ASSET-ASBJ

企業会計基準適用指針第25号退職給付に関する会計基準の適用指針
目 的
- 1. 企業会計基準第26号「退職給付に関する会計基準」(以下「会計基準」という。)が平成24年5月17日に公表されている。本適用指針は、当該会計基準を適用する際の指針を定めるものである。
適用指針
範 囲
- 2. 本適用指針を適用する範囲は、会計基準における範囲と同様とする。
- なお、厚生年金基金制度及び確定給付企業年金制度に含まれる役員部分は、会計基準の適用対象となる。その計算にあたって、従業員部分と合わせることができる。
用語の定義
- 3. 本適用指針における用語の定義は、会計基準と同様とする。
確定給付制度の会計処理
退職給付債務及び勤務費用
- 4. 会計基準第16項から第19項に定める退職給付債務の計算には、次を含む([設例1]の表1-1及び表1-3)。
- (1) 退職により見込まれる退職給付の総額(以下「退職給付見込額」という。)の見積り(第7項及び第8項参照)
- (2) 退職給付見込額のうち期末までに発生していると認められる額の計算(第11項から第13項参照)
- (3) 退職給付債務の計算(第14項参照)
(退職給付債務の計算における計算単位、グルーピング)
- 5. 退職給付債務は、原則として個々の従業員ごとに計算する([設例1]の表1-1及び表1-3)。
- ただし、会計基準(注3)の「合理的な計算方法」を用いることもできる。この場合の合理的な計算方法とは、従業員を年齢、勤務年数、残存勤務期間及び職系(人事コース)等によりグルーピングし、当該グループの標準的な数値を用いて計算する方法であり、個々の従業員ごとに計算した場合と退職給付債務額に重要な差異がないと想定される場合に認められるものとする。
- 当該グループの「標準的な数値」は、実績等に基づき合理的に設定する。
- 年数によりグルーピングを行う場合はおおむね1年を基準とする。
(貸借対照表日前のデータの利用)
- 6. 貸借対照表日における退職給付債務は、原則として貸借対照表日現在のデータ(給与データや人事データ等)及び計算基礎(以下「データ等」という。)を用いて計算する。
- ただし、次のような方法により、貸借対照表日前のデータ等を用いて、退職給付債務を計算することができる。
- (1) 貸借対照表日前の一定日をデータ等の基準日として退職給付債務等を算定し、データ等の基準日から貸借対照表日までの期間の勤務費用等を適切に調整して貸借対照表日現在の退職給付債務等を算定する方法
- (2) データ等の基準日を貸借対照表日前の一定日とするが、当該一定日から貸借対照表日までの期間の退職者等の異動データを用いてデータ等を補正し、貸借対照表日における退職給付債務等を算定する方法
- いずれの場合にも、データ等の基準日から貸借対照表日までに重要なデータ等の変更があったときは退職給付債務等を再度計算し、合理的な調整を行う(第73項参照)。
退職給付見込額の見積り
- 7. 会計基準第18項の退職給付見込額は、予想退職時期ごとに、従業員に支給されると見込まれる退職給付額に退職率(第26項参照)及び死亡率(第27項参照)を加味して見積る。
- 退職給付見込額の計算において、退職事由(自己都合退職、会社都合退職等)や支給方法(一時金、年金)により給付率が異なる場合には、原則として、退職事由及び支給方法の発生確率を加味して計算する。
- なお、期末時点において受給権を有していない従業員についても、退職給付見込額の計算の対象となる。
- 8. 退職給付見込額の見積りにおいては、「合理的に見込まれる退職給付の変動要因には、予想される昇給等が含まれる」(会計基準(注5))ため、予想昇給率等(第28項参照)を見積ることが必要である。したがって、退職給付額が給与に比例して(給与の一定部分に比例している場合も含む。)定められている退職給付制度の場合には、給与が将来どのように上昇するかを推定し、それに基づき算定された昇給額を反映して退職給付見込額を見積る。
(予定退職加算金)
- 9. 年齢加算金及び役職又は資格に応じて加算される資格加算金等、一定要件を満たした場合に退職給付額に加算される給付金は、年齢等一定要件を満たすことが合理的に予測できる場合にのみ退職給付見込額の見積りに含める。
(早期割増退職金)
- 10. 一時的に支払われる早期割増退職金は、勤務期間を通じた労働の提供に伴って発生した退職給付という性格を有しておらず、むしろ将来の勤務を放棄する代償、失業期間中の補償等の性格を有するものとして捉えることが妥当であるため、退職給付見込額の見積りには含めず、従業員が早期退職金制度に応募し、かつ、当該金額が合理的に見積られる時点で費用処理する。
退職給付見込額の期間帰属
- 11. 会計基準第19項では、退職給付見込額の期間帰属方法として、次の2つの方法の選択適用が認められている。
- (1) 退職給付見込額について全勤務期間で除した額を各期の発生額とする方法(以下「期間定額基準」という。)
- (2) 退職給付制度の給付算定式に従って各勤務期間に帰属させた給付に基づき見積った額を、退職給付見込額の各期の発生額とする方法(以下「給付算定式基準」という。)
- 12. 給付算定式基準を適用する場合、給付算定式に基づく退職給付の支払が将来の一定期間までの勤務を条件としているときであっても、当期までの勤務に対応する債務を認識するために、当該給付を各期に期間帰属させる。なお、この場合には、従業員が当該給付の支払に必要となる将来の勤務を提供しない可能性を退職給付債務及び勤務費用の計算に反映しなければならない([設例2])。
- 13. 給付算定式基準を適用する場合における、会計基準第19項(2)なお書きの「当該期間」とは、次の期間をいうものとする([設例2])。
- (1) 従業員の勤務により、はじめて退職給付を生じさせる日から(当該給付の支払が、将来のさらなる勤務を条件としているか否かに関係しない。)
- (2) それ以降の勤務により、それ以降の昇給の影響を除けば、重要な追加の退職給付が生じなくなる日まで
退職給付債務の計算
- 14. 予想退職時期ごとの退職給付見込額のうち期末までに発生したと認められる額(会計基準第19項)を、退職給付の支払見込日までの期間(以下「支払見込期間」という。)を反映した割引率(第24項参照)を用いて割り引く。当該割り引いた金額を合計して、退職給付債務を計算する。
勤務費用の計算
- 15. 会計基準第17項に定める勤務費用の計算には、退職給付債務の計算に準じて次を含む。なお、勤務費用の計算においては、期首時点で当期の勤務費用を計算する手法を用いる([設例1]の表1-2)。
- (1) 退職給付見込額の見積り
退職給付見込額は、退職給付債務の計算において見積った額である(第7項及び第8項参照)。 - (2) 退職給付見込額のうち当期において発生すると認められる額の計算
予想退職時期ごとの退職給付見込額のうち、当期において発生すると認められる額を計算する。
当期において発生すると認められる額は、退職給付債務の計算において用いた方法と同一の方法により、当期分について計算する(第11項から第13項参照)。 - (3) 勤務費用の計算
予想退職時期ごとの退職給付見込額のうち当期に発生すると認められる額を、割引率を用いて割り引く。当該割り引いた金額を合計して、勤務費用を計算する。
利息費用の計算
- 16. 利息費用は、期首の退職給付債務に割引率を乗じて計算する(会計基準第21項)ことを原則とするが、期中に退職給付債務の重要な変動があった場合には、これを反映させる([設例10])。
年金資産
年金資産の範囲
- 17. 年金資産とは、特定の退職給付制度のために、その制度について企業と従業員との契約(退職金規程等)等に基づき積み立てられたものであり、一定の要件を満たした特定の資産をいう(会計基準第7項)。
厚生年金基金制度及び確定給付企業年金制度において保有する資産は年金資産にあたるが、年金資産として適格な資産とは、退職給付の支払に充当できる資産であるため、厚生年金基金制度及び確定給付企業年金制度における業務経理に係る資産は年金資産に含まれない。また、企業年金制度において計上されている未収掛金は、事業主が未払掛金を計上した場合、その金額を限度として、年金資産に含める(この場合、未払掛金と同額、退職給付に係る負債を減額する。)。 - なお、企業年金制度における剰余金に相当する資産は、事業主に返還されるまでは年金資産に含まれる。
退職給付信託
- 18. 退職給付(退職一時金及び退職年金)目的の信託(以下「退職給付信託」という。)を用いる場合、退職給付に充てるために積み立てる資産は、下記のすべての要件を満たしているときは、会計基準第7項の年金資産に該当する。
- (1) 当該信託が退職給付に充てられるものであることが退職金規程等により確認できること
年金資産は退職給付制度を前提として退職給付債務に対応するものである。したがって、信託から支払われる退職給付も退職給付制度の枠組みの中にあることが退職金規程等により確認できれば、当該信託財産と退職給付債務との対応関係が認められることになる。 - (2) 当該信託は信託財産を退職給付に充てることに限定した他益信託であること
信託財産を複数の退職給付に充てることとする場合には、信託受益権の内容等により支払の対象となる退職給付や処理方法の明確化が必要である。 - (3) 当該信託は事業主から法的に分離されており、信託財産の事業主への返還及び事業主による受益者に対する詐害的な行為が禁止されていること
事業主の倒産時において、事業主の債権者に対抗できること及び信託財産の信託の目的に従った処分が実行できる仕組みとなっていることが必要である。 - (4) 信託財産の管理・運用・処分については、受託者が信託契約に基づいて行うこと
- ① 事業主との分離の実効性を確保するため、例えば、信託管理人を置く方法があるが、その場合は、当該信託管理人が事業主から独立するための措置が必要である。
- ② 信託財産の管理・運用・処分について事業主と分離することが必要であり、したがって、信託の設定に伴い、信託財産の所有権は受託者に移転すること(信託財産が株式の場合、その名義も受託者に移転すること)及び受託者は事業主からの信託財産の処分等の指示について拒否できないような内容を含まないこと、などの契約であることが必要である。
- ③ 信託は退職給付に充てる目的で設定されるものであり、信託した資産を事業主の意思により、基本的に、事業主の資産と交換することはできないことが必要である。
- なお、退職給付信託は、退職一時金制度及び企業年金制度における退職給付債務の積立不足額を積み立てるために設定するものであり、資産の信託への拠出時に、退職給付信託財産及びその他の年金資産の時価の合計額が対応する退職給付債務を超える場合には、当該退職給付信託財産は退職給付会計上の年金資産として認められない。
- 19. 退職給付信託は、現金による払込を主とする企業年金制度の年金掛金とは相違し、事業主の保有資産を退職給付に充てる目的で直接受託機関に信託するものである。信託財産を会計基準のもとで年金資産とするには、事業主から当該資産が時価で拠出されたと同様の会計処理を行うこととなる([設例8-1])。
年金資産の評価
- 20. 年金資産の額は、期末における時価により計算する(会計基準第22項)。時価とは、公正な評価額をいい、資産取引に関して十分な知識と情報を有する売り手と買い手が自発的に相対取引するときの価格によって資産を評価した額をいう。ただし、金融商品については、企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」第6項の時価の定義に従う。なお、厚生年金基金制度等における数理的評価額は、会計基準における時価には該当しない。
期待運用収益の計算
- 21. 期待運用収益は、期首の年金資産の額に長期期待運用収益率(第25項参照)を乗じて計算する(会計基準第23項)ことを原則とするが、期中に年金資産の重要な変動があった場合には、これを反映させる([設例7])。
数理計算において用いる計算基礎
- 22. 退職給付債務の計算(第14項参照)における割引率、期待運用収益の算定(第21項参照)に用いる長期期待運用収益率、退職給付見込額の見積り(第7項及び第8項参照)に用いる退職率や予想昇給率等の計算基礎の設定については、第23項から第28項に従う。
複数の退職給付制度における計算基礎
- 23. 同一事業主が複数の退職給付制度を採用している場合における各計算基礎は、同一でなければならない。ただし、単一の加重平均割引率、年金資産のポートフォリオ又は運用方針等が異なる場合の長期期待運用収益率等、退職給付制度ごとに異なる計算基礎を採用することに合理的な理由がある場合を除く。
割引率
- 24. 退職給付債務等の計算(第14項から第16項参照)における割引率は、安全性の高い債券の利回りを基礎として決定する(会計基準第20項)が、この安全性の高い債券の利回りには、期末における国債、政府機関債及び優良社債の利回りが含まれる(会計基準(注6))。優良社債には、例えば、複数の格付機関による直近の格付けがダブルA格相当以上を得ている社債等が含まれる。
- 割引率は、退職給付支払ごとの支払見込期間を反映するものでなければならない。当該割引率としては、例えば、退職給付の支払見込期間及び支払見込期間ごとの金額を反映した単一の加重平均割引率を使用する方法や、退職給付の支払見込期間ごとに設定された複数の割引率を使用する方法が含まれる。
長期期待運用収益率
- 25. 長期期待運用収益率は、年金資産が退職給付の支払に充てられるまでの時期、保有している年金資産のポートフォリオ、過去の運用実績、運用方針及び市場の動向等を考慮して設定する。
その他の計算基礎
(退職率)
- 26. 退職率とは、在籍する従業員が自己都合や定年等により生存退職する年齢ごとの発生率のことであり、在籍する従業員が今後どのような割合で退職していくかを推計する際に使用する計算基礎である。したがって、将来の予測を適正に行うために、計算基礎は、異常値(リストラクチャリングに伴う大量解雇、退職加算金を上乗せした退職の勧誘による大量退職等に基づく値)を除いた過去の実績に基づき、合理的に算定しなければならない(第72項参照)。
- 退職率は個別企業ごとに算定することを原則とするが、事業主が連合型厚生年金基金制度等において勤務環境が類似する企業集団に属する場合には、当該集団の退職率を用いることができる。
(死亡率)
- 27. 死亡率とは、従業員の在職中及び退職後における年齢ごとの死亡発生率をいう。年金給付は、通常、退職後の従業員が生存している期間にわたって支払われるものであることから、生存人員数を推定するために年齢ごとの死亡率を使うのが原則である。この死亡率は、事業主の所在国における全人口の生命統計表等を基に合理的に算定する。
(予想昇給率)
- 28. 予想昇給率は、個別企業における給与規程、平均給与の実態分布及び過去の昇給実績等に基づき、合理的に推定して算定する。過去の昇給実績は、過去の実績に含まれる異常値(急激な業績拡大に伴う大幅な給与加算額、急激なインフレによる給与テーブルの改訂等に基づく値)を除き、合理的な要因のみを用いる必要がある(第72項参照)。
- なお、予想昇給率等には、勤務期間や職能資格制度に基づく「ポイント」により算定する場合が含まれる。
- 予想昇給率は個別企業ごとに算定することを原則とするが、連合型厚生年金基金制度等において給与規程及び平均給与の実態等が類似する企業集団に属する場合には、当該集団の予想昇給率を用いることができる。
計算基礎に重要な変動が生じているかどうかの判定方法
- 29. 会計基準(注8)は、「割引率等の計算基礎に重要な変動が生じていない場合には、これを見直さないことができる」としている(重要性基準)が、「重要な変動が生じていない」かどうかについては、第30項から第32項に従って判断を行う。
(割引率変更の要否)
- 30. 割引率は期末における安全性の高い債券の利回りを基礎として決定されるが(会計基準第20項)、各事業年度において割引率を再検討し、その結果、少なくとも、割引率の変動が退職給付債務に重要な影響を及ぼすと判断した場合にはこれを見直し、退職給付債務を再計算する必要がある。
- 重要な影響の有無の判断にあたっては、前期末に用いた割引率により算定した場合の退職給付債務と比較して、期末の割引率により計算した退職給付債務が10%以上変動すると推定されるときには、重要な影響を及ぼすものとして期末の割引率を用いて退職給付債務を再計算しなければならない(第72項参照)。
(長期期待運用収益率変更の要否)
- 31. 当年度の退職給付費用の計算に用いられる長期期待運用収益率は、当期損益に重要な影響があると認められる場合のほかは、見直さないことができる。
(その他の計算基礎の変更の要否)
- 32. 予想昇給率や退職率等その他の計算基礎の重要性の判断にあたっては、それぞれの企業固有の実績等に基づいて退職給付債務等に重要な影響があると認められる場合は、各計算基礎を再検討し、それ以外の事業年度においては、見直さないことができる。
未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用の会計処理
- 33. 未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用は、次のように会計処理する([設例4-1]及び[設例5-1])。
- (1) 当期に発生した数理計算上の差異(第34項参照)及び過去勤務費用(第41項参照)のうち、当期に費用処理された部分(第35項から第40項及び第42項参照)については、退職給付費用として、当期純利益を構成する項目に含めて計上する(会計基準第14項)。
- (2) 当期に発生した数理計算上の差異及び過去勤務費用のうち、当期に費用処理されない部分(未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用となる。)については、その他の包括利益で認識した上で、純資産の部のその他の包括利益累計額に計上する(会計基準第15項、第24項及び第25項)。
- (3) その他の包括利益累計額に計上されている未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用のうち、当期に費用処理された部分について、その他の包括利益の調整(組替調整)を行う(会計基準第15項)。
- (2)のその他の包括利益の処理にあたっては、その他の包括利益に関する、法人税その他利益に関連する金額を課税標準とする税金(以下「法人税等」という。)及び税効果を調整する。また、(3)のその他の包括利益累計額の処理にあたっては、これらに関する、当期までの期間に課税された法人税等及び税効果を調整する。
- なお、当該その他の包括利益に対する法人税等については、企業会計基準第27号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(以下「法人税等会計基準」という。)第5-3項(2)の対象となる(法人税等会計基準第29-6項及び第29-7項)。
数理計算上の差異
数理計算上の差異の内容
- 34. 数理計算上の差異とは、年金資産の期待運用収益(第21項参照)と実際の運用成果との差異、退職給付債務の数理計算に用いた見積数値と実績との差異及び見積数値の変更等により発生した差異をいう(会計基準第11項)。
数理計算上の差異には、あらかじめ定めた計算基礎(第22項から第28項参照)に基づく数値と各事業年度における実際の数値との差異及び計算基礎を変更した場合に生じる差異が含まれる。
数理計算上の差異の費用処理方法
(費用処理方法の選択)
- 35. 数理計算上の差異は、原則として、各年度の発生額について発生年度に費用処理する方法又は平均残存勤務期間(第37項参照)以内の一定の年数で按分する方法(以下「定額法」という。[設例4-1])により費用処理するが、未認識数理計算上の差異の残高の一定割合を費用処理する方法(会計基準(注7))(以下「定率法」という。[設例5-1])によることもできる。
- 定額法と定率法とは選択適用できるが、いったん採用した費用処理方法は、正当な理由により変更する場合を除き、継続的に適用しなければならない。
(定率法による費用処理)
- 36. 定率法では、数理計算上の差異を発生年度ごとに管理せず、その残高に一定年数に基づく定率を乗じた金額が当年度の費用処理額となる。
- 一定年数に基づく定率は、数理計算上の差異の費用処理期間以内で、当該発生金額のおおむね90%が費用処理されるように決定する。この方法を採用した場合、例えば、費用処理期間5年の定率は0.369、10年の定率は0.206である。
(平均残存勤務期間の算定方法)
- 37. 平均残存勤務期間は、在籍する従業員が貸借対照表日から退職するまでの平均勤務期間であり、原則として、退職率(第26項参照)と死亡率(第27項参照)を加味した年金数理計算上の脱退残存表を用いて算定する(第72項参照)が、標準的な退職年齢から貸借対照表日現在の平均年齢を控除して算定することもできる。標準的な退職年齢は、定年年齢、退職給付算定上の終了年齢及び退職者の平均年齢等、実態に即した年齢を用いる。
- 38. 平均残存勤務期間は原則として毎年度末に算定する。ただし、従業員の退職状況に大きな変化がみられない場合は、直近時点で算定した平均残存勤務期間を用いることもできる。他方、従業員の年齢構成が大きく変化した場合や企業年金制度において財政再計算時の計算基礎を見直した場合には、平均残存勤務期間についても見直しの要否を検討しなければならない。
(数理計算上の差異に係る費用処理年数の変更)
- 39. 数理計算上の差異の費用処理年数は、発生した年度における平均残存勤務期間以内の一定の年数(第35項参照)を継続的に適用する必要がある。したがって、一度採用した費用処理年数を変更する場合には合理的な変更理由が必要となる。
(平均残存勤務期間を費用処理年数として採用する場合の変更)
- 40. 平均残存勤務期間を費用処理年数として採用する場合で、リストラクチャリングによる従業員の大量退職などにより平均残存勤務期間の再検討を行った結果、平均残存勤務期間が短縮又は延長されたことにより、再検討後の年数が従来の費用処理年数を下回る又は上回ることとなったときには、費用処理期間を短縮又は延長する。
- (1) 定額法による場合の費用処理年数の短縮
未認識数理計算上の差異の期首残高は「短縮後の平均残存勤務期間-既経過期間」にわたって費用処理する。なお、「短縮後の平均残存勤務期間-既経過期間」がゼロ又はマイナスとなる場合は、当期に残高のすべてを一括して費用処理する。 - (2) 定率法による場合の費用処理年数の短縮
未認識数理計算上の差異の期首残高に、短縮後の費用処理年数に基づく定率を乗じた額を費用処理する。 - (3) 費用処理年数の延長
定額法による場合及び定率法による場合ともに、未認識数理計算上の差異の期首残高については、変更前の平均残存勤務期間に基づく費用処理年数を継続して適用し、変更後の費用処理年数は当年度発生の数理計算上の差異から適用する。
過去勤務費用
過去勤務費用の内容
- 41. 過去勤務費用とは、退職給付水準の改訂等に起因して発生した退職給付債務の増加又は減少部分(会計基準第12項)であり、退職金規程等の改訂に伴い退職給付水準が変更された結果生じる、改訂前の退職給付債務と改訂後の退職給付債務の改訂時点における差額を意味する。「退職給付水準の改訂等」の「等」には、初めて退職給付制度を導入した場合で、給付計算対象が現存する従業員の過年度の勤務期間にも及ぶときが含まれる。
- なお、給与水準の変動(以下「ベースアップ」という。)による退職給付債務の変動は、過去勤務費用には該当しない(第34項参照)。
過去勤務費用の費用処理方法
- 42. 過去勤務費用の費用処理方法は、数理計算上の差異の費用処理方法(第35項から第40項参照)に準じる(この場合、第35項の「会計基準(注7)」については、「会計基準(注9)」に読み替えるものとする。)。ただし、退職金規程等の改訂による過去勤務費用については頻繁に発生するものでない限り、発生年度別に一定の年数にわたって定額法による費用処理を行うことが望ましい。
