©公益財団法人 財務会計基準機構最終更新日:2026/03/04
移管指針第7号持分法会計に関する実務指針
Ⅱ 結論の背景
非連結子会社と関連会社の会計処理の異同
非連結子会社及び関連会社の資産及び負債の評価方法と計算結果
- 36. 削 除
- 36-2. 持分法適用上は、持分法適用会社の評価差額のうち投資会社持分相当額が投資有価証券の投資額を構成するだけなので、貸借対照表項目を全て連結する場合と異なり関連会社に持分法を適用する場合(部分時価評価法の原則法又は簡便法)と非連結子会社(全面時価評価法)に持分法を適用する場合の計算結果は次のようになる。
- ① 持分法適用時点までに株式取得が1回しかない場合、部分時価評価法と全面時価評価法は同一の計算結果となる。
- ② 持分法適用開始日までに株式取得が2回以上あり、その間に資産及び負債の時価が変動した場合、部分時価評価法の簡便法(過去のデータを入手できず一定時点を基準日とする場合は除く。)と全面時価評価法とは同一の計算結果となるが、これらと部分時価評価法の原則法の計算結果とは異なる。
- ③ 追加取得については、時価の変動がある場合、追加取得日の時価で評価する部分時価評価法の原則法と簡便法とは同一の計算結果となるが、これらと支配獲得日の時価で資産を評価する全面時価評価法の計算結果とは異なる。
2013年改正企業結合会計基準による非連結子会社又は関連会社の会計処理の異同
- 36-3. 2013年改正企業結合会計基準等の公表により、子会社株式の追加取得又は支配の喪失を伴わない一部売却等の会計処理や取得関連費用の会計処理が改正された。ただし、持分法会計基準においてはこれらの会計基準の改正に伴った改正は行われていないため、持分法適用会社の会計処理に関しては、特段の取扱いの変更は行われていない。
- 一方、2013年改正以前から、本報告では、子会社が投資会社により支配されているという事実を踏まえ、一部の会計処理については、非連結子会社と関連会社とで異なる取扱いを定めていた。2013年改正企業結合会計基準により、持分法と連結の会計処理の相違点(第2-2項参照)が増えたことなどに伴い、非連結子会社と関連会社の会計処理の取扱いに関しても整理が必要と考えられたことから、本報告では当該取扱いについて記載を追加している。具体的には、持分法適用非連結子会社において、当該非連結子会社は、連結の範囲から除いても連結財務諸表に与える影響が乏しいために持分法を適用しているものであり、この点を踏まえると、連結子会社の会計処理に準じた取扱い又は関連会社と同様の取扱いのいずれもが認められる(第3-2項参照)。
- なお、前述のとおり、持分法会計基準の改正は行われておらず、持分法適用会社の会計処理に関しては特段の取扱いの変更は行われていないことから、本報告においても、持分法適用非連結子会社について個別に定めていた会計処理(第3項、第6項、第11項及び第20項参照)に関して、特段の変更を行っていない。また、持分法適用非連結子会社について連結子会社の会計処理に準じた取扱いを行う場合には、第2-2項における持分法と連結の処理の相違を考慮することとなる。
付随費用の会計処理
- 36-4. 持分法適用会社の株式を取得(追加取得を含む。)した場合、投資会社の個別財務諸表において、付随費用は株式の取得原価に含まれる(移管指針第9号「金融商品会計に関する実務指針」第56項及び第261項)。このため、連結財務諸表上、持分法の適用に際しても、持分法適用非連結子会社について連結子会社の会計処理に準じた取扱いによる場合を除き、当該付随費用を含んだ投資原価の額とこれに対応する被投資会社の資本をもって、のれん又は負ののれんの額が算定されることとなる。
未実現損益の消去
- 37. 売手側である投資会社に生じた未実現損益は、買手側が関連会社の場合、全額消去する方法と当該関連会社に対する投資会社の持分相当額のみ消去する方法が考えられる。買手側が子会社の場合と異なり、関連会社に対しては財務及び営業の方針決定に対して重要な影響を与えているものの、他の支配株主又は主要株主が存在するか、若しくは共同支配を行っているため、未実現損益のうち第三者の持分部分については実現したものと考えられることから、原則として当該未実現損益のうち当該関連会社に対する投資会社の持分相当額についてのみ消去することとした。ただし、他の株主に資金力又は資産がなく投資会社のみが借入金に対し債務保証を行っている場合のように契約上又は事実上、他の株主に実質的な支配力又は影響力がない等、未実現損益のうち他の株主の持分部分が持分法適用上、実質的に実現していないと判断される場合には全額消去することとした。
債務超過に陥った場合の会計処理
- 38. 持分法適用会社に設備資金又は運転資金等の貸付金等(営業債権であっても、支払期日延長を繰り返し実質的に運転資金等となっているものを含む。)がある場合には、当該貸付金等は実質的に投資と同様の性格を有するものと考えられ、とりわけ当該持分法適用会社が債務超過の場合には、企業が継続していくための唯一又は重要な資金源泉となっている場合が多いと考えられる。したがって、投資会社の持分に負担させた持分法適用会社の欠損については、連結貸借対照表上、「投資有価証券」をゼロとした後は、当該貸付金等を減額することとした。債務超過額が投資有価証券及び貸付金等の額を超える場合は、契約による債務保証又は実質的な債務保証を行っていることが多く、当該会社を連結したとすれば、銀行等からの借入金等の債務として表示されることになるから、借入金として表示する方法も考えられる。しかし、当該借入金は投資会社とその連結子会社の借入金ではないため、連結財務諸表上、「持分法適用に伴う負債」等、適切な科目をもって負債の部に計上することとした。
- なお、持分法適用会社の債務超過額は、連結上、当該持分法適用会社の各決算期の確定損失が累積されてきたものであるから、発生の可能性の高い将来の特定の費用又は損失を見積り計上するという引当金の性格になじまないため、「引当金」を用いた科目名は使用しないこととした。
留保利益に係る税効果
- 39. 株式の取得後に生じた留保利益については、持分法上の投資価額が、個別貸借対照表上の簿価と比べて留保利益の額だけ多くなるため一時差異が生じることがある。留保利益は、それが投資会社に配当されたときに追加の税金負担が生じる場合又は当該株式を売却し売却損益として実現した場合に投資会社で課税対象となるから税効果の対象となる。
- しかし、株式売却に係る留保利益の将来加算一時差異については、投資会社が、その投資の売却を自ら決めることができることを前提として予測可能な将来の期間に売却又は清算する意思がない限り課税が発生しないから、このような場合、投資会社において税効果を認識する必要はない。
- 投資を売却する意図がなく半永久的若しくは長期的に所有する意思がある場合、又は投資先が現在若しくは将来の基幹事業若しくは戦略事業に属するので売却することはないと考えられる場合は、予測可能な将来の期間に売却する意思がない場合に該当する。
- したがって、持分法適用会社の株式の所有について一定の方針を設定するとともに、個々の会社について予測可能な将来の期間に売却若しくは清算をしないという意思の検討、又は実際の株式売却の決定等に合わせて会計処理することになる。ただし、投資の売却に係る意思が恣意的であってはならない。
- 39-2. 税効果適用指針において、連結会社間における子会社株式等の売却に伴い生じた売却損益について、税務上の要件を満たし課税所得計算において当該売却損益を繰り延べる場合(法人税法第61条の11)の連結財務諸表における税効果の取扱いについて、当該子会社株式等を売却した企業の個別財務諸表において、当該売却損益に係る一時差異に対して繰延税金資産又は繰延税金負債が計上されているときは、連結決算手続上、当該一時差異に係る繰延税金資産又は繰延税金負債を取り崩すように見直しが行われた(税効果適用指針第39項)。
- これに伴い、子会社に対する投資に係る連結財務諸表固有の将来加算一時差異について、予測可能な将来の期間に子会社に対する投資の売却を行う意思があっても、当該子会社に対する投資の売却が、税務上の要件を満たし課税所得計算において売却損益を繰り延べる場合(法人税法第61条の11)には、繰延税金負債を計上しないこととされた(税効果適用指針第23項)。
- これにあわせ、持分法適用会社における留保利益についても、子会社に対する投資に係る連結財務諸表固有の将来加算一時差異と同様に、投資を売却する意思があるが、当該売却に伴い生じる売却損益について、税務上の要件を満たし課税所得計算において当該売却損益を繰り延べる場合(法人税法第61条の11)には税効果を認識しないこととした。
持分法適用会社の欠損金に係る税効果
- 39-3. 第39-2項と同様の考え方により、持分法適用会社の欠損金についても、子会社に対する投資に係る連結財務諸表固有の将来減算一時差異と同様に、投資の売却により一時差異を解消する可能性が高いが、当該売却に伴い生じる売却損益について、税務上の要件を満たし課税所得計算において当該売却損益を繰り延べる場合(法人税法第61条の11)には税効果を認識しないこととした。
Ⅲ 設例による解説
- 以下では、本報告による会計処理等について、理解を深めるために設例による解説を示すこととする。
- 設例は、本報告で示された全ての会計処理等を網羅しているわけではなく、前提条件に示された状況に適合するものである。したがって、前提条件が異なれば、それに適合する会計処理等も異なる場合があり、この場合には本報告で示されている会計処理等を参照することが必要となる。なお、設例で示された金額や比率などの数値は、特別な意味を有するものではなく、説明の便宜のために用いられているにすぎない。
設例
- [設例1] 関連会社 - 半永久的に投資を所有する場合の単純なケース
- <全般の前提条件>
- 1. 法定実効税率は、投資会社P社、関連会社A社ともに46%とする。
- 2. P社の法人税等の計算において、A社からの受取配当金は益金不算入となる。
- 3. P社は、A社に対する投資について、半永久的に所有する方針であるため、A社の留保利益及びのれんの償却額に係る税効果を認識しない。
- 4. 剰余金の配当を行った場合にも利益準備金の積立ては行わないものとする。
- 5. のれんは、5年で償却する。
- 第1期 設立出資
- <前提条件>
- (1) X0年4月1日、P社は、他の会社とともにA社(資本金500,000)を設立し、出資比率20%、100,000を出資した。
- (2) A社のX1年3月31日に終了する第1期の財務諸表は、次のとおりである。

