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移管指針第11号研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関するQ&A
1.研究開発費の会計処理及び表示等
(1) 研究開発費の会計処理及び表示等
- Q1.

- A:研究開発費の会計処理及び表示について留意すべき事項は、次のとおりです。
- (1) 研究開発費の会計処理について
研究開発費は、発生時には将来の収益を獲得できるか否か不明であり、また、研究開発計画が進行し、将来の収益の獲得期待が高まったとしても、依然としてその獲得が確実とはいえないことから、資産に計上することなく発生時の費用として処理します。
発生時に費用として処理する方法には、一般管理費として処理する方法と当期製造費用として処理する方法がありますが、研究開発費は、新製品の計画・設計又は既存製品の著しい改良等のために発生する費用であり、一般的には原価性がないと考えられるため、通常、一般管理費として計上することとなります。
なお、ソフトウェアの制作過程において発生する研究開発活動に係る費用についても研究開発費として会計処理を行うこととなります。 - (2) 研究開発費の表示について
「研究開発費等に係る会計基準」では、「一般管理費及び当期製造費用に含まれる研究開発費の総額は、財務諸表に注記しなければならない。」とされており、研究開発の規模について企業間の比較可能性を確保するために、当期に発生した研究開発費として、一般管理費及び当期製造費用に計上した額を総額で注記することが求められています。
また、研究開発費は、当期製造費用として処理されたものを除き、一般管理費として当該科目名称を付して記載することとなります。
なお、研究開発費には、人件費、原材料費、固定資産の減価償却費及び間接費の配賦額等、研究開発のために費消された全ての原価が含まれることに留意することが必要です。 - Q2.

- A:委託研究については、一般的に、研究の成果は委託者側に帰属するものと考えられるため、委託者側では「研究開発費等に係る会計基準」に沿った処理を行うこととなり、委託研究に係る費用は全て発生時に費用処理することとなります。したがって、契約金等は前渡金として処理することになりますが、契約に基づき委託した研究開発の内容について検収等を行い、役務の提供を受けたことが確定した時点で、費用として処理することとなります。
- 例えば、一つの大きな研究開発テーマが幾つかの詳細な研究開発テーマに細分化されているような場合で、契約に基づいて詳細な研究開発テーマごとに検収、支払を行っているときには、詳細な研究開発テーマごとの検収時に研究開発費として処理することとなり、これを大きな研究開発テーマ全体の完了時まで前渡金等として資産に計上しておくことは認められないことに留意する必要があります。
- Q3.

- A:受託研究については、受託者側では受託業務としての処理を行うこととなります。したがって、受託者側では、当該業務の受託が事業目的である場合には、研究が完了し研究の成果について委託者の検収を受けるまで研究に要した費用の額は仕掛品として集計し、委託者の検収時点で売上高に対応して売上原価に計上することとなります。
- 共同研究については、一般的に共同研究の成果は参加各企業に帰属するものと考えられるため、研究に要した費用の額のうち自己の負担した部分については研究開発費として処理することとなります。研究の実施に当たっては、共同研究の参加者の1社が参加者全員の委託を受け、研究開発を実施するとともに一旦研究開発費の総額を負担することがありますが、この場合、研究に要した費用のうち自社の負担部分を適正に算定し、発生時に研究開発費として処理することとなります。
- Q4.

- A:実証プラントなどの装置そのものの研究開発については、研究開発が成功した場合には、当該装置を生産設備として使用することが可能な場合もあるものと考えられますが、このような研究開発に係る費用は、将来生産設備として使用する可能性があるか否かを問わず、全て研究開発費として処理することとなります。
- 試行錯誤の研究開発を通じて製作されることとなる装置の研究開発段階では、生産設備として使用可能なものができるかどうかの判断は極めて困難なものと考えられ、研究開発の定義に該当するような装置そのものの試作過程及びその装置の稼動による機能確認の研究開発は、固定資産の製作のための活動ではなく、その活動自体が研究開発活動と考えられるからです。
- 研究開発の結果として良品の試作品が得られる場合も考えられますが、この試作品は、研究開発の結果、副次的に得られたものであり、通常、研究開発の目的を達成した時点で廃棄されるため、研究開発費に含めて処理することとなります。
- Q5.