- 43. 過去勤務費用と数理計算上の差異は発生原因又は発生頻度が相違するため、費用処理年数はそれぞれ別個に設定することができる。
年金資産の返還に伴う会計処理
- 44. 年金資産が退職給付債務を超過した場合、その制度上、年金財政計算による年金掛金の減少又は剰余金として企業に返還される場合があるが、返還にあたっては、返還される予定の資産及び返還されなかった資産とも、会計基準第7項の年金資産としてのすべての要件を満たすことが必要である。
- 45. 年金資産が事業主へ返還された場合には、返還額を事業主の資産の増加と退職給付に係る資産の減少(又は退職給付に係る負債の増加)として処理する。
- また、返還前の年金資産に占める返還額の割合が重要な場合には、返還時点における年金資産に係る未認識数理計算上の差異のうち、当該返還額に対応する金額については、一時の費用としない理由(会計基準第67項)は失われているものと考えられることから、当該差異の重要性が乏しい場合を除き、返還時に損益として認識する。この場合、返還された年金資産に個別に対応する未認識数理計算上の差異が明らかであれば、当該対応額を損益に計上し、返還された年金資産に個別に対応する未認識数理計算上の差異を特定することが困難であれば、返還時の年金資産の比率等により合理的に按分した金額を損益に計上する(その他の包括利益の組替調整となる。)([設例7]及び[設例8-2])。
代行返上があった場合の会計処理
- 46. 確定給付企業年金法に基づき、厚生年金基金制度を確定給付企業年金制度へ移行し、厚生年金基金制度の代行部分(以下「代行部分」という。)を返上(以下「代行返上」という。)した場合、代行部分に係る退職給付債務は、当該返還の日にその消滅を認識する。
- また、将来分返上認可、過去分返上認可及び返還に関して、それぞれ次のとおりに会計処理する([設例10])。
- (1) 将来分返上認可を受けたときは、当該認可の直前の代行部分に係る退職給付債務と将来分支給義務免除を反映した退職給付債務との差額を、代行部分に係る過去勤務費用(第41項参照)として認識し、将来分返上認可の日以後は、将来分支給義務免除を反映した退職給付債務の金額に基づき退職給付費用を算定するとともに、当該過去勤務費用を企業が採用する方法及び期間(第42項及び第43項参照)で費用処理する。
- (2) 過去分返上認可を受けたときは、次による。
- ① 過去分返上認可の直前の代行部分に係る退職給付債務を国への返還相当額(最低責任準備金)まで修正し、その差額を損益に計上する。
- ② 未認識過去勤務費用、未認識数理計算上の差異及び会計基準変更時差異(第130項参照)の未処理額のそれぞれの残高のうち、過去分返上認可の日における代行部分に対応する金額を、退職給付債務に占める代行部分の比率その他合理的な方法により算定し、損益に計上する(その他の包括利益の組替調整となる。)。
- (3) 返還の日において、過去分返上認可により修正された退職給付債務(上記(2)①参照)と実際返還額との間に差額が生じた場合には、原則として、当該差額を損益に計上する。
- なお、上記(2)①及び②において認識される損益((2)と(3)が同一事業年度の場合は(3)の損益を含む。)は、代行返上という特別な同一事象に伴って生じたものであるため、特別損益に純額で計上する。
小規模企業等における簡便法
(小規模企業等における簡便法の適用範囲)
- 47. 会計基準第26項に基づき、従業員数が比較的少ない小規模な企業等において、簡便な方法を用いて退職給付に係る負債及び退職給付費用を計上する場合、第48項から第51項に従った会計処理(以下「簡便法」という。)を行う。
- 簡便法を適用できる小規模企業等とは、原則として従業員数300人未満の企業をいうが、従業員数が300人以上の企業であっても年齢や勤務期間に偏りがあるなどにより、原則法による計算の結果に一定の高い水準の信頼性が得られないと判断される場合には、簡便法によることができる。なお、この場合の従業員数とは退職給付債務の計算対象となる従業員数を意味し、複数の退職給付制度を有する事業主にあっては制度ごとに判断する。
- 従業員数は毎期変動することが一般的であるので、簡便法の適用は一定期間の従業員規模の予測を踏まえて決定する。
(簡便法による退職給付に係る負債の計算)
- 48. 小規模企業等において簡便法を適用する場合、次の金額を退職給付に係る負債(又は退職給付に係る資産)とする。
- (1) 非積立型の退職給付制度については、第50項及び第51項の方法により計算された退職給付債務の額
- (2) 積立型の退職給付制度(退職一時金制度に退職給付信託を設定したものを含む。以下同じ。)については、(1)の金額から年金資産の額を控除した金額
期末日における年金資産の額については、時価を入手する代わりに、直近の年金財政決算における時価を基礎として合理的に算定された金額(例えば、直近の時価に期末日までの拠出額及び退職給付の支払額を加減し、当該期間の見積運用収益を加算した金額)を用いることができる。
(簡便法による退職給付費用の計算)
- 49. 小規模企業等において簡便法を適用する場合、次の差額を当年度の退職給付費用とする。
- (1) 非積立型の退職給付制度については、期首の退職給付に係る負債残高から当期退職給付の支払額を控除した後の残高と、期末の退職給付に係る負債(第48項(1)参照)との差額
- (2) 積立型の退職給付制度については、期首の退職給付に係る負債残高から当期拠出額を控除した後の残高(事業主が退職給付額を直接支払う場合、当該給付の支払額も控除する。)と、期末の退職給付に係る負債(第48項(2)参照)との差額
(簡便法による退職給付債務の計算)
- 50. 小規模企業等において簡便法を適用する場合、次の方法のうち、各事業主の実態から合理的と判断される方法を選択して退職給付債務を計算する。いったん選択した方法は、原則として継続して適用する。
- (1) 退職一時金制度
- ① 会計基準(又は平成10年6月に企業会計審議会から公表された「退職給付に係る会計基準」(以下「平成10年会計基準」という。))の適用初年度の期首における退職給付債務の額を原則法に基づき計算し、当該退職給付債務の額と自己都合要支給額との比(比較指数)を求め、期末時点の自己都合要支給額に比較指数を乗じた金額を退職給付債務とする方法(翌年度以後においては計算基礎等に重要な変動がある場合は、比較指数を再計算する。)
なお、原則法により計算された親会社の比較指数を用いることに合理性があると判断される場合には、親会社の比較指数を自社の期末自己都合要支給額に乗じた金額を退職給付債務とする方法も適用することができる。 - ② 退職給付に係る期末自己都合要支給額に、【資料1】及び【資料2】に示されている平均残存勤務期間に対応する割引率及び昇給率の各係数を乗じた額を退職給付債務とする方法([設例9]1.)
- ③ 退職給付に係る期末自己都合要支給額を退職給付債務とする方法
- (2) 企業年金制度
- ① 会計基準(又は平成10年会計基準)の適用初年度の期首における退職給付債務の額を原則法に基づき計算し、当該退職給付債務の額と年金財政計算上の数理債務との比(比較指数)を求め、直近の年金財政計算における数理債務の額に比較指数を乗じた金額を退職給付債務とする方法(翌年度以後においては計算基礎等に重要な変動がある場合は、比較指数を再計算する。)
なお、原則法により計算された親会社の比較指数を用いることに合理性があると判断される場合には、親会社の比較指数を自社の直近の年金財政計算における数理債務の額に乗じた金額を退職給付債務とする方法も適用することができる。 - ② 在籍する従業員については上記(1)②又は(1)③の方法により計算した金額を退職給付債務とし、年金受給者及び待期者については直近の年金財政計算上の数理債務の額を退職給付債務とする方法
- ③ 直近の年金財政計算上の数理債務をもって退職給付債務とする方法([設例9]2.)
- 51. 退職一時金制度の一部を企業年金制度に移行している事業主においては、次のいずれかの方法で退職給付債務を計算する。
- (1) 退職一時金制度の未移行部分に係る退職給付債務と企業年金制度に移行した部分に係る退職給付債務を、前項の方法によりそれぞれ計算する方法
- (2) 在籍する従業員については企業年金制度に移行した部分も含めた退職給付制度全体としての自己都合要支給額を基に計算した額を退職給付債務とし、年金受給者及び待期者については年金財政計算上の数理債務の額をもって退職給付債務とする方法([設例9]3.)
確定給付制度の開示
注記事項
(会計方針に係る注記)
- 52. 「退職給付の会計処理基準に関する事項」(会計基準第30項(1))には、次の項目が含まれる。
- (1) 退職給付見込額の期間帰属方法(会計基準第19項)
- (2) 数理計算上の差異及び過去勤務費用の費用処理方法(第35項、第39項及び第42項参照)並びに会計基準変更時差異の費用処理方法(第130項参照)
(退職給付に係る注記)
- 53. 「企業の採用する確定給付制度の概要」(会計基準第30項(2))には、企業の採用する確定給付制度の種類の一般的説明を記載する。
- 54. 「退職給付債務の期首残高と期末残高の調整表」(会計基準第30項(3))を注記するにあたっては、次の項目を含む主な内訳が分かるように記載する。なお、重要性が乏しい項目については、「その他」に含めることができる。
- (1) 勤務費用
- (2) 利息費用
- (3) 数理計算上の差異の当期発生額(費用処理されたものを含む。)
- (4) 退職給付の支払額
- (5) 過去勤務費用の当期発生額(費用処理されたものを含む。)
- (6) その他
- 55. 「年金資産の期首残高と期末残高の調整表」(会計基準第30項(4))を注記するにあたっては、次の項目を含む主な内訳が分かるように記載する。なお、重要性が乏しい項目については、「その他」に含めることができる。
- (1) 期待運用収益
- (2) 数理計算上の差異の当期発生額(費用処理されたものを含む。)
- (3) 事業主からの拠出額
- (4) 退職給付の支払額
- (5) その他
- 56. 「退職給付債務及び年金資産と貸借対照表に計上された退職給付に係る負債及び資産の調整表」(会計基準第30項(5))を注記するにあたっては、退職給付債務について、積立型制度と非積立型制度の内訳を記載する。
- 57. 「退職給付に関連する損益」(会計基準第30項(6))を注記するにあたっては、当期純利益を構成する項目に計上された次の退職給付費用の項目について記載する。なお、重要性が乏しい項目については、集約して記載することができる。
- (1) 勤務費用
- (2) 利息費用
- (3) 期待運用収益
- (4) 数理計算上の差異の当期の費用処理額
- (5) 過去勤務費用の当期の費用処理額
- (6) その他(会計基準変更時差異の費用処理額、臨時に支払った割増退職金等)
- 58. 「その他の包括利益に計上された数理計算上の差異及び過去勤務費用の内訳」(会計基準第30項(7))を注記するにあたっては、次の項目ごとに、当期発生額及び費用処理に係る組替調整額の合計を記載する。また、「貸借対照表のその他の包括利益累計額に計上された未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用の内訳」(会計基準第30項(8))を注記するにあたっては、次の項目ごとの残高が分かるように記載する。なお、重要性が乏しい項目については、集約して記載することができる。
- (1) (未認識)数理計算上の差異
- (2) (未認識)過去勤務費用
- (3) 会計基準変更時差異(の未処理額)
- 59. 「年金資産に関する事項」(会計基準第30項(9))を注記するにあたっては、次の項目について記載する。
- (1) 年金資産の主な内訳として、株式、債券などの種類ごとの割合又は金額。なお、退職給付信託が設定された企業年金制度について、年金資産の合計額に対する退職給付信託の額の割合が重要である場合には、その割合又は金額を別に付記する。
- (2) 長期期待運用収益率の設定方法に関する記載(年金資産の主要な種類との関連)
- 60. 「数理計算上の計算基礎に関する事項」(会計基準第30項(10))として、次の項目を注記する。
- (1) 割引率
- (2) 長期期待運用収益率
- (3) その他の重要な計算基礎(予想昇給率等)
(代行返上があった場合の注記)
- 61. 第46項による代行返上に関して、将来分返上認可の日の属する事業年度から返還の日の属する事業年度までの各事業年度の財務諸表に次の注記を行う。
- (1) 将来分返上認可を受けたときは、当該認可の日の属する事業年度から過去分返上認可の日の属する事業年度の直前事業年度までの各事業年度に係る財務諸表に、①将来分返上認可の日、②期末日現在において測定された返還相当額(最低責任準備金)及び③期末日現在において測定された返還相当額(最低責任準備金)の支払が期末日に行われたと仮定して第46項を適用した場合に生じる損益の見込額
- (2) 過去分返上認可を受けたとき又は現金納付が完了したときは、当該認可の日又は当該返還の日の属する事業年度に係る財務諸表に、その旨及び損益に与えている影響額
- なお、将来分返上認可と過去分返上認可又は現金納付の完了が同一事業年度内にあった場合は、上記(1)の②及び③の記載を要しない。
(小規模企業等における簡便法の注記)
- 62. 簡便法(第47項参照)を適用した退職給付制度がある場合、次の事項を注記する。この場合、当該制度については会計基準第30項及び本適用指針第52項から第60項の注記を要しない。
- (1) 退職給付の会計処理基準に関する事項として、適用した退職給付債務の計算方法(第50項及び第51項参照)
- (2) 確定給付制度の概要として、簡便法を適用した制度の概要
- (3) 簡便法を適用した制度の、退職給付に係る負債(又は資産)の期首残高と期末残高の調整表(退職給付費用、退職給付の支払額、拠出額の内訳を示す。)
- (4) 退職給付債務及び年金資産と貸借対照表に計上された退職給付に係る資産及び負債の調整表(簡便法を適用した退職給付制度以外の制度について第56項の注記をする場合、その内訳に合算することができる。)
- (5) 退職給付費用(簡便法を適用した退職給付制度以外の制度について第57項の注記をする場合、その内訳に追加することができる。)
複数事業主制度の会計処理及び開示
(自社の負担に属する年金資産等の計算に用いる合理的な基準)
- 63. 複数事業主制度を採用している場合の、自社の負担に属する年金資産等の計算を行うときの合理的な基準(会計基準第33項(1))としては、次に例示する額についての制度全体に占める各事業主に係る比率によることができるものとする。
- (1) 退職給付債務
- (2) 年金財政計算における数理債務の額から、年金財政計算における未償却過去勤務債務を控除した額
- (3) 年金財政計算における数理債務の額
- (4) 掛金累計額
- (5) 年金財政計算における資産分割の額
(自社の拠出に対応する年金資産の額の合理的な計算ができない場合)
- 64. 複数事業主制度の企業年金制度において、「自社の拠出に対応する年金資産の額を合理的に計算することができないとき」(会計基準第33項(2))とは、複数事業主制度において、事業主ごとに未償却過去勤務債務に係る掛金率や掛金負担割合等の定めがなく、掛金が一律に決められている場合をいうものとする。
- ただし、これに該当する場合であっても、親会社等の特定の事業主に属する従業員に係る給付等が制度全体の中で著しく大きな割合を占めているときは、当該親会社等の財務諸表上、自社の拠出に対応する年金資産の額を合理的に計算できないケースにはあたらないものとする。
(確定拠出制度に準じた場合の開示)
- 65. 会計基準第33項(2)の注記事項である「直近の積立状況等」とは、年金制度全体の直近の積立状況等(年金資産の額、年金財政計算上の数理債務の額と最低責任準備金の額との合計額及びその差引額)及び年金制度全体の掛金等に占める自社の割合並びにこれらに関する補足説明をいうものとする。
- 「年金財政計算上の数理債務の額と最低責任準備金の額との合計額」について、厚生年金基金の場合は両者の合計額となり、確定給付企業年金の場合は代行部分の給付がないため、年金財政計算上の数理債務の額のみとなる(第72-2項及び第126-2項参照、[開示例3])。
なお、重要性が乏しい場合には当該注記を省略できる。
適用時期等
- 66. 平成24年改正の本適用指針(以下「平成24年改正適用指針」という。)の適用時期は、会計基準と同様とする。
- 67. 会計基準第35項に掲げた定め(退職給付債務及び勤務費用の定め並びに特別損益における表示の定め)を適用する場合、平成24年改正適用指針における退職給付債務及び勤務費用の定め(第4項から第16項参照)、計算基礎の定め(第22項から第32項参照)並びに複数事業主制度の定めの一部(第63項及び第64項参照)についても、平成26年4月1日以後開始する事業年度の期首から適用する。ただし、平成26年4月1日以後開始する事業年度の期首から適用することが実務上困難な場合には、所定の注記(会計基準第35項)を行うことを条件に、平成27年4月1日以後開始する事業年度の期首から適用することができる。なお、平成25年4月1日以後開始する事業年度の期首から適用することができる。
- 68. 会計基準第34項の適用後、前項に掲げた定めを適用しない期間(会計基準第36項が定める期間)がある場合、当該期間については、日本公認会計士協会 会計制度委員会報告第13号「退職給付会計に関する実務指針(中間報告)」(以下「改正前指針」という。)における退職給付債務及び勤務費用の定め、計算基礎の定め並びに複数事業主制度の定め(改正前指針第2項から第5項、第10項から第21項、第32項及び第33項)に従う。
- 69. 会計基準第37項が定める会計方針の変更の影響額の算定にあたっては、税効果会計の影響も反映する([設例3])。
- 69-2. 平成27年改正の本適用指針(以下「平成27年改正適用指針」という。)は、公表日以後最初に終了する事業年度の年度末に係る財務諸表から適用する。
(個別財務諸表における当面の取扱い)
- 70. 個別財務諸表上、当面の間、第33項(2)、(3)及び第58項については適用しない(会計基準第39項)([設例4-2]及び[設例5-2])。
議 決
- 71. 平成24年改正適用指針は、第243回企業会計基準委員会に出席した委員11名全員の賛成により承認された。
- 71-2. 平成27年改正適用指針は、第308回企業会計基準委員会に出席した委員13名全員の賛成により承認された。
結論の背景
経 緯
- 72. 平成24年改正適用指針は、平成10年会計基準の実務上の指針として、日本公認会計士協会から公表されていた改正前指針を改正するものであり、主として、改正前指針における退職給付見込額の期間帰属方法の見直し及び開示項目の拡充を行っている。このほか、日本公認会計士協会から公表されていた「退職給付会計に関するQ&A」(以下「Q&A」という。)についても、必要な見直しを行った上で、以下に示した考え方の中に引き継いでいる。なお、改正前指針では、退職給付債務及び勤務費用の算定に用いるデータ等(第6項参照)の基準日の考え方、退職率(第26項参照)や予想昇給率(第28項参照)の考え方、期末において割引率の変更を必要としない範囲(第30項参照)について、「退職給付会計に係る実務基準」(日本アクチュアリー会・日本年金数理人会)の一部を抜粋したものを改正前指針の末尾に資料として掲載し、また、平均残存勤務期間(第37項参照)の計算例も資料として掲載していたが、平成24年改正適用指針はこれらの資料を引き継いでいない。
- 72-2. 平成24年1月31日付で、厚生労働省通知「厚生年金基金の財政運営について等の一部改正及び特例的扱いについて」及び「「確定給付企業年金の規約の承認及び認可の基準等について」及び「厚生年金基金から確定給付企業年金に移行(代行返上)する際の手続及び物納に係る要件・手続等について」の一部改正について」(以下合わせて「平成24年厚生労働省通知」という。)が発出され、厚生年金基金及び確定給付企業年金における財務諸表の表示方法の変更が行われた。厚生年金基金における財務諸表の表示方法については、平成26年3月24日付けで発出された厚生労働省通知「厚生年金基金の財政運営について等の一部改正等について」(以下「平成26年厚生労働省通知」という。)による変更も行われた。
- 具体的には、厚生年金基金及び確定給付企業年金における貸借対照表について、平成24年厚生労働省通知による変更前は「数理債務」(負債)及び「未償却過去勤務債務残高」(資産)が表示されていたが、平成24年厚生労働省通知による変更後は「数理債務」から「未償却過去勤務債務残高」を控除した純額が、厚生年金基金の場合は「責任準備金(プラスアルファ部分)」(負債)として、確定給付企業年金の場合は「責任準備金」(負債)として表示されることとなった。「数理債務」の額と「未償却過去勤務債務残高」の額は、原則として、貸借対照表の欄外に注記されることとなった。
- また、厚生年金基金の場合は、平成24年厚生労働省通知による変更前は「数理債務」(負債)と代行部分に該当する「最低責任準備金(継続基準)」(負債)を合計した額が貸借対照表に「給付債務」(負債)として表示されていたが、平成24年厚生労働省通知による変更に伴い、「給付債務」(負債)は貸借対照表には表示されなくなった。さらに、平成24年厚生労働省通知により「最低責任準備金(継続基準)」(負債)が、「最低責任準備金」(負債)及び「最低責任準備金調整額」(負債)に変更され、平成26年厚生労働省通知により「最低責任準備金」(負債)及び「最低責任準備金調整額」(負債)が、「最低責任準備金」(負債)に変更されている。これらの結果、「責任準備金(プラスアルファ部分)」(負債)と「最低責任準備金」(負債)を合計した額が「責任準備金」(負債)として表示されることとなった。
- 厚生年金基金及び確定給付企業年金の変更後の表示方法における貸借対照表の表示科目と欄外注記との関係は、次のとおりである(厚生年金基金及び確定給付企業年金の貸借対照表のイメージ図は、「参考(開示例)」の[開示例3]において示されている。)。
- (1) 厚生年金基金の場合
- ① 「責任準備金(プラスアルファ部分)」(負債)=「数理債務」(欄外注記の額)-「未償却過去勤務債務残高」(欄外注記の額)
- ② 「責任準備金」(負債)=「責任準備金(プラスアルファ部分)」(負債)+「最低責任準備金」(負債)
- (2) 確定給付企業年金の場合
- 「責任準備金」(負債)=「数理債務」(欄外注記の額)-「未償却過去勤務債務残高」(欄外注記の額)
- 平成27年改正適用指針は、厚生年金基金及び確定給付企業年金における貸借対照表の表示方法のこれらの変更に伴い、必要と考えられる改正を行ったものである。
確定給付制度の会計処理
退職給付債務及び勤務費用
退職給付債務の計算
(貸借対照表日前のデータの利用)
- 73. 貸借対照表日における退職給付債務は、貸借対照表日現在のデータ等を用いて計算することが原則であるが、実際の計算のためには、一定の期間を必要とすることも少なくないことなどから、従来より、貸借対照表日前の一定日をデータ等の基準日とすることが認められている。ただし、データ等の基準日から貸借対照表日までに重要なデータ等の変更があった場合は退職給付債務等を再度計算し、合理的な調整を行わなければならないことに留意する(第6項参照)。
(削 除)
- 74. (削 除)
退職給付見込額の期間帰属
(給付算定式に従う給付が著しく後加重であるかどうかの判定)