- <計算過程と仕訳>
- 1. 当期中の取引の計算過程と仕訳
- (1) 出資設立のため、P社の投資額100,000とA社資本金の持分額100,000(500,000×20%)は同額である。

- (2) 当期純利益193,000の20%持分額は38,600である。

- 2. 連結修正仕訳(上記1の合計仕訳)

- <計算表1-1> A社に対する持分計算表(第1期)

- (注)持分法による投資利益:38,600(当期純利益)
- 第2期 持分買増し
- <前提条件>
- (1) X1年4月1日、P社はA社の株式を20%買増しし、40%の持分とした。追加投資額は196,200、買増し時の土地の時価は400,000(簿価200,000)である。発生したのれんは、5年間で償却する。
- (2) X1年5月31日にA社の株主総会が開催され、剰余金の配当(70,000)が承認され実行された。
- (3) A社のX2年3月31日に終了する第2期の財務諸表は、次のとおりである。

- <計算過程と仕訳>
- 1. 期首及び当期中の取引の計算過程と仕訳
- (1) 前期末利益剰余金の計上

- (2) 持分20%の追加取得に係るA社の資本勘定の持分額は、資本金100,000(500,000×20%)、利益剰余金24,600(本年5月31日の剰余金の配当は前期末の株主に対して行われるのでこれを控除後のものが計算の対象となる((193,000-70,000)×20%)。)、土地に係る評価差額(益)40,000((400,000-200,000)×20%)及びこれに対応する繰延税金負債18,400(40,000×46%)であり、その合計額は146,200となる。これに対し追加投資額は196,200であるから、その差額50,000がのれんとなる。これは5年で償却する。
上述のとおり投資額と資本持分額の調整計算を行うが、持分法適用による仕訳は生じない。 
- (3) 剰余金の配当による配当金の持分額14,000(70,000×20%)は、P社の受取配当金として計上されているので、投資会社と持分法適用会社との間の内部取引を消去するために投資有価証券勘定を減額する。

- (4) 当期純利益290,000の40%持分額(第1期20%取得及び第2期期首追加取得20%の合計40%)は116,000である。

- (5) のれんの償却額10,000(50,000/5年)を計上する。

- 2. 連結修正仕訳(上記1の合計仕訳)

- <計算表1-2> A社に対する持分計算表(第2期)

- (注)持分法による投資利益:116,000(当期純利益)-10,000(のれん償却)=106,000
- 剰余金の配当:14,000
- 利益剰余金残高:38,600(期首残高)-14,000(剰余金の配当)+106,000(当期持分法による投資利益)=130,600
- [設例2] 関連会社
-キャピタルゲインを目的として投資を所有している場合に、追加取得、売却及び第三者割当増資による持分比率の減少が生じたケース
- <全般の前提条件>
- 1. 法定実効税率は、投資会社P社、関連会社A社ともに46%とする。
- 2. 配当を行った場合にも利益準備金の積立ては行わないものとする。
- 3. P社は、A社に対する投資についてキャピタルゲインを目的としており、予測可能な将来の期間にその売却を行う意思があるため、A社の留保利益及びのれんの償却額に対し税効果を認識する。
- 第1期 設立出資
- <前提条件>
- (1) X0年4月1日、P社は、他の会社とともにA社(資本金500,000)を設立し、出資比率20%、100,000を出資した。
- (2) A社のX1年3月31日に終了する第1期の財務諸表は、次のとおりである。

