導入促進補償制度推進事業事務取扱要領」(平成26年3月3日制定)(以下「事務取扱要領」という。)第3条第7号におけるリース契約に基づくリース取引であり、「リース手法を活用した先端設備等導入促進補償制度推進事業実施要領」(平成26年3月3日制定)(以下「実施要領」という。)第4の4に基づき基金設置法人とリース事業者(貸手)により締結された先端設備等導入支援契約に基づくもの(以下「本リース・スキーム」という。)に係る借手の会計処理及び開示に適用する。本リース・スキームには、主として以下の内容が含まれる。
- (1)リースの対象物件は、産業競争力強化法(平成25年法律第98号)第2条第18項に規定する先端設備等であり、かつ、減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年3月31日大蔵省令第15号)(以下「耐用年数省令」という。)で定める機械及び装置、又は器具及び備品のうち、事務取扱要領の別表1で掲げるもの(注)である。
- (2)リース契約がリース期間中の中途解約又は解除が原則としてできない契約である。
- (3)リース期間中のリース料総額の現在価値(当該リース期間及びリース事業者(貸手)の計算利子率で割り引いたもの)は、リース事業者(貸手)におけるリース対象物件の取得価額の90パーセント未満とされる。
- (4)リース期間は、リース対象物件の経済的耐用年数の75パーセント未満とされる。
- (5)事業会社(借手)がリース期間終了後にリース対象物件をリース事業者(貸手)に返却し、当該リース期間終了後の翌日から起算して1年以内に、リース事業者(貸手)が当該リース対象物件を見積残存価額を下回る金額で処分した場合、基金設置法人はその下回った金額の一部をリース事業者(貸手)に対して補塡する。
- (6)リース料は、以下のいずれかとして設定される。
- ①リース料がリース期間を通じて一定のもの(1年間に1回以上の均等分割払いとなっているもの。以下「固定型」という。)
- ②リース料がリース対象物件の稼働量により変動するものであって、当該稼働量につき、先端設備等導入支援契約の締結の申込みの時点で、合理的な想定稼働量が示されているものであり、かつ、実際の稼働量が合理的な想定稼働量を上回り、当該稼働量及びその後の合理的な想定稼働量(実際の稼働量が合理的な想定稼働量を上回った時点で見直した新たな合理的な想定稼働量を含む。)に基づく支払リース料が当初設定していた合理的な想定稼働量に基づく支払リース料に見積残存価額を加えた金額を超えることが確実となった場合には、リース料を変更するなどリース契約の内容を変更する旨の定めが置かれているもの(以下「変動型」という。)
- ③固定型と変動型を組み合わせたもの(以下「ハイブリッド型」という。)
- (7)リース事業者(貸手)は、リース期間の中途で、事業会社(借手)との間で、リース取引開始時までに設定していたリース期間、月額・年額リース料又は見積残存価額を変更する旨の合意をした場合には、リース契約変更報告書により受託事業者(事務局)に通知する。変動型又はハイブリッド型のリース料を採用している場合であって、リース取引開始時までに設定していた変動リース料の算式を変更する旨の合意をした場合又は事務取扱要領第3条第7号ハ②に定める(上記(6)②に記載されている定め)、実際の稼働量が合理的な想定稼働量を上回った場合のリース契約の変更の場合も同様とする。
- (8)計算利子率が不当に過大でない。
- (9)基金設置法人は、先端設備等導入支援契約の締結前に、リース契約が事務取扱要領第3条第7号に定めるリース契約の要件(上記(3)、(4)及び(6)に記載されている内容等)に適合するかどうかについて、第三者委員会を設置し、当該委員会において審査を行い、当該審査の結果を事業会社(借手)に通知する。
- (注)耐用年数省令で定める機械及び装置、又は器具及び備品のうち、事務取扱要領の別表1で掲げるものは、以下のとおりである。

