©公益財団法人 財務会計基準機構最終更新日:2026/03/04
実務対応報告第24号持分法適用関連会社の会計処理に関する当面の取扱い
目 的
- 本実務対応報告は、連結財務諸表の作成において、持分法適用関連会社の会計処理に関する当面の取扱いを定めることを目的とする。
持分法適用関連会社の会計処理の統一
原則的な取扱い
- 同一環境下で行われた同一の性質の取引等について、投資会社(その子会社を含む。)及び持分法を適用する被投資会社が採用する会計方針は、原則として統一する(企業会計基準第16号「持分法に関する会計基準」(以下「持分法会計基準」という。)第9項)。
当面の取扱い
- 投資会社及び持分法を適用する関連会社(以下「持分法適用関連会社」という。)が採用する会計方針の統一にあたっては、原則的な取扱いによるほか、当面の間、日本公認会計士協会 監査・保証実務委員会報告第56号「親子会社間の会計処理の統一に関する当面の監査上の取扱い」(平成24年3月に監査・保証実務委員会実務指針第56号「親子会社間の会計処理の統一に関する監査上の取扱い」として改正されている。以下「監査・保証実務委員会実務指針第56号」という。)に定める会計処理の統一に関する取扱いに準じて行うことができるものとする。
- さらに、在外関連会社の財務諸表が国際財務報告基準又は米国会計基準に準拠して作成されている場合、及び国内関連会社が指定国際会計基準(「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条に規定する指定国際会計基準をいう。以下同じ。)又は「修正国際基準(国際会計基準と企業会計基準委員会による修正会計基準によって構成される会計基準)」(以下「修正国際基準」という。)に準拠した連結財務諸表を作成して金融商品取引法に基づく有価証券報告書により開示している場合(当連結会計年度の有価証券報告書により開示する予定の場合も含む。)については、当面の間、実務対応報告第18号「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い」(以下「実務対応報告第18号」という。)に準じて行うことができるものとする。
- なお、統一のために必要な情報を入手することが極めて困難と認められるときには、監査・保証実務委員会実務指針第56号に定める、「統一しないことに合理的な理由がある場合」にあたるものとする(後掲「本実務対応報告の考え方」(2)を参照)。
本実務対応報告の考え方
- (1) 連結子会社に準じた当面の取扱い
- 「連結財務諸表原則」(以下「連結原則」という。)を前提とする日本公認会計士協会 会計制度委員会報告第9号「持分法会計に関する実務指針」(以下「持分法実務指針」という。)においては、同一環境下で行われた同一の性質の取引等について、投資会社及び持分法適用関連会社が採用する会計処理の原則及び手続は、原則として統一することが望ましいとされていた。また、会計処理の原則及び手続を統一するにあたっては、子会社の会計処理の原則及び手続の統一に関して当面の取扱いを定めた監査・保証実務委員会実務指針第56号及び実務対応報告第18号に基づいて行うこととされていた(平成21年改正前の持分法実務指針第5項)。
- 今般、持分法会計基準の公表により、被投資会社(持分法の適用対象となる非連結子会社及び持分法適用関連会社)が採用する会計方針について、連結子会社の場合と同様に原則として統一することとされた。しかしながら、本実務対応報告では、持分法適用関連会社の会計方針の統一に際して生じる実務上の負担に配慮し、統一にあたっては、連結子会社の会計方針の統一を行う場合の当面の取扱いである監査・保証実務委員会実務指針第56号及び実務対応報告第18号に準じて行うことができることとした。
- (2) 統一のために必要な情報を入手することが極めて困難と認められる場合の取扱い
- 投資会社及び持分法適用関連会社が採用する会計方針が統一されていない場合には、持分法の適用に際して「持分法適用関連会社の会計処理の統一」で示した取扱いとするための修正を行う必要があるが、例えば、在外関連会社の場合で、投資会社の他に支配株主が存在するようなときや、上場会社の株式を追加取得することで関連会社としたときなどでは、支配力が及ぶ子会社とは異なり、修正のために必要となる詳細な情報の入手が極めて困難なことがあり得る。監査・保証実務委員会実務指針第56号では、親子会社間の会計方針の統一に関して、「原則として統一しなければならない」とは、統一しないことに合理的な理由がある場合又は重要性がない場合を除いて、統一しなければならないことを意味するとしている。この取扱いに照らし、上記のように統一のために必要な情報を入手することが極めて困難と認められる場合には、監査・保証実務委員会実務指針第56号に定める、「統一しないことに合理的な理由がある場合」にあたることとした。