- (3) P社から仕入れ、A社の期末の棚卸資産に含まれているものは100,000であり、P社の当該棚卸資産に係る売上総利益率は40%である。
- (4) X1年1月31日にA社の株主総会が開催され、剰余金の配当(70,000)が承認され実行された。
- <計算過程と仕訳>
- 1. 当期中の取引の計算過程と仕訳
- (1) 出資設立のため、P社の投資額100,000とA社資本金の持分額100,000(500,000×20%)は同額である。

- (2) 当期純利益193,000の20%持分額は38,600である。

- (3) 剰余金の配当による配当金の持分額14,000(70,000×20%)は、P社の受取配当金として計上されているので、投資会社と持分法適用会社との間の内部取引を消去するために投資有価証券勘定を減額する。

- (4) P社は、A社株式を、予測可能な将来の期間に売却する意思があるため、留保利益24,600(当期純利益38,600-配当金14,000)に対する税効果を認識し、繰延税金負債11,316(24,600×46%)を計上する。

- (5) A社の期末の棚卸資産100,000に含まれているP社の未実現利益は40,000(100,000×40%)で、そのP社持分額8,000(40,000×20%)を消去する。この繰延税金資産3,680(8,000×46%)を計上する。

- 2. 連結修正仕訳(上記1の合計仕訳)

- <計算表2-1> A社に対する持分計算表(第1期)

- (注)持分法による投資利益:24,600(当期純利益等合計)+14,000(剰余金の配当)=38,600
- 利益剰余金残高:38,600(当期持分法による投資利益)-14,000(剰余金の配当)-4,320(P社の未実現利益消去、税効果差引後)-11,316(P社における留保利益に係る税効果)=8,964
- 投資有価証券修正額:8,964(利益剰余金残高)+7,636(P社繰延税金負債)=16,600
- 第2期 追加取得(持分比率が20%から40%になった場合)
- <前提条件>
- (1) X1年4月1日、P社はA社の株式を20%買増しし、40%の持分とした。P社の追加投資額は196,200であり、買増し時のA社の土地の時価は400,000(簿価200,000)である。発生したのれんは、5年間で償却する。
- (2) A社のX2年3月31日に終了する第2期の財務諸表は、次のとおりである。

- (3) P社から仕入れ、A社の期末の棚卸資産に含まれているものは150,000であり、P社の当該棚卸資産に係る売上総利益率は40%である。
- (4) P社がA社から仕入れ、P社の期末の棚卸資産に含まれているものは100,000であり、A社の当該棚卸資産に係る売上総利益率は55%である。
- (5) X2年1月31日にA社の株主総会が開催され、剰余金の配当(140,000)が承認され実行された。
- <計算過程と仕訳>
- 1. 期首及び当期中の取引の計算過程と仕訳
- (1) 前期末利益剰余金の計上

- (2) 持分20%の追加取得に係るA社の資本勘定の持分額は、資本金100,000(500,000×20%)、利益剰余金24,600(123,000×20%)、土地に係る評価差額(益)40,000((400,000-200,000)×20%)及びこれに対応する繰延税金負債18,400(40,000×46%)であり、その合計額は146,200となる。これに対し追加投資額は196,200であるから、その差額50,000がのれんとなる。これは5年で償却する。
上述のとおり投資額と資本持分額の調整計算を行うが、持分法適用による仕訳は生じない。 
- (3) 当期純利益290,000の40%持分額(第1期20%取得及び第2期期首追加取得20%の合計40%)は116,000である。

- (4) 剰余金の配当による配当金の持分額56,000(140,000×40%)は、P社の受取配当金として計上されているので、投資会社と持分法適用会社との間の内部取引を消去するために投資有価証券勘定を減額する。

- (5) 当期発生した留保利益60,000(当期純利益持分額116,000-配当金持分額56,000)に係る繰延税金負債27,600(60,000×46%)を、P社で計上する。

- (6) 未実現利益の実現に伴い、前期末のA社の棚卸資産100,000に含まれるP社の未実現利益持分額8,000と対応する繰延税金資産3,680を戻し入れる。

- (7) A社の棚卸資産150,000に含まれているP社の未実現利益は60,000(150,000×40%)で、そのP社持分額24,000(60,000×40%)を消去し、これに対応する繰延税金資産11,040(24,000×46%)を計上する。
また、P社がA社から仕入れたP社の棚卸資産100,000に含まれる未実現利益は55,000(100,000×55%)で、そのP社持分額22,000(55,000×40%)を消去し、これに対応する繰延税金資産10,120(22,000×46%)を計上する。 
- なお、売手側であるA社で発生した未実現利益の消去は、P社との取引で発生したものであり、買手側であるP社の棚卸資産から控除するので他の一時差異とは性質が異なり、留保利益に係る税効果の計算対象としない。
- (8) のれん償却額10,000(50,000/5年)を計上するとともに、P社でこれに対応する繰延税金資産4,600(10,000×46%)を計上する。

- 2. 連結修正仕訳(上記1の合計仕訳)

- <計算表2-2> A社に対する持分計算表(第2期)

- (注)持分法による投資利益:48,120(当期純利益等)+56,000(剰余金の配当)-10,000(のれん償却)=94,120
- 利益剰余金残高:
- 8,964(期首残高)+94,120(当期持分法による投資利益)-56,000(剰余金の配当)-8,640(P社の未実現利益消去、税効果控除後4,320-12,960)-23,000(P社における留保利益及びのれん償却額に係る繰延税金-27,600+4,600)=15,444
- 投資有価証券修正額:15,444(利益剰余金残高)+22,000(棚卸資産)+23,276(P社繰延税金負債)=60,720
- 第3期 追加取得(持分比率が40%から50%になった場合)
- <前提条件>
- (1) X2年4月1日、P社はA社の株式を143,500で10%買増しし、50%の持分とした。買増し時の土地の時価は500,000(簿価200,000)である。発生したのれんは、5年間で償却する。
- (2) A社のX3年3月31日に終了する第3期の財務諸表は、次のとおりである。

- (3) P社から仕入れ、A社の期末の棚卸資産に含まれているものは100,000であり、P社の当該棚卸資産に係る売上総利益率は40%である。
- (4) X3年1月31日にA社の株主総会が開催され、剰余金の配当(265,000)が承認され実行された。
- <計算過程と仕訳>
- 1. 期首及び当期中の取引の計算過程と仕訳
- (1) 前期末利益剰余金の計上