- A:製造現場において研究開発活動が行われ、かつ、当該研究開発に要した費用を一括して製造現場で発生する原価に含めて計上しているような場合があることから、研究開発費を当期製造費用に算入することが認められていますが、具体的には、工場の製造ラインに研究開発の要員が常駐し、製造過程において絶えず新製品に結びつく要素に係る研究開発を行っているような場合が考えられます。
- この場合、研究開発に係る費用を当期製造費用に算入するに当たっては、研究開発費としての内容を十分に検討してその範囲を明確にすることとし、製造現場で発生していても製造原価に含めることが不合理であると認められる研究開発費については、当期製造費用に算入してはならない点に留意することが必要です。
- この取扱いは、費用処理すべき研究開発費について、製造原価算入によってそのほとんどが資産として計上され、結果として資産計上を認めたのと同様の状況が継続することを防止するためのものであり、研究開発費を製造原価に算入する場合には、その合理性につき十分検討することが必要です。
- 特に、例えば、ソフトウェア制作費のうち本来は原価性がないと考えられる研究開発に係る部分を当期製造費用として処理し、その大部分が期末仕掛品等として資産計上されることとなるような場合には、研究開発に係るソフトウェア制作費を従来の繰延資産等として資産計上する処理と結果的に変わらないこととなるため、妥当な会計処理とは認められないことに留意する必要があります。
(2) 特定の研究開発目的の機械装置等の会計処理
- Q6.

- A:ある特定の研究開発目的にのみ使用され、他の目的に使用できない機械装置等に係る原価は取得時に研究開発費となりますが、ある特定の研究開発目的に使用された後に他の目的に使用できる場合には、機械装置等として資産に計上し、当該資産の減価償却費を研究開発費として処理することとなります。
- この場合、他の目的に使用できるとは、製造設備等として使用できる場合のほか、他の研究開発目的に使用することができる場合を含むことに留意する必要があります。また、必ずしも判定の時点において、他の目的への使用予定・計画が明確になっている場合に限ることなく、使用予定が明らかでなくても、汎用性があり他の目的に使用することが容易な場合には、当該機械装置に係る原価を資産に計上することが認められるものと考えられます。
- ただし、資産計上した場合で、その後、他の研究開発目的等に転用しないことが明らかとなり除却又は廃棄処分を行ったときには、残存簿価を固定資産の除却又は廃棄損失として計上する必要があります。
- なお、特定の研究開発目的にしか使用できない資産については、仮に研究開発の期間が1年超であっても、当該機械装置等の取得時に取得価額の全額を研究開発費として処理することとなります。
- Q7.

2.ソフトウェアの会計処理及び表示等
(1) ソフトウェアの概念・範囲
- Q8.

- A:移管指針第8号「研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針」(以下「実務指針」という。)では、ソフトウェアとは、コンピュータ・ソフトウェアであり、①コンピュータに一定の仕事を行わせるためのプログラム、②システム仕様書、フローチャート等の関連文書を含むものとされています。このように、ソフトウェアがコンピュータに一定の仕事を行わせるプログラム等であるのに対して、コンテンツとはその処理対象となる電子データである情報の内容をいいます。コンテンツの例としては、データベースソフトウェアが処理対象とするデータや、映像・音楽ソフトウェアが処理対象とする画像・音楽データ等を挙げることができます。
- 実務指針では、ソフトウェアとコンテンツとは別個の経済価値を持つものと考え、また、それぞれの会計慣行があることから、ソフトウェアにコンテンツを含めないことが明らかにされています。
- したがって、ソフトウェアとコンテンツは、原則として別個のものとして会計処理することになります。しかし、ソフトウェアとコンテンツが経済的・機能的に一体不可分と認められるような場合には、両者を一体として取り扱うことも認めています。
- コンテンツは、その性格に応じて関連する会計処理慣行に準じて処理すべきものと考えられます。
- Q9.