- 75. 会計基準第19項では、国際的な会計基準との整合性を図る観点から、退職給付見込額の期間帰属方法として、給付算定式基準の選択適用を認めている(第11項参照)。この方法による場合、給付算定式に従う給付が著しく後加重であるときには、当該後加重である部分(第13項参照)の給付については均等に期間帰属させる必要がある(会計基準第19項(2)なお書き)。しかし、国際的な会計基準では、給付算定式に従う給付が著しく後加重といえるのはどのような場合であるかなどについては具体的に定めていない。
審議の過程では、これらについて、より具体的な考え方を本適用指針の中で示すべきかが検討されたものの、そのような考え方を特定することにより、かえって国際的な会計基準との整合性が図れないおそれがあると考えられたことから、これを示さないこととした。このため、給付算定式に従う給付が著しく後加重であるかどうかの判断にあたっては、個々の事情を踏まえて検討を行う必要がある。
(給付算定式基準と支給倍率基準・ポイント基準との関係)
- 76. 退職給付見込額の期間帰属方法について改正前指針は、支給倍率の増加が各期の労働の対価を合理的に反映していると認められる場合には、支給倍率基準(退職給付見込額のうち、全勤務期間における支給倍率に対する各期の支給倍率の増加分の割合に基づいた額を各期の発生額とする方法)の選択を認めており、また、ポイント制度を採用している場合で、そのポイントの増加が各期の労働の対価を合理的に反映していると認められるときには、ポイント基準(退職給付見込額のうち、全勤務期間におけるポイントに対する各期のポイントの増加分の割合に基づいた額を各期の発生額とする方法)の選択を認めていた。
会計基準はこれらの方法を選択適用の対象に含めないこととしたが、例えば、給付算定式が支給倍率で表現される最終給与比例制度において給付算定式基準(第11項(2)参照)を適用する場合には、会計基準第19項(2)なお書きによる均等補正が必要になる場合を除き、結果的に支給倍率基準と類似した方法になるものと考えられる。 - 一方、国際的な議論の中では、給与等の累積に基づく退職給付制度(我が国のポイント制度やキャッシュ・バランス・プランを含む場合があるものと考えられる。)に対して給付算定式基準を適用する場合、その適用方法が必ずしも明確でないとされており、このような制度と経済的に同一な平均給与比例制度に対して給付算定式基準を適用した場合と同様の方法になるという意見がある一方で、このような制度では将来の昇給の要素を織り込むべきではない(結果的にポイント基準と類似した方法になる。)という意見がある。
この点、我が国の実務における不必要な混乱を避けるため、本適用指針の適用にあたって、給付算定式基準には、会計基準第19項(2)なお書きによる均等補正が必要になる場合を除き、ポイント基準と類似した方法も含まれると考えることが適当である。
(退職給付見込額の期間帰属方法の統一の要否)
- 77. 第11項に示した退職給付見込額の期間帰属方法の選択は、会計方針の選択適用にあたるため、本来は連結会社間で統一すべきであるが、財務諸表に与える影響や連結上の事務処理の経済性等を考慮し、必ずしも統一する必要はないものと考えられる。
年金資産
退職給付信託
(退職給付信託に関する従来の考え方の継続)
- 78. 退職給付信託(第18項参照)は、退職給付制度における退職給付債務の積立不足額を積み立てるために設定するものであり、平成10年会計基準の導入に合わせる形で改正前指針が会計上の取扱いを示していた。
- 79. 改正前指針では、退職給付信託に拠出した資産は通常、事業主に返還されないことが想定されていたが(第90項参照)、当委員会が平成21年1月に公表した「退職給付会計の見直しに関する論点の整理」(以下「論点整理」という。)では、企業年金制度の掛金の額が、退職給付信託の有無に関係なく積立不足を解消するよう計算されることから、いずれは退職給付信託が積立超過となって事業主に返還される可能性が高いという点で、退職給付信託を年金資産とすることは不適当ではないかという見方が示され、さらに、平成10年会計基準の導入時点で必要とされた、会計基準変更時差異を速やかに費用処理するという政策的な役割についても、現状に即した見直しが必要になったのではないかという見方も示された。一方、論点整理では、退職給付信託に係る取扱いを見直す必要はないという見方も示された。
- 80. 当委員会は、ステップ1の見直し(会計基準第48項)で扱う項目を検討する中で、退職給付信託の取扱いについては対象としないこととし、平成24年改正適用指針においては改正前指針及びQ&Aの取扱いとその考え方を原則としてそのまま踏襲することとした(ただし、平成10年会計基準の導入当初の退職給付信託設定時における会計基準変更時差異の取扱いに関連する定めについては、該当する事象が今後は生じないことから引き継いでいない。)。
(退職給付信託が年金資産に該当するための要件)
- 81. 信託契約は契約自由の原則の下に、事業主と信託銀行等の受託機関との間で締結されるものである。契約によって多様な信託形態が予想されるが、会計基準第7項における年金資産に該当するといえるためには、第18項の要件を満たし、かつ、第82項から第92項までの考え方に沿うことが必要である。退職給付信託契約が本適用指針に従っていないと認められる場合、拠出した資産は退職給付会計上の年金資産に該当しないことになる。
(退職給付信託の設定時における考え方)
- 82. 退職給付信託は、退職給付制度における退職給付債務の積立不足額を積み立てるために設定するものであり(第18項なお書き参照)、1つの退職給付信託を複数の退職給付制度に対して設定する場合には、各退職給付制度との対応関係を明確にして、退職給付制度ごとに対応する退職給付信託の年金資産額を区分計算することが必要になる。例えば、退職給付制度に優先順位を設けて退職給付信託における年金資産額を特定の退職給付制度から他の退職給付制度へと順次優先的に振り当てることはできない。
- 83. 資産の退職給付信託への拠出時に、信託財産及びその他の年金資産の時価の合計額が対応する退職給付債務を超える場合には、当該退職給付信託財産は退職給付会計上の年金資産としては認められないため(第18項なお書き参照)、退職給付信託設定時にこの状況に至った場合には、即時に超過資産を退職給付信託から事業主に返還することが必要になる。ただし、単に見積りの違いや時価評価の時点の相違等による超過であり、かつ、当該金額に重要性がなければ、超過資産の事業主への返還を要せず、退職給付信託財産は年金資産として認められるものと考えられる。
- 84. 親会社が退職給付信託を設定できるのは、親会社の未積立退職給付債務額であり、子会社の未積立退職給付債務を親会社が退職給付信託によって積み立てることができるのは、子会社の従業員が親会社に在籍しており、親会社からの出向の形態をとり、子会社の従業員に係る退職給付債務は親会社の退職給付制度に属しているという場合のみと考えられる。
(退職給付信託の設定時点の会計処理)
- 85. 退職給付信託では、例えば、事業主の保有株式を信託することにより、当該株式は事業主から分離されるが、契約により議決権に係る指図の権利を留保することが可能である(第88項参照)。また、退職給付信託は退職給付に充てるために設定するものであるが、受益者(将来において退職給付の支払を受ける者)は信託設定時点では特定されない。このような信託へ拠出された資産についても、退職給付会計上の年金資産とするためには、当該資産の退職給付信託への拠出取引は事業主から当該資産が時価で拠出されたと同様の会計処理を行う(第19項参照、[設例8-1])。
(他益信託の要件)
- 86. 退職給付信託へ拠出した資産を退職給付会計上の年金資産とするためには、収益(配当)を事業主に帰属させる自益信託は認められない。
- 収益を受ける権利を事業主に帰属させる信託方式を認めないとする理由は、いったん退職給付信託に入金された収益金たる現金を事業主に返還することになり、信託財産を退職給付に充てることに限定した他益信託の趣旨に反することになると考えられるからである。
(退職給付信託の長期期待運用収益率の見積り)
- 87. 例えば、事業主の保有する単一銘柄の株式を退職給付信託に拠出したときなど、その評価損益及び実現損益に基づく長期期待運用収益率の見積りが難しい場合も考えられる。過去の実績などから合理的な見積りが容易なものは配当金のみであるが、期待運用収益の算定が困難なときにはこれを見積らずに、当年度の実績運用損益を数理計算上の差異として処理することも必要になる場合がある。また、状況によっては、長期期待運用収益率のマイナス値、すなわち予想運用損失率を見積ることも考えられる。
(議決権行使の指示)
- 88. 退職給付信託へ拠出した資産が株式である場合には、当該株式の名義は受託者に移るが、議決権行使の指示(白紙委任、賛否の指示)は事業主に残る場合も考えられる。この場合、議決権の実際の行使は受託者が行うが、その指示を行うことにより、意思は事業主に残されていることになる。退職給付信託方式での株式について議決権行使の指示権が事業主に残されたとしても、信託として拠出した株式を退職給付会計上、年金資産としても差し支えないと考えられる。
(信託財産の処分等の指示)
- 89. 受託者は信託目的に沿って信託財産を管理する受託者責任を有しているため、それに反するような指示があった場合に、当該指示について拒否できないということが信託契約書上明示されている契約では受託者責任を全うできず、退職給付のために信託を設定したのかどうか疑わしいことになる。そこで、当初から「いかなる指示も拒否できない」と明示された契約における信託財産は、退職給付会計上の年金資産として認められないものと考えられる。
(退職給付信託の資産の入替え)
- 90. 退職給付信託は、退職給付の支払又は他の企業年金制度への拠出を行うことを目的として設定されるので、事業主との間で現金による入替え又は時価が同等の他の資産との入替えは通常生じないと考えられる。すなわち、退職給付信託に拠出した資産は事業主に返還されないことが基本的な考え方である。つまり、資産の買戻しが行われると、会計上は当該資産の信託設定時における損益(第19項参照)は結局実現しなかったことになる。また、現金と入れ換えることは資産の買戻しと同様であり、信託した資産が事業主に戻ることになるので認められない。さらに、時価が同等の他の資産との交換については、これを可能とすると、退職給付信託の資産の入替えを理由に、取引の実現が客観的に判断しにくい損益が計上されるという弊害が残ることになりかねない。
- ただし、退職給付信託が超過積立の状況となった場合、信託した資産が株式であり当該株式が上場廃止等により流動性がなくなり信託目的を達成できない場合及び買収・合併により年金資産に自己株式が生じるおそれがある場合のほか、これらと同等の状況の発生(通常はほとんど発生しないものと考えられる。)により、入替えが必要と認められる特別の事由(時価の下落はこれに含まれない。)が存在するに到った場合はこの限りではない。
(退職給付信託の拠出対象資産)
- 91. いかなる資産が拠出により年金資産となり得るかは、会計上の直接の問題ではないが、退職給付信託に拠出できる資産は、一般に上場有価証券等、時価の算定が客観的かつ容易であり、換金性の高い資産であることが求められる。したがって、土地などの有形固定資産については、通常、拠出対象資産とすることは適当ではないと考えられる。
- これは、退職給付信託に拠出した資産は退職給付会計における年金資産に該当し、事業主は拠出時に拠出資産の時価により資産の売却と同様の会計処理を行い(第19項参照)、年金資産は期末に時価評価を行う(第20項参照)ことから、退職給付信託に拠出した資産は時価の算定が客観的かつ容易であることが求められ、また、退職給付信託から対応する退職給付制度への拠出又は退職給付の支払に充てられるものであるため、換金性の高い資産であることが適当と考えられることによる。
- 92. 退職給付信託に拠出した資産が子会社株式及び関連会社株式である場合においては、連結財務諸表作成上、次の点に留意することが必要である。
- (1) 子会社及び関連会社の範囲の決定においては、退職給付信託に拠出した株式の受託者は、企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」第7項(2)①に定める「自己の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者」とみなす。
- (2) 連結決算上、子会社の資本と親会社の投資勘定の相殺がなされるため、連結財務諸表上に子会社株式は存在しない。このため連結対象である子会社の株式を信託した場合には、連結決算上、信託への拠出に伴い発生した退職給付信託設定損益はなかったものとする。また、退職給付信託に拠出した株式の持分については、親会社持分損益の計算上、持分比率を減少させる必要がある。
- (3) 関連会社株式について連結決算上持分法を適用している場合には、退職給付信託に拠出した株式の持分について持分法会計上、持分比率を減少させる必要がある。
数理計算において用いる計算基礎
割引率決定の基礎となる期間
- 93. 改正前指針は、割引率決定の基礎となる債券の期間について、退職給付の支払見込日までの平均期間を原則としながらも、実務上は従業員の平均残存勤務期間に近似した年数とすることができることとしていた。本適用指針では、時期や金額が異なる支払から構成される退職給付債務をより適切に割り引くべきと考えたことや、国際的な会計基準における考え方との整合性を図るために、退職給付支払ごとの支払見込期間を反映した割引率を使用することとした(第24項参照)。
- 94. 退職給付支払ごとの支払見込期間を反映した割引率としては、第24項に例示した、退職給付の支払見込期間及び支払見込期間ごとの金額を反映した単一の加重平均割引率を使用する方法や、退職給付の支払見込期間ごとに設定された複数の割引率を使用する方法が考えられる。
割引率の基礎となる債券
- 95. 退職給付債務(及び退職給付費用)の計算に用いる割引率は、貸借対照表日現在の退職給付債務を求めるために用いるものであるから、金銭的時間価値のみを反映させるべきであり、したがって、信用リスクフリーレートに近い「期末における安全性の高い債券の利回り」を用いることとされている。我が国において「安全性の高い債券」とは、国債、政府機関債及び優良社債が含まれるが、優良社債には、例えば、複数の格付機関による直近の格付けがダブルA格相当以上を得ている社債が含まれると考えられる(第24項参照)。
- 96. 退職給付債務等の計算に用いる割引率は、期末における安全性の高い債券の利回りを用いるため、企業年金制度における年金資産の運用収益率をそのまま割引率として用いることはできない。
(合理的な補正方法の利用)
- 97. 退職給付債務(及び勤務費用)の計算は、期末における安全性の高い債券の利回りを基礎とした割引率を用いることが原則であるが、例えば、単一の加重平均割引率を使用する場合における、事前に計算をした割引率のみ異なる複数の計算結果に基づく二点補正のような合理的な補正方法によって、期末の割引率による退職給付債務(及び勤務費用)の計算結果を求める(会計基準第65項なお書き)こともできるものと考えられる。
長期期待運用収益率
- 98. 長期期待運用収益率(第25項参照)の設定の際に考慮すべき事項については、改正前指針における取扱いを引き継いでいるが、年金資産が将来の退職給付の支払に充てるために積み立てられ、長期的に運用されている点を踏まえ、長期期待運用収益率の算定は、退職給付の支払に充てられるまでの期間にわたる期待に基づくことを明らかにした。
- なお、これは従来の考え方を改めるものではなく、取扱いの明確化にすぎないため、会計方針の変更には該当しないことに留意が必要である。
その他の計算基礎
(予想昇給率)
- 99. 改正前指針は、予想昇給率について、「確実に」見込まれるものを合理的に推定して算定することとし、また、ベースアップについても、確実かつ合理的に推定できる場合以外は、予想昇給率の算定には含めないこととしていた。
しかしながら、会計基準では、合理的に見込まれる退職給付の変動要因について、確実に見込まれる昇給等ではなく、予想される昇給等を考慮するよう変更されたことから(会計基準第57項)、本適用指針では、上記のベースアップに関する定めについては引き継がないこととし、また、予想昇給率は確実に見込まれるものに限らないものとした(第28項参照)。
(計算基礎の連結会社間での統一の要否)
- 100. 加重平均された割引率(第24項参照)、長期期待運用収益率(第25項参照)は同一事業主の複数の制度間で異なり得るが(第23項参照)、これらに加えて、その他の計算基礎(退職率、予想昇給率等。第26項から第28項参照)も、各会社間において異なるのが通常であり、連結会社間で統一する必要はないものと考えられる。
計算基礎に重要な変動が生じているかどうかの判定方法
(その他の計算基礎の変更の要否)
- 101. 予想昇給率や退職率等について、企業年金制度における財政再計算時の計算基礎の見直しがあった場合、退職給付債務の計算に反映させるようにこれらを見直すべきか、検討をすることが適当である(第32項参照)。
数理計算上の差異及び過去勤務費用
費用処理方法
(費用処理方法の統一の要否)
- 102. 数理計算上の差異及び過去勤務費用の費用処理方法である、定額法又は定率法の選択(第35項参照)は、会計方針の選択適用にあたるため、本来は連結会社間で統一すべきであるが、財務諸表に与える影響や連結上の事務処理の経済性等を考慮し、必ずしも統一する必要はないものと考えられる。
(費用処理年数の決定)
- 103. 数理計算上の差異及び過去勤務費用の費用処理は、平均残存勤務期間以内の一定の年数にわたり行う(会計基準第24項及び第25項)。複数の退職給付制度を有する場合には、それぞれの制度の加入従業員の構成により平均残存勤務期間(第37項参照)が異なることもあるため、数理計算上の差異又は過去勤務費用の費用処理年数は制度ごとに個別に決定することができるものと考えられる。
- また、平均残存勤務期間は連結会社間においても異なるのが通常であるため、過去勤務費用及び数理計算上の差異の費用処理年数を連結会社間で統一する必要もないものと考えられる。
(費用処理年数の変更)
- 104. 数理計算上の差異及び過去勤務費用の費用処理年数の決定方法としては、次の方法が考えられる。
- (1) 発生年度に全額を費用処理する方法
- (2) 平均残存勤務期間とする方法
- (3) 平均残存勤務期間以内の一定の年数とする方法
- 上記(1)、(2)及び(3)の費用処理年数の決定方法が合理的な理由により変更される場合には、会計方針の変更となる(第39項参照)。
- また、企業が採用している費用処理年数の決定方法内で、その費用処理年数を変更した場合、次の取扱いに従う((1)を採用している場合には、該当はない。)。
- (2)の方法を採用している場合で、平均残存勤務期間が短縮されたときは、期首残高の費用処理年数の変更を行うため、会計事実の変更に伴う会計上の見積りの変更となる(第40項参照)。
- (3)の方法を採用している場合には、変更を行う理由により、会計方針の変更又は会計上の見積りの変更となる。例えば、リストラクチャリングによる従業員の大量退職などにより平均残存勤務期間の再検討を行った結果、平均残存勤務期間が費用処理年数より短くなったことを原因として費用処理年数を変更する場合は、会計事実の変更に伴う費用処理年数の変更であるため、会計上の見積りの変更となる。この場合、第40項(1)及び(2)に準じた処理を行う必要がある(同項(1)の「平均残存勤務期間」及び(2)の「費用処理年数」を、「一定の年数」に読み替える。)。一方、これ以外の合理的な理由により変更する場合は会計方針の変更となるが、数理計算上の差異又は過去勤務費用ごとにいったん選択した費用処理年数を毎期継続して適用しないと、会計年度間で異なる方法により利益が算出される結果、期間比較可能性が確保されないこととなるため、いったん採用した費用処理年数は正当な理由により変更する場合を除き、各期間を通じて継続して適用しなければならず(第39項参照)、発生した年度ごとに費用処理年数を定めることはできないことに留意が必要である。
退職金規程等改訂の施行日が翌期である場合の取扱い
- 105. 退職金規程等の改訂(第42項参照)が行われた場合、通常、改訂日以後、最初に到来する決算日現在における退職給付債務は、施行日前の退職者については改訂前の規程による給付、施行日後の退職者については改訂後の規程による給付に基づいて計算されることとなる。退職給付債務の増額となる過去勤務費用の発生は、従業員の勤労意欲が将来にわたって向上するとの期待のもとに、平均残存勤務期間以内の一定の年数で規則的に処理することとされている(会計基準第67項(1))ことを踏まえると、退職金規程等の改訂が当期に行われ、その施行日が翌期である場合でも、過去勤務費用は改訂日(労使の合意の結果、規程や規約の変更が決定され周知された日)現在で認識・測定され、改訂日が事業年度の途中であるときには、会社の採用する費用処理方法に従って改訂日から期末までの月数等に応じた額を当期に費用処理することが合理的な方法と考えられる(これに対し、退職給付制度の終了の場合には、改訂規程等の施行により、事業主と従業員の権利関係が明確に変わることになるため、当該終了の時点は施行日となる。)。
- なお、退職金規程等の改訂により、退職給付債務の減額となる過去勤務費用が発生した場合にも、原則として、改訂日から、平均残存勤務期間以内の一定の年数で按分した額を費用から減額処理することになる。
- また、退職金規程等の改訂により支給開始時期の変更を行った場合に、その結果生じた退職給付債務の増減額は、過去勤務費用の発生となることに留意が必要である。
年金資産の一部返還の場合の取扱い
- 106. 会計基準第7項において年金資産の要件が定められ、また、本適用指針第18項では退職給付信託の信託財産について、この要件を満たすためのさらに具体的な要件が定められている。
- 年金資産が退職給付債務を超過する額である積立超過分について事業主へ返還しても、返還されなかった資産は引き続き年金資産に該当するものと考えられるが、そのためには、年金資産については、会計基準第7項(1)で定められているように、「退職給付以外に使用できないこと」がその適格性の要件であるため、退職給付債務と年金資産とを比較して、将来の予測できる一定期間においても積立超過の状態が継続し、当該積立超過分について退職給付に使用される見込みのないことを合理的に予測できることが必要である。
- 本適用指針第18項(3)では、退職給付信託に係る積立超過分の取扱いについて明示されていないが、退職給付信託の信託財産についても当然に年金資産の要件である会計基準第7項(3)が適用されるため、積立超過分について事業主へ返還しても、返還されなかった信託財産を引き続き年金資産として処理することができるものと解される。ただし、当該積立超過分についても、会計基準第7項(1)及び本適用指針第18項(1)に基づき、退職給付へ使用される見込みのないことを合理的に予測できることが必要である。
- また、会計基準第7項(3)で事業主への返還、事業主からの解約・目的外の払出し等が禁止されており、さらに、本適用指針第18項(3)においても退職給付信託が事業主から法的に分離されており、信託財産の事業主への返還等、事業主の受益者に対する詐害的な行為が禁止されていることから、返還にあたってはこれらに反しないことが必要である。退職給付信託では、信託契約上、信託財産の所有権は受託者に移転し、その管理・運用・処分の権限は受託者(又は信託管理人)が有していることから、積立超過額を信託契約に基づき事業主に返還することの是非及び返還額の妥当性は、受託者(又は信託管理人)の独立した判断に従って決定され、それに基づき事業主へ返還される必要がある。したがって、この場合には、返還されなかった信託財産は、返還後も引き続き会計基準第7項及び本適用指針第18項の要件を満たすため、年金資産に該当することになる。なお、事業主の意思等により積立超過額の返還が行われた場合には、返還されなかった信託財産は、会計基準第7項及び本適用指針第18項の要件を満たさないことになるため、返還後は、返還されなかった信託財産も事業主の資産として会計処理することになる。
