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実務対応報告第11号外貨建転換社債型新株予約権付社債の発行者側の会計処理に関する実務上の取扱い
- 平成14年4月1日から施行されている商法等の一部を改正する法律(平成13年法律第128号)により導入された新株予約権付社債の会計処理については、平成14年3月29日に、実務対応報告第1号「新株予約権及び新株予約権付社債の会計処理に関する実務上の取扱い」が公表されている。
- しかしながら、外貨建転換社債型新株予約権付社債の円換算に関する発行者側の処理については、企業会計審議会が平成11年10月22日付で改訂した「外貨建取引等会計処理基準」(以下「外貨基準」という。)及び日本公認会計士協会が平成12年3月31日付で改正した会計制度委員会報告第4号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」をどのように適用すべきかが必ずしも明確ではないため、本実務対応報告で実務上の取扱いを明らかにすることとした。
- なお、本実務対応報告で取り扱う外貨建転換社債型新株予約権付社債は、これまで多く発行されていると考えられる[設例]で示したような発行条件のものを念頭においている。また、転換社債型新株予約権付社債に関する発行者側の会計処理については、一括法又は区分法が適用されるが、実務上は一括法が適用されている例が大半であると思われるため、本実務対応報告では、一括法の適用を前提にしている。今後、外貨建転換社債型新株予約権付社債について、発行条件が[設例]で示したような想定と大きく異なる事例や、区分法が適用される事例が多く見受けられるようになり、その会計処理を検討する必要が生じた場合には、それらを前提とした実務上の取扱いを明らかにすることもある。また、外貨建転換社債型新株予約権付社債以外の外貨建新株予約権付社債は、現状ではほとんど見られないため、それらの取扱いを明らかにしていないが、今後それらが多く見受けられるようになり、その会計処理を検討する必要が生じた場合には、同様に、実務上の取扱いを明らかにすることもある。
- 本実務対応報告は、第41回企業会計基準委員会に出席した委員12名全員の賛成により承認された。
1. 転換社債型新株予約権付社債の定義等
- 転換社債型新株予約権付社債とは、新株予約権の行使があったときに代用払込の請求があったものとみなす旨(商法第341条ノ3第1項第8号)を決議した新株予約権付社債であって、社債と新株予約権がそれぞれ単独で存在しえないことが明確にされるように、以下のいずれかの事項が予め社債要項等に記載されており、従来の転換社債と経済的実質が同一であると考えられるものをいう(実務対応報告第1号 Q2のA2(2)参照)。
- ・ 新株予約権について消却事由を定めておらず、かつ、社債についても繰上償還を定めていないこと。
- ・ 新株予約権について消却事由を定めている場合には、新株予約権が消却されたときに社債も同時に償還されること、かつ、社債について繰上償還を定めている場合には、社債が繰上償還されたときに新株予約権も同時に消却されること。
- なお、転換社債型新株予約権付社債については、社債の発行価額(商法第341条ノ3第1項第1号)と新株予約権の行使に際して払い込むべき金額(商法第341条ノ13第1項)が同額でなければならず(商法第341条ノ3第2項)、また、通常の新株予約権の行使と同様に、新株予約権の発行価額と新株予約権の行使に際して払い込むべき金額の合計が新株の発行価額とみなされる(商法第341条ノ15第5項、商法第280条ノ20第4項)。
2. 外貨建転換社債型新株予約権付社債に関する発行者側における円換算の処理
- 外貨建転換社債型新株予約権付社債の社債と新株予約権のそれぞれの発行価額を合算し、普通社債の発行に準じて処理する(一括法)(実務対応報告第1号 Q2のA3(2)①参照)場合、円貨への換算は以下のように行うことが適当と考えられる。
- (1) 発行時
- 発行時の円貨への換算は、発行時の為替相場による。ただし、発行による入金外貨額に本邦通貨による為替予約等が締結され、振当処理を採用している場合には、為替予約等により確定した円貨額により記録する。
- (2) 決算時
- 新株予約権行使期間満了前における決算時の円貨への換算は、発行時に記帳された為替相場による。ただし、行使の可能性がないと認められるものについては、決算時の為替相場による円換算額を付する。行使の可能性がないと認められるか否かは、移管指針第2号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」(以下「外貨建実務指針」という。)第22項に準じて判断される。
- また、新株予約権行使期間満了後における決算時の円貨への換算は、決算時の為替相場による。
- (3) 新株予約権行使時
- 新株予約権行使時の円貨への換算は、発行時に記帳された為替相場による。
- これは、上述1.のように、転換社債型新株予約権付社債が、従来の転換社債と経済的実質が同一と考えられるため、外貨建転換社債型新株予約権付社債の円換算の処理は、従来の外貨建転換社債の円換算の処理(外貨基準一2(1)②ただし書き及び外貨建実務指針第20項参照)と同様に行うことが適当であるとの考えによる。
- 従来、転換社債の発行を潜在的株式の発行と解することにより、外貨建転換社債の円換算の処理は、原則として発行時の為替相場による円換算額を付すこととされていた(外貨建実務指針第63項参照)。これは、旧商法において、転換により発行する株式の発行価額(旧商法第341条ノ7)が転換社債の発行価額とされていた(旧商法第222条ノ3)ことに根拠が求められている(新株予約権付社債制度が創設された平成13年の商法改正においては、上記の旧商法第222条ノ3の規定は削除されているが、新設された新株予約権付社債に関する規定の中で、実質的に同様の内容が踏襲されているものと解される(1.なお書き参照))。
- また、従来の転換社債の転換による新株発行については、このほかに現物出資や相殺と解する考えもあり、この場合には、転換社債の発行と転換による新株発行をいったん切断して考え、新株の発行価額は転換時の為替相場により円換算する考えと整合しやすい。
- 後者の考えについても、一定の合理性は認められるものの、新株予約権付社債制度の創設によって、円換算の考え方を変更するほどの法律上の改正はないものと解されるため、従来の外貨建転換社債の換算方法を踏襲することが妥当であると考えられる。
3. 適用時期
- 本実務対応報告は、公表日以後に終了する中間会計期間又は事業年度から適用する。
[設例] 一括法による場合の外貨建転換社債型新株予約権付社債の発行者側の会計処理
- 1 前提条件
- (1) 新株予約権付社債の発行価額は1,000千ドル(平価発行、期間10年)とする。
- (2) 新株予約権の行使に際して払込をなすべき1株当たりの金額(転換価格)は500円とする。なお、新株予約権の行使により交付される株式数は、社債の額面金額を換算(固定)レート210円/ドルで円に換算した金額を、転換価格で除した数とする。新株の発行価額はすべて資本金に組み入れるものとする。
- (3) 為替相場

- 2 会計処理(支払利息の処理は省略)
- (1) 発行時

- (2) 最初の決算日

- (3) 行使時(当初発行価額のうち100千ドルの行使がなされたと仮定)

- (注1) 行使に係る社債の額面金額 212,000千円×100千ドル/1,000千ドル= 21,200千円
- (注2) 行使により発行する株式の発行価額総額 100千ドル×212円/ドル= 21,200千円
- 以 上