- A:実務指針では、コンテンツはソフトウェアとは別個のものとして取り扱い、ソフトウェアの範囲に含めておりませんが、ソフトウェアとコンテンツが経済的・機能的に一体不可分と認められるような場合には、両者を一体として取り扱うこともできるとされています。この場合には、一体不可分なものの主要な性格がソフトウェアかコンテンツであるかを判定して、会計処理を決定することになります。
- (1) 制作者側では、ソフトウェアとコンテンツは別個の経済価値として把握可能であり、原則として両者は別個のものとして原価計算上も区分することになります。したがって、コンテンツの制作費を個別に集計することになります。
しかし、両者が一体不可分なものとして明確に区分できない場合(例えば、一方の価値の消滅が、他方の価値の消滅に直接結び付く場合)には、その主要な性格がソフトウェアかコンテンツかを判断してどちらかにみなして会計処理することになります。
なお、ゲームソフトの制作では、ソフトウェアとコンテンツが同時にかつ高度に組み合わされて制作される場合が一般的ですが、制作費の巨額化に伴い、ソフトウェアの制作とコンテンツの制作がその過程で区分されているときには、制作費の集計においても両者を区分して処理することが合理的であると考えられます。 - (2) 購入者側では、ソフトウェアとコンテンツを明確に線引きをすることは概念的には可能ですが、実際の適用においては混乱を招くことが予想されるため、実務上は両者の一体処理が認められています。したがって、その主要な性格に応じてソフトウェアかコンテンツのいずれかとして処理することになります。
しかし、ソフトウェアとコンテンツの経済価値を明確に区分できる場合で、区分して会計処理することが合理的なときには、両者を区分して会計処理することを妨げるものではありません。
(2) 市場販売目的のソフトウェアの取扱い
- Q10.

- A:市場販売目的のソフトウェアの制作に要した費用のうち、研究開発が終了するまでの費用は研究開発費として発生時に費用処理します。
- 「研究開発費等に係る会計基準の設定に関する意見書」では、ソフトウェアの制作に関する研究開発の終了は、製品番号を付すこと等により販売の意思が明らかにされた製品マスター、すなわち「最初に製品化された製品マスター」の完成時点であるとされています。
- 実務指針では、最初に製品化された製品マスターの完成時点の具体的な判断基準として、機能評価版のソフトウェアであるプロトタイプの制作の有無によって、次の要件を検討すべきであるとされています。
- ① 製品性を判断できる程度のプロトタイプが完成していること。
- ② プロトタイプを制作しない場合は、製品として販売するための重要な機能が完成しており、かつ重要な不具合を解消していること。
- これらの要件を満たした場合に、製品マスターの最初の製品化作業が完了したと考えられるため、この時点までに発生した制作費は研究開発費として費用計上され、その後に発生した制作費はソフトウェアの制作原価として資産計上されることになります。
- Q11.

- A:研究開発が終了した時点以後のソフトウェアの制作費は、その内容によって、以下のように取り扱うことになります。

- Q12.

- A:製品マスター又は購入したソフトウェアの機能の改良・強化を行うための費用は原則として資産に計上しますが、当該改良が著しいと認められる場合は研究開発費として処理します。
- ここでいう著しい改良とは、研究・開発の定義に該当する改良、すなわち「既存の製品等を著しく改良するための計画若しくは設計として、研究の成果その他の知識を具体化する」ものです。
- 具体的な例として実務指針では、機能の改良・強化を行うために主要なプログラムの過半部分を再制作する場合、ソフトウェアが動作する環境(オペレーションシステム、言語、プラットフォームなど)を変更・追加するために大幅な修正が必要になる場合などが挙げられています。
- Q13.