- 他方、退職給付信託を設定している退職給付制度の終了(企業会計基準適用指針第1号「退職給付制度間の移行等に関する会計処理」第4項)や厚生年金基金の代行返上(第46項参照)等が生じたときに、退職給付債務の支払が退職給付信託の信託財産以外の資産をもって行われたり、退職給付債務の支払義務が消滅したりすることにより、結果として積立超過の状況となる場合がある。このような場合には、当該積立超過額は、退職給付信託設定の対象となった退職給付債務との対応関係が認められなくなり、退職給付に使用される見込みのないものと考えられることから、当該積立超過額を事業主へ返還した後、返還されなかった信託財産があったとしても、一般的には、返還されなかった当該信託財産は、返還後も引き続き会計基準第7項及び本適用指針第18項の要件を満たすため、年金資産に該当するものと考えられる。
- なお、退職給付信託の信託財産の返還後も返還されなかった信託財産が、引き続き会計基準第7項及び本適用指針第18項の要件を満たしている場合において、退職給付信託の信託財産を含む年金資産の返還が行われたときの返還額及びそれに対応する未認識数理計算上の差異の会計処理は、第45項の定めに従って行うことになる。
代行返上についての取扱い
代行部分に係る退職給付債務の会計処理
- 107. 代行返上(第46項参照)を行うためには、厚生労働大臣により、代行部分に係る将来分返上に関する認可と過去分返上に関する認可を受け、所定の手続を経て、返還額(最低責任準備金)を国に現金又は現物で納付することとなる。
過去分返上認可の日において、代行部分に係る退職給付債務が国への返還相当額(最低責任準備金)として実質的に確定し、代行部分に係る給付責任が国に移管されるが、厚生年金基金は国への返還の日までは返還相当額(最低責任準備金)の支払義務を有している。過去分返上認可の日から返還の日までの間に、返還相当額(最低責任準備金)は変動する可能性があり、同様に、年金資産は価格変動のリスクを有しているが、厚生年金基金は、当該期間中における返還相当額(最低責任準備金)の変動や年金資産の価格変動を原因とした差額の補填義務(及び利益享受の権利)を負っている。退職給付会計では、厚生年金基金が負っているリスクは母体企業の退職給付債務と年金資産として把握することとしているので、返還相当額(最低責任準備金)の支払義務が完了するまでは、退職給付債務及び対応する年金資産を事業主である企業の債務及び資産として会計上認識するのが妥当であると考えられる。 - 以上から、代行部分に係る退職給付債務については、返還の日においてその消滅を認識することとしている。
- 代行部分に係る退職給付債務及び年金資産は、返還の日においてそれに係る権利義務をすべて国へ移転することとなるので、当該債務及び資産のほか関連する事項は、返還の日の属する事業年度で財務諸表の注記対象から除かれる(第61項参照)。
- なお、代行返上に必要な手続を実行しない場合には、厚生年金基金の基本的な前提を変える制度改革がなければ、代行部分を区別せずに厚生年金基金全体として退職給付債務を計算する従来からの取扱いがそのまま適用されることに留意する。
(代行部分に係る未認識過去勤務費用、未認識数理計算上の差異及び会計基準変更時差異の未処理額の会計処理)
- 108. 代行返上の会計処理を行う場合には、代行部分に係る未認識過去勤務費用、未認識数理計算上の差異及び会計基準変更時差異の未処理額は発生原因を分析し、その結果、代行部分に個別対応することが明らかとなった部分については、過去分返上認可の日において損益として認識することになる。例えば、未認識過去勤務費用が、厚生年金保険法の改正(日本公認会計士協会 「厚生年金保険法改正に係る退職給付会計適用上の取扱い」(平成12年9月19日))を規約に反映したことにより発生したことが明らかな場合がこれに該当するものと考えられる。
- 一方、発生原因を分析し、原因別の対応額を特定することが困難である場合には、過去分返上認可の日において、退職給付債務に占める代行部分の比率により按分することになる([設例10])。
小規模企業等における簡便法
(小規模企業等における簡便法の適用範囲)
- 109. 平成24年改正適用指針は、基本的に、企業会計審議会が平成10年6月に公表した「退職給付に係る会計基準の設定に関する意見書」及び改正前指針の簡便法の考え方を引き継ぐこととしており、簡便法が認められる小規模企業の範囲についても、改正前指針に記載されていた結論をそのまま引き継いでいる(第47項参照)。
- 110. 簡便法は、高い水準の信頼性をもって数理計算上の見積りを行うことが困難である場合などに認められるものであり、その適用は制度ごとに判断される(第47項参照)。したがって、子会社及び持分法を適用する関連会社を含め、連結グループのすべての制度について、原則法と簡便法のいずれかに統一する必要はないこととなる。
- なお、親会社と同一の連合型厚生年金基金に加入している子会社等の場合には、小規模企業等に該当するときでも、連結財務諸表上、親会社による一括計算という実務上の理由から原則法の計算方法によるケースがあると考えられる。この場合においても、簡便法の適用の判断は制度ごとに行われるので、子会社等が連合型厚生年金基金制度のほかに退職一時金制度等を有する場合の当該他の制度については、簡便法によることができるものと考えられる。
(簡便法から原則法への変更)
- 111. 簡便法から原則法への変更は認められるが、原則法から簡便法への変更は、従業員数の著しい減少若しくは退職給付制度の改訂等により、高い水準の信頼性をもって数理計算上の見積りを行うことが困難になった場合又は退職給付に係る財務諸表項目の重要性が乏しくなった場合を除き認められないものと考えられる。なお、数年に一度原則法による計算を行う方法を採用している場合、原則として、当該方法は継続して簡便法を適用しているものとして取り扱うことが適当である。
(簡便法による退職給付債務の計算)
- 112. 簡便法を採用する場合において適用される退職一時金制度に係る退職給付債務の計算方法については、大部分の事業主において利用可能である自己都合要支給額を基礎とした方法のうち、各事業主の実態から合理的と判断される方法を選択し、継続して適用するものとしている(第50項(1)参照)。また、企業年金制度についても同様に自己都合要支給額を基礎とした方法又は年金財政計算上の数値を利用した方法を認めることとしている(第50項(2)参照)。
- なお、年金財政計算上の数理債務の額とは、企業年金制度における将来の給付現価から将来の標準掛金による収入現価を控除したものである。数理債務は、厚生年金基金制度及び確定給付企業年金制度における責任準備金とは異なるものであるが、改正前指針においては、こうした数理債務と責任準備金が必ずしも明確に区別されていない部分があったことから、本適用指針ではこの点を明確化している。
- 112-2. 平成24年厚生労働省通知により、年金財政計算上の数理債務の額は、厚生年金基金及び確定給付企業年金の貸借対照表には表示されず、欄外に注記されることとなった(第72-2項参照)。このため、簡便法による退職給付債務の計算にあたり、年金財政計算上の数理債務の額を用いる場合(第50項(2)及び第51項(2)参照)には、厚生年金基金及び確定給付企業年金の貸借対照表の欄外に注記されている「数理債務」の額(厚生年金基金の場合は当該「数理債務」の額と貸借対照表に表示されている「最低責任準備金」(負債)の額の合計額)を勘案して退職給付債務を計算することに留意する必要がある。
(退職一時金制度の一部を確定給付企業年金制度に移行している場合)
- 113. 退職一時金制度の一部を企業年金制度に移行している場合、第51項(1)又は(2)のいずれかを選択適用することになるが、例えば、定年時に退職するときには企業年金から支給され、定年前に退職するときには一時金で支給されるような、いわゆる縦割り型の企業年金制度への移行では、(1)の方法を採用すれば、移行部分に係る債務が自己都合要支給額及び年金拠出額の計算において二重に計算対象に含められる可能性があるため、(2)の方法によることが合理的と考えられる。
確定給付制度の開示
注記事項
(退職給付に係る注記)
- 114. 退職給付債務及び年金資産の期首残高と期末残高の調整表の内訳(第54項及び第55項参照)並びに退職給付に関連する損益の項目(第57項参照)として掲げたものは、限定列挙ではない。したがって、これら以外でも、例えば、重要な企業結合があった場合や制度の終了又は大量退職があった場合のほか、退職給付制度から重要な年金資産の返還があった場合(第44項及び第45項参照、[設例7]及び[設例8-2])や、重要な退職給付信託の設定があった場合(第19項参照、[設例8-1])などでは、その内容を示す項目を別掲する必要がある。
- 115. 年金資産の主な内訳として、株式、債券などの種類ごとの割合又は金額を記載することとしているが(第59項(1)参照)、企業年金制度に対して設定された退職給付信託については、一般的に分散投資により運用される制度固有の他の年金資産とはリスク特性に大きな違いが見られ、年金資産全体の重要な部分を占める場合には一定の開示が必要であるとの指摘があった。これを踏まえ、退職給付信託が設定された企業年金制度について、年金資産の合計額に対する退職給付信託の額の割合が重要である場合には、年金資産の主な内訳に別に付記する形で開示を求めることとした。なお、重要性に関する基準値は設けていないが、当該情報を求めることとした趣旨に鑑み、個々の企業の状況に照らして重要性を判断することが適切であると考えられる。
- 116. 連結財務諸表に国内外の複数の退職給付制度が含まれる場合、第52項から第60項の注記について、国内の制度と国外の制度などの地域別に区別して開示することも妨げられないものと考えられる。
- 117. 簡便法により会計処理している連結会社について、連結財務諸表における重要性が乏しい場合には、原則法による注記事項(第52項から第60項参照)に含めて開示することもできるものと考えられる。
複数事業主制度の会計処理及び開示
- 118. 我が国の場合、連合設立型厚生年金基金、総合設立型厚生年金基金及び共同で設立された確定給付企業年金制度などが複数事業主制度に該当する。
(自社の負担に属する年金資産等の計算に用いる合理的な基準)
- 119. 複数事業主制度を採用している場合、年金資産が企業単位で個別管理されていることや、掛金と給付を個別管理し、共同で資産運用した結果の運用収益を元本の比率で配分することがある。この場合、自社の負担に属する年金資産等の計算を行うときの合理的な基準として、当該方法に基づいて算定される金額(年金財政計算における資産分割の額)を用いることも適当と考えられることから、これを改正前指針にあった例示に追加することとした(第63項(5)参照)。
- 119-2. 平成24年厚生労働省通知により、年金財政計算上の数理債務の額及び未償却過去勤務債務残高は、厚生年金基金及び確定給付企業年金の貸借対照表には表示されず、欄外に注記されることとなった(第72-2項参照)。このため、複数事業主制度の会計処理において、自社の負担に属する年金資産等の計算を行うときの合理的な基準として、年金財政計算における数理債務の額及び未償却過去勤務債務の額を用いる場合(第63項(2)及び(3)参照)には、厚生年金基金及び確定給付企業年金の貸借対照表の欄外に注記されている「数理債務」の額(厚生年金基金の場合は当該「数理債務」の額と貸借対照表に表示されている「最低責任準備金」(負債)の額の合計額)及び「未償却過去勤務債務残高」の額を勘案して制度全体の額を算定し、自社の負担に属する年金資産等を計算することに留意する必要がある。
(自社の拠出に対応する年金資産の額の合理的な計算ができない場合)
- 120. 複数事業主が共同して1つの企業年金制度を作っている場合、標準掛金等は相互共済的に一律で定められているのが通例である。しかし、相互共済的に運営されていることだけに基づいて、自社の拠出に対応する年金資産の額を合理的に計算することができない(会計基準第33項(2))と判断することは妥当ではなく、事業主ごとに未償却過去勤務債務に係る掛金率や掛金負担割合等の定めがなく、(全企業に対し)掛金が一律に決められているかといった点にも基づいて判断する必要がある(第64項参照)。
なお、総合設立型の場合には、自社の拠出に対応する年金資産の額を合理的に計算できない場合が多く、通常、当該年金制度への要拠出額を退職給付費用として処理する(会計基準第31項及び第33項(2))ことが考えられる。また、第64項における、未償却過去勤務債務に係る掛金率とは、事業所脱退時の未償却過去勤務債務の清算を指しているのではなく、過去勤務債務の償却のために必要な掛金(厚生年金基金制度及び確定給付企業年金制度では特別掛金という。)に負担区分等がなく、一律的に適用されている掛金率であるかどうかということである。 - 121. 複数事業主制度において親会社に子会社、関連会社を加えた企業年金制度があるが、こうした制度の中には、実態は単一事業主制度であるにもかかわらず、子会社や関連会社を加えることによって、形式上、複数事業主制度の企業年金制度となっているものが存在し得る。こうした場合で、親会社等の特定の事業主に属する従業員に係る給付等が当該制度全体の中で著しく大きな割合を占めているときなどでは、当該親会社等の財務諸表上において、単一事業主制度との整合性を考慮して、自社の拠出に対応する年金資産の額を合理的に計算できないケースにはあたらないとみなすべきと考えられる(第64項参照)。
改正前指針では、複数事業主間において類似した退職給付制度を有している場合についても、自社の拠出に対応する年金資産の額が合理的に計算できないケースにはあたらないとみなすべきとされていた。しかし、類似した退職給付制度を有することをもって、ただちに自社の拠出に対応する年金資産の額を合理的に計算できるとはいえないことから、本適用指針では、当該みなしの定めを引き継がないこととした。なお、この場合でも、前項に掲げた点を考慮して、自社の拠出に対応する年金資産の額を合理的に計算できるか否かを判断することに留意が必要である。
(確定拠出制度に準じた場合の開示)
- 122. 会計基準第33項(2)を適用し、確定拠出制度に準じる複数事業主制度については、制度ごと、参加企業ごとに各様である実態について適切に示すことができるように、これらに関する補足説明についても記載を求めている(第65項参照)。
ただし、当該年金制度が自社の財務諸表に与える影響度合いには参加企業ごとに違いがあることを考慮して、重要性が乏しい場合には注記を省略できるものとしている(第65項なお書き参照)。これには、制度全体の積立状況と自社の割合だけを記載して補足説明を省略することも含まれる。 - 123. 本適用指針第65項の年金制度全体の掛金等に占める自社の割合には、掛金拠出割合のほかに、制度の加入人数又は制度の給与総額に占める自社の割合も含まれる。これらは、当該複数事業主制度に対する自社の関与度合いの推測に資する指標の1つとして開示される。
- 124. 本適用指針では、年金制度に係る状況は、制度ごと、参加企業ごとに各様であると考えられることから、補足説明として記載すべき具体的な事項については定めないこととしたが、実務上の便宜を考慮して、想定される開示の一例を後掲の「参考(開示例)」において示している。
- 125. また、第65項で求める注記が将来の負担額の見込みに関する目安としての開示であることや、実務上の便宜を考慮して、本適用指針では、年金制度全体に係る積立状況について入手可能な直近時点(貸借対照表日以前の最新時点)の年金財政計算に基づく実際数値により開示することとしている。このため、注記される積立状況の時点が貸借対照表日よりも1年程度前の時点になることも想定される。同様の理由により、制度全体の掛金等に占める自社の割合についても、貸借対照表日時点のみならず、期中平均や年金財政計算上の決算日時点などによる適切な割合を用いることができる。
- 126. 複数の事業主により設立された企業年金制度がいくつかあり、これらに会計基準第33項(2)に基づく処理を適用している場合には、当該企業にとって単独でも重要性がある制度については制度ごとに注記を行うが、単独で重要性がある制度以外の複数の制度に制度群として重要性があるときには、当該制度群中の制度の数値を合算(割合は加重平均)して記載し、補足説明を概括的に記載することが適当と考えられる。
- 126-2. 平成27年改正適用指針では、従来は厚生年金基金の貸借対照表に表示されていた「給付債務」(負債)が、平成24年厚生労働省通知により厚生年金基金の貸借対照表に表示されなくなったことを受けて、複数事業主制度を採用している場合において、会計基準第33項(2)を適用して確定拠出制度に準じた会計処理及び開示を行うときの注記事項である「直近の積立状況等」(第65項参照)のうち、「年金財政計算上の給付債務の額」を変更すべきかについて検討を行った。
- 検討の結果、当該注記は将来の負担額の見込みに関する目安としての開示である(第125項参照)ことに鑑み、従来と実質的に同じ内容の注記を求めることとし、平成27年改正適用指針においては、名称を「年金財政計算上の数理債務の額と最低責任準備金の額との合計額」と変更して、注記すべき金額を明らかにすることとした(第65項参照)。確定給付企業年金の場合は代行部分の給付がないことから、年金財政計算上の数理債務の額のみとなるため、注記対象が確定給付企業年金のみの場合には、注記において使用する名称を「年金財政計算上の数理債務の額」とすることが考えられる。
- なお、年金財政計算上の数理債務の額は、厚生年金基金及び確定給付企業年金の貸借対照表には表示されず欄外に注記されているため、注記の額を計算するにあたっては、厚生年金基金及び確定給付企業年金の貸借対照表の欄外に注記されている「数理債務」の額と貸借対照表に表示されている「最低責任準備金」(負債)の額に基づき注記の額を計算することに留意する必要がある。
適用時期等
- 127. 平成24年改正適用指針の適用により、複数事業主制度の会計処理について、会計方針の変更が生じる場合がある(第119項及び第121項参照)。当該変更は当期純利益及び利益剰余金に影響を与えるものであることから、当該複数事業主制度の会計処理に関する定めについては、会計基準第35項の対象となる定めと併せて期首から適用することとした(第67項参照)。
- 128. 会計基準及び平成24年改正適用指針の適用によって会計方針が変更され、退職給付に係る負債(又は資産)の金額が変動する結果、新たに繰延税金資産又は繰延税金負債が計上されることがある。この場合、会計方針の変更の影響額には、適用時点における当該繰延税金資産の回収可能性の判断(企業会計審議会「税効果会計に係る会計基準」(平成10年10月)及び日本公認会計士協会 監査委員会報告第66号「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」(平成11年11月)等に照らして判断をする。)に伴う影響額も含まれることに留意が必要である(第69項参照)(なお、会計基準第34項の適用に伴うものは、純資産の部におけるその他の包括利益累計額に反映させることとなる。ただし、個別財務諸表における当面の取扱い(会計基準第39項)により、個別財務諸表には適用されないことに留意が必要である。)。
- 129. 第16項及び第21項の定めは、従来(改正前指針)の取扱いを明確にするものであり、会計基準及び平成24年改正適用指針の適用による会計方針の変更には該当しないことに留意が必要である。
- 129-2. 平成27年改正適用指針の公表日時点において、厚生年金基金及び確定給付企業年金の財務諸表は変更後の表示方法により作成されていることから、平成27年改正適用指針は、公表日以後最初に終了する事業年度の年度末に係る財務諸表から適用することとした。
- なお、平成27年改正適用指針の適用については、表示方法の変更として取り扱うため、企業会計基準第24号「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」第14項の定めに従って、表示する過去の期間における本適用指針第65項の注記についても新たな表示方法を適用することとなる。
(会計基準変更時差異)
- 130. 会計基準変更時差異(平成10年会計基準の適用初年度の期首における、積立状況を示す額とそれ以前の会計基準により計上された退職給与引当金等の金額との差額)について、改正前指針は15年以内の一定の年数にわたり定額法により費用処理することを定めていたが、会計基準及び平成24年改正適用指針の適用時点で当該会計基準変更時差異の未処理額の残高がある場合には、税効果を調整後の残高を退職給付に係る調整累計額(その他の包括利益累計額)に計上した上で([設例3])、この費用処理を継続しなければならない点に留意が必要である(この場合、第33項の未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用の会計処理に準じるものとする。)。また、会計基準変更時差異の費用処理年数は、平成10年会計基準適用時に決定した後は、原則として変更できないが、平成10年会計基準の適用初年度に在職した従業員のその後の大量退職により、会計基準変更時差異の未処理額の残高が実態に合致しなくなった場合には、早期償却のために費用処理年数の変更又は一時償却を検討することが必要になることがある点に留意が必要である。
設 例
- 次の設例は、会計基準及び本適用指針で示された内容についての理解を深めるために参考として示されたものであり、前提条件の記載内容は、経済環境や各企業の実情等に応じて異なることに留意する必要がある。
設例
- [設例1] 退職給付債務及び勤務費用の計算例(期間定額基準)-退職一時金制度
- 以下、退職一時金制度の退職給付債務及び勤務費用を期間定額基準(第11項(1)参照)によって計算する場合について設例により述べるが、これは計算手法を理解するための一例であり、実務に適用する場合は会社の退職金規程や実態などに応じて年金数理計算により算定することになることに留意すること。
- 1. 前提条件
- (1) 37才、勤続19年の○山×夫氏の期首時点の2001年4月1日の退職給付債務及び当期の勤務費用の計算
(定年は60才、退職は期末のみ) 
- (2) 退職金(一時金)の算定方法(給付算定式)
「退職時の給与 × 支給倍率」
ただし、支給倍率は生存退職と死亡退職により異なっている。 - (3) 「退職確率」・「死亡確率」
「退職率」とは、その年齢において生存退職する率をいう(第26項参照)。
「死亡率」とは、その年齢において死亡する率をいう(第27項参照)。
「退職確率」は、上記「退職率」を基に、現在ある年齢の人が、定年までの特定の年齢において生存退職する確率をいう。
「死亡確率」は、上記「死亡率」を基に、現在ある年齢の人が、定年までの特定の年齢において死亡退職する確率をいう。
したがって、「退職確率」と「死亡確率」の合計は、ある年齢の人が、定年までに生存退職又は死亡退職をする確率となるから、その合計は100%となる。
なお、自己都合退職と会社都合退職(定年退職、死亡退職を含む。)ごとに退職給付額が異なる場合があるが(第7項参照)、設例の簡略化のため両者を区別していない。 - (4) 企業年金制度等の場合
第7項に従って、予想退職時期ごとに、従業員に支給されると見込まれる退職給付額を求める。
その計算結果を、表1-1から表1-3の「④生存退職金見積額」及び「⑤死亡退職金見積額」に代入して計算する。 - 2. 計算結果とその算定方法