会計処理
ファイナンス・リース取引の判定基準
- 3. 本リース・スキームにおいては、リース取引がファイナンス・リース取引に該当するかどうかについては、その他のリース取引と同様に、リース適用指針第5項の要件に基づいて判定すべきであり、具体的な判定は、リース適用指針第9項に従う。

- 4. 再リースに係るリース期間又はリース料を解約不能のリース期間又はリース料総額に含めるかどうかについては、その他のリース取引と同様に、リース適用指針第11項及び第12項に従う。

- 5. 本リース・スキームにおいて、リース取引開始日後にリース取引の契約内容が変更された場合(第2項(7)参照)、ファイナンス・リース取引かオペレーティング・リース取引かの判定を再度行う。これ以外の場合、当該判定をリース期間中に再度行うことは要しない。
リース契約の変更の取扱い
(ファイナンス・リース取引かどうかの再判定)
- 6. リース取引開始日後にリース取引の契約内容が変更された場合のファイナンス・リース取引かオペレーティング・リース取引かの再判定にあたっては、契約変更日に、契約変更後の条件に基づいてリース取引開始日に遡って、第3項の判定を行う。[設例1][設例2]
- 7. 前項における判定を行うにあたって、借手が現在価値基準を適用する場合において現在価値の算定のために用いる割引率は、借手が契約変更後の条件に基づいてリース取引開始日における貸手の計算利子率を知り得るときは当該利率とし、知り得ないときは契約変更後の条件に基づいてリース取引開始日における借手の追加借入に適用されていたであろうと合理的に見積られる利率とする。
(オペレーティング・リース取引からファイナンス・リース取引への変更)
- 8. リース取引開始日後にリース取引の契約内容が変更された結果、オペレーティング・リース取引からファイナンス・リース取引となるリース取引については、契約変更日より通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行うものとし、契約変更日に、リース物件とこれに係る債務を、リース資産及びリース債務として次項に示す価額で計上する。なお、所有権移転外ファイナンス・リース取引については、リース適用指針第23項から第30項の方法に準じて会計処理し、所有権移転ファイナンス・リース取引については、リース適用指針第38項から第44項の方法に準じて会計処理するものとする。[設例1][設例2]
- 9. リース物件とこれに係る債務をリース資産及びリース債務として計上する場合の価額は、原則として(1)のとおりとする。ただし、当該リース資産及びリース債務の価額を(2)のとおりとすることもできる。
- (1)リース資産及びリース債務をそれぞれ①、②のとおり算定された価額で計上し、リース資産とリース債務との差額は損益として処理する。
- ①リース資産
契約変更後の条件に基づくリース取引開始日からの将来のリース料(残価保証がある場合は、残価保証額を含む。)を第7項に示す割引率を用いて割り引いた現在価値とリース取引開始日における借手の見積現金購入価額とのいずれか低い額から、リース取引開始日から契約変更日までの減価償却累計額相当額を控除した価額による。 - ②リース債務
契約変更後の条件に基づく契約変更日からの将来のリース料(残価保証がある場合は、残価保証額を含む。)を第7項に示す割引率を用いて割り引いた現在価値による。 - (2)リース資産及びリース債務を(1)②に従って算定された価額にて同額で計上する。
- 10. なお、第6項から第9項までの取扱いは、第2項に記載するリース取引にのみ適用されるものであり、その他のリース取引に係る現行の取扱いに影響を与えるものではない。
変動リース料
- 11. 本リース・スキームに係るリース対象物件の稼働量により変動するリース料(以下「変動リース料」という。)については、リース取引開始日における借手による合理的な見積額(すなわち、リース取引開始日において、借手により示されている合理的な想定稼働量を基礎とした金額)により、リース会計基準及びリース適用指針に定めるリース料総額に含めて取り扱う。したがって、このような変動リース料は、次のような場合に考慮されることとなる。
- (1)ファイナンス・リース取引の判定
- (2)ファイナンス・リース取引と判定された場合の、リース資産及びリース債務として計上する価額の算定
- 12. なお、前項の取扱いは、第2項に記載するリース取引にのみ適用されるものであり、その他のリース取引に係る現行の取扱いに影響を与えるものではない。
その他の事項
- 13. 本実務対応報告に定めのない事項については、リース会計基準及びリース適用指針の定めに従って会計処理する。
開 示
変動型又はハイブリッド型のオペレーティング・リース取引に係る注記