- A:市場販売目的のソフトウェアのバージョンアップは、ソフトウェアの価値を高めるための活動であり、バージョンアップによって見込販売数量(収益)の増加、残存有効期間の延長などの効果がもたらされることが考えられます。したがって、このような効果をもたらさない機能維持活動とは明確に区分されます。
- バージョンアップは大きく次の2種類に分けられます。
- ① 製品の大部分を作り直す大幅なバージョンアップ
- ② 既存の製品に機能を追加する、又は操作性を向上させるなど、それほど大幅ではないバージョンアップ
- ①のバージョンアップは、製品の設計を初めからやり直すなど、著しい改良に該当するバージョンアップと考えられます。したがって、新しい製品を制作する場合と同様に、新しいバージョンで最初に製品化された製品マスターの完成時点までの費用を研究開発費として処理することになります。また、新しいバージョンの製品の販売に伴って古いバージョンの販売を中止する場合には、旧バージョンのソフトウェアについては資産の価値が失われているため、残存価額を除却することが必要です。
- これに対して②のバージョンアップは、基本的な設計を大きく変更することなく、ソフトウェアの価値を高めるものと考えられます。したがって、バージョンアップに要した費用は資本的支出として資産計上され、完成しているソフトウェアの未償却残高と合算されることになります。なお、このソフトウェアの償却費の計算に当たって、バージョンアップに伴う見込販売数量(収益)又は残存有効期間の見直しが行われる場合には、見直し後の見込販売数量(収益)又は残存有効期間を利用することが適切であると考えられます。
- なお、販売済みのソフトウェアについて継続的にバージョンアップを行い、定期的に最新のソフトウェアに更新するような契約があります。このようなバージョンアップで②に該当する費用は資産として計上され、見直し後の見込販売数量(収益)と残存有効期間を基に償却されることになります。
- Q14.

- A:製品マスターは、①製品マスター自体が販売の対象物ではないこと、②機械装置等と同様にこれを利用(複写)して製品を作成すること、③法的権利(著作権)を有していること、及び④適正な原価計算により取得原価を明確化できることから、当該取得原価を無形固定資産として計上することとなります。
- 具体的には、製品マスターの制作仕掛品はソフトウェア仮勘定などの勘定科目により、また、完成品はソフトウェアなどの勘定科目によって処理し、いずれも無形固定資産として計上することとなります。無形固定資産としての表示に当たっては、製品マスターの制作仕掛品と完成品を区分することなく一括してソフトウェアその他当該資産を示す名称を付した科目で表示することとなりますが、制作仕掛品に重要性がある場合には、これを区分して表示することが望ましいといえます。
- なお、製品マスターの完成品を無形固定資産として計上する(仕掛品についても同様)ことに伴い、製品マスターの制作原価及び製品マスターの償却費に係る製造原価の計算における取扱いに関し、実務指針第35項では、以下の方法について検討を行った経緯が明らかにされています。
- (1) 製品マスターの制作原価を製造原価に含めることなく直接的に無形固定資産として計上し、製品マスターの償却費を製造原価の経費として計上する。
- (2) 製品マスターの制作原価を製造原価に含め、製品マスターの制作仕掛品及び完成品を無形固定資産へ振り替えることにより製造原価から控除する。また、製品マスターの償却費は製造原価の経費として計上する。
- (3) 製品マスターの制作原価を製造原価に含め、製品マスターの制作仕掛品及び完成品を無形固定資産へ振り替えることにより製造原価から控除する。また、製品マスターの償却費は売上原価に直接算入する。
- これらの方法のうち、(1)の方法は、製品マスターの制作そのものに係るコストが当期製造費用に含まれないため、当期のソフトウェア制作活動(研究開発活動を除く。)が製造原価の計算に反映されない面があるものと考えられます。
- (2)の方法は、製品マスターの制作原価と完成品としての製品マスターの償却費がともに製造原価の当期製造費用に含まれ、同一の製品マスターに係る制作原価が二重に計上される点において不適切です。
- このように考えると、ソフトウェアの制作活動が製造原価の計算に適切に反映されるという観点からは、(3)の方法によることが望ましいといえます。
(3) 資産計上することとなる自社利用のソフトウェアの取扱い
- Q15.