- (2) 持分10%の追加取得に係るA社の資本勘定の持分額は、資本金50,000(500,000×10%)、利益剰余金27,300(273,000×10%)、土地に係る評価差額(益)30,000((500,000-200,000)×10%)及びこれに対応する繰延税金負債13,800(30,000×46%)であり、その合計額は93,500となる。これに対し追加投資額は143,500であるから、その差額50,000がのれんとなる。これは5年で償却する。
上述のとおり投資額と資本持分額の調整計算を行うが、持分法適用による仕訳は生じない。 
- (3) 当期純利益387,000の50%持分額(第1期20%取得、第2期期首追加取得20%及び第3期期首追加取得10%の合計50%)は193,500である。

- (4) 当期純利益に係る剰余金の配当による配当金の持分額132,500(265,000×50%)は、P社の受取配当金として計上されているので、投資会社と持分法適用会社との間の内部取引を消去するために投資有価証券勘定を減額する。

- (5) 当期発生したA社の留保利益61,000(当期純利益持分額193,500-配当金132,500)に係る繰延税金負債28,060(61,000×46%)を、P社で計上する。

- (6) 前期のA社の棚卸資産に含まれているP社の未実現利益持分額24,000及びP社の棚卸資産に含まれている未実現利益持分額22,000は、各々売上により実現しているので戻し入れ、対応する繰延税金資産21,160を戻し入れる。

- (7) A社の棚卸資産100,000に含まれているP社の未実現利益は40,000(100,000×40%)で、そのP社持分額20,000(40,000×50%)を消去する。この繰延税金資産9,200(20,000×46%)を計上する。

- (8) のれん償却額20,000(50,000/5年+50,000/5年)を計上するとともに、P社において、これに対応する繰延税金資産9,200(20,000×46%)を計上する(のれんの推移については、「のれんの増減及び償却の明細表」参照)。

- 2. 連結修正仕訳(上記1の合計仕訳)

- <計算表2-3> A社に対する持分計算表(第3期)

- (注)持分法による投資利益:72,880(当期純利益等合計)+132,500(剰余金の配当)-20,000(のれん償却)=185,380
- 利益剰余金残高:
- 15,444(期首残高)+185,380(当期持分法による投資利益)-132,500(剰余金の配当)+2,160(P社の未実現利益の実現・消去の純額、税効果控除後12,960-10,800)-18,860(P社における留保利益及びのれん償却額に係る繰延税金-28,060+9,200)=51,624
- 投資有価証券修正額:51,624(利益剰余金残高)+43,976(P社繰延税金負債)=95,600
- のれんの増減及び償却の明細表

- 第4期 一部売却(持分比率が50%から30%になった場合)
- <前提条件>
- (1) X3年4月1日、P社はA社に対する持分20%の株式を他の株主に300,000で売却した。
- (2) A社のX4年3月31日に終了する第4期の財務諸表は、次のとおりである。

- (3) 当期末、A社は簿価100,000の土地を200,000で売却し、特別利益に計上している。
- (4) X4年1月31日にA社の株主総会が開催され、剰余金の配当(435,000)が承認され実行された。
- <計算過程と仕訳>
- 1. 期首及び当期中の取引の計算過程と仕訳
- (1) 前期末利益剰余金の計上

- (2) 売却した持分20%に対応するA社の資本勘定の持分額は、資本金100,000(500,000×20%)、取得時利益剰余金20,760(51,900×20%/50%)、取得後利益剰余金58,240(145,600×20%/50%)、土地に係る評価差額(益)28,000(70,000×20%/50%)及びこれに対応する繰延税金負債の戻入れ△12,880(28,000×46%)であり、その合計額は194,120となる。これに、のれんの未償却残高70,000の20%/50%の28,000を加えると連結上の投資価額の売却持分額は222,120となる。これに対し個別財務諸表上の投資簿価のうち売却部分は175,880(439,700×20%/50%)であるから、その差額46,240(これは、取得後の投資の変動額である取得後利益剰余金の売却対応部分58,240からのれんの償却累計額の売却対応部分12,000(30,000×20%/50%)を差し引いたものと同一結果となる。)が投資有価証券売却益の修正額(減額)となる。
一方、投資会社であるP社においては、棚卸資産の未実現利益の持分売却による実現分8,000(20,000×20%/50%)並びに、これに対応する繰延税金資産3,680の戻入れ及び投資有価証券売却益の修正額に係る繰延税金負債21,270(46,240×46%)の戻入れを行う(計算表2-4参照)。 
- (3) 当期純利益435,000の30%持分額(第3期末の50%から第4期期首に売却した20%を差し引いたもの)は130,500である。

- (4) 剰余金の配当による配当金の持分額130,500(435,000×30%)は、P社の受取配当金として計上されているので、投資会社と持分法適用会社との間の内部取引を消去するために投資有価証券勘定を減額する。

- (5) A社が売却した土地について、持分法適用上追加取得時に42,000の評価差額(益)を計上しているので、売却した部分に対応する21,000(42,000×売却土地簿価100,000/土地簿価総額200,000)とこれに対応する繰延税金負債9,660(21,000×46%)を戻し入れ、A社の持分法による投資損益を修正する。

- (6) 上記(5)の土地売却に伴う税効果後の評価差額(益)の減少11,340(21,000-9,660)は、持分法上の投資価額とP社の個別貸借対照表上の簿価との間の一時差異なので、繰延税金資産5,216(11,340×46%)をP社で計上する。

- 土地の売却に伴い評価差額(益)は実現し当期純利益に含まれるので、評価差額を(対応する繰延税金負債とともに)戻し入れ、投資有価証券勘定が同額減少する。その結果、評価差額に関し持分法上の投資価額とP社の個別財務諸表上の簿価に一時差異が発生するためP社において税効果を認識する。
- (7) 前期のA社の棚卸資産に含まれているP社の未実現利益持分額12,000(前期末20,000から持分売却により実現した8,000を差し引いたもの)と対応する繰延税金資産5,520を戻し入れる。

- (8) のれんの償却額12,000((取得価額50,000-売却持分対応原価20,000)/5年+(取得価額50,000-売却持分対応原価20,000)/5年)を計上するとともに、P社において、これに対応する繰延税金資産5,520(12,000×46%)を計上する(のれんの推移については、計算表2-3「のれんの増減及び償却の明細表」参照)。

- 2. 連結修正仕訳(上記1の合計仕訳)

- <計算表2-4> A社に対する持分計算表(第4期)