- 14. 変動型又はハイブリッド型の本リース・スキームについてオペレーティング・リース取引と判定された場合、リース会計基準第22項に定める解約不能のものに係る未経過リース料の注記に、貸借対照表日における借手による合理的な見積額に基づく変動リース料の未経過分を含める。
その他の事項
- 15. 本実務対応報告に定めのない事項については、リース会計基準及びリース適用指針の定めに従って開示する。
適用時期
平成26年実務対応報告
- 16. 平成26年公表の本実務対応報告(以下「平成26年実務対応報告」という。)は、公表日以後適用する。
平成27年改正実務対応報告
- 16-2. 平成27年改正の本実務対応報告(以下「平成27年改正実務対応報告」という。)は、公表日以後適用する。
議 決
- 17. 平成26年実務対応報告は、第290回企業会計基準委員会に出席した委員12名全員の賛成により承認された。
- 17-2. 平成27年改正実務対応報告は、第307回企業会計基準委員会に出席した委員12名全員の賛成により承認された。
結論の背景
経 緯
- 18. 平成25年12月の第277回企業会計基準委員会において、基準諮問会議より、本リース・スキームに係る借手の会計上の取扱いについて検討を求める提言がなされ、当委員会では、本リース・スキームにおけるリース取引に関する借手の会計処理及び開示の審議を行うこととなった。
- 当委員会における審議においては、貸手の会計上の取扱いについても検討すべきであるとの意見も示されたが、当該提言においては緊急性の高い対応が要請されていたことを踏まえ、平成26年実務対応報告では借手に限定した取扱いを示すこととした。
- また、公開草案に対しては契約変更日の借手の会計上の取扱いについて明示すべきであるという意見が寄せられた。この点については、審議の結果、取扱いを明示する必要性が認められた一方、基準諮問会議からの提言において緊急性の高い対応が要請されていたことを勘案し、いったん平成26年実務対応報告を公表した後、別途、定めることとした。
- 18-2. 平成27年3月には、契約変更日の借手の会計上の取扱いに関する定めを追加する改正を行った。
範 囲
- 19. 本実務対応報告は、第2項に記載したリース取引のみを対象としており、その他のリース取引については、取引の内容が本リース・スキームに類似したリース取引であっても、本実務対応報告の対象とはならない。
会計処理
ファイナンス・リース取引の判定基準
- 20. 本リース・スキームでは、第2項に記載のとおり、リース期間中のリース料総額の現在価値が、リース事業者(貸手)におけるリース対象物件の取得価額の90パーセント未満とされ、当該リース期間は、リース対象物件の経済的耐用年数の75パーセント未満とされる。また、当該リース物件について、事業会社(借手)に移転しないリスク及び便益は、リース事業者(貸手)及び基金設置法人が負担又は享受することとなる。さらに、事業会社(借手)は第三者委員会による審査の結果を入手することを通じて、リース事業者(貸手)の計算利子率等の内容を入手できる立場にある。したがって、本リース・スキームは、リース料、リース期間及び割引率の設定等において、我が国においてこれまでファイナンス・リース取引と判定されてきたリース・スキームとは異なる特徴を有する。
- 21. しかしながら、第2項は本リース・スキームに含まれる内容を記述したものにすぎず、本リース・スキームにおいて、ファイナンス・リース取引に該当するかどうかの判定(第3項参照)及び再リースに係るリース期間又はリース料を解約不能のリース期間又はリース料総額に含めるかどうかの判定(第4項参照)については、特段、その他のリース取引と分けて検討する必要はないと考えられるため、その旨を明示している。
- 22. なお、変動リース料をリース料総額に含めて取り扱う(第11項参照)場合、各貸借対照表日におけるリース料総額に基づくファイナンス・リース取引の判定を行った結果はリース期間の経過とともに異なる可能性がある。しかしながら、本リース・スキームにおける変動リース料について、リース取引開始日の見積りにおいては一定の客観的な検証(第30項参照)が要求されるのに対し、契約内容の変更を伴わない場合のその後の見積りにおいては必ずしも同等の検証は要求されていない。また、当該判定をリース期間中において継続的に行うことについては、実務上の複雑性を生じることが懸念される。これらを踏まえ、本実務対応報告では、ファイナンス・リース取引かオペレーティング・リース取引かの判定は、リース取引の契約内容が変更された場合を除き、リース期間中に再度行うことを要しないこととした。
リース契約の変更の取扱い