- (注)当期退職給付額は、当期首に見積られた当期の退職率に基づき計算された数理計算上の退職給付見積額である。当該見積額と実際の当期退職給付額との差異が数理計算上の差異の一部として期末において退職給付債務の再見積り計算の結果認識される。
- 表1-1:退職一時金について、期首時点で期首時点の退職給付債務を計算する例
- 37才、勤続19年の○山×夫氏の期首時点(2001/4/1)の退職給付債務の計算(定年は60才、退職は期末のみ)

- 表1-2:退職一時金について、期首時点で当期の勤務費用を計算する例
- 37才、勤続19年の○山×夫氏の2002/3期の勤務費用の計算(定年は60才、退職は期末のみ)

- 表1-3:退職一時金について、期首時点で期末時点の退職給付債務を計算する例
- 37才、勤続19年の○山×夫氏の期末時点(2002/3/31)の退職給付債務の計算(定年は60才、退職は期末のみ)

- [設例2] 退職給付見込額の期間帰属方法(給付算定式基準の考え方)
- 1. 前提条件
- (1) 退職給付制度Xでは、従業員が10年超20年未満の勤務後に退職した場合、400の退職一時金を、従業員が20年以上の勤務後に退職した場合、500の退職一時金を支給する。10年未満で退職した場合、退職一時金は支給しない。
- (2) 退職給付制度Yでは、従業員が10年超20年未満の勤務後に退職した場合、100の退職一時金を、従業員が20年以上の勤務後に退職した場合、500の退職一時金を支給する。10年未満で退職した場合、退職一時金は支給しない。
- 2. 考え方
- (1) 退職給付制度Xの給付算定式の下では、最初の10年間の各年に40(400の退職一時金÷10年)を帰属させ、次の10年間の各年に10((500-400)の退職一時金÷10年)を帰属させる(第12項参照)。
なお、従業員が当該給付の支払に必要となる将来の勤務を提供しない可能性を退職給付債務及び勤務費用の計算に反映しなければならない(第12項なお書き参照)。
入社10年以内に退職すると予想される従業員には、給付を帰属させない。 - (2) 退職給付制度Yの給付算定式の下では、勤務期間の後期における給付算定式に従った給付が、初期よりも著しく高い水準となる。この場合、勤続20年を超える期間の勤務は、重要な追加の退職給付を生じさせないため、勤続20年後に退職すると予想される従業員については、当該期間の給付が均等に生じるとみなした補正により、各年に給付を帰属させる(会計基準第19項(2)なお書き)(第13項参照)。したがって、最初の20年間の各年に帰属させる給付は、25(500の退職一時金÷20年)である。
10年から20年の間に退職すると予想される従業員について、最初の10年間の各年に帰属させる給付は、10(100の退職一時金÷10年)である。当該従業員には、10年後と予想退職時期との間については、給付を帰属させない。
入社10年以内に退職すると予想される従業員には、給付を帰属させない。 - [設例3] 適用初年度の取扱い
- 1. 前提条件
- (1) A社は、会計基準及び本適用指針について、会計基準第34項の定めをX2年4月1日から開始する事業年度の年度末の財務諸表から、会計基準第35項の定めをX3年4月1日から開始する事業年度の期首から適用する。会計基準第35項の適用の結果、A社には次の会計処理の変更が生じる。
(a) 制度B(最終給与比例制度。A社の有する退職給付制度はこの制度のみである。)について、前年度(X3年3月期)までは期間定額基準を適用していたが、会計基準の適用に伴い、同基準第19項(2)に定められた給付算定式基準に変更する。
(b) 割引率については、前年度までは平均残存勤務期間に対応した優良社債の利回りを基礎としていたが、会計基準の適用に伴い、退職給付の支払見込期間及び支払見込期間ごとの金額を加味した、加重平均割引率を用いることとする(第24項参照)。
(c) 従来は「確実に見込まれる」とは判断されていなかったために未考慮であった将来の昇給の影響について、会計基準の適用に伴い、これを考慮する(会計基準(注5))。 - (2) X3年3月31日における退職給付見込額の期間帰属方法、割引率、予想昇給率及び退職給付債務の額並びにX3年4月1日から開始する事業年度の勤務費用及び利息費用の額は、会計基準の適用前後で次のとおりであった。