- (注)20%持分売却に伴う投資有価証券売却益の修正:
- 175,880(個別財務諸表上の簿価売却持分額)-222,120(連結上の投資原価の売却持分額)=-46,240
- 連結上の投資原価の売却持分額:194,120(P社持分合計)+28,000(のれん未償却残高)=222,120
- 持分法による投資利益:
- 0(当期純利益等合計)+130,500(剰余金の配当)-12,000(のれん償却)-11,340(実現した土地評価差額、税効果控除後)=107,160
- 利益剰余金残高:
- 51,624(期首残高)-20,650(投資有価証券売却益の修正)+107,160(当期持分法による投資利益)-130,500(剰余金の配当)+6,480(P社の未実現利益の実現、税効果後)+5,216(土地売却に伴う評価差額の減少に係る税効果)+5,520(P社におけるのれん償却額に係る税効果)=24,850
- 投資有価証券修正額:24,850(利益剰余金残高)+21,170(P社繰延税金負債)=46,020
- 第5期 第三者割当増資による持分比率の減少
- <前提条件>
- (1) X4年6月1日、A社は、T社に現在の資本1に対し0.5の株式を500,000で割り当てた。このうち250,000を資本金に組み入れ、250,000を資本準備金に組み入れた。この結果、P社の持分は20%となった。なお、同日までの損益はゼロであった。
- (2) A社のX5年3月31日に終了する第5期の財務諸表は、次のとおりである。

- <計算過程と仕訳>
- 1. 期首及び当期中の取引の計算過程と仕訳
- (1) 前期末利益剰余金の計上

- (2) A社はT社に第三者割当てを行い500,000の払込みを受けた結果、P社のA社に対する持分比率は10%減少し20%となった。持分比率の減少に伴うA社の資本勘定の持分額のうち、資本金については変化しない(500,000×30%=150,000=750,000×20%)が、組み入れられた資本準備金については50,000(250,000×20%)増加し、取得時利益剰余金10,380(31,140×10%/30%)の減少、取得後利益剰余金29,120(87,360×10%/30%)の減少、さらに土地に係る評価差額(益)7,000(70,000×10%)の減少とこれに対応する繰延税金負債の戻入れ3,220(7,000×46%)が生じ、その純額は6,720の持分の増加となる。これから、のれんの未償却残高30,000の10%/30%の10,000を差し引いた投資持分の純減少額は3,280となり、これは持分比率減少に伴う持分変動差損(特別損失として計上する。)である。
一方、P社においては、持分変動に伴い生じた投資有価証券修正額の減少に係る繰延税金負債1,509(3,280×46%)の戻入れを行う(計算表2-5参照)。 
- 資本連結実務指針によれば、第三者に対する時価発行増資による持分変動損益については、従来の持分比率で引き受け、その後、一部売却を行ったものとみなして計算するが、計算結果は上記のものと同一となる。
なお、利害関係者の判断を著しく誤らせるおそれがあると認められる場合には、持分変動差損益を関連する法人税等調整額とともに、利益剰余金に直接加減することができる。この設例の場合、利益剰余金減少高1,771(3,280-1,509)となる。
- (3) 当期純利益387,000の20%持分額は77,400であり、剰余金の配当が実行されていないので、当期純利益が留保利益となり、P社においてその46%の35,604を繰延税金負債として計上する。

- (4) のれんの償却額8,000((取得原価50,000-売却持分累計額対応原価30,000)/5年+(取得原価50,000-売却持分累計額対応原価30,000)/5年)を計上するとともに、これに対応する繰延税金資産3,680(8,000×46%)をP社において計上する。

- 2. 連結修正仕訳(上記1の合計仕訳)

- <計算表2-5> A社に対する持分計算表(第5期)

- (注)資本金みなし取得:150,000(750,000×20%(増資後持分額))-150,000(500,000×30%(増資前持分額))=0
- 資本準備金みなし取得:250,000(払込額)×20%=50,000
- 10%持分みなし売却に伴う投資有価証券売却損:-3,280
- みなし売却に伴うP社の純繰延税金負債の戻入れ:3,280×46%=1,509
- 持分法による投資利益:77,400(当期純利益等)-8,000(のれん償却)=69,400
- 利益剰余金残高:
- 24,850(期首残高)-3,280(みなし投資有価証券売却損)+1,509(みなし売却に伴うP社の繰延税金負債と繰延税金資産の戻入れ)+69,400(当期持分法による投資利益)-31,924(P社留保利益に係る繰延税金負債等)=60,555
- 投資有価証券修正額:60,555(利益剰余金残高)+51,585(P社繰延税金負債)=112,140
- 第6期 一部売却(持分比率が20%から10%になった場合)
- <前提条件>
- X5年4月1日、P社はA社に対する持分10%の株式を200,000で第三者に売却した。P社のA社株式に対する持分は10%となった。この結果、A社は、持分法適用除外となった。
- <計算過程と仕訳>
- 1. 期首及び当期中の取引の計算過程と仕訳
- (1) 前期末利益剰余金の計上

- (2) 売却した持分10%に対応するA社の資本勘定のP社持分額は、資本金75,000(750,000×10%)、資本準備金25,000(250,000×10%)、取得時利益剰余金10,380(20,760×10%/20%)、取得後利益剰余金67,820(135,640×10%/20%)、土地に係る評価差額(益)7,000(70,000×10%)及びこれに対応する繰延税金負債の戻入れ3,220(7,000×46%)であり、その合計額は181,980となる。これにのれんの未償却残高6,000(12,000×10%/20%)を加えた187,980が連結上の売却原価となる。これに対し売却した持分の投資簿価は131,910(263,820×10%/20%)であるから、その差額56,070が投資有価証券売却益の修正額(減額)となる。
一方、P社においては、投資有価証券売却益の修正額に係る繰延税金負債25,792(56,070×46%)の戻入れを行う。 
- (3) 持分法適用除外となったので、投資簿価まで連結上の利益剰余金を戻し入れる。10%持分売却後の連結持分残高の資本持分は、資本金75,000、資本準備金25,000、取得時利益剰余金10,380、取得後利益剰余金67,820、土地に係る評価差額(益)7,000(70,000×10%)及びこれに対応する繰延税金負債3,220(7,000×46%)であり、その合計額は181,980となる。これに、のれんの未償却残高6,000を加えたものは187,980である。これは投資簿価131,910を56,070上回るから利益剰余金の減少とする。一方、P社において、持分法による投資有価証券修正累計額に係る繰延税金負債25,793が残っているからこれを全額戻し入れ、上記利益剰余金の減少と相殺する。

- 2. 連結修正仕訳(上記1の合計仕訳)

- <計算表2-6> A社に対する持分計算表(第6期)