- 23. リース契約が変更された場合、契約変更後のリース取引がファイナンス・リース取引かオペレーティング・リース取引かの判定を再度行うアプローチとして、契約変更後の条件に基づいてリース取引開始日に遡って再判定を行うアプローチと契約変更日から将来に向かって再判定を行うアプローチの2つの方法があり得ると考えられる。
- この点について、個々のリース取引ごとの契約変更の要因やリース料の設定方法(第2項(6)参照)によって2つのアプローチを使い分けることに関しては、当委員会の検討の過程で、本実務対応報告が本リース・スキームに限定した取扱いを示すものであることを踏まえると過度に複雑な取扱いとなることを懸念する意見が示された。さらに、多くのケースでは、契約変更によってリース取引開始日におけるリース物件に関するコストについての借手と貸手の間の負担関係に変更が生じたと想定されることから、契約変更後の条件に基づき結果的にリース期間にわたり借手が負担することとなったリース物件の当該コストを反映して再判定をすべきとの意見も示された。このような考え方からは、リース取引開始日に遡って再判定を行うアプローチがより適切と考えられる。
- また、契約変更日から将来に向かって再判定を行うアプローチにおいては、再判定において契約変更日におけるリース物件の見積現金購入価額を入手することが必要と考えられるが、この点については、本リース・スキームにおいてそのような見積現金購入価額を入手することは、多くの場合、実務上困難と指摘されてきた。
- 以上を踏まえ、本実務対応報告では、契約変更後の条件に基づいてリース取引開始日に遡ってファイナンス・リース取引かオペレーティング・リース取引かの再判定を行うこととした(第6項参照)。
- 24. ファイナンス・リース取引かオペレーティング・リース取引かの再判定をリース取引開始日に遡って行うとしていることを踏まえると、借手が現在価値基準を適用する場合において現在価値の算定に用いる割引率としては、契約変更後の条件に基づいてリース取引開始日の時点のものを用いることが整合的であると考えられる。
- 本実務対応報告では、借手が現在価値基準を適用する場合において現在価値の算定のために用いる割引率としては、リース適用指針第17項に準じて、借手が契約変更後の条件に基づいてリース取引開始日における貸手の計算利子率を知り得るときには、当該利率とし、知り得ないときは契約変更後の条件に基づいてリース取引開始日における借手の追加借入に適用されていたであろうと合理的に見積られる利率としている。後者の具体例としては、リース適用指針第95項に準じて、契約変更後のリース期間と同一の期間におけるスワップレートに借手の信用スプレッドを加味した利率や新規長期借入金等の利率のような利率の中からその企業にとって適当と認められるものを用いて契約変更日において事後的に推定することが考えられる。
- なお、本リース・スキーム上、契約変更後において、貸手が契約変更後の条件に基づいてリース取引開始日における貸手の計算利子率に関する情報を借手へ通知することは、通常、想定されないと考えられる。
- 25. 本実務対応報告では、リース契約の変更の結果、オペレーティング・リース取引からファイナンス・リース取引となるリース取引について、契約変更日に、リース物件とこれに係る債務を、リース資産及びリース債務として計上し、両者の差額を損益として処理する方法を原則的な取扱いとしている。これは、以下の理由によるものである。
- (1)ファイナンス・リース取引かオペレーティング・リース取引かの再判定をリース取引開始日に遡って行う(第6項参照)としていることを踏まえると、参照するリース期間を合わせるという観点から、リース取引開始日に遡ってファイナンス・リース取引の会計処理をしたかのようにリース資産とリース債務を測定するのが整合的であると考えられる。
- (2)本リース・スキームにおける契約内容の変更は、一般的には、遡及適用が求められる会計方針の変更や修正再表示が求められる過去の誤謬の訂正とは異なる性格を有するものであり、また、当該契約内容の変更によるリース資産とリース債務との差額は将来の期間に影響を与えるものとは考えられないため、その影響額を当該契約内容の変更の発生時の損益として会計処理するのが適切であると考えられる。
- ただし、本実務対応報告が本リース・スキームに限定した取扱いを示すものであることを踏まえ、実務上のより簡便的な手法として、リース資産の価額をリース債務の価額と同額とし、両者の差額を発生させない方法も認めることとした。
- 26. また、本実務対応報告では、以下の理由から、契約内容の変更の結果としてオペレーティング・リース取引からファイナンス・リース取引となるリース取引の取扱いのみを示している。
- (1)当委員会における審議においては、契約内容の変更の前後でともにファイナンス・リース取引である例は多くないのではないかとの意見が示されたこと
