©公益財団法人 財務会計基準機構最終更新日:2026/03/04
企業会計基準第32号「連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準」の⼀部改正
目 的
- 1. 本会計基準は、企業会計審議会から1998年(平成10年)3月13日に公表された「連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準」(以下「キャッシュ・フロー作成基準」という。)及び「連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準注解」(以下「キャッシュ・フロー作成基準注解」という。)のうち、資金の範囲に関する事項を改正することを目的とする。
会計基準
資金の範囲
- 2. キャッシュ・フロー作成基準の「連結キャッシュ・フロー計算書作成基準 第二 作成基準 一 資金の範囲」1を次のとおり改正する。
1 現金とは、手許現金、要求払預金及び特定の電子決済手段をいう。(注1)(注10)
- 3. キャッシュ・フロー作成基準注解(注10)の定めを次のとおり追加する。
(注10) 特定の電子決済手段について
特定の電子決済手段は、「資金決済に関する法律」(平成21年法律第59号。以下「資金決済法」という。)第2条第5項第1号から第3号に規定される電子決済手段(外国電子決済手段(電子決済手段等取引業者に関する内閣府令(令和5年内閣府令第48号)第30条第1項第5号)については、利用者が電子決済手段等取引業者(資金決済法第2条第12項)に預託しているものに限る。以下同じ。)が該当する。
適用時期
- 4. 本会計基準の適用時期は、2023年に公表された実務対応報告第45号「資金決済法における特定の電子決済手段の会計処理及び開示に関する当面の取扱い」(以下「実務対応報告第45号」という。)と同様とする。
議 決
- 5. 本会計基準は、第514回企業会計基準委員会に出席した委員13名全員の賛成により承認された。なお、出席した委員は以下のとおりである。
- (略)
結論の背景
経 緯
- BC1. 2022年6月に成立した「安定的かつ効率的な資金決済制度の構築を図るための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律」(令和4年法律第61号)により資金決済法が改正され、いわゆるステーブルコインのうち、法定通貨の価値と連動した価格で発行され券面額と同額で払戻しを約するもの及びこれに準ずる性質を有するものが新たに「電子決済手段」と定義された。また、これを取り扱う電子決済手段等取引業者について登録制が導入され、必要な規定の整備が行われた。当該規定の整備を背景に、2022年7月に公益財団法人財務会計基準機構内に設けられている企業会計基準諮問会議に対して、資金決済法上の電子決済手段の発行及び保有等に係る会計上の取扱いについて検討するよう要望が寄せられた。
- BC2. これを受けて、2022年8月に開催された第484回企業会計基準委員会において、企業会計基準諮問会議より、資金決済法上の電子決済手段の発行及び保有等に係る会計上の取扱いを検討することが当委員会に提言され、当委員会は、2022年8月より審議を開始し、その結果を実務対応報告公開草案第66号「資金決済法における特定の電子決済手段の会計処理及び開示に関する当面の取扱い(案)」及び企業会計基準公開草案第79号「『連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準』の一部改正(そのX)(案)」として公表し広く意見を求めた。
- 本会計基準は、これらの公開草案に対して寄せられた意見を踏まえて検討を行い、公表するに至ったものである。
資金の範囲
- BC3. 実務対応報告第45号では、資金決済法第2条第5項第1号から第3号に規定される電子決済手段は、送金・決済手段として利用されるものであることから通貨に類似する性格を有するとともに、電子決済手段の利用者の請求により速やかに金銭による払戻しがなされること及びこれらの電子決済手段が払い戻されないリスク(以下「換金リスク」という。)が要求払預金における信用リスクと同程度であると考えられることから要求払預金に類似する性格も有する資産であると整理している(実務対応報告第45号BC17項及びBC18項)。
- また、外国電子決済手段のうち電子決済手段等取引業者が利用者から預託を受けて管理しているものについては、当該外国電子決済手段の発行者が電子決済手段の券面額による払戻しが困難になった場合などに外国電子決済手段の券面額と同額で買い取ることを約し、かつ、買取りを行うために必要な資産を保全することが求められている。このため、電子決済手段等取引業者が利用者のために管理する外国電子決済手段の換金リスクは、国内で発行される電子決済手段と同程度であると考えられる(実務対応報告第45号BC19項及びBC20項)。したがって、実務対応報告第45号の適用範囲に含めている(実務対応報告第45号第2項並びにBC7項及びBC8項)。
- BC4. 1998年3月13日に企業会計審議会から公表されたキャッシュ・フロー作成基準では、現金とは、「手許現金及び要求払預金をいう。」と定義され、現金同等物とは、「容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない短期投資をいう。」と定義されていた。
- BC5. 資金決済法第2条第5項第1号から第3号に規定される電子決済手段は、これまでの会計基準で想定されていなかった新たな資産である。本会計基準BC3項で記載のとおり、通貨に類似する性格と要求払預金に類似する性格を有する資産であることを踏まえると、連結キャッシュ・フロー計算書等においてこれらの電子決済手段を現金に含めることが経済実態を的確に反映すると考えられる。
- BC6. したがって、キャッシュ・フロー作成基準及びキャッシュ・フロー作成基準注解を改正し、特定の電子決済手段、すなわち、資金決済法第2条第5項第1号から第3号に規定される電子決済手段(外国電子決済手段については、利用者が電子決済手段等取引業者に預託しているものに限る。)を現金に含めることとした(本会計基準第2項及び第3項参照)。
適用時期
- BC7. 本会計基準は、2023年に公表された実務対応報告第45号に対応するための改正であることから、適用時期については実務対応報告第45号と合わせることとした(本会計基準第4項参照)。
- 以 上