- (注)10%持分売却に伴う投資有価証券売却益の修正:-187,980-(-131,910)=-56,070
- 10%持分売却に伴うP社の純繰延税金負債の戻入れ:25,792
- 持分法適用除外による利益剰余金の減少:
- -56,070(投資有価証券の持分法上の投資価額から投資原価への修正)+25,793(関連するP社の繰延税金負債の戻入れ)=-30,277
- 「持分法適用除外による取崩し」の「投資額」欄の-131,910は、持分法適用除外による取崩額131,910が原価法による投資有価証券に振り替えられたことを意味している。
- [設例3] 関連会社 - 債務超過の会計処理
- <全般の前提条件>
- 1. 法定実効税率は、投資会社P社、関連会社A社ともに46%とする。
- 2. P社及びQ社は、A社の発行済株式を50%ずつ所有している。
- 3. P社は、A社に対する投資について長期的に保有することを目的としているため、前期(X3年3月期)までA社の留保利益及びのれんの償却額に対し税効果を認識していない。
- 4. 欠損金の繰戻しに係る税務上の取扱いは、適用が停止されている。
- 5. P社の個別財務諸表におけるA社に対する投融資の評価に関する仕訳及び当該仕訳を連結上で消去する仕訳は、適切に行われているものとする。
- X4年3月期 債務超過の発生
- <前提条件>
- (1) A社のX3年3月31日に終了する貸借対照表等は、次のとおりである。

- (2) A社のX4年3月31日に終了する財務諸表は、次のとおりである。


- (3) A社の税務上の繰越欠損金については、タックスプランニングにより繰越期間内に土地に係る評価差額(益)の実現と相殺する部分を除き、将来の実現可能性が不明である。
- (4) 株主は出資持分に応じてA社に対し総額400,000の貸付けを行っている。また、銀行借入金700,000に対しても出資持分に応じて銀行に保証している。
- <計算過程と仕訳>
- 1. 期首及び当期中の取引の計算過程と仕訳
- (1) 期首利益剰余金の計上
- 前期末の取得後利益剰余金(P社持分額)278,100

- (2) 当期純損失1,402,000の50%持分額は701,000である。税務上の繰越欠損金については、下記(3)のタックスプランニングに係る部分を除きA社において実現可能性が分からないので税効果を認識しない。

- (3) 税務上の繰越欠損金については、タックスプランニングにより、少なくとも土地に係る評価差額(益)の実現額と相殺されるため、当該実現額に対応する繰越欠損金について繰延税金資産32,200(70,000×46%)を認識する。

- (4) 上記仕訳の投資有価証券の合計額は貸方390,700であり、投資額の339,700を超えている。P社は他の株主とともにA社に対し持分割合の貸付けを行っているので、当該超過額51,000は貸付金によって補われているものと考えられるため、貸付金と相殺する。

- 2. 連結修正仕訳(上記1の合計仕訳)

- <計算表3-1> A社に対する持分計算表(X4年3月期)

- (注)投資有価証券期首修正額:278,100(利益剰余金)
- 持分法による投資損失:-701,000(当期純損失)+32,200(繰延税金)=-668,800
- 利益剰余金残高:278,100(期首残高)-668,800(当期持分法による投資損失)=-390,700
- X5年3月期 債務超過
- <前提条件>
- (1) A社のX5年3月31日に終了する財務諸表は、次のとおりである。

- (2) 株主は出資持分に応じてA社に対し総額400,000の貸付けを行っている。また、銀行借入金に対しても出資持分に応じて銀行に保証している。
- <計算過程と仕訳>
- 1. 期首及び当期中の取引の計算過程と仕訳
- (1) 前期末連結欠損金の計上については、当期末において投資額を超える額を他の科目に振り替えるため、前期末における貸付金へ振り替える前の数値を使用する。

- (2) 当期純損失502,000の50%持分額は251,000である。

- (3) 上記仕訳後の投資有価証券修正額(利益剰余金期末残高)は貸方641,700であり、投資額の339,700を超えている。P社は他の株主とともにA社に対し持分割合の貸付けを行っているので、当該超過額302,000のうち200,000は貸付金によって補われているものと考えられるため、貸付金と相殺する。また、貸付金を超える102,000については、株主がA社の銀行借入を持分割合に応じて保証しているので、「持分法適用に伴う負債」に振り替える。

- 2. 連結修正仕訳(上記1の合計仕訳)

- <計算表3-2> A社に対する持分計算表(X5年3月期)

- (注)持分法による投資損失:-251,000(当期純損失)
- 利益剰余金残高:-390,700(期首残高)-251,000(当期持分法による投資損失)=-641,700
- X6年3月期 債務超過拡大
- <前提条件>
- (1) A社のX6年3月31日に終了する財務諸表は、次のとおりである。

- (2) 株主であるP社とQ社は、A社に事業性がないと判断したため、A社を次期中に解散し清算することを決定した。この結果、P社はA社に対する投資、貸付金及び支払保証実行に伴う求償債権に関する損失について損金算入が認められることが確実なので、P社の個別財務諸表上の投資簿価と持分法上の投資価額との一時差異について税効果を認識する。
- (3) 株主は出資持分に応じてA社に対し総額400,000の貸付けを行っている。また、銀行借入金に対しても出資持分に応じて銀行に保証している。
- <計算過程と仕訳>
- 1. 期首及び当期中の取引の計算過程と仕訳
- (1) 前期末連結欠損金の計上については、前期末における貸付金への振替前の数値を使用する。

- (2) 当期純損失502,000の50%持分額は251,000である。

- (3) 解散し清算することが決定されたので、P社のA社に対する投資簿価と持分法上の投資価額との将来減算一時差異に係る税効果を認識し、連結上の欠損金892,700(期首連結欠損金641,700+当期純損失持分額251,000)の46%である410,642の繰延税金資産を計上する。

- (4) 投資有価証券修正額は、貸方892,700であり、投資額の339,700を553,000超えている。P社は他の株主とともにA社に対し持分割合である200,000の貸付けを行っているので、当該超過額のうち貸付金に見合う額を貸付金と相殺し、残額を「持分法適用に伴う負債」に計上する。

- 2. 連結修正仕訳(上記1の合計仕訳)

- <計算表3-3> A社に対する持分計算表(X6年3月期)

- (注)持分法による投資損失:-251,000(当期純損失)
- 利益剰余金残高:-641,700(期首残高)-251,000(当期持分法による投資損失)+410,642(欠損金に対する税効果)=-482,058
- 投資有価証券修正額:-482,058(利益剰余金)-410,642(繰延税金資産)=-892,700
- X7年3月期 清 算
- <前提条件>
- 株主総会で解散決議を承認し清算した。
- <計算過程と仕訳>
- 1. 期首及び当期中の取引の計算過程と仕訳
- (1) 前期末連結欠損金の計上