- (2)契約内容の変更の結果としてファイナンス・リース取引からオペレーティング・リース取引となる場合、契約内容の変更前に貸借対照表上に計上していたリース資産及びリース債務の認識の中止を行い、両者の差額を損益に認識するなどの会計処理が行われると想定されること
- 27. なお、本件の議論においては、本リース・スキームにおける契約内容の変更のみに着目しており、一般的な契約内容の変更そのものの包括的な検討を行ったわけではないため、本実務対応報告は、その他のリース取引に係る現行の取扱いに影響を与えるものではない(第10項参照)ことを明示することとした。
変動リース料
- 28. リース適用指針第90項では、「リース料が将来の一定の指標(売上高等)により変動するリース取引など、特殊なリース取引については、本適用指針では取り扱っていない。」としており、いわゆる変動リース料の取扱いについては、明示されていない。
- 29. 国際会計基準(IAS)第17号「リース」では、変動リース料は、リース料のうち、金額が固定されておらず、時間の経過以外で変化する要因の将来の数量(例えば、将来の売上の一定割合)に基づく部分をいうと定義され、ファイナンス・リース取引の判定上、最低リース料総額に含めないこととされている。一方、現在、国際会計基準審議会(IASB)において見直しが進められている概念フレームワークの議論では、負債の定義に含まれる「現在の義務」に一部の変動リース料のように企業の将来の行動を通じて回避できるものが含まれるかどうかが議論となっており、必ずしも、国際的な会計上の取扱いについて十分なコンセンサスに至っていない状況である。
- 30. これらの状況を踏まえたうえで、本実務対応報告では、本リース・スキームにおける変動リース料は、以下のように、リース期間全体における想定稼働量についてその発生可能性が高く、かつ、その点について一定の客観的な検証が行われているものに限定されていることから、一般的な変動リース料とはその性質が異なると考え、リース会計基準及びリース適用指針に定めるリース料総額に含めて取り扱う(第11項参照)こととした。
- (1)変動リース料算定の基礎となる「合理的な想定稼働量」は、一定の根拠を持ち、かつ適切な社内承認を得た事業会社(借手)のリース対象物件の稼働計画に基づき、発生可能性の高いものとして算出されたもの、として定義されている(事務取扱要領第3条第5号)。
- (2)リース事業者(貸手)は、先端設備等導入支援契約の締結の申込みに際して、事業会社(借手)が作成した稼働計画に基づく稼働計画書を受託事業者(事務局)へ提出するものとされている(同第4条第3項)。
- (3)基金設置法人は、(2)における稼働計画書を含めたリース契約の内容について受託事業者(事務局)から報告を受け、所定の要件に適合するかどうかを、第三者委員会を設置し、当該委員会において審査する(実施要領 第4の5.(2))。
- 31. なお、本件の議論においては、本リース・スキームにおける変動リース料に特有の性質に着目しており、一般的な変動リース料そのものの包括的な検討を行ったわけではないため、本実務対応報告は、その他のリース取引に係る現行の取扱いに影響を与えるものではない(第12項参照)ことを明示することとした。
開 示
変動型又はハイブリッド型のオペレーティング・リース取引に係る注記
- 32. 第30項に記載のとおり、本リース・スキームにおける変動リース料については、一般的な変動リース料とはその性質が異なると考えられることから、変動型又はハイブリッド型のリース取引がオペレーティング・リース取引と判定された場合、リース会計基準第22項に定める解約不能のものに係る未経過リース料の注記に、貸借対照表日における借手による合理的な見積額に基づく変動リース料の未経過分を含める(第14項参照)こととした。
適用時期
- 33. 本リース・スキームの実際の運用が開始されていること、また、本実務対応報告は、本リース・スキームにおけるリース取引に係る実務上の取扱いをより明確にするものであり、特段の周知期間は必要ないと考えられることから、平成26年実務対応報告及び平成27年改正実務対応報告は、公表日以後適用することとした。
設 例
- 以下では、本実務対応報告によりリース契約の変更時の会計処理を行う場合の設例を示す。なお、各設例に示されている会計処理は、本実務対応報告に従って具体的な会計処理の実務を行うための手掛かりを与えるための例示であり、各企業のリース取引の実情に応じ、設例では例示されていない会計処理も適当と判断される場合があることに留意する必要がある。(以下、設例の仕訳の単位:千円)
設 例
- [設例1] 契約変更の結果、オペレーティング・リース取引からファイナンス・リース取引となるリース取引(固定型のリース料のケース)
- 当初の契約条件