- 1
- (3) X3年3月31日における、会計基準適用前の退職給付引当金の金額と、その内訳は次のとおりであった。

- (4) 法定実効税率は40%であるとする。会計基準の適用により増加した繰延税金資産については、回収可能性があると判断されたものとする。
- 会計基準第34項の適用初年度の連結会計年度末(X3年3月31日)

- 会計基準第35項の適用初年度の期首(X3年4月1日)

- 2. 適用初年度での会計処理
- (1) 会計基準第34項の適用初年度の年度末(X3年3月31日)
- ① 個別財務諸表上の会計処理(会計基準第39項)

- ② 連結財務諸表上の会計処理(連結修正仕訳を示している。)

- (*1) 未認識数理計算上の差異1,000+未認識過去勤務費用300+会計基準変更時差異の未処理額200
会計方針の変更に伴って生じる退職給付に係る調整累計額は、その他の包括利益を通さず、直接、純資産の部におけるその他の包括利益累計額に計上されることに留意が必要である。 - (*2) 上記の金額×40%
- (2) 会計基準第35項の適用初年度の期首(X3年4月1日)

- (*3) 会計基準適用前の退職給付債務10,000-会計基準適用後の退職給付債務9,000
- (*4) 上記の金額×40%
- 3. 会計方針の変更の影響
- (1) 会計基準第34項の適用初年度の連結会計年度末(X3年3月31日)

- (2) 会計基準第35項の適用初年度の期首(X3年4月1日)

- (3) 会計基準第35項の適用初年度(X3年4月1日からX4年3月31日)

- 上記の影響額は、会計基準第35項適用前の会計処理を適用した場合において計上されるべき営業損益に与えるものである。
- [設例4-1] 退職一時金制度
- 1. 前提条件
- (1) D社は、非積立型の退職一時金制度を採用している。
- (2) D社は、数理計算上の差異の費用処理については翌期から平均残存勤務期間(この設例においては、15年で不変であるとする。)にわたり定額法、過去勤務費用については発生年度別に10年間にわたり定額法で費用処理する方法を採用している。
- (3) 税効果については、その他の包括利益に関連するものだけを示す。法定実効税率は40%であり、繰延税金資産の回収可能性は常にあるものとする。
- (4) 設例で用いている記号は次のとおりである([設例4-2]以降も同じ。)。

- (5) 仕訳中の「退職給付に係る調整額」は、その他の包括利益を示している([設例4-2]以降も同じ。)。
- 2. X1年度の会計処理
- X1年4月1日における数理計算(割引率は5.0%)の結果、X1年4月1日からX2年3月31日までの勤務費用、利息費用はそれぞれ700、500(=退職給付債務期首残高10,000×割引率5.0%)と計算された。同期間における退職給付支払額は200であった。
- X2年3月31日における数理計算(割引率は5.0%)による退職給付債務は11,000と計算されたため、数理計算上の差異は発生しなかった。
- 以上を図示すると表4-1のようになる。
- <表4-1>

- (1) 退職給付費用の計上

- (2) 退職一時金支払時における処理

- (3) 期末における数理計算上の差異の処理

- 3. X2年度の会計処理
- X2年3月31日における数理計算の結果、X2年4月1日からX3年3月31日までの勤務費用、利息費用はそれぞれ670、550(=退職給付債務期首残高11,000×割引率5.0%)と計算された。同期間における退職給付支払額は220であった。
- X3年3月31日における数理計算に用いる割引率は、X2年4月1日の退職給付債務の数理計算に用いた割引率に比し、重要な変動が生じたため5.0%から6.0%に変更された。割引率6.0%で数理計算されたX3年3月31日における退職給付債務は10,500であった。これにより退職給付債務に係る数理計算上の差異1,500(貸方差異)が発生した。
- 以上を図示すると表4-2のようになる。
- <表4-2>

- ① 数理計算上の差異の発生額1,500は、発生年度に退職給付に係る負債として認識(退職給付に係る負債を減額)するとともに、退職給付に係る調整額(その他の包括利益)として認識する。当期純利益の計算上は繰り延べられ、翌期から平均残存勤務期間15年にわたり費用処理(退職給付費用から控除)する。
- (1) 退職給付費用の計上

- (2) 退職一時金支払時における処理

- (3) 期末における数理計算上の差異の処理

- 4. X3年度の会計処理
- X3年3月31日における数理計算の結果、X3年4月1日からX4年3月31日までの勤務費用、利息費用はそれぞれ450、630(=退職給付債務期首残高10,500×割引率6.0%)と計算された。同期間における退職給付支払額は230であった。
- D社は、X3年4月1日付けで平均4.5%の給付水準の引上げを行った。これに伴う退職給付債務の増加額、すなわち過去勤務費用の発生額は500であった。
- X4年3月31日における数理計算(割引率は6.0%)による退職給付債務は11,850と計算された。
- 以上を図示すると表4-3のようになる。
- <表4-3>

- ① 過去勤務費用の費用処理額50=過去勤務費用の当期発生額500÷10年
過去勤務費用のうち、費用処理されていない部分は発生年度に退職給付に係る負債として認識するとともに、退職給付に係る調整額(その他の包括利益)として認識する。 - ② 未認識数理計算上の差異の費用処理額(退職給付費用控除額)100=未認識数理計算上の差異1,500÷15年
- (1) 退職給付費用の計上

- (2) 未認識数理計算上の差異の費用処理(組替調整)

- (3) 過去勤務費用の発生及び費用処理

- (4) 退職一時金支払時における処理

- [設例4-2] 退職一時金制度(個別財務諸表における当面の取扱い)
- 1. 前提条件
- (1) D社は、非積立型の退職一時金制度を採用している。
- (2) D社は、数理計算上の差異の費用処理については翌期から平均残存勤務期間(この設例においては、15年で不変であるとする。)にわたり定額法、過去勤務費用については発生年度別に10年間にわたり定額法で費用処理する方法を採用している。
- (3) 税効果については、その他の包括利益に関連するものだけを示す。法定実効税率は40%であり、繰延税金資産の回収可能性は常にあるものとする。
- (4) 連結財務諸表上の会計処理は連結修正仕訳を示している。ただし、開始仕訳及び表示科目の振替仕訳は省略している([設例5-2]も同じ。)。
- 2. X1年度の会計処理
- X1年4月1日における数理計算(割引率は5.0%)の結果、X1年4月1日からX2年3月31日までの勤務費用、利息費用はそれぞれ700、500(=退職給付債務期首残高10,000×割引率5.0%)と計算された。同期間における退職給付支払額は200であった。
- X2年3月31日における数理計算(割引率は5.0%)による退職給付債務は11,000と計算されたため、数理計算上の差異は発生しなかった。
- 以上を図示すると個別財務諸表上は表4-4のようになる。
- <表4-4>

- また、連結財務諸表上は表4-5のようになる。
- <表4-5>

- (個別財務諸表上の会計処理)
- (1) 退職給付費用の計上

- (2) 退職一時金支払時における処理

- (連結財務諸表上の会計処理)

- 3. X2年度の会計処理
- X2年3月31日における数理計算の結果、X2年4月1日からX3年3月31日までの勤務費用、利息費用はそれぞれ670、550(=退職給付債務期首残高11,000×割引率5.0%)と計算された。同期間における退職給付支払額は220であった。
- X3年3月31日における数理計算に用いる割引率は、X2年4月1日の退職給付債務の数理計算に用いた割引率に比し、重要な変動が生じたため5.0%から6.0%に変更された。割引率6.0%で数理計算されたX3年3月31日における退職給付債務は10,500であった。これにより退職給付債務に係る数理計算上の差異1,500(貸方差異)が発生した。
- 以上を図示すると個別財務諸表上は表4-6のようになる。
- <表4-6>

- ① 数理計算上の差異の発生額1,500は、未認識数理計算上の差異として繰り延べられ、翌期から平均残存勤務期間15年にわたり費用処理(退職給付費用から控除)する。
- また、連結財務諸表上は表4-7のようになる。
- <表4-7>

- ① 数理計算上の差異の発生額1,500は、発生年度に退職給付に係る負債として認識(退職給付に係る負債を減額)するとともに、退職給付に係る調整額(その他の包括利益)として認識する。当期純利益の計算上は繰り延べられ、翌期から平均残存勤務期間15年にわたり費用処理(退職給付費用から控除)する。
- (個別財務諸表上の会計処理)
- (1) 退職給付費用の計上

- (2) 退職一時金支払時における処理

- (連結財務諸表上の会計処理)
- 期末における数理計算上の差異の処理

- 4. X3年度の会計処理
- X3年3月31日における数理計算の結果、X3年4月1日からX4年3月31日までの勤務費用、利息費用はそれぞれ450、630(=退職給付債務期首残高10,500×割引率6.0%)と計算された。同期間における退職給付支払額は230であった。
- D社は、X3年4月1日付けで平均4.5%の給付水準の引上げを行った。これに伴う退職給付債務の増加額、すなわち過去勤務費用の発生額は500であった。
- X4年3月31日における数理計算(割引率は6.0%)による退職給付債務は11,850と計算された。
- 以上を図示すると個別財務諸表上は表4-8のようになる。
- <表4-8>

- ① 未認識数理計算上の差異の費用処理額(退職給付費用控除額)100=未認識数理計算上の差異1,500÷15年
- ② 過去勤務費用の費用処理額50=過去勤務費用の当期発生額500÷10年
過去勤務費用は発生年度から費用処理され、残額は未認識過去勤務費用として繰り延べられる。 - また、連結財務諸表上は表4-9のようになる。
- <表4-9>

- ① 過去勤務費用の費用処理額50=過去勤務費用の当期発生額500÷10年
過去勤務費用のうち、費用処理されていない部分は発生年度に退職給付に係る負債として認識するとともに、退職給付に係る調整額(その他の包括利益)として認識する。 - ② 未認識数理計算上の差異の費用処理額(退職給付費用控除額)100=未認識数理計算上の差異1,500÷15年
- (個別財務諸表上の会計処理)
- (1) 退職給付費用の計上

- (2) 未認識数理計算上の差異の費用処理

- (3) 過去勤務費用の費用処理

- (4) 退職一時金支払時における処理

- (連結財務諸表上の会計処理)
- (1) 未認識数理計算上の差異の費用処理(組替調整)
- ① 個別財務諸表上の処理の振戻し

- ② 組替調整の処理

- (2) 過去勤務費用の発生
- ① 個別財務諸表上の処理の振戻し

- ② 過去勤務費用の発生及び費用処理

- [設例5-1] 企業年金制度
- 1. 前提条件
- (1) E社は、従業員非拠出の確定給付企業年金制度を採用している。
- (2) E社は、数理計算上の差異の費用処理については当期の発生額を翌期から費用処理期間10年の定率法(0.206)、過去勤務費用については発生年度別に発生年度における平均残存勤務期間(この設例においては、15年で不変であるとする。)にわたり定額法で費用処理する方法を採用している。
- (3) 税効果については、その他の包括利益に関連するものだけを示す。法定実効税率は40%であり、繰延税金資産の回収可能性は常にあるものとする。
- 2. X1年度の会計処理
- X1年4月1日における数理計算(割引率は5.0%、長期期待運用収益率は5.0%)の結果、X1年4月1日からX2年3月31日までの勤務費用、利息費用及び期待運用収益はそれぞれ700、500(=退職給付債務期首残高10,000×割引率5.0%)、350(=年金資産期首残高7,000×長期期待運用収益率5.0%)と計算された。また、当期における年金資産からの年金給付支払額及び掛金拠出額は200及び800であった。
- X2年3月31日における数理計算(割引率は5.0%)による退職給付債務は11,000と計算され、年金資産の時価は8,100であった。当年度における年金資産の実際運用収益率が、長期期待運用収益率5.0%を上回ったため数理計算上の差異150(貸方差異)が発生した。
- 以上を図示すると表5-1のようになる。
- <表5-1>

- ① 数理計算上の差異の発生額150は、発生年度に退職給付に係る負債として認識(退職給付に係る負債を減額)するとともに、退職給付に係る調整額(その他の包括利益)として認識する。当期純利益の計算上は繰り延べられ、翌期から費用処理期間10年の定率法(0.206)により費用処理(退職給付費用から控除)する。
- (1) 退職給付費用の計上

- (2) 掛金拠出時における処理

- (3) 期末における数理計算上の差異の処理

- 3. X2年度の会計処理
- X2年3月31日における数理計算(割引率は5.0%、長期期待運用収益率は5.0%)の結果、X2年4月1日からX3年3月31日までの勤務費用、利息費用及び期待運用収益はそれぞれ670、550(=退職給付債務期首残高11,000×割引率5.0%)、405(=年金資産期首残高8,100×長期期待運用収益率5.0%)と計算された。また、当期における年金資産からの年金給付支払額及び掛金拠出額は220及び805であった。
- X3年3月31日における数理計算に用いる割引率は、X2年4月1日の退職給付債務の数理計算に用いた割引率に比し、重要な変動が生じたため5.0%から4.0%に変更された。X3年3月31日において割引率4.0%で数理計算された退職給付債務は13,500と計算され、退職給付債務に係る数理計算上の差異が1,500(借方差異)発生した。
- また、当期における年金資産の実際運用収益率が、長期期待運用収益率5.0%を下回ったため、X3年3月31日における年金資産の時価は9,000となり、年金資産に係る数理計算上の差異が90(借方差異)発生した。
- 以上を図示すると表5-2のようになる。
- <表5-2>

- ① 未認識数理計算上の差異の費用処理額(退職給付費用控除額)31=未認識数理計算上の差異の期首残高150×0.206
- ② 数理計算上の差異の発生額1,590は、発生年度に退職給付に係る負債として認識するとともに、退職給付に係る調整額(その他の包括利益)として認識する。当期純利益の計算上は繰り延べられ、翌期から費用処理期間10年の定率法(0.206)により費用処理する。
- (1) 退職給付費用の計上

- (2) 未認識数理計算上の差異の費用処理(組替調整)

- (3) 掛金拠出時における処理

- (4) 期末における数理計算上の差異の処理

- 4. X3年度の会計処理
- X3年3月31日における数理計算(割引率は4.0%、長期期待運用収益率は5.0%)の結果、X3年4月1日からX4年3月31日までの勤務費用、利息費用及び期待運用収益はそれぞれ、570、567(=(退職給付債務期首残高13,500+過去勤務費用675)×割引率4.0%)、450(=年金資産期首残高9,000×長期期待運用収益率5.0%)と計算された。また、同期間における年金資産からの年金給付支払額及び掛金拠出額は230及び810であった。
- E社は、X3年4月1日付けで平均4.8%の給付水準の引上げを行った。これに伴う退職給付債務の増加額、すなわち過去勤務費用の発生額は675であった(利息費用の計算に反映させている。)。
- X4年3月31日における退職給付債務は15,082、X3年4月1日において退職給付債務の数理計算に用いた基礎率に重要な変動がなかったため、基礎率の見直しを行わず計算された。当期における年金資産の実際運用収益率が、長期期待運用収益率5.0%を下回って運用されたため、X4年3月31日における年金資産の時価は9,900となり、年金資産に係る数理計算上の差異が130(借方差異)発生した。
- 以上を図示すると表5-3のようになる。
- <表5-3>

- ① 数理計算上の差異の費用処理額303=未認識数理計算上の差異の期首残高1,471×0.206
- ② 過去勤務費用の費用処理額45=過去勤務費用の当期発生額675÷15年
過去勤務費用のうち、費用処理されていない部分は発生年度に退職給付に係る負債として認識するとともに、退職給付に係る調整額(その他の包括利益)として認識する。当期純利益の計算上は発生年度から15年にわたり費用処理する。 - ③ 数理計算上の差異の発生額130は、発生年度に退職給付に係る負債として認識するとともに、退職給付に係る調整額(その他の包括利益)として認識する。当期純利益の計算上は繰り延べられ、翌期から費用処理期間10年の定率法(0.206)により費用処理する。
- (1) 退職給付費用の計上

- (2) 未認識数理計算上の差異の費用処理(組替調整)

- (3) 過去勤務費用の発生及び費用処理

- (4) 掛金拠出時における処理

- (5) 期末における数理計算上の差異の処理

- [設例5-2] 企業年金制度(個別財務諸表における当面の取扱い)
- 1. 前提条件
- (1) E社は、従業員非拠出の確定給付企業年金制度を採用している。
- (2) E社は、数理計算上の差異の費用処理については当期の発生額を翌期から費用処理期間10年の定率法(0.206)、過去勤務費用については発生年度別に発生年度における平均残存勤務期間(この設例においては、15年で不変であるとする。)にわたり定額法で費用処理する方法を採用している。
- (3) 税効果については、その他の包括利益に関連するものだけを示す。法定実効税率は40%であり、繰延税金資産の回収可能性は常にあるものとする。
- 2. X1年度の会計処理
- X1年4月1日における数理計算(割引率は5.0%、長期期待運用収益率は5.0%)の結果、X1年4月1日からX2年3月31日までの勤務費用、利息費用及び期待運用収益はそれぞれ700、500(=退職給付債務期首残高10,000×割引率5.0%)、350(=年金資産期首残高7,000×長期期待運用収益率5.0%)と計算された。また、当期における年金資産からの年金給付支払額及び掛金拠出額は200及び800であった。
- X2年3月31日における数理計算(割引率は5.0%)による退職給付債務は11,000と計算され、年金資産の時価は8,100であった。当年度における年金資産の実際運用収益率が、長期期待運用収益率5.0%を上回ったため数理計算上の差異150(貸方差異)が発生した。
- 以上を図示すると個別財務諸表上は表5-4のようになる。
- <表5-4>

- ① 数理計算上の差異の発生額150は、未認識数理計算上の差異として繰り延べられ、翌期から費用処理期間10年の定率法(0.206)により費用処理(退職給付費用から控除)する。
- また、連結財務諸表上は表5-5のようになる。
- <表5-5>

- ① 数理計算上の差異の発生額150は、発生年度に退職給付に係る負債として認識(退職給付に係る負債を減額)するとともに、退職給付に係る調整額(その他の包括利益)として認識する。当期純利益の計算上は繰り延べられ、翌期から費用処理期間10年の定率法(0.206)により費用処理(退職給付費用から控除)する。
- (個別財務諸表上の会計処理)
- (1) 退職給付費用の計上