- A:自社利用のソフトウェアについて「研究開発費等に係る会計基準の設定に関する意見書」では、「将来の収益獲得又は費用削減が確実である自社利用のソフトウェアについては、将来の収益との対応等の観点から、その取得に要した費用を資産として計上し、その利用期間にわたり償却を行うべきと考えられる。」とされており、「また、独自仕様の社内利用ソフトウェアを自社で制作する場合又は委託により制作する場合には、将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められる場合を除き費用として処理することとなる。」と述べられています。
- この将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められる状況は、実際のところソフトウェアが利用されている実態により様々であると考えられます。
- 例えば、通信ソフトウェアの機能を第三者である利用者に提供することによって、当該利用者から収入を得る場合には、まさしく当該ソフトウェアにより収益獲得が実現しているといえます。
- しかし、独自仕様の社内利用ソフトウェアの場合には、通常、当該ソフトウェアの利用によって直接的にキャッシュ・フローが生ずるとは考えられないため、その判断は容易でないものと思われます。そのようなソフトウェアについては、費用削減効果によって、ネット・キャッシュ・イン・フローの増加が確実となるかどうかに着目することが必要です。
- 具体的には、顧客からの受注に基づく在庫の手配及び発送指示作業を手作業により行っているために、物流部門の能力には余裕があるのに、毎日の取扱高が限定されているという業務遂行上の問題点を抱えている会社において、当該業務をコンピュータ処理に置き換えることにより、取扱高の増加が可能になる場合などは、独自仕様の社内利用ソフトウェアの利用により将来の収益獲得が確実であると認められる要件を満たしているものと考えられます。
- また、遠隔保守のシステムの構築により、実際に現場に派遣する保守要員が減少する場合などは、利用する前に比し人件費の削減効果が確実に見込まれ、将来の費用削減が確実であると認められる要件を満たしているものと考えられます。
- このように、独自仕様の社内利用ソフトウェアについては、自社で制作するソフトウェア又は委託により制作するソフトウェアを資産として計上することとなる場合もあり、ソフトウェアを利用している実態を十分に把握して、資産計上の要件を満たしているか否かについて検討する必要があります。
- Q16.

- A:自社利用のソフトウェアについて、制作を開始する時点において、ソフトウェアの利用者(ユーザ)が要求する機能を発揮するソフトウェアが完成し、かつ、実際の業務での使用に耐えられるかどうか確実に判断することには、困難を伴うことも考えられます。このため、状況によってはソフトウェアの制作活動が開始された後に、資産計上の要件を満たしていることが判明する場合もあるものと考えられます。この場合、資産計上すべきソフトウェアの取得原価としては、将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められた時点以降の費用を計上することが合理的であると考えられます。したがって、将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められた時点から過去に遡って、ソフトウェアの取得価額を資産計上することは認められません。
(4) 機器組込みソフトウェアの取扱い
- Q17.

- A:有機的一体として機能する機器組込みソフトウェア(機械又は器具備品等に組み込まれているソフトウェア)を購入することにより取得した場合の会計処理(自社利用)は、原則としてソフトウェアを機械等と区分しないで、購入原価を当該機械等の取得原価に算入し、「機械及び装置」等の科目を用いて処理します。
- 区分処理しない理由は、機器組込みソフトウェアは、両者が別個では何ら機能せず一体として初めて機能するもので、経済的耐用年数も両者に相互関連性が高いと考えられるからです。
- しかしながら、当初からソフトウェアの交換(バージョンアップ)が予定されている場合で、バージョンアップによる機能向上が革新的であるようなときは、機器とは別個にソフトウェアとして処理することが適切なこともあります。また、機械等の購入時にソフトウェア交換が、契約により予定され、新・旧ソフトウェアの購入価格が明確な場合には、ソフトウェア部分を区分して処理することも考えられます。
- Q18.