- 1. 借手の会計処理(契約変更前)
- (1) リース取引開始日におけるファイナンス・リース取引の判定
- ① 現在価値基準による判定
貸手の計算利子率を知り得るため、年5.037%を用いてリース料総額を現在価値に割り引くと、 
- 現在価値38,614千円/見積現金購入価額48,000千円=80%<90%
- ② 経済的耐用年数基準による判定
リース期間5年/経済的耐用年数10年=50%<75%
- したがって、①及び②より、このリース取引はオペレーティング・リース取引に該当する。
- (2) 会計処理
- X1年4月1日(リース取引開始日、第1回支払日)

- X2年4月1日(第2回支払日)

- リース契約の途中における契約変更の内容

- 2. 借手の会計処理(契約変更後)
- (1) ファイナンス・リース取引かどうかの再判定
- ① 現在価値基準による判定
借手の追加借入利子率(年5%)を用いてリース料総額を現在価値に割り引くと、 
- 現在価値47,520千円/見積現金購入価額48,000千円=99%>90%
- ② 経済的耐用年数基準による判定
リース期間7年/経済的耐用年数10年=70%<75%
- したがって、①より、このリース取引はファイナンス・リース取引に該当する。
- ③ 所有権移転条項又は割安購入選択権がなく、またリース物件は特別仕様ではないため、所有権移転ファイナンス・リース取引には該当しない。
- ①及び③により、このリース取引は所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当する。
- (2) 会計処理
- 新しいリース料総額を借手の追加借入利子率で割り引いた現在価値(47,520千円)の方が借手の見積現金購入価額(48,000千円)より低い額であるため、47,520千円がリース取引開始日におけるリース資産及びリース債務の計上価額であったと仮定する。この場合に、利息相当額の算定に必要な利子率は、借手の追加借入利子率(年5%)である。
- このときリース債務の返済スケジュールは、[表1]に示すとおりである。