- (2) 掛金拠出時における処理

- (連結財務諸表上の会計処理)
- 期末における数理計算上の差異の処理

- 3. X2年度の会計処理
- X2年3月31日における数理計算(割引率は5.0%、長期期待運用収益率は5.0%)の結果、X2年4月1日からX3年3月31日までの勤務費用、利息費用及び期待運用収益はそれぞれ670、550(=退職給付債務期首残高11,000×割引率5.0%)、405(=年金資産期首残高8,100×長期期待運用収益率5.0%)と計算された。また、当期における年金資産からの年金給付支払額及び掛金拠出額は220及び805であった。
- X3年3月31日における数理計算に用いる割引率は、X2年4月1日の退職給付債務の数理計算に用いた割引率に比し、重要な変動が生じたため5.0%から4.0%に変更された。X3年3月31日において割引率4.0%で数理計算された退職給付債務は13,500と計算され、退職給付債務に係る数理計算上の差異が1,500(借方差異)発生した。
- また、当期における年金資産の実際運用収益率が、長期期待運用収益率5.0%を下回ったため、X3年3月31日における年金資産の時価は9,000となり、年金資産に係る数理計算上の差異が90(借方差異)発生した。
- 以上を図示すると個別財務諸表上は表5-6のようになる。
- <表5-6>

- ① 未認識数理計算上の差異の費用処理額(退職給付費用控除額)31=未認識数理計算上の差異の期首残高150×0.206
- ② 数理計算上の差異の発生額1,590は、未認識数理計算上の差異として繰り延べられ、翌期から費用処理期間10年の定率法(0.206)により費用処理する 。
- また、連結財務諸表上は表5-7のようになる。
- <表5-7>

- ① 未認識数理計算上の差異の費用処理額(退職給付費用控除額)31=未認識数理計算上の差異の期首残高150×0.206
- ② 数理計算上の差異の発生額1,590は、発生年度に退職給付に係る負債として認識するとともに、退職給付に係る調整額(その他の包括利益)として認識する。当期純利益の計算上は繰り延べられ、翌期から費用処理期間10年の定率法(0.206)により費用処理する。
- (個別財務諸表上の会計処理)
- (1) 退職給付費用の計上

- (2) 未認識数理計算上の差異の費用処理

- (3) 掛金拠出時における処理

- (連結財務諸表上の会計処理)
- (1) 未認識数理計算上の差異の費用処理(組替調整)
- ① 個別財務諸表上の処理の振戻し

- ② 組替調整の処理

- (2) 期末における数理計算上の差異の処理

- 4. X3年度の会計処理
- X3年3月31日における数理計算(割引率は4.0%、長期期待運用収益率は5.0%)の結果、X3年4月1日からX4年3月31日までの勤務費用、利息費用及び期待運用収益はそれぞれ、570、567(=(退職給付債務期首残高13,500+過去勤務費用675)×割引率4.0%)、450(=年金資産期首残高9,000×長期期待運用収益率5.0%)と計算された。また、同期間における年金資産からの年金給付支払額及び掛金拠出額は230及び810であった。
- E社は、X3年4月1日付けで平均4.8%の給付水準の引上げを行った。これに伴う退職給付債務の増加額、すなわち過去勤務費用の発生額は675であった(利息費用の計算に反映させている。)。
- X4年3月31日における退職給付債務は15,082、X3年4月1日において退職給付債務の数理計算に用いた基礎率に重要な変動がなかったため、基礎率の見直しを行わず計算された。当期における年金資産の実際運用収益率が、長期期待運用収益率5.0%を下回って運用されたため、X4年3月31日における年金資産の時価は9,900となり、年金資産に係る数理計算上の差異が130(借方差異)発生した。
- 以上を図示すると個別財務諸表上は表5-8のようになる。
- <表5-8>

- ① 数理計算上の差異の費用処理額303=未認識数理計算上の差異の期首残高1,471×0.206
- ② 過去勤務費用の費用処理額45=過去勤務費用の当期発生額675÷15年
- ③ 数理計算上の差異の発生額130は、未認識数理計算上の差異として繰り延べられ、翌期から費用処理期間10年の定率法(0.206)により費用処理する。
- また、連結財務諸表上は表5-9のようになる。
- <表5-9>

- ① 数理計算上の差異の費用処理額303=未認識数理計算上の差異の期首残高1,471×0.206
- ② 過去勤務費用の費用処理額45=過去勤務費用の当期発生額675÷15年
過去勤務費用のうち、費用処理されていない部分は発生年度に退職給付に係る負債として認識するとともに、退職給付に係る調整額(その他の包括利益)として認識する。当期純利益の計算上は発生年度から15年にわたり費用処理する。 - ③ 数理計算上の差異の発生額130は、発生年度に退職給付に係る負債として認識するとともに、退職給付に係る調整額(その他の包括利益)として認識する。当期純利益の計算上は繰り延べられ、翌期から費用処理期間10年の定率法(0.206)により費用処理する。
- (個別財務諸表上の会計処理)
- (1) 退職給付費用の計上

- (2) 未認識数理計算上の差異の費用処理

- (3) 過去勤務費用の費用処理

- (4) 掛金拠出時における処理

- (連結財務諸表上の会計処理)
- (1) 未認識数理計算上の差異の費用処理(組替調整)
- ① 個別財務諸表上の処理の振戻し

- ② 組替調整の処理

- (2) 過去勤務費用の発生
- ① 個別財務諸表上の処理の振戻し

- ② 過去勤務費用の発生及び費用処理

- (3) 期末における数理計算上の差異の処理

- [設例6] 従業員拠出がある企業年金制度(会計基準(注4)の処理)
- 1. 前提条件
- (1) F社は、従業員拠出制の確定給付企業年金制度を採用している。
- (2) F社は、数理計算上の差異の費用処理については当期の発生額を翌期から費用処理期間10年の定率法(0.206)を採用している。
- (3) 設例で用いている記号は、[設例4-1]で示したものに加え、次のとおりとする([設例7]以降も同じ。)。
EC :従業員からの拠出 - (4) 税効果については、その他の包括利益に関連するものだけを示す。法定実効税率は40%であり、繰延税金資産の回収可能性は常にあるものとする。
- 2. X1年度の会計処理
- X1年4月1日における数理計算(割引率は5.0%、長期期待運用収益率は5.0%)の結果、X1年4月1日からX2年3月31日までの勤務費用、利息費用及び期待運用収益はそれぞれ700、500(=退職給付債務期首残高10,000×割引率5.0%)、350(=年金資産期首残高7,000×長期期待運用収益率5.0%)と計算された。また、当期における年金資産からの年金給付支払額及び掛金拠出額は200及び800であった。
- X2年3月31日における数理計算による退職給付債務は11,000と計算され、年金資産の時価は8,100であった。当年度における年金資産の実際運用収益率が、長期期待運用収益率5.0%を上回ったため数理計算上の差異150(貸方差異)が発生した。当期の掛金拠出額800のうち、従業員からの拠出額が160である。
- 以上を図示すると表6-1のようになる。
- <表6-1>

- ① 事業主による拠出部分
- ② 従業員による拠出部分
- ③ 数理計算上の差異の発生額150は、発生年度に退職給付に係る負債として認識(退職給付に係る負債を減額)するとともに、退職給付に係る調整額(その他の包括利益)として認識する。当期純利益の計算上は繰り延べられ、翌期から費用処理期間10年の定率法(0.206)により費用処理(退職給付費用から控除)する。
- (1) 退職給付費用の計上

- (2) 掛金拠出時における処理

- (*1) 従業員拠出がある企業年金制度を採用している場合、当該拠出額を勤務費用から差し引く(会計基準(注4))。
- (3) 期末における数理計算上の差異の処理

- [設例7] 年金資産が返還された場合の処理
- 1. 前提条件
- (1) G社は、従業員非拠出制の確定給付企業年金制度を採用している。
- (2) G社は、数理計算上の差異については、当期の発生額を翌期から費用処理期間10年の定率法(0.206)により、過去勤務費用については、当期の発生額を発生日から費用処理期間15年の定額法により、それぞれ費用処理する方法を採用している。
- (3) 税効果については、その他の包括利益に関連するものだけを示す。法定実効税率は40%であり、繰延税金資産の回収可能性は常にあるものとする。
- 2. X1年度の会計処理
- X1年4月1日における数理計算(割引率は5.0%、長期期待運用収益率は5.0%)の結果、X1年4月1日からX2年3月31日までの勤務費用、利息費用及び期待運用収益はそれぞれ600、500(=退職給付債務期首残高10,000×割引率5.0%)、450(=年金資産期首残高9,000×長期期待運用収益率5.0%)と計算された。また、当期における年金資産からの年金給付支払額及び掛金拠出額は、200及び900であった。
- X2年3月31日において数理計算に用いる退職率の見直しを行った。X2年3月31日において見直し後の退職率を用いて数理計算された退職給付債務は10,700と計算され、退職給付債務に係る数理計算上の差異が200(貸方差異)発生した。また、当期における年金資産の実際運用収益率が長期期待運用収益率5.0%を上回ったため、X2年3月31日における年金資産の時価は10,500となり、年金資産に係る数理計算上の差異が350(貸方差異)発生した。
- 以上を図示すると表7-1のようになる。
- <表7-1>

- (1) 退職給付費用の計上

- (2) 掛金拠出時における処理

- (3) 期末における数理計算上の差異の処理

- 3. X2年度の会計処理
- X2年3月31日における数理計算(割引率は5.0%、長期期待運用収益率は5.0%)の結果、X2年4月1日からX3年3月31日までの勤務費用、利息費用及び期待運用収益は、それぞれ600、535(=退職給付債務期首残高10,700×割引率5.0%)、525(=年金資産期首残高10,500×長期期待運用収益率5.0%)と計算された。また、当期における年金資産からの年金給付支払額及び掛金拠出額は、200及び900であった。
- G社は、X3年3月31日付けで平均2.0%の給付水準の引下げを行った。これに伴う退職給付債務の減少額、すなわち過去勤務費用の発生額は、235(貸方差異)であった。
- X3年3月31日における数理計算に用いる割引率は、X2年4月1日の退職給付債務の数理計算に用いた割引率に比し、重要な変動が生じたため5.0%から5.5%に変更された。X3年3月31日において割引率5.5%で数理計算された退職給付債務は10,600と計算され、退職給付債務に係る数理計算上の差異が800(貸方差異)発生した。また、当期における年金資産の実際運用収益率が長期期待運用収益率5.0%を上回ったため、X3年3月31日における年金資産の時価は11,780となり、年金資産に係る数理計算上の差異が55(貸方差異)発生した。
- X3年3月31日においては、過去勤務費用及び数理計算上の差異の貸方差異等が発生したこと等により、年金資産の実際額11,780が退職給付債務の実際額10,600を1,180超過した。
- 以上を図示すると表7-2のようになる。
- <表7-2>

- ① 数理計算上の差異の費用処理額113=未認識数理計算上の差異の期首残高550×0.206
- ② 3月31日に発生した過去勤務費用235の当期の費用処理額は、235×1/(15×365)=0.04と重要ではないと判断したため、当期は会計上費用処理を行わないこととした。
- ③ 数理計算上の差異の発生額855は、発生年度に退職給付に係る負債として認識(退職給付に係る負債を減額)するとともに、退職給付に係る調整額(その他の包括利益)として認識する。当期純利益の計算上は繰り延べられ、翌期から費用処理期間10年の定率法(0.206)により費用処理(退職給付費用から控除)する。
- (1) 退職給付費用の計上

- (2) 未認識数理計算上の差異の費用処理(組替調整)

- (3) 掛金拠出時における処理

- (4) 過去勤務費用の計上

- (5) 期末における数理計算上の差異の処理

- (6) 期末における表示上の組替え

- 退職給付に係る負債の金額が負の値となるため、表示上、資産に組み替える。
- 4. X3年度の会計処理
- X3年4月1日に年金財政計算における剰余金400が現金で返還された。また、返還額が返還前の年金資産に占める割合が重要ではないと判断されたため、返還した年金資産に対応する数理計算上の差異の損益処理は行わないものとする。
- X3年4月1日の上記返還後の数理計算の結果、X3年4月1日からX4年3月31日までの勤務費用、利息費用及び期待運用収益は、それぞれ600、583(=退職給付債務期首残高10,600×割引率5.5%)、569(=(年金資産期首残高11,780-年金資産返還額400)×長期期待運用収益率5.0%)と計算された。
- 当期における年金資産からの年金給付支払額及び掛金拠出額は、200及び500であった。
- X4年3月31日における数理計算による退職給付債務は11,583であり、数理計算上の差異は発生しなかった。また、当期における年金資産の実際運用収益が、長期期待運用収益率5.0%を下回ったため、X4年3月31日における年金資産の時価は12,143となり、年金資産に係る数理計算上の差異が106(借方差異)発生した。
- 以上を図示すると表7-3のようになる。
- <表7-3>

- ① 年金資産の返還額400は、退職給付に係る資産の減少として処理する。
- ② 数理計算上の差異の費用処理額266=未認識数理計算上の差異の期首残高1,292×0.206
- ③ 過去勤務費用の費用処理額15=未認識過去勤務費用の期首残高235÷15年
- ④ 数理計算上の差異の発生額106は、発生年度に退職給付に係る資産として認識(退職給付に係る資産を減額)するとともに、退職給付に係る調整額(その他の包括利益)として認識する。当期純利益の計算上は繰り延べられ、翌期から費用処理期間10年の定率法(0.206)により費用処理する。
- (1) 年金資産返還時の処理

- (2) 退職給付費用の計上

- (3) 掛金拠出時における処理

- (4) 未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用の費用処理(組替調整)

- (5) 期末における数理計算上の差異の処理

- [設例8-1] 退職給付信託の設定
- 事業主の保有資産を退職給付信託に拠出する(第19項参照)ことにより退職給付会計上の年金資産とする場合の会計処理は次のとおりである。
- 1. 前提条件
- (1) H社は確定給付企業年金制度を採用している。
- (2) X1年4月1日に、保有株式(簿価1,000)を退職給付信託に拠出した(便宜上、当設例及び[設例8-2]では、当該信託された財産を「信託財産」、それ以外の確定給付企業年金制度の年金資産を「年金資産」と呼ぶ。)。同日の時価は3,000であった。
- (3) 信託財産である株式の時価の変動は予測が難しいので、これに係る長期期待運用収益率は過去の配当実績をもとに3.1%に設定した。年金資産の長期期待運用収益率は、5.0%である。
- (4) 数理計算上の差異は発生年度の翌年から10年の定率(0.206)で費用処理することとしている。
- (5) X1年度の退職給付費用は勤務費用700、利息費用500(割引率は5.0%)、年金資産に係る期待運用収益275(=期首の年金資産5,500×長期期待運用収益率5.0%)、信託財産に係る期待運用収益93(=X1年4月1日に拠出された信託財産3,000×長期期待運用収益率3.1%)と計算された。
- (6) X2年3月31日決算時における退職給付債務は11,050、確定給付企業年金制度における年金資産の時価は6,200、退職給付信託における年金資産の時価は2,900であった。
- (7) 税効果については、その他の包括利益に関連するものだけを示す。法定実効税率は40%であり、繰延税金資産の回収可能性は常にあるものとする。
- 以上を図示すると表8-1のようになる。
- <表8-1>

- ① 数理計算上の差異の発生額418は、発生年度に退職給付に係る負債として認識するとともに、退職給付に係る調整額(その他の包括利益)として認識する。当期純利益の計算上は繰り延べられ、翌期から費用処理期間10年の定率法(0.206)により費用処理する。
- (1) 退職給付信託の設定時における処理

- (*1) 退職給付信託設定損益2,000=有価証券(時価)3,000-有価証券(簿価)1,000
- (2) 退職給付費用の処理

- (3) 掛金拠出時における処理

- (4) 期末における数理計算上の差異の処理

- [設例8-2] 退職給付信託の信託財産が返還された場合の処理
- 退職給付信託の信託財産が事業主へ返還された場合の会計処理は、次のとおりである。
- 1. 前提条件
- (1) I社は従業員非拠出制の確定給付企業年金制度を採用し、当該制度の退職給付債務に対して退職給付信託を設定している。
- (2) 未認識数理計算上の差異については、当期の発生額を翌期から平均残存勤務期間である費用処理期間10年の定率法(0.206)により費用処理する方法を採用している。
- (3) 割引率並びに年金資産及び信託財産に係る長期期待運用収益率は、いずれも2.0%で不変であるものとする。
- (4) 税効果については、その他の包括利益に関連するものだけを示す。法定実効税率は40%であり、繰延税金資産の回収可能性は常にあるものとする。
- 2. X5年度の会計処理
- X5年4月1日における数理計算による退職給付債務、年金資産の時価及び信託財産の時価は、それぞれ10,000、8,000、1,000であった。
- X5年4月1日からX6年3月31日までの勤務費用、利息費用並びに年金資産及び信託財産に係る期待運用収益は、それぞれ500、200(退職給付債務期首残高10,000×割引率2.0%)、160(=年金資産期首残高8,000×長期期待運用収益率2.0%)、20(=信託財産期首残高1,000×長期期待運用収益率2.0%)と計算された。また、当期における年金資産からの年金給付支払額及び掛金拠出額は、200及び800であった。
- X6年3月31日では、退職給付債務は10,600と計算され、退職給付債務に係る数理計算上の差異が100(借方差異)、年金資産の時価は8,700となり、当該年金資産に係る数理計算上の差異が60(借方差異)、信託財産の時価は900となり、当該信託財産に係る数理計算上の差異が120(借方差異)発生した。
- 以上を図示すると表8-2のようになる。
- <表8-2>

- ① 数理計算上の差異の費用処理額371=未認識数理計算上の差異の期首残高1,800×0.206
- ② 数理計算上の差異の発生額280は、発生年度に退職給付に係る負債として認識するとともに、退職給付に係る調整額(その他の包括利益)として認識する。当期純利益の計算上は繰り延べられ、翌期から費用処理期間10年の定率法(0.206)により費用処理する。
- (1) 退職給付費用の計上

- (2) 数理計算上の差異の費用処理(組替調整)

- (3) 掛金拠出時における処理

- (4) 期末における数理計算上の差異の処理

- 3. X6年度の会計処理
- X6年3月31日における数理計算の結果、X6年4月1日からX7年3月31日までの勤務費用、利息費用並びに年金資産及び信託財産に係る期待運用収益は、それぞれ450、212(退職給付債務期首残高10,600×割引率2.0%)、174(=年金資産期首残高8,700×長期期待運用収益率2.0%)、18(=信託財産期首残高900×長期期待運用収益率2.0%)と計算された。また、当期における年金資産からの年金給付支払額及び掛金拠出額は、それぞれ222及び900であった。
- X7年3月31日では、退職給付債務は10,700と計算され、退職給付債務に係る数理計算上の差異が340(貸方差異)、年金資産の時価は11,000となり、当該年金資産に係る数理計算上の差異が1,448(貸方差異)、信託財産の時価は1,000となり、当該信託財産に係る数理計算上の差異が82(貸方差異)発生した。
- 以上を図示すると表8-3のようになる。
- <表8-3>