- (2) A社清算に伴う連結除外

- (注)個別財務諸表上で処理した損失を取り消す仕訳のため、科目名は個別財務諸表上の処理科目を使用することになる。
- 2. 連結修正仕訳(上記1の合計仕訳)

- <計算表3-4> A社に対する持分計算表(X7年3月期)

- [設例4] 関連会社 - 有形固定資産の未実現利益の処理(持分額消去)
- <全般の前提条件>
- 1. 法定実効税率は、投資会社P社、関連会社A社ともに46%とする。
- 2. 未実現利益は、原則どおり損益計算書項目については、それが発生した売手側の科目から、貸借対照表項目については未実現利益が含まれる買手側の資産から控除する。すなわち、ダウンストリームについてはP社の固定資産売却益又は売上高及びA社の土地、有形固定資産又は棚卸資産から未実現利益を控除する。
- 第1期 設立出資
- <前提条件>
- (1) X0年4月1日、P社は、他の3社とともに新製品の製造会社A社(資本金1,000,000)を設立し、出資比率25%、250,000を出資した。P社は他の株主とともにA社を利益率の高い企業に育て上げ長期的に保有する方針である。
- (2) A社からの受取配当金は益金不算入となるため、P社では追加税金は発生しない。また、長期保有目的のため、P社はA社の留保利益について税効果を認識しない。
- (3) 同日、P社はA社に土地(簿価200,000)を1,200,000で売却するとともに、製品である製造設備(簿価600,000)を1,000,000で売却した。A社は、この資金を自己資金と銀行からの長期借入金によって調達した。製造設備の耐用年数は20年であり、残存価額はないものとする。なお、A社の減価償却方法は定額法である。
- (4) A社のX1年3月31日に終了する第1期の財務諸表は、次のとおりである。

- (5) P社から仕入れ、A社の期末棚卸資産に含まれている製品の仕入価額は100,000であり、P社の当該棚卸資産に係る売上総利益率は40%である。
- <計算過程と仕訳>
- 1. 当期中の取引の計算過程と仕訳
- (1) 出資設立のため、P社の投資額250,000とA社資本金の持分額250,000(1,000,000×25%)は同額である。

- (2) P社からA社に売却した土地の未実現利益のP社持分250,000((1,200,000-200,000)×25%)を控除するとともに、これに対応する繰延税金資産115,000(250,000×46%)を計上する。

- (3) P社からA社に売却した製造設備の未実現利益のP社持分100,000((1,000,000-600,000)×25%)を控除するとともに、これに対応する繰延税金資産46,000(100,000×46%)を計上する。

- (4) 当期純利益400,000の25%持分額は100,000である。

- (5) 製造設備の減価償却による未実現利益の実現5,000(400,000×1/20×25%)と、これに対応する繰延税金資産の取崩し2,300(5,000×46%)を計上する。

- (6) A社の棚卸資産100,000に含まれるP社の未実現利益は、40,000(100,000×40%)で、そのP社持分額は10,000(40,000×25%)であり、これを控除する。この繰延税金資産4,600(10,000×46%)を計上する。

- (7) 投資有価証券の貸方純修正額(上記(1)から(6)までの仕訳のうち投資有価証券の額の合計額)255,000(計算表4-1の利益剰余金残高△91,700から連結会社の繰延税金資産残高163,300を差し引いたものと一致する。)が、投資額250,000を超えた部分を「持分法適用に伴う負債」に組み替える。

- 2. 連結修正仕訳(上記1の合計仕訳)

- <計算表4-1> A社に対する持分計算表(第1期)

- (注)土地の未実現利益:(1,200,000-200,000)×25%=250,000
- 同上繰延税金資産:250,000×46%=115,000
- 製造設備の未実現利益:(1,000,000-600,000)×25%=100,000
- 同上繰延税金資産:100,000×46%=46,000
- 持分法による投資利益:400,000×25%=100,000(当期純利益)
- 製造設備の減価償却による未実現利益の実現:400,000/20年×25%=5,000
- 同上に係る繰延税金資産の戻入れ:5,000×46%=2,300
- 棚卸資産の未実現利益:100,000×40%×25%=10,000
- 同上繰延税金資産:10,000×46%=4,600
- 利益剰余金残高:
- -135,000(P社の土地未実現利益、税効果後)-54,000(P社の製造設備未実現利益、税効果後)+100,000(当期持分法による投資利益)+2,700(減価償却による未実現利益の実現、税効果後)-5,400(P社の未実現利益、税効果後)=-91,700
- 投資有価証券修正残高:-91,700(利益剰余金残高)-163,300(繰延税金資産)=-255,000
- 投資有価証券の超過額=持分法適用に伴う負債:-255,000+250,000=-5,000
- 第2期
- <前提条件>
- (1) A社のX2年3月31日に終了する第2期の財務諸表は、次のとおりである。

- (2) P社から仕入れ、A社の期末棚卸資産に含まれている製品の仕入価額は200,000であり、P社の当該棚卸資産に係る売上総利益率は40%である。
- <計算過程と仕訳>
- 1. 期首及び当期中の取引の計算過程と仕訳
- (1) 前期末利益剰余金等の計上については、当期末に投資有価証券修正額が投資額を超えた部分を「持分法適用に伴う負債」に組み替えるため、前期末(7)の組替え前の数値を用いる。

- (2) 当期純利益800,000の25%持分額は200,000である。

- (3) 製造設備の減価償却による未実現利益の実現5,000(400,000×1/20×25%)と、これに対応する繰延税金資産の取崩し2,300(5,000×46%)を計上する。

- (4) 前期のA社の棚卸資産100,000に含まれるP社の未実現利益持分額10,000と対応する繰延税金資産4,600を戻し入れる。

- (5) A社の期末棚卸資産200,000に含まれるP社の未実現利益は、80,000(200,000×40%)で、そのP社持分額は20,000(80,000×25%)であり、これを控除する。この繰延税金資産9,200(20,000×46%)を計上する。

- 2.連結修正仕訳(上記1の合計仕訳)

- <計算表4-2> A社に対する持分計算表(第2期)