- (注)適用利率年5%
- (*)契約変更後の条件に基づく契約変更日からの将来のリース料を、借手の追加借入利子率(年5%)を用いて現在価値に割り引くと、

- [第1法]リース資産とリース債務との差額を損益として処理する方法(第9項(1)参照)
- X3年3月31日(契約変更日)

- (*1)47,520千円-減価償却累計額相当額13,577千円(*2)=33,943千円
- (*2)減価償却累計額相当額=47,520千円×既経過期間2年/リース期間7年=13,577千円
- 減価償却累計額相当額は、契約変更後のリース期間(7年)を耐用年数とし、リース資産の残存価額をゼロとして計算する。
- X3年4月1日(第3回支払日)

- (*3)リース債務の元本返済額は、[表1]より。
- X4年3月31日(決算日)

- (*4)減価償却費は、契約変更後の残存リース期間(7年-2年=5年)を耐用年数とし、残存価額をゼロとして計算する。
- 33,943千円((*1)より)×1年/5年=6,789千円
- (*5)未払利息は、[表1]より。
- X4年4月1日(期首、第4回支払日)

- (*6)リース債務の元本返済額、未払利息及び支払利息は、[表1]より。
- 以後も、決算日及び支払日において、それぞれ同様な会計処理を行う。
- X8年3月31日(リース物件の返却、決算日)

- (*7)減価償却費は、契約変更後の残存リース期間(7年-2年=5年)を耐用年数とし、残存価額をゼロとして計算する。
- 33,943千円((*1)より)×1年/5年=6,789千円
- (*8)(*1)より、33,943千円
- [第2法]リース資産とリース債務を同額で計上する方法(第9項(2)参照)
- X3年3月31日(契約変更日)

- (*1)リース債務と同額を計上する。
- X3年4月1日(第3回支払日)

- (*2)リース債務の元本返済額は、[表1]より。
- X4年3月31日(決算日)

- (*3)減価償却費は、契約変更後の残存リース期間(7年-2年=5年)を耐用年数とし、残存価額をゼロとして計算する。
- 34,095千円((*1)より)×1年/5年=6,819千円
- (*4)未払利息は、[表1]より。
- X4年4月1日(期首、第4回支払日)

- (*5)リース債務の元本返済額、未払利息及び支払利息は、[表1]より。
- 以後も、決算日及び支払日において、それぞれ同様な会計処理を行う。
- X8年3月31日(リース物件の返却、決算日)

- (*6)減価償却費は、契約変更後の残存リース期間(7年-2年=5年)を耐用年数とし、残存価額をゼロとして計算する。
- 34,095千円((*1)より)×1年/5年=6,819千円
- (*7)(*1)より、34,095千円
- [設例2] 契約変更の結果、オペレーティング・リース取引からファイナンス・リース取引となるリース取引(変動型のリース料のケース)
- 当初の契約条件

- 1. 借手の会計処理(契約変更前)
- (1) リース取引開始日におけるファイナンス・リース取引の判定
- ① 現在価値基準による判定
貸手の計算利子率を知り得るため、年5.068%を用いてリース料総額を現在価値に割り引くと、 
- 現在価値38,628千円/見積現金購入価額48,000千円=80%<90%
- ② 経済的耐用年数基準による判定
リース期間5年/経済的耐用年数7年=71%<75%
- したがって、①及び②より、このリース取引はオペレーティング・リース取引に該当する。
- (2) 会計処理
- X2年3月31日(第1回支払日、決算日)

- X3年3月31日(第2回支払日、決算日)