- A:制作者においては、機器組込みソフトウェアと機器自体を別個の経済価値として把握可能であり、両者は別個のものとして原価計算上も区分することになります。したがって、機器組込みソフトウェアの制作に関しては、そのソフトウェアの制作費について実務指針が適用されることになります。
- 実務指針において、ソフトウェアの範囲としては、①コンピュータに一定の仕事を行わせるためのプログラム、②システム仕様書、フローチャート等の関連文書、と記載されており、電子部品等に組み込まれるマイコンチップ等についても上記のソフトウェアの範囲に含まれる場合があるものと考えられます。
- この場合、ソフトウェア自体を販売するものではないが、機器組込みソフトウェアが市場販売目的のソフトウェアと同様の価値又は経済効果を有すると考えられるときには、市場販売目的のソフトウェアの会計処理に準じた会計処理を行うこととなります。
(5) ソフトウェアの除却について
- Q19.

- A:自社利用のソフトウェアは、利用可能期間にわたって償却することにより費用化されますが、利用可能期間の中途でも使用する見込みがなくなった場合には、機械装置等の固定資産と同様に、除却処理が行われます。
- 機械装置等の固定資産は、設備の廃棄等によって客観的に除却を行ったことを確かめることができるのに対し、ソフトウェアの場合は無形の資産であることから、除却の事実を客観的に確認することが困難な場合があります。しかし、ソフトウェアの機能が陳腐化した等の理由で事業の用に供しないこととなった場合には、資産としての価値が失われたことになりますので、速やかに損失として計上することが必要です。
- Q20.

- A:機械装置等の固定資産では、一部を使用しなくなったことにより部分的に廃棄した場合には、廃棄した部分の帳簿価額を合理的に算定して除却の会計処理を行いますが、ソフトウェアの場合も同様に、一部の機能を使用しなくなったことにより、その機能をハードウェアから消去した場合、又はメニューから削除して利用できなくしたような場合には、消去又は削除した部分の帳簿価額を合理的に算定して除却の会計処理を行うことが適切であると考えられます。
- なお、除却部分の帳簿価額の算定に当たっては、例えば、当初の見積りを参考にする方法、開発規模によって按分する方法などが合理的な方法と考えられます。
(6) ソフトウェアの減価償却の方法
① 市場販売目的のソフトウェア
- Q21.

- A:市場販売目的のソフトウェアに関しては、各企業が、ソフトウェアの性格に応じて最も合理的と考えられる減価償却の方法を採用すべきとされており、合理的な償却方法としては、見込販売数量に基づく方法のほか、見込販売収益に基づく償却方法もその一つの方法として認められることが明らかにされています。
- 具体的には、販売が進むにつれ販売価格の下落する傾向のあるソフトウェアについては、製品の販売可能な有効期間にわたって毎期ほぼ同数のソフトウェアの販売量が見込まれるときでも、販売収益の額が著しく減少することもあり、費用・収益の対応という観点から、見込販売収益に基づく償却方法を採用する方がより合理的な場合が多いものと考えられます。なお、ソフトウェアの件数が多く、製品の販売可能な有効期間にわたって販売価格が安定し、毎期ほぼ同数の販売量が見込まれるようなときには、一定の販売可能な有効期間に基づく償却方法も認められる場合があるものと考えられます。
- いずれにしても、各企業におけるソフトウェアの販売の実態を十分検討した上で、最も合理的と考えられる減価償却の方法を採用すべきこととなります。
- また、毎期の償却は、残存有効期間に基づく均等配分額を下回ってはならないこととされているため、最終的な毎期の減価償却額は、見込販売数量(又は見込販売収益)に基づく償却額と残存有効期間に基づく均等配分額とを比較し、いずれか大きい額を計上することとなります。これは、ソフトウェアの販売開始時点で見込販売数量(又は見込販売収益)を正確に見積もることは困難と考えられるため、見積りの困難性を踏まえた上で、償却期間が長期化することを防止するために毎期の償却の下限が定められたものであり、販売可能な有効期間の見積りは、ソフトウェアに関連する経済環境、技術革新の状況等に配慮し、原則として3年以内の年数によることとなっています。したがって、3年を超える年数を販売可能な見込有効期間とする場合には、合理的な根拠に基づくことに留意する必要があります。
- Q22.