- ① 数理計算上の差異の費用処理額352=未認識数理計算上の差異の期首残高1,709×0.206
- ② 数理計算上の差異の発生額1,870は、発生年度に退職給付に係る負債として認識(退職給付に係る負債を減額)するとともに、退職給付に係る調整額(その他の包括利益)として認識する。当期純利益の計算上は繰り延べられ、翌期から費用処理期間10年の定率法(0.206)により費用処理(退職給付費用から控除)する。
- (1) 退職給付費用の計上

- (2) 数理計算上の差異の費用処理(組替調整)

- (3) 掛金拠出時における処理

- (4) 期末における数理計算上の差異の処理

- (5) 期末における表示上の組替え

- 退職給付に係る負債の金額が負の値となるため、表示上、資産に組み替える。
- 4. X7年度の会計処理
- X7年3月31日における数理計算の結果、X7年4月1日からX8年3月31日までの勤務費用、利息費用並びに年金資産及び信託財産に係る期待運用収益は、それぞれ450、214(退職給付債務期首残高10,700×割引率2.0%)、220(=年金資産期首残高11,000×長期期待運用収益率2.0%)、20(=信託財産期首残高1,000×長期期待運用収益率2.0%)と計算された。また、当期における年金資産からの年金給付支払額及び掛金拠出額はそれぞれ200及び800であった。
- X8年3月31日の信託財産返還前においては、退職給付債務は11,200と計算され、退職給付債務に係る数理計算上の差異が36(借方差異)、年金資産の時価は11,800となり、当該年金資産に係る数理計算上の差異が20(借方差異)、信託財産の時価は1,010となり、当該信託財産に係る数理計算上の差異が10(借方差異)発生した。
- 年金資産が退職給付債務を超過し、かつ、信託財産が退職給付に使用されないことが合理的に予測されたため(第106項参照)、X8年3月31日に、積立超過額のうち信託財産1,010(時価)が有価証券で返還された。
- なお、返還された信託財産は、返還前の年金資産及び信託財産の合計に占める割合が重要と判断されたものとする。また、信託財産返還額に対応できる数理計算上の差異は、50(借方差異)として個別に把握され、重要性が乏しくないものと判断されたものとする。
- 以上を図示すると表8-4のようになる。
- <表8-4>

- ① 数理計算上の差異の費用処理額105=未認識数理計算上の差異の期首残高513×0.206
- ② 数理計算上の差異の発生額66は、発生年度に退職給付に係る資産として認識(退職給付に係る資産を減額)するとともに、退職給付に係る調整額(その他の包括利益)として認識する。当期純利益の計算上は繰り延べられ、翌期から費用処理期間10年の定率法(0.206)により費用処理する。
- ③ 信託財産の返還額1,010は、退職給付に係る資産の減少として認識される。
- ④ 未認識数理計算上の差異のうち信託財産の返還額に対応する部分50(借方差異)を損益に計上する。
- (1) 退職給付費用の計上

- (2) 数理計算上の差異の費用処理(組替調整)

- (3) 掛金拠出時における処理

- (4) 期末における数理計算上の差異の処理

- (5) 信託財産の返還に係る処理

- [設例9] 簡便法による計算例
- 1. 退職一時金制度のみの場合で第50項(1)②の簡便法を適用
- (1) 前提条件

- (2) 計算結果
- 第50項(1)②による簡便法は、自己都合要支給額に昇給率係数及び割引率係数を乗じたものを退職給付債務とする方法である。【資料1】及び【資料2】から、平均残存勤務期間15年の昇給率係数は1.67535、割引率係数は0.51672と求められるので期末退職給付債務及び当期退職給付費用は、次のように計算される。

- ① X1/4/1現在の退職給付債務 =400,000×1.67535×0.51672=346,275
- ② X2/3/31現在の退職給付債務 =500,000×1.67535×0.51672=432,843
- ③ X2/3/31現在の退職給付に係る負債 =432,843
- ④ 当期退職給付費用 =432,843-(346,275-5,000)=91,568
- 2. 企業年金制度のみの場合で第50項(2)③の簡便法を適用
- (1) 前提条件

- 2
- (2) 計算結果
- 第50項(2)③の簡便法は、年金財政計算上の数理債務を退職給付債務とする方法で、退職給付に係る負債は年金財政計算上の数理債務から年金資産の時価を控除した額である。この方法による期末退職給付に係る負債及び当期退職給付費用は、次のように計算される。

- ① X2/3/31現在の退職給付に係る負債 =60,000-42,900=17,100
- ② 当期退職給付費用 =17,100-(15,000-7,000)=9,100
- 又は=(60,000-50,000)-900=9,100
- ③ 年金資産の運用益 =42,900-35,000-7,000=900
- 3. 退職一時金制度の一部を企業年金制度に移行している場合で第51項(2)による簡便法を適用
- (1) 前提条件

- (注)自己都合要支給額には年金制度に移行している部分に対応する要支給額を含める。
- (2) 計算結果
- 退職一時金制度の一部を企業年金制度等に移行している企業においては、各制度ごとに計算する方法、移行前の退職一時金制度全体として計算する方法があるが、本設例では後者、つまり在籍する従業員については企業年金制度に移行した部分も含め移行前の退職一時金制度全体としての自己都合要支給額を基に計算した額を退職給付債務とし、年金受給者及び待期者については年金財政計算上の数理債務の額をもって退職給付債務とする方法によっている。【資料1】及び【資料2】から、平均残存勤務期間20年の昇給率係数は1.48595、割引率係数は0.41464と求められる。
- この場合の期末退職給付債務、退職給付に係る債務及び退職給付費用は、次のように計算される。

- ① X1/4/1現在の退職給付債務の額 =300,000×1.48595×0.41464+10,000=194,840
- ② X2/3/31 現在の退職給付債務の額 =350,000×1.48595×0.41464+7,000=222,647
- ③ X2/3/31 現在の退職給付に係る負債 =222,647-55,000=167,647
- ④ 当期退職給付費用 =167,647-(144,840-20,000-10,000)=52,807
- (参考)

- [設例10] 厚生年金基金の代行返上
- 第46項の代行返上の会計処理を行う場合の基本的な考え方は、次のとおりである。
- 1. 将来分返上認可の日において、代行部分に係る退職給付債務が減少するため、差額を過去勤務費用として認識する(第46項(1)参照)。
- 2. 過去分返上認可の日において、代行部分に係る退職給付債務と返還相当額(最低責任準備金)との差額を損益として認識する(第46項(2)参照)。
- 3. 返還の日において、過去分返上認可の日における退職給付債務と実際返還額との差額が生じた場合には、重要性が乏しい場合を除き、当該差額を損益に計上する(第46項(3)参照)。
- 具体的な会計処理は、次のとおりである。なお、税効果会計は、本設例では考慮していない。
- Ⅰ 将来分返上認可を受けた年度
- 1. 前提条件
- X2/7/31 厚生年金基金の代議員会において、将来分支給義務の免除の認可の申請に関して議決が行われた。
- X2/11/1 将来分返上認可の日における代行部分に係る退職給付債務は次のとおりであった。

- X3/3/31 期末における退職給付債務等は次のとおりであった。


- <表10-1>


- 2. X2/4/1からX3/3/31の会計期間における退職給付に係る負債の変動表
- X2/4/1からX3/3/31までの会計期間における退職給付に係る負債の変動表は、表10-1のとおりである。
- 3. 会計処理
- (1) X2/4/1からX2/10/31の期間における会計処理

- (2) 将来分返上認可の日(X2/11/1)における会計処理(代行返上に係る過去勤務費用の計上)

- (3) X2/11/1からX3/3/31の期間における会計処理

- (4) 期末における数理計算上の差異の処理

- Ⅱ 過去分返上認可を受けた年度
- 1. 前提条件
- X4/3/1 過去分返上認可の日における返還相当額(最低責任準備金)は980であった。
なお、過去分返上認可の日の直前の退職給付債務等は次のとおりであった。 
- X4/3/31 期末における退職給付債務等は次のとおりであった。


- 2. X3/4/1からX4/3/31の会計期間における退職給付に係る負債の変動表
- X3/4/1からX4/3/31までの会計期間における退職給付に係る負債の変動表は、表10-2のとおりである。
- 3. 会計処理
- (1) X3/4/1からX4/2/28の期間における会計処理

- (2) 過去分返上認可の日(X4/3/1)における会計処理(代行返上損益(純額)の計上)

- (3) X4/3/1からX4/3/31の期間における会計処理

- (4) 期末における数理計算上の差異の処理

- <表10-2>


- Ⅲ 返上の日の属する年度
- 1. 前提条件
- X4/5/1 返還の日に、返還額(最低責任準備金)について現金で納付した。
なお、過去分返上認可日における返還相当額(最低責任準備金)980に対し、実際返還額は985となり、不足額5が生じた。 
- 2. X4/4/1からX4/5/1の期間における退職給付に係る負債の変動表
- X4/4/1からX4/5/1までの期間における退職給付に係る負債の変動表は、表10-3のとおりである。
- <表10-3>

- 3. 会計処理
- (1) X4/4/1からX4/4/30の期間における会計処理

- (2) 返還の日(X4/5/1)における会計処理(代行返上損益(純額)の計上)

参考(開示例)
- 次の開示例は、本適用指針で示された内容について理解を深めるために参考として示されたものであり、記載内容は各企業の実情等に応じて異なることに留意する必要がある。
[開示例1] 確定給付制度及び確定拠出制度に係る注記
(退職給付に係る重要な会計方針)(第52項参照)
- (ア)退職給付に係る負債又は資産並びに退職給付費用の処理方法
- ① 退職給付見込額の期間帰属方法
退職給付債務の算定にあたり、退職給付見込額を当期までの期間に帰属させる方法については、期間定額基準によっている。 - ② 数理計算上の差異及び過去勤務費用の費用処理方法
過去勤務費用は、その発生時の従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(10~15年)による定額法により費用処理している。
数理計算上の差異は、各連結会計年度の発生時における従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(10~15年)による定額法(一部の連結子会社は定率法)により按分した額をそれぞれ発生の翌連結会計年度から費用処理することとしている。
(退職給付に係る注記)
- 1. 採用している退職給付制度の概要(会計基準第30項(2)及び第32-2項)(第53項参照)
- 当社及び連結子会社は、従業員の退職給付に充てるため、積立型、非積立型の確定給付制度及び確定拠出制度を採用している。
- 確定給付企業年金制度(すべて積立型制度である。)では、給与と勤務期間に基づいた一時金又は年金を支給する。ただし、一部の連結子会社は、確定給付企業年金制度にキャッシュ・バランス・プランを導入している。当該制度では、加入者ごとに積立額及び年金額の原資に相当する仮想個人口座を設ける。仮想個人口座には、主として市場金利の動向に基づく利息クレジットと、給与水準等に基づく拠出クレジットを累積する。一部の確定給付企業年金制度には、退職給付信託が設定されている。
- 退職一時金制度(非積立型制度であるが、退職給付信託を設定した結果、積立型制度となっているものがある。)では、退職給付として、給与と勤務期間に基づいた一時金を支給する。
- 2. 確定給付制度
- (1) 退職給付債務の期首残高と期末残高の調整表(第54項参照)

- (2) 年金資産の期首残高と期末残高の調整表(第55項参照)

- (3) 退職給付債務及び年金資産と貸借対照表に計上された退職給付に係る負債及び資産の調整表(第56項参照)

- (4) 退職給付に関連する損益(第57項参照)

- (5) その他の包括利益等に計上された項目の内訳(第58項参照)
その他の包括利益に計上した項目(法人税等及び税効果控除前)の内訳は次のとおりである。 
- その他の包括利益累計額に計上した項目(法人税等及び税効果控除前)の内訳は次のとおりである。

- (6) 年金資産の主な内訳(第59項(1)参照)
年金資産合計に対する主な分類ごとの比率は、次のとおりである。 
- (7) 長期期待運用収益率の設定方法に関する記載(第59項(2)参照)
年金資産の長期期待運用収益率を決定するため、現在及び予想される年金資産の配分と、年金資産を構成する多様な資産からの現在及び将来期待される長期の収益率を考慮している。 - (8) 数理計算上の計算基礎に関する事項(第60項参照)
期末における主要な数理計算上の計算基礎(加重平均で表わしている。) 
- 3. 確定拠出制度(会計基準第32-2項)
- 当社及び連結子会社の確定拠出制度への要拠出額は、13,000であった。
[開示例2] 小規模企業等における簡便法を採用している場合の注記
(退職給付に係る重要な会計方針)
- (ア)退職給付に係る負債又は資産並びに退職給付費用の処理方法
- 小規模企業等における簡便法の採用(第62項(1)参照)
- 連結財務諸表提出会社及び連結子会社は、退職給付に係る負債及び退職給付費用の計算に、退職給付に係る期末自己都合要支給額を退職給付債務とする方法を用いた簡便法を適用している。
(退職給付に係る注記)
- 1. 採用している退職給付制度の概要(第62項(2)参照)
- ([開示例1]の見出し1.と同様の内容を記載する。)
- 連結財務諸表提出会社及び連結子会社が有する確定給付企業年金制度及び退職一時金制度は、簡便法により退職給付に係る負債及び退職給付費用を計算している。
- 2. 確定給付制度
- (1) 簡便法を適用した制度の、退職給付に係る負債の期首残高と期末残高の調整表(第62項(3)参照)

- (2) 退職給付債務及び年金資産と貸借対照表に計上された退職給付に係る資産及び負債の調整表(第62項(4)参照)

- (3) 退職給付に関連する損益(第62項(5)参照)

[開示例3] 複数事業主制度に係る注記
(退職給付に係る注記)
- 1. 採用している退職給付制度の概要(会計基準第33項(2))
([開示例1]の見出し1.と同様の内容を記載する。)
一部の連結子会社は、複数事業主制度の厚生年金基金制度に加入しており、このうち、自社の拠出に対応する年金資産の額を合理的に計算することができない制度については、確定拠出制度と同様に会計処理している。
(この設例においては、以下で見出し3.の項目だけを示しているが、見出し2.については[開示例1]と同様である。) - 2. 確定拠出制度(会計基準第32-2項及び第33項(2))
- 確定拠出制度(確定拠出制度と同様に会計処理する、複数事業主制度の厚生年金基金制度を含む。)への要拠出額は、X,XXX百万円であった。
- 要拠出額を退職給付費用として処理している複数事業主制度に関する事項
- (1) 制度全体の積立状況に関する事項(XX年X月XX日現在)
- 年金資産の額 X,XXX百万円
- 年金財政計算上の数理債務の額と
- 最低責任準備金の額との合計額 X,XXX百万円
- 差引額 △XXX百万円
- (2) 制度全体に占める当社グループの掛金拠出割合[又は加入人数割合あるいは給与総額割合](自XX年X月XX日 至XX年X月XX日[又はXX年X月XX日現在])
- X %
- (3) 補足説明
- 上記(1)の差引額の主な要因は、年金財政計算上の過去勤務債務残高XXX百万円[及び繰越不足金(又は別途積立金)XXX百万円]である。本制度における過去勤務債務の償却方法は期間X年の元利均等償却であり、当社グループは、当期の連結財務諸表上、当該償却に充てられる特別掛金XX百万円を費用処理している。[また、年金財政計算上の繰越不足金XXX百万円については、財政再計算に基づき必要に応じて特別掛金率を引き上げる等の方法により処理されることとなる。]
- なお、[特別掛金の額はあらかじめ定められた掛金率を掛金拠出時の標準給与の額に乗じることで算定されるため、]上記(2)の割合は当社グループの実際の負担割合とは一致しない。
- (注1) 上記(1)(2)については、時点が貸借対照表日と一致しないことがあるため、これを明示する必要がある(第125項参照)。
- (注2) 上記(3)については、将来の負担額の見込みに関する補足説明(第124項参照)の例として、差引額として算定された額に係る今後の取扱いや、指標としての掛金拠出割合等と将来の実際の負担割合との関係を記載している。また、財務諸表上の影響を示すため、損益計算書(又は損益及び包括利益計算書)上の費用処理額も示している。
- (注3) 掛金拠出割合等が参加企業ごとの未償却過去勤務債務等の比率と明らかに乖離している場合(企業ごとに負担割合等が異なる部分がある場合)には、特別掛金に係る拠出割合を示すなど、適宜適切な補足説明を加える必要がある。
- (注4) 複数の企業年金制度について注記する場合には、それぞれの重要性の程度に応じた記載をすることが考えられる(第122項参照)。このため、例えば、定量的な情報については次のような形式によることが考えられる。

- (注5) 「年金財政計算上の数理債務の額と最低責任準備金の額との合計額」について、厚生年金基金の場合は両者の合計額となり、確定給付企業年金の場合は代行部分の給付がないことから、年金財政計算上の数理債務の額のみとなる。また、年金財政計算上の数理債務の額は、厚生年金基金及び確定給付企業年金の貸借対照表には表示されず、欄外に注記されているため、注記の額を計算するにあたっては、厚生年金基金及び確定給付企業年金の貸借対照表の欄外に注記されている「数理債務」の額と貸借対照表に表示されている「最低責任準備金」(負債)の額に基づき注記の額を計算することに留意する必要がある。
- なお、注記対象が確定給付企業年金のみの場合には、注記において使用する名称を「年金財政計算上の数理債務の額」とすることが考えられる(第65項及び第126-2項参照)。
- 【年金財政計算における貸借対照表のイメージ図】
- 本開示例が想定している年金財政計算における貸借対照表の構成内容は、次のとおりである。
- ① 厚生年金基金(基本金が不足金の場合)

- (注記)数理債務 XXX 未償却過去勤務債務残高 XXX(※)
- ② 確定給付企業年金(基本金が不足金の場合)

- (注記)数理債務 XXX 未償却過去勤務債務残高 XXX(※)
- (※)貸借対照表の欄外に、数理債務と未償却過去勤務債務残高が注記されていない場合には、基金又は制度の受託者がそれらの数値を把握しているものと考えられる。
資 料
【資料1】昇給率の係数
【資料2】割引率の係数
注
- 1 会計基準適用前の算定方法によれば、期末の利回りは2.4%であったが、重要性基準の適用により、前年度末の2.0%を使用することになったものとする。会計基準適用後の算定方法では、期末の利回りは2.6%であり、重要な変動があるものと判断して割引率を見直す必要があったものとする。
- 2 年金財政計算上の数理債務は、厚生年金基金及び確定給付企業年金の貸借対照表の欄外に注記されている数値である。本設例において、以下同じ。