- (注)持分法による投資利益:800,000×25%=200,000(当期純利益)
- 製造設備の減価償却による未実現利益の実現:400,000/20年×25%=5,000
- 同上に係る繰延税金資産の戻入れ:5,000×46%=2,300
- 当期末棚卸資産の未実現利益:200,000×40%×25%=20,000
- 同上繰延税金資産:20,000×46%=9,200
- 利益剰余金残高:
- -91,700(期首残高)+200,000(当期持分法による投資利益)+2,700(減価償却による未実現利益の実現、税効果後)+5,400(前期棚卸資産の未実現利益の実現、税効果後)-10,800(P社の未実現利益、税効果後)=105,600
- 投資有価証券修正残高:105,600(利益剰余金残高)-165,600(繰延税金資産)=-60,000
- [設例5] 関連会社 - 土地の未実現利益の処理(全額消去)
- <前提条件>
- 1. 法定実効税率は、投資会社P社、関連会社A社ともに46%とする。
- 2. 未実現利益は、原則どおり損益計算書項目については、それが発生した売手側の科目から、貸借対照表項目については未実現利益が含まれる買手側の資産から控除する。すなわち、ダウンストリームについてはP社の固定資産売却益とA社の土地から未実現利益を控除する。
- 3. 設立以降の取引は次のとおりである。
- (1) X0年4月1日、P社は、自社の特約店である他の3社とともにA社(資本金20,000)を設立し、出資比率25%、5,000を出資した。P社は他の株主とともにA社の株式を長期的に保有する方針である。
- (2) A社からの受取配当金は益金不算入となるため、P社では追加税金は発生しない。また、長期保有目的のため、P社はA社の留保利益について税効果を認識しない。
- (3) X4年4月1日、P社はA社に工場設備の建っている土地(簿価200,000)を1,200,000で売却し、リースバックを受ける契約を締結し実行した。この取引は、監査委員会報告第27号「関係会社間の取引に係る土地・設備等の売却益の計上についての監査上の取扱い」の各要件を満たしている。
A社は、この土地取得のための長期資金を当該土地を担保に銀行から借り入れた。土地の担保評価額を超える360,000については、P社が当該銀行に保証を行った。他の株主には、資金力はなく、この土地の管理運営部分については、影響を持っていないと考えられることから、当該P社の売却益に係る未実現利益は持分法上、実質的に全額実現していないものと判断された。 - (4) A社のX5年3月31日に終了する第5期の財務諸表は、次のとおりである。

- <計算過程と仕訳>
- 1. 当期中の取引の計算過程と仕訳
- (1) 前期末利益剰余金の計上
- A社の期首利益剰余金のP社持分額25,000(100,000×25%)を投資有価証券及び利益剰余金期首残高に加算する。

- (2) P社からA社に売却した土地の未実現利益のP社持分1,000,000((1,200,000-200,000)×100%)を控除するとともに、これに対応する繰延税金資産460,000(1,000,000×46%)を計上する。

- (3) 当期純利益20,000の25%持分額は5,000である。

- (4) 投資有価証券の貸方純修正額(上記(1)から(3)までの仕訳のうち投資有価証券の額の合計額)970,000(計算表5の利益剰余金残高△510,000から連結会社の繰延税金資産残高460,000を差し引いたものと一致する。)が、投資額5,000を超えた部分を、「持分法適用に伴う負債」に組み替える。

- 2. 連結修正仕訳(上記1の合計仕訳)

- <計算表5> A社に対する持分計算表(第5期)

- (注)土地の未実現利益:(1,200,000-200,000)×100%=1,000,000
- 同上繰延税金資産:1,000,000×46%=460,000
- 持分法による投資利益:20,000×25%=5,000
- 利益剰余金残高:
- 25,000(前期繰越利益100,000×25%)-540,000(P社の土地未実現利益、税効果後)+5,000(当期持分法による投資利益)=-510,000
- 投資有価証券修正残高:-510,000(利益剰余金残高)-460,000(繰延税金資産)=-970,000
- 投資有価証券の超過額=持分法適用に伴う負債:-970,000+5,000=-965,000
- [設例6] 部分時価評価法の原則法と簡便法
- <前提条件>
- 1. 新規取得年度(原価法)(X1年3月期)
- (1) 法定実効税率はP社、S社ともに40%とする。
- (2) P社はS社株式10%をX1年3月31日に82で取得し、S社を原価法適用会社とした。
- (3) S社の資産のうち土地は800(簿価)であり、X1年3月31日における時価は1,000である。
- 2. 追加取得年度(X2年3月期)
- (1) P社はS社株式30%をX2年3月31日に450で追加取得し、S社を持分法適用関連会社とした(合計40%、個別財務諸表上の取得原価532)。
- (2) S社の資産のうち土地は800(簿価)であり、X2年3月31日における時価は1,200である。
- (3) のれんの償却は3年で行う。
- 3. P社及びS社の各期の貸借対照表は、次のとおりである。

- <計算過程と仕訳>
- 1. 部分時価評価法(原則法)
- (1) 土地に係る評価差額の計上
S社の持分法適用開始日(X2年3月31日)の土地に係る評価差額について、株式取得日(X1年3月31日及びX2年3月31日)ごとに算定した親会社持分額をS社の資本に計上する。土地に係る評価差額(益)のP社持分額は140((1,000-800)×10%+(1,200-800)×30%)であり、これに対する繰延税金負債は56(140×40%)である。 
- (2) 連結修正仕訳
- ① 持分法適用開始前の取得後利益剰余金の振替
- X2年3月期のS社における当期純利益のP社持分を取得後利益剰余金として処理する。当期純利益100の10%持分額は10である。

- ② のれんの発生
- S社資本勘定のP社持分額は、資本金200(500×40%)、利益剰余金120(300×40%)、土地に係る評価差額(益)140((1,000-800)×10%+(1,200-800)×30%)及びこれに対する繰延税金負債56(140×40%)であり、その合計は404となる。これに対し持分法評価額は542(532+10)であるから、その差額138がのれんとなる。これはX3年以降に46(138/3年)ずつ償却される。

- 2. 部分時価評価法(簡便法)
- ・簡便法適用日は、追加取得日(X2年3月31日)とする。
- (1) 土地に係る評価差額の計上
S社の持分法適用開始日(X2年3月31日)の土地に係る評価差額について、土地に係る評価差額(益)のP社持分額は160((1,200-800)×40%)であり、これに対する繰延税金負債は64(160×40%)である。 
- (2) 連結修正仕訳
- ① 持分法適用開始前の取得後利益剰余金の振替
X2年度のS社における当期純利益のP社持分は取得後利益剰余金であっても簡便法適用日までに生じたものであるので投資と相殺消去されるため、振替は行わない。 
- ② のれんの発生
S社資本勘定のP社持分額は、資本金200(500×40%)、利益剰余金120(300×40%)、土地に係る評価差額(益)160((1,200-800)×40%)及びこれに対する繰延税金負債64(160×40%)であり、その合計は416となる。これに対し持分法評価額は532であるから、その差額116がのれんとなる。これはX3年以降に39(116/3年)ずつ償却される。 
- 以 上