- A:市場販売目的のソフトウェアの減価償却に当たっては、販売開始時の販売企画書等によりソフトウェアの総販売数量(又は総販売収益)を見積もり、当該見込販売数量(又は見込販売収益)に基づき減価償却を行うこととなりますが、販売開始時の見積りは、その後の様々な要因により影響を受け変動することが予想されます。
- 企業会計基準第24号「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(以下「企業会計基準第24号」という。)第17項において、「会計上の見積りの変更は、当該変更が変更期間のみに影響する場合には、当該変更期間に会計処理を行い、当該変更が将来の期間にも影響する場合には、将来にわたり会計処理を行う。」こととされています。このため、見込販売数量(又は見込販売収益)の見直しの結果、見込販売数量(又は見込販売収益)を変更した場合には、変更後の見込販売数量(又は見込販売収益)に基づき、当期及び将来の期間の損益で認識することとなります。
- 見込販売数量(又は見込販売収益)の変更について、過去に見積もった見込販売数量(又は見込販売収益)がその時点での合理的な見積りに基づくものでなく、これを事後的に合理的な見積りに基づいたものに変更する場合には、会計上の見積りの変更ではなく過去の誤謬の訂正に該当することに留意が必要です。
- なお、市場販売目的のソフトウェアの経済価値は、将来の収益獲得に基づくものと考えられるため、各年度の未償却残高は翌期以降の見込販売収益の額を超過することは認められず、したがって、翌期以降の見込販売収益の額を超過している場合の当該超過額は、一時の費用又は損失として処理することに留意する必要があります。
② 自社利用のソフトウェア
- Q23.

- A:自社利用のソフトウェアについては、各企業がその利用の実態に応じて最も合理的と考えられる減価償却の方法を採用すべきものですが、市場販売目的のソフトウェアに比し収益との直接的な対応関係が希薄な場合が多く、物理的な劣化を伴わない無形固定資産の償却であることから、一般的には定額法による償却が合理的であると考えられます。
- しかし、自社利用のソフトウェアでもサービス提供に用いるソフトウェアで将来の獲得収益を見積もることができるものなど、見込販売収益に基づく減価償却を行う方が費用・収益の対応の観点からより合理的な場合もあるものと考えられ、各企業がその利用の実態に応じて最も合理的な方法を採用すべきである点に留意が必要です。
- 利用可能期間を基礎として償却を行う場合の耐用年数については、近時の技術革新の状況等に配慮し、実務指針では原則5年以内の年数とすることとされています。したがって、5年を超える年数とする場合には、合理的な根拠に基づくことが必要とされている点に留意する必要があります。
- また、利用可能期間については、その後の様々な要因により影響を受け変動することが予想されます。利用可能期間の見積りの変更は会計上の見積りの変更に該当するものと考えられ、Q22に記載のとおり、企業会計基準第24号第17項において会計上の見積りの変更の取扱いが定められています。このため、自社利用のソフトウェアの利用可能期間の見直しの結果、耐用年数を変更した場合には、当期及び当該ソフトウェアの残存耐用年数にわたる将来の期間の損益で認識することとなります。
- なお、耐用年数の変更について、過去に定めた耐用年数がその時点での合理的な見積りに基づくものでなく、これを事後的に合理的な見積りに基づいたものに変更する場合には、会計上の見積りの変更ではなく過去の誤謬の訂正に該当することに留意が必要です。