- (3) 会計方針の統一にあたっての重要性の考え方
- 関連会社の会計方針の統一にあたっては、重要性の原則が適用される(持分法会計基準第26項)。この場合の重要性については、連結財務諸表上の諸数値に基づいて判断されることとなり、一般的には、当期純利益が考えられている。このため、関連会社の純利益に持分比率を乗じたものに重要性が乏しい場合、統一を行わないことができると考えられる。
- (4) 持分法の適用対象となる非連結子会社の取扱い
- 持分法の適用対象となる非連結子会社について会計方針を統一する場合の取扱いも、本実務対応報告で示されたものと同様となる。ただし、前掲の「当面の取扱い」なお書きに示した、統一のために必要な情報を入手することが極めて困難と認められる場合の取扱いは、関連会社に固有の事情を考慮して定められたものであり、これを非連結子会社に適用することは適当ではない。
本実務対応報告の公表及び改正の経緯
- 平成9年6月に企業会計審議会によって改訂された連結原則においては、投資会社及び持分法適用関連会社が採用する会計処理の原則及び手続について、統一すべきか否かが明示されていないものの、持分法実務指針では、「連結原則は会計処理基準の統一を要求していない」(平成21年改正前の持分法実務指針第36項)ことを前提として、「同一環境下で行われた同一の性質の取引等について、投資会社及び持分法を適用する関連会社が採用する会計処理の原則及び手続は、原則として統一することが望ましい」(平成21年改正前の持分法実務指針第5項)とされていた。これは、関連会社に持分法を適用する際には、企業集団の姿を適切に表現するため、同一環境下で行われた同一の性質の取引等について、投資会社及び当該関連会社が採用する会計処理の原則及び手続は、連結子会社の場合と同様に、原則として統一すべきであるが、他に支配株主又は合弁相手が存在するため、関連会社に投資会社の会計方針を採用させることが困難な場合もあること、また、持分法適用時に修正を行うことは実務上、煩瑣であることなどに配慮を行ったためであると考えられている(平成21年改正前の持分法実務指針第36項)。
- しかしながら、当委員会において平成20年3月10日に公表した持分法会計基準では、持分法適用関連会社が採用する会計処理の原則及び手続についても、従来の取扱いが改められ、原則として投資会社と統一することとされた。
- 本実務対応報告では、持分法会計基準における上記の定めに係る対応として、従来の取扱いから原則として統一することとなる場合の実務負担や、連結子会社が採用する会計方針の統一の取扱いとの関係を踏まえた上で、当面必要と考えられる実務上の取扱いを明らかにすることとした。また、持分法会計基準の公表に伴う会計方針の変更に際し、同基準の適用初年度において、持分法の適用上必要とされる会計処理についても示すこととした。
平成29年改正
- 平成27年11月に開催された第324回企業会計基準委員会において、基準諮問会議より、国内関連会社が指定国際会計基準を適用している場合の連結財務諸表作成における取扱いの検討を求める提言がなされ、審議を行うこととなった。
- 検討の結果、平成20年に本実務対応報告が公表されたときに国内関連会社が国際財務報告基準を適用することは想定されていなかったことのほか、本実務対応報告が在外関連会社に国際財務報告基準の利用を認めた趣旨を踏まえ、平成29年改正の本実務対応報告(以下「平成29年改正実務対応報告」という。)では、国内関連会社が指定国際会計基準に準拠した連結財務諸表を作成して金融商品取引法に基づく有価証券報告書により開示している場合、当面の間、実務対応報告第18号に準じることができることとした。また、当委員会が公表した修正国際基準を国内関連会社が適用する場合に関しても、同様に、当面の間、実務対応報告第18号に準じることができることとした。
平成30年改正
- 平成30年改正の実務対応報告第18号では、在外子会社等において資本性金融商品の公正価値の事後的な変動をその他の包括利益に表示する選択をしている場合の組替調整を修正項目として取り扱うこととしている。
- この改正を受けて持分法適用関連会社の取扱いについて審議を行い、平成30年改正の本実務対応報告(以下「平成30年改正実務対応報告」という。)では、当該取扱いに関しても実務対応報告第18号に準ずることとしている。
適用時期等
- (1) 平成29年改正実務対応報告の適用時期は、平成29年に改正された実務対応報告第18号と同様とする。
- なお、平成29年改正実務対応報告の適用初年度の前から国内関連会社が指定国際会計基準又は修正国際基準に準拠した連結財務諸表を作成して金融商品取引法に基づく有価証券報告書により開示している場合において、当該適用初年度に「持分法適用関連会社の会計処理の統一」の当面の取扱いを適用するときは、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱う。