- リース契約の途中における契約変更の内容

- 2. 借手の会計処理(契約変更後)
- (1) ファイナンス・リース取引かどうかの再判定
- ① 現在価値基準による判定
借手の追加借入利子率(年5%)を用いてリース料総額を現在価値に割り引くと、 
- 現在価値44,831千円/見積現金購入価額48,000千円=93%>90%
- ② 経済的耐用年数基準による判定
リース期間5年/経済的耐用年数7年=71%<75%
- したがって、①より、このリース取引はファイナンス・リース取引に該当する。
- ③ 所有権移転条項又は割安購入選択権がなく、またリース物件は特別仕様ではないため、所有権移転ファイナンス・リース取引には該当しない。
- ①及び③により、このリース取引は所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当する。
- (2) 会計処理
- 新しいリース料総額を借手の追加借入利子率で割り引いた現在価値(44,831千円)の方が借手の見積現金購入価額(48,000千円)より低い額であるため、44,831千円がリース取引開始日におけるリース資産及びリース債務の計上価額であったと仮定する。この場合に、利息相当額の算定に必要な利子率は、借手の追加借入利子率(年5%)である。
このときリース債務の返済スケジュールは、[表2]に示すとおりである。 
- (注)適用利率年5%
- (*)契約変更後の条件に基づく契約変更日からの将来のリース料を、借手の追加借入利子率(年5%)を用いて現在価値に割り引くと、

- [第1法]リース資産とリース債務との差額を損益として処理する方法(第9項(1)参照)
- X3年3月31日(契約変更日、決算日)

- (*1)44,831千円-減価償却累計額相当額17,933千円((*2)より)=26,899千円
- (*2)減価償却累計額相当額=44,831千円×既経過期間2年/リース期間5年=17,933千円
- 減価償却累計額相当額は、契約変更後のリース期間(5年)を耐用年数とし、リース資産の残存価額をゼロとして計算する。
- X4年3月31日(第3回支払日、決算日)

- (*3)リース債務の元本返済額及び支払利息は、[表2]より。
- (*4)減価償却費は、契約変更後の残存リース期間(5年-2年=3年)を耐用年数とし、残存価額をゼロとして計算する。
- 26,899千円×1年/3年=8,966千円
- X5年3月31日(第4回支払日、決算日)

- (*5)リース債務の元本返済額及び支払利息は、[表2]より。
- (*6)減価償却費は、契約変更後の残存リース期間(5年-2年=3年)を耐用年数とし、残存価額をゼロとして計算する。
- 26,899千円×1年/3年=8,966千円
- X6年3月31日(第5回支払日、リース物件の返却、決算日)

- (*7)リース債務の元本返済額及び支払利息は、[表2]より。
- (*8)減価償却費は、契約変更後の残存リース期間(5年-2年=3年)を耐用年数とし、残存価額をゼロとして計算する。
- 26,899千円×1年/3年=8,966千円
- (*9)(*1)より、26,899千円
- [第2法]リース資産とリース債務を同額で計上する方法(第9項(2)参照)
- X3年3月31日(契約変更日、決算日)

- (*1)リース債務と同額を計上する。
- X4年3月31日(第3回支払日、決算日)

- (*2)リース債務の元本返済額及び支払利息は、[表2]より。
- (*3)減価償却費は、契約変更後の残存リース期間(5年-2年=3年)を耐用年数とし、残存価額をゼロとして計算する。
- 26,427千円×1年/3年=8,809千円
- X5年3月31日(第4回支払日、決算日)

- (*4)リース債務の元本返済額及び支払利息は、[表2]より。
- (*5)減価償却費は、契約変更後の残存リース期間(5年-2年=3年)を耐用年数とし、残存価額をゼロとして計算する。
- 26,427千円×1年/3年=8,809千円
- X6年3月31日(第5回支払日、リース物件の返却、決算日)

- (*6)リース債務の元本返済額及び支払利息は、[表2]より。
- (*7)減価償却費は、契約変更後の残存リース期間(5年-2年=3年)を耐用年数とし、残存価額をゼロとして計算する。
- 26,427千円×1年/3年=8,809千円
- (*8)(*1)より、26,427千円
- 以 上
注
- 1 利息相当額を利息法で会計処理する場合(リース適用指針第24項)を前提にしている(以下同様)。
- 2 利息相当額を利息法で会計処理する場合(リース適用指針第24項)を前提にしている(以下同様)。