- (2) 平成30年改正実務対応報告の適用時期等に関する取扱いは、次のとおりとする。
- ① 平成31年4月1日以後開始する連結会計年度の期首から適用する。
- ② ①の定めにかかわらず、平成30年改正実務対応報告の公表日以後最初に終了する連結会計年度及び四半期連結会計期間において適用することができる。
- ③ ①の定めにかかわらず、平成32年4月1日以後開始する連結会計年度の期首又は持分法適用関連会社が初めて国際財務報告基準第9号「金融商品」を適用する連結会計年度の翌連結会計年度の期首から適用することができるものとする。なお、平成31年4月1日以後開始する連結会計年度以降の各連結会計年度において、平成30年改正実務対応報告を適用していない場合、その旨を注記する。
- ④ 平成30年改正実務対応報告の適用初年度においては、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱う。ただし、会計方針の変更による累積的影響額を当該適用初年度の期首時点の利益剰余金に計上することができるものとする。この場合、持分法適用関連会社において国際財務報告基準第9号「金融商品」を早期適用しているときには、遡及適用した場合の累積的影響額を算定する上で、持分法適用関連会社において国際財務報告基準第9号「金融商品」を早期適用した連結会計年度から平成30年改正実務対応報告の適用初年度の前連結会計年度までの期間において資本性金融商品の減損会計の適用を行わず、平成30年改正実務対応報告の適用初年度の期首時点で減損の判定を行うことができる。
- ⑤ 平成30年改正実務対応報告の公表日以後最初に終了する四半期連結会計期間に平成30年改正実務対応報告を早期適用し、会計方針の変更による累積的影響額を適用初年度の利益剰余金に計上する場合、会計方針の変更による累積的影響額を早期適用した四半期連結会計期間の期首時点ではなく連結会計年度の期首時点の利益剰余金に計上する。
- また、早期適用した連結会計年度の翌年度に係る四半期連結財務諸表においては、早期適用した連結会計年度の四半期連結財務諸表(比較情報)について平成30年改正実務対応報告の定めを当該早期適用した連結会計年度の期首に遡って適用する。
議 決
- 平成20年実務対応報告は、第147回企業会計基準委員会に出席した委員13名全員の賛成により承認された。
- 平成29年改正実務対応報告は、第357回企業会計基準委員会に出席した委員13名全員の賛成により承認された。
- 平成30年改正実務対応報告は、第392回企業会計基準委員会に出席した委員14名全員の賛成により承認された。
- 以 上
注
- 1 当該開示には、有価証券報告書提出会社の保証会社に該当する国内関連会社が、指定国際会計基準又は修正国際基準に準拠した連結財務諸表を作成して有価証券報告書提出会社の有価証券報告書により開示している場合を含む。
- 2 のれんの償却をはじめとする実務対応報告第18号に定める5項目の修正のために必要な情報の入手が極めて困難と認められる場合も、「統一のために必要な情報を入手することが極めて困難と認められるとき」と同様に、修正のために必要な情報の入手が極めて困難と認められる項目の修正を行わないことができる。
- 3 国内関連会社の場合であっても、統一のために必要な情報の入手が極めて困難な状況が生じることを否定するものではない。
- 4 統一のために必要な情報を入手することが極めて困難と認められる場合にあたるかどうかについては、個別の事情の合理性を実質的に判断する必要があることに留意する。
- 5 「当面の取扱い」における実務対応報告第18号に準じる方法によった場合、在外関連会社の財務諸表が国際財務報告基準又は米国会計基準に準拠して作成されているとき、及び国内関連会社が指定国際会計基準又は修正国際基準に準拠した連結財務諸表を作成して金融商品取引法に基づく有価証券報告書により開示しているときには、当面の間、それらを持分法の適用上利用することができる。ここでいう在外関連会社の財務諸表には、所在地国で法的に求められるものや外部に公表されるものに限らず、持分法の適用上利用するために内部的に作成されたものが含まれ、この場合においても、当該財務諸表を国際財務報告基準又は米国会計基準に準拠するための修正を行うにあたり、重要性が乏しい項目については修正を行わないことができる。また、のれんの償却をはじめとする実務対応報告第18号に定める5項目の修正を行うにあたっても、重要性が乏しい項目については修正を行わないことができる。
- 6 平成20年公表の本実務対応報告の適用時期等については、平成30年改正実務対応報告の公表時に削除している。